穂高ほたか工業こうぎょう所しょ

株式会社かぶしきがいしゃ穂高ほたか工業こうぎょう所しょ（ほだかこうぎょうしょ）は、かつて愛知あいち県けん名古屋なごや市しに存在そんざいしていた日本にっぽんのオートバイメーカーである。ホダカのブランドでオートバイを生産せいさんしていた。

概要がいよう

会社かいしゃの設立せつりつは1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）。当初とうしょは自動車じどうしゃ用ようトランスミッションのメーカーだったが、やがてバイク用ようエンジンの製造せいぞうを始はじめ、東京とうきょうの山口やまぐち自転車じてんしゃや名古屋なごやのトヨモータースなどにエンジンやトランスミッションを納入のうにゅうしていた。ただし、歯車はぐるまなどの重要じゅうよう部分ぶぶんを除のぞく部品ぶひんの80%は外注がいちゅうであり、穂高ほたか工業こうぎょう所しょ自身じしんはそれらの外注がいちゅう部品ぶひんを自社じしゃ工場こうじょうで組くみ立たてて製品せいひんとするアッセンブリメーカーであった。名古屋なごや市し南みなみ区くの本社ほんしゃ工場こうじょう以外いがいにも名古屋なごや市内しないの数箇所すうかしょに工場こうじょうを持もち、他ほかにも農業のうぎょう用よう2サイクルエンジンを豊田自動織機とよたじどうしょっきや三菱重工みつびしじゅうこう名古屋なごや製作所せいさくしょに納入のうにゅうしていた。

1953年ねん、名古屋なごや近辺きんぺんで開催かいさいされた名古屋なごやTTレースに出場しゅつじょうするため、自社じしゃ製せいのOHV単たん気筒きとう150ccエンジンを搭載とうさいした完成かんせい車しゃを製作せいさくした。しかしレースでは出場しゅつじょうした3台だいとも完走かんそうすることができず、この時ときの完成かんせい車しゃも市販しはんに移うつされることはなかった。

1954年ねんごろから一時いちじは150社しゃを数かぞえたオートバイメーカーの淘汰とうたが始はじまり、穂高ほたか工業こうぎょう所しょの取引とりひき先さきであったトヨモータース、ロケット商会しょうかい、北川きたがわ自動車じどうしゃなどの倒産とうさん・廃業はいぎょうが相次あいついだ。しかし穂高ほたか工業こうぎょう所しょの最もっとも大おおきな納品のうひん先さきであった山口やまぐち自転車じてんしゃはそんな中なかでも健闘けんとうしており、最盛さいせい時じには山口やまぐち自転車じてんしゃに月つき4000台だいのエンジンを納入のうにゅうした。これは当時とうじの穂高ほたか工業こうぎょう所しょの全ぜん生産せいさん台数だいすうの7割わりを占しめる数字すうじであった。

名古屋なごやに乱立らんりつしていたバイクメーカーが次々つぎつぎと消きえていく中なかでも穂高ほたか工業こうぎょう所しょは数少かずすくない生いき残のこったメーカーとなっていたが、1963年ねん、頼たのみの山口やまぐち自転車じてんしゃが突然とつぜん倒産とうさんしてしまった。大量たいりょうのストックの納品のうひん先さきを突然とつぜん失うしなった穂高ほたか工業こうぎょう所しょは台湾たいわんにこれらを輸出ゆしゅつしてストックを処分しょぶんすると同時どうじに、山口やまぐち自転車じてんしゃに代かわる新あらたな取引とりひき先さきを探さがし始はじめた。そんな穂高ほたか工業こうぎょう所しょに救すくいの手てを差さし伸のべたのが、アメリカで山口やまぐち自転車じてんしゃのオートバイを輸入ゆにゅう販売はんばいしていたシェル石油せきゆ出資しゅっしの輸入ゆにゅう商社しょうしゃである PABATCO （Pacific Basin Trading Company 、太平洋たいへいよう沿岸えんがん商社しょうしゃ）であった。販売はんばい網もうだけを残のこして突然とつぜん売うるべきオートバイを失うしなってしまったPABATCOは、山口やまぐち自転車じてんしゃのオートバイのエンジンとトランスミッションを作つくっていた穂高ほたか工業こうぎょう所しょに完成かんせい車体しゃたいの生産せいさんを持もちかけたのである。

