董ただし康やすし

董ただし康やすし
	1940年ねん前後ぜんこう
プロフィール
出生しゅっしょう：	1867年ねん4月がつ26日にち; （清きよし同どう治ち6年ねん3月がつ22日にち）
死去しきょ：	1947年ねん（民みん国こく36年ねん）; 中華民国ちゅうかみんこく北平きたひら市し
出身しゅっしん地ち：	清きよし江蘇ちぁんすー省しょう常つね州しゅう府ふ武たけ進すすむ県けん
職業しょくぎょう：	政治せいじ家か・法学ほうがく者しゃ
各種かくしゅ表記ひょうき
繁体字はんたいじ：	董ただし康やすし
簡体字かんたいじ：	董ただし康やすし
拼音：	Dǒng Kāng
ラテン字じ：	Tung K'ang
和名わみょう表記ひょうき：	とうこう
発音はつおん転記てんき：	ドンカン
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董ただし康やすし（とうこう）は中華民国ちゅうかみんこくの政治せいじ家か・法学ほうがく者しゃ。北京ぺきん政府せいふの要人ようじん。後のちに中華民国ちゅうかみんこく臨時りんじ政府せいふ、南京なんきん国民こくみん政府せいふ（汪ひろし兆ちょう銘めい政権せいけん）にも参加さんかした。旧名きゅうめいは寿ことぶき金きん。字じは授経。号ごうは誦芬主人しゅじん。

事績じせき

北京ぺきん政府せいふでの活動かつどう

22歳さいで挙きょ人じん、1890年ねん（光ひかり緒いとぐち16年ねん）に進士しんしとなり、刑部おさかべ主事しゅじを授さずかった。以後いご、刑部おさかべで各かく職しょくを歴任れきにんしている。1902年ねん（光ひかり緒いとぐち28年ねん）からは、法律ほうりつ館かん提ひさげ調ちょう兼けん京師けいし法律ほうりつ学堂がくどう教務きょうむ提ひさげ調ちょう、憲政けんせい編へん査館科か員いん、大だい理り院いん刑けい庭にわ推事、大だい理り院いん推丞等とうを歴任れきにんした。この間あいだに、憲法けんぽう大綱たいこうを編纂へんさんし、1908年ねん（光ひかり緒いとぐち34年ねん）、清朝せいちょうにより試行しこうされている。1911年ねん（宣せん統みつる3年ねん）、辛からし亥い革命かくめいが勃発ぼっぱつすると、日本にっぽんへ留学りゅうがくし、法律ほうりつを専攻せんこうした。

1914年ねん（民みん国こく3年ねん）2月がつに帰国きこくし、署しょ理大りだい理り院いん院長いんちょうに任命にんめいされた。5月、法律ほうりつ編へん査会副ふく会長かいちょう兼けん中央ちゅうおう文官ぶんかん高等こうとう懲戒ちょうかい委員いいん会かい委員いいん長ちょうとなる。8月、正式せいしきに大だい理り院いん院長いんちょうに任命にんめいされた。1915年ねん（民みん国こく4年ねん）、法典ほうてん編纂へんさん会かい副ふく会長かいちょうを兼任けんにんする。11月には、全国ぜんこく選挙せんきょ資格しかく審査しんさ会かい会長かいちょうとなる。1917年ねん（民みん国こく6年ねん）11月、大だい理り院いん地方ちほう捕獲ほかく審しん検けん庁ちょう庁ちょう長ちょうを兼任けんにんした。翌年よくねん7月がつ、王おう寵ちょう恵めぐみとともに、修訂しゅうてい法律ほうりつ館かん総裁そうさいに任命にんめいされた。

1920年ねん（民みん国こく9年ねん）8月がつ、董ただし康やすしは靳雲鵬おおとり内閣ないかくにおいて司法しほう総長そうちょうに任命にんめいされた。この間あいだに、司法官しほうかんの綱紀こうき粛正しゅくせいにつとめたほか、民事みんじ訴訟そしょう法ほうの改正かいせいを行おこなっている。翌年よくねん12月がつ、王おう寵ちょう恵めぐみが後任こうにんの司法しほう総長そうちょうに任にんじられたが、就任しゅうにんしなかったため、1922年ねん（民みん国こく11年ねん）4月がつまで、董ただしが総長そうちょう事務じむを代理だいりしている。

