P5M / P-5 マーリン
アメリカ沿岸 えんがん 警備 けいび 隊 たい のP5M-2Gマーリン
用途 ようと :哨戒 しょうかい
分類 ぶんるい :飛行 ひこう 艇 てい
製造 せいぞう 者 しゃ :グレン・L・マーティン
運用 うんよう 者 しゃ
初 はつ 飛行 ひこう :1948年 ねん
生産 せいさん 数 すう :285機 き
運用 うんよう 開始 かいし :1952年 ねん [ 1]
退役 たいえき :1967年 ねん [ 1]
運用 うんよう 状 じょう 況 きょう :退役 たいえき
P5M マーリン (P5M Marlin)はマーチン 社 しゃ (メリーランド州 しゅう ミドルリバー )が製作 せいさく したレシプロ双発 そうはつ の飛行 ひこう 艇 てい である。1951年 ねん から1960年代 ねんだい の後半 こうはん に掛 か けて、アメリカ海軍 かいぐん で哨戒 しょうかい 任務 にんむ につき、また、アメリカ沿岸 えんがん 警備 けいび 隊 たい やフランス海軍 かいぐん でも使用 しよう された。1962年 ねん 以降 いこう はP-5と改称 かいしょう された。
愛称 あいしょう のマーリン (Marlin)は魚 さかな のカジキ のこと(ロールス・ロイス のエンジン名 めい などに使用 しよう されたマーリン(Merlin、鳥 とり のコチョウゲンボウ の意 い )とは別 べつ の語 かたり )。
P5MはPBMマリナー の発展 はってん 型 がた としてその任務 にんむ を引 ひ き継 つ ぐ機体 きたい であり、エンジンの性能 せいのう 向上 こうじょう と艇 てい 体形 たいけい 状 じょう の改善 かいぜん が図 はか られる一方 いっぽう 、尾 お 部 ぶ はより保守 ほしゅ 的 てき なものとなっていた。
試作 しさく 型 がた のXP5M マーリン(社内 しゃない 呼称 こしょう モデル237)はPBM-5マリナーの最終 さいしゅう 型 がた をベースとしていたが、P5M-2(モデル237B)で再 ふたた び大 おお きな変更 へんこう が加 くわ えられた(P5M-2は1962年 ねん のアメリカ三軍 さんぐん の軍用 ぐんよう 機 き 呼称 こしょう 統一 とういつ の際 さい にSP-5Bと改称 かいしょう された)。またP5M-1の相当 そうとう 数 すう が訓練 くんれん 用 よう として用 もち いられ、これは1962年 ねん 以降 いこう 、TP-5Aと改称 かいしょう された。
VP-45所属 しょぞく のP5M-1(1954年 ねん )
海軍 かいぐん におけるマーリン最後 さいご の作戦 さくせん 飛行 ひこう を終 お えたVP-40所属 しょぞく のSP-5B(1967年 ねん )
フランス海軍 かいぐん のP5M-2(1957年 ねん )
マーリンはエンジンとプロペラを海面 かいめん の飛沫 しぶき から遠 とお ざけるためにガル翼 つばさ 形式 けいしき の主翼 しゅよく を持 も ち、動力 どうりょく は2基 き のライトR-3350空冷 くうれい 星 ほし 型 がた レシプロエンジン に依 よ っていた。艇 てい 体 からだ 後部 こうぶ は、水面 すいめん から鋭 するど く持 も ち上 あ がるのでなく、後部 こうぶ に向 む かって徐々 じょじょ にせり上 あ がるようになっていた。これはマーチン社 しゃ の新 あたら しい考 かんが えによるもので、これにより飛行機 ひこうき が浮力 ふりょく を得 え るための基線 きせん を長 なが くとり、波 なみ によるポーポイジング を減 へ らしていた。
試作 しさく 機 き は背面 はいめん の銃 じゅう 塔 とう に2挺 てい の12.7mm重 じゅう 機関 きかん 銃 じゅう を備 そな えるほか、機首 きしゅ と尾 お 部 ぶ にそれぞれ20 mm連装 れんそう 機銃 きじゅう の銃座 じゅうざ を持 も っていた。コックピット区画 くかく はマリナーと同一 どういつ だった。初 はつ 飛行 ひこう は1948年 ねん 5月 がつ 30日 にち に行 おこな われた[ 2] 。
