申請しんせい

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申請しんせい(しんせい)とは、一般いっぱんに、官公庁かんこうちょうなどの処理しょり機関きかんたいして、自己じこ希望きぼうもうて、一定いってい許可きょかとう効果こうかもとめることをいう。しかしながら、法令ほうれいもとづかないいわばかけじょう申請しんせいともいうべき申出もうしでもあり、この場合ばあい[1]実態じったい申請しんせいとはべない。[2]日本にっぽんほうじょうでは、かくほう分野ぶんやにおいて多岐たきもちいられており、行政ぎょうせいほううえでは、行政ぎょうせいちょうたい許可きょか認可にんかなどをもとめること。訴訟そしょうほううえは、「申立もうしたて」とおな意味いみもちいられる。

申請しんせい原則げんそくとして申請しんせい受理じゅりおこな機関きかんたいして書面しょめん申請しんせいしょ)にておこなうが、電子でんし申請しんせい・オンライン申請しんせいなどが順次じゅんじ普及ふきゅうしており、書面しょめん必要ひつようせい次第しだい低下ていかしている。国際こくさい社会しゃかいではアメリカやシンガポールをはじめさらなる電子でんしすすんでいることから、日本にっぽんにおいても徐々じょじょ判子はんこ製本せいほんなどによる官僚かんりょう主義しゅぎてき煩雑はんざつ作業さぎょう一部いちぶ減少げんしょうしている。

日本にっぽんほう行政ぎょうせいほうじょう概要がいよう[編集へんしゅう]

定義ていぎ
法令ほうれいもとづき、行政ぎょうせいちょう許可きょか認可にんか免許めんきょその自己じこたいなんらかの利益りえき付与ふよする処分しょぶん(「許認可きょにんかとう」という。)をもとめる行為こういであって、当該とうがい行為こういたいして行政ぎょうせいちょう諾否だくひ応答おうとうをすべきこととされているものをいう(行政ぎょうせい手続てつづきほう2じょう3こう)。
  • 行政ぎょうせい手続てつづきほうは、以下いかじょうすうのみ記載きさいする。

法律ほうりつにおける義務ぎむ[編集へんしゅう]

