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メコンがわ

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メコンがわ

流域りゅういき
水系すいけい 媄涳
延長えんちょう 4023 km
平均へいきん流量りゅうりょう 16,000 m3/s
流域りゅういき面積めんせき 795,000 km2
水源すいげん 中国ちゅうごく青海あおみ 玉樹たまきチベットぞく自治じちしゅう 雑多ざったけん 江地えじ長山ながやま ひしげさいみつぎ水源すいげん
チベット高原こうげん
水源すいげん標高ひょうこう やく 5200 m
河口かこう合流ごうりゅうさき 南シナ海みなみしなかい
メコンデルタ
流域りゅういき 中華人民共和国の旗 中国ちゅうごく
ミャンマーの旗 ミャンマー
ラオスの旗 ラオス
タイ王国の旗 タイ
カンボジアの旗 カンボジア
 ベトナム
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メコンがわ(メコンがわ、英語えいご: Mekong River中国ちゅうごく: 湄公かわビルマ: မဲခေါင်မြစ်််ラーオ: ແມ່ນ້ຳຂອງタイ: แม่น้ำโขงクメール: ទន្លេមេគង្គベトナム: Sông Cửu Long / たききゅうりゅう)は、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく南西なんせい源流げんりゅうはっし、東南とうなんアジア5カ国かこくながれる国際こくさい河川かせんである[1]東南とうなんアジアで最長さいちょう、アジア全体ぜんたいでも7番目ばんめなが大河たいがである。

メコンがわチベット高原こうげん源流げんりゅうはっし、中国ちゅうごく雲南うんなんしょうとおり、ミャンマーラオス国境こっきょうタイ・ラオス国境こっきょうカンボジアベトナムをおよそ4200 kmにわたってながれ、南シナ海みなみしなかいむ、東南とうなんアジアで最長さいちょう河川かせんである[2]雨期うきには流量りゅうりょうながれがはやいため、ふね運航うんこう非常ひじょうむずかしい。乾期かんきには流量りゅうりょうるものの、浅瀬あさせえるためふね運航うんこうむずかしい。流域りゅういき諸国しょこくあつまって協議きょうぎするメコンがわ委員いいんかいで、メコンがわ土砂どしゃ除去じょきょして貿易ぼうえき使つかおうとのあんされたものの、土砂どしゃ除去じょきょしても、すぐに土砂どしゃ堆積たいせきするため、この計画けいかく頓挫とんざした。なお、タイ、ラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナムの本流ほんりゅう支流しりゅう周辺しゅうへんでは、にち用品ようひん取引とりひきなどの小規模しょうきぼ貿易ぼうえきおこなわれている。なお、河口かこう付近ふきんメコンデルタばれ、ベトナムのべい生産せいさんりょう半分はんぶん以上いじょうめるのう漁業ぎょぎょう地帯ちたいである[1]

名称めいしょう

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メコンタイ由来ゆらいする。メー)はメーナームかわ)の短縮たんしゅくコンコーン)の意味いみには諸説しょせつある。有力ゆうりょくせつは、コーン(Khong)はサンスクリットのガンガ(ganga=ガンジスがわ)の転訛てんかとするもの。すなわち、メコンは(ガンジスがわのように)偉大いだいかわおおきなかわ解釈かいしゃくする。タイではโขง [kʰǒːŋ]ワニ意味いみするが、この場合ばあいはคด [kʰót] または โค้ง [kʰóːŋ]転訛てんかだと一部いちぶかんがえられている。どちらもかわみち屈曲くっきょくてん意味いみする。 いずれのせつ採用さいようするにしても、というかたりに、すでかわ意味いみふくまれているので、さらに「かわ」をつけるのは不自然ふしぜんとする立場たちばから、メコンとのみしょうすることもある。

なお、東南とうなんアジアとみなみアジア地域ちいき協力きょうりょくメコン-ガンガ協力きょうりょく英語えいごばん」は、メコンとガンジスがわ両方りょうほうにちなんで名付なづけられた。