P5M-1の生産 せいさん 型 がた は1951年 ねん 6月 がつ 22日 にち に初 はつ 飛行 ひこう し、その年 とし の内 うち に167機 き が生産 せいさん された[ 2] 。プロトタイプから変更 へんこう された点 てん は、視界 しかい を改善 かいぜん するために高 たか められたフライトデッキ、機首 きしゅ 銃座 じゅうざ の撤去 てっきょ とその場所 ばしょ へのAN/APS-44捜索 そうさく レーダーとそれを収容 しゅうよう する大 おお きなレドームの装着 そうちゃく 、背部 はいぶ 銃 じゅう 塔 とう の廃止 はいし 、それに主翼 しゅよく フロートの流 りゅう 線形 せんけい 化 か などである。また、エンジンナセルは後部 こうぶ に延長 えんちょう され、延長 えんちょう 部分 ぶぶん は武器 ぶき 庫 こ とされた。
P5M-1に続 つづ いてP5M-2が116機 き 生産 せいさん された。水平 すいへい 尾翼 びよく が飛沫 しぶき を浴 あ びないようにT字 じ 尾翼 びよく とされた他 ほか 、尾 お 部 ぶ 銃座 じゅうざ の代 か わりにAN/ASQ-8 磁気 じき 探知 たんち 装置 そうち (MAD)のブームが装着 そうちゃく された。乗員 じょういん の居住 きょじゅう 性 せい は向上 こうじょう し、離 はなれ 着水 ちゃくすい 時 じ の飛沫 しぶき を抑 おさ えるために機首 きしゅ 部分 ぶぶん の改善 かいぜん が図 はか られた。
アメリカ海軍 かいぐん で最後 さいご に行 おこな われた飛行 ひこう 艇 てい の作戦 さくせん 行動 こうどう は、ベトナム戦争 せんそう のVP-40の「マーケット・タイム 」パトロールであった[ 3] 。1965年 ねん 2月 がつ に開始 かいし されたこの海上 かいじょう 監視 かんし 作戦 さくせん は、北 きた ベトナム から南 みなみ ベトナム のベトコン 部隊 ぶたい に必需 ひつじゅ 品 ひん を輸送 ゆそう する小型 こがた ボートを見 み つけることを目的 もくてき としていた[ 4] 。
VP-40はカリタック級 きゅう 水上 すいじょう 機 き 母艦 ぼかん のカリタック(AV-7)、パイン・アイランド(AV-12)、ソールズベリー・サウンド(AV-13)から発進 はっしん し、メコン ・デルタ沖 おき のフーコック島 とう とブンタウ (Vung Tau)の間 あいだ をパトロールした[ 5] 。
アメリカ海軍 かいぐん 最後 さいご のP5Mは、1968年 ねん 7月 がつ 12日 にち 、スミソニアン博物館 はくぶつかん で建設 けんせつ が検討 けんとう されていた展示 てんじ 場 じょう での保管 ほかん を前提 ぜんてい にメリーランド州 しゅう のパタクセント・リバー海軍 かいぐん 航空 こうくう 基地 きち まで飛行 ひこう した。しかしスミソニアンでの展示 てんじ は実現 じつげん せず、結局 けっきょく フロリダ州 しゅう ペンサコーラ にある国立 こくりつ 海軍 かいぐん 航空 こうくう 博物館 はくぶつかん に運 はこ ばれ、今 いま でもそこに展示 てんじ されている[ 6] 。
アメリカ沿岸 えんがん 警備 けいび 隊 たい の航空 こうくう 救難 きゅうなん 任務 にんむ 向 む けに7機 き のP5M-1Gと4機 き のP5M-2Gが生産 せいさん されたが、運用 うんよう の結果 けっか 、この飛行機 ひこうき はメンテナンスが難 むずか しく、無用 むよう の長物 ちょうぶつ であることが判明 はんめい した。そのため結局 けっきょく 海軍 かいぐん に引 ひ き渡 わた されたが、武装 ぶそう を想定 そうてい していない機体 きたい だったため、海軍 かいぐん では訓練 くんれん 機 き として使用 しよう された。
