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脱臼だっきゅう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
みぎだい2ゆびきんゆびぶしあいだ関節かんせつ発生はっせいした外傷がいしょうせい脱臼だっきゅう

脱臼だっきゅう(だっきゅう、dislocation, luxation)とは、関節かんせつ構成こうせいするほね同士どうし関節かんせつめんただしい位置いち関係かんけいうしなっている状態じょうたい程度ていどにより完全かんぜん脱臼だっきゅう不完全ふかんぜん脱臼だっきゅう脱臼だっきゅう)に分類ぶんるいされる。 靭帯じんたい軟骨なんこつほね損傷そんしょうけるため、ほねただしい位置いちもどしただけではなおらず、ギプスでの固定こてい手術しゅじゅつ必要ひつようで、後遺症こういしょうのこ可能かのうせいもある。

概要がいよう

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関節かんせつ一般いっぱんてき構造こうぞう水色みずいろ関節かんせつ軟骨なんこつ赤色あかいろ関節かんせつつつ関節かんせつつつみ

関節かんせつとはほねほね連結れんけつ部分ぶぶんであり、ほねほねかいっているめんがある(みぎでは水色みずいろ部分ぶぶん)。このめん位置いち関係かんけい本来ほんらい状態じょうたいからずれた状態じょうたい脱臼だっきゅうぶ。 外力がいりょくにより発生はっせいするほか、病的びょうてき原因げんいんこるケースがある(原因げんいんによる分類ぶんるい)。

脱臼だっきゅう症状しょうじょうのうち、脱臼だっきゅう固有こゆう症状しょうじょうにはたまはつせい固定こてい関節かんせつ変形へんけいがある。また、一般いっぱん外傷がいしょう症状しょうじょう脱臼だっきゅう固有こゆうではない症状しょうじょう)として疼痛とうつう腫脹しゅちょう機能きのう障害しょうがいがあげられる(#症状しょうじょう)。 脱臼だっきゅう見落みおとされるなどして長期間ちょうきかん放置ほうちされると、徒手としゅ整復せいふく困難こんなんとなるため、早期そうき治療ちりょうおこなうことが大切たいせつである。 脱臼だっきゅう発生はっせい頻度ひんど青壮年せいそうねんたかく、小児しょうに高齢こうれいしゃでは比較的ひかくてきすくない。これは、小児しょうに高齢こうれいしゃでは外力がいりょくはたらいた場合ばあい脱臼だっきゅうではなく骨折こっせつこすためとかんがえられている。

なお、関節かんせつ損傷そんしょうしめ言葉ことばのひとつに捻挫ねんざがあるが、これは関節かんせつつつみ靭帯じんたい損傷そんしょう用語ようごであり、ほね位置いち関係かんけい異常いじょうすものではない。

分類ぶんるい

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脱臼だっきゅう様々さまざま観点かんてんから分類ぶんるいすることができる。