国際こくさい河川かせんのメコンは、地域ちいきこくごとにことなった名前なまえばれる。

生物せいぶつしょう

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メコンとその流域りゅういきは、世界せかいてきても生物せいぶつ多様たようせいとくゆたかな地域ちいきの1つである。世界せかい自然しぜん保護ほご基金ききん(WWF)によると、発見はっけんされた新種しんしゅは2015ねんだけで163しゅ、1997ねん以降いこう累計るいけいでは2409しゅたっしている[3]生息せいそく特定とくていあるいは推定すいていされている魚類ぎょるいたねは1200以上いじょうのぼる。漁業ぎょぎょうはそれぞれの領域りょういき経済けいざい活動かつどう非常ひじょう重要じゅうよう要素ようそであり、やく120しゅさかな商業しょうぎょうてききされていると推定すいていされ、食料しょくりょうとして重要じゅうようタンパクげんとされている。これによってカンボジアとラオスの人口じんこう1にんたりの淡水魚たんすいぎょ漁獲ぎょかくりょう世界せかい最大さいだい規模きぼとなっている[4]研究けんきゅうしゃによると、メコンは世界せかいもっと巨大きょだいさかなたね生息せいそくするかわであり、顕著けんちょれいメコンオオナマズである。また、野生やせいイネオリザ・ルフィポゴン流域りゅういき一帯いったいえている[5]

上流じょうりゅうでは、流入りゅうにゅうする雪解ゆきどすいにより一定いってい流量りゅうりょうがあるため、比較的ひかくてき透明とうめいでありながれははやい。水質すいしつpH6.9から8.2で、ほぼ中性ちゅうせい傾向けいこうしめし、栄養素えいようそレベルはひくい。した流域りゅういきではとく雨季うきあか茶色ちゃいろ混濁こんだくする。インドシナ半島いんどしなはんとうひろ分布ぶんぷする赤土あかつちであるラテライト土壌どじょう侵食しんしょくするのが理由りゆうである。水質すいしつはpH6.2から6.5。

メコンは上流じょうりゅう下流かりゅうの、ことなった2つの生物せいぶつしょうけられる。ながれのはや上流じょうりゅうでは、魚類ぎょるいドジョウ吸盤きゅうばんったナマズコイ支配しはいてきしゅである。コイはながれのおそ中流ちゅうりゅう下流かりゅうでもられるものの、コイをのぞくと、メコンオオナマズおよびハモ支配しはいてきしゅであり、タイワンドジョウぞくウォーキングキャットフィッシュインドシナニシクイガメなどもられる[5][6]一部いちぶ魚類ぎょるい哺乳類ほにゅうるい爬虫類はちゅうるい重大じゅうだい危機きき直面ちょくめんしており、カイヤンパーカーホエロンガータリクガメマレーハコガメキングコブラタイドクフキコブラ英語えいごばんなどの絶滅ぜつめつ危惧きぐしゅおお[7][8]淡水たんすい生息せいそくするカワゴンドウイラワジイルカ)は、かつて下流かりゅうでは一般いっぱんてきられたが、治水ちすい乱獲らんかくのため、ほとんどかけられなくなった。かわなかかわまわりに生息せいそくしているほか沼沢しょうたく哺乳ほにゅう動物どうぶつとしては、カワウソスナドリネコげられる。固有こゆうしゅシャムワニも、目撃もくげきれい非常ひじょうすくなくなった。また、鳥類ちょうるいカタジロトキ英語えいごばんアカハジロベンガルショウノガンオオヅルオオハゲコウなどもられる[5][9][10][11]

沿岸えんがん一帯いったいラムサール条約じょうやく登録とうろくおおいが、本流ほんりゅう一部いちぶふくむのはカンボジアのストゥントレンしゅう北部ほくぶだけである[9]