同年どうねんの2月がつ、董ただし康やすしは内外ないがい短期たんき公債こうさい審査しんさ委員いいん会かい委員いいん長ちょうに任にんじられ、用途ようと不明ふめいなど問題もんだいのある公債こうさいに審査しんさを加くわえた。5月、周しゅう自じ斉ひとし臨時りんじ内ない閣かくにおいて署しょ理財りざい政せい総長そうちょうをつとめた。しかし、給与きゅうよ引上ひきあげを求もとめる政府せいふ職員しょくいん団体だんたいの暴力ぼうりょく行為こういで負傷ふしょうしたため、失意しついと憤懣ふんまんにより8月がつ、辞任じにんした。まもなく大だい理り院長いんちょうに任にんぜられたが、院長いんちょうの事務じむをとることなく欧米おうべいへ商務しょうむ・実業じつぎょうの視察しさつに向むかう。フランスにあった間あいだに、フランスの国家こっか図書館としょかんにおいて唐とう代だいの法律ほうりつ資料しりょうを収集しゅうしゅうしている。

上海しゃんはいでの活動かつどう

翌年よくねん帰国きこく後ごの董ただし康やすしは、代理だいり大だい理り院長いんちょうをつとめていた余よ棨昌に職務しょくむを引ひき継つぎ、まもなく上海しゃんはいに移うつった。以後いご、法律ほうりつ研究けんきゅうに専念せんねんし、1924年ねん（民みん国こく13年ねん）からは、東ひがし呉大学くれだいがくで法律ほうりつを教授きょうじゅした。

1926年ねん（民みん国こく15年ねん）、国民こくみん革命かくめい軍ぐんが北きた伐きにより江西えにし省しょうに入はいり、上海しゃんはいを支配しはいしていた孫まご伝でん芳かおるとこれを救援きゅうえんしようとする奉天ほうてん派はの軍隊ぐんたいとの衝突しょうとつが発生はっせいしかける。董ただし康やすしは、江蘇こうそ・浙江せっこう両省りょうしょうの代表だいひょうとして、孫まごに停戦ていせんを求もとめた。同年どうねん11月がつには、江西えにしを加くわえた三省みつよしの民間みんかん有力ゆうりょく者しゃとともに三省みつよし連合れんごう会かい委員いいん会議かいぎが召集しょうしゅうされ、董ただし康かんが主席しゅせきに推戴すいたいされた。董ただしは引ひき続つづき孫まごと奉天ほうてん派はの張ちょう作さく霖に対たいして軍事ぐんじ行動こうどうの停止ていしを呼よびかけている。しかし翌月よくげつ、孫まごの強硬きょうこうな軍事ぐんじ統制とうせいによって三省みつよし連合れんごう会かいは禁止きんしされ、董ただしは日本にっぽんに亡命ぼうめいした。

1927年ねん（民みん国こく16年ねん）5月がつ、董ただし康やすしは帰国きこくし、上海しゃんはい法科ほうか大学だいがく校長こうちょう、東ひがし呉大学くれだいがく法ほう学院がくいん院長いんちょうなどを歴任れきにんした。1931年ねん（民みん国こく20年ねん）には、中国ちゅうごく国民党こくみんとう法官ほうかん訓練くんれん所しょ教務きょうむ主任しゅにん、所長しょちょうもつとめている。また、日本にっぽんでも董ただし康やすしの法学ほうがく者しゃとしての名声めいせいは高たかく、董ただし康やすしは招聘しょうへいに応おうじて中国ちゅうごく古代こだい刑法けいほうの講義こうぎのため日本にっぽんにも赴おもむいている。1933年ねん（民みん国こく22年ねん）、北平きたひらに移うつり、北京ぺきん大学だいがく法科ほうか、国学こくがく研究所けんきゅうじょの教授きょうじゅをつとめた。

親日しんにち政府せいふでの活動かつどう

1937年ねん（民みん国こく26年ねん）12月14日にち、王おう克敏かつとしが中華民国ちゅうかみんこく臨時りんじ政府せいふを創設そうせつすると、董ただし康やすしは臨時りんじ政府せいふ常務じょうむ委員いいん（議ぎ政せい委員いいん会かい常務じょうむ委員いいん）兼けん司法しほう委員いいん会かい委員いいん長ちょうに特とく任まかされた^[1]。翌よく1938年ねん（民みん国こく27年ねん）2月がつ19日にちに最高法院さいこうほういん院長いんちょう（特とく任官にんかん）^[2]、6月18日にちに中央ちゅうおう公務員こうむいん懲戒ちょうかい委員いいん会かい委員いいん長ちょう（特とく任官にんかん）を^[3]、それぞれ兼任けんにんしている。

