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AMD K6

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K6から転送てんそう
K6
生産せいさん時期じき 1997ねん4がつ2にち(米国べいこく時間じかん)から1998ねん5がつ28にち(米国べいこく時間じかん)まで
販売はんばいしゃ AMD
設計せっけいしゃ AMD
生産せいさんしゃ AMD
CPU周波数しゅうはすう 166 MHz から 300 MHz
FSB周波数しゅうはすう 66 MHz
プロセスルール 0.35μみゅーm から 0.25μみゅーm
アーキテクチャ IA-32/x86
拡張かくちょう命令めいれい MMX
コアすう 1
ソケット Socket 7
パッケージ CPGA
コードネーム

Model 6


Model 7 "Little Foot"
ぜん世代せだいプロセッサ K5
次世代じせだいプロセッサ K6-2
トランジスタ 880まん
L1キャッシュ 64KB
L2キャッシュ なし
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AMD K6Advanced Micro Devices以下いか、AMD)が開発かいはつしたx86互換ごかんマイクロプロセッサである。

概要がいよう

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K6はx86命令めいれい内部ないぶでRISC86OPに変換へんかんし、内部ないぶのRISC86パイプライン命令めいれい高速こうそく実行じっこうする、Socket 7互換ごかんCPUである。

インテルせいCPUとのソケット互換ごかんCPUとして、どういちソケットでどういちクロック動作どうさのインテル純正じゅんせいCPUを凌駕りょうがする高性能こうせいのう発揮はっきするため、てい価格かかくパーソナルコンピュータ (PC) を中心ちゅうしん普及ふきゅうし、また既存きそんPCのアップグレードようとしても市場いちばれられた。 製造せいぞう時期じきによって使用しよう半導体はんどうたい製造せいぞうプロセスがことなり、これにより166MHz〜233MHzと、200〜300MHzの2モデルに分類ぶんるいされる。

開発かいはつ経緯けいい

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AMDは、x86互換ごかんプロセッサメーカーであった、Atiq RazaひきいるNexGenしゃ買収ばいしゅうし、当時とうじNexGenが開発かいはつちゅうだったNx686というx86互換ごかんCPUをれた。AMDがもともと開発かいはつしていたK6は性能せいのうがこのNx686よりおとるものであったため、Nx686をもと開発かいはつしたしんプロセッサをK6として、1997ねん市場いちば投入とうにゅうした。

本来ほんらい、Nx686は前作ぜんさくNx586やIntelのPentium Proなどと同様どうよう2キャッシュバスがフロントサイドバスから独立どくりつした構成こうせいの、専用せんようバス・専用せんようソケットに対応たいおうするCPUとして開発かいはつすすめられていたが、AMDはそれをSocket7対応たいおう変更へんこうし、2キャッシュバス廃止はいしともなうペナルティ軽減けいげん目的もくてきに1キャッシュを増量ぞうりょう(32+32=64KB)のうえで、Nx686独自どくじのマルチメディア命令めいれいをIntelからライセンスをMMX命令めいれいセットに変更へんこうして完成かんせいさせた。

このCPUは時期じきにより様々さまざま開発かいはつコードネームがもちいられたが、そのひとつに「Catapult」があった。これは、このしんCPUを強大きょうだいゴリアテ(=インテル)をたおしたダビデ (=AMD) の武器ぶき投石とうせき)になぞらえての命名めいめいであり、AMDが相当そうとう自信じしん意気込いきごみをもってこのCPUの開発かいはつのぞんだことをうかがわせていた。

K6は上述じょうじゅつとおりインテルのPentium (Socket 7) とソケット互換ごかんであり、出荷しゅっか開始かいし段階だんかいでインテルのMMX Pentiumシリーズよりもこうクロック(233MHz)動作どうさモデルが提供ていきょうされ、発売はつばい当初とうしょは、x86けい最速さいそくクロック動作どうさのCPUとなった。このため、AMDはK6を「インテル製品せいひんよりも高速こうそくはじめての互換ごかんプロセッサ」だとして大々的だいだいてきした。K6はその発売はつばい開始かいしいちげつにインテルが販売はんばい開始かいしした当時とうじ最速さいそくのインテルせいプロセッサPentium II競合きょうごうする製品せいひんであったとAMDは宣伝せんでんしていたが、クロックあたりの命令めいれい実行じっこう効率こうりつではPentium IIにややおとっていた。発表はっぴょうからやく1ねんの1998ねん5がつには、SIMD拡張かくちょう命令めいれいセットである3DNow!追加ついかしたK6-2という後継こうけいプロセッサが登場とうじょうしている。

