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配線はいせんよう遮断しゃだん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
MCCB(動力どうりょく500A)富士電機ふじでんきの「オートブレーカー」
大口おおぐち需要じゅようよう。キュービクルない設置せっちされている。
配線はいせんよう遮断しゃだん電灯でんとう20A)
家庭かていなどでもっともよくかけるタイプ

配線はいせんよう遮断しゃだん(はいせんようしゃだんき、えい: Molded Case Circuit Breaker; MCCB[1]ノーヒューズブレーカー[2])とは負荷ふか短絡たんらくなどの要因よういんがわ回路かいろ負荷ふか電路でんろ[3])に異常いじょう電流でんりゅうながれたときに電路でんろ開放かいほうし、いちがわからの電源でんげん供給きょうきゅう遮断しゃだんすることにより負荷ふか回路かいろ電線でんせん損傷そんしょうから保護ほごするためにもちいる電流でんりゅう遮断しゃだん[4]一種いっしゅである。規格きかくは、『JIS C8211:2004 住宅じゅうたくおよ類似るいじ設備せつびよう配線はいせんよう遮断しゃだん[5]さだめられており『電気でんき設備せつび技術ぎじゅつ基準きじゅん解釈かいしゃく』にまれている。

NFB (No Fuse Breaker) とばれたこともあるが、これは三菱電機みつびしでんき商品しょうひんめいであり一般いっぱんてきではない[6]にヒューズフリーブレーカーやオートブレーカーなどの商品しょうひんめいもある。また、中国ちゅうごく地方ちほう(広島ひろしま付近ふきん)では年配ねんぱいしゃ中心ちゅうしんに「テンパール」(広島ひろしま所在しょざいするメーカー「テンパール工業こうぎょう」から)とばれることがある[7]

構造こうぞう

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某社ぼうしゃせい3P3E 30AのMCCBの内部ないぶ
コイルは各相かくしょうにあり、各相かくしょう電気でんきてき独立どくりつしている。
どのそうのコイルが動作どうさしても機械きかいてき連結れんけつされ、すべてのそう遮断しゃだんする

外郭がいかく合成ごうせい樹脂じゅしはこおおわれている。前面ぜんめん手動しゅどう電源でんげんはいりするハンドルがついておりじょうげるとON、したげるとOFFとなる。電流でんりゅうとうにより遮断しゃだん動作どうさをした場合ばあい(この動作どうさをトリップという)、一般いっぱんにハンドルはONとOFFの中間ちゅうかん位置いちまるが、一部いちぶのブレーカーはトリップにOFFの位置いちまる。通常つうじょう電流でんりゅうおおきさにおうじて遮断しゃだんようする時間じかん変化へんかする。

上面うわつら下面かめんには電線でんせん接続せつぞくする端子たんしがついており通常つうじょううえ電源でんげんした負荷ふか接続せつぞくする。内部ないぶにははず機構きこうしょう装置そうちまれており遮断しゃだん発生はっせいするアークきえする。

種類しゅるい

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安全あんぜんブレーカー

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ぶんでんばん分岐ぶんきブレーカーとうもちいられる小型こがたのブレーカーである。2せんのうち1せん接地せっちされた(中性ちゅうせいせんである)たんしょう100Vの場合ばあいにのみ使用しようできる2きょく1素子そし(2P1E)、その場合ばあい使用しようする2きょく2素子そし(2P2E)がある。

たん中性ちゅうせいせんかけしょう保護ほごづけブレーカー

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たんしょう3せんしきでの中性ちゅうせいせんかけしょう検出けんしゅつし、異常いじょう電圧でんあつによる100V機器きき焼損しょうそん事故じこ防止ぼうしする。過電圧かでんあつ検出けんしゅつリードせんをブレーカの2がわ中性ちゅうせいしょう接続せつぞく接続せつぞくてんから1がわ変圧へんあつまでの電圧でんあつ監視かんしする。中性ちゅうせいしょう-L1またはL2あいだに125~135V以上いじょう検出けんしゅつすると0.5びょう以内いない遮断しゃだんする。3きょく2素子そし(3P2E)である。一般いっぱん電源でんげんがわ負荷ふかがわ端子たんしまっておりぎゃく接続せつぞくはできなくなっている。

モーターブレーカー

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電動でんどう焼損しょうそん保護ほご機能きのうつブレーカーである。ぜん負荷ふか電流でんりゅうの2.5~3ばい電動でんどう始動しどう電流でんりゅう突入とつにゅう電流でんりゅう)でトリップせず、負荷ふか電流でんりゅうでの連続れんぞく運転うんてんでトリップする。電磁でんじ開閉かいへい省略しょうりゃくできる。こう効率こうりつ電動でんどうなどの特殊とくしゅ電動でんどうもちいる場合ばあいていかく電流でんりゅう保護ほご可能かのう範囲はんいであるかの確認かくにん必要ひつようである。