水位すいい流量りゅうりょう

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メコン流域りゅういき季節風きせつふう影響えいきょうけるため、その水位すいい流量りゅうりょうは、雨期うきである5がつまつ〜10がつにかけて最高さいこう記録きろくし、乾季かんきすえの5がつごろには最低さいてい記録きろくする。メコンデルタ地方ちほうは、すうせんねんわたってメコンがわ運搬うんぱんした土砂どしゃによりできた堆積たいせき平野へいやであるために標高ひょうこうがほとんどなく、流量りゅうりょうすくない乾季かんきすえには南シナ海みなみしなかい潮汐ちょうせき影響えいきょう顕著けんちょあらわれる。満潮まんちょう干潮かんちょうでは、河口かこうちかくのヴァムケーンでは3 m、河口かこうからやく100 kmのミートゥアンきょう付近ふきんでは2〜2.5 m、やく200 kmのチャウドックでも1 m程度ていど水位すいい変化へんか潮汐ちょうせきのためにられ[12]かんしお河川かせんとしての特色とくしょくつよい。

 

パークセー観測かんそくしょ計測けいそくされたつきごとの平均へいきん流量りゅうりょう (m3/s)
(13年間ねんかん平均へいきんは9000 m3/s)

メコンデルタ

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メコンはカンボジアの首都しゅとプノンペンのみなみトンレサップ合流ごうりゅうし、本流ほんりゅうとバサックがわの2つのながれにかれてベトナムへとながれる(雨季うきあいだはトンレサップへもながれる)。メコン本流ほんりゅうとバサックがわさら分岐ぶんき合流ごうりゅうかえし、農業のうぎょうとくにコメの栽培さいばいかせない非常ひじょう肥沃ひよくなデルタを形成けいせいする。ベトナムではこれらのながれをまとめてソン・クー・ロン、すなわちきゅう龍川りゅうがわぶが、これはメコンが9つのながれ、9ひきりゅうになって南シナ海みなみしなかいむとかんがえられていたからであった。実際じっさいには、19世紀せいきはじめには、デルタを構成こうせいするおおきなながれは4ほんであることがられていた。また現代げんだいのベトナムでは地方ちほう区分くぶんめいとして「メコンデルタ地方ちほうベトナムĐồng bằng sông Cửu Long / 垌平たききゅうりゅう)」が存在そんざいする。

メコンデルタは、55000 km2面積めんせきに1800まんにん人口じんこうかかえる。ベトナムのメコンデルタ地方ちほうには、アンザンしょう(Tỉnh An Giang)、ドンタップしょう(Tỉnh Đồng Tháp)、カントー中央ちゅうおう直轄ちょっかつ(Thành phố trực thuộc trung ương Cần Thơ)、ヴィンロンしょう(Tỉnh Vĩnh Long)、ハウザンしょう(Tỉnh Hậu Giang)、ティエンザンしょう(Tỉnh Tiền Giang)、ベンチェしょう(Tỉnh Bến Tre)、チャーヴィンしょう(Tỉnh Trà Vinh)、ソクチャンしょう(Tỉnh Sóc Trăng)、ロンアンしょう(Tỉnh Long An)、キエンザンしょう(Tỉnh Kiên Giang)、バクリエウしょう(Tỉnh Bạc Liêu)、カマウしょう(Tỉnh Cà Mau)がふくまれ、前者ぜんしゃ18しょうがメコンがわ流域りゅういきないである。なお、人工じんこう水路すいろふくめれば、さらにしょう水路すいろ接続せつぞくされている。

カンボジアのメコン流域りゅういき水位すいいは、河口かこう沖合おきあい南シナ海みなみしなかい満潮まんちょう潮位ちょういよりひくい。このため、満潮まんちょうにはメコンのながれはベトナムからプノンペンまで、うみから逆流ぎゃくりゅうする。その結果けっか、ベトナムの非常ひじょう平坦へいたんなメコンデルタ領域りょういきとくにカンボジア国境こっきょうちかアンザンドンタップでは氾濫はんらんしやすい。

歴史れきし

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メコンにかんするもっとふる文明ぶんめい痕跡こんせき紀元前きげんぜん2100ねんまでさかのぼり、鉄器てっき時代じだい文化ぶんかバーンチエン遺跡いせきのこされている。外部がいぶ文明ぶんめいとの交流こうりゅうもっとふる記録きろくとしては、クメール文明ぶんめい扶南こく遺跡いせきがあり、ベトナムのアンザンしょうオケオ遺跡いせきでは1世紀せいきごろマ帝国まていこくのコイン発見はっけんされている。

