(Translated by https://www.hiragana.jp/)
PMP22 - Wikipedia コンテンツにスキップ

PMP22

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
PMP22
識別子しきべつし
記号きごうPMP22, CMT1A, CMT1E, DSS, GAS-3, HMSNIA, HNPP, Sujojp110, GAS3, peripheral myelin protein 22, CIDP, Sp110
外部がいぶIDOMIM: 601097 MGI: 97631 HomoloGene: 7482 GeneCards: PMP22
遺伝子いでんし位置いち (ヒト)
17番染色体 (ヒト)
染色せんしょくたい17ばん染色せんしょくたい (ヒト)[1]
17番染色体 (ヒト)
PMP22遺伝子の位置
PMP22遺伝子の位置
バンドデータ開始かいしてん15,229,773 bp[1]
終点しゅうてん15,272,292 bp[1]
遺伝子いでんし位置いち (マウス)
11番染色体 (マウス)
染色せんしょくたい11ばん染色せんしょくたい (マウス)[2]
11番染色体 (マウス)
PMP22遺伝子の位置
PMP22遺伝子の位置
バンドデータ開始かいしてん63,019,808 bp[2]
終点しゅうてん63,050,373 bp[2]
RNA発現はつげんパターン
さらなる参照さんしょう発現はつげんデータ
遺伝子いでんしオントロジー
分子ぶんし機能きのう 血漿けっしょうタンパク結合けつごう
細胞さいぼう構成こうせい要素ようそ integral component of membrane
compact myelin
細胞さいぼうまく
まく
bicellular tight junction
生物せいぶつがくてきプロセス myelination
細胞さいぼう分化ぶんか
bleb assembly
細胞さいぼう
negative regulation of neuron projection development
末梢まっしょう神経しんけいけい発生はっせい
negative regulation of cell population proliferation
化学かがくてきシナプス伝達でんたつ
myelin assembly
出典しゅってん:Amigo / QuickGO
オルソログ
たねヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)
NM_000304
NM_001281455
NM_001281456
NM_153321
NM_153322

NM_001330143

NM_001302255
NM_001302257
NM_001302258
NM_001302259
NM_001302260

NM_001302261
NM_008885

RefSeq
(タンパク質たんぱくしつ)
NP_000295
NP_001268384
NP_001268385
NP_001317072
NP_696996

NP_696997

NP_001289184
NP_001289186
NP_001289187
NP_001289188
NP_001289189

NP_001289190
NP_032911
NP_001391071
NP_001391072
NP_001391206
NP_001391207
NP_001391208
NP_001391209
NP_001391210
NP_001391211
NP_001391212
NP_001391213
NP_001391214
NP_001391215
NP_001391216
NP_001391217
NP_001391218
NP_001391219

場所ばしょ
(UCSC)
Chr 17: 15.23 – 15.27 MbChr 17: 63.02 – 63.05 Mb
PubMed検索けんさく[3][4]
ウィキデータ
閲覧えつらん/編集へんしゅう ヒト閲覧えつらん/編集へんしゅう マウス

PMP22(peripheral myelin protein 22)は末梢まっしょう神経しんけいのインターノード(internode)におも発現はつげんされるミエリン構成こうせいタンパク質たんぱくしつのひとつであり、4かいまく貫通かんつうがた蛋白質たんぱくしつである。ゆうずい神経しんけい線維せんいの4つの部位ぶいから構成こうせいされている。それはランビエしぼ(Node of Ranvier)、パラノード(Paranode)、ジャクスタパラノード(Juxaparanode)、インターノードである、インターノードはミエリンさや形成けいせい関与かんよするMPZ(ミエリン蛋白質たんぱくしつゼロ)、PMP22、MBP(ミエリン塩基えんきせい蛋白質たんぱくしつ)が発現はつげんしており、これらの蛋白質たんぱくしつずいさや形成けいせいとインターノードのしずかでん容量ようりょう低下ていかになっているとかんがえられている。PMP22はミエリン構成こうせい蛋白質たんぱくしつ全体ぜんたいの2~5%をめるとかんがえられており、のミエリン構成こうせい蛋白質たんぱくしつ同様どうようにミエリンの形成けいせい維持いじかかわっているとかんがえられている。


アミノ酸あみのさん配列はいれつにおいて20%以上いじょうおな場合ばあいあい同性どうせいがあるという。4かいまく貫通かんつうがた蛋白質たんぱくしつのうち、クローディン-1とのアミノ酸あみのさんしょう同性どうせいが20%以上いじょうあることから、PMP22はクローディンファミリーにふくまれている。しかしタイトジャンクションとの相互そうご作用さようあきらかになっていない。

遺伝子いでんし

[編集へんしゅう]

歴史れきしてきにはマウス線維せんい細胞さいぼうかぶNIH3T3からたんはなされたgas3と、ラットの神経しんけいからたんはなされたSR13という転写てんしゃ産物さんぶつ高度こうどあい同性どうせいをもち、おな遺伝子いでんしではないかとかんがえられた。両者りょうしゃとも末梢まっしょう神経しんけいのミエリンに局在きょくざいする同一どういつの22kDの分子ぶんしりょう蛋白質たんぱくしつをコードしておりPMP22と改名かいめいされた。

