福田ふくだ理さとし兵衛ひょうえ

福田ふくだ 理さとし兵衛ひょうえ（ふくだ りへい、1814年ねん11月16日にち（文化ぶんか11年ねん10月5日にち） - 1872年ねん5月19日にち（明治めいじ5年ねん4月がつ13日にち））は、幕末ばくまつの勤皇きんのう家いえ。諱いみな・治和ちわ（はるかず）、通称つうしょう・幸さいわい三郎さぶろう、変名へんめい・蔵人くろうど。江戸えど時代じだい末期まっき、現在げんざいの京都きょうと市し右京うきょう区く嵯峨さがの豊ゆたかな材木ざいもく問屋とんやの長男ちょうなんとして生うまれ、京都きょうと洛らく西下さいか嵯峨さがの庄屋しょうや、総そう年寄としより、村むら吏りとして勤つとめ、村人むらびとの信頼しんらいを一身いっしんに集あつめた。明治維新めいじいしんの時とき、家産かさんを傾かたむけてまで長州ちょうしゅう藩はんの勤皇きんのう倒幕とうばく運動うんどうを支援しえんして、維新いしんの実現じつげんに貢献こうけんした勤皇きんのう家か。1911年ねん（明治めいじ44年ねん）6月がつ1日にち、贈おく従したがえ五ご位い。

概要がいよう

嘉よしみ永ひさし年間ねんかん、運河うんがの開鑿かいさくを計画けいかくし、地域ちいきの経済けいざい産業さんぎょうの発展はってんに貢献こうけんした。（この計画けいかくは、後のちにその志こころざしを継承けいしょうした人ひとたちの手てで実現じつげんし、西高にしこう瀬川せかわの材木ざいもく運搬うんぱんを容易よういにした）。幕末ばくまつ、尊王そんのう攘夷じょうい運動うんどうが活発かっぱつになったとき、長ちょう（州しゅう）に奉ほうずるは　即すなわち国くにに奉ほうずるの道みちなりと決意けついし、家産かさんを傾かたむけてまで長州ちょうしゅう藩はんの勤皇きんのう倒幕とうばく運動うんどうを支援しえんした。文久ぶんきゅう年間ねんかん、長州ちょうしゅう藩はんから依頼いらいされた天竜寺てんりゅうじ借用しゃくようの交渉こうしょうや材木ざいもく取引とりひきを通とおして親したしくなった長州ちょうしゅう藩士はんしらに莫大ばくだいな活動かつどう資金しきんを提供ていきょうした。

元治もとはる年間ねんかん、禁門きんもんの変へんのとき、長州ちょうしゅう藩はんに食料しょくりょうや武器ぶきなどを調達ちょうたつした。長州ちょうしゅう藩はんが敗やぶれたため、妻子さいしを捨すてて長州ちょうしゅう（山口やまぐち県けん）へ逃走とうそうし隠棲いんせいした。そのため家財かざいは没収ぼっしゅうされ、住居じゅうきょは焼やき払はらわれた。のち長州ちょうしゅう藩士はんしに列れっせられたが、その後ごついに京都きょうとに戻もどることなく、防府ほうふ宮みや市し（山口やまぐち県けん防府ほうふ市し宮市みやいち町まち）の自宅じたくにて逝去せいきょ。生家せいかに近ちかい京都きょうと市し右京うきょう区くの車くるま折おり神社じんじゃの境内けいだいに、理り兵衛ひょうえをまつる「葵あおい忠ただし社しゃ（きちゅうしゃ）」がある。例祭れいさいは、毎年まいとし4月がつ13日にち。1911年ねん（明治めいじ44年ねん）6月がつ1日にち、贈おく従したがえ五ご位い。