行政ぎょうせい手続てつづきほうでの、行政ぎょうせいちょう義務ぎむ

義務ぎむ
  • 審査しんさ基準きじゅん設定せってい公表こうひょう
    行政ぎょうせいちょうは、審査しんさ基準きじゅんを、許認可きょにんかとう性質せいしつらしてできるかぎ具体ぐたいてきなものとしてさだめるものとする(5じょう1こう 2こう)。
    行政ぎょうせいじょう特別とくべつ支障ししょうがあるときをのぞき、申請しんせい提出ていしゅつさき事務所じむしょ備付そなえつとう方法ほうほうによりおおやけにしておかなければならない(5じょう 3こう)。
    さだめようとする場合ばあいには、意見いけん公募こうぼ手続てつづきしたがい、審査しんさ基準きじゅんあんおよびこれに関連かんれんする資料しりょうをあらかじめ公示こうじし、意見いけん情報じょうほう提出ていしゅつさきおよ意見いけん提出ていしゅつ期間きかんさだめてひろ一般いっぱん意見いけんもとめなければならない(38じょう)。
  • 標準ひょうじゅん処理しょり期間きかん公表こうひょう
    事務所じむしょ到達とうたつしてから処分しょぶんをするまでに通常つうじょうようすべき標準ひょうじゅんてき期間きかんさだめたときは、提出ていしゅつさきとされている機関きかん事務所じむしょにおける備付そなえつけその適当てきとう方法ほうほうによりおおやけにしておかなければならない(6じょう)。
  • 審査しんさ応答おうとう(7じょう)
    申請しんせい形式けいしきじょう要件ようけん適合てきごうしない申請しんせいについては、すみやかに、申請しんせいしゃたい相当そうとう期間きかんさだめて当該とうがい申請しんせい補正ほせいもとめ、また当該とうがい申請しんせいによりもとめられた許認可きょにんかとう拒否きょひしなければならない。
  • 理由りゆう提示ていじ
    拒否きょひする処分しょぶんをする場合ばあいは、申請しんせいしゃたいし、同時どうじに、当該とうがい処分しょぶん理由りゆうしめさなければならない(8じょう)。
    ただし、申請しんせい審査しんさ基準きじゅん数量すうりょうてき指標しひょうとう適合てきごうしないことが申請しんせいしょ記載きさいとうからあきらかであるときは、申請しんせいしゃもとめがあったときにしめせばよい。
  • 複数ふくすう行政ぎょうせいちょう関与かんよする処分しょぶん
    行政ぎょうせいちょうにおいて同一どういつ申請しんせいしゃからされた関連かんれんする申請しんせい審査しんさちゅうであることをもって許認可きょにんかとう審査しんさまた判断はんだん殊更ことさら遅延ちえんさせるようなことをしてはならない(11じょう)。
努力どりょく義務ぎむ
  • 標準ひょうじゅん処理しょり期間きかん設定せってい
    申請しんせいがその事務所じむしょ到達とうたつ[3]してから当該とうがい申請しんせいたいする処分しょぶんをするまでに通常つうじょうようすべき標準ひょうじゅんてき期間きかん標準ひょうじゅん処理しょり期間きかん)をさだめるようつとめるなければならない(6じょう)。
    処分しょぶん性質せいしつじょうから審査しんさ期間きかん変動へんどう困難こんなん場合ばあいがあるため努力どりょく義務ぎむとされている。
  • 情報じょうほう提供ていきょう
    申請しんせいしゃもとめにおうじ、申請しんせいたいする処分しょぶん時期じき見通みとおしや、申請しんせいをしようとするものまた申請しんせいしゃもとめにおうじ、申請しんせいしょ記載きさいおよ添付てんぷ書類しょるいかんする事項じこうその情報じょうほう提供ていきょうつとめなければならない(9じょう)。
  • 公聴こうちょうかい開催かいさい
    公聴こうちょうかい開催かいさいその適当てきとう方法ほうほうにより申請しんせいしゃ以外いがいもの意見いけん機会きかいもうけるようつとめなければならない(10じょう)。
  • 複数ふくすう行政ぎょうせいちょう関与かんよする処分しょぶん
    相互そうご関連かんれんする複数ふくすう申請しんせい複数ふくすう行政ぎょうせいちょう関与かんよする場合ばあいにおいては、当該とうがい複数ふくすう行政ぎょうせいちょうは、必要ひつようおうじ、相互そうご連絡れんらくをとり、当該とうがい申請しんせいしゃからの説明せつめい聴取ちょうしゅ共同きょうどうしておこなひとしにより審査しんさ促進そくしんつとめるものとする(11じょう)。

地方ちほう自治じちほう[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 法律ほうりつ効果こうかしょうじないため、
  2. ^ (稲葉いなば et al. 2018), p. 91 "申請しんせいとは、法令ほうれいもとづき、行政ぎょうせいちょう許認可きょにんかとうの「自己じこたいなんらかの利益りえき付与ふよする処分しょぶん……をもとめる行為こういであって、当該とうがい行為こういたいして行政ぎょうせいちょう諾否だくひ応答おうとうをすべきこととされているもの」(2じょう3ごう)をいう。かかる利益りえきてき処分しょぶん対象たいしょうとし、かつ行政ぎょうせいちょう応答おうとう義務ぎむみとめられる受益じゅえきしゃからの要求ようきゅう行為こういではない職権しょっけん処分しょぶん発動はつどううながもうは、申請しんせいではない。"
  3. ^ オンライン申請しんせい場合ばあい情報じょうほう送信そうしんされて行政ぎょうせい機関きかんのファイルに記録きろくされたことをもって到達とうたつしたとみなされる。(稲葉いなば et al. 2018), p. 93

書籍しょせき[編集へんしゅう]

  • 稲葉いなば, かおる人見ひとみ, つよし村上むらかみ, 裕章ひろあき前田まえだ, 雅子まさこ行政ぎょうせいほう』(だい4はん有斐閣ゆうひかく東京とうきょう、2018ねんISBN 978-4-641-17940-0 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

判例はんれい[編集へんしゅう]