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BBNJ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
国家こっか管轄かんかつけんがい区域くいき海洋かいよう生物せいぶつ多様たようせい保全ほぜんおよ持続じぞく可能かのう利用りようかんする国連こくれん海洋かいようほう条約じょうやくしたでの協定きょうてい
通称つうしょう略称りゃくしょう BBNJ協定きょうてい
署名しょめい 2023ねん9がつ20日はつか
署名しょめい場所ばしょ ニューヨーク
関連かんれん条約じょうやく 国連こくれん海洋かいようほう条約じょうやく
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BBNJ(びーびーえぬじぇー、marine Biological diversity Beyond areas of National Jurisdiction)とは、「国家こっか管轄かんかつけんがい区域くいきにおける海洋かいよう生物せいぶつ多様たようせい[注釈ちゅうしゃく 1]」である。国家こっか管轄かんかつけんがい区域くいきとは、公海こうかいおよ深海しんかいそこす。

海洋かいようほうかんする国際こくさい連合れんごう条約じょうやく」(海洋かいようほう条約じょうやく)における制度せいどでは公海こうかいおよ深海しんかいそこにはくに管轄かんかつけんおよばず、生物せいぶつ多様たようせい保全ほぜんおよ持続じぞく可能かのう利用りよう[注釈ちゅうしゃく 2] についての規律きりつ不十分ふじゅうぶんであるため、生物せいぶつ多様たようせい問題もんだいなかでもとくに「BBNJの保全ほぜんおよ持続じぞく可能かのう利用りよう」を独自どくじ問題もんだいとしてあつか必要ひつようせいしょうじた。

概要がいよう

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うみかんする国際こくさいほうにおいては、18世紀せいきごろから慣習かんしゅう国際こくさいほうとして、海洋かいよう沿岸えんがんこく領有りょうゆうできる領海りょうかい沿岸えんがんこく領有りょうゆうできない公海こうかいけ、公海こうかいでは「公海こうかい自由じゆう原則げんそく」が確立かくりつし、公海こうかいはいかなるくににもぞくさず、また、すべてのくに自由じゆう公海こうかいとその資源しげん使用しようすることができた。その、1982ねんにはうみかんする国際こくさいほうとしてもっと普遍ふへんてきかつ包括ほうかつてき条約じょうやくであり「うみ憲法けんぽう」ともばれる海洋かいようほう条約じょうやく採択さいたくされ、海洋かいようほう条約じょうやくは、うみおよ海底かいてい内水うすい[注釈ちゅうしゃく 3]群島ぐんとう水域すいいき[注釈ちゅうしゃく 4]領海りょうかい[注釈ちゅうしゃく 5]排他はいたてき経済けいざい水域すいいき[注釈ちゅうしゃく 6]公海こうかい[注釈ちゅうしゃく 7]大陸棚たいりくだな[注釈ちゅうしゃく 8]深海ふかうみそこ[注釈ちゅうしゃく 9]分類ぶんるいした。このうち内水うすい群島ぐんとう水域すいいき領海りょうかい排他はいたてき経済けいざい水域すいいき大陸棚たいりくだなについては、沿岸えんがんこく主権しゅけん主権しゅけんてき権利けんり管轄かんかつけんおよぶが、公海こうかい深海ふかうみそこにはいずれのくに属地ぞくちてき管轄かんかつけんおよばない。

公海こうかいじょう区域くいきたい属地ぞくちてき管轄かんかつけんゆうするくにはなく、公海こうかいじょうでははたこく主義しゅぎもとづき、船舶せんぱくはたこく当該とうがい船舶せんぱく属人ぞくじんてき管轄かんかつけんゆうするのみである。さらに、深海ふかうみそこにおいても属地ぞくちてき管轄かんかつけんゆうするくにはなく、海洋かいようほう条約じょうやくもとづき設立せつりつされた国際こくさい海底かいてい機構きこう深海しんかいそこ資源しげん一元いちげんてき管理かんりしてはいるが、対象たいしょうとなる資源しげん鉱物こうぶつ資源しげんのみ[注釈ちゅうしゃく 10]である。生物せいぶつ多様たようせい保全ほぜんのためには区域くいきもとづく規制きせい不可欠ふかけつであるとされているが、上記じょうきのように属地ぞくちてき管轄かんかつけんいている区域くいきである公海こうかい深海しんかいそこではそれができない。

海洋かいようほう条約じょうやく採択さいたくには、国際こくさいてき生物せいぶつ多様たようせいたいする関心かんしんつよまっていき、1992ねんの「環境かんきょう開発かいはつかんする国際こくさい連合れんごう会議かいぎ[注釈ちゅうしゃく 11]で「生物せいぶつ多様たようせいかんする条約じょうやく」(生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやく)が採択さいたくされた[注釈ちゅうしゃく 12]が、生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくにおいてもくに管轄かんかつけんえる区域くいき適用てきよう範囲はんいがい[注釈ちゅうしゃく 13]とされたため、BBNJの保全ほぜんおよ持続じぞく可能かのう利用りよう課題かだいとしてのこされていた。

したがって、あらたな法的ほうてき枠組わくぐみの形成けいせいをしないかぎり、国家こっか管轄かんかつけんがい区域くいきにおいては生物せいぶつ多様たようせいについてくに実効じっこうてき規制きせいすことはできず、BBNJの保全ほぜんおよ持続じぞく可能かのう利用りよう問題もんだいとなっている。[1]

