メコン川 がわ (メコンがわ、英語 えいご : Mekong River 、中国 ちゅうごく 語 ご : 湄公河 かわ 、ビルマ語 ご : မဲခေါင်မြစ််် 、ラーオ語 ご : ແມ່ນ້ຳຂອງ 、タイ語 ご : แม่น้ำโขง 、クメール語 ご : ទន្លេមេគង្គ 、ベトナム語 ご : Sông Cửu Long / 瀧 たき 九 きゅう 龍 りゅう )は、中華人民共和国 ちゅうかじんみんきょうわこく 南西 なんせい 部 ぶ に源流 げんりゅう を発 はっ し、東南 とうなん アジア 5カ国 かこく を流 なが れる国際 こくさい 河川 かせん である[ 1] 。東南 とうなん アジアで最長 さいちょう 、アジア全体 ぜんたい でも7番目 ばんめ に長 なが い大河 たいが である。
メコン川 がわ はチベット高原 こうげん に源流 げんりゅう を発 はっ し、中国 ちゅうごく の雲南 うんなん 省 しょう を通 とお り、ミャンマー ・ラオス 国境 こっきょう 、タイ ・ラオス国境 こっきょう 、カンボジア 、ベトナム をおよそ4200 kmにわたって流 なが れ、南シナ海 みなみしなかい に注 つ ぎ込 こ む、東南 とうなん アジアで最長 さいちょう の河川 かせん である[ 2] 。雨期 うき には流量 りゅうりょう が増 ま し流 なが れが速 はや いため、船 ふね の運航 うんこう は非常 ひじょう に難 むずか しい。乾期 かんき には流量 りゅうりょう は減 へ るものの、浅瀬 あさせ が増 ふ えるため船 ふね の運航 うんこう が難 むずか しい。流域 りゅういき 諸国 しょこく が集 あつ まって協議 きょうぎ するメコン川 がわ 委員 いいん 会 かい で、メコン川 がわ の土砂 どしゃ を除去 じょきょ して貿易 ぼうえき 路 ろ に使 つか おうとの案 あん が出 だ されたものの、土砂 どしゃ を除去 じょきょ しても、すぐに土砂 どしゃ が堆積 たいせき するため、この計画 けいかく は頓挫 とんざ した。なお、タイ、ラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナムの本流 ほんりゅう ・支流 しりゅう 周辺 しゅうへん では、日 にち 用品 ようひん の取引 とりひき などの小規模 しょうきぼ な貿易 ぼうえき が行 おこな われている。なお、河口 かこう 付近 ふきん はメコンデルタ と呼 よ ばれ、ベトナムの米 べい 生産 せいさん 量 りょう の半分 はんぶん 以上 いじょう を占 し める農 のう 漁業 ぎょぎょう 地帯 ちたい である[ 1] 。
メコン の名 な はタイ語 ご に由来 ゆらい する。メ (メー )はメーナーム (川 かわ )の短縮 たんしゅく 語 ご 、コン (コーン )の意味 いみ には諸説 しょせつ ある。有力 ゆうりょく な説 せつ は、コーン(Khong)はサンスクリット語 ご のガンガ(ganga=ガンジス川 がわ )の転訛 てんか とするもの。すなわち、メコンは(ガンジス川 がわ のように)偉大 いだい な川 かわ 、大 おお きな川 かわ と解釈 かいしゃく する。タイ語 ご ではโขง [kʰǒːŋ] がワニ を意味 いみ するが、この場合 ばあい はคด [kʰót] または โค้ง [kʰóːŋ] の転訛 てんか だと一部 いちぶ で考 かんが えられている。どちらも川 かわ や道 みち の屈曲 くっきょく 点 てん を意味 いみ する。
いずれの説 せつ を採用 さいよう するにしても、メ という語 かたり に、既 すで に川 かわ の意味 いみ が含 ふく まれているので、さらに「川 かわ 」をつけるのは不自然 ふしぜん とする立場 たちば から、メコン とのみ称 しょう することもある。
なお、東南 とうなん アジアと南 みなみ アジア の地域 ちいき 協力 きょうりょく 「メコン-ガンガ協力 きょうりょく (英語 えいご 版 ばん ) 」は、メコンとガンジス川 がわ の両方 りょうほう にちなんで名付 なづ けられた。
