長坂ながさか貞一さだいち

日本にっぽんの政治せいじ家か 長坂ながさか 貞一さだいち ながさか ていいち
生年月日せいねんがっぴ	1891年ねん12月15日にち
出生しゅっしょう地ち	愛知あいち県けん碧海あおみ郡ぐん西端にしばた村むら（現げん・碧南へきなん市し）
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(1969-01-05) 1969年ねん1月がつ5日にち（77歳さい没ぼつ）
出身しゅっしん校こう	愛知あいち県立けんりつ農林のうりん学校がっこう（現げん・愛知あいち県立けんりつ安城あき農林のうりん高等こうとう学校がっこう）
所属しょぞく政党せいとう	無所属むしょぞく
称号しょうごう	藍綬らんじゅ褒章ほうしょう 勲くん五ご等とう瑞宝章ずいほうしょう
豊田とよだ市し長ちょう（挙母ころも市長しちょう）
当選とうせん回数かいすう	2回かい
在任ざいにん期間きかん	1956年ねん2月がつ19日にち - 1964年ねん2月がつ18日にち

長坂ながさか 貞一さだいち（ながさか ていいち、1891年ねん（明治めいじ24年ねん）12月15日にち - 1969年ねん（昭和しょうわ44年ねん）1月がつ5日にち）は、日本にっぽんの政治せいじ家か。愛知あいち県けん豊田とよだ市し（挙母ころも市し）の市長しちょうを2期き務つとめた。

来歴らいれき

愛知あいち県けん碧海あおみ郡ぐん西端にしばた村むら（現げん・碧南へきなん市し）出身しゅっしん。呉服ごふく屋やを営いとなむ杉浦すぎうら喜六きろくの四よん男おとことして生うまれた。1909年ねん（明治めいじ42年ねん）、愛知あいち県立けんりつ農林のうりん学校がっこう（現げん・愛知あいち県立けんりつ安城あき農林のうりん高等こうとう学校がっこう）卒業そつぎょう。小学校しょうがっこう教員きょういんになったのち、1912年ねん（大正たいしょう元年がんねん）12月に農林省のうりんしょう森林しんりん主事しゅじに任官にんかん。営林署えいりんしょ技手ぎしゅとして千葉ちば、茨城いばらき、岐阜ぎふの各かく県けんに勤務きんむし、1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）に退職たいしょく。

額田ぬかた銀行ぎんこう勤務きんむを経へて、1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）に挙母ころも町まち役場やくばの書記しょきとなる。トヨタ自動車とよたじどうしゃ工業こうぎょう（現げん・トヨタ自動車とよたじどうしゃ）の誘致ゆうちに参画さんかくし、庶務しょむ課長かちょう、振興しんこう課長かちょうなどを務つとめた。

1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）、助役じょやくに就任しゅうにん。渡辺わたなべ釟吉市長しちょうの下したで市制しせい施行しこうに力ちからを尽つくし、1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）3月がつ1日にちに挙母ころも市しが誕生たんじょうする。

1956年ねん（昭和しょうわ31年ねん）1月がつ6日にち、挙母ころも市長しちょうの中村なかむら寿一ひさいちが任期にんき中ちゅうに死去しきょ。これに伴ともなって同年どうねん2月がつ19日にちに行おこなわれた市長しちょう選せんに立候補りっこうほし初はつ当選とうせんした。

1957年ねん（昭和しょうわ32年ねん）、工場こうじょう誘致ゆうち条例じょうれいを制定せいていし、工場こうじょう誘致ゆうちに乗のり出だすとともに、市内しない小中しょうちゅう企業きぎょうに対たいしては、組合くみあい組織そしきによる団地だんち結成けっせいを呼よびかけ、2つの工業こうぎょう団地だんちを造成ぞうせいした。

豊田とよだ市しに市し名めい変更へんこう

1959年ねん1月がつ1日にち、挙母ころも市しは「豊田とよだ市し」に市し名めい変更へんこうした。

1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）1月がつ29日にち、挙母ころも商工しょうこう会議かいぎ所しょの杉浦すぎうら定治さだはる会頭かいとうをはじめとする商工しょうこう会議かいぎ所しょ同志どうし一同いちどうによる請願せいがん書しょ「挙母ころも市しを豊田とよだ市しと市し名めい変更へんこうの件けん」が、市議会しぎかい議長ぎちょう宛あてに提出ていしゅつされる。

