Container Linux

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Container Linux
Container Linux logo
開発かいはつ者しゃ レッドハット
OSの系統けいとう Linux (based on Gentoo Linux)
開発かいはつ状じょう況きょう 開発かいはつ終了しゅうりょう
ソースモデル オープンソース
初版しょはん 2013年ねん10月がつ3日にち (10年ねん前まえ) (2013-10-03)[1]
最新さいしん安定あんてい版ばん 2512.3.0[2] / 2020年ねん5月がつ22日にち (3年ねん前まえ) (2020-05-22)
最新さいしん開発かいはつ版ばん 2514.1.0[3] / 2020年ねん5月がつ22日にち (3年ねん前まえ) (2020-05-22)
対象たいしょう市場いちば サーバ、クラスター
プラットフォーム x86-64[4]
カーネル種別しゅべつ モノリシック (Linuxカーネル)
ライセンス Apache License 2.0[5][6]
ウェブサイト coreos.com/os/docs/latest/
テンプレートを表示ひょうじ

Container Linux（旧称きゅうしょう：CoreOS Linux）は、 Linuxカーネルをベースにしたオープンソースの軽量けいりょうなオペレーティングシステムである。クラスター向むけのデプロイにインフラストラクチャを提供ていきょうするために開発かいはつされており、自動じどう化か、アプリケーションのデプロイの容易たやすさ、セキュリティ、信頼しんらい性せい、スケーラビリティに重点じゅうてんを置おいて設計せっけいされている。オペレーティングシステムとしては、Container Linuxは、ソフトウェアコンテナ（英語えいご版ばん）内うちのアプリケーションのデプロイに必要ひつような最小限さいしょうげんの機能きのうのみを提供ていきょうするが、同時どうじに、サービス・ディスカバリーや設定せっていを共有きょうゆうするためのビルトインのメカニズムも備そなえている[7][8][9][10]。

現地げんち時間じかん2018年ねん1月がつ30日にち、レッドハットがCoreOS, Inc.を買収ばいしゅうする最終さいしゅう合意ごういを締結ていけつしたと発表はっぴょう[11]。それに伴ともない、Container LinuxはFedora Atomic Hostに統合とうごうされ、Fedora CoreOSとなった[12]。Container Linuxについては現地げんち時間じかん2020年ねん5月がつ26日にちにEOLを迎むかえた旨むねのアナウンスがされており、同どう2020年ねん9月がつ1日にち以降いこう関連かんれんリソースは削除さくじょまたは読よみ取とり専用せんようとなっている[13]。記事きじ中ちゅうでFedora CoreOSが公式こうしきの後継こうけいであるとされている。

Container Linuxは、Gentoo Linux[14][15]、ChromeOS、Chromium OSと共通きょうつうのSDKを利用りようしており、これらのオペレーティングシステムとソフトウェアの基盤きばんを共有きょうゆうしている。さらに、この共通きょうつう基盤きばんに新あたらしい機能きのうとカスタマイズを加くわえることで、サーバー向むけのハードウェアやユースケースをサポートしている[9][16]:7:02。2015年ねん1月がつ (2015-01)現在げんざい、CoreOSは主おもにAlex Polvi、Brandon Philips、Michael Marineauによって積極せっきょく的てきに開発かいはつされており、主要しゅよう機能きのうは安定あんてい版ばんリリースとして利用りようできる[17][18][19]。

概要がいよう[編集へんしゅう]

Container Linuxは、ペイロードとなるアプリケーションを配布はいふする方法ほうほうとしてパッケージマネージャーを提供ていきょうせず、その代かわりに、すべてのアプリケーションをコンテナー内ないで実行じっこうする必要ひつようがある。一ひとつの制御せいぎょホストとして機能きのうするContainer Linuxインスタンスは、そのベースとしてLinuxカーネルのOSレベル仮想かそう化か（英語えいご版ばん）の機能きのうを使用しようすることで、隔離かくりされたLinuxシステムとして動作どうさする複数ふくすうのコンテナを作成さくせい・設定せっていする。このようにして、Container Linuxでは、ハイパーバイザーや本格ほんかく的てきな仮想かそうマシンを提供ていきょうするのではなく、複数ふくすうの隔離かくりされたユーザー空間くうかん（英語えいご版ばん）のインスタンスを用もちいることにより、コンテナ間あいだのリソース（英語えいご版ばん）のパーティション分割ぶんかつを実現じつげんしている。このアプローチはLinuxカーネルのcgroupsおよびnamespaces（英語えいご版ばん）の機能きのうに依存いぞんしており[20][21]、これらの機能きのうは、ユーザー空間くうかんのプロセスに対たいして、リソース使用しよう量りょう（CPU、メモリ、ディスクI/Oなど）を制限せいげん、集計しゅうけい、隔離かくりする機能きのうを提供ていきょうしている[8][10][22]。

