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経度けいどほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

経度けいどほう(けいどほう、えい: Longitude Act)は、1714ねん7がつアン女王じょおう治世ちせいイギリス議会ぎかいによって制定せいていされた法律ほうりつ海上かいじょうにおいて船舶せんぱく自身じしん位置いち経度けいど正確せいかく測定そくていする方法ほうほう開発かいはつしたもの懸賞けんしょうきむ経度けいどしょう)をあたえることを立法りっぽうしたものである(→経度けいど歴史れきし)。

制定せいていまえ 

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地上ちじょうにおいては、本格ほんかくてき経度けいど測定そくていほう木星もくせい衛星えいせいしょく観測かんそくする方法ほうほうからはじまり、ジョヴァンニ・カッシーニが1668ねん木星もくせいの4衛星えいせい運行うんこうひょう作成さくせいしたことで実用じつようてきとなった。しかしこの方法ほうほう観測かんそく時間じかんながようしたため、海上かいじょうではほとんど実用じつようてきではなく、海上かいじょう経度けいど正確せいかくかつ実用じつようてき測定そくていする方法ほうほう依然いぜんとしてられていなかった。

だい航海こうかい時代じだいむかえて航海こうかいえるにつれ、船舶せんぱく海上かいじょうでの正確せいかく位置いちとく経度けいど把握はあくできないためにおこる海難かいなん事故じこ深刻しんこく問題もんだいになった。スペイン継承けいしょう戦争せんそうでイギリス・フランス両国りょうこくたたかっていた1707ねん、フランス南部なんぶ港湾こうわん都市としトゥーロン攻撃こうげきトゥーロン包囲ほういせん)の帰途きとにあったイギリス海軍かいぐん提督ていとくクラウズリー・ショヴェルen)の艦隊かんたいは、きりのためシリー諸島しょとうおきで4せき座礁ざしょうし、1せんにん犠牲ぎせいしゃした。この事件じけんによって航海こうかい海上かいじょうでの正確せいかく位置いち測定そくてい、とりわけ経度けいど測定そくていほう確立かくりつ重要じゅうようせい認識にんしきがイギリス国内こくない喚起かんきされた[1]

制定せいてい 

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イギリス議会ぎかいアイザック・ニュートンエドモンド・ハレーらをメンバーとする経度けいど委員いいんかい設立せつりつし、測定そくていほう研究けんきゅうさせた。委員いいんかい海上かいじょうれのなかでもびょう単位たんい精度せいど確保かくほされる時計とけいがあればただしい経度けいど測定そくていできることをあきらかにしたが、当時とうじ時計とけい海上かいじょう正確せいかくとききざむことができるものはなく、実践じっせん不可能ふかのうであった。なお、正確せいかく時計とけいもちいた測定そくていほうは、船舶せんぱく出港しゅっこう母港ぼこう時間じかん時計とけいわせ、その時計とけい正午しょうごしたとき海上かいじょう太陽たいよう角度かくど測定そくていすることで経度けいどすというものである。

1714ねん議会ぎかいはイギリス - 西にしインド諸島しょとうあいだ航海こうかい経度けいど誤差ごさが1以内いない測定そくてい方法ほうほう発見はっけんしたもの懸賞けんしょうきんあたえる「経度けいどほう」(海上かいじょう経度けいど測定そくてい問題もんだい解決かいけつのための懸賞けんしょうあん)を制定せいていした。その内容ないようは、ふね位置いち経度けいどを1(60ふん以内いない誤差ごさ測定そくていすれば1まんポンド、40ふん以内いないなら1まん5せんポンド、30ふん(=1/2以内いないなら2まんポンドの懸賞けんしょうきんあたえるというものであった。

ジョン・ハリソン

委員いいんかい指摘してきした正確せいかく時計とけいによる測定そくていほかつき運行うんこうひょうによる測定そくていほうなどが研究けんきゅうされた。当時とうじこう精度せいど時計とけい研究けんきゅう開発かいはつつづけていた時計とけい職人しょくにんジョン・ハリソンは、時計とけい本体ほんたいのサイズがおおきめの懐中時計かいちゅうどけい程度ていどクロノメーター「H4」を1759ねん完成かんせいさせるなど、正確せいかく時計とけいによる測定そくてい貢献こうけんした。ハリソンが庶民しょみん出身しゅっしん学者がくしゃではなかったことから、委員いいんかい賞金しょうきん支払しはらいをしぶるなどの軋轢あつれきがあったが、最終さいしゅうてきにはジョージ3せい決断けつだん議会ぎかいによる調査ちょうさとうもあって、ハリソンに賞金しょうきん全額ぜんがく支払しはらわれることとなった。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 緯度いど測定そくていすることは、地平線ちへいせんからの北極星ほっきょくせい角度かくど緯度いどとほぼおなじであることがられていたため、海上かいじょうにおいても比較的ひかくてき容易よういであった。