市しの財源ざいげんは、あたかも、せんせんと湧出ゆうしゅつずる泉いずみのように、くめどもつきぬ潤沢じゅんたくさであるといわれているが、それとてトヨタ自動車とよたじどうしゃ工業こうぎょう株式会社かぶしきがいしゃの躍進やくしんと興隆こうりゅうあってのことで昨年さくねん四よん月がつ天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかを奉迎ほうげいした栄光えいこうと歓喜かんきは当市とうしの千載せんざいに銘記めいきするべき誇ほこりである。（略りゃく）
挙母ころもという地名ちめいは珍めずらしい由緒ゆいしょのある地名ちめいであるがこれを正まさしく読よむ人ひとはおそらく全国ぜんこくには僅少きんしょうであろう。（略りゃく）
郵便ゆうびん物ぶつその他たにそれぞれ豊田とよだ市し何なん町まちと記載きさいされるようになれば、視聴覚しちょうかく通つうじてトヨタ自動車とよたじどうしゃ工業こうぎょう株式会社かぶしきがいしゃを宣伝せんでんし、期きせずして一いち〇〇％の宣伝せんでん効果こうかをあげる要因よういんとなることを確信かくしんする。 — 請願せいがん書しょ「挙母ころも市しを豊田とよだ市しと市し名めい変更へんこうの件けん」、1958年ねん1月がつ29日にち。

市議会しぎかいはこれを受うけて、同年どうねん5月がつ17日にちの議会ぎかいにおいて請願せいがん書しょを正式せいしきに採択さいたくすることを決議けつぎ。長坂ながさかは直ただちに地方ちほう自治じち法ほう第だい3条じょう第だい3項こうの規定きていに基もとづいて条例じょうれいを作つくり、桑原くわばら幹みき根ね知事ちじに「市しの名称めいしょう変更へんこうの許可きょか申請しんせい書しょ」を提出ていしゅつした。

しかし議場ぎじょうの外そとでは、市し名めい変更へんこうに対たいする激はげしい反対はんたい運動うんどうが展開てんかいされた。初代しょだい市長しちょうの渡辺わたなべ釟吉ら3名めいを発起人ほっきにんとする挙母ころも愛市あいいち同志どうし会かいが結成けっせいされ、6月12日にちに同どう団体だんたいによる市民しみん決起けっき大会たいかいが開ひらかれる。会場かいじょうでは賛成さんせい、反対はんたい両派りょうはのヤジ、怒号どごうが乱みだれ飛とび、その後ご各かく地区ちくでの反対はんたい集会しゅうかいが9月12日にちまでに70余よ回かい行おこなわれた。反対はんたい派はは市し名めい変更へんこうの議決ぎけつ（6月がつ24日にち）の翌日よくじつから反対はんたい署名しょめい運動うんどうを始はじめたが、県けんは同年どうねん7月がつ29日にちに変更へんこう申請しんせいを許可きょかし、1959年ねん（昭和しょうわ35年ねん）1月がつ1日にちをもって挙母ころも市しは豊田とよだ市しに市し名めい変更へんこうした。

1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）2月がつの市長しちょう選せんは、市し名めい変更へんこうに反対はんたいした市民しみん、青年せいねん会かい、婦人ふじん団体だんたいの推おす元もと衆議院しゅうぎいん議員ぎいんの本多ほんだ鋼こう治ちとの一騎打いっきうちとなり、小差しょうさで再選さいせんを果はたした（長坂ながさか11,843票ひょう、本多ほんだ10,580票ひょう）

1963年ねん（昭和しょうわ38年ねん）12月、大正たいしょうの終おわり頃ころから作つくりためていた短歌たんか160首しゅ、随想ずいそう、市政しせい回顧かいこなどを内容ないようとする『人生じんせいのつれづれ』を自費じひ出版しゅっぱん。1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）2月がつの市長しちょう選せんは高齢こうれいの故ゆえをもって出馬しゅつばせず、2期きで引退いんたい。同年どうねん10月がつ21日にち、藍綬らんじゅ褒章ほうしょうを受章じゅしょう。1968年ねん（昭和しょうわ43年ねん）12月15日にち、豊田とよだ市し名誉めいよ市民しみんに推挙すいきょされる。

1969年ねん（昭和しょうわ44年ねん）1月がつ5日にち、死去しきょ。同年どうねん、勲くん五ご等とう瑞宝章ずいほうしょうを受章じゅしょう。77歳さい没ぼつ。

参考さんこう文献ぶんけん

• 長坂ながさか貞一さだいち『人生じんせいのつれづれ』弘ひろ益えき印刷いんさつ、1963年ねん12月。