当初とうしょ、Container Linuxは、Dockerのみをコンポーネントとして使用しようして、抽象ちゅうしょう化かとインターフェイスの追加ついかレイヤをLinuxカーネルのOSレベル仮想かそう化か機能きのうに提供ていきょうし[23]、異ことなる環境かんきょう上じょうでアプリケーションを実行じっこう可能かのうにするコンテナ向むけの標準ひょうじゅん化かフォーマットを提供ていきょうしていた[8][22]。2014年ねん12月、CoreOSは、rkt（当初とうしょはRocketという名前なまえだった）を公開こうかいし、サポートを開始かいしした。これは、アプリケーションコンテナイメージの別べつの標準ひょうじゅんフォーマットであり、関連かんれんするコンテナのランタイム環境かんきょうの定義ていぎ、コンテナイメージの検索けんさくと取得しゅとくのためのプロトコルとして、Dockerの代替だいたいとなるものである[24][25][26][27]。CoreOSは、アプリケーションコンテナイメージ（application container image、ACI）に必要ひつようとされる属性ぞくせいを説明せつめいする、いわゆるアプリコンテナ（app container、appc）の仕様しようを定さだめる実装じっそうとしてrktを提供ていきょうしている。2015年ねん6月がつ、CoreOSは、appcとACIを独立どくりつした委員いいん会かいの主導しゅどうで定さだめる仕様しようとして提供ていきょうし[28][29]、特定とくていのベンダー・OSに依存いぞんしないコンテナ化か標準ひょうじゅんのイニシアティブのOpen Container Initiative（OCI、当初とうしょはOpen Container ProjectまたはOCPと呼よばれていた[30]）の一部いちぶとすることを発表はっぴょうした[31][32][33]。

Container Linuxは、Gentoo Linuxのebuildスクリプトを使用しようしてシステムコンポーネントの自動じどうコンパイルを行おこない[14][15]、 systemdをメインのinitシステムとして使用しようし、systemdと各種かくしゅContainer Linuxの内部ないぶメカニズムを密接みっせつに統合とうごうしてさせている[8][34]。

アップデートの配布はいふ[編集へんしゅう]

Container Linuxは、FastPatchと呼よばれるデュアルパーティションの枠組わくぐみを活用かつようすることにより、OSのアップデート時ときにも追加ついかのセキュリティと信頼しんらい性せいを実現じつげんしている。FastPatchでは、アップデートはシステム全体ぜんたいに対たいして実行じっこうされ、初はじめにパッシブなセカンダリーのブートパーティションにインストールされ、再さい起動きどうまたはkexecの実行じっこう時じに有効ゆうこう化かされるようになっている。このアプローチにより、OSの特定とくていの一部分いちぶぶんのみがアップデートされることにより起おこりうる問題もんだいを回避かいひすることができ、OSの安定あんていであることが分わかっているバージョンに簡単かんたんにロールバックできることが保証ほしょうされ、追加ついかのセキュリティのためにブートパーティションごとに署名しょめいを行おこなうことができるようになる[8][10][35]。ルートパーティションとルートファイルシステムは自動的じどうてきに利用りよう可能かのうなディスクサイズまでサイズ変更へんこうされる。ルートパーティションは読よみ書かき可能かのうなストレージ空間くうかんを提供ていきょうするが、OS自体じたいは/usr/usrに読よみ込こみ専用せんようでマウント（英語えいご版ばん）される[36][37][38]。

アップデート適用てきよう時じに一いち度どにクラスタの一部いちぶのみが再さい起動きどうすることを保証ほしょうし、デプロイされた実行じっこう中ちゅうのアプリケーションがリソースを要求ようきゅうするのを防ふせぐために、CoreOSはContainer Linux向むけにlocksmithと呼よばれる再さい起動きどうマネージャを提供ていきょうしている[39]。locksmithを利用りようすると、アップデートの最終さいしゅうステップで再さい起動きどうする際さいに、異ことなるアップデート戦略せんりゃくの中なかから1つを選えらぶことができる。たとえば、同時どうじに再さい起動きどうできるクラスタのメンバー数すうを指定していできる。内部ないぶでは、locksmithはクラスタのメンバー上じょうでlocksmithdデーモンを起動きどうしており、locksmithctlコマンドラインユーティリティマネージャでパラメータを設定せっていできる[40][41]。LocksmithはGo言語げんごで書かかれており、Apache License 2.0ライセンスで配布はいふされている[42]。