最初さいしょにメコンに遭遇そうぐうしたヨーロッパじんは、1540ねんポルトガルのアントニオ・デ・ファイラであった。1563ねんのヨーロッパの地図ちずにはメコンについての記述きじゅつあらわれるが、ヨーロッパの関心かんしん希薄きはくだった。のちになって、スペインとポルトガルはキリスト教きりすときょう宣教師せんきょうしおくみ、布教ふきょう貿易ぼうえきのための探検たんけんたい組織そしきした。1641ねんから1642ねんには、オランダのゲリット・ファン・ウィストフが遠征えんせいおこない、ビエンチャンにたっした。

フランスは、19世紀せいき中頃なかごろにこの地域ちいきへの関心かんしんつよめた。1861ねんサイゴン支配しはいき、1863ねんにカンボジアを保護ほごこくにした。フランスのメコン探検たんけんたいがエルネスト・ドゥダール・デ・ラグレとフランソワ・ガルニエによって組織そしきされ、はじめて系統的けいとうてき探検たんけんはじまった。この探検たんけんは1866ねんから1868ねんにかけておこなわれ、ガルニエは河口かこうから雲南うんなんまで遡上そじょうした。水源すいげんは、ロシアじん探検たんけんピョートル・コズロフによって1900ねんあきらかにされた。

1893ねんから、フランスはかわ支配しはいいきをラオスにひろげ、20世紀せいき最初さいしょの10年間ねんかんフランスりょうインドシナ設置せっちした。日本にっぽんぐんふつしるし進駐しんちゅう太平洋戦争たいへいようせんそうて、だいいちインドシナ戦争せんそうやぶれたフランスの支配しはいわったが、以降いこう、この領域りょういきアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくふかかかわった。ベトナム戦争せんそうアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく支持しじするタイ政府せいふと、そのくににおけるあたらしい共産きょうさん主義しゅぎ政権せいけんあいだ緊張きんちょうつづき、メコンの利用りようについては協力きょうりょく関係かんけいきずけない状態じょうたいつづいた。しかし、1957ねんには、流域りゅういき諸国しょこくあつまって協議きょうぎするメコンがわ委員いいんかい創設そうせつされた。

このほかに1995ねんには、ミャンマー以外いがい東南とうなんアジアの流域りゅういき4カ国かこくでメコン流域りゅういきコミッション(メコンがわ委員いいんかい[1]、MRC)が創設そうせつされ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくほかにヨーロッパ諸国しょこく日本にっぽん支援しえんしてきた。さらにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくは、メコン流域りゅういき開発かいはつ(LMI)をつうじた協力きょうりょくを2009ねん開始かいしし、2020ねん9がつ11にちにはメコン-アメリカ・パートナーシップのはつ会合かいごうひらいた。これにたいして中国ちゅうごくは2015ねん東南とうなんアジア5カ国かこく澜沧こう-メコンがわ協力きょうりょく(LMC)を発足ほっそくさせ。2016ねんには流域りゅういき5カ国かこくとメコンがわ協力きょうりょく首脳しゅのう会議かいぎ開催かいさい[1]した。こうした国際こくさい枠組わくぐみは流域りゅういき開発かいはつ治水ちすい水力すいりょく発電はつでんのう漁業ぎょぎょうのためのみず資源しげんについての協力きょうりょく対立たいりつというめんだけでなく、東南とうなんアジアにおけるアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく中国ちゅうごくとの影響えいきょうりょくあらそいという側面そくめんもある[2]アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく国務省こくむしょうは2020ねん12月、中国ちゅうごく領内りょうないのダムを衛星えいせい写真しゃしんかんする計画けいかく公表こうひょうした[1]

2024ねん8がつ5にち、メコンがわ首都しゅとプノンペン近郊きんこうからケップしゅうタイわんまで、やく180キロメートルをむすぶ「フナン・テチョ運河うんが」の建設けんせつはじまった。カンボジア政府せいふによれば、4ねんかけてつらぬき、そう工費こうひは17おくドル。やく180キロのうち159キロの区間くかんの49パーセントは中国ちゅうごく国営こくえい企業きぎょう資金しきん拠出きょしゅつする[13]