1959年 ねん 、フランス海軍 かいぐん はショート サンダーランド の後継 こうけい の洋上 ようじょう 哨戒 しょうかい 機 き としてアメリカ海軍 かいぐん から10機 き のマーリンを受 う け取 と った。フランス海軍 かいぐん のマーリンは西 にし アフリカ 、セネガル のダカール を基地 きち に行動 こうどう し、5年 ねん 後 ご にアメリカに返還 へんかん された。
XP-5M
PBM マリナー を改造 かいぞう した試作 しさく 機 き 。艇 てい 体 たい は新 あたら しいものを用 もち いた。[ 7]
P5M-1
アメリカ海軍 かいぐん 向 む け生産 せいさん 型 がた 。160機 き 生産 せいさん 。「P-5A」と改称 かいしょう 。[ 7]
P5M-1G
P5M-1をアメリカ沿岸 えんがん 警備 けいび 隊 たい 向 む けに改造 かいぞう したもの。7機 き 改造 かいぞう 。後 のち に海軍 かいぐん に返還 へんかん されて「P5M-1T」となった。[ 7]
P5M-1S
P5M-1に性能 せいのう 向上 こうじょう 型 がた の電子 でんし 装備 そうび と対 たい 潜 せん 機器 きき を装備 そうび したもの。8機 き 改造 かいぞう 。「SP-5A」と改称 かいしょう 。[ 7]
P5M-1T
沿岸 えんがん 警備 けいび 隊 たい の7機 き のP5M-1Gが海軍 かいぐん に返還 へんかん されたあと乗員 じょういん 訓練 くんれん 機 き に改造 かいぞう (他 た に1機 き のP5M-1を改造 かいぞう )したもの。「TP-5A」と改称 かいしょう 。[ 7]
P5M-2
性能 せいのう 向上 こうじょう 型 がた 。アメリカ海軍 かいぐん 向 む けに108機 き 、フランス海軍 かいぐん 向 む けに12機 き が生産 せいさん された。アメリカ海軍 かいぐん 機 き は「P-5B」と改称 かいしょう された。P5M-1で低 ひく い位置 いち に置 お かれていた水平 すいへい 尾翼 びよく は垂直 すいちょく 尾翼 びよく の先端 せんたん に移 うつ され、T型 がた 尾翼 びよく となった[ 7] 。
P5M-2S
P5M-2に性能 せいのう 向上 こうじょう 型 がた の電子 でんし 装備 そうび と対 たい 潜 せん 機器 きき を装備 そうび したもの。P5M-2のほとんどにこの改造 かいぞう が施 ほどこ された。「SP-5B」と改称 かいしょう 。[ 7]
P5M-2G
アメリカ沿岸 えんがん 警備 けいび 隊 たい 向 む けに4機 き 生産 せいさん されたもの。後 のち に海軍 かいぐん に返還 へんかん されて「P5M-2」となった。[ 7]
P-5A
1962年 ねん にP5M-1を改称 かいしょう 。[ 8]
SP-5A
1962年 ねん にP5M-1Sを改称 かいしょう 。[ 8]
TP-5A
1962年 ねん にP5M-1Tを改称 かいしょう 。[ 8]
P-5B
1962年 ねん にP5M-2を改称 かいしょう 。[ 8]
SP-5B
1962年 ねん にP5M-2Sを改称 かいしょう 。[ 8]
ペンサコーラ海軍 かいぐん 航空 こうくう 基地 きち (英語 えいご 版 ばん ) (フロリダ州 しゅう )の国立 こくりつ 海軍 かいぐん 航空 こうくう 博物館 はくぶつかん に1機 き が保管 ほかん されている。現在 げんざい の保存 ほぞん 状態 じょうたい は良 よ くないが、部分 ぶぶん 的 てき な(最終 さいしゅう 的 てき には完全 かんぜん な)修復 しゅうふく が予定 よてい されている。復元 ふくげん 作業 さぎょう の費用 ひよう は博物館 はくぶつかん と「マリナー/マーリン協会 きょうかい 」が負担 ふたん する。
SP-5B マーリン
(『United States Navy Aircraft since 1911』[ 9] による。)
乗員 じょういん : 11
全長 ぜんちょう : 100 ft 7 in(30.7 m)
全幅 ぜんぷく : 117 ft 2 in(35.7 m)
全高 ぜんこう : 32 ft 9 in(10.0 m)
