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金きむ雄つよし

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
金きむ 雄つよし
生誕せいたん 1912年ねん
慶尚北道けいしょうほくどう
死没しぼつ 1960年ねん
所属しょぞく組織そしき 新しん四よん軍ぐん
朝鮮ちょうせん義勇軍ぎゆうぐん
朝鮮人民軍ちょうせんじんみんぐん
最終さいしゅう階級かいきゅう 朝鮮人民軍ちょうせんじんみんぐん大将たいしょう
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金きむ雄つよし
各種かくしゅ表記ひょうき
ハングル： 김웅
漢字かんじ： 金きむ雄つよし
発音はつおん： キム・ウン
日本語にほんご読よみ： きん ゆう
ロろーマ字まじ： Kim Ung
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金きむ 雄つよし（キム・ウン、김웅）は、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくの軍人ぐんじん。中国ちゅうごく名めいは王おう信虎のぶとら。延のべ安やす派はに所属しょぞく。日にち中ちゅう戦争せんそうでは新しん四よん軍ぐんで活動かつどうし、最もっとも高たかい地位ちいにいた朝鮮ちょうせん人じんであった[1]。朝鮮ちょうせん戦争せんそう開戦かいせん時じの第だい1軍団ぐんだん長ちょう。

経歴けいれき

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1912年ねん、慶尚北道けいしょうほくどうに生うまれる。1930年代ねんだい初はじめに中国ちゅうごくに渡わたり1933年ねん7月がつ、中央ちゅうおう陸軍りくぐん軍ぐん官かん学校がっこう（第だい10期き）入学にゅうがく。第だい1総そう隊たい歩兵ほへい大隊だいたい第だい3隊たい配属はいぞく[2]。1936年ねん6月がつに卒業そつぎょう後ごは延のべ安やすに行いき抗日こうにち軍政ぐんせい大学だいがく（第だい5期き）で学まなび中国共産党ちゅうごくきょうさんとうに入党にゅうとうした。

1940年ねん10月がつ、八はち路ろ軍ぐん第だい5縦隊じゅうたいに随行ずいこうし、江蘇ちぁんすー省しょう北部ほくぶへ南下なんかする。新しん四よん軍ぐん第だい3師しが創設そうせつされると同どう師しの敵てき工こう部ぶで働はたらき、主おもに偵察ていさつ、捕虜ほりょの尋問じんもん、破壊はかい工作こうさく等とうをした。後のちに第だい3師し第だい8旅たび作さく訓くん科か副ふく科か長ちょう、科か長ちょう、第だい22団だん参謀さんぼう長ちょうを歴任れきにんした。1941年ねん10月がつ、抗日こうにち軍政ぐんせい大学だいがく第だい5分校ぶんこう教育きょういく長ちょう[3]。江蘇ちぁんすー省しょう北部ほくぶで活動かつどうしてた時期じきに反はん掃討そうとう作戦さくせん等とうの戦闘せんとうに参加さんか。また日本にっぽん軍ぐんの歩兵ほへい射撃しゃげき教程きょうていを翻訳ほんやくし、五ご分校ぶんこうの教材きょうざいとなった。

1942年ねん7月がつ、朝鮮ちょうせん義勇軍ぎゆうぐん華北かほく支隊したい第だい1隊たい隊長たいちょう。1944年ねんに朝鮮ちょうせん義勇軍ぎゆうぐん華中かちゅう支隊したいを組織そしきする。1945年ねん11月、新しん四軍区朝鮮義勇軍華中支隊長として瀋陽しんようで延のべ安やすや太たい行ゆき山脈さんみゃくから移動いどうしてきた義勇軍ぎゆうぐんと合流ごうりゅうし、朝鮮ちょうせん義勇軍ぎゆうぐん第だい1支隊したい長ちょう。満州まんしゅうの国共こっきょう内戦ないせんに参加さんか。

1946年ねん3月がつに38度ど線せん以北いほくに帰国きこくし[4]、同年どうねん7月がつに中央ちゅうおう保安ほあん幹部かんぶ学校がっこう政治せいじ校長こうちょう[5]。

1947年ねん5月がつ、第だい1師団しだん長ちょう。1948年ねん3月がつ、労働党ろうどうとう中央ちゅうおう委員いいん会かい委員いいん（第だい2回かい党とう大会たいかい）[6]。同年どうねん9月がつ、民族みんぞく保衛やすえ省しょう戦闘せんとう訓練くんれん局長きょくちょう[7]。

