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あずかところ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

あずかところ(あずかりどころ/あずけしょ/あずがっそ/あずかりしょ)とは、中世ちゅうせい荘園しょうえんにおいて本所ほんじょ補任ほにんけて在地ざいち統括とうかつしたしょく

概要がいよう

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鎌倉かまくら時代ときよ法制ほうせいしょである『沙汰さた未練みれんしょ』には「あずかしょしゃ本所ほんじょ御領ごりょうしょつとむ代官だいかん也(あずかところ本所ほんじょりょうにおけるところつとむ代官だいかんである)」としるされている。12世紀せいきころから従来じゅうらいせんとうあずか検校けんぎょうてい使つかいなどにわって出現しゅつげんした。本家ほんけ本所ほんじょ場合ばあいおおく、本家ほんけ大抵たいてい王家おうけ摂関せっかんなどの権門けんもん貴族きぞくだい寺社じしゃだったが、かれらは田舎いなか所領しょりょう直接ちょくせつ知行ちぎょうするのを「見苦みぐるしい」こととしてきら[1]所縁しょえんものあずかところ補任ほにんしてそうつとむたらせた[2]

ただし、記録きろく文献ぶんけんじょうあらわれるあずかところ様々さまざま地位ちい職掌しょくしょうにあったことがられている。一般いっぱんてきあずかところ本所ほんじょ補任ほにんけて在地ざいちにおいて下司げす公文こうぶんなどの下級かきゅうそうかん指揮しきして経営けいえいにあたっていた。在地ざいちにおけるあずかところでは本所ほんじょより派遣はけんされたもの現地げんち有力ゆうりょくしゃ開発かいはつ領主りょうしゅ寄進きしんしゃ本人ほんにん(または子孫しそんなどの関係かんけいしゃ)がにんじられることがおおかった。だが、一方いっぽうにおいて、本家ほんけ-領家りょうけといった重層じゅうそうてき荘園しょうえん領主りょうしゅ存在そんざいする荘園しょうえんでは本家ほんけ本所ほんじょである場合ばあい領家りょうけのことをあずかところしょうした。さら本家ほんけ自己じこいえなどをあずかところにんじて知行ちぎょうさせ俸禄のわりにした場合ばあいもあった。りょういえあずかところになった場合ばあいには在京ざいきょうのままその地位ちいめることがおおく、実際じっさい経営けいえいかれらににんぜられた代官だいかんなどがおこなっていた。前者ぜんしゃのような在地ざいちあずかところを「在地ざいちあずかしょ」、後者こうしゃのような京都きょうと居住きょじゅうする(したがって現地げんちにはおもむかない)あずかところを「在京ざいきょうあずかしょ」とぶ。重層じゅうそうてき荘園しょうえん領主りょうしゅ構造こうぞうなかでは、在地ざいちあずかところ在京ざいきょうあずかところ両方りょうほう存在そんざいする場合ばあいもあり、その場合ばあい下級かきゅうそうかんである下司げすたいして前者ぜんしゃちゅう後者こうしゃ上司じょうししょうした。平安へいあん時代じだい末期まっきには本来ほんらい事務じむかんてき要素ようそつよあずかところ武士ぶしれい増加ぞうかし、そのまま地頭じとう在地ざいち領主りょうしゅ地位ちいれいあらわれた。なお、鎌倉かまくら幕府ばくふにおいては、御家人ごけにん上司じょうし在京ざいきょうあずかしょ)あるいはそれにちか権限けんげんゆうする上級じょうきゅうそうかん補任ほにんされることをきんじた「はたかん上司じょうし」とばれる規定きていがあった。これは鎌倉かまくら幕府ばくふによって正式せいしき補任ほにんされて荘園しょうえん支配しはいした地頭じとうそうかんとしては下司げすもしくはちゅうつかさ相当そうとうする場合ばあいおおく、幕府ばくふつかえる御家人ごけにん上司じょうしとなって幕府ばくふ補任ほにんしたおな御家人ごけにんである地頭じとうとのあいだ上下じょうげ関係かんけい発生はっせいすることを危惧きぐしたための規定きていである。 

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ たま文治ぶんじ元年がんねん1185ねん)10がつ25にちじょう、『明月めいげつぶんれき元年がんねん1234ねん)8がつ18にちじょう
  2. ^ 西谷にしたに正浩まさひろ荘園しょうえんせい展開てんかい所有しょゆう構造こうぞう」『岩波いわなみ講座こうざ 日本にっぽん歴史れきし だい8かん 中世ちゅうせい3』 岩波書店いわなみしょてん、2014ねん8がつISBN 978-4-00-011328-1

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 上島うえしまゆうあずかしょ」(『国史こくしだい辞典じてん 1』(吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1979ねんISBN 978-4-642-00501-2
  • 工藤くどう敬一けいいちあずかしょ」(『日本にっぽんだい事典じてん 1』1(平凡社へいぼんしゃ、1992ねんISBN 978-4-582-13101-7
  • 中野なかの栄夫ひでおあずかしょ」(『平安へいあん時代じだい事典じてん』(角川書店かどかわしょてん、1994ねんISBN 978-4-04-031700-7