程度ていどによる分類ぶんるい
  1. 完全かんぜん脱臼だっきゅう(complete dislocation)
    ほね同士どうし関節かんせつめん完全かんぜんにずれ、接触せっしょくがない。
  2. 不完全ふかんぜん脱臼だっきゅうまたは脱臼だっきゅう(incomplete dislocation)
    関節かんせつめん部分ぶぶんてき接触せっしょくのこっている。
原因げんいんによる分類ぶんるい
  1. 外傷がいしょうせい脱臼だっきゅう(traumatic dislocation)
    外力がいりょくにより、関節かんせつ生理せいりてき範囲はんいをこえる運動うんどう強制きょうせいされて発生はっせいする。ほとんどの場合ばあいほね一方いっぽう関節かんせつつつみやぶって関節かんせつそとるが、あご関節かんせつ脱臼だっきゅう股関節こかんせつ中心ちゅうしんせい脱臼だっきゅう(大腿だいたいこつあたまひろしほねうすやぶる)では、関節かんせつつつみやぶらない。
  2. 病的びょうてき脱臼だっきゅう(pathologic dislocation)
    もともと靭帯じんたい関節かんせつつつみ病的びょうてき変化へんかがあり、わずかな外力がいりょくあるいは外力がいりょくなしに発生はっせいする。
    • 麻痺まひ脱臼だっきゅう
      関節かんせつ関与かんよするすじ麻痺まひし、関節かんせつ固定こていするすじ靭帯じんたい関節かんせつつつみびがしょうじて脱臼だっきゅういたる。たとえば、のう血管けっかん障害しょうがいによるかた麻痺まひによりかた関節かんせつ脱臼だっきゅうしょうじるケースがある。
    • 拡張かくちょうせい脱臼だっきゅう
      関節かんせつ炎症えんしょうをおこし関節かんせつない滲出しんしゅつぶつ多量たりょうまり、関節かんせつつつみひろがって脱臼だっきゅういたる。
    • 破壊はかいせい脱臼だっきゅう
      ほね関節かんせつめん関節かんせつつつみ破壊はかいされて脱臼だっきゅういたる。関節かんせつリウマチによる手指しゅし脱臼だっきゅうなどがこれに該当がいとうする。
関節かんせつめん相対そうたい位置いちによる分類ぶんるい
きん関節かんせつめんたいするとおくらい関節かんせつめん位置いち分類ぶんるいする。
  • きん関節かんせつめんたいしてとおくらい関節かんせつめん前方ぜんぽう転位てんいした場合ばあい前方ぜんぽう脱臼だっきゅう後方こうほう転位てんいした場合ばあい後方こうほう脱臼だっきゅう上方かみがた転位てんいした場合ばあい上方かみがた脱臼だっきゅう下方かほう転位てんいした場合ばあい下方かほう脱臼だっきゅうぶ。
  • きん関節かんせつめんたいしてとおくらい関節かんせつめんがわかた転位てんいした場合ばあいは、がわかた脱臼だっきゅうぶ。これはさらに内側うちがわ脱臼だっきゅう外側そとがわ脱臼だっきゅう細分さいぶんされる。とおくらい関節かんせつめん正中せいちゅうめん方向ほうこう転位てんいした場合ばあい内側うちがわ脱臼だっきゅう正中せいちゅうめんからとおざかる方向ほうこう転位てんいした場合ばあい外側そとがわ脱臼だっきゅうである。
  • 大腿だいたいこつあたまひろしほねうす窩を破壊はかいしてなかはいんだ場合ばあいは、中心ちゅうしんせい脱臼だっきゅうあるいは内方ないほう脱臼だっきゅうぶ。
時期じきによる分類ぶんるい
  1. 先天せんてんせい脱臼だっきゅう(congenital dislocation)
    先天的せんてんてき発育はついく不全ふぜんによりこる。
  2. 後天こうてんせい脱臼だっきゅう(acquired dislocation)
    出生しゅっしょう外力がいりょく病気びょうきによりこる。

症状しょうじょう

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脱臼だっきゅう固有こゆう症状しょうじょう
  • たまはつせい固定こてい(たまはつせい抵抗ていこう)
    患部かんぶたいして他動的たどうてき運動うんどうこころみると、弾力だんりょくのある抵抗ていこうみとめられる。ある程度ていどうごくが、ちからゆるめるともとにもどる。
  • 関節かんせつ変形へんけい
一般いっぱん外傷がいしょう症状しょうじょう(脱臼だっきゅう固有こゆうではない症状しょうじょう)
  • 疼痛とうつう
  • 腫脹しゅちょう
  • 関節かんせつ血腫けっしゅ
  • 機能きのう障害しょうがい

治療ちりょう

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脱臼だっきゅうおちい場所ばしょ多用たようされる関節かんせつかぎらず、ほねほねつな場所ばしょならば何処どこでもこりる。脱臼だっきゅう症状しょうじょうに、関節かんせついたみや腫脹しゅちょう関節かんせつ変形へんけい関節かんせつじくにそのさき部位ぶい正常せいじょううごかすこと出来できない、脱臼だっきゅうをした部位ぶいみじかくなっている、ひとし症状しょうじょうがある場合ばあい脱臼だっきゅうこっているおそれがある。脱臼だっきゅう一刻いっこくはやもともどこと大切たいせつであり、おそくとも8時間じかん以内いない整復せいふくおこなうべきである。あまりおくれると、全身ぜんしん麻酔ますい手術しゅじゅつ必要ひつようとなることもある。