源流げんりゅうおよび支流しりゅう分流ぶんりゅう

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上流じょうりゅうから記載きさい

メコンの上流じょうりゅう位置いちする中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくとラオスは、治水ちすい水力すいりょく発電はつでんのために多数たすうダム建設けんせつしている[2]

名称めいしょう 国籍こくせき 完成かんせい 発電はつでんりょう
MW
位置いち
こうはてきょうダム
Gongguoqiao Dam
中国ちゅうごく 2008 750

北緯ほくい2536ふん43.7びょう 東経とうけい9917ふん45.6びょう / 北緯ほくい25.612139 東経とうけい99.296000 / 25.612139; 99.296000 (こうはてきょうダム)

小湾こわんダム
Xiaowan Dam
中国ちゅうごく 2013 4200

北緯ほくい2442ふん19.1びょう 東経とうけい1005ふん31.8びょう / 北緯ほくい24.705306 東経とうけい100.092167 / 24.705306; 100.092167 (小湾こわんダム)

漫湾ダム
Manwan Dam
中国ちゅうごく 1996 1500

北緯ほくい2437ふん20.2びょう 東経とうけい10026ふん56.4びょう / 北緯ほくい24.622278 東経とうけい100.449000 / 24.622278; 100.449000 (漫湾ダム)

だい朝山あさやまダム
Dachaoshan Dam
中国ちゅうごく 2003 1350

北緯ほくい241ふん40.3びょう 東経とうけい10022ふん9.8びょう / 北緯ほくい24.027861 東経とうけい100.369389 / 24.027861; 100.369389 (だい朝山あさやまダム)

もち扎渡ダム
Nuozhadu Dam
中国ちゅうごく 2017 5850
けいひろしダム
Jinghong Dam
中国ちゅうごく 2010 1750

北緯ほくい2150ふん48びょう 東経とうけい10058ふん21.4びょう / 北緯ほくい21.84667 東経とうけい100.972611 / 21.84667; 100.972611 (けいひろしダム)

橄欖かんらん壩ダム
Ganlanba Dam
中国ちゅうごく n/a 150
はじめまつダム
Mengsong Dam
中国ちゅうごく n/a 600
参考さんこう

環境かんきょう問題もんだい

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メコンが現在げんざい直面ちょくめんしている環境かんきょう問題もんだいは、流量りゅうりょう減少げんしょう[1]流域りゅういき各国かっこくでの水質すいしつ汚染おせん過剰かじょう漁獲ぎょかく、ダム建設けんせつ急流きゅうりゅう緩和かんわする治水ちすい工事こうじおよび、上流じょうりゅう領有りょうゆうする中国ちゅうごくによる河川かせん舟運しゅううん目的もくてきとした岩礁がんしょう爆破ばくはなどの地形ちけい改変かいへんである。おおくのダムがすでかわ支流しりゅう建設けんせつされており、顕著けんちょれいではタイ・ウボンラーチャターニーのパクマンダムが、環境かんきょうへの被害ひがいをもたらすとともに、地域ちいき住民じゅうみん生活せいかつにも悪影響あくえいきょうあたえると批判ひはんされている。 主流しゅりゅうへのダム建設けんせつは、さらに深刻しんこく影響えいきょうあたえる。中国ちゅうごくはチベット周辺しゅうへんにあるメコンがわ主流しゅりゅうへのダム建設けんせつだい規模きぼ計画けいかく着手ちゃくしゅしている。1990年代ねんだいはじまりすでに1つの漫湾ダムをはじめ、3つのダムが完成かんせいし、さらに12のダムを計画けいかくちゅうである。

中国ちゅうごく雲南うんなんしょうからタイ、ラオス北部ほくぶにかけての上流じょうりゅうでより大型おおがた船舶せんぱく航行こうこうできるように、障害しょうがいとなる岩礁がんしょう破壊はかいなどを実施じっし計画けいかくしている。こうした岩礁がんしょうさかなとり繁殖はんしょく場所ばしょであり、生物せいぶつ種類しゅるい生息せいそくすうらすことが懸念けねんされている[15]