ヒトではPMP22遺伝子いでんし染色せんしょくたいの17p11.2に位置いちする。6つのエクソンからなる40kbの遺伝子いでんしである。この構造こうぞうはヒトとかじるい保存ほぞんされている。6つのエクソンはエクソン1A、エクソン1B、エクソン2、エクソン3、エクソン4、エクソン5の6つである。エクソン1Aとエクソン1Bで選択せんたくてきスプライシングこり転写てんしゃ産物さんぶつは1A-PMP22(別名べつめいはCD25)と1B-PMP22(別名べつめいはSR13)の2種類しゅるいられる[5]。PMP22のコード領域りょういきはエクソン2からエクソン5であり、 1A-PMP22と1B-PMP22のちがいは3’UTRの配列はいれつだけであり翻訳ほんやく産物さんぶつおなじである。エクソン2がTM1、エクソン3がECL1、エクソン4がTM2全部ぜんぶとICLとTM3の半分はんぶん、エクソン5がTM3の半分はんぶんとECL2とTM4と3‘UTRをコードしている。

発現はつげん部位ぶい

[編集へんしゅう]

発生はっせい過程かていではPMP22ははい全体ぜんたい発現はつげんしている。成体せいたいではおもシュワン細胞さいぼう発現はつげんしているが、神経しんけい組織そしき一部いちぶではていレベルでmRNAが検出けんしゅつされる。たとえば肝臓かんぞうきも細管さいかんでも発現はつげん確認かくにんされている。神経しんけいけいなかでは脳神経のうしんけいかくぜんかく細胞さいぼうこう神経しんけいぶし衛星えいせい細胞さいぼう発現はつげんしているがシュワン細胞さいぼうよりは発現はつげんりょうすくない。マウスの坐骨ざこつ神経しんけい摘出てきしゅつ容易よういで、だい部分ぶぶんがシュワン細胞さいぼうかんがえられている。坐骨ざこつ神経しんけいでは1A-PMP22が1B-PMP22の7ばい発現はつげんしているが、坐骨ざこつ神経しんけい以外いがいでは1B-PMP22のみ発現はつげんしている。PMP22の蛋白質たんぱくしつはmRNAと同様どうよう領域りょういきみとめられるとかんがえられている。PMP22蛋白質たんぱくしつ末梢まっしょう神経しんけいゆうずい神経しんけいでは豊富ほうふ存在そんざいするが中枢ちゅうすう神経しんけいけいでは検出けんしゅつ困難こんなんなことがある。

蛋白質たんぱくしつ立体りったい構造こうぞう

[編集へんしゅう]

まく蛋白質たんぱくしつであり、大量たいりょう発現はつげん精製せいせい結晶けっしょうのいずれもむずかしく立体りったい構造こうぞうがわかっていない。いち構造こうぞうではN末端まったんからTM1、ECL1、TM2、ICL、TM3、ECL2、TM4というじゅんならぶ。4つのまく貫通かんつうドメインと2つの細胞さいぼうがいドメインと1つの細胞さいぼうないドメインをもつ。アミノ酸あみのさんレベルではヒトとマウスでは22アミノ酸あみのさんちがいがある[6]

転写てんしゃ調節ちょうせつ

[編集へんしゅう]

PMP22はP1とP2というふたつのプロモーターがある。P1は1A-PMP22をP2は1B-PMP22の転写てんしゃ開始かいしおこなっている。これ以外いがいにもPMP22の調節ちょうせつ部位ぶいがプロモーターの周囲しゅうい上流じょうりゅう存在そんざいし、PMP22の発現はつげんりょう調整ちょうせいされている。CREB(cAMP応答おうとうエレメント結合けつごう蛋白質たんぱくしつ)と相互そうご作用さようする部位ぶい上流じょうりゅうにありPMP22のサイレンサーとしてはたらくことがられている。こう濃度のうどのビタミンCはアデニルさんシクラーゼをかいして細胞さいぼうないcAMP濃度のうど上昇じょうしょうさせる。cAMP-PKA-CREBけい活性かっせいする結果けっか、PMP22の発現はつげんりょう減少げんしょうする。この発現はつげん調整ちょうせいはCMT1AのビタミンC投与とうよ根拠こんきょになっている。

またミエリン関連かんれん蛋白たんぱく転写てんしゃ因子いんしであるEGR2(ealy growth response 2)やSOX10(sex determing region Y-box 10)などもPMP22の転写てんしゃ調節ちょうせつ影響えいきょうする。EGR2やSOX10は胎生たいせい蛋白たんぱく転写てんしゃ制御せいぎょ因子いんしで、ミエリン構成こうせい蛋白たんぱく遺伝子いでんし発現はつげん関与かんよする。EGR2の異常いじょうはCMT1D、CMT4E、デジュリーヌ・ソッタス症候群しょうこうぐん先天せんてんせいずいさや形成けいせい不全ふぜんニューロパチーの原因げんいんである。SOX10は先天せんてんせいずいさや形成けいせい不全ふぜんニューロパチーやワールデンブルグ症候群しょうこうぐん(ワールデンブルグ-ヒルシュスプルングびょう、ワールデンブルグ-シャー症候群しょうこうぐん)の原因げんいんとなる。

輸送ゆそう

[編集へんしゅう]

PMP22はまくタンパク質たんぱくしつ同様どうよう輸送ゆそう経路けいろもちいているとかんがえられている。あらたに合成ごうせいされたPMP22はしょう胞体ゴルジたいでグリコシルなど翻訳ほんやく修飾しゅうしょくをうけて細胞さいぼうまく輸送ゆそうされる。

機能きのう

[編集へんしゅう]

