(Translated by https://www.hiragana.jp/)
DNSCrypt - Wikipedia コンテンツにスキップ

DNSCrypt

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

DNSCryptは、コンピュータと再帰さいきネームサーバあいだDomain Name System(DNS) トラフィックを認証にんしょうおよび暗号あんごうする通信つうしんプロトコルである。オリジナルは、Frank DenisとYecheng Fuによって設計せっけいされた。

クライアントとサーバーの実装じっそう複数ふくすう存在そんざいするが、このプロトコルはRFCによってIETF提案ていあんされたことはない。

DNSCrypt は、偽造ぎぞう検出けんしゅつするために、クライアントとDNSリゾルバあいだ変更へんこうされていないDNSトラフィックを暗号あんごう構造こうぞうでラップする。エンド ツー エンドのセキュリティは提供ていきょうしないが、ローカル ネットワークをちゅうあいだしゃ攻撃こうげきから保護ほごする[1]

また、すくなくとも対応たいおうする応答おうとうおなおおきさの質問しつもん要求ようきゅうすることで、 UDPベースの増幅ぞうふく攻撃こうげき軽減けいげんする。このようにして、DNSCryptはDNS 増幅ぞうふく攻撃こうげき防止ぼうし役立やくだつ。

DNSCryptプロトコルは、プライベートな展開てんかいくわえて、OpenNICネットワークのメンバーを中心ちゅうしんとしたいくつかのパブリックDNSリゾルバや、仮想かそうプライベートネットワーク(VPN)サービスにも採用さいようされている。

OpenDNS (現在げんざいCiscoいち部門ぶもん) は、2011ねん12月6にちにDNSCrypt をサポートする最初さいしょのパブリックDNSサービスを発表はっぴょうし、そのすぐに CloudNS Australiaがつづいた[2]

2016ねん3がつ29にちYandexは、パブリックDNSサーバおよび Yandex BrowserでDNSCryptプロトコルをサポートすることを発表はっぴょうした[3][4]

2016ねん10がつ14にちAdGuardはDNSフィルタリングモジュールにDNSCryptを追加ついかし、ユーザーがISPからカスタムまたはAdGuard独自どくじのDNSサーバーに移動いどうして、オンラインプライバシーと広告こうこくブロックをおこなえるようにした[5][6]

2018ねん9がつ10日とおか営利えいりのパブリック再帰さいきリゾルバーサービス、Quad9はDNSCryptのサポートを発表はっぴょうした[7]

プロトコル

[編集へんしゅう]
dnscrypt-proxy, Linuxうえ動作どうさするDNSCryptクライアント

DNSCryptは、UDPまたはTCPのいずれかで使用しようできる。どちらの場合ばあいも、デフォルトのポートは443である。プロトコルはHTTPSとは根本こんぽんてきことなるが、どちらのサービスタイプもおなポートを使用しようする。ただし、 DNS over HTTPSとDNSCryptはおなじポートで使用しようできるが、それらはことなるサーバで別々べつべつ実行じっこうする必要ひつようがある。両方りょうほう通信つうしんおなじポートを使用しようする場合ばあい、2つのサーバアプリケーションをおなじサーバで同時どうじ実行じっこうすることはできない。多重たじゅうアプローチは理論りろんてきには可能かのうである。

クライアントは、ウェブブラウザ搭載とうさいされている信頼しんらいできる認証にんしょうきょくたよるのではなく、選択せんたくしたプロバイダの公開こうかい署名しょめいかぎ明示めいじてき信頼しんらいする必要ひつようがある。この公開こうかいかぎは、従来じゅうらいのDNSクエリを使用しようして取得しゅとくした一連いちれん証明しょうめいしょ検証けんしょうするために使用しようされる。これらの証明しょうめいしょには、かぎ交換こうかん使用しようする短期たんき公開こうかいかぎと、使用しようする暗号あんごうスイートの識別子しきべつしふくまれている。クライアントはわせのたびにあたらしいかぎ生成せいせいすることが推奨すいしょうされ、サーバは24あいだごとに短期たんきかぎペアをローテーションすることが推奨すいしょうされる。。