経済けいざい発達はったつなカンボジアでは、食料しょくりょう供給きょうきゅうだい部分ぶぶんかわ依存いぞんしている。としいち氾濫はんらんは、メコンの支流しりゅうであるトンレサップ流域りゅういき肥沃ひよくするために必要ひつような、多量たりょうみず供給きょうきゅうしている。氾濫はんらんければ、この地域ちいきかわいたほこりだらけの生産せいさんりょくひく土地とちとなり、ひいては都市とし維持いじできなくなる。トンレサップ生物せいぶつ保護ほごは、トンレサップ周辺しゅうへん領域りょういき保護ほごするために創設そうせつされた。

メコンの下流かりゅう位置いちする国々くにぐにかえりみない中国ちゅうごく姿勢しせいを、メコンがわ委員いいんかい(MRC)の他国たこく非難ひなんし、ダム建設けんせつ中止ちゅうしもとめたが、空振からぶりにわった。最初さいしょ中国ちゅうごくのダム建設けんせつ以降いこう水位すいい低下ていかし、らえられたさかなちいさく、漁獲ぎょかくりょうは4ぶんの1に減少げんしょうした。チェンライみなと取引とりひきだか半分はんぶん未満みまんまで減少げんしょうし、メコンイルカやマナティーふくむ、おおくのたね絶滅ぜつめつ危機ききにさらされるようになった。水位すいい低下ていかによりフェリーが往生おうじょうするため、チェンライからルアンパバーンまでの航行こうこうは、以前いぜんの8あいだから2日間にちかんようするまでにびている。 現在げんざいでもこうした問題もんだい発生はっせいしており、中国ちゅうごくのダム建設けんせつ計画けいかくどおおこなわれると、さらに深刻しんこく影響えいきょうおよぼすことになる。した流域りゅういき諸国しょこく環境かんきょう破壊はかい汚染おせんくわえ、ひく水位すいいさかな遡上そじょうさまたげ、産卵さんらんができなくなるという、かわ閉塞へいそく問題もんだいにも直面ちょくめんする。中国ちゅうごく政府せいふ建設けんせつまえ下流かりゅう地域ちいき事前じぜん警告けいこくすることになっているが、おそぎるかまったいことがおおいという[4]

メコンがわでは流量りゅうりょう激減げきげんしており、メコンデルタでは海水かいすい逆流ぎゃくりゅうして漁獲ぎょかくりょう減少げんしょう農地のうち塩害えんがいをもたらしている。MRCは2021ねん2がつ12にち雲南うんなんしょう水力すいりょく発電はつでん原因げんいんとする非難ひなん声明せいめいはじめて発表はっぴょうした。中国ちゅうごく外相がいしょうおうあつしは2020ねん2がつ、メコン流域りゅういき諸国しょこくとの外相がいしょう会談かいだんで、流量りゅうりょう減少げんしょう降雨こうう不足ふそくで、中国ちゅうごく被害ひがいしゃ説明せつめいしたが、メコン上流じょうりゅうでのみず利用りようデータの公表こうひょうこばんでいる[1]

中国ちゅうごく岩石がんせき砂洲さす浚渫しゅんせつし、峡谷きょうこく爆破ばくはして流速りゅうそく緩和かんわする一方いっぽうで、べつ場所ばしょではダムから放水ほうすいおこなうことにより、雨期うき-乾期かんきという自然しぜんのサイクルを無視むしした一時いちじてき水量すいりょう増加ぞうかが、べつ環境かんきょう問題もんだいこす。この問題もんだいで、とくつよ影響えいきょうけているのはカンボジアである。カンボジアの農業のうぎょう生産せいさん絶妙ぜつみょう水量すいりょうのバランスのうえっており、それがくずれることで、15世紀せいきクメール王朝おうちょう滅亡めつぼうさせただい規模きぼ飢饉ききん壊滅かいめつてき洪水こうずいというシナリオの再現さいげん危惧きぐされている。メコン流域りゅういきのラオスの都市としやベトナムのホーチミン[よう出典しゅってん]ひく水位すいい[16]汚染おせんにより、おおきな打撃だげきける。

