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こけるい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
こけるい
Haeckelのイラスト
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 陸上りくじょう植物しょくぶつ Embryophyta
もん : こけ植物しょくぶつもんHepatophytaもしくは
ゼニゴケ植物しょくぶつもん Marchantiophyta
下位かい分類ぶんるい
  • 本文ほんぶん参照さんしょう

こけるい(たいるい、学名がくめいMarchantiophyta)は、コケ植物しょくぶつこけのうちゆうはい植物しょくぶつぞくするグループ)にぞくするおおきな一群いちぐんである。コケ植物しょくぶつには、こけるいのほかに蘚類(せんるい)、ツノゴケるいがあり、それぞれがたん系統けいとうぐんである。こけるいではゼニゴケジャゴケ有名ゆうめいであるが、これらはかならずしもこけるい典型てんけいではなく、より多様たよう姿すがたのものがふくまれる。

概要がいよう

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こけるいは、コケ植物しょくぶつ一群いちぐんで、コケ植物しょくぶつなかでは蘚類ならおおきなグループである。もっと有名ゆうめいなのは、ゼニゴケジャゴケであろう。これらは、蘚類のおおくがそう子葉しよう植物しょくぶつくきちいさくしたようなかたち、つまり茎葉けいようたい(けいようたい)であるのにたいして、そのような区別くべつのない、葉状ようじょうたい(ようじょうたい)である。しかし、ほかのおおくのこけるいは蘚類と同様どうよう茎葉けいようたいである。

茎葉けいようたい場合ばあい、蘚類との区別くべつてんは、こけるいのものは、おおきくけ、はらめんがわ背面はいめんがわきれへん区別くべつできること、ちゅうあばらがないことである。ただし、例外れいがいおおく、区別くべつむずかしい場合ばあいもある。

また、蘚類のおおくでは、さく胞子ほうしのう)が丈夫じょうぶで、ながあいだ観察かんさつできるのにたいして、こけるいのそれはごく一時いちじてきで、すぐにこわれてしまう。ゼニゴケるいではキノコかさのような胞子ほうし形成けいせいつくるが、これは配偶はいぐうたいつくるもので、胞子ほうしたいはそのかさ裏面りめんちいさくかおすだけである。

形態けいたい

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茎葉けいようたいのものと葉状ようじょうたいになるものがある。たねすうとしては前者ぜんしゃほうがはるかにおおい。

茎葉けいようたいのものは、おおくは匍匐ほふくする。蘚類のほそくとがったものがおおいが、こけるいのものはたいていまるい。は3れつならぶが、そのうち2れつとく発達はったつする。発達はったつした左右さゆうにほぼ平面へいめんならんでおり、がわばれる。がわは、たいていおおきくけて、背面はいめんがわはらめんがわおおきさにがある。どちらかがちいさくなって、もう1ぽう基部きぶたたまれるようにかさなっているれいおおい。これらの形質けいしつは、分類ぶんるいじょう重要じゅうよう特徴とくちょうである。発達はったつしない1れつは、がわあいだくきうえならんでおり、はらとよばれるが、退化たいかしてなくなっているものもある。茎葉けいようたいにもほぼ直立ちょくりつするものもあるが、これらの特徴とくちょう大体だいたい保持ほじされている。

葉状ようじょうたいのものは、すべて匍匐ほふくしている。区別くべつできるはなく、植物しょくぶつたい全体ぜんたいひらべったく、はばせまいリボンじょうで、先端せんたん枝分えだわかれしながらびる。あまりびずに枝分えだわかれすれば、円盤えんばんじょうになる場合ばあいもある。枝分えだわかれはほとんどの場合ばあい、2またぶんえだである。外見がいけんじょう区別くべつできる構造こうぞうはないものがおおいが、一部いちぶには主軸しゅじくちゅうあばらのようなかんじで区別くべつできるものがある。

生殖せいしょく器官きかんくき先端せんたんあいだなどにしょうじ、つとつつまれる。みやつこたまごは、さらにはなかこまれてしょうじる。胞子ほうしのうであるさくは、このなか成熟せいじゅくし、そのきゅうばし、胞子ほうし放出ほうしゅつする。さくはたいていが球形きゅうけい楕円だえんがたくろくなり、先端せんたんがわからおおきく4つにけるものがおおい。さくのなかには胞子ほうしとともにたまいと(だんし)という糸状いとじょう細胞さいぼう多数たすうある。このたまいと内部ないぶにバネじょう構造こうぞうがあり、乾燥かんそうするとちぢみして胞子ほうしばす役割やくわりをする。

みやつこたまごくき先端せんたんあいだつくられる場合ばあい、さくはしろくてやわらかいさくがらばしてその先端せんたんにつく。ゼニゴケるいでは、植物しょくぶつたいからキノコのようなかさじょう構造こうぞうばし、そのかさ下面かめん生殖せいしょく器官きかんをつける。これをゆうたくめすたくとよぶ。さくはめすたくかさしたかおす。さくは成熟せいじゅくしてはじめて姿すがたせ、胞子ほうし放出ほうしゅつはすぐに分解ぶんかいするので、観察かんさつする機会きかいすくないのが普通ふつうである。