1950年ねん6月がつ、第だい1軍団ぐんだん長ちょう。開戦かいせん前日ぜんじつの6月がつ24日にち昼ひる、前線ぜんせん視察しさつに赴おもむいたところ、これを黄き成なり福ぶく参謀さんぼう長ちょうが失踪しっそうと誤認ごにんして兪成哲あきら作戦さくせん局長きょくちょうに報告ほうこく、姜きょう健けん総そう参謀さんぼう長ちょうを経へて金きむ日成いるそんにまで情報じょうほうが達たっし大だい騒動そうどうとなる。結局けっきょく、金雄かねおはすぐに戻もどってきたが、その日ひの夜よるに黄き成なり福ぶくは解任かいにんされ、第だい1軍団ぐんだんは参謀さんぼう長ちょう不在ふざいのまま翌よく6月がつ25日にちの開戦かいせんを迎むかえることになった[8]。

朝鮮ちょうせん戦争せんそうが勃発ぼっぱつすると西部せいぶ方面ほうめんを侵攻しんこうした。同年どうねん9月がつ8日にち、姜きょう健けんが戦死せんしすると後任こうにんとして前線ぜんせん司令しれい部ぶ総そう参謀さんぼう長ちょうに就任しゅうにん[9]。中国ちゅうごく人民じんみん志願しがん軍ぐんが参戦さんせんすると同年どうねん12月がつに中ちゅう朝ちょう連合れんごう指揮しき部ぶ副ふく司令しれい員いんに就任しゅうにん[10]。東部とうぶ戦線せんせんに前線ぜんせん指揮しき部ぶが組織そしきされ人民じんみん軍ぐん3個こ軍団ぐんだんを指揮しき[11]。

1952年ねん7月がつ、民族みんぞく保衛やすえ省しょう副ふく相そう[12]。昇格しょうかくはしたが、人民じんみん軍ぐん前線ぜんせん司令しれい官かんは金光かねみつ侠、中ちゅう朝ちょう連合れんごう指揮しき部ぶ副ふく司令しれい員いんは崔ちぇ庸いさお健けんに交代こうたいし、軍ぐん内ないの実権じっけんを失うしなっていた[13]。同年どうねん12月がつ、東海岸ひがしかいがん指揮しき部ぶ副ふく司令しれい[14]。

休戦きゅうせん後ごは党とう委員いいん、東欧とうおう諸国しょこく訪問ほうもん団長だんちょうを歴任れきにん[15]。

1955年ねん1月がつに方かた虎とら山やまが軍事ぐんじ学院がくいん院長いんちょうを解任かいにんされた際さいに「方ほう虎とら山やまに同情どうじょうする派閥はばつ分子ぶんし」と糾弾きゅうだんされた[13]。同年どうねん4月がつ14日にちに開ひらかれた中央ちゅうおう総会そうかいで、金きむ日成いるそんは激はげしい口調くちょうで朴ほお一いち禹、金雄かねお、方ほう虎とら山やまを「前ぜん中国共産党ちゅうごくきょうさんとう員いん小しょうグループ」と呼よび、名指なざしで批判ひはんした[13]。最後さいごに金きむ日成いるそんは、仕事しごとと政治せいじ的てき観点かんてんにおいて正ただしい立場たちばに戻もどる最後さいごの機会きかいを与あたえるべきとしたが、その数すうか月げつ後ごに朴ほお一いち禹と金雄かねおは軟禁なんきんされた[16]。

軍事ぐんじクーデターの陰謀いんぼうに参加さんかしたとされ、1960年ねん1月がつの秘密ひみつ裁判さいばんで銃殺じゅうさつ刑けいを宣告せんこくされた[17]。

評価ひょうか

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  • 軍人ぐんじんの能力のうりょくは同おなじ延のべ安やす派はの武たけ亭ちんより優すぐれていたと言いわれる[1]。また戦史せんし編纂へんさん官かんのロイ・アップルマンは、金雄かねおを「豪傑ごうけつ」「精力せいりょく的てきで厳格げんかく」と評ひょうし、朝鮮人民軍ちょうせんじんみんぐんの指揮しき官かんで最もっとも有能ゆうのうと述のべている[18]。
  • 攻勢こうせいが良よく、防御ぼうぎょが少すこし弱よわいが、すぐに学習がくしゅうする[19]。要求ようきゅうが多おおく酷使こくしするタイプで、部下ぶかからは尊敬そんけいよりも恐おそれられていた[19]。

