狐 笛 のかなた
『
概要
[2009
世界 観
[あらすじ
[12
用語
[霊 狐 現世 と神 の世 の狭間 にある「あわい」と呼 ばれる空間 で生 まれた霊獣 。文字通 り、生 まれながらにして霊力 を持 ち、姿 を人 や狐火 に変 えることが出来 る。しかし、これゆえに人間 の呪 者 によって使 い魔 にされることがある。呪 者 要 は、人間 の霊 能力 者 。かつて<神 々>を祀 っていた一族 とその血 を引 く者 だけがなり得 る。また、霊 狐 などと言 った、霊獣 を「使 い魔 」にする事 が出来 る。絶大 な霊力 者 故 に、各国 には領主 直属 の呪 者 がいる。霊力 の使用 時 には、リスクを伴 い、使用 する毎 に寿命 が短 くなるため、非常 に短命 である。使 い魔 前述 したように、呪 者 が霊獣 を強制 的 に下僕 としたもの。感情 や理性 は残 るが、主 (呪 者 )に命 を握 られているため、服従 せざるを得 ない。他 にも様々 な霊獣 が居 るようだが、本 作 では霊 狐 のみ登場 。- き
耳 別名 「心 の目 」。他人 の思考 や念 を感 じ取 ることが出来 る能力 。一部 の者 だけが、出生 と同時 に持 ち、親 から子 へと遺伝 していく。また、き耳 の力 が強 い者 は、草木 や動物 の念 をも感受 することが可能 。葉陰 武者 が呪 者 に魂 を渡 し、「獣 の心 と強 さ」を宿 した者 達 。敵国 に派遣 され、諜報 活動 を行 っている。狐 笛 霊 狐 を使 い魔 にした時 、用 いる笛 。普段 は主 が使 い魔 を招集 するときに使用 する。霊 狐 の毛 と土 を焼 いて造 ったもの。また、負傷 した霊 狐 に対 して、自 らの命 (あるいは寿命 )と引 き換 えに治癒 させる事 ができるが、命 を分 け与 えた者 は、人 でも霊 狐 でもない存在 になってしまう。- <オギ>の
術 - 「かつて
海 の彼方 にあった国 」から伝来 した術 。特定 の人物 や区域 を守護 することが出来 る。 闇 の戸 霊 狐 が<あわい>と現世 を往来 する穴 。物理 的 に何 かに穴 が開 いている訳 ではなく、空間 の裂 け目 であり、「そこにあるものの、他 の所 を見 ていて、そこへ目 を移 すと、突然 、眼 が見 えなくなる」といった状態 。内部 には、生物 の精気 を吸収 する靄が充満 している。霊力 者 は呪術 によって閉 じることもでき、また、開 けることもできる。
登場 人物
[小夜 (さよ) 12歳 /16歳 本 作 の主人公 の少女 。幼少 期 に母親 を殺害 され、綾野 とともに暮 らしている。優 れた<き耳 >の才 を有 している。12歳 の頃 に小春 丸 と野火 に出会 う。野火 12歳 ?/16歳 (人間 基準 )- <あわい>で
生 まれた霊 狐 。久 那 によって使 い魔 にされている。本編 開始 の4年 前 に、主 の命令 で要人 暗殺 を行 ったが、深手 の傷 を負 い、12歳 の小夜 と小春 丸 に助 けられる。 小春 丸 11歳 ?/15歳 ?森 陰 屋敷 に10年間 (本編 開始 時 には14年間 が経過 )幽閉 されていた少年 。有路 ノ春 望 の息子 。非常 に行動 力 があり、わんぱく。度々 、屋敷 を抜 け出 していた。ある晩 に小夜 と出会 い、野火 を助 ける。しかし、その事 (脱走 )が従者 に発覚 し、それ以降 、屋敷 の外 に出 てくることはなかった。4年 後 に小夜 と再会 する。大 朗 25歳 ?有路 ノ春 望 に仕 え、かつては小春 丸 の保護 と監視 を担 っていた武者 。<オギ>の術 を扱 う事 が出来 る数少 ない人物 のひとり。かつて小夜 の母親 と親交 があり、姉 のような存在 だったが、抗 争 に巻 き込 まれ殺 された為 、残 された小夜 の過去 を封印 した。数 年 後 に小夜 と再会 し、封印 を解 くことになる。花 乃小夜 の母親 。故人 。<き耳 >の能力 を持 ち、草木 の念 を感 じ取 ることができ、強力 な霊力 を持 ち合 わせていた。