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自由じゆうけい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

自由じゆうけい(じゆうけい)は、刑罰けいばつ一種いっしゅで、けい様態ようたいでの分類ぶんるいしめす。受刑じゅけいしゃ身体しんたい拘束こうそくすることで自由じゆううばうものをいう。自由じゆうけい以外いがい刑罰けいばつ種類しゅるいとして、生命せいめいけい身体しんたいけい財産ざいさんけい名誉めいよけいがある。

日本にっぽん現行げんこう刑法けいほうでは、自由じゆうけいとして、懲役ちょうえき禁錮きんこ拘留こうりゅうさだめられている。

自由じゆうけいには自由じゆうという言葉ことばふくまれるがたん本稿ほんこうしめす「自由じゆううば刑罰けいばつ」をしめ用語ようごであり、自由じゆうから連想れんそうされる様々さまざま事柄ことがらたとえば受刑じゅけいしゃきな刑罰けいばつ自由じゆうえらべるものなど)の上位じょうい概念がいねんしめすものではない。

歴史れきし

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中世ちゅうせい以前いぜんにもガレーせんしゅ城塞じょうさい建築けんちくなど、自由じゆう剥奪はくだつ強制きょうせい労働ろうどうさせる刑罰けいばつ存在そんざいしたが、その性格せいかく過酷かこくさから身体しんたいけいふくまれるべきものだった[1]今日きょうてき自由じゆうけいは、しゅとして近世きんせい以降いこう(18世紀せいき以降いこう)に多用たようされるようになった刑罰けいばつである。これは人道じんどう主義しゅぎ台頭たいとうによって「死刑しけい」「身体しんたいけい」が過酷かこくなものであり、抑制よくせいされるべきとかんがえられるようになってきたこと、期間きかん選択せんたくすることによって比較的ひかくてき容易よういばっ軽重けいちょうをつけられるという利便りべんせい注目ちゅうもくされたこと、産業さんぎょう革命かくめいなどにともな産業さんぎょう構造こうぞう変化へんかから受刑じゅけいしゃ工場こうじょう労働ろうどうりょくとして使つかみちけたこと、などの相乗そうじょうてき理由りゆうによるものとかんがえられている。 また、当時とうじ司法しほう立証りっしょう理論りろん限界げんかいにより、自白じはくがなく状況じょうきょう証拠しょうこだけで結審けっしんしなければならない場合ばあい解決かいけつさくとして、しばしば自由じゆうけい選択せんたくされた[1]

分類ぶんるい

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期間きかんによる分類ぶんるい

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自由じゆうけいは、期間きかんによって有期ゆうきけい無期むきけい終身しゅうしんけい)・不定期ふていきけい分類ぶんるいできる。有期ゆうきけいは、期間きかんさだめて自由じゆう剥奪はくだつするもの、無期むきけい終身しゅうしんけい)は(原則げんそくとして)ぬまで刑期けいき終了しゅうりょうしないもの、不定期ふていきけい期間きかんさだめないもの(たとえば、一定いってい改善かいぜんられた場合ばあいけい終了しゅうりょうする、など)。

様態ようたいによる分類ぶんるい

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自由じゆうけいは、様態ようたいによっても分類ぶんるいできる。日本にっぽんには現在げんざい刑務所けいむしょうちでの労働ろうどう義務付ぎむづけられた「懲役ちょうえき」と、労働ろうどう義務付ぎむづけられていない「禁錮きんこ」の2種類しゅるいがある。

地理ちりてき歴史れきしてきには、さらに様々さまざま類型るいけいがある。たとえば、過去かこ流刑りゅうけい所払ところばらも、自由じゆうけい一種いっしゅとされる場合ばあいがある。流刑りゅうけいは、一定いってい地域ちいきさだめその地域ちいきからることはゆるさないとするもの(地域ちいきないでは一定いってい自治じちみとめられ、普通ふつう労働ろうどうして生計せいけいてることとされていた)、所払ところばらいは一定いってい地域ちいきさだめそこにることをきんじるものである。ただし、これらは自由じゆう剥奪はくだつすることを目的もくてきとしたものではなく、犯罪はんざいしゃをコミュニティから追放ついほうすることを目的もくてきとしたものであり、現代げんだいてき自由じゆうけいとは発想はっそうことなる。

現代げんだいでは、懲罰ちょうばつてき処遇しょぐう重視じゅうしする運用うんようのほか、移動いどう自由じゆううばうという自由じゆうけい基本きほん厳密げんみつまもり「そとられない」だけで普通ふつう生活せいかつができるような運用うんようや、土日どにちのみ収監しゅうかんなどの間欠かんけつてき自由じゆう剥奪はくだつなどの弾力だんりょくてき運用うんようなどもこころみられている。

自由じゆうけい効果こうか

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  • 犯罪はんざいしゃ社会しゃかいから隔離かくりする(隔離かくりちゅう再犯さいはん可能かのうせい抑制よくせいできる。ただし有期ゆうき懲役ちょうえき場合ばあい釈放しゃくほうされたもと受刑じゅけいしゃがかつての被害ひがいしゃ再度さいど襲撃しゅうげきする礼参れいまい)などの問題もんだいてんのこる)。