BBNJにたいする脅威きょうい

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海洋かいようほう条約じょうやくでは、慣習かんしゅう国際こくさいほうじょう公海こうかい自由じゆう原則げんそく踏襲とうしゅうされ、すべてのくに公海こうかい自由じゆう使つかえるとされたが、制限せいげんというわけではない。たとえば、海洋かいようほう条約じょうやくだい192じょうではすべてのくに海洋かいよう環境かんきょう保護ほごする一般いっぱんてき義務ぎむしており、だい194じょう5こうでは「希少きしょうまたはぜいじゃく生態せいたいけいおよ減少げんしょうしており、脅威きょういにさらされておりまた絶滅ぜつめつのおそれのあるしゅその海洋かいよう生物せいぶつ生息せいそく保護ほごおよ保全ほぜんするために必要ひつよう措置そち」も視野しやふくまれている。しかし、海洋かいよう環境かんきょう保護ほごおよ保全ほぜんかんするだい12だい1せつだい192じょうだい196じょう)は理念りねんてき規定きていであり、くに特定とくてい権利けんり義務ぎむあたえるものではない。[2]

また、公海こうかい漁業ぎょぎょうについては海洋かいようほう条約じょうやくだい7だい2せつだい116じょうだい120じょう)の規定きていしたがわなければならない。海洋かいようほう条約じょうやく規定きていだけでは、義務ぎむ内容ないよう明確めいかくなので、国連こくれん公海こうかい漁業ぎょぎょう協定きょうてい[注釈ちゅうしゃく 14]海洋かいようほう条約じょうやくだい118じょう義務ぎむ厳格げんかくしたうえで、その義務ぎむ履行りこうしないくに公海こうかい漁業ぎょぎょう制限せいげんしている。しかし、国連こくれん公海こうかい漁業ぎょぎょう協定きょうてい公海こうかい漁業ぎょぎょう制限せいげんしたとしても、それは国連こくれん公海こうかい漁業ぎょぎょう協定きょうてい締約ていやくこくにしか効力こうりょくおよばず、締約ていやくこく国連こくれん公海こうかい漁業ぎょぎょう協定きょうていには拘束こうそくされない。

このように公海こうかい自由じゆう原則げんそくたいする制限せいげんきわめて不十分ふじゅうぶんであり、乱獲らんかくなどの問題もんだいにつながっている。

IUU漁業ぎょぎょう

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公海こうかいにおける国際こくさいほうじょう規律きりつ欠如けつじょ利用りようしたり、沿岸えんがんこくとく途上とじょうこく)の海洋かいよう管理かんり能力のうりょく欠如けつじょあるいは管理かんりする意思いし欠如けつじょ利用りようしたりして、国際こくさいほう国内こくないほう違反いはんしたり規制きせいのがれたりしておこな漁業ぎょぎょうIUU漁業ぎょぎょう違法いほう報告ほうこく規制きせい漁業ぎょぎょう;illegal, unreported and unregulated fishing)という。このIUU漁業ぎょぎょうによる乱獲らんかくなどが生態せいたいけいおおきなダメージをあたえているとわれている。[3]

海洋かいよう遺伝いでん資源しげん

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生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくにおいて、遺伝いでん機能きのうてき単位たんいゆうする植物しょくぶつ動物どうぶつ微生物びせいぶつその由来ゆらいする素材そざい遺伝いでん素材そざいといい、現実げんじつまた潜在せんざいてき価値かちゆうする遺伝いでん素材そざい遺伝いでん資源しげんという。遺伝いでん資源しげん利用りよう生物せいぶつ多様たようせい構成こうせい要素ようそ利用りようたる。生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくでは「遺伝いでん資源しげん利用りようからしょうずる利益りえき公正こうせいかつ衡平こうへい配分はいぶん」をその主要しゅよう目的もくてきひとつとしており、だい10かい締約ていやくこく会議かいぎ(COP10)においては遺伝いでん資源しげん利益りえき配分はいぶんについての「名古屋なごや議定ぎていしょ[注釈ちゅうしゃく 15]締結ていけつしている。ただし、生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくおよ名古屋なごや議定ぎていしょではくに管轄かんかつけんおよばない区域くいき公海こうかい深海ふかうみそこ)は適用てきよう範囲はんいがいであり、公海こうかい深海しんかいそこにある遺伝いでん資源しげん対象たいしょうとはならない。したがって、公海こうかい深海しんかいそこにある遺伝いでん資源しげん国際こくさいほうじょう規律きりつおよばない。

1977ねん2がつにアメリカの深海しんかい探査たんさていアルビンごうねつすい噴出ふんしゅつあな多様たよう生物せいぶつ生息せいそくしているのを発見はっけんして以降いこう海洋かいよう科学かがくてき調査ちょうさ進展しんてんにより、深海しんかいにある海底かいていねつすい鉱床こうしょうねつすい噴出ふんしゅつあな海山みやま冷水れいすいせいサンゴ礁さんごしょうなどには「極限きょくげん環境かんきょう生物せいぶつ」とばれる生物せいぶつなどがおお生息せいそくしていることがわかってきており、また、それらの生物せいぶつ遺伝いでん素材そざい医薬品いやくひん開発かいはつなどに応用おうようできる可能かのうせいがあり、「海洋かいよう遺伝いでん資源しげん」(marine genetic resources:MGR)として注目ちゅうもくされている。[4]しかし、バイオプロスペクティングなどにより、そのような海洋かいよう遺伝いでん資源しげんにアクセスするには高度こうど技術ぎじゅつようし、また、公海こうかい深海しんかいそこ生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくおよ名古屋なごや議定ぎていしょ適用てきようされないため、海洋かいよう遺伝いでん資源しげんからられる利益りえき事実じじつじょう先進せんしん諸国しょこくによる独占どくせん状態じょうたいとなる。