翼 つばさ 面積 めんせき : 1,406 ft2 (130.1 m2 )
空虚 くうきょ 重量 じゅうりょう : 50,485 lb(22,900 kg)
最大 さいだい 離陸 りりく 重量 じゅうりょう : 85,000 lb(38,600 kg)
発動 はつどう 機 き : ライト R-3350-32WA 空冷 くうれい 星 ほし 型 がた レシプロエンジン 3,450 hp ×2基 き
最高 さいこう 速度 そくど : 218ノット=M0.33(404 km/h)
巡航 じゅんこう 速度 そくど : 130ノット=M0.20(242 km/h)
航続 こうぞく 距離 きょり : 1,783海里 かいり (3,300 km)
上昇 じょうしょう 限度 げんど : 24,000 ft(7,300 m)
上昇 じょうしょう 率 りつ : 1,200 ft/min(6.1 m/s)
面積 めんせき 重量 じゅうりょう 比 ひ : 60.5 lb/ft2 (287 kg/m2 )
重量 じゅうりょう 出力 しゅつりょく 比 ひ : 0.081 hp/lb(0.13 kW/kg)
電子 でんし 装備 そうび : AN/APS-44レーダー(後 のち にAN/APS-80に換 かわ 装 そう )
武装 ぶそう :(以下 いか のいずれか)
^ a b Roberts 2000, p,663.
^ a b Swanborough and Bowers 1976, p.323.
^ An Illustrated Guide to The Air War Over Vietnam by Nalty, Bernard C., Watson, George M., and Neufeld, Jacob: Arco Publishing (1981) pp.106-107.
^ The Naval Air War in Vietnam by Mersky, Peter B, and Polmar, Norman: Nautical and Aviation Publishing Company of America (1981) p.30.
^ The Vietnam War by Bonds, Ray: Salamander Books (1979) p.132.
^ Flecknoe, Harold J. "Progress". United States Naval Institute Proceedings , October 1968.
^ a b c d e f g h Andrade 1979 p207
^ a b c d e Andrade 1979 p157
^ Swanborough and Bowers 1976, p.325.
Andrade, John, U.S.Military Aircraft Designations and Serials since 1909 , Midland Counties Publications, 1979, ISBN 0 904597 22 9
Roberts, Michael D. Dictionary of American Naval Aviation Squadrons: Volume 2 The History of VP, VPB, VP(HL) and VP(AM) Squadrons . Washington DC: Naval Historical Centre, 2000.
Swanborough, Gordon and Bowers, Peter M. United States Navy Aircraft since 1911 . London:Putnam, Second edition 1976. ISBN 0 370 10054 9 .
The Illustrated Encyclopedia of Aircraft (Part Work 1982-1985), 1985, Orbis Publishing, Page 2420
(系列 けいれつ 機 き )
(同等 どうとう 機 き )