しかし実際じっさいには社会しゃかいからというよりもなかからの隔離かくりへと変化へんかしてきている。

  • 身体しんたい自由じゆううばうという苦痛くつうあたえることで処罰しょばつとすると同時どうじに、労働ろうどうす・規律きりつきびしい生活せいかつおくらせることによって再犯さいはん予防よぼうはかっている。
  • 刑務所けいむしょこわいイメージや受刑じゅけいしゃに「前科ぜんかしゃ」のレッテルがられることの恐怖きょうふかんあたえることによって、社会しゃかいたいしてつみおかさないようにびかける一般いっぱん予防よぼう効果こうかもある。
  • 薬物やくぶつ常習じょうしゅうおちいって逮捕たいほされたもの場合ばあい収監しゅうかんちゅう薬物やくぶつ摂取せっしゅできないため軽度けいど場合ばあい回復かいふくするれいもある。

自由じゆうけい問題もんだいてん

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  • 刑罰けいばつとはいえ最低限さいていげん衣食住いしょくじゅう保障ほしょうされており、虫歯むしば治療ちりょうけずめるなどの治療ちりょうおこなえず抜歯ばっしのみ[よう出典しゅってん])や眼鏡めがね製作せいさくといった医療いりょう行為こうい受診じゅしんしゅうに2日程にっていめられており指定してい曜日ようび以外いがい受診じゅしんできない。ただ緊急きんきゅうには外部がいぶ医療いりょう施設しせつ医療いりょう行為こういけられる場合ばあいもある。また投薬とうやく必要ひつよう最低さいてい限度げんどでありかならずしも満足まんぞくのいく医療いりょう行為こういけられるわけではない)もけられるため、かえって一般いっぱん社会しゃかいらすよりもらくかんじるひとすらいる(困窮こんきゅうしてつみおかしたもの場合ばあい生活せいかつ水準すいじゅん向上こうじょうすることはままある)ため、二度にどつみおかさせない特別とくべつ予防よぼう効果こうか発揮はっきされない場合ばあいがある。この傾向けいこうとく発展はってん途上とじょうこく出身しゅっしん外国がいこくじん犯罪はんざいしゃ目立めだち、日本にっぽんつみおかしても(出身しゅっしんこく市民しみん社会しゃかいより生活せいかつ水準すいじゅんたか拷問ごうもんなどをけるおそれもない)日本にっぽん刑務所けいむしょれられるだけだからこわくない」と広言こうげんした犯罪はんざいしゃもいたとわれている[だれによって?]
  • 服役ふくえきれきながさが職業しょくぎょうてき犯罪はんざいしゃにとって「勲章くんしょう」となったり、受刑じゅけいしゃ同士どうし犯罪はんざい方法ほうほうおしったりするなど、かえって犯罪はんざい助長じょちょうする局面きょくめんがある。
  • 老人ろうじんなど生活せいかつりょくとぼしい人々ひとびと軽微けいび詐欺さぎ窃盗せっとうかえして刑務所けいむしょ生活せいかつながくなり社会しゃかい復帰ふっき困難こんなんになっている事例じれい増加ぞうかしている。類似るいじ問題もんだいとして、都市とし浮浪ふろうしゃ冬季とうき起居ききょする場所ばしょ食事しょくじ確保かくほすることを、出所しゅっしょしてものないもと受刑じゅけいしゃ収監しゅうかんされることを目的もくてき故意こい実害じつがいのほとんどないけいざい微罪びざい処分しょぶん相当そうとうけいつみおかしたと自首じしゅして逮捕たいほ希望きぼうした浮浪ふろうしゃもいたとわれる)をおかして逮捕たいほされ、刑務所けいむしょにゅうろうとするというケースもられる。しかしこの場合ばあい一時いちじてき生活せいかつ環境かんきょう向上こうじょうさせるためにおかせれきかさね、おおくの前科ぜんか犯罪はんざいしゃということで一般いっぱん生活せいかつもどることが困難こんなんになる。確実かくじつ逮捕たいほされようとして傷害しょうがい放火ほうかなどの重罪じゅうざいおかし、おおきな人的じんてき経済けいざいてき被害ひがいれいもあり(代表だいひょうてきなケースとしては下関しものせきえき放火ほうか事件じけんげられる[2][3])、社会しゃかい問題もんだいとなっている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b ウーヴェ・ダンカー 2005, pp. 297–301.
  2. ^ 山本やまもとゆずる累犯るいはん障害しょうがいしゃ新潮しんちょう文庫ぶんこ、2009ねん3がつ30にち[ようページ番号ばんごう]ぺーじISBN 978-4-10-133872-9 
  3. ^ “84さい もう刑務所けいむしょには… 下関しものせきえき放火ほうか事件じけんから10ねん 累犯るいはん障害しょうがいしゃ男性だんせい 人生じんせい半分はんぶん服役ふくえき 司法しほう福祉ふくし連携れんけい 出所しゅっしょフォロー”. 西日本にしにほん新聞しんぶん (西日本新聞社にしにっぽんしんぶんしゃ). (2016ねん9がつ18にち). https://www.nishinippon.co.jp/feature/attention/article/284176/ 2018ねん2がつ2にち閲覧えつらん 

参考さんこう文献ぶんけん

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