議員ぎいん年金ねんきん

議員ぎいん年金ねんきん（ぎいんねんきん）は、日本にっぽんにおいてかつて存在そんざいした衆議院しゅうぎいん議員ぎいん・参議院さんぎいん議員ぎいん互助ごじょ年金ねんきんや地方ちほう議会ぎかい議員ぎいんの年金ねんきんを指さす。

歴史れきし

成立せいりつの経緯けいい

年金ねんきん関連かんれん法ほうの成立せいりつは、厚生こうせい年金ねんきん保険ほけん法ほうが1954年ねん（昭和しょうわ29年ねん）で一番いちばん早はやく、国会こっかい議員ぎいん互助ごじょ年金ねんきん法ほうと国家こっか公務員こうむいん共済きょうさい組合くみあい法ほうが1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）で2番目ばんめに早はやく、次ついで国民こくみん年金ねんきん法ほうが1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）で、地方ちほう公務員こうむいん等とう共済きょうさい組合くみあい法ほうが1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）と一番いちばん遅おそい。国会こっかい議員ぎいん互助ごじょ年金ねんきん法ほうは、公務員こうむいん年金ねんきんがまだ恩給おんきゅう制度せいどの際さいに成立せいりつしているので、法ほうの内容ないようも給付きゅうふの仕組しくみ、そして給付きゅうふの原資げんしも恩給おんきゅう制度せいどと同等どうとうになっていた。これは、恩給おんきゅう制度せいどは基本きほん的てきに掛かけ金きんなしでも給付きゅうふが受うけられる制度せいどである。

また市議しぎ、県議けんぎを各かく12年ねん歴任れきにん後ご、国会こっかい議員ぎいん10年ねん在職ざいしょくした場合ばあい、基礎きそ年金ねんきん、2つの共済きょうさい年金ねんきん、国会こっかい議員ぎいん年金ねんきんを併給へいきゅうできた。互助ごじょ会かい制度せいどで公的こうてき年金ねんきんではないため、別べつに公的こうてき年金ねんきん（国民こくみん年金ねんきんなど）に加入かにゅうしなければならないものであった。

議員ぎいん年金ねんきん廃止はいしの影響えいきょう

2020年ねん10月がつ10日とおか放送ほうそう分ぶんの『特とく盛もり!よしもと 今田いまだ・八光はっこうのおしゃべりジャングル』で辛からし坊ぼう治郎じろうは「冗談じょうだんじゃないのは、元もと国会こっかい議員ぎいんで、生活せいかつ保護ほごで暮くらしている方ほうが結構けっこういるんです」と語かたり、議員ぎいん年金ねんきんが廃止はいしになり国民こくみん年金ねんきんになり「国会こっかい議員ぎいんに落おちたあと、（選挙せんきょに）お金かねを使つかったから、借金取しゃっきんとりしかこない。だから生活せいかつ保護ほご」と生活せいかつが逼迫ひっぱくしているとした。杉村すぎむら太蔵たぞうも辛からし坊ぼうの言葉ことばを補足ほそくするように「自己じこ破産はさんする方ほう結構けっこういます。やっぱり現実げんじつは厳きびしいです」と他たの元もと国会こっかい議員ぎいんの苦くるしい台所だいどころ事情じじょうを明あかした。

復活ふっかつの議論ぎろん

議員ぎいんのなり手て不足ふそくの解消かいしょうを図はかるため、2020年ねん（令れい和わ2年ねん）12月に自民党じみんとうでは国会こっかい議員ぎいん互助ごじょ年金ねんきんと地方ちほう議員ぎいん年金ねんきんの復活ふっかつに向むけた検討けんとうに入はいった。しかし世論せろんの反発はんぱつが大おおきく、2022年ねん現在げんざい実現じつげんはしていない。

国会こっかい議員ぎいん互助ごじょ年金ねんきん

衆議院しゅうぎいん議員ぎいん・参議院さんぎいん議員ぎいん（以下いか国会こっかい議員ぎいん）の年金ねんきんは1961年ねんの第だい38回かい国会こっかいで自由民主党じゆうみんしゅとう、日本にっぽん社会党しゃかいとう、民主みんしゅ社会党しゃかいとうによる議員ぎいん提出ていしゅつ法律ほうりつ案あんとして提出ていしゅつされたもので、同年どうねん5月がつに成立せいりつし「国会こっかい議員ぎいん互助ごじょ年金ねんきん法ほう」で定さだめられていた。2006年ねん（平成へいせい18年ねん）4月がつ1日にちをもって第だい3次じ小泉こいずみ改造かいぞう内ない閣かくによって廃止はいしされることが決定けっていした。新規しんき加入かにゅうはこの日ひで終了しゅうりょうされた（この日ひ以降いこうに初はつ当選とうせんした人ひとは国民こくみん年金ねんきんのみ）ものの、すでに国会こっかい議員ぎいんによって支払しはらわれた掛かけ金きんに関かんしては、減額げんがくをして年金ねんきんを支給しきゅうすることを盛もり込こんでいるため、廃止はいし後ご時点じてんで在職ざいしょく10年ねんを越こえていた国会こっかい議員ぎいんの受給じゅきゅうが無なくなるのはしばらく先さきの事こととされる。その第だい1条じょうに「互助ごじょの精神せいしんに則のっとり、国会こっかい議員ぎいんの退職たいしょくにより受うける年金ねんきん等とうに関かんして、国会こっかい法ほう第だい36条じょうの規定きていに基もとづき定さだめるものとする」とあった。