で使用しようしているディストリビューションシステムのアップデートは、GoogleのオープンスースOmahaプロジェクトをベースとしている。Omahaは、ローリングアップデートのメカニズムを提供ていきょうしており、XMLがベースのリクエスト・レスポンス（英語えいご版ばん）プロトコルがベースになっている[4][43][44]。また、CoreOSは、クラスタ全体ぜんたいのアップデートを管理かんりするためのCoreUpdateというウェブベースのデジタルダッシュボードも提供ていきょうしている。CoreUpdateで利用りよう可能かのうな操作そうさには、カスタムのアップデートポリシーを共有きょうゆうする異ことなるグループにユーザーを所属しょぞくさせる機能きのうや、クラスタ全体ぜんたいのContainer Linuxのバージョンを確認かくにんする機能きのう、アップデートの停止ていしと再開さいかい、アップデートログの記録きろくの確認かくにん機能きのうなどがある。CoreUpdateはHTTPベースのAPIも提供ていきょうしており、サードパーティのユーティリティやデプロイシステム（英語えいご版ばん）と統合とうごうすることができる[35][45][46]。

クラスタ・インフラストラクチャ[編集へんしゅう]

CoreOSのクラスターアーキテクチャの概要がいよう図ず[47]

Container Linuxは、クラスタ内ないのすべてのコンピュータ上じょうで動作どうさし、動的どうてきな設定せっていレジストリとして、etcdを提供ていきょうしている。これにより、様々さまざまな設定せっていデータを簡単かんたんかつ信頼しんらい性せいの高たかい方法ほうほうでクラスタメンバー間あいだで共有きょうゆうできる[4][36]。

etcdに保存ほぞんされたキーバリューデータは、Raftアルゴリズムを用もちいて自動的じどうてきなマスター選出せんしゅつとコンセンサスが確立かくりつされ、自動的じどうてきに分散ぶんさん、複製ふくせいが行おこなわれるため、保存ほぞんされたデータのすべての変更へんこうがクラスタ全体ぜんたいに反映はんえいされるとともに、1つのクラスタメンバーが障害しょうがいで失うしなわれても、データの損失そんしつが生しょうじない冗長じょうちょう性せいが実現じつげんされている[27][48]。設定せっていの管理かんりに加くわえて、etcdは自身じしんと自身じしんが提供ていきょうするサービスを通知つうちすることにより、サービスディスカバリの機能きのうも提供ていきょうしている。etcdとの通信つうしんは、公開こうかいされたRESTベースのAPIにより行おこなわれ、内部ないぶではHTTPプロトコル上じょうのJSONが使用しようされている。APIは直接ちょくせつ使用しようすることもできるし（たとえば、curlやwgetを使用しようして）、CoreOSが提供ていきょうする専用せんようのコマンドラインユーティリティのetcdctl経由けいゆで間接かんせつ的てきに利用りようすることもできる[8][10][49][50][51]。etcdはKubernetesのソフトウェアとしても利用りようされている。

Container Linuxは、2017年ねんまで、fleetと呼よばれるクラスタマネージャも提供ていきょうしており、Container Linuxの別べつのsystemdインスタンスをクラスタレベルで管理かんりすることができた。しかし、2017年ねん2月がつ7日にち、Kubernetesがクラスタマネージャのデファクトスタンダードとなっていることから、1年ねん後ごの2018年ねん2月がつ1日にちにfleetを廃止はいしすることが発表はっぴょうされた[52]。fleetdを使用しようすると、Container Linuxは別々べつべつのsystemdインスタンスを結むすびつけて分散ぶんさん化かされたinit systemを構築こうちくすることができ、クラスタ全体ぜんたいにetcdをデプロイできる[48]。内部ないぶでは、fleetdデーモンがローカルのsystemdインスタンスとD-Bus経由けいゆで通信つうしんしており、etcdのデプロイはsystemdの公開こうかいAPIで行おこなわれる。fleetdにより、1つまたは複数ふくすうのコンテナ（英語えいご版ばん）をクラスタ全体ぜんたいにデプロイすることが可能かのうになり、さらに冗長じょうちょう化か、フェイルオーバー、特定とくていのクラスタメンバーへのデプロイ、コンテナ間あいだの依存いぞん関係かんけいの定義ていぎ、コンテナのグループ化かデプロイなどの発展はってん的てきなオプションが利用りようできる。fleetctlと呼よばれるコマンドラインユーティリティを用もちいて、この分散ぶんさんinitシステムを設定せってい・監かん視しすることができる[53]。内部ないぶでは、fleetdデーモンとの間あいだでHTTP上じょうのJSONベースのAPIを用もちいて通信つうしんを行おこなっており、このAPIは直接ちょくせつ利用りようすることもできる。クラスタメンバーのローカルで使用しようした場合ばあいは、fleetctlはローカルのfleetdインスタンスとUnixドメインソケットで通信つうしんし、外部がいぶのホストからはSSHの公開こうかい鍵かぎで認証にんしょうされたSSHトンネリングが使つかわれる[54][55][56][57][58]。