末梢まっしょう神経しんけいずいさやじくさくシュワン細胞さいぼう突起とっき細胞さいぼうまく内外ないがい接着せっちゃくしてつくられる。細胞さいぼうまく外側そとがわ同士どうし接着せっちゃくしてintraperiod line、内側うちがわ同士どうしでmajor dense lineができる。電子でんし顕微鏡けんびきょうでみてえるほうがmajor dense lineであり、うすいほうがintraperiod lineである。さい内側うちがわのintraperiod line同士どうしがくっつくところがmesaxonとばれる。ずいさやのtightな接着せっちゃく部位ぶい緻密ちみつ、シュミット・ランターマンきりこん緻密ちみつという。それぞれ関与かんよするずいさや蛋白質たんぱくしつことなっている。緻密ちみつではMPZやPMP22があり、緻密ちみつにはMAG、コネキシン32、E-カドヘリンなどがある。IgスーパーファミリーにぞくするMPZが緻密ちみつ接着せっちゃくかかわっている。PMP22はMPZと相互そうご作用さようすることからミエリンの形成けいせい維持いじかかわるとかんがえられている。事実じじつ、PMP22遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんいにCMT1A、遺伝いでんせいあつ脆弱ぜいじゃくせいニューロパチー、CMT1Eといっただつずいせいニューロパチーがあること、同様どうようじょだつずいせいニューロパチーのモデル動物どうぶつ作成さくせいできる。しかし、クローディンファミリーにぞくするがPMP22同士どうし相互そうご作用さようられておらずミエリン構成こうせい維持いじ分子ぶんしレベルの機能きのうには不明ふめいてんおおい。にはPMP22の機能きのうかんして細胞さいぼう増殖ぞうしょくアポトーシス細胞さいぼう分化ぶんかずいさや形成けいせいかんしては研究けんきゅう知見ちけんがある。

細胞さいぼう増殖ぞうしょく

PMP22の過剰かじょう発現はつげんではin vitroとin vivoでシュワン細胞さいぼう増殖ぞうしょく減少げんしょうさせる。PMP22の欠損けっそんナンセンス変異へんいはin vitroとin vivoでシュワン細胞さいぼう増殖ぞうしょく増加ぞうかさせる。PMP22のミスセンス変異へんいはin vitroではシュワン細胞さいぼう増殖ぞうしょく抑制よくせいし、 in vivoではシュワン細胞さいぼう増殖ぞうしょく増加ぞうかさせる。PMP22のミスセンス変異へんいではin vitroとin vivoで効果こうかことなる。これはPMP22のミスセンス変異へんい結果けっかしょうじただつずいじくさく障害しょうがいのため再生さいせいさいずいさやうながされた結果けっかかんがえられている。

アポトーシス

PMP22の過剰かじょう発現はつげん欠損けっそん、ミスセンス変異へんいのいずれもシュワン細胞さいぼうのアポトーシスを増加ぞうかさせる。アポトーシスじょかんしてはp53依存いぞんせいアポトーシスという報告ほうこくもあるが不明ふめいてんおおい。

分化ぶんかずいさや形成けいせい

PMP22はミエリン形成けいせいにおけるシュワン細胞さいぼう分化ぶんか制御せいぎょ重要じゅうようであり、そのじくさくずいさや相互そうご作用さよう関与かんよしている。ニューレグリン(NRG)との作用さよう分化ぶんかずいさや形成けいせいにおいて重要じゅうようである。シュワン細胞さいぼう胎児たいじ神経しんけいつつみ細胞さいぼう由来ゆらいし、さらに前駆ぜんく細胞さいぼうから未熟みじゅくシュワン細胞さいぼうとなり出生しゅっしょうまでごす。その過程かていじくさくからのNRGなどの栄養えいよう因子いんしがシュワン細胞さいぼう生存せいぞん分化ぶんか必要ひつようである。未熟みじゅくシュワン細胞さいぼうはNRG-1やラミニンなどに支持しじされ、出生しゅっしょうKrox-20やOct-6などの転写てんしゃ因子いんし発現はつげんずいさやなどが制御せいぎょされる。ずいさやがおこるとずいさや構成こうせい蛋白質たんぱくしつであるMPZなどが産出さんしゅつされる。またNRGはじくさくおおきさにおうじてかこんだシュワン細胞さいぼうずいさやさせゆうずい神経しんけいとするか、かこむだけでずい神経しんけいにするか決定けっていするのに関与かんよするとかんがえられている。神経しんけい再生さいせいもNRGは栄養えいよう因子いんしとして病態びょうたいかかわる。またNRG-1はCMT1Aモデルラットの表現ひょうげんがた改善かいぜん治療ちりょうやくとしても期待きたいされている。

PMP22関連かんれん疾患しっかん

[編集へんしゅう]

PMP22遺伝子いでんし変異へんいによってしょうじる疾患しっかんにはCMT1A、遺伝いでんせいあつ脆弱ぜいじゃくせいニューロパチー、CMT1EがありこれらをPMP22関連かんれん疾患しっかんという。

CMT1AはPMP22遺伝子いでんし重複じゅうふくによってしょうじる。PMP22の重複じゅうふく原因げんいんとする根拠こんきょが3つあげられている。ひとつはPMP22のミスセンス変異へんいだつずいせいニューロパチーがこる。ふたにPMP22を過剰かじょう発現はつげんさせたかじるいでCMT1Aと同様どうようだつずいせいニューロパチーがしょうじる動物どうぶつモデルが存在そんざいする。3つめはPMP22のナンセンス変異へんい欠損けっそんでもニューロパチーがしょうじることがあげられる。電気でんき生理学せいりがくてき所見しょけんみとめられるUniform slowingという所見しょけん病理びょうりがくてき確認かくにんされるとおくらいじくさく障害しょうがいがCMT1Aで注目ちゅうもくされる所見しょけんである。

臨床りんしょう症状しょうじょう

[編集へんしゅう]

典型てんけいれいでは20さいまでに歩行ほこう障害しょうがい発症はっしょう緩徐かんじょ進行しんこうせい経過けいかをとる。発症はっしょう詳細しょうさい聴取ちょうしゅおこなうと発症はっしょうまえからスポーツが苦手にがてなエピソードがあることがおおい。神経しんけいがくてき所見しょけん左右さゆう対称たいしょう四肢ししとおくらい筋力きんりょく低下ていか感覚かんかく鈍麻どんまである。