人体じんたいには自己じこ修復しゅうふく機能きのうがあり、また素人しろうと治療ちりょうほどこされることがあるが、脱臼だっきゅう整復せいふくには原則げんそくとして専門せんもん必要ひつようとする。素人しろうと治療ちりょうのあげく、正確せいかくてい位置いち復元ふくげんされていない状態じょうたい長時間ちょうじかんってしまうと、関節かんせつ変形へんけいした状態じょうたい固定こていされてしまい、将来しょうらいいたみや炎症えんしょう原因げんいんともなりうる。

整復せいふくには固定こてい必要ひつようであり、関節かんせつ回復かいふくおそくおよそ6~9ヶ月かげつかかることからも根気こんき時間じかんをかけ修復しゅうふくする必要ひつようがあるが、かた関節かんせつあご関節かんせつ日常にちじょう使つか部位ぶいであり、長期ちょうき固定こていむずかしいこともあり脱臼だっきゅう習慣しゅうかんすることおおい。

自分じぶん整復せいふくできた場合ばあいでも専門せんもん医療いりょう機関きかんでの受診じゅしん必須ひっすである。関節かんせつない損傷そんしょうじょうきょうにより固定こていリハビリテーション加療かりょう必要ひつようとなる。 とくに、靭帯じんたいなどや周辺しゅうへん筋肉きんにく損傷そんしょう骨折こっせつ神経しんけい組織そしき圧迫あっぱくしている場合ばあいもあるので、素人しろうと判断はんだん禁物きんもつである。

反復はんぷくせい習慣しゅうかんせい脱臼だっきゅう

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外傷がいしょうせい脱臼だっきゅうこしたあとに、軽微けいびちから脱臼だっきゅうかえすことがあり、これを反復はんぷくせい脱臼だっきゅうぶ。治療ちりょう中断ちゅうだんして固定こてい期間きかん不足ふそくした場合ばあいけん付着ふちゃく部位ぶい剥離はくり骨折こっせつしている場合ばあいなどに発生はっせいする。かた関節かんせつあご関節かんせつ発生はっせいしやすい。また、あきらかな外傷がいしょうがないにもかかわらず軽微けいびちから脱臼だっきゅうかえすものを習慣しゅうかんせい脱臼だっきゅうぶ。関節かんせつ弛緩しかんなど素因そいんがある場合ばあい発生はっせいすることがある。

部位ぶいべつ頻度ひんど

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  • いちかた関節かんせつ前方ぜんぽう脱臼だっきゅう
  • ひじ関節かんせつ後方こうほう脱臼だっきゅう
  • さんあご関節かんせつ前方ぜんぽう脱臼だっきゅう
  • よんかたくさり関節かんせつ上方かみがた脱臼だっきゅう
  • だい一中手指節関節背側脱臼

けん脱臼だっきゅう

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けんほねみぞ固定こていするすじささえたいもしくは靭帯じんたい損傷そんしょうされ、けん本来ほんらい位置いちからすべ状態じょうたいけん脱臼だっきゅうえい:dislocation of the tendon、どく:Sehnenluxation)という。腓骨ひこつすじけん上腕じょうわんとうすじちょうあたまけんこることがおおいが、まれにこう脛骨けいこつすじけんにもられる。腓骨ひこつすじけんこる症例しょうれいではちょう腓骨ひこつすじけんのみのものがおおく、整復せいふく容易よういであるがさい脱臼だっきゅうこしやすい。脱臼だっきゅう発生はっせいにはたまはつ同時どうじ疼痛とうつうこる。ほとんどの場合ばあい外傷がいしょうせいだが、けんとおみぞあさいことも素因そいんになる場合ばあいがある。いずれも反復はんぷくせいになるため、手術しゅじゅつようする。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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