これにたいし、途上とじょうこく海洋かいよう遺伝いでん資源しげんは「人類じんるい共通きょうつう財産ざいさん」(Common Heritage of Mankind:CHM)[注釈ちゅうしゃく 16]であり海洋かいよう遺伝いでん資源しげんからられる利益りえき衡平こうへい配分はいぶんするべきと主張しゅちょうしている。[1]他方たほう先進せんしん諸国しょこく海洋かいよう遺伝いでん資源しげん取得しゅとく公海こうかい自由じゆう原則げんそくもとづき自由じゆうであるべきと主張しゅちょう[1]、また、海洋かいよう遺伝いでん資源しげん知的ちてき財産ざいさんけんみとめるべき[注釈ちゅうしゃく 17]かも問題もんだいとなっている。[5]

海洋かいよう遺伝いでん資源しげんへのアクセスの方法ほうほうとして「海洋かいよう科学かがくてき調査ちょうさ」と「バイオプロスペクティング」を峻別しゅんべつし、バイオプロスペクティングにたいして一般いっぱんてき海洋かいよう科学かがくてき調査ちょうさとはことなる規制きせいおこなうという議論ぎろんもあるが、両者りょうしゃ外観がいかんじょうはほぼ同様どうよう技術ぎじゅつもちいており明確めいかく線引せんひきをするのは至難しなんである。[6]

海洋かいよう遺伝いでん資源しげん定義ていぎ

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遺伝いでん資源しげんについての定義ていぎ生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくさだめられているが、海洋かいよう遺伝いでん資源しげん定義ていぎ国際こくさいほうじょう存在そんざいしない。海洋かいよう遺伝いでん資源しげん定義ていぎには、海洋かいよう遺伝いでん資源しげんからられた派生はせいぶつ電子でんし情報じょうほうされた海洋かいよう遺伝いでん資源しげんさかなふくめるべきかかが議論ぎろんされている。[7]また、さかなについては「遺伝いでんてき性質せいしつのために使用しようされるさかな」と「商業しょうぎょうてき目的もくてき使用しようされるさかな」を区別くべつすべきかかも議論ぎろんかれている。[8]

海洋かいよう保護ほご

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BBNJの保全ほぜんのためには区域くいきもとづき規制きせいおこな必要ひつようがあり、そのような規制きせい方法ほうほうは「区域くいきがた管理かんりツール」(Area-Based Management Tools:ABMT)と総称そうしょうされている。区域くいきがた管理かんりツールのなかでもとく有用ゆうようなのが「海洋かいよう保護ほご」(Marine Protected Area:MPA)である。海洋かいよう保護ほご一切いっさい活動かつどう禁止きんしする漁業ぎょぎょう禁止きんし区域くいき航行こうこう禁止きんし区域くいきのみをすのではなく、法的ほうてき手法しゅほうなどにより周辺しゅうへん海域かいいきくらべより保護ほごされている海域かいいきす。一般いっぱんてき定義ていぎはないが、国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごう(IUCN)は「生態せいたいけいサービスおよ文化ぶんかてき価値かちふく自然しぜん長期ちょうきてき保全ほぜん達成たっせいするため、法律ほうりつまた効果こうかてき手段しゅだんつうじて認識にんしきされ、供用きょうようされおよ管理かんりされる明確めいかくさだめられた地理ちりてき空間くうかん」と定義ていぎしている。

海洋かいよう保護ほごのほとんどは領海りょうかい排他はいたてき経済けいざい水域すいいきにおいて沿岸えんがんこくがその主権しゅけん主権しゅけんてき権利けんり管轄かんかつけんもとづき、設定せっていしているものである。公海こうかいは「公海こうかい自由じゆう原則げんそく」があるため、他国たこくによる公海こうかい使用しよう強制きょうせいてき制限せいげんすることはできないが、公海こうかい自由じゆう原則げんそく海洋かいようほう条約じょうやくだい87じょうに「公海こうかい自由じゆうは、この条約じょうやくおよ国際こくさいほうほか規則きそくさだめる条件じょうけんしたがって行使こうしされる」とあるとおり「国際こくさいほう規則きそく」によって制限せいげんすることはできるため、公海こうかい自由じゆうたいする制限せいげん自主じしゅてき同意どういするくにが、それらのこくどうしで条約じょうやく締結ていけつしたり国際こくさい機関きかん設立せつりつし、海洋かいよう保護ほご設定せっていすることは可能かのうである。ただし、当然とうぜんのことながら、その海洋かいよう保護ほご締約ていやくこくたいしては効力こうりょくおよばない