生涯しょうがい

1814年ねん（文化ぶんか11年ねん）10月がつ5日にち、京都きょうと市し右京うきょう区く嵯峨さがの豊ゆたかな材木ざいもく商しょうに長男ちょうなんとして生うまれる。父ちちは福田ふくだ三郎さぶろう左衛門さえもん薫かおる家か（ただいえ）。父ちちの弟おとうと・安太郎やすたろう久ひさ置おけ（利兵衛りへえ家か）の養子ようしとなる。妻つまは大覚寺だいかくじの家いえ士し・小林こばやし喜き間あいだ太ふとしの長女ちょうじょ・春はる（葉は類るい）。

嘉よしみ永年えいねん間あいだ、清滝川きよたきがわの水みずを疎通そつうして加茂川かもがわに通つうじる灌漑かんがい交通こうつうの便びんを開ひらこうと企画きかくし、数すう年間ねんかん苦労くろうしたが果はたせなかった（この計画けいかくは、後のちにその志こころざしを継承けいしょうした人ひとたちの手てで実現じつげんし、西高にしこう瀬川せがわの材木ざいもく運搬うんぱんを容易よういにした）。1853年ねん（嘉よしみ永なが6年ねん）洛らく西下さいか嵯峨さが材木ざいもく町まち（京都きょうと市し右京うきょう区く嵯峨朝日さがあさひ町まち）の浄土宗じょうどしゅう捨世派は・正せい定じょう院いんの開山かいさん「称しょう念ねん上人しょうにん」300回忌かいき遠忌えんき・法要ほうよう施行しこうに当あたり、実父じっぷの三郎さぶろう左衛門さえもん（この時とき、既すでに死亡しぼう）と相談そうだんして、開基かいき「大八木おおやぎ、福田ふくだ両氏りょうし夫妻ふさい」の木造もくぞうと位牌いはいを再調さいちょうし寄進きしんした。

1862年ねん（文久ぶんきゅう2年ねん）末まつ、天竜寺てんりゅうじの用達ようたしであった理り兵衛ひょうえは、長州ちょうしゅう藩士はんし・楢原ならはら善ぜん兵衛ひょうえより同どう寺てらの借用しゃくようを依頼いらいされる。後ご、同どう藩士はんし・上村うえむら斎宮いつきのみや、志こころざし道どう門かど太ふとし、木原きはら又右衛門またえもんも来きて督促とくそくした。

1863年ねん（文久ぶんきゅう3年ねん）1月がつ、寺てらの借用しゃくように関かんし長州ちょうしゅう藩はん側がわにたって交渉こうしょう斡旋あっせんし、天竜寺てんりゅうじ山内さんない24ヶ寺てら、清涼寺せいりょうじほか民家みんか30戸こを借入かりいれすることが出来でき、天竜寺てんりゅうじに長州ちょうしゅう旅館りょかんの門標もんぴょうを掲かかげた。以後いご、理り兵衛ひょうえは長州ちょうしゅう藩はんの御用達ごようたしとなって一切いっさいの経理けいりをまかされ、経済けいざい面めんで莫大ばくだいな支援しえんをした。長ちょう（州しゅう）に奉ほうずるは　即すなわち国くにに奉ほうずるの道みちなりと決意けついしたのはこの頃ころのことである。天竜寺てんりゅうじの借用しゃくよう交渉こうしょうは、京都きょうと所司代しょしだいの許可きょかが必要ひつようだったため、長州ちょうしゅう藩邸はんてい留守居るすい役やく、村田むらた次郎じろう三郎さぶろうの所司代しょしだいへの出頭しゅっとうに同行どうこうして交渉こうしょうに当あたった。