国際 こくさい 河川 かせん のメコンは、地域 ちいき や国 こく ごとに異 こと なった名前 なまえ で呼 よ ばれる。
中国 ちゅうごく
中国 ちゅうごく 語 ご では、メコン川 がわ 全体 ぜんたい の総称 そうしょう は湄公河 かわ (拼音 : Méigōng hé )で、湄公はメコン の音訳 おんやく である
チベット語 ご の名称 めいしょう はརྫ་ཆུ་ (ワイリー方式 ほうしき :rDza chu)。
源流 げんりゅう 部 ぶ の名称 めいしょう は、加 か 果 はて 空 そら 桑 くわ 貢 みつぎ 瑪曲 、扎那曲 きょく あるいは扎曲 (拼音 : Zā Qū )。扎曲はチベット語 ご の音訳 おんやく である。
上流 じょうりゅう 部 ぶ の名称 めいしょう は、瀾滄江 こう (拼音 : Láncāng Jiāng )。瀾滄は14世紀 せいき のラオスにあったラーンサーン 王国 おうこく の音訳 おんやく である。
ミャンマー
ラオス
タイ
カンボジア
ベトナム
ベトナム語 ご の名称 めいしょう はSông Mê Kông [soŋm me koŋm] 、Sông Lớn [soŋm lə̌ːn] またはSông Cửu Long [soŋm kɨ̃w lɔŋ] 。Sông (ソン:瀧 たき )は川 かわ を意味 いみ する。ソン・ローンは大 おお きな川 かわ 、偉大 いだい な川 かわ を意味 いみ し、メコンの意訳 いやく ともいえる。クー・ロンは漢字 かんじ では九 きゅう 龍 りゅう と表記 ひょうき されるので、ソン・クー・ロンは“九 きゅう 龍川 りゅうがわ ”ということになる。これが本来 ほんらい のベトナム語 ご の名称 めいしょう である。またメコンデルタ 地帯 ちたい で分岐 ぶんき した後 のち の西 にし の流 なが れ(バサック川 かわ 系 けい )をHậu Giang (ハウザン:後江 ひつえ )またはSông Hậu (ソンハウ :瀧 たき 後 ご )と呼 よ び、東 ひがし の流 なが れをTiền Giang (ティエンザン:前 ぜん 江 え )またはSông Tiền (ソンティエン :瀧 たき 前 まえ )と呼 よ び分 わ ける。
メコンとその流域 りゅういき は、世界 せかい 的 てき に見 み ても生物 せいぶつ の多様 たよう 性 せい が特 とく に豊 ゆた かな地域 ちいき の1つである。世界 せかい 自然 しぜん 保護 ほご 基金 ききん (WWF)によると、発見 はっけん された新種 しんしゅ は2015年 ねん だけで163種 しゅ 、1997年 ねん 以降 いこう の累計 るいけい では2409種 しゅ に達 たっ している[ 3] 。生息 せいそく が特定 とくてい あるいは推定 すいてい されている魚類 ぎょるい の種 たね は1200以上 いじょう に上 のぼ る。漁業 ぎょぎょう はそれぞれの領域 りょういき の経済 けいざい 活動 かつどう の非常 ひじょう に重要 じゅうよう な要素 ようそ であり、約 やく 120種 しゅ の魚 さかな が商業 しょうぎょう 的 てき に取 と り引 ひ きされていると推定 すいてい され、食料 しょくりょう として重要 じゅうよう なタンパク源 げん とされている。これによってカンボジアとラオスの人口 じんこう 1人 にん 当 あ たりの淡水魚 たんすいぎょ の漁獲 ぎょかく 量 りょう が世界 せかい で最大 さいだい 規模 きぼ となっている[ 4] 。研究 けんきゅう 者 しゃ によると、メコンは世界 せかい で最 もっと も巨大 きょだい な魚 さかな の種 たね が生息 せいそく する川 かわ であり、顕著 けんちょ な例 れい はメコンオオナマズ である。また、野生 やせい のイネ のオリザ・ルフィポゴン も流域 りゅういき 一帯 いったい に生 は えている[ 5] 。