これらすべてのデーモンとコマンドラインユーティリティ（etcd、etcdctl、fleetd、fleetctl）は、Go言語げんごで書かかれており、Apache License 2.0ライセンスで配布はいふされている[59]。

デプロイ[編集へんしゅう]

専用せんようのハードウェアで実行じっこうする場合ばあいには、Container Linuxはハードディスクドライブ（HDD）やソリッドステートドライブ（SSD）などのローカルディスクに永続えいぞく的てきにインストールされる[60]。リモートでブートする場合ばあいには、Preboot Execution Environment (PXE) in general, or iPXEを使用しようしてネットワーク越ごしにブート（英語えいご版ばん）される[61][62]。CoreOSはさまざまなハードウェア仮想かそう化かプラットフォームをサポートしており、Amazon EC2、DigitalOcean（英語えいご版ばん）、Google Compute Engine（英語えいご版ばん）、Microsoft Azure、OpenStack、QEMU/KVM、Vagrant、VMwareに対応たいおうしている[10][63][64][65] 。Container Linuxは、CoreOS向むけ「template」があるCitrix XenServerにもインストールできる。

Container Linuxは、Tectonicと呼よばれる商業しょうぎょうディストリビューションにデプロイすることもでき、追加ついかコンポーネントとしてGoogleのKubernetesをクラスタ管理かんりユーティリティとして統合とうごうしている。2015年ねん4月がつ (2015-04)現在げんざい、Tectonicはベータ版ばんとして一部いちぶの顧客こきゃくにのみ提供ていきょうされる予定よていである[28][66]。さらに、CoreOSは主おもにKubernetesとの統合とうごうのためのオーバーレイ・ネットワークを実装じっそうするコンポーネントとしてFlannelを提供ていきょうしている[67][68]。

2015年ねん2月がつ (2015-02)現在げんざい、Container Linuxはx86-64アーキテクチャのみをサポートしている[4]。

派生はせい[編集へんしゅう]

2018年ねん1月がつ、CoreOS, Inc.はレッドハットに買収ばいしゅうされ[69]、その後ご、レッドハットはCoreOSのContainer Linuxを同社どうしゃのProject Atomicと統合とうごうし、新あたらしいOSであるRed Hat CoreOSを開発かいはつすることを発表はっぴょうした[70]。Project Atomicには、Fedora ProjectのFedora CoreOSに関係かんけいするオープンソースコミュニティがあり、双方そうほうの技術ぎじゅつを取とり込こんでいる。

2018年ねん3月がつ6日にち、Kinvolk GmbHはCoreOS Container Linuxの派生はせいOSとして、Flatcar Linuxを発表はっぴょうした[71]。Flatcar Linuxは、アップストリームのCoreOS alpha/beta/stableチャンネルのリリースを追跡ついせきしており、2019年ねん5月がつには、実験じっけん的てきなEdgeリリースチャンネルが追加ついかされた[72]。

評価ひょうか[編集へんしゅう]

2014年ねん、LWN.netはCoreOSを以下いかのように評価ひょうかしている[73]。

大だい規模きぼな分散ぶんさんシステム—主おもな例れいとしてはウェブアプリケーション—を統合とうごうしようとしている人ひとにとっては、CoreOSは興味深きょうみぶかい機能きのうを多数たすう備そなえているように見みえるだろう。これらの機能きのうにより、この種たねのアプリケーションで必要ひつような需要じゅように応おうじたスケールの拡大かくだいや縮小しゅくしょうが可能かのうになり、アップグレードが頭痛ずつうの種たねにならないような安定あんていしたプラットフォームを提供ていきょうできるようになるはずだ。「大だい規模きぼなサーバーのデプロイ」にとって、CoreOSや同おなじような特徴とくちょうを持もつOSは、未来みらいを先取さきどりしているように思おもえる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
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