国会こっかい法ほう36条じょう 「議員ぎいんは、別べつに定さだめるところにより、退職たいしょく金きんを受うけることができる」

議員ぎいん年金ねんきんの掛金かけきんの扱あつかいは国くにの一般いっぱん会計かいけいであり、年金ねんきん給付きゅうふは総務そうむ省しょうの「恩給おんきゅう費ひ」から支出ししゅつされる。

• 受給じゅきゅう資格しかく：在職ざいしょく10年ねん
• 在職ざいしょく時じ掛金かけきん：年間ねんかん126万まん6000円えん。
• 受給じゅきゅう額がく：最低さいていでも年とし412万まん円えん（在職ざいしょく年数ねんすう10年ねん）。在職ざいしょく1年ねん増ふえる毎ごとに年額ねんがく8万まん2400円えん増ふえた。在職ざいしょく56年ねんだと年額ねんがく約やく742万まん円えんになった。
• 備考びこう：国会こっかい議員ぎいん互助ごじょ年金ねんきんは約やく70%が公費こうひからの支出ししゅつとなっていた（2006年ねん改正かいせいをもって自己じこ負担ふたんはゼロ、公費こうひ負担ふたん100%となった）。
• その他た：受給じゅきゅう資格しかくが得えられない場合ばあい、在職ざいしょく3年ねん以上いじょうであれば掛かけ金きんの8割わりが戻もどった。

2012年ねん時点じてんで受給じゅきゅう資格しかくを持もつ議員ぎいんは144名めい。

憲政けんせい功労こうろう年金ねんきん

50年ねん以上いじょう国会こっかい議員ぎいんとして在職ざいしょくして名誉めいよ議員ぎいんの資格しかくがあり、議決ぎけつを受うけた者ものに年金ねんきんが支給しきゅうされたもので、2003年ねん（平成へいせい15年ねん）に制度せいどは廃止はいしされた。1954年ねん（昭和しょうわ29年ねん）に制定せいていされた憲政けんせい功労こうろう年金ねんきん法ほうによる。当初とうしょは年額ねんがく100万まん円えん支給しきゅうされ、1987年ねん（昭和しょうわ62年ねん）に年額ねんがく500万まん円えんに改定かいていされた。過去かこに受給じゅきゅうしたのは尾崎おざき行雄ゆきお、三木みき武夫たけおなど。

地方ちほう議会ぎかい議員ぎいん年金ねんきん

1961年ねん（昭和しょうわ36年ねん）7月がつに地方ちほう議会ぎかい議員ぎいん互助ごじょ年金ねんきん法ほうに基もとづく任意にんい加入かにゅうの互助ごじょ年金ねんきん制度せいどとして発足ほっそくし、1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）12月に地方ちほう公務員こうむいん共済きょうさい組合くみあい法ほうに基もとづく強制きょうせい加入かにゅうの年金ねんきん制度せいどに移行いこうされた。地方ちほう議会ぎかい議員ぎいんの年金ねんきんは、「地方ちほう公務員こうむいん等とう共済きょうさい組合くみあい法ほう 第だい11章しょう地方ちほう議会ぎかい議員ぎいんの年金ねんきん制度せいど」で定さだめられていた。

• 受給じゅきゅう資格しかく：在職ざいしょく12年ねん
• 掛金かけきん：都道府県とどうふけん議会ぎかいは月額げつがく報酬ほうしゅうの13%、市町村しちょうそん議会ぎかい議員ぎいんは月額げつがく報酬ほうしゅうの16%、期末きまつ手当てあてにも一定いっていの掛金かけきん
• 受給じゅきゅう額がく：年額ねんがく平均へいきん約やく95万まん円えん（都道府県とどうふけん議会ぎかい議員ぎいん約やく195万まん円えん、市議会しぎかい議員ぎいん103万まん円えん、町村ちょうそん議会ぎかい議員ぎいん68万まん円えん、いずれも2007年度ねんど平均へいきん）
• その他た：年金ねんきんの運営うんえいにあっては、都道府県とどうふけん及および市町村しちょうそんより約やく40%の公費こうひが支出ししゅつされていた。

