2K1 (ミサイル)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
2K1 マルス
種類しゅるい はししきロケットシステム
はら開発かいはつこく ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦れんぽう
しょもと
最大さいだい射程しゃてい 18 km (11 mi)

エンジン 3R1
誘導ゆうどう方式ほうしき 弾道だんどう
テンプレートを表示ひょうじ

2K1 マルスNATOコードネームFROG-2GRAUインデックス2K1)は、射程しゃてい7-18kmのソビエト連邦れんぽう固体こたい燃料ねんりょう戦術せんじゅつミサイルシステムである。

主任しゅにん設計せっけいしゃはN.P.マズール。

  • ランチャーの重量じゅうりょう:15トン PT-76戦車せんしゃがベース
  • ロケットエンジン:3R1
  • ミサイルの直径ちょっけい:1.75 m
  • 誘導ゆうどう:ランチャーによる
  • ランチャーのさい高速度こうそくど:35 km/h

歴史れきし[編集へんしゅう]

背景はいけい[編集へんしゅう]

ながさ3m、直径ちょっけい0.7-1.5m、おもさ4-5tの最初さいしょ核兵器かくへいきはとてもおおきくておもく、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくボーイングB-29コンベアB-36ソ連それんツポレフTu-4などの戦略せんりゃく爆撃ばくげきでなければ搭載とうさいできなかった[1]。しかし、1950年代ねんだいには、軍事ぐんじ作戦さくせん場面ばめんてき陣地じんち前方ぜんぽうへのかく攻撃こうげきにこれらの航空機こうくうき使用しようすることは現実げんじつてきではなかった[2]

1950 年代ねんだいなかばになると、核兵器かくへいき発展はってんにより、威力いりょく技術ぎじゅつてき特性とくせい向上こうじょうする一方いっぽうで、直径ちょっけい質量しつりょうちいさくなったため、様々さまざま輸送ゆそう手段しゅだんへの搭載とうさい可能かのうとなった。とく戦術せんじゅつ攻撃こうげき航空こうくう母艦ぼかんてきしたものとなったが、その使用しよう時間じかんたい気象きしょう条件じょうけんてき防空ぼうくうりょくつよさなどに依存いぞんした[3]。また、戦術せんじゅつ攻撃こうげき反応はんのう時間じかん非常ひじょうおおきい。このような状況じょうきょうでは、核弾頭かくだんとう輸送ゆそう手段しゅだん陸軍りくぐん部隊ぶたいつことがのぞまれるようになった。1950 年代ねんだいには、これらの手段しゅだんには、従来じゅうらい砲兵ほうへい反動はんどうライフル、誘導ゆうどう戦術せんじゅつミサイルがふくまれていた。アメリカで、そしてややおくれてソ連それんでもこれら3つの選択肢せんたくしかんする作業さぎょうおこなわれた。

利用りよう可能かのう核兵器かくへいき技術ぎじゅつでは、十分じゅうぶんにコンパクトなばくだんつくれなかったため、アメリカのT131ほう、ソビエトのSM-54(2A3)ライフルほうSM-58 420mmほう(2B1)すべり腔迫げきほうなどの大砲たいほう解決かいけつほうは、2A3が 55トン、T131が 75.5トンと、おもくて不格好ぶかっこうになってしまった。これらははしうえ牽引けんいんもできず、農村のうそん都市とし移動いどうもできず、発射はっしゃ準備じゅんびおおくの時間じかんようした。

アメリカとソ連それんでは、これらのおもすぎる砲弾ほうだん代替だいたい兵器へいきは、核兵器かくへいきのキャリアとしての誘導ゆうどう戦術せんじゅつロケットだんだった。おも利点りてん以下いかとおり。

  • 1950-60年代ねんだい慣性かんせい誘導ゆうどうシステムは、射程しゃていやく30kmでは500-1000m(CEP)程度ていど精度せいどしかられず、誘導ゆうどうロケットの精度せいど同等どうとうであった。
  • 無線むせん誘導ゆうどう干渉かんしょうけやすいためこのましくなかった。また、地上ちじょう空中くうちゅう誘導ゆうどうぶつ設置せっちする必要ひつようがあった。
  • 海洋かいようおよび航空こうくう目標もくひょうようのアクティブホーミングシステムは、地上ちじょう目標もくひょうよう設計せっけいされたシステムはおろか、1950年代ねんだい初頭しょとうにはまだ開発かいはつされていなかった。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Knaack, Marcelle Size (1978). Encyclopedia of US Air Force Aircraft and Missile Systems. Volume 1. Post-World War II Fighters 1945-1973. Washington DC: Office of Air Force History. doi:10.21236/ada057002
  2. ^ Secret Understandings on the Use of Nuclear Weapons, 1950-1974”. nsarchive2.gwu.edu. 2020ねん1がつ22にち閲覧えつらん
  3. ^ Green, William C. (2019-07-11), “Theater and Tactical Nuclear Weapons Policy”, Soviet Nuclear Weapons Policy (Routledge): 195–243, doi:10.4324/9780429307065-5, ISBN 978-0-429-30706-5, https://www.taylorfrancis.com/books/9780429307065/chapters/10.4324/9780429307065-5 2020ねん1がつ22にち閲覧えつらん