同年どうねん2月がつ2日にち、長州ちょうしゅう藩はん世子せいし・毛利もうり定広さだひろが寺町てらまち二に条じょうの京都きょうと妙満寺みょうまんじから嵯峨天竜寺さがてんりゅうじへ移うつったとき、理り兵衛ひょうえは隣村りんそんまで出迎でむかえに行いき、謁見えっけんを賜たまわる。同年どうねん2月がつ16日にち、定広さだひろは在京ざいきょうの志士ししを嵯峨天竜寺さがてんりゅうじに招まねいてもてなした。当日とうじつ、熊本くまもと藩士はんし・横井よこい平四郎へいしろうおよび轟とどろき武たけ兵衛ひょうえ、土佐とさ藩士はんし・武市たけいち半平はんぺん太ふとしや平井ひらい収おさむ二郎じろうらも加くわわる。理り兵衛ひょうえは、このとき料理りょうりの供給きょうきゅう、資金しきん調達ちょうたつなどの世話せわ役やくをつとめた。定広さだひろの滞在たいざい中ちゅう、世話せわ役やくとして貢献こうけんしたため、定広さだひろは理り兵衛ひょうえの労ろうをねぎらい金一封きんいっぷうを賜たまわった。

その後ご、定広さだひろの帰国きこくにあたり、長男ちょうなん・信太郎しんたろうを伴ともない伏見ふしみの港みなとまで見送みおくり再ふたたび謁見えっけんを賜たまわる。岩国いわくに藩はん主おも・吉川よしかわ監かん物ぶつが代理だいりで天竜寺てんりゅうじに来きたときには全すべて長州ちょうしゅう藩はん世子せいし・毛利もうり定広さだひろに準じゅんじて待遇たいぐうした。この頃ころ、長州ちょうしゅう藩はんが天竜寺てんりゅうじを宿舎しゅくしゃとして使用しようする永代えいたい借用しゃくようの契約けいやくを結むすぶ交渉こうしょうに当あたる。天竜寺てんりゅうじを藩主はんしゅ並ならびにその代理人だいりにんの旅館りょかんにあて、同どう寺てら引ひき払はらいに当あたっては道具どうぐ類るいの保管ほかんを命めいじられ、料理りょうりの供給きょうきゅう、資金しきん調達ちょうたつの斡旋あっせんに勤つとめた。

同年どうねん8月がつ18日にち、八はち月がつ十じゅう八はち日にちの政変せいへんおよびそれに続つづく七なな卿きょう落おちにあたり、理り兵衛ひょうえは、京都きょうと長州ちょうしゅう藩邸はんてい（寺町てらまち二に条じょうあたり）に居おり、七なな卿きょう落おちの際さいに密議みつぎをこらした舞台ぶたいとなった東山ひがしやま区くの妙法みょうほう院いんとの連絡れんらくをとるなど奔走ほんそうし、政変せいへん後ごの京都きょうとに於おける公武こうぶ間あいだの動どう勢ぜいを探さぐり有用ゆうような情報じょうほうを提供ていきょうした。

同年どうねん8月がつ29日にち、京都きょうと所司代しょしだいは、長州ちょうしゅう藩主はんしゅ父子ふしに対たいし、八はち月がつ十じゅう八はち日にちの政変せいへん時じの長州ちょうしゅう藩主はんしゅおよび吉川よしかわ監かん物ぶつの行動こうどうについて問といただすことがあり、長州ちょうしゅう藩士はんしの御所ごしょ門もん内ないに入はいることを禁きんじ、留守居るすい役やく以外いがいの長州ちょうしゅう藩士はんしの滞京たいきょうも禁きんじ、長州ちょうしゅう藩主はんしゅ父子ふしの上京じょうきょうを停止ていしした。しかし、桂かつら小五郎こごろう以下いか20名めいの長州ちょうしゅう藩士はんしは京都きょうとに潜伏せんぷくし、ひそかに本ほん藩はんと連絡れんらくを取とっていたので、理り兵衛ひょうえは桂かつら小五郎こごろうらを助たすけ利便りべんを与あたえた。