電気でんき生理学せいりがく

[編集へんしゅう]

神経しんけい伝導でんどう速度そくど検査けんさ複数ふくすう検査けんさ区間くかん比較的ひかくてき均一きんいつ伝導でんどう速度そくど低下ていかみとめる。CIDPなど炎症えんしょうせいだつずいせいニューロパチーではみとめられない所見しょけんでありUniform slowingといわれる。伝導でんどうブロックをしめさない。発症はっしょうまえ小児しょうにからNCVの低下ていかがあるが症状しょうじょうとNCVは相関そうかんせず、CMAP振幅しんぷく低下ていか筋力きんりょく低下ていか相関そうかんする。小児しょうににCMAP振幅しんぷくとNCVが増大ぞうだいしてよわいとともに減少げんしょうする傾向けいこう正常せいじょうじんおなじである。しかしCMAP振幅しんぷくもNCVも正常せいじょうレベルにはおよばない。Schwann cell-Axon Interactionの結果けっか、CMAP振幅しんぷく低下ていかしているとかんがえられている。

病理びょうりがく

[編集へんしゅう]

CMT1Aでは神経しんけいたばおおきくなり皮膚ひふ直下ちょっかさわできることがしばしばある。神経しんけい肥厚ひこう原因げんいんはミクロレベルではオニオンバルブ(onion bulb)、神経しんけいないさや神経しんけいしゅうまく浮腫ふしゅ、シュワン細胞さいぼう増加ぞうかなどである。オニオンバルブは神経しんけい横断おうだんぞうでみられるずいさや周囲しゅういにタマネギじょうそう構造こうぞうである。だつずいとそのずいさや再生さいせいとが長年ながねんにわたりかえきたことによる病理びょうり変化へんかである。CMT1aではぜんれいでオニオンバルブがみとめられ、ゆうずい神経しんけいやく半数はんすうにオニオンバルブが出現しゅつげんする。オニオンバルブは小径しょうけいゆうずい線維せんいつよくみられる特徴とくちょうがある。ゆうずい神経しんけい線維せんい密度みつど中等ちゅうとう低下ていかがありずい神経しんけい線維せんい密度みつど比較的ひかくてき軽度けいどである。ときほぐし線維せんいではやく80%におよぶゆうずい線維せんいだつずいせい変化へんか特徴とくちょうてきである。これら病理びょうり変化へんか一致いっちして神経しんけい伝導でんどう速度そくど検査けんさでは四肢しし伝導でんどう速度そくど一様いちよう低下ていかする。 乳児にゅうじのCMT1Aではオニオンバルブがとぼしいことがあり、ずいさや消失しょうしつマクロファージ浸潤しんじゅん神経しんけいたばない浮腫ふしゅなどの急性きゅうせいだつずいぞうがみられることもある。オニオンバルブはCMT1Aの中核ちゅうかく病理びょうりであるがかならずしも特異とくいてきではない。たとえば糖尿とうにょうびょうせいニューロパチー慢性まんせい炎症えんしょうせいだつずいせい多発たはつ神経しんけいえんでもしばしばオニオンバルブがみとめられる。しかしこれらの疾患しっかんではオニオンバルブの出現しゅつげんりつゆうずい神経しんけいの10%にもたない。

オニオンバルブがかえしのだつずいさいずいさやしめすのならばCMT1Aは神経しんけい伝導でんどう速度そくど検査けんさ伝導でんどうブロックの所見しょけんをしめすべきである。このてん病態びょうたい解釈かいしゃく今後こんご変更へんこうされる可能かのうせいがある。Schwann cell-Axon Interactionの結果けっかとおくらいじくさく障害しょうがいがおこるとかんがえられている。

遺伝いでんがく

[編集へんしゅう]

つね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでんしめ遺伝子いでんし疾患しっかんである。PMP22をふくむ1.4MBのゲノム重複じゅうふくにより通常つうじょう2コピーのPMP22遺伝子いでんしが3コピーになるためにFISHほう遺伝子いでんし診断しんだんができる。PMP22をはさんで類似るいじした配列はいれつをもつ領域りょういきが17ばん染色せんしょくたいにありこれが染色せんしょくたいえのときにあやまった部位ぶいえがこりかけしつ重複じゅうふくしょうじるとかんがえられている。

病態びょうたいがく

[編集へんしゅう]

PMP22の過剰かじょう発現はつげんはgain of functionのじょ末梢まっしょう神経しんけい全体ぜんたい影響えいきょうあたえる。その病原びょうげんせいじょはPMP22のてん突然変異とつぜんへんいによっておこるCMT1Eとはことなる。