海洋かいよう保護ほごやそれに類似るいじするものを公海こうかいじょう設定せっていしていたり設定せっていしうる主要しゅようれい以下いか紹介しょうかいする。

特別とくべつ敏感びんかん海域かいいき

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特別とくべつ敏感びんかん海域かいいき(Particularly Sensitive Sea Areas:PSSA)とは、国際こくさい海事かいじ機関きかん(IMO)が海洋かいよう環境かんきょう保護ほご目的もくてき一定いってい海域かいいき設定せっていする海洋かいよう保護ほごであり「みとめられた生態せいたいがくてき社会しゃかい経済けいざいてきまたは科学かがくてき特性とくせい重要じゅうようせいにより、国際こくさい海運かいうん活動かつどうからける損害そんがい脆弱ぜいじゃくな、IMOによる行動こうどうつうじて特別とくべつ保護ほご必要ひつようとする海域かいいき」と定義ていぎされている。[9]PSSA自体じたいはIMO総会そうかいが1991ねん採択さいたくした「特別とくべつ海域かいいき指定していおよ特別とくべつ敏感びんかん海域かいいき特定とくていのための指針ししん」(91ねんガイドライン)[注釈ちゅうしゃく 18]により創設そうせつされたIMO独自どくじ制度せいどであり法的ほうてき拘束こうそくりょくはないが[10]、IMOは海洋かいようほう条約じょうやくにおける「権限けんげんのある国際こくさい機関きかん」であり[11]、その正当せいとうせいつよい。

PSSAが実際じっさい公海こうかいじょう設定せっていされたれいはないが、2005ねん改訂かいていされた「特別とくべつ敏感びんかん海域かいいき特定とくていおよ指定していのための改訂かいていガイドライン」(2005ねんガイドライン)には「領海りょうかい範囲はんいないあるいはそとのPSSAは」(PSSAs within and beyond the limits of the territorial sea)と記述きじゅつされており[12]、このことから、理論りろんじょう公海こうかいじょうにもPSSAを設定せっていすることは可能かのうであると解釈かいしゃくされている。[13]

南極なんきょく海洋かいよう生物せいぶつ資源しげん保存ほぞん条約じょうやく

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南極なんきょく海洋かいよう生物せいぶつ資源しげん保存ほぞん条約じょうやく南極なんきょく海洋かいよう生物せいぶつ資源しげん保存ほぞんかんする条約じょうやく )は、南極なんきょく地域ちいき[注釈ちゅうしゃく 19]海洋かいよう生物せいぶつ資源しげん保存ほぞんするために締結ていけつされた南極なんきょく条約じょうやく補完ほかんする条約じょうやくである。この条約じょうやくもとづき設立せつりつされた南極なんきょく海洋かいよう生物せいぶつ資源しげん保存ほぞん委員いいんかい(CCAMLR)は、2009ねん世界せかいはつとなる公海こうかいじょう海洋かいよう保護ほごサウス・オークニー諸島しょとうみなみ海域かいいきに「サウス・オークニー海洋かいよう保護ほご」(South Orkney MPA)として設定せっていした。[14]また、2016ねんには南極なんきょくかいロス海ろすかい(Ross Sea)の公海こうかいじょう区域くいきにも「ロス海ろすかい海洋かいよう保護ほご」(Ross sea MPA)として海洋かいよう保護ほご設置せっちしている。ロス海ろすかい海洋かいよう保護ほごはその一部いちぶ区域くいき漁業ぎょぎょう禁止きんししている。[15][16]

オスパール条約じょうやく

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1998ねん発効はっこうしたオスパール条約じょうやく北東ほくとう大西洋たいせいよう海洋かいよう環境かんきょう保護ほごのための条約じょうやく)は、北東ほくとう大西洋たいせいよう海洋かいよう環境かんきょう保護ほごするための地域ちいきてき条約じょうやくである。オスパール条約じょうやくでは、(ⅰ)人間にんげん活動かつどうによって悪影響あくえいきょうこうむってきたたねやその生息せいそく生態せいたいけい全体ぜんたい保護ほご回復かいふくすること、(ⅱ)予防よぼう原則げんそくしたがってたね生息せいそく生態せいたいけい全体ぜんたいたいするダメージをふせぐこと、(ⅲ)海洋かいようにおいてたね生息せいそく生態せいたいけい全体ぜんたいもっともよく代表だいひょうするような区域くいき保護ほご保全ほぜんすること、を目的もくてきとして海洋かいよう保護ほご設置せっちするとしている。[17]2010ねんだい3かい閣僚かくりょう会合かいごうにおいて、以下いかむっつの海洋かいよう保護ほご公海こうかいじょう設置せっちした。[18]

  1. チャーリー・ギブスみなみ保護ほご(Charlie‐Gibbs South MPA)
  2. ミルン海山うみやまふく合体がったい保護ほご(Milne Seamount Complex MPA)              
  3. アゾレス諸島しょとうきた大西洋たいせいよう中央ちゅうおう海嶺かいれい公海こうかい保護ほご(Mid‐Atlantic Ridge north of the Azores High Seas MPA)
  4. アルタイル海山うみやま公海こうかい保護ほご(Altair Seamount High Seas MPA)
  5. アンチアルタイル公海こうかい保護ほご(Antialtair High Seas MPA)
  6. ジョセフィーン海山うみやまふく合体がったい公海こうかい保護ほご(Josephine Seamount Complex High Seas MPA)

このうち、チャーリー・ギブスみなみ保護ほごとミルン海山うみやまふく合体がったい保護ほごはそのすべての区域くいき完全かんぜん公海こうかいじょう位置いちしている。[18] また、2012ねんにはあらたにチャーリー・ギブスきた公海こうかい保護ほご(Charlie‐Gibbs North High Seas MPA)も公海こうかいじょう設置せっちしている。[18]