1864年ねん（元治もとはる元年がんねん）6月がつ6日にち、幕吏ばくりが長州ちょうしゅうの京都きょうと藩邸はんていを包囲ほういしたとき、理り兵衛ひょうえは長男ちょうなん・信太郎しんたろうに助勢じょせい人じんを一人ひとりつけ武器ぶきを持もたせて同どう邸やしきに送おくった。同年どうねん6月がつ21日にちごろ、信太郎しんたろうに内命ないめいあり、兵糧ひょうろう、塩しお、味噌みそ等とうの用意よういをした。同年どうねん6月がつ23日にち頃ごろ、三条さんじょう実美みみおよび長州ちょうしゅう藩主はんしゅ父子ふしの赦免しゃめんを得えるために上京じょうきょうした長州ちょうしゅう藩はん家老がろう・福原ふくはら元もと僴が兵へい300を率ひきいて天竜寺てんりゅうじに入はいる。理り兵衛ひょうえは、苦労くろうして集あつめて記録きろくした京都きょうとに於おける公武こうぶ間あいだの有用ゆうよう情報じょうほうを福原ふくはらに提供ていきょうした。

同年どうねん6月がつ28日にち、禁門きんもんの変へんのとき、長州ちょうしゅう兵へい約やく千せん名めいが天竜寺てんりゅうじに入はいる。信太郎しんたろうもこれに加くわわった。御用達ごようたし・福田ふくだ理さとし兵衛ひょうえは、天竜寺てんりゅうじに兵糧ひょうろう米まいおよびその他た一切いっさいの雑品ざっぴんを牛車うしぐるまを使用しようして潮しおのごとく運はこび込こんだ。同年どうねん7月がつ18日にちの暮くれより、天竜寺てんりゅうじの出入でいりを厳禁げんきんしたため、寺内てらうちは騒然そうぜんとなり、多おおくの人足ひとあしが必要ひつようとなったので、理り兵衛ひょうえは天竜寺てんりゅうじと交渉こうしょうして村方むらかたの者ものを数すう人にん雇やとい入いれた。

同年どうねん7月がつ19日にち（1864年ねん8月がつ20日はつか）、帷子かたびらノ辻つじ（かたびらのつじ）にて部署ぶしょを定さだめ、桂かつら小五郎こごろうが総そう参謀さんぼうとなり、国司こくし（信濃しなの）隊たいは中ちゅう立売たちうり門もんに、来島らいとう（又兵衛またべえ）隊たいは蛤はまぐり御門みかどへ、児玉こだま隊たいは下した立売たちうり門もんに向むかった。このとき、理り兵衛ひょうえ父子ふしは、来島らいとうの遊ゆう撃げき隊たいに加くわわっていた。

敗はい兵へいが寺てらに戻もどってくるようになったので、理り兵衛ひょうえは負傷ふしょう者しゃを運はこぶため駕篭かごを雇やとい入いれ、山崎やまざきまで運はこぼうと樫原かしわら方面ほうめんに急行きゅうこうしたが、それも出来できず、その夜よるは下しも桂かつらの山口やまぐち薫かおる次郎じろう宅たくに一泊いっぱくし、7月がつ20日にち早朝そうちょう、上うえ桂かつらの武田たけだ伊勢いせ介かいを密みつ訪おとずれした。そのとき天竜寺てんりゅうじに砲声ほうせいがしきりに聞きこえてきたので真夜中まよなかであったが妻子さいしの安否あんぴ確認かくにんを思案しあんしている所ところへ、たまたま信太郎しんたろうが身みに危険きけんが迫せまっていることを知しらせてきたので、信太郎しんたろうを武田たけだ家かに託たくし、理り兵衛ひょうえは大阪おおさかへ逃のがれた。

このとき、理り兵衛ひょうえは、薩摩さつま兵へいにより家産かさん一切いっさいを入札にゅうさつ競売きょうばいに付ふされ、その収益しゅうえき約やく五ご千せん両りょうは村民そんみんに分わけ与あたえられ、旧宅きゅうたくは火ひをつけて焼やかれ概算がいさんで一いち万まん五ご千せん両りょうを亡失ぼうしつした。旧宅きゅうたくが燃もえ尽つきるのに三さん日にち三さん晩ばん掛かかった。（後ご、不動産ふどうさんに限かぎり妻子さいしを扶養ふようするために下付かふされた。）