簡単かんたん見分みわかた

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生活せいかつたまき

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コケ植物しょくぶつ一般いっぱんおなじく、かくしょう変化へんかともな世代せだい交代こうたいおこなう。植物しょくぶつたい配偶はいぐうたいである。みやつこたまごなか受精じゅせいおこなわれると、受精卵じゅせいらん発生はっせいはじめ、さくが形成けいせいされる。さくの発達はったつみやつこたまご内部ないぶおこなわれ、みやつこたまごかべ発達はったつしてカリプトラとばれる構造こうぞうとなる。さくの内部ないぶでは減数げんすう分裂ぶんれつおこなわれ、たんしょう胞子ほうし形成けいせいされる。なお、たまいとふくしょうである。

胞子ほうし発芽はつがすると、はらいとたいしょうじる。こけるいげんいとたいは、糸状いとじょうおおきく発達はったつすることはなく、たいていは塊状かいじょうでそのうえ植物しょくぶつたいしょうじ、ながのこることはない。

生育せいいく環境かんきょう

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コケ植物しょくぶつ一般いっぱんとほぼ共通きょうつうである。温暖おんだん多湿たしつ環境かんきょうこのみ、地上ちじょうせいいわうえ樹皮じゅひじょうえだうえなど、さまざまな環境かんきょう生育せいいくするたねがある。蘚類にはあまりられないものとしては、高等こうとう植物しょくぶつ表面ひょうめん生育せいいくする、ヨウジョウゴケというものがある。その性格せいかくじょう落葉樹らくようじゅにはつかない。

また、完全かんぜん水中すいちゅう生活せいかつ水草みずくさになったものもある。ウキゴケるいは沈水せいで、イチョウウキゴケはウキクサ同様どうよう浮遊ふゆうせい水草みずくさである。

利用りよう

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コケ植物しょくぶつ一般いっぱん同様どうよう庭園ていえん緑化りょくかもちいられる程度ていどであるが、かたちちいさいものがおおく、とくめられ、重視じゅうしされることはすくない。よく目立めだつゼニゴケるいは、にわにも出現しゅつげんするが、その姿すがた可愛かあいげがないといって、むしろ敬遠けいえんされる場合ばあいがある。

分類ぶんるい

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植物しょくぶつ分類ぶんるいには、近年きんねんDNA解析かいせきなどのあたらしい手法しゅほうれられ、コケ植物しょくぶつ分類ぶんるい従来じゅうらいのものからその枠組わくぐみがわってきている。それまでは、コケ植物しょくぶつもんとしてひとつにまとめられていたが、これががわ系統けいとうぐんであることが明確めいかくになってきたことから、その下位かいかくたん系統けいとうぐんもんへと昇格しょうかくさせる分類ぶんるい体系たいけい提唱ていしょうされてきている。wikipediaかく言語げんごばんでも、おおくがこのかんがえを採用さいようしている。下記かきに、系統けいとう分類ぶんるい伝統でんとうてき分類ぶんるい両方りょうほう掲載けいさいする。
こけるい世界せかいやく330ぞく、8000しゅ日本にっぽんではやく130ぞく、620しゅられている。

ゼニゴケ植物しょくぶつもん[1] Marchantiophytaこけるい

伝統でんとうてき分類ぶんるい

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伝統でんとうてき分類ぶんるいでは、コケ植物しょくぶつはコケ植物しょくぶつもんとし、その下位かいに、蘚綱、こけつな、ツノゴケつなく。こけつなおおきく2つのつなけられる。ウロコゴケつなほう種類しゅるいおおいが、ゼニゴケつなほう目立めだつものがおおい。それぞれにおおくのがある。代表だいひょうてきなものだけをしめす。

ウロコゴケつな

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植物しょくぶつたい茎葉けいようからだまたは葉状ようじょうたい生殖せいしょくくき先端せんたんあいだしょうじ、さくはばしてそのさきにつく。日本にっぽんでは3もくやく580しゅがある。

ゼニゴケつな

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植物しょくぶつたい葉状ようじょうたい分化ぶんかしためすたく形成けいせいする。さくはみじかいか、ない。日本にっぽんに1もくやく40しゅさんする。

出典しゅってん

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  1. ^ 石井いしい龍一りゅういち岩槻いわつき邦男くにおとうへん植物しょくぶつ百科ひゃっか事典じてん』(朝倉書店あさくらしょてん)から引用いんようISBN 978-4-254-17137-2 C3545

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 岩月いわつき善之助ぜんのすけへん日本にっぽん野生やせい植物しょくぶつ コケ』(2001)平凡社へいぼんしゃ