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電子でんし音声おんせい現象げんしょう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

電子でんし音声おんせい現象げんしょう(でんしおんせいげんしょう、えい: Electronic voice phenomenon、しばしばEVPとりゃくされる)とは、電子でんし機器ききとうにより死後しご世界せかいとの交信こうしんこころみる死後しご意識いしき存続そんぞく研究けんきゅうのことである。Instrumental Transcommunication(えい: Instrumental Transcommunicationりゃく ITC)ともばれる。

研究けんきゅう

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[1]1901ねんアメリカ民族みんぞくがくものヴァルデマール・ボグラスが、シベリアシャーマンらすドラムのおと録音ろくおんしたところ、複数ふくすうの「こえ」が録音ろくおんされた。これは「れいこえ」を電気でんきてき録音ろくおん装置そうちでとらえた最初さいしょのケースとなった。

1920年代ねんだいに、トーマス・エジソンは、死後しご世界せかいとの交信こうしんおこな機器きき開発かいはつ研究けんきゅうおこなった。この機器きき完成かんせいすることはなくエジソンは死去しきょした。

1952ねん9月15にちヴァチカン法王ほうおうちょうアカデミー学長がくちょうジェメリ神父しんぷ物理ぶつり学者がくしゃ哲学てつがくしゃでもあるエルネッティ神父しんぷは、グレゴリオ聖歌せいか録音ろくおんしていた。すると「ジェメリ神父しんぷ他界たかいした父親ちちおやからの音声おんせい」が録音ろくおんされた。父親ちちおやこえは「いつでもおまえがわにいる」とかたり、だれらないはずのジュメリ神父しんぷ幼少ようしょうのあだんだ。

1956ねんカリフォルニアのスザレイとペイレスが、テープに「ちょうつねてき音声おんせい」を録音ろくおんすることに成功せいこうした、とアメリカ心霊しんれい研究けんきゅう協会きょうかいのジャーナル誌上しじょう発表はっぴょうした。

1959ねんスウェーデン映画えいがプロデューサー、フリードリッヒ・ユルゲンソンドイツばんが、とりごえあつめているさいに「他界たかいした母親ははおやこえ」を録音ろくおんした。そのこえは「フリードリヒ、あなたはまもられていますよ。このこえこえますか?」とドイツかたった。ユルゲンソンはその4年間ねんかんなんひゃくう「こえ」をあつめた。1964ねんには書籍しょせき宇宙うちゅうからのこえ』『死者ししゃとのラジオコンタクト』を刊行かんこうした。ユルゲンソンの知己ちきであった法王ほうおうパウロ6せいはこの研究けんきゅう興味きょうみち、ローマ教皇きょうこうちょう専属せんぞく研究けんきゅういん公認こうにんした。

1967ねん、ドイツ翻訳ほんやくされたユルゲンソンのほん触発しょくはつされた、ラトビア心理しんりがくものコンスタンティン・ラウティヴ英語えいごばん同様どうよう研究けんきゅう開始かいしした。ラウティヴもまた、くなった母親ははおやこえいていた。ラウディヴはホワイトノイズ利用りようすることでれい交信こうしんするという「EVP」(en:Electronic voice phenomenon)の技術ぎじゅつ体系たいけいした。しかし、ラウティヴがあつめたこえは、ピッチや増幅ぞうふくつよさなどのてん人間にんげんのものとはことなっていたので懐疑かいぎてき意見いけんおおた。こうした現象げんしょうは「ラウディヴのこえ」とばれるようになった。ラウティヴは、れいには喉頭こうとうがないので、通常つうじょうとはことなる規則きそくしたがって言葉ことば構成こうせいされているとべた。(→EVPへの批判ひはん

1977ねんに、アメリカ資産しさんジョージ・ミーク(George W. Meek)とれいのうしゃウィリアム・オニールの共同きょうどう実験じっけんにより、双方向そうほうこう通信つうしんシステム「スピリコム」が制作せいさくされた。

1979ねん、スコット・ロゴは、他界たかいした家族かぞく友人ゆうじんたちから電話でんわったというケースを収集しゅうしゅう研究けんきゅうし、著書ちょしょ「Telephone calls from the Dead」として発表はっぴょうした。

1982ねんには、1968ねん他界たかいしたNASA科学かがくしゃジョージ・ミュラーとの20時間じかん以上いじょうおよぶ「交信こうしん」が発表はっぴょうされた。おなじく1982ねん、サラ・イーステップがEVPアメリカ協会きょうかい設立せつりつした。