ホダカ ACE90

こうして1964年ねんに穂高ほたか工業こうぎょう所しょとPABATCOの共同きょうどう開発かいはつによる一いち号車ごうしゃであるホダカ ACE90 （空冷くうれい2サイクル単たん気筒きとう90cc、8.2馬力ばりき）が完成かんせいし、5月には名古屋なごや港こうからアメリカに渡わたった。ACE90はワイドレシオの4段だんトランスミッションを持もつトレールバイクで、軽量けいりょうな車体しゃたいとパワフルなエンジンを活いかして高たかい悪あく路ろ走破そうは性せいを発揮はっきした上うえに市街地しがいち走行そうこうにも適てきした高性能こうせいのうなモデルだった。また部品ぶひんも高こう品質ひんしつな物ものが使つかわれており、耐久たいきゅう性せいも高たかかった。これらの要素ようそがアメリカのユーザーに受うけ入いれられ、他社たしゃ製品せいひんに比くらべて高価こうかであったにもかかわらず次第しだいにファンを増ふやしていき、1966年ねんには生産せいさん台数だいすう1万まん台だいを達成たっせいした。

1967年ねんにはACE90の排気はいき量りょうを98ccにした ACE100 を発売はつばい。ホダカは高たかいパーツ互換ごかん性せいを持もっており、初期しょき型がたのACE90でも各部かくぶのパーツを最新さいしんの物ものに交換こうかんすることでACE100と同等どうとうのスペックにすることが可能かのうだった点てんも、アメリカで人気にんきを博はくした理由りゆうのひとつだった。

ホダカは手頃てごろな排気はいき量りょうに加くわえて手てを入いれるには好都合こうつごうなシンプルなメカニズムであったことからレース用ようのベース車しゃとしても好評こうひょうで、モトクロスからロードレースまであらゆるカテゴリの入門にゅうもん用ようバイクとして選えらばれ、PABATCOも豊富ほうふなキットパーツを用意よういしていた。1968年ねんにデイトナで行おこなわれたロードレースでは、トレールバイクであるにもかかわらず100ccクラスでは大差たいさで優勝ゆうしょう、125ccクラスでも4位いに入はいるという大だい活躍かつやくを見みせて話題わだいとなった。PABATCOでは多おおくのホダカが購入こうにゅうと同時どうじにレース用ように改造かいぞうされるのを見みて1969年ねんにモトクロッサーの 100 Super Rat を、1970年ねんにはACE100にモトクロス装備そうびを装着そうちゃくした ACE100B を発売はつばいした。こうしてACE90をベースとしたモデルは125ccの公道こうどう仕様しよう Wombat シリーズとモトクロッサーの Combat シリーズまで続つづいた。

1970年代ねんだいになるとユーザーは次第しだいにもっと大おおきな排気はいき量りょう、大おおきなパワーのオートバイを求もとめ始はじめた。そんなトレールバイク市場いちばに日本にっぽんの4大だいメーカー（ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ）やヨーロッパのKTMといったメーカーが参入さんにゅうしてきた。ホダカも250ccのエンデューロモデル 250ED やトレールモデル 250SL で迎むかえ撃うったが、従来じゅうらいモデル同様どうように耐久たいきゅう性せいを重視じゅうしした結果けっか他社たしゃ製品せいひんに比くらべて軽快けいかいさが失うしなわれ、次第しだいに苦戦くせんしていく。

そして1977年ねん、PABATCOの親会社おやがいしゃであるシェル石油せきゆが突然とつぜん事業じぎょうの廃止はいしを決定けっていした。第だい一いち次じオイルショックの影響えいきょうによる事業じぎょう整理せいりが理由りゆうだった。最大さいだいの市場いちばを失うしなった穂高ほたか工業こうぎょう所しょは完成かんせいしていたストックをやむなく日本にっぽん国内こくないで販売はんばいするが、日本にっぽんでは運輸省うんゆしょうの型式けいしき認定にんていを受うけていなかったために公道こうどう走行そうこうができず、ごく少数しょうすうしか売うれなかった。

その後ご、ヨーロッパや韓国かんこくのメーカーとの技術ぎじゅつ提携ていけいの話はなしがあったがうまくまとまらず、やがてオートレース車くるま用ようミッションのメーカーとして再生さいせいを図はかった。その他たにも台湾たいわんや中国ちゅうごくへのエンジン生産せいさん援助えんじょを企画きかくしたがいずれも採算さいさんを取とることができず、1991年ねん、全すべての業務ぎょうむ活動かつどうを停止ていしした。

アメリカでは今いまでもホダカの熱心ねっしんなファンがおり、すでにオリジナルが手てに入はいらなくなったパーツの製作せいさくなどの活動かつどうをしている。

主おもな製品せいひん

ホダカ 125 Combat Wombat

• ホダカ ACE 90
• ホダカ ACE 100A
• ホダカ ACE 100B
• ホダカ ACE 100B+
• ホダカ 100 Dirt Squirt
• ホダカ 100 Road Toad
• ホダカ 100 Super Rat
• ホダカ 125 Super Combat
• ホダカ 125 Combat Wombat
• ホダカ 125 Wombat
• ホダカ 175SL
• ホダカ 250SL
• ホダカ 250ED
• ホダカ 80 Dirt Squirt

外部がいぶリンク

• Ode to Hodaka
• Motorcycle Classics - The Hodaka experience