それ故 に、春名 ノ国 にとって切 り札 であり、隣国 にとって脅威 だった為 に、小夜 の幼少 期 に湯来 ノ国 の葉陰 によって殺害 される。綾野 花 乃が殺害 された後 に、小夜 を引 き取 った老婆 。腕 の良 い<とりあげ女 >(産婆 )であり、それによって夜 名 ノ里 から難産 や死産 が消 えたらしい。小夜 が15歳 の秋 に老衰 (?)で亡 くなった。鈴 21歳 ?大 朗 の妹 。一太 という2歳 の息子 がいる。大 朗 同様 に多少 の霊力 を持 っている。年越 しの市 で葉陰 にからまれた小夜 を保護 する。那 柁 花 乃の父親 。かつては絶大 な霊力 を誇 る呪 者 だったが、戦 の過程 で命 を落 とす。木 縄 坊 自称 「半天 狗 」。野火 の友人 。元 は猟師 だったが、ある日 突然 、暇 を持 て余 した天狗 に連 れ去 られ、東西 を旅行 していた。半年 後 に、元 の場所 に帰 されたが、旅行 の過程 で天狗 に憧 れてしまい、自 ら天狗 になることを決意 し、天狗 に聞 いた<蔦 の精 >の夫 になるという方法 で天狗 になろうとしたが、修業 中 に岩 の間 に落 ち、出 られなくなっていた所 を野火 に助 けられる。天狗 になりきれていない「半人前 の天狗 」という意味 で、「半天 狗 」と名乗 るようになる。有路 (ゆうじ)ノ一族 春名 ノ国 を治 める一族 。隣国 を治 める湯来 ノ一族 とは争 いが絶 えなかった。現在 も膠着 状態 にある。現 当主 は有路 ノ春 望 。春 望 (はるもち)春名 ノ国 の領主 。人望 が厚 く、従者 からも慕 われている。かつて妻子 や忠臣 がいたが、敵国 の呪 者 によって呪 い殺 された。花 乃と面識 がある。二 国 間 は、片方 の一族 の後継 がいなくなった場合 、もう片方 の一族 から養子 として片方 の一族 に引 き渡 すというシステムで勢力 や軍事 の均衡 を保 っている。盛 惟 はこれを狙 って安 望 を暗殺 したが、春 望 はそれを見通 して、小春 丸 を森 陰 屋敷 に切 り札 として幽閉 していた。安 望 (やすもち)春 望 の総領 息子 。剣術 や馬術 に優 れ、春 望 の後継 とされていたが、突然 落馬 し、瀕死 の傷 を負 った後 に死亡 した。雅望 (まさもち)春 望 の父親 。故人 。春 望 とは対照 的 に強欲 な人物 であり、戦 で功績 を残 し、褒賞 として威 余 大公 家 から「若桜 野 」の領有 権 を獲得 した。これがすべての発端 であり、両国 関係 を悪化 させた原因 である。
湯来 (ゆき)ノ一族 湯来 ノ国 を統治 する一族 。春名 ノ国 とは非 友好 的 な関係 にある。現 当主 は湯来 ノ盛 惟 。盛 惟 (もりただ)湯来 ノ国 の領主 。有路 ノ春 望 とは従兄弟 。春名 ノ国 に若 桜 野 を奪 われ、水源 を失 った事 を恨 んでおり、呪 者 を使 い、あらゆる手段 で活動 を妨害 している。前述 したシステムを利用 して有路 ノ春 望 の後継 である安 望 を暗殺 し、自 らの息子 に春名 ノ国 を統治 させようと目論 んでいた。助 惟 (すけただ)盛 惟 の13歳 の息子 。有路 ノ安 望 が死亡 した為 、養子 として後継 となるはずだったが、小春 丸 がいた為 、阻止 された。芳 惟 (よしただ)盛 惟 の父親 であり、有路 ノ雅望 の弟 。有路 ノ一族 に生 まれながらも、湯来 ノ一族 の後継 者 がいない事態 となり、養子 として、湯来 ノ一族 となった。
久 那 (くな)湯来 ノ盛 惟 に仕 える唯一 の呪 者 。野火 らを使 って、春名 ノ国 の内情 を報告 させている。故人 である父親 の影響 で冷酷 となった。非常 に強 い霊力 を有 しているが、それ故 に短命 であり、寿命 が近付 いていた。玉緒 久 那 の使 い魔 の霊 狐 。人間 時 の姿 は絶世 の美女 らしい。有路 ノ城 の給仕 として潜伏 していた。影 矢 野火 、玉緒 と同 じく使 い魔 の霊 狐 。人間 時 の姿 は中年 の男 。玉緒 と同 じく春名 ノ国 に潜伏 していた。久 那 の命 で春 望 を殺害 しようとしたが、野火 によって<封 じ袋 >の中 に封印 される。威 余 大公 (いよたいこう)春名 ノ国 及 び湯来 ノ国 とその付近 一帯 を統治 する領主 。両国 間 の監視 をしている。- 「この