まずはPMP22のトリソミーではPMP22のmRNAが過剰かじょう発現はつげんする。過剰かじょう発現はつげん程度ていどには様々さまざまなレベルがある。様々さまざまなレベルのPMP22のmRNAの過剰かじょう発現はつげんによってPMP22蛋白質たんぱくしつ過剰かじょうになる。PMP22蛋白質たんぱくしつ過剰かじょうによってシュワン細胞さいぼうないの2つの経路けいろだつずいがおこるとかんがえられている。まずだいいちコレステロール生成せいせいけい酵素こうそ抑制よくせいすること、だいにP2X7受容じゅようたいをアップレギュレートする。コレステロールの合成ごうせい低下ていかはミエリン形成けいせい異常いじょうこし、P2X7の増加ぞうかはシュワン細胞さいぼうないのカルシウムイオン濃度のうど増加ぞうかさせ、その結果けっかふしせいだつずいがおこることがられている。またPMP22蛋白質たんぱくしつ過剰かじょうじくさくとシュワン細胞さいぼう相互そうご作用さようにも異常いじょうをおこす。Schwann cell-Axon Interactionの結果けっかとおくらいじくさく障害しょうがいがおこる。PI3K-AKT-mTORシグナル伝達でんたつけいとRas-Raf-MEK-ERKシグナル伝達でんたつけいがバランスをとりシュワン細胞さいぼうじくさくサポート機能きのうになっているが、PMP22の過剰かじょう発現はつげんはPI3K-AKT-mTORのシグナル伝達でんたつまけ制御せいぎょし、その結果けっかRas-Raf-MEK-ERK伝達でんたつけいのへの抑制よくせい低下ていかする。この2つのシグナル伝達でんたつけいのバランス異常いじょうがシュワン細胞さいぼう分化ぶんか障害しょうがい誘導ゆうどうする結果けっかじくさくサポート機能きのう消失しょうしつする。ニューレグリン-1治療ちりょうはPI3K-AKT-mTORとRas-Raf-MEK-ERK伝達でんたつけいのバランス障害しょうがい是正ぜせいすることでじくさくサポート能力のうりょく確保かくほする。

動物どうぶつモデル

[編集へんしゅう]

CMT1Aのモデル動物どうぶつ多数たすう報告ほうこくされている。PMP22の遺伝子いでんしすうやすことでPMP22のmRNAりょうをふやしたものがおおい。C22マウス[7][8]がよくられたCMT1Aモデルマウスである。C22マウスは生後せいご3しゅう歩行ほこう障害しょうがい出現しゅつげんし、SHIRPAによる神経しんけいがくてき評価ひょうかでは生後せいご24しゅうまで進行しんこうした。神経しんけい伝導でんどう速度そくど検査けんさではCMAP低下ていかとNCVの低下ていかみとめられた。組織そしきがくてき評価ひょうかでは生後せいご3しゅう時点じてんでThinly myelinated fiberとAmyelinated fiberがみとめられた。正常せいじょうマウスよりミエリンおくれて24しゅうまではミエリン線維せんい増加ぞうかするがそのミエリン線維せんい減少げんしょうした。CMT1Aでは成体せいたいになってもPMP22の過剰かじょう発現はつげん正常せいじょうすると可逆かぎゃくてきずいさやみとめられる[9]。この現象げんしょうはJY13という動物どうぶつモデルであきらかになった。JY13というトランスジェニックマウステトラサイクリン存在そんざいでは過剰かじょうなPMP22発現はつげん中止ちゅうしされる性質せいしつをもつ。テトラサイクリン存在そんざいではPMP22のmRNA過剰かじょう発現はつげんのためだつずいせいニューロパチーがこるが、生後せいごからテトラサイクリンを投与とうよするとだつずいせいニューロパチーがこらなかった。さらに生後せいごからテトラサイクリンを投与とうよせずだつずいせいニューロパチーをみとめた成体せいたいJY13マウスにテトラサイクリンを投与とうよするとだつずい軽快けいかいしMCVも改善かいぜんした。生後せいごからテトラサイクリンを投与とうよだつずいせいニューロパチーがしょうじなかった成体せいたいJY13マウスでテトラサイクリンの投与とうよ中止ちゅうしするとだつずいせいニューロパチーがしょうじた。

治療ちりょう

[編集へんしゅう]
アスコルビンさん(ビタミンC)

PMP22のmRNAの発現はつげんりょう調節ちょうせつする部位ぶいがプロモーターの周囲しゅうい上流じょうりゅうにある。上流じょうりゅうにはCREB(cAMP応答おうとうエレメント結合けつごう蛋白質たんぱくしつ)と相互そうご作用さようする部位ぶいがあり、PMP22のサイレンサーとしてはたらくことがられている。こう濃度のうどのビタミンCはアデニルさんシクラーゼかいして細胞さいぼうないcAMP濃度のうど上昇じょうしょうさせる。cAMP-PKA-CREBけい活性かっせいする結果けっか、PMP22の発現はつげんりょう減少げんしょうする。

プロゲステロン拮抗きっこうやく

プロゲストロン拮抗きっこうやくはシュワン細胞さいぼうでのPMP22の発現はつげん抑制よくせいする。

PXT3003

PXT3003はバクロフェンナルトレキソンソルビトールごうざいである。このごうざいはCMT1AラットのPMP22の発現はつげん抑制よくせいした。

ニュートロフィン3

神経しんけい栄養えいよう因子いんしであるニュートロフィン3(NT-3)を皮下ひかちゅうするとシュワン細胞さいぼう増加ぞうかじくさく再生さいせいみとめられる。

ニューレグリン1

PMP22の過剰かじょう発現はつげんはPI3K-AKT-mTORのシグナル伝達でんたつまけ制御せいぎょし、その結果けっかRas-Raf-MEK-ERK伝達でんたつけいのへの抑制よくせい低下ていかする。この2つのシグナル伝達でんたつけいのバランス異常いじょうがシュワン細胞さいぼう分化ぶんか障害しょうがい誘導ゆうどうする。ニューレグリン-1治療ちりょうはPI3K-AKT-mTORとRas-Raf-MEK-ERK伝達でんたつけいのバランス障害しょうがい是正ぜせいする[10]

バイオマーカー

[編集へんしゅう]

CMT1AではPMP22のmRNAりょうおうじてだつずいさいずいさやがおこるので神経しんけい伝導でんどう速度そくど検査けんさはバイオマーカーになりえる[9]。CMT1Aのバイオマーカーとして皮膚ひふのPMP22のmRNAが注目ちゅうもくされたが確立かくりつしなかった[11]にはMRIによる坐骨ざこつ神経しんけいきんのMTR(magnetization transfer ratio)が注目ちゅうもくされている[12]