1980年代ねんだい後半こうはんには、ジョージ・ミークとビル・オニールのによりスピリコムを応用おうようした、電子でんしシステムによる次元じげんあいだ通信つうしんITC」が誕生たんじょうする。

1986ねん西にしドイツのクラウス・シュライバーはテレビモニターで「死者ししゃ映像えいぞう」を受信じゅしんしたと発表はっぴょうした。

1986ねんルクセンブルクでマギー&ジュール・ハーシュ=フィッシュバッハ夫妻ふさいがトランスコミュニケーション研究所けんきゅうじょCETL」を設立せつりつする。同年どうねん10月4にちには、「他界たかいからのビデオ画像がぞう」をはじめて受信じゅしんする。そこにはピエール・クラインという男性だんせい姿すがたが4/50秒間びょうかんあいだビデオカメラにうつされていた、とされる。

CETLの情報じょうほうによれば、死後しご人間にんげんおもむ世界せかいであるだい三界さんがい存在そんざいする「タイムストリーム」というITC専門せんもん研究所けんきゅうじょから情報じょうほうおくられており、そこにはトーマス・エジソンキュリー夫人ふじんヴェルナー・フォン・ブラウンアルベルト・アインシュタインコンラート・ローレンツアーサー・コナン・ドイルジュール・ヴェルヌ、そしてITCの先駆せんくしゃであるフリードリッヒ・ユルゲンソンドイツばんコンスタンティン・ラウティヴ英語えいごばんらが、いかにして地球ちきゅう連絡れんらくるか、努力どりょくつづけているという。これはあくまでCETL独自どくじ情報じょうほうであり、のソースでは確認かくにんされていない。

EVPへの批判ひはん

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ちょう心理しんり学者がくしゃのコンスタンティン・ラウティヴ(Konstantin Raudive)によれば、電子でんし音声おんせい現象げんしょう特徴とくちょうは、ひろわれた音声おんせい単語たんご程度ていどまたはみじか言葉ことば程度ていどながさをもつことだとしている[2]電子でんし音声おんせい現象げんしょうこる一般いっぱんてき音源おんげんとしては、ホワイトノイズ放送ほうそう受信じゅしんできていないときにラジオなどから発生はっせいするノイズ、録音ろくおんひろった背景はいけいノイズ(とくちいさなおと録音ろくおんすべく録音ろくおんがわ感度かんどげたとき顕著けんちょはいる、いわゆる「サー」というおと)などがげられる。このような音源おんげんにおいて科学かがくでは説明せつめいかない電子でんし音声おんせい現象げんしょうこったと主張しゅちょうするれいられる。

しかし、それらは自然しぜん現象げんしょう、あるいは偶然ぐうぜん産物さんぶつにすぎないという指摘してきがある。

偶然ぐうぜん産物さんぶつ
たとえば、たんひとこえおとっていただけ、ラジオに無線むせん混信こんしんしただけという現象げんしょうがこれにたる。
自然しぜん現象げんしょう
流星りゅうせい地球ちきゅう落下らっかしてとき電離層でんりそうに1びょう程度ていどみじか時間じかんながら影響えいきょうあたえて、結果けっかとして通常つうじょうとどかない場所ばしょから発信はっしんされたラジオ電波でんぱとおくにとどけてしまう場合ばあいがある[3][4]
知覚ちかく錯誤さくご
ランダムに発生はっせいさせた音声おんせいのうはたらきによって自身じしんはな言語げんごであるかのように知覚ちかくしてしまう認知にんちじょう錯誤さくごこりる。(現象げんしょうとして、自身じしんらない言語げんご一部いちぶ自身じしんっている言語げんごであるかのようにこえた現象げんしょうなどがある。人間にんげんのう自身じしんのとって意味いみのある言葉ことばさがそうとするのでこのような現象げんしょうこる。)
捏造ねつぞう・でっち
おとひとこえせる方法ほうほう無数むすうにある。そもそも人為じんいてきはなごえこえるようにつくられたおとであったり(たとえば、ホワイトノイズにあるしゅのフィルターをかけて加工かこうしてやるとはなしているようにこえるおとつくることもできる。)、ギターなどの楽器がっきおとにワウエフェクト(フィルターけいのエフェクター)をかけて加工かこうすると人間にんげんはなしているようにこえるおとつくることもできる[5]