生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくだい9かい締約ていやくこく会議かいぎ(COP9)において公海こうかいにおける生物せいぶつ多様たようせい保全ほぜんにおいて重要じゅうよう海域かいいき特定とくていするためのもの[注釈ちゅうしゃく 20]として「生態せいたいがくてきあるいは生物せいぶつがくてき重要じゅうよう海域かいいき 」(ecologically and biologically significant marine areas;EBSA)という概念がいねんとその基準きじゅん提唱ていしょうされ[19]公海こうかいにおけるEBSAの選定せんていおこなわれている。[20]ただし、EBSA自体じたいはあくまで科学かがくてき観点かんてんから生物せいぶつ多様たようせい保全ほぜんじょう重要じゅうよう海域かいいき特定とくていするというものであり、それ自体じたい海洋かいよう保護ほごではない。

だい10かい締約ていやくこく会議かいぎ(COP10)で採択さいたくされた「愛知あいち目標もくひょう」の目標もくひょう11では、「2020ねんまでに、生物せいぶつ多様たようせい生態せいたいけいサービスのためにとく重要じゅうよう区域くいきふく沿岸えんがんおよ海域かいいきすくなくとも10%を、保護ほご地域ちいきシステムやその効果こうかてき管理かんりにより保全ほぜんすること」としている。これにより、EBSAが海洋かいよう保護ほごとして設定せっていされることが促進そくしんされると期待きたいされている。[20]

地域ちいきてき漁業ぎょぎょう機関きかん

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その北東ほくとう大西洋たいせいよう漁業ぎょぎょう委員いいんかい(NEAFC)、北西ほくせい大西洋たいせいよう漁業ぎょぎょう機関きかん(NAFO)、南東なんとう大西洋たいせいよう漁業ぎょぎょう機関きかん(SEAFO)、地中海ちちゅうかい漁業ぎょぎょう一般いっぱん委員いいんかい(GFCM)、みなみインド洋いんどよう漁業ぎょぎょう協定きょうてい(SIOFA)などの各種かくしゅ地域ちいきてき漁業ぎょぎょう機関きかん(RFMO)も公海こうかいじょう海洋かいよう保護ほご設定せっていしている。[21]

環境かんきょう影響えいきょう評価ひょうか

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環境かんきょう影響えいきょう評価ひょうか(environmental impact assessment:EIA)は、海洋かいようほう条約じょうやくだい206じょう該当がいとうする場合ばあいについては国際こくさいほうじょう義務ぎむとなる。

海洋かいようほう条約じょうやくだい206じょう活動かつどうによる潜在せんざいてき影響えいきょう評価ひょうか

いずれのくにも、自国じこく管轄かんかつまた管理かんりしたにおける計画けいかくちゅう活動かつどう実質じっしつてき海洋かいよう環境かんきょう汚染おせんまた海洋かいよう環境かんきょうたいする重大じゅうだいかつ有害ゆうがい変化へんかをもたらすおそれがあるとしんずるにりる合理ごうりてき理由りゆうがある場合ばあいには、当該とうがい活動かつどう海洋かいよう環境かんきょうおよぼす潜在せんざいてき影響えいきょう実行じっこう可能かのうかぎ評価ひょうかするものとし、前条ぜんじょう規定きていする方法ほうほうによりその評価ひょうか結果けっかについての報告ほうこく公表こうひょうまた国際こくさい機関きかん提供ていきょうする。

国際こくさい海洋かいようほう裁判所さいばんしょ(ITLOS)の海底かいてい紛争ふんそう裁判さいばんは、2011ねんの「深海しんかいそこにおける探査たんさ活動かつどうおこな個人こじんおよ団体だんたい保証ほしょうする国家こっか責任せきにんおよ義務ぎむ」についての勧告かんこくてき意見いけんにおいて、海洋かいようほう条約じょうやくだい206じょうにおける義務ぎむは、国家こっか管轄かんかつけんがい区域くいき公海こうかい深海ふかうみそこ)においても慣習かんしゅう国際こくさいほうじょう義務ぎむであることを示唆しさした。[22]ただし、義務ぎむ範囲はんい環境かんきょう影響えいきょう評価ひょうか実施じっし方法ほうほうなどがかならずしも明確めいかくとはえず、どのような場合ばあいさかい影響えいきょう評価ひょうか実施じっしすべきかについては議論ぎろんかれている。[23]

能力のうりょく構築こうちくおよ技術ぎじゅつ移転いてん

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海洋かいよう科学かがくてき調査ちょうさ海洋かいよう遺伝いでん資源しげん利用りようについては高度こうど技術ぎじゅつ必要ひつようとなるため途上とじょうこくおこなうことはむずかしい。先進せんしんこくによる資源しげん利益りえき独占どくせんふせぐためには、途上とじょうこく能力のうりょく構築こうちくと、途上とじょうこくへの技術ぎじゅつ移転いてん不可欠ふかけつである。能力のうりょく構築こうちくおよ技術ぎじゅつ移転いてんについては海洋かいようほう条約じょうやくだい266じょうなどにおいてさだめられている。

海洋かいようほう条約じょうやくだい266じょう海洋かいよう技術ぎじゅつ発展はってんおよ移転いてん促進そくしん

(1)いずれのくにも、直接ちょくせつまた権限けんげんのある国際こくさい機関きかんつうじ、公正こうせいかつ合理ごうりてき条件じょうけん海洋かいよう科学かがくおよ海洋かいよう技術ぎじゅつ発展はってんさせおよ移転いてんすることを積極せっきょくてき促進そくしんするため、自国じこく能力のうりょくおうじて協力きょうりょくする。