遺伝いでんせいあつ脆弱ぜいじゃくせいニューロパチー(hereditary neuropathy to pressure palsies、HNPP)はつね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん反復はんぷくする局所きょくしょてき運動うんどう障害しょうがいていする疾患しっかんである。PMP22(peripheral myelin protein 22)遺伝子いでんし欠損けっそん(PMP22遺伝子いでんしが1ばいたいしか存在そんざいしない)ことが原因げんいんとなることがおおい。PMP22のフレームシフト変異へんいなどのナンセンス変異へんいでもこりる。過去かこ報告ほうこくではおよそ80%以上いじょうのHNPPの患者かんじゃでPMP22の欠損けっそんがあったとされている[13]シャルコー・マリー・トゥースびょうのひとつであるPMP22/CMT1A(PMP22 duplication)ではPMP22の発現はつげんりょう増加ぞうかすることによってずいさや形成けいせい不全ふぜんしょうじてだつずいせいニューロパチーをきたす。HNPPではPMP22の発現はつげんりょう低下ていかともなずいさや形成けいせいがみられる。

臨床りんしょう症状しょうじょう

[編集へんしゅう]

軽度けいど神経しんけいみき圧迫あっぱく外傷がいしょう無痛むつうせい反復はんぷくせい一過いっかせいたん神経しんけい麻痺まひかえすのが特徴とくちょうである。おおくのれいでは小児しょうに青年せいねんからこのようなエピソードがみとめられる。とくかんひじかんなどの生理せいりてきしぼ扼部において神経しんけい障害しょうがいをおこしやすいといわれている。反復はんぷくする一過いっかせいたん神経しんけい麻痺まひ持続じぞく時間じかん数日すうじつからすう週間しゅうかんであることがおおいが数ヶ月すうかげつ持続じぞくすることもめずらしくはない。多数たすうれい検討けんとうではポリニューロパチーをていするれいがあるなど臨床りんしょう症状しょうじょう多様たようせい指摘してきされている[14][15]

電気でんき生理学せいりがく

[編集へんしゅう]

末梢まっしょう神経しんけい伝導でんどう速度そくど検査けんさでは麻痺まひ出現しゅつげん運動うんどう神経しんけい伝導でんどうブロックがみとめられる。麻痺まひ出現しゅつげんしていないときも運動うんどう神経しんけいのMCV、感覚かんかく神経しんけいのSCVは全体ぜんたいてき低下ていかしている。しかしだつずいせいニューロパチーであるPMP22/CMT1A(PMP22 duplication)ほどあきらかな低下ていかみとめられない。HNPPでみとめられる伝導でんどう速度そくど低下ていか圧迫あっぱく部位ぶいでは軽度けいどである。疾患しっかん後期こうきにはCMAPの振幅しんぷく低下ていかみとめられる。

病理びょうりがく

[編集へんしゅう]

こむらはら神経しんけいのトルイジンブルー染色せんしょくではゆうずい線維せんいだつずいさいずいさやがみとめられる。ときほぐしぞうではトマキュラ(tomacula)とよばれるミエリンのソーセージじょう肥厚ひこうがみられる。横断おうだんぞうではトマキュラに相当そうとうする部分ぶぶんなんそうにも肥大ひだいしたミエリンとなりゼリー・ロール(jelly rolls)とよばれる。トマキュラはこうMAG抗体こうたい陽性ようせいニューロパチーやCMT1B、CIDP、タンジールびょうでもみとめられることがある。よわいとともにじくさく障害しょうがいこすがそのじょ不明ふめいである。

遺伝いでんがく

[編集へんしゅう]

PMP22のloss of functionであるがハプロ不全ふぜんのためにつね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん遺伝子いでんし疾患しっかんである。

病態びょうたいがく

[編集へんしゅう]

PMP22の発現はつげんりょう低下ていかすることでずいさや形成けいせいであるトマキュラがせい形成けいせいされる。しかしトマキュラが形成けいせいされるメカニズムは不明ふめいである。トマキュラの形成けいせいによってミエリンの電気でんき抵抗ていこう減少げんしょうしleakしやすくなる。機械きかいてき圧迫あっぱくにより容易ようい伝導でんどうブロックがしょうじる。この現象げんしょうはマウスのPMP22をモノソミーにしても再現さいげんすることができる。

動物どうぶつモデル

[編集へんしゅう]

PMP22をモノソミーマウスでは軽度けいどのNCV低下ていかがあり、機械きかいてきなストレスによって一過いっかせい伝導でんどうブロックをともな麻痺まひみとめられる。

治療ちりょう

[編集へんしゅう]
プロゲステロン刺激しげきやく

プロゲステロン刺激しげきやくはPMP22の発現はつげん増加ぞうかさせる効果こうかがある。

CMT1EはPMP22遺伝子いでんしてん突然変異とつぜんへんいこされるCMT1のまれなタイプである。CMT1全体ぜんたいの1~5%をめるとかんがえられている。かつてはPMP22のてん突然変異とつぜんへんいによっておこるだつずいせいニューロパチーはCMT1Aと分類ぶんるいされていたが、PMP22の重複じゅうふくてん突然変異とつぜんへんい病態びょうたいことなることがあきらかになり区別くべつされるようになった。PMP22のミスセンス変異へんいでおこり、つね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん遺伝いでん形式けいしきをとることがおおい。神経しんけいせいけんでCMT1A患者かんじゃではみとめられなかったシュワン細胞さいぼうない凝集ぎょうしゅうたいがCMT1AとCMT1Eの病態びょうたいちがいがあることをしめしている。

