量子りょうし人工じんこう知能ちのう

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量子りょうし人工じんこう知能ちのうまたは量子りょうしAI(えい: Quantum Artificial Intelligence)とは量子りょうし計算けいさん能力のうりょく活用かつようした人工じんこう知能ちのう、または人工じんこう知能ちのう量子りょうし計算けいさん能力のうりょく連携れんけい模索もさくする学術がくじゅつ領域りょういきである。量子りょうし機械きかい学習がくしゅうともばれる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

量子りょうしコンピュータ計算けいさん能力のうりょく人工じんこう知能ちのうわせることにより行列ぎょうれつ乗算じょうざん回帰かいき分析ぶんせき、その統計とうけい処理しょり高速こうそく期待きたいできる[1][2]巡回じゅんかいセールスマン問題もんだいとう最適さいてき問題もんだいにも適応てきおうできるとしている。

量子りょうし乱数らんすう発生はっせいとのわせで、暗号あんごう技術ぎじゅつ発展はってんにも寄与きよする。将来しょうらいてき量子りょうしコンピューターが素因数そいんすう分解ぶんかい離散りさん対数たいすう問題もんだい,楕円だえん曲線きょくせん暗号あんごういてしまうことが想定そうていされるため、量子りょうし暗号あんごうやその高度こうどなプログラムをコーディングAIが自動じどう生成せいせいし、たい量子りょうし暗号あんごう実現じつげんさせることも検討けんとうされている。サイバー攻撃こうげき検知けんち自動じどう防御ぼうぎょにも応用おうよう可能かのうであるとされる。

電気通信大学でんきつうしんだいがくでは1年生ねんせい全員ぜんいんまなばせる[3]。また、量子りょうしコンピュータ計算けいさん能力のうりょく脳神経のうしんけいのシミュレーションに適用てきようすることも検討けんとうされている。

たたみニューラルネット(CNN)量子りょうしゲート回路かいろんだ、量子りょうしたたみニューラルネットワーク(QCNN)がド大どだいがくによって提案ていあんされている。[4]マルチスケール エンタングルメント分析ぶんせき量子りょうしあやま訂正ていせいわせた。

大阪大学おおさかだいがく理学部りがくぶでは深層しんそう学習がくしゅう(DNN)の構造こうぞうそのものを、ちょうつる理論りろんにおけるホログラフィー原理げんり同等どうとうなし、量子りょうし情報じょうほうからの時空じくう創発そうはつ応用おうようしようとしている。[5][6]

また、しん汎用はんようてき演算えんざん実行じっこう可能かのう量子りょうしコンピューターが実現じつげんされた場合ばあい人工じんこう知能ちのう発案はつあんした仮説かせつを、量子りょうしコンピューターをもちいた化学かがく物理ぶつりシミュレーションで検証けんしょうするという一連いちれんながれをAI駆動くどうがた科学かがくとしてループさせる構想こうそう実現じつげんするものと予想よそうされている。[7]

応用おうよう[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 量子りょうしコンピュータと人工じんこう知能ちのう(AI)が出会であうといかなる化学かがく反応はんのうしょうじるのか 〜初級しょきゅうへん” (2019-03-14). 2020ねん9がつ10日とおか閲覧えつらん
  2. ^ 西森にしもりしげるみのり,大関おおぜき真之まさゆき. 量子りょうしコンピュータが人工じんこう知能ちのう加速かそくする. 日経にっけい BP, 2016.
  3. ^ 量子りょうしAIを1年生ねんせい全員ぜんいんまなばせる“異色いしょく国立こくりつだい"のねら” (2020-05-06). 2020ねん9がつ10日とおか閲覧えつらん
  4. ^ Cong, Iris; Choi, Soonwon; Lukin, Mikhail D. (2019-12). “Quantum Convolutional Neural Networks”. Nature Physics 15 (12): 1273–1278. doi:10.1038/s41567-019-0648-8. ISSN 1745-2473. http://arxiv.org/abs/1810.03787. 
  5. ^ 深層しんそう学習がくしゅう時空じくう”. github,大阪大学おおさかだいがく理学部りがくぶ. 2022ねん11月29にち閲覧えつらん
  6. ^ 量子りょうしビットの幾何きかがくから重力じゅうりょく”. 京都きょうと大学だいがく. 2022ねん11月29にち閲覧えつらん
  7. ^ STI Hz Vol.8, No.4, Part.9:(ほらいずん)セミナーシリーズ「AIとデータでわる科学かがく社会しゃかい理化学研究所りかがくけんきゅうしょ 高橋たかはし恒一つねかず講演こうえんろく - 科学かがく技術ぎじゅつ学術がくじゅつ政策せいさく研究所けんきゅうじょ (NISTEP)”. 科学かがく技術ぎじゅつ学術がくじゅつ政策せいさく研究所けんきゅうじょ (NISTEP) - STI Hz Vol.8, No.4, Part.9:(ほらいずん)セミナーシリーズ「AIとデータでわる科学かがく社会しゃかい理化学研究所りかがくけんきゅうしょ 高橋たかはし恒一つねかず講演こうえんろく (2022ねん12月19にち). 2024ねん3がつ21にち閲覧えつらん

参考さんこう[編集へんしゅう]

  • Venegas-Andraca, Salvador Elías, and Sougato Bose. "Quantum computation and image processing: new trends in artificial intelligence." IJCAI. 2003.
  • Aoun, Bassam, and Mohamad Tarifi. Quantum Artificial Intelligence. No. quant-ph/0401124. 2004.
  • Aerts, Diederik, and Marek Czachor. "Quantum aspects of semantic analysis and symbolic artificial intelligence." Journal of Physics A: Mathematical and General 37.12 (2004): L123.
  • Sgarbas, Kyriakos N. "The road to quantum artificial intelligence." arXiv preprint arXiv:0705.3360 (2007).
  • Wichert, Andreas Miroslaus. Principles of quantum artificial intelligence. World scientific, 2013.
  • Prati, Enrico. "Quantum neuromorphic hardware for quantum artificial intelligence." J. Phys.: Conf. Ser. Vol. 880. 2017.