(2)いずれのくにも、開発かいはつ途上とじょうこく社会しゃかいてきおよ経済けいざいてき開発かいはつ促進そくしんすることを目的もくてきとして、海洋かいよう資源しげん探査たんさ開発かいはつ保存ほぞんおよ管理かんり海洋かいよう環境かんきょう保護ほごおよ保全ほぜん海洋かいよう科学かがくてき調査ちょうさならびにこの条約じょうやく両立りょうりつする海洋かいよう環境かんきょうにおける活動かつどうについて、海洋かいよう科学かがくおよ海洋かいよう技術ぎじゅつ分野ぶんやにおいて、技術ぎじゅつ援助えんじょ必要ひつようとしおよ要請ようせいすることのあるくにとく開発かいはつ途上とじょうこく内陸ないりくこくおよ地理ちりてき不利ふりこくふくむ。))の能力のうりょく向上こうじょう促進そくしんする。

(3)いずれのくにも、海洋かいよう技術ぎじゅつ衡平こうへい条件じょうけんですべての関係かんけいしゃ利益りえきのため移転いてんさせることについて、このましい経済けいざいてきおよ法的ほうてき条件じょうけん促進そくしんするよう努力どりょくする。

ただし、海洋かいよう技術ぎじゅつ移転いてんさいには、海洋かいようほう条約じょうやくだい267じょうにより、海洋かいよう技術ぎじゅつ所有しょゆうしゃとう正当せいとう利益りえき(知的ちてき財産ざいさんけんなど)を保護ほごする必要ひつようがある。

深海ふかうみそこにおける活動かつどうかんする能力のうりょく構築こうちくおよ技術ぎじゅつ移転いてん 

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深海ふかうみそこにおいても海洋かいようほう条約じょうやくだい144じょうなどにおいて技術ぎじゅつ移転いてんかんする規定きていさだめられている。

海洋かいようほう条約じょうやくだい144じょう技術ぎじゅつ移転いてん

(1)機構きこうは、つぎかかげることを目的もくてきとして、この条約じょうやくしたがって措置そちをとる。

a.深海しんかいそこにおける活動かつどうかんする技術ぎじゅつおよ科学かがくてき知識ちしき取得しゅとくすること。

b.すべての締約ていやくこくが(a)の技術ぎじゅつおよ科学かがくてき知識ちしきから利益りえきるようにするため、当該とうがい技術ぎじゅつおよ科学かがくてき知識ちしき開発かいはつ途上とじょうこくへの移転いてん促進そくしんおよ奨励しょうれいすること。

(2)機構きこうおよ締約ていやくこくは、このため、事業じぎょうからだおよびすべての締約ていやくこく利益りえきることができるように、深海ふかうみそこにおける活動かつどうかんする技術ぎじゅつおよ科学かがくてき知識ちしき移転いてん促進そくしん協力きょうりょくする。機構きこうおよ締約ていやくこくは、とくに、つぎ計画けいかくおよ措置そち提案ていあんおよ促進そくしんする。

a.事業じぎょうからだおよ開発途上国かいはつとじょうこくたい深海ふかうみそこにおける活動かつどうかんする技術ぎじゅつ移転いてんするための計画けいかく当該とうがい計画けいかくには、とくに、事業じぎょうからだおよ開発途上国かいはつとじょうこく公正こうせいかつ妥当だとう条件じょうけんした関連かんれんする技術ぎじゅつ取得しゅとくすることを容易よういにするための方策ほうさくふくめる。)

b.事業じぎょうたい技術ぎじゅつおよ開発途上国かいはつとじょうこく技術ぎじゅつ進歩しんぽ目的もくてきとする措置そちとくに、事業じぎょうからだおよ開発途上国かいはつとじょうこく要員よういんたいし、海洋かいよう科学かがくおよ海洋かいよう技術ぎじゅつかんする訓練くんれん機会きかいならびに深海しんかいそこにおける活動かつどうたいする十分じゅうぶん参加さんか機会きかいあたえるもの)

ただし、深海ふかうみそこ制度せいどについては海洋かいようほう条約じょうやく採択さいたく当時とうじから先進せんしんこくによる反発はんぱつおおきかったため、だい11実施じっし協定きょうてい[注釈ちゅうしゃく 21]によってその規定きていよわめられているのが実情じつじょうである。 たとえば、だい11実施じっし協定きょうてい附属ふぞくしょだい5せつ1こうでは、「公開こうかい市場いちばにおける公正こうせいかつ妥当だとう商業しょうぎょうてき条件じょうけんまた合弁ごうべん事業じぎょうめをつうじて」海洋かいよう技術ぎじゅつ入手にゅうしゅできない場合ばあいには「知的ちてき所有しょゆうけん有効ゆうこう保護ほご両立りょうりつする公正こうせいかつ妥当だとう商業しょうぎょうてき条件じょうけん当該とうがい技術ぎじゅつ入手にゅうしゅすることを促進そくしんする」にめている。