上流 じょうりゅう 部 ぶ では、流入 りゅうにゅう する雪解 ゆきど け水 すい により一定 いってい の流量 りゅうりょう があるため、比較的 ひかくてき 透明 とうめい であり流 なが れは速 はや い。水質 すいしつ はpH 6.9から8.2で、ほぼ中性 ちゅうせい の傾向 けいこう を示 しめ し、栄養素 えいようそ レベルは低 ひく い。下 した 流域 りゅういき では特 とく に雨季 うき は赤 あか 茶色 ちゃいろ に混濁 こんだく する。インドシナ半島 いんどしなはんとう に広 ひろ く分布 ぶんぷ する赤土 あかつち であるラテライト 土壌 どじょう を侵食 しんしょく するのが理由 りゆう である。水質 すいしつ はpH6.2から6.5。
メコンは上流 じょうりゅう と下流 かりゅう の、異 こと なった2つの生物 せいぶつ 相 しょう に分 わ けられる。流 なが れの速 はや い上流 じょうりゅう では、魚類 ぎょるい はドジョウ 、吸盤 きゅうばん を持 も ったナマズ 、コイ が支配 しはい 的 てき な種 しゅ である。コイは流 なが れの遅 おそ い中流 ちゅうりゅう 部 ぶ 、下流 かりゅう 部 ぶ でも見 み られるものの、コイを除 のぞ くと、メコンオオナマズおよびハモ が支配 しはい 的 てき な種 しゅ であり、タイワンドジョウ属 ぞく 、ウォーキングキャットフィッシュ 、インドシナニシクイガメ なども見 み られる[ 5] [ 6] 。一部 いちぶ の魚類 ぎょるい や哺乳類 ほにゅうるい や爬虫類 はちゅうるい は重大 じゅうだい な危機 きき に直面 ちょくめん しており、カイヤン 、パーカーホ 、エロンガータリクガメ 、マレーハコガメ 、キングコブラ 、タイドクフキコブラ (英語 えいご 版 ばん ) などの絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ も多 おお い[ 7] [ 8] 。淡水 たんすい に生息 せいそく するカワゴンドウ (イラワジイルカ )は、かつて下流 かりゅう 部 ぶ では一般 いっぱん 的 てき に見 み られたが、治水 ちすい と乱獲 らんかく のため、ほとんど見 み かけられなくなった。川 かわ の中 なか や川 かわ の周 まわ りに生息 せいそく している他 ほか の沼沢 しょうたく 地 ち の哺乳 ほにゅう 動物 どうぶつ としては、カワウソ とスナドリネコ が挙 あ げられる。固有 こゆう 種 しゅ のシャムワニ も、目撃 もくげき 例 れい は非常 ひじょう に少 すく なくなった。また、鳥類 ちょうるい のカタジロトキ (英語 えいご 版 ばん ) 、アカハジロ 、ベンガルショウノガン 、オオヅル 、オオハゲコウ なども見 み られる[ 5] [ 9] [ 10] [ 11] 。
沿岸 えんがん 一帯 いったい にラムサール条約 じょうやく 登録 とうろく 地 ち が多 おお いが、本流 ほんりゅう の一部 いちぶ を含 ふく むのはカンボジアのストゥントレン州 しゅう の北部 ほくぶ だけである[ 9] 。
メコン流域 りゅういき は季節風 きせつふう の影響 えいきょう を受 う けるため、その水位 すいい や流量 りゅうりょう は、雨期 うき である5月 がつ 末 まつ 〜10月 がつ にかけて最高 さいこう を記録 きろく し、乾季 かんき の末 すえ の5月 がつ 頃 ごろ には最低 さいてい を記録 きろく する。メコンデルタ地方 ちほう は、数 すう 千 せん 年 ねん に亘 わた ってメコン川 がわ が運搬 うんぱん した土砂 どしゃ によりできた堆積 たいせき 平野 へいや であるために標高 ひょうこう 差 さ がほとんどなく、流量 りゅうりょう の少 すく ない乾季 かんき の末 すえ には南シナ海 みなみしなかい の潮汐 ちょうせき の影響 えいきょう が顕著 けんちょ に現 あらわ れる。満潮 まんちょう 時 じ と干潮 かんちょう 時 じ では、河口 かこう 近 ちか くのヴァムケーンでは3 m、河口 かこう から約 やく 100 kmのミートゥアン橋 きょう 付近 ふきん では2〜2.5 m、約 やく 200 kmのチャウドック でも1 m程度 ていど の水位 すいい の変化 へんか が潮汐 ちょうせき のために見 み られ[ 12] 、感 かん 潮 しお 河川 かせん としての特色 とくしょく も強 つよ い。