協約きょうやくがたブレーカー

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JIS C 8201-2-1:2011 「低圧ていあつ開閉かいへい装置そうちおよ制御せいぎょ装置そうちだい2−1回路かいろ遮断しゃだん配線はいせんよう遮断しゃだんおよびその遮断しゃだん)」による協約きょうやく寸法すんぽうつブレーカー。ブレーカーはメーカーによってそとみち寸法すんぽうことなるが、協約きょうやくがたブレーカーはどういち寸法すんぽうとなっている。

漏電ろうでん遮断しゃだん

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漏電ろうでん遮断しゃだん漏電ろうでんによる電流でんりゅう検出けんしゅつ回路かいろ自動的じどうてき遮断しゃだんする機能きのう遮断しゃだんであり、ほとんどの製品せいひんでは電流でんりゅう遮断しゃだん機能きのういている。内部ないぶ構造こうぞう配線はいせんよう遮断しゃだんているが、漏電ろうでん検出けんしゅつようれいそうへんりゅうまれている。銘板めいばんにはていかく感度かんど電流でんりゅう動作どうさ時間じかん表示ひょうじされている。

仕様しよう

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アンペアフレーム (AF)

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ブレーカーの容器ようきおおきさおよ最大さいだいていかく電流でんりゅうをあらわす。たとえば30AFの場合ばあい構造こうぞうじょう最大さいだい30Aまで適用てきようできる。原則げんそくとしてAFのおおきくなるにつれて容器ようき寸法すんぽう遮断しゃだん容量ようりょう増加ぞうかするが、変圧へんあつ直下ちょっかなど短絡たんらく容量ようりょう状況じょうきょうによりおおきく変化へんかするため遮断しゃだん容量ようりょうこう容量ようりょうになっている高性能こうせいのうひん存在そんざいする。

アンペアトリップ (AT)

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ブレーカーのていかく電流でんりゅうをあらわす。たとえば20ATの場合ばあいは20Aがていかくとなる。また高価こうかではあるが、将来しょうらいてき対応たいおうのためにAFの範囲はんいないていかく電流でんりゅう可変かへんできるタイプもある。

いちがわ上流じょうりゅうがわ)・がわ下流かりゅうがわ)の遮断しゃだんとの保護ほご協調きょうちょうをとるため、トリップ時間じかんえが可能かのうなものもある。

性能せいのう

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ていかく遮断しゃだん容量ようりょう

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ていかく遮断しゃだん容量ようりょうは、指定してい回路かいろ条件じょうけんした規定きてい動作どうさ責務せきむ(O:遮断しゃだん動作どうさ - 2ふん - CO:投入とうにゅう動作どうさ)での短絡たんらく電流でんりゅう遮断しゃだん試験しけん確認かくにんされたもの。

開閉かいへい耐久たいきゅう性能せいのう

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開閉かいへい耐久たいきゅう性能せいのうは、指定していされた開閉かいへい頻度ひんど通電つうでん試験しけん通電つうでん試験しけん反復はんぷくから連続れんぞく開閉かいへい試験しけん確認かくにんされたもの。

引外し方式ほうしき

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ねつどうしき

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電流でんりゅうでのジュールねつによるバイメタル湾曲わんきょく利用りようするもの。バイメタルの加熱かねつ湾曲わんきょく自体じたいときのべ特性とくせいちいさい電流でんりゅうではなが時間じかんおおきい電流でんりゅうではみじか時間じかんうごくこと)をっている。小型こがた安全あんぜんブレーカーにもちいられる。

ねつどう - 電磁でんじしき

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どき延引えんいんはず要素ようそとしてバイメタルの湾曲わんきょく瞬時しゅんじ引外し要素ようそとして電磁石でんじしゃく可動かどう鉄心てっしん固定こてい鉄心てっしんがわ吸引きゅういんされることを利用りようするもの。

完全かんぜん電磁でんじしき

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内部ないぶにパイプがあり、そのまわりにコイルかれている。パイプないには可動かどうてつしん、ばね、固定こていてつしんシリコンオイルはいっている。電流でんりゅうながれると可動かどうてつしん固定こていてつしんせられ磁気じき抵抗ていこう減少げんしょう作動さどう鉄片てっぺんをひきよせる。これによりトリップ機構きこう動作どうさ回路かいろ遮断しゃだんされる。シリコンオイルの粘性ねんせいにより可動かどうてつしんうごきにときのべ特性とくせいあたえられる。短絡たんらくのようなだい電流でんりゅうながれた場合ばあい作動さどう鉄片てっぺん即座そくざせられてトリップする。