DNSCryptプロトコルは、あらかじめ定義ていぎされた公開こうかいかぎのセットのみをけることで、アクセス制御せいぎょやアカウンティングにも利用りようできる。これにより、商用しょうようDNSサービスでは、IPアドレスに依存いぞんせずに顧客こきゃく識別しきべつすることができる[よう出典しゅってん]

クエリと応答おうとうおなじアルゴリズムを使用しようして暗号あんごうされ、パケットサイズのリークを回避かいひするために64バイトの倍数ばいすうにパディングされる。 UDPをかいして、応答おうとうがそれにつながる質問しつもんよりもおおきい場合ばあい、サーバはTC(て)ビットが設定せっていされているみじかいパケットで応答おうとうできる。その、クライアントはTCPをってさい試行しこうし、後続こうぞくのクエリのパディングをやす必要ひつようがある。

バージョン1および2のプロトコルでは、かぎ交換こうかんX25519アルゴリズム、署名しょめいEdDSA認証にんしょう暗号あんごうXSalsa20-Poly1305またはXChaCha20-Poly1305使用しようしている。

2020ねん時点じてんで、DNSCryptプロトコルに既知きち脆弱ぜいじゃくせいはなく、基盤きばんとなる暗号あんごう構造こうぞうたいする実際じっさいてき攻撃こうげきもない。

匿名とくめいDNSCrypt

[編集へんしゅう]

匿名とくめいDNSCryptは、DNSのプライバシーをさらに改善かいぜんするために2019ねん提案ていあんされたプロトコル拡張かくちょうである[8]

リゾルバは、クライアントに直接ちょくせつ応答おうとうするわりに、べつのリゾルバへの透過とうかプロキシとして機能きのうし、実際じっさいのクライアントIPを後者こうしゃかくすことができる。匿名とくめいDNSCryptは、TorおよびSOCKSプロキシの軽量けいりょう代替だいたい手段しゅだんであり、DNSトラフィックよう特別とくべつ設計せっけいされている[8]

匿名とくめいDNSCryptの展開てんかいは2019ねん10がつ開始かいしされ、クライアントとサーバの実装じっそう公開こうかいされてからわずか2週間しゅうかんで40だいのDNSリレーが設置せっちされるなど、プロトコルの採用さいよう迅速じんそくおこなわれた[9]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ DNSCrypt/dnscrypt-proxy: dnscrypt-proxy 2 - A flexible DNS proxy, with support for encrypted DNS protocols.”. GitHub. DNSCrypt. 20 January 2016てんオリジナルよりアーカイブ。29 January 2016閲覧えつらん
  2. ^ Ulevitch (6 December 2011). “DNSCrypt – Critical, fundamental, and about time.” (英語えいご). Cisco Umbrella. 1 July 2020てんオリジナルよりアーカイブ。1 July 2020閲覧えつらん
  3. ^ Yandex.DNS”. dns.yandex.com. 2021ねん6がつ7にち閲覧えつらん
  4. ^ Protect: secure DNS requests. Reference information” (英語えいご). browser.yandex.com. 2021ねん6がつ7にち閲覧えつらん
  5. ^ AdGuard DNS Now Supports DNSCrypt”. AdGuard Blog. 12 September 2017てんオリジナルよりアーカイブ。11 September 2017閲覧えつらん
  6. ^ DNS filtering”. AdGuard Knowledgebase. 11 September 2017てんオリジナルよりアーカイブ。11 September 2017閲覧えつらん
  7. ^ DNSCrypt Now in Testing”. Quad9 Blog. 28 December 2019てんオリジナルよりアーカイブ。1 July 2020閲覧えつらん
  8. ^ a b Anonymized DNSCrypt specification”. GitHub. DNSCrypt. 25 October 2019てんオリジナルよりアーカイブ。1 July 2020閲覧えつらん
  9. ^ Anonymized DNS relays”. GitHub. DNSCrypt (1 November 2019). 1 July 2020てんオリジナルよりアーカイブ。1 July 2020閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]