パークセー の観測 かんそく 所 しょ で計測 けいそく された月 つき ごとの平均 へいきん の流量 りゅうりょう (m3 /s)
(13年間 ねんかん の平均 へいきん は9000 m3 /s)
メコンはカンボジアの首都 しゅと プノンペンの南 みなみ でトンレサップ と合流 ごうりゅう し、本流 ほんりゅう とバサック川 がわ の2つの流 なが れに分 わ かれてベトナムへと流 なが れる(雨季 うき の間 あいだ はトンレサップへも流 なが れる)。メコン本流 ほんりゅう とバサック川 がわ は更 さら に分岐 ぶんき と合流 ごうりゅう を繰 く り返 かえ し、農業 のうぎょう 、特 とく にコメの栽培 さいばい に欠 か かせない非常 ひじょう に肥沃 ひよく なデルタを形成 けいせい する。ベトナム語 ご ではこれらの流 なが れをまとめてソン・クー・ロン、すなわち九 きゅう 龍川 りゅうがわ と呼 よ ぶが、これはメコンが9つの流 なが れ、9匹 ひき の龍 りゅう になって南シナ海 みなみしなかい に注 つ ぎ込 こ むと考 かんが えられていたからであった。実際 じっさい には、19世紀 せいき の初 はじ めには、デルタを構成 こうせい する大 おお きな流 なが れは4本 ほん であることが知 し られていた。また現代 げんだい のベトナムでは地方 ちほう 区分 くぶん 名 めい として「メコンデルタ地方 ちほう (ベトナム語 ご :Đồng bằng sông Cửu Long / 垌平瀧 たき 九 きゅう 龍 りゅう )」が存在 そんざい する。
メコンデルタは、55000 km2 の面積 めんせき に1800万 まん 人 にん の人口 じんこう を抱 かか える。ベトナムのメコンデルタ地方 ちほう には、アンザン省 しょう (Tỉnh An Giang)、ドンタップ省 しょう (Tỉnh Đồng Tháp)、カントー 中央 ちゅうおう 直轄 ちょっかつ 市 し (Thành phố trực thuộc trung ương Cần Thơ)、ヴィンロン省 しょう (Tỉnh Vĩnh Long)、ハウザン省 しょう (Tỉnh Hậu Giang)、ティエンザン省 しょう (Tỉnh Tiền Giang)、ベンチェ省 しょう (Tỉnh Bến Tre)、チャーヴィン省 しょう (Tỉnh Trà Vinh)、ソクチャン省 しょう (Tỉnh Sóc Trăng)、ロンアン省 しょう (Tỉnh Long An)、キエンザン省 しょう (Tỉnh Kiên Giang)、バクリエウ省 しょう (Tỉnh Bạc Liêu)、カマウ省 しょう (Tỉnh Cà Mau)が含 ふく まれ、前者 ぜんしゃ 1市 し 8省 しょう がメコン川 がわ の流域 りゅういき 内 ない である。なお、人工 じんこう の水路 すいろ を含 ふく めれば、さらに他 た の省 しょう も水路 すいろ で接続 せつぞく されている。
カンボジアのメコン流域 りゅういき の水位 すいい は、河口 かこう 沖合 おきあい の南シナ海 みなみしなかい の満潮 まんちょう 時 じ の潮位 ちょうい より低 ひく い。このため、満潮 まんちょう 時 じ にはメコンの流 なが れはベトナムからプノンペンまで、海 うみ から逆流 ぎゃくりゅう する。その結果 けっか 、ベトナムの非常 ひじょう に平坦 へいたん なメコンデルタ領域 りょういき 、特 とく にカンボジア国境 こっきょう に近 ちか いアンザン やドンタップ では氾濫 はんらん しやすい。