しん条約じょうやく作成さくせい

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2002ねんの「持続じぞく可能かのう開発かいはつかんする世界せかい首脳しゅのう会議かいぎ」(ヨハネスブルグ・サミット)で採択さいたくされた成果せいか文書ぶんしょ国家こっか管轄かんかつけん内外ないがい区域くいきにおける海洋かいよう生物せいぶつ多様たようせい保全ほぜんすることがもとめられて以降いこう[24]国際こくさい社会しゃかいのBBNJにたいする関心かんしんたかまり、2004ねんには国際こくさい連合れんごう総会そうかい決議けつぎ59/24を採択さいたくし、BBNJの保全ほぜんおよ持続じぞく可能かのう利用りようについての問題もんだい検討けんとうするための「非公式ひこうしき公開こうかい特別とくべつ作業さぎょう部会ぶかい」(Ad Hoc Open-ended Informal Working Group)を国連こくれん総会そうかい下部かぶ機関きかんとして設置せっちした。[25]非公式ひこうしき公開こうかい特別とくべつ作業さぎょう部会ぶかいは2006ねんから作業さぎょう開始かいしし、2011ねん6がつだい4かい会合かいごうでは、BBNJにかんするものとして「利益りえき配分はいぶん問題もんだいふく海洋かいよう遺伝いでん資源しげん」「海洋かいよう保護ほごふく区域くいきがた管理かんりツール」「環境かんきょう影響えいきょう評価ひょうか」「能力のうりょく構築こうちくおよ技術ぎじゅつ移転いてん」のよっつの主題しゅだいについてあつかうことで合意ごういたっした。[26]

2012ねんの「国連こくれん持続じぞく可能かのう開発かいはつ会議かいぎ」(リオ+20)において採択さいたくされた成果せいか文書ぶんしょ我々われわれもとめる未来みらい」においては、2015ねんまでにBBNJの問題もんだい国連こくれん総会そうかいにおいて緊急きんきゅうむという公約こうやく[27]がなされた。それをけ、2015ねん6がつには国連こくれん総会そうかい決議けつぎ69/292を採択さいたくし、BBNJについてのしん条約じょうやく作成さくせいすることを決定けっていし、同時どうじに、しん条約じょうやく条文じょうぶん草案そうあん要素ようそをまとめるための準備じゅんび委員いいんかい設置せっちした。[28]準備じゅんび委員いいんかいは2016ねんから作業さぎょう開始かいしし、2017ねんには国連こくれん総会そうかい進捗しんちょく報告ほうこくした。