1940年ねん（民みん国こく29年ねん）3月がつ30日にち、南京なんきん国民こくみん政府せいふ（汪ひろし兆ちょう銘めい政権せいけん）に臨時りんじ政府せいふが合流ごうりゅうし、華北かほく政務せいむ委員いいん会かいに改組かいそされる。同日どうじつ、董ただし康やすしは同どう委員いいん会かい委員いいんに特派とくはされたが^[4]、常務じょうむ委員いいんにはならなかった。国民こくみん政府せいふ中央ちゅうおうでも、国民こくみん政府せいふ委員いいんのみの就任しゅうにんに留とどまっている^[5]^[6]。同年どうねん6月がつ6日にち、王おう克敏かつとしが政治せいじ的てき対立たいりつにより華北かほく政務せいむ委員いいん会かい委員いいん長ちょうを辞職じしょくすると、董ただしも追随ついずいして一線いっせんから退しりぞいた^[7]。以後いご、病気びょうきのため療養りょうよう生活せいかつに入はいる。敗戦はいせん後ごにおいても董ただしは病気びょうき療養りょうようが継続けいぞくしていたため、蔣介石せきの国民こくみん政府せいふにより直ただちに裁判さいばんに付ふされることはなかった。

1947年ねん（民みん国こく36年ねん）、北平きたひらで病没びょうぼつ。享年きょうねん81。

脚注きゃくちゅう

^ 『同盟どうめい旬報じゅんぽう』1巻かん18号ごう通どおり号ごう18号ごう、昭和しょうわ12年ねん12月がつ中旬ちゅうじゅん号ごう、同盟どうめい通信つうしん社しゃ、38頁ぺーじ。
^ 臨時りんじ政府せいふ令れい、令れい字じ第だい108号ごう、民みん国こく27年ねん2月がつ19日にち（『政府せいふ公報こうほう』第だい5号ごう、民みん国こく27年ねん2月がつ21日にち、臨時りんじ政府せいふ行政ぎょうせい委員いいん会かい公報こうほう処しょ、無む頁ぺーじ）。
^ 臨時りんじ政府せいふ令れい、令れい字じ第だい217号ごう、民みん国こく27年ねん6月がつ18日にち（『政府せいふ公報こうほう』第だい23号ごう、民みん国こく27年ねん6月がつ27日にち、臨時りんじ政府せいふ行政ぎょうせい委員いいん会かい公報こうほう処しょ、1頁ぺーじ）。
^ 国民こくみん政府せいふ令れい、民みん国こく29年ねん3月がつ30日にち（『華北かほく政務せいむ委員いいん会かい公報こうほう』第だい1-6期き合ごう刊かん、民みん国こく29年ねん6月がつ9日にち、華北かほく政務せいむ委員いいん会かい政務せいむ庁ちょう情報じょうほう局きょく、国府こくふ1頁ぺーじ）。
^ 『外交がいこう時報じほう』94巻かん2号ごう通どおり号ごう849号ごう、昭和しょうわ15年ねん4月がつ15日にち、外交がいこう時報じほう社しゃ、185頁ぺーじ。
^ 華北かほく政務せいむ委員いいん会かいや国民こくみん政府せいふ委員いいんの人事じんじ自体じたいは、発令はつれい前まえの同月どうげつ22日にちにおける中央ちゅうおう政治せいじ会議かいぎで議決ぎけつされている（『外交がいこう時報じほう』94巻かん2号ごう通どおり号ごう849号ごう、昭和しょうわ15年ねん4月がつ15日にち、外交がいこう時報じほう社しゃ、182-185頁ぺーじ）。
^ ただし、華北かほく政務せいむ委員いいん会かい委員いいんや国民こくみん政府せいふ委員いいんから正式せいしきに辞職じしょくしたかどうかは不明ふめい。

参考さんこう文献ぶんけん

宗そう清元きよもと「董ただし康やすし」中国ちゅうごく社会しゃかい科学かがく院いん近代きんだい史し研究所けんきゅうじょ『民みん国こく人物じんぶつ伝でん第だい10巻かん』中華ちゅうか書しょ局きょく、2000年ねん。ISBN 7-101-02114-X。
徐じょ友とも春はる主ぬし編へん『民みん国こく人物じんぶつ大だい辞典じてん増ぞう訂てい版ばん』河北かわきた人民じんみん出版しゅっぱん社しゃ、2007年ねん。ISBN 978-7-202-03014-1。
劉りゅう寿ひさし林りんほか編へん『民みん国こく職しょく官かん年表ねんぴょう』中華ちゅうか書しょ局きょく、1995年ねん。ISBN 7-101-01320-1。