メコンに関 かん する最 もっと も古 ふる い文明 ぶんめい の痕跡 こんせき は紀元前 きげんぜん 2100年 ねん まで遡 さかのぼ り、鉄器 てっき 時代 じだい の文化 ぶんか がバーンチエン遺跡 いせき に残 のこ されている。外部 がいぶ の文明 ぶんめい との交流 こうりゅう の最 もっと も古 ふる い記録 きろく としては、クメール文明 ぶんめい の扶南国 こく の遺跡 いせき があり、ベトナムのアンザン省 しょう オケオ の遺跡 いせき では1世紀 せいき 頃 ごろ のロ ろ ーマ帝国 まていこく のコイン が発見 はっけん されている。
最初 さいしょ にメコンに遭遇 そうぐう したヨーロッパ人 じん は、1540年 ねん のポルトガル のアントニオ・デ・ファイラであった。1563年 ねん のヨーロッパの地図 ちず にはメコンについての記述 きじゅつ が現 あらわ れるが、ヨーロッパの関心 かんしん は希薄 きはく だった。後 のち になって、スペインとポルトガルはキリスト教 きりすときょう 宣教師 せんきょうし を送 おく り込 こ み、布教 ふきょう と貿易 ぼうえき のための探検 たんけん 隊 たい を組織 そしき した。1641年 ねん から1642年 ねん には、オランダのゲリット・ファン・ウィストフが遠征 えんせい を行 おこな い、ビエンチャンに達 たっ した。
フランスは、19世紀 せいき 中頃 なかごろ にこの地域 ちいき への関心 かんしん を強 つよ めた。1861年 ねん にサイゴン を支配 しはい 下 か に置 お き、1863年 ねん にカンボジアを保護 ほご 国 こく にした。フランスのメコン探検 たんけん 隊 たい がエルネスト・ドゥダール・デ・ラグレとフランソワ・ガルニエによって組織 そしき され、初 はじ めて系統的 けいとうてき な探検 たんけん が始 はじ まった。この探検 たんけん は1866年 ねん から1868年 ねん にかけて行 おこな われ、ガルニエは河口 かこう から雲南 うんなん まで遡上 そじょう した。水源 すいげん は、ロシア人 じん 探検 たんけん 家 か ピョートル・コズロフ によって1900年 ねん に明 あき らかにされた。
1893年 ねん から、フランスは川 かわ の支配 しはい 域 いき をラオスに広 ひろ げ、20世紀 せいき の最初 さいしょ の10年間 ねんかん でフランス領 りょう インドシナ を設置 せっち した。日本 にっぽん 軍 ぐん の仏 ふつ 印 しるし 進駐 しんちゅう と太平洋戦争 たいへいようせんそう を経 へ て、第 だい 一 いち 次 じ インドシナ戦争 せんそう に敗 やぶ れたフランスの支配 しはい は終 お わったが、以降 いこう 、この領域 りょういき にアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく が深 ふか く関 かか わった。ベトナム戦争 せんそう 後 ご 、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく が支持 しじ するタイ政府 せいふ と、その他 た の国 くに における新 あたら しい共産 きょうさん 主義 しゅぎ 政権 せいけん の間 あいだ に緊張 きんちょう が続 つづ き、メコンの利用 りよう については協力 きょうりょく 関係 かんけい を築 きず けない状態 じょうたい が続 つづ いた。しかし、1957年 ねん には、流域 りゅういき 諸国 しょこく が集 あつ まって協議 きょうぎ するメコン川 がわ 委員 いいん 会 かい が創設 そうせつ された。