Pentium IIでは、Socket 7ではなく、Slot 1 (P6バス) が採用さいようされており、Socket 7ユーザーがPentium IIにアップグレードするには、マザーボードごと(そしておおくの場合ばあいメモリも)交換こうかんしなければならなかった。これにたいしK6はSocket 7を採用さいようしていたため、ローエンドけPCようCPUとして採用さいようされたり、Socket 7ユーザーのアップグレードようCPUとしても使用しようされた。

特徴とくちょう

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K6はつぎのような特徴とくちょうそなえている。

メモリからされた命令めいれいは、まずフェッチユニットが16バイトぶんのブロックを1キャッシュからフェッチをおこない、命令めいれいバッファで命令めいれいされ、デコーダにおくられる。デコーダは、単純たんじゅん命令めいれい処理しょりできるショート・デコーダが同時どうじに2命令めいれいのデコードが可能かのうである。そのロング・デコーダとベクター・デコーダがあるが、これら3種類しゅるいのデコーダはサイクルあたりで同時どうじ稼働かどうできない。したがって、ピークのX86命令めいれいデコード・スループットは2命令めいれいということになる。また、MMX命令めいれいふたつのショートデコーダのうち最初さいしょのショートデコーダでしかデコードできない仕様しようになっている。

デコーダはRISC86OPという内部ないぶ命令めいれい変換へんかんされ、サイクルあたり最大さいだい4つのRISC86OPが出力しゅつりょく可能かのうである。この4つのRISC86OPがグループされ(4つにたない場合ばあいNOP命令めいれいめられる)、後段こうだんの24エントリーあるリザベーション・ステーションおくられる。

命令めいれいは、リザベーション・ステーションから5命令めいれい分岐ぶんき予測よそくユニットから分岐ぶんき命令めいれい実行じっこう可能かのうである、また内部ないぶ整数せいすう2つ、MMX1つ、FPU1つ、ロード1つ、ストア1つ、分岐ぶんき1つのけい7つの並列へいれつ実行じっこうユニットをそなえている。MMX実行じっこうユニットはレジスタXパイプラインにしかつながっておらず、2つのMMX実行じっこうユニットをもつMMX PentiumおよびPentium IIにこのてんおとっている。これはのちのK6-2でMMX命令めいれいが2命令めいれい実行じっこうできるように改良かいりょうされた。

また、K6は整数せいすう乗算じょうざんパイプライン実行じっこうできず、一方いっぽうK5はパイプライン実行じっこうおこなえるため、整数せいすう乗算じょうざん命令めいれいのスループットは先代せんだいから大幅おおはば低下ていかしている。

ただし、K6では分岐ぶんき予測よそく投機とうき実行じっこう実装じっそうによりパイプライン効率こうりつてき利用りよう可能かのうにするさまざまな機能きのうがサポートされており、K5では分岐ぶんきさき予測よそくのバッファを保持ほじしていなかったのにたいし、分岐ぶんきさき予測よそくバッファとして16エントリーを保持ほじするようになっている。

さらに、レジスタリネーム機能きのうもサポートされており、汎用はんようレジスタ本数ほんすうすくないというx86けいプロセッサの弱点じゃくてんおぎなっている。

かく世代せだいについての詳細しょうさい

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K6 (Model 6) K6 "Little Foot" (Model 7)
製造せいぞうプロセス(µm) 0.35 0.25
トランジスタすう() 880まん
L1キャッシュ(KB) 32+32(命令めいれい+データ)=64
拡張かくちょう命令めいれい MMX
バス Socket7
FSB(MHz) 66
クロック(MHz) 166/200/233 200/233/266/300
電圧でんあつ(V) 2.9(200Mhz以下いか)3.2/3.3(233MHz) 2.2
販売はんばい開始かいし 1997ねん4がつ2にち 1998ねん1がつ6にち

外部がいぶリンク

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