2017ねん12月に国連こくれん総会そうかい準備じゅんび委員いいんかい報告ほうこくもとづき、決議けつぎ72/249を採択さいたくし、BBNJについてのしん条約じょうやく作成さくせいするための正式せいしき条約じょうやく交渉こうしょう開始かいしすることと、そのために2018ねんから2020ねんにかけ政府せいふあいだ会議かいぎ招集しょうしゅうすることを決定けっていした。[29]国連こくれん総会そうかい決議けつぎでは、BBNJについてのしん条約じょうやくは「海洋かいようほう条約じょうやくしたでの条約じょうやくであることと、「既存きそん法的ほうてき文書ぶんしょ枠組わくぐみや機関きかんなどをがいさない」ことがめられている。[28]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 生物せいぶつ多様たようせいとは、生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくだい2じょう定義ていぎされている「すべての生物せいぶつ陸上りくじょう生態せいたいけい海洋かいようそのみずかい生態せいたいけい、これらがふくあわした生態せいたいけいその生息せいそくまた生育せいいくのいかんをわない。)のあいだ変異へんいせいをいうものとし、たねない多様たようせいたねあいだ多様たようせいおよ生態せいたいけい多様たようせいふくむ。」という概念がいねんである。
  2. ^ 持続じぞく可能かのう利用りようとは、生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくだい2じょう定義ていぎされている「生物せいぶつ多様たようせい長期ちょうきてき減少げんしょうをもたらさない方法ほうほうおよ速度そくど生物せいぶつ多様たようせい構成こうせい要素ようそ利用りようし、もって、現在げんざいおよ将来しょうらい世代せだい必要ひつようおよ願望がんぼうたすように生物せいぶつ多様たようせい可能かのうせい維持いじすること。」という概念がいねんである。
  3. ^ 海洋かいようほう条約じょうやくにおける定義ていぎは「だいさだめる場合ばあいのぞくほか、領海りょうかい基線きせん陸地りくちがわ水域すいいき」(だい8じょう1こう
  4. ^ 海洋かいようほう条約じょうやくにおける定義ていぎは「だい47じょう規定きていしたがってかれる群島ぐんとう基線きせんによりかこまれる水域すいいき群島ぐんとう水域すいいきといわれるもの(その水深すいしんまた海岸かいがんからの距離きょりわない。)」(だい49じょう1こう
  5. ^ 海洋かいようほう条約じょうやくにおける定義ていぎは「その領土りょうどしくは内水うすいまた群島ぐんとうこく場合ばあいにはその群島ぐんとう水域すいいき接続せつぞくする水域すいいき領海りょうかいといわれるもの」(だい2じょう1こう
  6. ^ 海洋かいようほう条約じょうやくにおける定義ていぎは「領海りょうかい接続せつぞくする水域すいいきであって、このさだめる特別とくべつほう制度せいどによるもの」(だい55じょう)なお、「この」とはだい5排他はいたてき経済けいざい水域すいいき)のこと。
  7. ^ 海洋かいようほう条約じょうやくにおける定義ていぎは「いずれのくに排他はいたてき経済けいざい水域すいいき領海りょうかいしくは内水うすいまたはいずれの群島ぐんとうこく群島ぐんとう水域すいいきにもふくまれない海洋かいようのすべての部分ぶぶん」(だい86じょう
  8. ^ 海洋かいようほう条約じょうやくにおける定義ていぎは「当該とうがい沿岸えんがんこく領海りょうかいえる海面かいめん区域くいき海底かいていおよびそのもとであってその領土りょうど自然しぜん延長えんちょうをたどって大陸たいりく縁辺えんぺん外縁がいえんいたるまでのものまたは、大陸たいりく縁辺えんぺん外縁がいえん領海りょうかいはば測定そくていするための基線きせんから200海里かいり距離きょりまでびていない場合ばあいには、当該とうがい沿岸えんがんこく領海りょうかいえる海面かいめん区域くいき海底かいていおよびそのもとであって当該とうがい基線きせんから200海里かいり距離きょりまでのもの」(だい76じょう1こう
  9. ^ 海洋かいようほう条約じょうやくにおける定義ていぎは「くに管轄かんかつけんおよ区域くいき境界きょうかいそと海底かいていおよびそのした」(だい1じょう1こう(1))
  10. ^ 海洋かいようほう条約じょうやく深海しんかいそこ資源しげんについてだい133じょう(a)で「自然しぜん状態じょうたい深海しんかいそこ海底かいていまたはそのしたにあるすべての固体こたいじょう液体えきたいじょうまた気体きたいじょう鉱物こうぶつ資源しげん金属きんぞくせい団塊だんかいふくむ。)」と定義ていぎしている。
  11. ^ リオ会議かいぎ地球ちきゅうサミットなどともばれる。
  12. ^ 同時どうじに、「環境かんきょう開発かいはつかんするリオ宣言せんげん」と、その行動こうどう計画けいかくである「アジェンダ21」も採択さいたくされ、アジェンダ21のだい17しょうパラグラフ7では、沿岸えんがんこくは、必要ひつよう場合ばあいには国際こくさい組織そしき支援しえんけて、くに管轄かんかつにおける海洋かいよう生物せいぶつしゅおよ生息せいそく生物せいぶつ多様たようせいまた生産せいさんせい維持いじするための措置そちこうずべきであるとしている。
  13. ^ 生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくだい4じょうどう条約じょうやく適用てきよう範囲はんいさだめられており、生物せいぶつ多様たようせい構成こうせい要素ようそについては、「自国じこく管轄かんかつしたにある区域くいき」に適用てきようするとしている。
  14. ^ 正式せいしき名称めいしょうは「分布ぶんぷ範囲はんい排他はいたてき経済けいざい水域すいいき内外ないがい存在そんざいする魚類ぎょるい資源しげん(ストラドリング魚類ぎょるい資源しげんおよ高度こうど回遊かいゆうせい魚類ぎょるい資源しげん保存ほぞんおよ管理かんりかんする1982ねん12がつ10日とおか海洋かいようほうかんする国際こくさい連合れんごう条約じょうやく規定きてい実施じっしのための協定きょうてい
  15. ^ 正式せいしき名称めいしょうは「生物せいぶつ多様たようせいかんする条約じょうやく遺伝いでん資源しげん取得しゅとく機会きかいおよびその利用りようからしょうずる利益りえき公正こうせいかつ衡平こうへい配分はいぶんかんする名古屋なごや議定ぎていしょ
  16. ^ 海洋かいようほう条約じょうやくだい136じょう深海しんかいそこ資源しげん鉱物こうぶつ資源しげん)を「人類じんるい共同きょうどう財産ざいさんである。」としていることから、海洋かいよう遺伝いでん資源しげんについてもこの原則げんそく適用てきようされるかが問題もんだいとなっている。
  17. ^ 海洋かいよう科学かがくてき調査ちょうさ結果けっかとしてられた海洋かいよう遺伝いでん資源しげんについて知的ちてき財産ざいさんけん主張しゅちょうをすることは、「海洋かいよう科学かがくてき調査ちょうさ活動かつどうは、海洋かいよう環境かんきょうまたはその資源しげんのいずれの部分ぶぶんたいするいかなる権利けんり主張しゅちょう法的ほうてき根拠こんきょ構成こうせいするものではない。」と規定きていした海洋かいようほう条約じょうやくだい241じょうとの関係かんけい問題もんだいとなる。
  18. ^ その、ガイドラインは2改訂かいていされている。
  19. ^ 南緯なんい60南極なんきょく収束しゅうそくせんとのあいだ地域ちいき南極なんきょく収束しゅうそくせんとは、緯度いどせんおよ子午線しごせん沿ってつぎてんむすせんである。南緯なんい50経度けいど0南緯なんい50東経とうけい30南緯なんい45東経とうけい30南緯なんい45東経とうけい80南緯なんい55東経とうけい80南緯なんい55東経とうけい150南緯なんい60東経とうけい150南緯なんい60西経せいけい50南緯なんい50西経せいけい50およ南緯なんい50経度けいど0
  20. ^ 生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくだい7じょう(a)において「生物せいぶつ多様たようせい構成こうせい要素ようそであって、生物せいぶつ多様たようせい保全ほぜんおよ持続じぞく可能かのう利用りようのために重要じゅうようなものを特定とくていすること」が締約ていやくこくもとめられている
  21. ^ 正式せいしき名称めいしょうは「1982ねん12がつ10日とおか海洋かいようほうかんする国際こくさい連合れんごう条約じょうやくだい11実施じっしかんする協定きょうてい

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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