この他 ほか に1995年 ねん には、ミャンマー以外 いがい の東南 とうなん アジアの流域 りゅういき 4カ国 かこく でメコン流域 りゅういき コミッション(メコン川 がわ 委員 いいん 会 かい [ 1] 、MRC)が創設 そうせつ され、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく の他 ほか にヨーロッパ諸国 しょこく や日本 にっぽん も支援 しえん してきた。さらにアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく は、メコン下 か 流域 りゅういき 開発 かいはつ (LMI)を通 つう じた協力 きょうりょく を2009年 ねん に開始 かいし し、2020年 ねん 9月 がつ 11日 にち にはメコン-アメリカ・パートナーシップの初 はつ 会合 かいごう を開 ひら いた。これに対 たい して中国 ちゅうごく は2015年 ねん に東南 とうなん アジア5カ国 かこく と澜沧江 こう -メコン川 がわ 協力 きょうりょく (LMC)を発足 ほっそく させ。2016年 ねん には他 た の流域 りゅういき 5カ国 かこく とメコン川 がわ 協力 きょうりょく 首脳 しゅのう 会議 かいぎ を開催 かいさい [ 1] した。こうした国際 こくさい 枠組 わくぐ みは流域 りゅういき の開発 かいはつ 、治水 ちすい や水力 すいりょく 発電 はつでん 、農 のう 漁業 ぎょぎょう のための水 みず 資源 しげん についての協力 きょうりょく ・対立 たいりつ という面 めん だけでなく、東南 とうなん アジアにおけるアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく と中国 ちゅうごく との影響 えいきょう 力 りょく 争 あらそ いという側面 そくめん もある[ 2] 。アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく 国務省 こくむしょう は2020年 ねん 12月、中国 ちゅうごく 領内 りょうない のダムを衛星 えいせい 写真 しゃしん で監 かん 視 し する計画 けいかく を公表 こうひょう した[ 1]
2024年 ねん 8月 がつ 5日 にち 、メコン川 がわ の首都 しゅと プノンペン近郊 きんこう からケップ州 しゅう タイ湾 わん まで、約 やく 180キロメートルを結 むす ぶ「フナン・テチョ運河 うんが 」の建設 けんせつ が始 はじ まった。カンボジア政府 せいふ によれば、4年 ねん かけて貫 つらぬ き、総 そう 工費 こうひ は17億 おく ドル。約 やく 180キロのうち159キロの区間 くかん の49パーセントは中国 ちゅうごく 国営 こくえい 企業 きぎょう が資金 しきん 拠出 きょしゅつ する[ 13] 。
(上流 じょうりゅう から記載 きさい )
メコンの上流 じょうりゅう に位置 いち する中華人民共和国 ちゅうかじんみんきょうわこく とラオスは、治水 ちすい と水力 すいりょく 発電 はつでん のために多数 たすう のダム を建設 けんせつ している[ 2] 。
参考 さんこう
メコンが現在 げんざい 直面 ちょくめん している環境 かんきょう 問題 もんだい は、流量 りゅうりょう 減少 げんしょう [ 1] 、流域 りゅういき 各国 かっこく での水質 すいしつ 汚染 おせん と過剰 かじょう な漁獲 ぎょかく 、ダム建設 けんせつ と急流 きゅうりゅう を緩和 かんわ する治水 ちすい 工事 こうじ 、及 およ び、上流 じょうりゅう 部 ぶ を領有 りょうゆう する中国 ちゅうごく による河川 かせん 舟運 しゅううん を目的 もくてき とした岩礁 がんしょう 爆破 ばくは などの地形 ちけい 改変 かいへん である。多 おお くのダムが既 すで に川 かわ の支流 しりゅう に建設 けんせつ されており、顕著 けんちょ な例 れい ではタイ・ウボンラーチャターニー のパクマンダムが、環境 かんきょう への被害 ひがい をもたらすと共 とも に、地域 ちいき 住民 じゅうみん の生活 せいかつ にも悪影響 あくえいきょう を与 あた えると批判 ひはん されている。
