(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ジブチルヒドロキシトルエン - Wikipedia コンテンツにスキップ

ジブチルヒドロキシトルエン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
BHTから転送てんそう
ジブチルヒドロキシトルエン
構造式
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 128-37-0
E番号ばんごう E321 (酸化さんか防止ぼうしざいおよびpH調整ちょうせいざい)
KEGG D02413
特性とくせい
化学かがくしき C15H24O
モル質量しつりょう 220.34
しめせせいしき C6H2(OH)(C(CH3)3)2CH3
外観がいかん 無色むしょく結晶けっしょう
密度みつど 1.03–1.05(固体こたい
相対そうたい蒸気じょうき密度みつど 7.6
融点ゆうてん

70

沸点ふってん

265

出典しゅってん
ICSC 0841
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

ジブチルヒドロキシトルエン(dibutylhydroxytoluene)とは、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(2,6-di-tert-butyl-p-cresol)である。芳香ほうこうぞく化合かごうぶつの1しゅで、ブチルヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、略称りゃくしょう BHT)の別名べつめいゆうする。

合成ごうせい

[編集へんしゅう]

パラクレゾールを、イソブチレンアルキルして、ジブチルヒドロキシトルエンは製造せいぞうされる。

性質せいしつ

[編集へんしゅう]

ジブチルヒドロキシトルエンのみずへの溶解ようかいひくいのにたいし、エタノールにはやく25パーセント、油脂ゆしには30パーセントから40パーセントの濃度のうど溶解ようかいする[1]。つまり、どちらかとえばあぶら溶性ようせいたか化合かごうぶつである。

ジブチルヒドロキシトルエンはトコフェロールとはことなるものの、トコフェロールの合成ごうせい類似るいじ物質ぶっしつとして作用さようし、しゅとして有機ゆうき化合かごうぶつ空気くうきちゅう酸素さんそによって酸化さんかされる「自動じどう酸化さんか」をめるはたらきをつとされる。この自動じどう酸化さんか触媒しょくばい反応はんのうだが、ジブチルヒドロキシトルエンは水素すいそ原子げんし供与きょうよすることによって、ペルオキシラジカルヒドロペルオキシド変換へんかんし、反応はんのう過程かてい終了しゅうりょうさせる。これは以下いかのような一般いっぱんしきによってあらわされる。

ラジカルせい化学かがくしゅ

なお、Rはアルキルまたはアリールをしめし、ArOHはジブチルヒドロキシトルエンもしくは類似るいじのフェノールせい酸化さんか防止ぼうしざいと、同様どうよう作用さようしめす。ジブチルヒドロキシトルエン1分子ぶんしは、それぞれ2のペルオキシラジカルと反応はんのうする[2]

用途ようと

[編集へんしゅう]

あぶら溶性ようせいフェノールるいであり、おも酸化さんか防止ぼうしざいとして食品しょくひん添加てんかぶつとしてもちいられ、E番号ばんごうとして「E321」があたえられている。また、酸化さんか防止ぼうしざい少量しょうりょうのジブチルヒドロキシトルエンを添加てんかすることで、シネルギストとして利用りようすること可能かのうである[1][注釈ちゅうしゃく 1]。ジブチルヒドロキシトルエンを酸化さんか防止ぼうしざいとして添加てんかおこな事例じれい食品しょくひんかぎらず、化粧けしょうひん・ボディソープ・医薬品いやくひん・ジェット燃料ねんりょう・ゴム・石油せきゆ製品せいひんにも添加てんかされる。

また、エンバーミングざいとしても使つかわれる。

化学かがく工業こうぎょうにおいては、爆発ばくはつせい有機ゆうき酸化さんかぶつ生成せいせいおさえる目的もくてきで、テトラヒドロフランジエチルエーテル添加てんかされる。

食品しょくひんへの添加てんか

[編集へんしゅう]

1947ねん特許とっきょ取得しゅとくされ、1954ねんアメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく (FDA) によって食品しょくひん添加てんかぶつ保存ほぞんりょうとしての使用しよう認可にんかされた。ジブチルヒドロキシトルエンはフリーラジカルと反応はんのうし、食品しょくひん酸化さんかされる反応はんのうおくらせることによって、いろにおい・あじ変化へんかするのをふせ[3]添加てんかおこなわれているれいとしては、シリアルチューイングガム、また油脂ゆしおおふく食品しょくひんたとえばポテトチップやショートニングやクラッカーなどにられる[4][5]

問題もんだい

[編集へんしゅう]

合成ごうせい保存ほぞんりょう社会しゃかいてき関心かんしんたかまったため、ジブチルヒドロキシトルエンにかんしてはひろ研究けんきゅうおこなわれた。その結果けっか、ジブチルヒドロキシトルエンにはつガンせい確認かくにんされていないものの、変異へんいばらせいみとめられた。さらに催奇がたせいゆうするうたがいもてきた。したがって、食品しょくひんたいするジブチルヒドロキシトルエンの使用しようは、問題もんだいではないかという指摘してきる。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは乳幼児にゅうようじよう食品しょくひんへの使用しよう禁止きんしされている。ジブチルヒドロキシトルエンの使用しようを、自主じしゅてきりやめている食品しょくひん会社かいしゃられる。

なお、1976ねん東京とうきょう練馬ねりまでは、学校がっこう給食きゅうしょくようポリプロピレンせい食器しょっきから微量びりょうのBHTが溶出ようしゅつされたため、使用しよう中断ちゅうだんした。でも追随ついずいするうごきが[6]。これにたいして、ポリオレフィンとう衛生えいせい協議きょうぎかいは、してきたとしてもきわめて微量びりょう許容きょよう摂取せっしゅりょう充分じゅうぶん下回したまわるため、充分じゅうぶん安全あんぜんだと主張しゅちょうした[7]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく

[編集へんしゅう]
  1. ^ シネルギストとは、酸化さんか防止ぼうしざい効果こうか増強ぞうきょうさせる物質ぶっしつことである。

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b 谷村たにむら 顕雄あきお食品しょくひん添加てんかぶつ実際じっさい知識ちしきだい4はん)』 p.80 東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ 1992ねん4がつ16にち発行はっこう ISBN 4-492-08349-9
  2. ^ Burton, G. W.; Ingold, K. U. (1981). 1. Antioxidant activity of vitamin E and related chain-breaking phenolic antioxidants in vitro.. “Autoxidation of Biological molecules.”. J. Am. Chem. Soc. 103: 6472-6477. doi:10.1021/ja00411a035. 
  3. ^ Fujisawa, S.; Kadoma, Y.; Yokoe, I. (2004). “Radical-scavenging activity of butylated hydroxytoluene (BHT) and its metabolites.”. Chem. Phys. Lipids 130: 189-195. doi:10.1016/j.chemphyslip.2004.03.005. 
  4. ^ All Natural Me (2007ねん). “BHT ~ Should It Be In Food?” (html). All Natural Me . 2007ねん11月27にち閲覧えつらん
  5. ^ Center for Science in the Public Interest (2007ねん). “Food Additives - CSPI's Food Safety” (html). CSPI. 2007ねん11月27にち閲覧えつらん
  6. ^ 学校がっこう給食きゅうしょくようポリプロ容器ようき BHTがけだす『朝日新聞あさひしんぶん』1976ねん9がつ14にち朝刊ちょうかん、13はん、23めん
  7. ^ 添加てんかざい安全あんぜんせい” (html). ポリオレフィンとう衛生えいせい協議きょうぎかい. 2021ねん2がつ17にち閲覧えつらん