重じゅう城しろ保ほ

重じゅう城しろ保ほ

重じゅう城しろ 保ほ（じゅうじょう たもつ、天保てんぽう4年ねん4月がつ17日にち（1833年ねん6月4日にち） - 大正たいしょう元年がんねん（1912年ねん）9月13日にち）は、上総かずさ国こく高柳たかやなぎ（現在げんざいの木更津きさらづ市し）の名主なぬし。後のちに千葉ちば県けんの初代しょだい県けん会かい議長ぎちょう、衆議院しゅうぎいん議員ぎいんを務つとめる。幼名ようみょうは安次郎やすじろう。

経歴けいれき

代々だいだい名主なぬしの家いえに生うまれ、若わかい頃ころに正木まさき幽谷ゆうこく・大槻おおつき磐渓ばんけいに学まなんだ後のち、故郷こきょうに戻もどり家業かぎょうに励はげんだ。明治めいじ5年ねん（1872年ねん）、当時とうじの木更津きさらづ県けんの郡ぐん中地なかじ券けん係がかりに任にんじられて、当時とうじの県令けんれい柴原しばはら和かずの面識めんしきを得える。その後ご千葉ちば県けんの成立せいりつで柴原しばはらがそのまま同どう県令けんれいに転てんじると、柴原しばはらが力ちからを入いれた育児いくじ政策せいさくを実施じっしする育児いくじ取締とりしまり頭取とうどりを務つとめた。明治めいじ9年ねん（1876年ねん）に千葉ちば県けん会かいが設置せっちされると、保ほは初代しょだい県けん会かい議長ぎちょうとなった。

当時とうじ、自由じゆう民権みんけん運動うんどうが盛さかんになり、各地かくちで県令けんれいと県けん会かいの衝突しょうとつが起おこったが、保ほは柴原しばはら県けん令れいと県けん会かい双方そうほうに自重じちょうを求もとめて対立たいりつの回避かいひに努つとめた。その後ご、明治めいじ11年ねん（1878年ねん）に安房あわ郡ぐん、明治めいじ15年ねん（1882年ねん）に君津きみつ郡ぐんの郡ぐん長ちょうをそれぞれ務つとめた。

明治めいじ23年ねん（1890年ねん）、人々ひとびとに推おされて第だい1回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょに当選とうせんするが、保ほ自身じしんは自分じぶんはあくまでも農民のうみんであると考かんがえて政治せいじ的てき野心やしんを抱だいていなかった。その後ご、1期きで議員ぎいんを辞やめると公職こうしょくからは身みを退しりぞいて、晩年ばんねんに至いたるまで自みずから開墾かいこん事業じぎょうの先頭せんとうに立たった。

保ほが残のこした日記にっきは後のちに『重じゅう城しろ保ほ日記にっき』として刊行かんこうされて、幕末ばくまつ・明治めいじ期きの地方ちほうの農村のうそんの姿すがたを知しる上じょうでの貴重きちょうな資料しりょうとなっている。