臨床りんしょう症状しょうじょう

[編集へんしゅう]

臨床りんしょう症状しょうじょう遺伝いでんせいあつ脆弱ぜいじゃくせいニューロパチーのような反復はんぷくせい運動うんどう麻痺まひなど典型てんけいれいもあるがおおくはCMT1Aよりじゅうあつし進行しんこうせい筋力きんりょく低下ていかしめす。デジュリーヌ・ソッタス症候群しょうこうぐんのような臨床りんしょう症状しょうじょうをしめすことがある。

電気でんき生理学せいりがく

[編集へんしゅう]

神経しんけい伝導でんどう速度そくど検査けんさではCMT1Aと同様どうようにUniform slowingがみとめられる。

病理びょうりがく

[編集へんしゅう]

CMT1Aと同様どうようにオニオンバルブ(onion bulb)、神経しんけいないさや神経しんけいしゅうまく浮腫ふしゅ、シュワン細胞さいぼう増加ぞうかみとめられ、とおくらいではじくさく障害しょうがいみとめられる。デジュリーヌ・ソッタス症候群しょうこうぐんしめ場合ばあいは4~5そうにわたって細胞さいぼうしつがみえるシュワン細胞さいぼういている古典こてんてきなオニオンバルブのほかにbasal lamina onion bulbsという所見しょけんがみられることがある。これはじくさくいているシュワン細胞さいぼう変性へんせいしてんでしまい、基底きていまくだけ残存ざんそんしている状態じょうたいである。幼児ようじからなが経過けいかによってふるいシュワン細胞さいぼうから消失しょうしつするためとかんがえられている。この所見しょけんはCMT4Cでも目立めだつ。シュワン細胞さいぼうない凝集ぎょうしゅうたいがあるてんがCMT1Aとはことなるとされているがこの知見ちけん免疫めんえき染色せんしょくによるものであり、トルイジンブルー染色せんしょくやHE染色せんしょくでは凝集ぎょうしゅうたい確認かくにんできない[16]

遺伝いでんがく

[編集へんしゅう]

つね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん遺伝いでん形式けいしきをとることがおおい。

病態びょうたいがく

[編集へんしゅう]

正常せいじょうなPMP22蛋白質たんぱくしつ発現はつげんりょう問題もんだいであったCMT1AとHNPPとはCMT1Eは病態びょうたいおおきくことなる。PMP22にミスセンス変異へんいがあるとシュワン細胞さいぼうない変異へんいPMP22蛋白質たんぱくしつ生成せいせいされ、この変異へんいPMP22蛋白質たんぱくしつがシュワン細胞さいぼうない凝集ぎょうしゅうたいをつくる。変異へんいPMP22蛋白質たんぱくしつしょう胞体から細胞さいぼうまく適切てきせつ輸送ゆそうされない。そのためしょう胞体-ゴルジ中間ちゅうかん区画くかく正常せいじょうなPMP22とヘテロダイマーを形成けいせいし、凝集ぎょうしゅうたい形成けいせいする。凝集ぎょうしゅうたい形成けいせいによってしょう胞体ストレスしょう胞体関連かんれん分解ぶんかい(ERAD)のアップレギュレーションやオートファジーのアップレギュレーションがおこる。これらの結果けっかだつずいがおこるがそのじょ不明ふめいである。また一部いちぶ変異へんいではふしせいだつずい非常ひじょう目立めだつことがある。

動物どうぶつモデル

[編集へんしゅう]

Tremblerマウス(トレンブラーマウス)やTrembler-Jマウス[17]がPMP22の変異へんいをもつ[18]ほん疾患しっかんのモデルマウスであり、同様どうよう変異へんいれい報告ほうこくされている[19][20][21]

Trembler mouse

Trマウスは自然しぜん発生はっせいしたマウスでふるえと歩行ほこう障害しょうがいがある。のちにPMP22のG150Aという変異へんいがあることがあきらかになった。生後せいご10にちから14にちからふるえと歩行ほこう障害しょうがい出現しゅつげんする。ふるえは徐々じょじょ範囲はんい全身ぜんしんひろがり進行しんこうせいである。睡眠すいみんふるえは消失しょうしつする。ミオトニア以前いぜん痙攣けいれん報告ほうこくされていた)はわかいことにしばしばみられるがよわいとともに減少げんしょうする。変異へんい遺伝子いでんしがホモ接合せつごうたいでもヘテロ接合せつごうたいでも表現ひょうげんがたちがいはない。神経しんけい形態けいたい観察かんさつではおおくのじくさくミエリン消失しょうしつしており、シュワン細胞さいぼう増加ぞうかしている。

Trembler-J mouse

Tr-JマウスもTrマウスと同様どうよう自然しぜん発生はっせいしたマウスふるえと歩行ほこう障害しょうがいがある。PMP22のL16Pという変異へんいがあることがあきらかになった。変異へんい遺伝子いでんしホモ接合せつごうたいであるかヘテロ接合せつごうたいであるかで表現ひょうげんがたことなる。ヘテロ接合せつごうたいのマウスは生後せいご20から25にちまで正常せいじょうマウスと行動こうどうがない。徐々じょじょにTrマウスと同様どうようふるえと歩行ほこう障害しょうがい出現しゅつげんし、進行しんこうする。ホモ接合せつごうたいのマウスは生後せいご10にちごろから歩行ほこう障害しょうがいジストニア出現しゅつげんする。生後せいご21にちごろ死亡しぼうするがその原因げんいんあきらかではない。神経しんけい形態けいたい観察かんさつではミエリンの消失しょうしつやthin myelinがみとめられ、シュワン細胞さいぼう増加ぞうかしている。