平成へいせいの大だい合併がっぺいで地方自治体ちほうじちたいの数かずが減へり、また、地方自治体ちほうじちたいの行財政ぎょうざいせい改革かいかくで議員ぎいん定数ていすうが削減さくげんされていったこともあり、掛金かけきんを払はらう現役げんえき議員ぎいんの総数そうすうは減へったが支給しきゅうされる元もと議員ぎいんが増ふえたため、共済きょうさい会かいの財政ざいせいは逼迫ひっぱくした。市議しぎと町まち村議そんぎが加入かにゅうする共済きょうさい会かいは2008年ねん（平成へいせい20年ねん）度どにも積立つみたて金きんが枯渇こかつするのではという懸念けねんが報道ほうどうされたりもした。

2003年ねん（平成へいせい15年ねん）4月がつに議員ぎいん共済きょうさい会かいの財政ざいせい状況じょうきょうが赤字あかじのため、掛金かけきん率りつ増ぞう、特別とくべつ掛金かけきん率りつ増ぞう、公費こうひ負担ふたん率りつ増ぞう、給付きゅうふ削減さくげん等とうの制度せいど改正かいせいが実施じっしされた。

2006年ねん（平成へいせい18年ねん）6月がつに「地方ちほう公務員こうむいん等とう共済きょうさい組合くみあい法ほうの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（平成へいせい18年ねん法律ほうりつ第だい63号ごう）」が成立せいりつ、2007年ねん（平成へいせい19年ねん）4月がつ1日にち施行しこうとなり、年金ねんきん減額げんがくとなったが、これを避さけるために3月がつに“駆かけ込こみ辞職じしょく”する地方ちほう議員ぎいんが現あらわれ、各地かくちで問題もんだいとなった。また議員ぎいん年金ねんきんへの掛金かけきんや公費こうひ負担ふたんは強制きょうせいであるが、これに反発はんぱつする動うごきもあった。

2008年ねん（平成へいせい20年ねん）12月には2012年ねん（平成へいせい24年ねん）度どにも破綻はたんするとの試算しさんがまとめられ、これを受うけ2009年ねん（平成へいせい21年ねん）春はるには総務そうむ省内しょうないに有識者ゆうしきしゃ会議かいぎ「議員ぎいん年金ねんきん制度せいど検討けんとう会かい」が設置せっちされ、同年どうねん11月2日にちに議員ぎいん年金ねんきん制度せいどそのものの廃止はいし案あんを諮問しもん。2010年ねん（平成へいせい22年ねん）12月3日にちに総務そうむ省しょうが全国ぜんこく都道府県とどうふけん議長ぎちょう会かいなど3つの議会ぎかい議長ぎちょう会かい会長かいちょうに2011年ねん（平成へいせい23年ねん）6月1日にちをもって制度せいどを廃止はいしする案あんを提示ていじした。有識者ゆうしきしゃ会議かいぎは廃止はいし案あんのほかに存続そんぞく案あんも2つ提示ていじしていた。同年どうねん3月11日にちに地方ちほう議会ぎかい議員ぎいん年金ねんきんを廃止はいしする改正かいせい地方ちほう公務員こうむいん等とう共済きょうさい組合くみあい法案ほうあんが閣議かくぎ決定けっていされ、5月がつ20日はつかに参院さんいん本ほん会議かいぎで可決かけつ、成立せいりつした。これにより2011年ねん（平成へいせい23年ねん）6月がつ1日にちで年金ねんきん制度せいどは廃止はいしとなった。既すでに退職たいしょくした議員ぎいんには高額こうがく所得しょとく者しゃについては減額げんがくする措置そちを取とりながら引ひき続つづき年金ねんきんを支給しきゅう。現職げんしょく議員ぎいんには掛かけ金きんの80%を一時いちじ金きんとして支払しはらい、現職げんしょくでも在職ざいしょく12年ねん以上いじょうで年金ねんきん受給じゅきゅう資格しかくがある場合ばあいは引ひき続つづき掛かけ金きんを払はらって退職たいしょく後ごに年金ねんきんを受うけ取とることもできる。完全かんぜん廃止はいしまでの既存きそん支給しきゅう者しゃへの給付きゅうふのために各かく地方自治体ちほうじちたいからの公費こうひ負担ふたんがあてられることとなっている。

なお、首長しゅちょうは議員ぎいんではなく常勤じょうきん職員しょくいんであるため（内閣ないかく総理そうり大臣だいじんと異ことなり、議員ぎいんである必要ひつようはない）、一般いっぱん地方ちほう公務員こうむいんと同様どうよう、共済きょうさい組合くみあいに加入かにゅうしている。

外部がいぶリンク

• 町村ちょうそん議会ぎかい議員ぎいん共済きょうさい会かいHP
• 市議会しぎかい議員ぎいん共済きょうさい会かいHP
• 都道府県とどうふけん議会ぎかい議員ぎいん共済きょうさい会かいHP
• 地方ちほう議会ぎかい議員ぎいん年金ねんきん制度せいどの廃止はいし 総務そうむ省しょうHP