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胃下垂いかすい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

胃下垂いかすい(いかすい、えい: gastroptosis)とは、正常せいじょう位置いちよりもしたまでがっている状態じょうたいのことをいう。通常つうじょうかくだい1腰椎ようついたかさに位置いちするが、かくがヤコビーせんよりもがっている状態じょうたいをいう。症状しょうじょうおも場合ばあいは、へそのあたりや骨盤こつばん位置いちまでむこともある。、そのものの位置いちわるわけではなく、上部じょうぶ正常せいじょう位置いちにあり、下部かぶびている状態じょうたいである[1][2]。「いかたる」ともしょうす(炎症えんしょうしめす「カタル」とはことなる)。

原因げんいん

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胃下垂いかすい様々さまざま要因よういんこるが、「ささえる筋肉きんにく脂肪しぼうすくないがた長身ちょうしんひと」がなりやすいとわれている。腹壁ふくへき緊張きんちょう変化へんかや、やせぎによるちょうかべ脂肪しぼう不足ふそくはらあつ減少げんしょう筋肉きんにく収縮しゅうしゅくなどふくあいてき要因よういんこるとかんがえられている。また、上述じょうじゅつのタイプのひと暴飲ぼういん暴食ぼうしょく過労かろう不安ふあんなどによるストレスがねとなり、での消化しょうかわるくなって食物しょくもつまりすぎてしまったためにこされることがおおい。その腹部ふくぶ手術しゅじゅつ出産しゅっさんなどをかえした場合ばあいむかしふとっていたが、なんらかの原因げんいんきゅうせてしまった場合ばあい長期ちょうき急激きゅうげき発育はついくをした場合ばあいなどもにもこりうる[1]

またぞくに「胃下垂いかすいべてもふとらない・せているひとおおい」とわれ、「胃下垂いかすいになるとせられる」という俗説ぞくせつもあるが「胃下垂いかすいだからせる」のではなく「せているから胃下垂いかすいになる」のである。なお、乳幼児にゅうようじのおなかがポッコリとているのも、胃下垂いかすいによってこされる現象げんしょうであるが、この胃下垂いかすい乳幼児にゅうようじ腹筋ふっきんよわさが原因げんいんであり、成長せいちょうによって腹筋ふっきん筋力きんりょく強化きょうかされるととも改善かいぜんされるので無理むり治療ちりょうする必要ひつようはない[よう出典しゅってん][2]

症状しょうじょう

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自覚じかく症状しょうじょうかるいものがおおいため、検査けんさけるまで胃下垂いかすいとはからない場合ばあいおおい。おも自覚じかく症状しょうじょうとしては、以下いかのものがげられる

  • はらったかんじやいたみ。膨満かん
  • 食後しょくご下腹部かふくぶふくれ。
  • 少食しょうしょくでの満腹まんぷくかん
  • 食後しょくごのむかつき。
  • 食欲しょくよく不振ふしん精神せいしん疲労ひろう
  • 、げっぷ。
  • 大便だいべん正常せいじょう

バリウムをんでのレントゲン検査けんさおこなうことによって簡単かんたん確認かくにんできる。また、外見がいけんじょう変化へんかとして、腹部ふくぶくぼんでいるのに下腹部かふくぶふくらむことがげられる。

は、胃液いえき分泌ぶんぴつするととも蠕動ぜんどう運動うんどうぜんどううんどうおこなうことで消化しょうか活動かつどうをしているが、胃下垂いかすいになったはこの蠕動ぜんどう運動うんどうよわくなっているか、もしくはまったく機能きのうしなくなっている。そのため、はいった食物しょくもつがうまく消化しょうかされない消化しょうか不良ふりょうになり、なか食物しょくもつまった状態じょうたいながつづく。ひどい胃下垂いかすいになってしまった場合ばあい、その消化しょうかりつ通常つうじょうくらべ、およそ1/3までがるとわれている。ただ、がっているだけでなん自覚じかく症状しょうじょうがない場合ばあい病気びょうきではない[2]

食物しょくもつながのこることによって膨満かんつづき、食欲しょくよく不振ふしんになることもある。また、栄養えいよう十分じゅうぶん吸収きゅうしゅうできなくなり、かる症状しょうじょうとしては肌荒はだあれや便秘べんぴなど、さまざまなところに異常いじょうおそれがある。なにとか内容ないようぶつ消化しょうかしようと胃酸いさん大量たいりょう分泌ぶんぴつするようになるために胃酸いさん過多かたとなり、胃炎いえん胃潰瘍いかいようこす危険きけんせいたかくなる[2]

さらに、脂肪しぼう筋肉きんにくうす下腹かふくがることでやされるため、これに影響えいきょうされて全身ぜんしんしょうになる。子宮しきゅう前立腺ぜんりつせんやされ、にん尿にょうにくくもなる。また、下腹かふくることでからだ重心じゅうしんくずれてがるなど、姿勢しせいわるくなっていく。

治療ちりょう

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初期しょき段階だんかい症状しょうじょうかる場合ばあいは、基本きほんてき治療ちりょう必要ひつようない。規則正きそくただしい生活せいかつおこない、適度てきど運動うんどう、バランスのとれた食事しょくじ精神せいしんてきなリラックスをすることで健全けんぜん生活せいかつたもたれる。腹筋ふっきんきたえ、適度てきど脂肪しぼうけることでげられ、正常せいじょうになる場合ばあいがある[2]

症状しょうじょうおも場合ばあいは、薬物やくぶつ療法りょうほうなどの対処たいしょられ、胃腸いちょう機能きのう調整ちょうせいやく消化しょうか酵素こうそざい投与とうよされる。さらにひどい場合ばあいには吊上つるしあ手術しゅじゅつおこなわれる場合ばあいもあり、その場合ばあいはほぼ一回いっかい完治かんじするが、最近さいきんでは手術しゅじゅつおこなっている病院びょういんはほとんどない。

ちゅう医学いがく

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西洋せいよう医学いがくでは胃下垂いかすい病気びょうきとしてあつかわれない場合ばあいおおいのにし、ちゅう医学いがくではむかしより、中気ちゅうき不足ふそく中気ちゅうきおちいあかしとしてあつか本格ほんかくてき治療ちりょう方法ほうほう確立かくりつされている。おぎなえ中益なかます処方しょほう日常にちじょうてき自分じぶん自身じしんでできるリハビリで完治かんじするれい数多かずおお報告ほうこくされている[3]

合併症がっぺいしょう

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アトニー

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胃壁いへき筋肉きんにく緊張きんちょう低下ていかし、はたらきがにぶくなる状態じょうたいアトニーう。胃下垂いかすい機能きのう低下ていかさせるため、胃下垂いかすいひとアトニーを併発へいはつすることがおおい。アトニーになれば、機能きのう低下ていかがさらに促進そくしんされてしまうこととなる。こうなると治療ちりょう必要ひつようがある。

脚注きゃくちゅう

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