理り兵衛ひょうえは、秋田あきた藩はん蔵屋敷くらやしき・定詰じょうづめ・山下やました家かに潜伏せんぷく中ちゅう、郷里きょうりより追おっ手てが向むかったので、高砂たかさご（兵庫ひょうご県けん高砂たかさご市し）より海路かいろで逃のがれ、8月がつ5日にちに三田尻みたじり（山口やまぐち県けん防府ほうふ市し）に上陸じょうりくし、8月がつ21日にち、萩はぎの武田たけだ嘉平かへい次じ（伯母おばの嫁入よめいり先さき）方かたに身みを寄よせた。同年どうねん冬ふゆ、信太郎しんたろうは薩長さっちょう連合れんごうの用件ようけんを帯おび、長州ちょうしゅうへ向むかう薩艦に便乗びんじょうして三田尻みたじりに上陸じょうりくし、父ちち・理り兵衛ひょうえに会あった。

1865年ねん（慶応けいおう元年がんねん）、理り兵衛ひょうえは長州ちょうしゅう藩士はんしに列れっせられた。身分みぶんは、中ちゅう士し、遠近えんきん付つき支配しはい、山林さんりん方かた勤務きんむ、米べい25俵ひょうであった。長男ちょうなん・信太郎しんたろうの来らい藩はんを届とどけ出でた所ところ、藩はんは理り兵衛ひょうえを隠居いんきょさせ、代かわりに信太郎しんたろうを藩士はんしに取とり立たてた。ただし、理り兵衛ひょうえの遠近えんきん付つき支配しはいは終身しゅうしんの役目やくめであった。4月28日にち、山口やまぐち羽わ山田やまだに転居てんきょ。

1868年ねん（明治めいじ元年がんねん）春はる、藩はんの用事ようじで大阪おおさかまで来きたとき、理り兵衛ひょうえは約やく4年ねんぶりに京都きょうと下か嵯峨さがの郷里きょうりに立たち寄よった。同年どうねん9月がつ12日にち、理り兵衛ひょうえが、毛利もうり公こうに桜さくら木製もくせいの花器かきを献上けんじょうした折おり、嘉納かのうの印しるしとして扇子せんす7本ほんを下賜かしさる。1872年ねん（明治めいじ5年ねん）2月がつ、理り兵衛ひょうえは京きょうに戻もどり家かを再興さいこうしようと計画けいかくし、一家いっかそろって京都きょうと転居てんきょを願ねがい出でて許ゆるされる。信太郎しんたろう、繁次郎しげじろう、幸さいわい三郎さぶろうの三子みつごを先さきに上京じょうきょうさせたが、京都きょうと転居てんきょを果はたせず、4月がつ13日にち、防府ほうふ宮みや市しの自宅じたくにて逝去せいきょ（59歳さい）。同地どうちの酒さけ垂たれ山やまに神葬しんそうし、50日にち祭さいをもって墓石はかいしを建立こんりゅうした。その後ご、理り兵衛ひょうえの子孫しそんは京都きょうと市し右京うきょう区く嵯峨さがに籍せきを移うつし、旧きゅう宅地たくちの一隅いちぐうに小祠しょうしを設もうけ理り兵衛ひょうえを祀まつった。正せい定じょう院いんにも墓石はかいしがある（戒名かいみょう・養やしなえ源げん院いん理り誉ほまれ治ち徳とく湛たたえ和わ居士こじ）。