主流 しゅりゅう へのダム建設 けんせつ は、さらに深刻 しんこく な影響 えいきょう を与 あた える。中国 ちゅうごく はチベット周辺 しゅうへん にあるメコン川 がわ 主流 しゅりゅう へのダム建設 けんせつ の大 だい 規模 きぼ な計画 けいかく に着手 ちゃくしゅ している。1990年代 ねんだい に始 はじ まり既 すで に1つ目 め の漫湾ダムを始 はじ め、3つのダムが完成 かんせい し、さらに12のダムを計画 けいかく 中 ちゅう である。
中国 ちゅうごく は雲南 うんなん 省 しょう からタイ、ラオス北部 ほくぶ にかけての上流 じょうりゅう 部 ぶ でより大型 おおがた の船舶 せんぱく が航行 こうこう できるように、障害 しょうがい となる岩礁 がんしょう の破壊 はかい などを実施 じっし ・計画 けいかく している。こうした岩礁 がんしょう は魚 さかな や鳥 とり の繁殖 はんしょく 場所 ばしょ であり、生物 せいぶつ の種類 しゅるい ・生息 せいそく 数 すう を減 へ らすことが懸念 けねん されている[ 15] 。
経済 けいざい が未 み 発達 はったつ なカンボジアでは、食料 しょくりょう 供給 きょうきゅう の大 だい 部分 ぶぶん を川 かわ に依存 いぞん している。年 とし に一 いち 度 ど の氾濫 はんらん は、メコンの支流 しりゅう であるトンレサップ 流域 りゅういき を肥沃 ひよく 化 か するために必要 ひつよう な、多量 たりょう の水 みず を供給 きょうきゅう している。氾濫 はんらん が無 な ければ、この地域 ちいき は乾 かわ いた埃 ほこり だらけの生産 せいさん 力 りょく の低 ひく い土地 とち となり、ひいては都市 とし を維持 いじ できなくなる。トンレサップ生物 せいぶつ 保護 ほご 区 く は、トンレサップ周辺 しゅうへん 領域 りょういき を保護 ほご するために創設 そうせつ された。
メコンの下流 かりゅう に位置 いち する国々 くにぐに を顧 かえり みない中国 ちゅうごく の姿勢 しせい を、メコン川 がわ 委員 いいん 会 かい (MRC)の他国 たこく は非難 ひなん し、ダム建設 けんせつ の中止 ちゅうし を求 もと めたが、空振 からぶ りに終 お わった。最初 さいしょ の中国 ちゅうごく のダム建設 けんせつ 以降 いこう 、水位 すいい は低下 ていか し、捕 と らえられた魚 さかな は小 ちい さく、漁獲 ぎょかく 量 りょう は4分 ぶん の1に減少 げんしょう した。チェンライ 港 みなと の取引 とりひき 高 だか は半分 はんぶん 未満 みまん まで減少 げんしょう し、メコンイルカやマナティー を含 ふく む、多 おお くの種 たね が絶滅 ぜつめつ の危機 きき にさらされるようになった。水位 すいい の低下 ていか によりフェリーが立 た ち往生 おうじょう するため、チェンライからルアンパバーンまでの航行 こうこう は、以前 いぜん の8時 じ 間 あいだ から2日間 にちかん を要 よう するまでに伸 の びている。
現在 げんざい でもこうした問題 もんだい が発生 はっせい しており、中国 ちゅうごく のダム建設 けんせつ が計画 けいかく 通 どお り行 おこな われると、さらに深刻 しんこく な影響 えいきょう を及 およ ぼすことになる。下 した 流域 りゅういき 諸国 しょこく は環境 かんきょう 破壊 はかい と汚染 おせん に加 くわ え、低 ひく い水位 すいい が魚 さかな の遡上 そじょう を妨 さまた げ、産卵 さんらん ができなくなるという、川 かわ の閉塞 へいそく 問題 もんだい にも直面 ちょくめん する。中国 ちゅうごく 政府 せいふ は建設 けんせつ 前 まえ に下流 かりゅう の地域 ちいき に事前 じぜん に警告 けいこく することになっているが、遅 おそ 過 す ぎるか全 まった く無 な いことが多 おお いという[ 4] 。