島国 の大半 を治 める大 領主 」という描写 があるが「島国 」とは、日本 を指 すものか、国内 の島 を指 すものかは不明 。 高 朗 大 朗 の父親 。故人 。かつて海外 の国王 に仕 えていたが、その国 が滅 んだため、春名 ノ国 に渡 った。矢 多 梅 が枝 屋敷 で大 朗 に仕 える従者 。乗用 馬 の「雲 陰 」の世話 などを担当 している。常行 - かつての
小春 丸 の従者 。小春 丸 曰 く、「かなり厳 しい」らしい。小春 丸 の脱走 に最初 に気 づいた人物 。
地名
[春名 ノ国 有路 ノ一族 が統治 する国 。北部 は険 しい山岳 地帯 になっており、東西 からそれぞれ「杉谷 川 」と「山 指 川 」が流 れる。湯来 ノ国 湯来 ノ一族 が納 める国 。春名 ノ国 の西 隣 に位置 している。春名 ノ国 とは敵対 している。若 桜野 春名 ノ国 と湯来 ノ国 の国境 にある場所 。北側 の「緒 路 山 」から三 本 の支流 から成 る杉 谷川 が流 れ、桜 が群生 し、春名 ノ国 で最 も美 しい場所 とされている。以前 は威 余 大公 家 の管轄 下 にあったが、有路 ノ雅望 が戦 で手柄 を立 て、春名 ノ国 の領土 として威 余 大公 家 から割譲 された為 、両国 を潤 していた川 も、春名 側 にのみ流 れるように石 堰 が築 かれている。両国 関係 を悪化 させた一因 である。夜 名 ノ森 春名 ノ国 の北東 に位置 する森林地帯 。森 陰 屋敷 や夜 名 ノ里 、小夜 の自宅 がある。夜 名 ノ里 夜 名 ノ森内 にある里 。余所者 は歓迎 されない閉鎖 的 な里 だったが、綾野 の功績 によってその風潮 が打 ち破 られた。森 陰 屋敷 有路 ノ一族 が所有 する屋敷 。夜 名 ノ森 にひっそりと佇 み、小春 丸 が幽閉 されていた。夜 名 ノ里 では「化 け物 屋敷 」の噂 が立 っていた。長戸 ノ里 春名 ノ国 の北部 にある里 。梅林 に囲 まれている。梅 が枝 屋敷 長戸 ノ里 の梅林 の奥 にある屋敷 。大 朗 と鈴 が住 んでいる。青 李 ノ宿 (あおりのしゅく)春名 ノ国東 部 にある場所 。有路 ノ城 春名 ノ国 の中央 に位置 する城 。有路 ノ一族 が住 んでいる。緒 路 山 (おろのやま)春名 ノ国 と湯来 ノ国 の国境 に跨 る山 。杉谷 川 の水源 がある。白 尾根 山脈 春名 ノ国 の北部 にある山脈 。杉 谷川 緒 路 山 から流 れる川 。三 本 の支流 が交 わり、春名 ノ国東 部 を北 から南 へ流 れ、途中 で山 指 川 と合流 している。山 指 川 夜 名 ノ森 方面 と長戸 ノ里 方面 から流 れる支流 で成 る川 。春名 ノ国 西部 を南北 に沿 って流 れている。千波 川 杉谷 川 と山 指 川 の合流 で成 っている大河 。春名 ノ国 南部 を流 れる。日野辺 道 (ひのべのみち)春名 ノ国 を中心 に東西 に走 る街道 。市場 などが開 かれている。- <あわい>
現世 とカミ(神 )の世 の境 にある空間 。カミガミ(神 々)や霊獣 が住 まうとされている。常 に薄暗 く、多湿 らしい。- 「
海 の彼方 にあった国 」 大 朗 の父親 、高 朗 が王 に仕 えていた国 。過去 に起 こった戦 によって滅亡 した。
書籍 情報
[狐 笛 のかなた (理論 社 )2003年 11月14日 初版 発行 ISBN 9784652077344狐 笛 のかなた (新潮社 )2006年 12月1日 初版 発行 ISBN 9784101302713
舞台
[- 「
狐 笛 のかなた」(2009年 、劇団 「風 ノ環 ~fu-ring~」) - 「
狐 笛 のかなた―ふたつの魂 ―」(2011年 、新 歌舞伎座 )