1898年ねん（明治めいじ31年ねん）12月13日にち、理り兵衛ひょうえの旧きゅう宅地たくちを譲ゆずり受うけた外戚がいせきの穂積ほづみ和吉かずよしは、邸やしき内ないの敷地しきちに新あらたに祠ほこら殿どのを造営ぞうえいし理り兵衛ひょうえを祀まつり、大正たいしょう4年ねん3月がつ29日にちに遺族いぞくを招まねいて鎮座ちんざ祭さいを執行しっこうした。命日めいにちの4月がつ13日にちを祭日さいじつとして祭まつりを行おこなう事こととした（当日とうじつ、嵯峨さが小学校しょうがっこうの児童じどうを参列さんれつさせる慣行かんこうは20年間ねんかん続つづいたが、昭和しょうわ20年ねん以後いごの参列さんれつはない）。

1911年ねん（明治めいじ44年ねん）6月がつ1日にち、贈おく従したがえ五ご位い。1935年ねん（昭和しょうわ10年ねん）6月がつ16日にち、旧きゅう宅地たくちに隣接りんせつする車くるま折おり神社じんじゃの境内けいだいに祠ほこら殿どのを移転いてんし遷座せんざ祭さいを執行しっこう。このとき理り兵衛ひょうえを偲しのぶため『嵯峨さがの遺のこ光ひかり』を発行はっこうするに際さいし、清浦きようら奎吾伯爵はくしゃくより「一片いっぺん葵あおい忠ただし」の題字だいじが贈おくられたことから、葵あおい忠ただし社しゃ（きちゅうしゃ）と称しょうし、毎年まいとし、理り兵衛ひょうえの命日めいにちの4月がつ13日にちを祭日さいじつとして祭まつりが執行しっこうされている。

1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）12月25日にち、葵あおい忠ただし社しゃの改修かいしゅう工事こうじが行おこなわれ、翌年よくねん4月がつ15日にちに葵あおい忠ただし社しゃ50年ねん大祭たいさいが執行しっこうされた。

備考びこう

• 福田ふくだ理さとし兵衛ひょうえの一族いちぞくに『童わらわ安やす童話どうわ集しゅう』『新井あらい奥邃おうすいの思想しそう』『内観ないかん祈祷きとう録ろく・奥邃おうすい先生せんせいの面影おもかげ』などを自費じひ出版しゅっぱんした福田ふくだ與あずかがいる。
• 『福田ふくだ理さとし兵衛ひょうえ』を発行はっこうした福田ふくだ武雄たけおは、福田ふくだ與あずかの夫おっとで、『新編しんぺん福田ふくだ理さとし兵衛ひょうえ』を発行はっこうした福田ふくだ慎吾しんごはその長男ちょうなんである。

参考さんこう文献ぶんけん

• 福田ふくだ吉太郎よしたろう『福田ふくだ理さとし兵衛ひょうえ』（福田ふくだ武雄たけお、1940年ねん）（序文じょぶん、京大きょうだい名誉めいよ教授きょうじゅ文学ぶんがく博士はかせ高瀬たかせ武次郎たけじろう、題字だいじ天竜寺てんりゅうじ管長かんちょう・関せき精きよし拙つたな）
• 南部なんぶ彰あきら造づくり『新編しんぺん福田ふくだ理さとし兵衛ひょうえ』（福田ふくだ慎吾しんご、2005年ねん）
• 京都きょうと市し『京都きょうと市し史し編纂へんさん通信つうしん』（1993年ねん2月がつ発行はっこう、「嵯峨さがの地ち侍さむらい福田ふくだ氏し」の題名だいめいで福田ふくだ家かに伝つたわる古文書こもんじょ7点てんを紹介しょうかい)
• 京都きょうと新聞しんぶんの記事きじ（2005年ねん7月がつ5日にち）

関連かんれん事項じこう

• 明治維新めいじいしん
• 長州ちょうしゅう藩はん
• 禁門きんもんの変へん
• 八はち月がつ十じゅう八はち日にちの政変せいへん
• 明治めいじの人物じんぶつ一覧いちらん