治療ちりょう

[編集へんしゅう]
クルクミン

クルクミンあきウコンふくまれる自然しぜん黄色おうしょく色素しきそでありカレーにもおおふくまれている。クルクミンは変異へんいPMP22蛋白たんぱく細胞さいぼうまく開放かいほうし、ERストレスを軽減けいげんさせ、変異へんいPMP22発現はつげんによるアポトーシス減少げんしょうさせる。Tr-Jマウスではクルタミン投与とうよでTr-Jマウスの運動うんどう能力のうりょく改善かいぜんさせた[22]

トピックス

[編集へんしゅう]

核酸かくさん医薬いやくによる治療ちりょう

[編集へんしゅう]

シャルコー・マリー・トゥースびょう核酸かくさん医薬いやくでの治療ちりょう期待きたいされる疾患しっかんひとつである。機能きのう獲得かくとくがたてん突然変異とつぜんへんい原因げんいん遺伝いでんせい疾患しっかんでは変異へんいがたのmRNAのみのノックダウンが有効ゆうこう治療ちりょう戦略せんりゃくとなる。siRNAで変異へんいがたmRNAを特異とくいてきにノックダウンする方法ほうほうはすでに報告ほうこくされ確立かくりつしている[23]生後せいご6にちから生後せいご18にち隔日かくじつでリコンビナントNRG-1を投与とうよするとシュワン細胞さいぼう分化ぶんかしCMT1Aモデルラットのだつずい軽快けいかいするという先行せんこう研究けんきゅうがある[24]。ピリミジン塩基えんきの2'-OHを2'–Fに修飾しゅうしょくしたsiRNA、すなわちCのわりに2'-FC、Uのわりに2'-FUをもちいたsiRNAは血漿けっしょうちゅうで3日間にちかん効果こうか持続じぞくするという報告ほうこくがある[25]以上いじょう事実じじつから変異へんいがたmRNAを特異とくいてきにノックダウンできるsiRNAを作成さくせいし、生後せいご6にちから生後せいご18にちあいだに3にちごとにピリミジン塩基えんきの2'–OHを2'–Fに修飾しゅうしょくした変異へんいがたmRNAを特異とくいてきにノックダウンできるsiRNAをCMT1EのモデルマウスであるTrembler-Jマウスに投与とうよするとだつずい軽快けいかいするかもれない。韓国かんこくソンギュングァン大学だいがくのビョンオク教授きょうじゅ変異へんいがたmRNAを特異とくいてきにノックダウンできるsiRNAを開発かいはつしTrembler-Jマウスに投与とうよした[26]。その結果けっか、ローターロッドによる行動こうどう解析かいせき電気でんき生理学せいりがくてき検査けんさ病理びょうり形態けいたいがくのいずれも改善かいぜんしめした。これはCMT1Eで有効ゆうこう治療ちりょう戦略せんりゃくとなる。

さらに核酸かくさん医薬いやくのリーディングカンパニーであるIONISしゃではヒトのPMP22にたいするアンチセンス核酸かくさん開発かいはつした。化学かがく修飾しゅうしょくしたアンチセンス核酸かくさん皮下ひか投与とうよしCMT1Aモデル動物どうぶつ(C22マウスとラット)の行動こうどう解析かいせき電気でんき生理学せいりがくてき検査けんさ病理びょうり形態けいたいがくのいずれも改善かいぜんしめした[27]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000109099 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000018217 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference:
  5. ^ J Biol Chem. 1994 Oct 14;269(41):25795-808. PMID 7929285
  6. ^ J Anat. 2002 Apr;200(4):377-90. PMID 12090404
  7. ^ Hum Mol Genet. 1996 May;5(5):563-9. PMID 8733121
  8. ^ J Neuropathol Exp Neurol. 2011 May;70(5):386-98 PMID 21487305
  9. ^ a b Hum Mol Genet. 2001 May 1;10(10):1007-18. PMID 11331611
  10. ^ Nat Med. 2014 20 1055-1061 PMID 25150498
  11. ^ Brain. 2014 Jun;137(Pt 6):1614-20. PMID 24812204
  12. ^ Neurology. 2014 Oct 21;83(17):1545-53 PMID 25253751
  13. ^ Eur J Hum Genet. 1996;4(1):25-33 PMID 8800924
  14. ^ Neurology. 1999 Apr 22;52(7):1440-6. PMID 10227632
  15. ^ Neurology. 1996 Apr;46(4):1133-7. PMID 8780105
  16. ^ Brain. 2000 May;123 ( Pt 5):1001-6. PMID 10775544
  17. ^ J Neuropathol Exp Neurol. 1983 Nov;42(6):688-706. PMID 6313869
  18. ^ Nature. 1992 Mar 19;356(6366):241-4. PMID 1552943
  19. ^ Neurology. 1993 May;43(5):1010-5. PMID 8492918
  20. ^ Neurology. 1995 Sep;45(9):1766-7. PMID 7675244
  21. ^ Nat Genet. 1992 Dec;2(4):288-91 PMID 1303281
  22. ^ Am J Hum Genet. 2007 Sep;81(3):438-53. PMID 17701891
  23. ^ PLoS Genet. 2006 Sep 8;2(9):e140. PMID 16965178
  24. ^ Nat Med. 2014 Sep;20(9):1055-61. PMID 25150498
  25. ^ RNA. 2004 May;10(5):766-71. PMID 15100431
  26. ^ Neurobiol Dis. 2017 Apr;100:99-107. PMID 28108290
  27. ^ J Clin Invest. 2018 Jan 2;128(1):359-368. PMID 29202483

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]