ITCの検証けんしょう実験じっけん

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[6] イタリアのボローニャ電子でんし音響おんきょう研究所けんきゅうじょをはじめ複数ふくすう研究所けんきゅうじょで、ITCにより録音ろくおんされた「死者ししゃ音声おんせい」の研究けんきゅうおこなわれた。その結果けっか録音ろくおんされた音声おんせいは「現在げんざい科学かがくてき知識ちしきでは説明せつめい不可能ふかのう」とされた。録音ろくおんされた音声おんせいさらなる分析ぶんせきにかけられ、「90%以上いじょうかくりつ故人こじん生前せいぜんはなしていたこえ一致いっち」した。その音声おんせいは、録音ろくおんされたテープをぎゃく再生さいせいした場合ばあいもメッセージとしてききとれ、もっと高性能こうせいのうのソフトウェアでも再現さいげん不可能ふかのうとされた。

ITCには様々さまざま批判ひはんがあるが、この実験じっけん結果けっかでは、複数ふくすう参加さんかしゃ同時どうじひとつのメッセージをききとることが出来できたため「様々さまざまおと偶然ぐうぜん意味いみってこえた」というせつや「最初さいしょ録音ろくおんいたものにより実験じっけんしゃ誘導ゆうどうされた」という批判ひはんてき解釈かいしゃくりたなかった。また、この研究けんきゅうでは、実験じっけんしゃ使用しようする電波でんぱ種類しゅるい部外ぶがいしゃ方法ほうほうがないため、第三者だいさんしゃがイタズラで介入かいにゅうする可能かのうせい皆無かいむであった。録音ろくおんされた音声おんせいは1400ヘルツをえており、通常つうじょう人間にんげん声帯せいたい(80〜400ヘルツ)ではせない周波数しゅうはすうおとであった。こえはITC参加さんかしゃ質問しつもん参加さんかしゃらない知識ちしきもちいて返答へんとうしたため「ラジオの電波でんぱ偶然ぐうぜんとらえられた」とするせつりたなかった。

2004ねんのイタリア、グローセットの電子でんし音声おんせい現象げんしょうセンターの実験じっけんでは、厳重げんじゅう監視かんしかれた電源でんげんはいっていないラジオからメッセージがとらえられた。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ パット・クビス&マーク・メイシー『あの存在そんざい(いのち)にかされるかた徳間書店とくましょてん
  2. ^ Raudive, Konstantin (1971). Breakthrough: An Amazing Experiment in Electronic Communication With the Dead (Original title: The Inaudible Becomes Audible). Taplinger Publishing Co.. ISBN 0-8008-0965-3
  3. ^ L.A. Manning et al., Determination of ionospheric electron distribution, Proc Inst Radio Engineers Vol 37, pp599-603 (1949)
  4. ^ A.B.C. Lovell (1954). Meteor Astronomy. Clarendon Press.
  5. ^ Carroll, Robert Todd, The Skeptic's Dictionary 2003, Wiley Publishing Company, ISBN 0-471-27242-6
  6. ^ ジャン=ジャック・シャルボニエ『「あの」が存在そんざいする7つの理由りゆう』サンマーク出版しゅっぱん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • "Electronic voice phenomenon (EVP)" Skeptic's Dictionary
  • Wiggins Arthur W. Wynn Charles M. (2001), "Quantum Leaps in the Wrong Direction: Where Real Science Ends and Pseudoscience Begins", National Academies Press, ISBN 0-309-07309-X
  • Zusne, Leonard; Warren H. Jones (1989). Anomalistic Psychology: A Study of Magical Thinking. Lawrence Erlbaum Associates. p. 78. ISBN 0-8058-0508-7
  • Carroll, Robert Todd, The Skeptic's Dictionary 2003, Wiley Publishing Company, ISBN 0-471-27242-6
  • Hines, Terrence (1988). Pseudoscience and the Paranormal: A Critical Examination of the Evidence. Buffalo, NY: Prometheus Books. ISBN 0-87975-419-2
  • パット・クビス&マーク・メイシー『あの存在そんざい(いのち)にかされるかた徳間書店とくましょてん
  • ジャン=ジャック・シャルボニエ『「あの」が存在そんざいする7つの理由りゆう』サンマーク出版しゅっぱん

外部がいぶリンク

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