電子でんししき

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電子でんし回路かいろによって電流でんりゅう検出けんしゅつ演算えんざん制御せいぎょ、引外し指令しれいおこなわれるもの。

  1. しゅ回路かいろ負荷ふか電流でんりゅう比例ひれいした電流でんりゅうへんりゅう2がわながれる。
  2. 整流せいりゅう回路かいろ各相かくしょう電流でんりゅう整流せいりゅうしたアナログ信号しんごうを、瞬時しゅんじ回路かいろあい選択せんたくサンプリング回路かいろおくる。
  3. 瞬時しゅんじ回路かいろ各相かくしょうアナログ信号しんごう所定しょていえていれば瞬時しゅんじにトリップさせる。
  4. あい選択せんたくサンプリング回路かいろアナログ-デジタル変換へんかんする。
  5. 各相かくしょうごとにマイクロプロセッサ実効じっこう演算えんざんする。ピーク演算えんざんたんげん引外し、最大さいだいしょう信号しんごうちょうげん引外しやプレアラーム特性とくせい処理しょりおこなう。

端子たんし接続せつぞくかんする注意ちゅうい事項じこう

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配線はいせんよう遮断しゃだん漏電ろうでん遮断しゃだん接続せつぞく端子たんし使用しよう方法ほうほうあやまただしい方法ほうほう施工しこうしないと、ゆるみ・け・過熱かねつ焼損しょうそんなどの重大じゅうだい事故じこ直結ちょっけつする。

  • 適切てきせつ圧着あっちゃく端子たんし使用しよう
    • 遮断しゃだんがわ端子たんしねじに適合てきごうした圧着あっちゃく端子たんしかなら使用しようする。
    • 2ほん配線はいせんおな端子たんしはさ場合ばあいは、かならおおきな電流でんりゅうながれるほうしたがわれる。
  • 3ほん接続せつぞく禁止きんし
    • 3ほん以上いじょうを1つの端子たんし接続せつぞくすることは一般いっぱん禁止きんしである。どうしても接続せつぞくしなければならない場合ばあいは2ほんまとめて圧着あっちゃく加工かこうして端子たんしでは2まいになるようにする。角度かくどをずらしてハのひらいて3ほん接続せつぞくしている場合ばあいがあるが、あいあいだ絶縁ぜつえん距離きょり不備ふびとなりやすいので注意ちゅうい必要ひつようである。
  • フレームサイズがおおきい場合ばあいあいあいだガードをかなら使用しようする。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ MCB(Miniature Circuit Breaker)は住宅じゅうたくよう小型こがたのもをいうことがおおい。
  2. ^ 三菱電機みつびしでんき商品しょうひんめいであるが、他社たしゃ使用しようしている。かつてひろもちいられた安全あんぜんは、トリップした場合ばあいヒューズ交換こうかんする必要ひつようがあるが、一方いっぽうでブレーカーはおおくの場合ばあい部品ぶひん交換こうかんすることなく復旧ふっきゅうすることができる。
  3. ^ 電気でんき設備せつびかんする技術ぎじゅつ基準きじゅんさだめる省令しょうれいだいいちじょうだいいちごうに、「「電路でんろ」とは、通常つうじょう使用しよう状態じょうたい電気でんきつうじているところをいう。」と定義ていぎされている。
  4. ^ 電気でんき設備せつびかんする技術ぎじゅつ基準きじゅんさだめる省令しょうれいだいじゅうよんじょうに、「電路でんろ必要ひつよう箇所かしょには、電流でんりゅうによる過熱かねつ焼損しょうそんから電線でんせんおよ電気でんき機械きかい器具きぐ保護ほごし、かつ、火災かさい発生はっせい防止ぼうしできるよう、電流でんりゅう遮断しゃだん施設しせつしなければならない。」とあり、『電気でんき設備せつび技術ぎじゅつ基準きじゅん解釈かいしゃくだい33じょうに、電流でんりゅう遮断しゃだんとして配線はいせんよう遮断しゃだん使用しようする場合ばあい解釈かいしゃくしめされている。
  5. ^ 現在げんざい電気でんき関係かんけい JIS 規格きかくIEC 60364 規格きかくまれているが、配線はいせんよう遮断しゃだんかんしては『電気でんき設備せつび技術ぎじゅつ基準きじゅん解釈かいしゃく』(平成へいせい26ねん7がつ18にちだい218じょうだい3こうきゅう規格きかく使用しよう許容きょようされている。
  6. ^ 1970年代ねんだいなか以前いぜん普及ふきゅうしていた。
  7. ^ 未来工業みらいこうぎょう製品せいひん情報じょうほう/バックナンバー(「こだわりシリーズだいかい」「仮設かせつボックスへのこだわり」にて)

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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