メコン川 がわ では流量 りゅうりょう が激減 げきげん しており、メコンデルタでは海水 かいすい が逆流 ぎゃくりゅう して漁獲 ぎょかく 量 りょう の減少 げんしょう 、農地 のうち の塩害 えんがい をもたらしている。MRCは2021年 ねん 2月 がつ 12日 にち 、雲南 うんなん 省 しょう の水力 すいりょく 発電 はつでん が原因 げんいん とする非難 ひなん 声明 せいめい を初 はじ めて発表 はっぴょう した。中国 ちゅうごく 外相 がいしょう の王 おう 毅 あつし は2020年 ねん 2月 がつ 、メコン流域 りゅういき 諸国 しょこく との外相 がいしょう 会談 かいだん で、流量 りゅうりょう 減少 げんしょう は降雨 こうう 不足 ふそく で、中国 ちゅうごく も被害 ひがい 者 しゃ と説明 せつめい したが、メコン上流 じょうりゅう での水 みず 利用 りよう データの公表 こうひょう は拒 こば んでいる[ 1] 。
中国 ちゅうごく が岩石 がんせき と砂洲 さす を浚渫 しゅんせつ し、峡谷 きょうこく を爆破 ばくは して流速 りゅうそく を緩和 かんわ する一方 いっぽう で、別 べつ の場所 ばしょ ではダムから放水 ほうすい を行 おこな うことにより、雨期 うき -乾期 かんき という自然 しぜん のサイクルを無視 むし した一時 いちじ 的 てき な水量 すいりょう の増加 ぞうか が、別 べつ の環境 かんきょう 問題 もんだい を引 ひ き起 お こす。この問題 もんだい で、特 とく に強 つよ い影響 えいきょう を受 う けているのはカンボジアである。カンボジアの農業 のうぎょう 生産 せいさん は絶妙 ぜつみょう な水量 すいりょう のバランスの上 うえ に成 な り立 た っており、それが崩 くず れることで、15世紀 せいき にクメール王朝 おうちょう を滅亡 めつぼう させた大 だい 規模 きぼ な飢饉 ききん と壊滅 かいめつ 的 てき な洪水 こうずい というシナリオの再現 さいげん が危惧 きぐ されている。メコン流域 りゅういき のラオスの都市 とし やベトナムのホーチミン市 し [要 よう 出典 しゅってん ] も低 ひく い水位 すいい [ 16] と汚染 おせん により、大 おお きな打撃 だげき を受 う ける。
ラオスのヴィエンチャン やタイのノンカーイ 周辺 しゅうへん のメコンでは、光 ひかり を放 はな つ球 たま が水面 すいめん から上昇 じょうしょう する現象 げんしょう が起 お き、これはナーガ光 こう 球 だま と呼 よ ばれている。ナーガは蛇 へび または龍 りゅう の意味 いみ であり、現地 げんち ではパヤナーガ、すなわちメコンに住 す む龍 りゅう が引 ひ き起 お こす現象 げんしょう だと考 かんが えられている。
^ a b c d e f g 「メコン川 がわ 流量 りゅうりょう 激減 げきげん /東 ひがし 南 なん ア 農 のう 漁業 ぎょぎょう 被害 ひがい /中国 ちゅうごく のダム建設 けんせつ 影響 えいきょう か」「新 あら たな米 べい 中 ちゅう 攻防 こうぼう の舞台 ぶたい 」 『読売新聞 よみうりしんぶん 』朝刊 ちょうかん 2021年 ねん 2月 がつ 26日 にち (国際 こくさい 面 めん )※本文 ほんぶん 閲覧 えつらん は要 よう 会員 かいいん 登録 とうろく 。
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^ メコン川 がわ に大 だい 異変 いへん 、世紀 せいき の低 てい 水位 すいい を記録 きろく 、深刻 しんこく な食料 しょくりょう 危機 きき の恐 おそ れも 水 みず が澄 す む「ハングリーウォーター」現象 げんしょう も発生 はっせい 、6000万 まん 人 にん が頼 たよ る大河 たいが が岐路 きろ に ナショナルジオグラフィック(2020年 ねん 2月 がつ 29日 にち )2020年 ねん 10月 がつ 4日 にち 閲覧 えつらん
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