出典しゅってん

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  1. ^ a b 和田わだ 2002, p. 173.
  2. ^ 中国ちゅうごく黄埔軍こうほぐん校こう網もう. “南京なんきん本校ほんこう第だい十期歩兵大隊第三隊学員姓名籍貫表” (中国ちゅうごく語ご). 2016年ねん3月がつ26日にち閲覧えつらん。
  3. ^ 袁偉 2001, p. 431.
  4. ^ 姜きょう 1997, p. 210.
  5. ^ 赤木あかぎ 2003, p. 8.
  6. ^ 和田わだ春樹はるき. 金きむ日成いるそんと満州まんしゅう抗日こうにち戦争せんそう. pp. p. 364. 
  7. ^ 和田わだ 2003, p. 24.
  8. ^ 東亜日報とうあにっぽう & 韓国日報かんこくにっぽう 1992, p. 108.
  9. ^ 金かね 2010, p. 90.
  10. ^ 和田わだ 2002, p. 252.
  11. ^ 姜きょう 1997, p. 240.
  12. ^ 和田わだ 2002, p. 373.
  13. ^ a b c 沈志華はなa 2016, p. 230.
  14. ^ 和田わだ 2002, p. 408.
  15. ^ 佐々木ささき春はる隆たかし. 朝鮮ちょうせん戦争せんそう/韓国かんこく編へん 中ちゅう巻まき. pp. p. 524. 
  16. ^ 沈志華はなa 2016, p. 231.
  17. ^ 沈志華はなb 2016, p. 42.
  18. ^ ブルース・カミングス. 朝鮮ちょうせん戦争せんそうの起源きげん.2. pp. p. 378. 
  19. ^ a b 極東きょくとう軍ぐん司令しれい部ぶ情報じょうほう部ぶ 1952, p. 94.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 陸戦りくせん史し研究けんきゅう普及ふきゅう会かい 編へん『朝鮮ちょうせん戦争せんそう1』原はら書房しょぼう、1966年ねん。 
  • 佐々木ささき春はる隆たかし『朝鮮ちょうせん戦争せんそう/韓国かんこく編へん 中ちゅう巻まき』原はら書房しょぼう、1976年ねん。 
  • 姜きょう在ざい彦『金きむ日成いるそん神話しんわの歴史れきし的てき検証けんしょう 抗日こうにちパルチザンの<虚きょ>と<実みのる>』明石書店あかししょてん、1997年ねん。ISBN 4-75-030996-6。 
  • 和田わだ春樹はるき『朝鮮ちょうせん戦争せんそう全ぜん史し』岩波書店いわなみしょてん、2002年ねん。ISBN 4-00-023809-4。 
  • 赤木あかぎ完かん爾なんじ 編著へんちょ『朝鮮ちょうせん戦争せんそう 休戦きゅうせん50周年しゅうねんの検証けんしょう・半島はんとうの内うちと外そとから』慶応義塾大学けいおうぎじゅくだいがく出版しゅっぱん会かい、2003年ねん。ISBN 4766410386。 
  • 沈志華はな 著ちょ、朱しゅ建けん栄さかえ 訳やく『最後さいごの「天朝てんちょう」 毛沢東もうたくとう・金きむ日成いるそん時代じだいの中国ちゅうごくと北朝鮮きたちょうせん 上じょう』岩波書店いわなみしょてん、2016年ねん。ISBN 978-4-00-023066-7。 
  • 沈志華はな 著ちょ、朱しゅ建けん栄さかえ 訳やく『最後さいごの「天朝てんちょう」 毛沢東もうたくとう・金きむ日成いるそん時代じだいの中国ちゅうごくと北朝鮮きたちょうせん 下か』岩波書店いわなみしょてん、2016年ねん。ISBN 978-4-00-023067-4。 
  • 袁伟,张卓 主ぬし編へん (2001). 中国ちゅうごく军校发展史し. 国防こくぼう大学だいがく出版しゅっぱん社しゃ. ISBN 7-5626-1089-4 
  • “第だい十じゅう章しょう 新しん四军和华中抗日根据地对海外人士的统战工作” (中国ちゅうごく語ご). 新しん四よん軍ぐん研究けんきゅう. 2014年ねん12月16日にち閲覧えつらん。
  • (PDF) History of the North Korean Army. Headquarters Far East Command Military Intelligence Section, General Staff. (1952). https://fas.org/irp/world/dprk/army-hist.pdf 2019年ねん5月がつ19日にち閲覧えつらん。 
  • 김광수 (2010). “인천상륙작전과 북한군의 대응”. 군사연구 (육군군사연구소) 130: 69-120. https://www.kci.go.kr/kciportal/ci/sereArticleSearch/ciSereArtiView.kci?sereArticleSearchBean.artiId=ART001631969. 
  • 東亜日報とうあにっぽう; 韓国日報かんこくにっぽう 編へん、黄き民みん基もと 訳やく『金きむ日成いるそん その衝撃しょうげきの実像じつぞう』講談社こうだんしゃ、1992年ねん。ISBN 4-06-205863-4。 

外部がいぶリンク

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