その

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ラオスのヴィエンチャンやタイのノンカーイ周辺しゅうへんのメコンでは、ひかりはなたま水面すいめんから上昇じょうしょうする現象げんしょうき、これはナーガこうだまばれている。ナーガはへびまたはりゅう意味いみであり、現地げんちではパヤナーガ、すなわちメコンにりゅうこす現象げんしょうだとかんがえられている。

写真しゃしんしゅう

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e f g 「メコンがわ流量りゅうりょう激減げきげんひがしなんのう漁業ぎょぎょう被害ひがい中国ちゅうごくのダム建設けんせつ影響えいきょうか」「あらたなべいちゅう攻防こうぼう舞台ぶたい読売新聞よみうりしんぶん朝刊ちょうかん2021ねん2がつ26にち国際こくさいめん)※本文ほんぶん閲覧えつらんよう会員かいいん登録とうろく
  2. ^ a b c メコン流域りゅういきこく まいちゅう綱引つなひき/河川かせん管理かんり中国ちゅうごく主導しゅどうべい反発はんぱつ」『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん朝刊ちょうかん2020ねん9がつ9にち国際こくさいめん)2020ねん10がつ4にち閲覧えつらん
  3. ^ メコンがわ流域りゅういきで163しゅ新種しんしゅ発見はっけん最新さいしん報告ほうこく発表はっぴょう”. WWFジャパン. 2017ねん8がつ17にち閲覧えつらん
  4. ^ a b ダム建設けんせつれるメコンがわ」『ナショナルジオグラフィック日本にっぽんばん』2015ねん5がつごう(2020ねん10がつ4にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c Tram Chim National Park | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2012ねん2がつ2にち). 2023ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  6. ^ Beung Kiat Ngong Wetlands | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2010ねん6がつ16にち). 2023ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  7. ^ Lower Songkhram River | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2020ねん4がつ23にち). 2023ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  8. ^ Xe Champhone Wetlands | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2010ねん6がつ26にち). 2023ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  9. ^ a b Middle Stretches of Mekong River North of Stoeng Treng | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2012ねん1がつ1にち). 2023ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  10. ^ Nong Bong Kai Non-Hunting Area | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2001ねん7がつ5にち). 2023ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  11. ^ Lang Sen Wetland Reserve | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2015ねん5がつ22にち). 2023ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  12. ^ ベトナム・メコン河下かわしも流域りゅういきにおける水位すいい変動へんどう特性とくせい” (PDF). 上原うえはら克人かつと. 2015ねん3がつ24にち閲覧えつらん
  13. ^ カンボジアに運河うんが摩擦まさつたね 中国ちゅうごく出資しゅっし、ベトナムは軍事ぐんじ利用りよう警戒けいかい朝日新聞あさひしんぶんデジタル”. 朝日新聞あさひしんぶん. 2024ねん8がつ6にち閲覧えつらん
  14. ^ Probe International 30.06.2006 The Hydrolancang cascade Archived 2009ねん5がつ29にち, at the Wayback Machine.
  15. ^ 【ASEAN50ねん】メコンがわ流域りゅういき 中国ちゅうごく主導しゅどうの「水運すいうん開発かいはつ岩礁がんしょう爆破ばくは住民じゅうみん反発はんぱつ”. 『毎日新聞まいにちしんぶん朝刊ちょうかん2017ねん8がつ4にち(国際こくさいめん). 2017ねん8がつ19にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2017ねん8がつ18にち閲覧えつらん
  16. ^ メコンがわだい異変いへん世紀せいきてい水位すいい記録きろく深刻しんこく食料しょくりょう危機ききおそれも みずむ「ハングリーウォーター」現象げんしょう発生はっせい、6000まんにんたよ大河たいが岐路きろ ナショナルジオグラフィック(2020ねん2がつ29にち)2020ねん10がつ4にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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