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ウコン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウコン
ウコン
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : たん子葉しようるい Monocots
: ショウガ Zingiberales
: ショウガ Zingiberaceae
ぞく : ウコンぞく Curcuma
たね : ウコン C. longa
学名がくめい
Curcuma longa L. (1753)[1]
シノニム
和名わみょう
ウコン鬱金うこん
英名えいめい
turmeric

ウコン鬱金うこん[3]学名がくめい: Curcuma longa)は、ショウガウコンぞく多年草たねんそうえいしょうターメリック (turmeric)[4]インド原産げんさんであり、紀元前きげんぜんからインドで栽培さいばいされている。「鬱金うこん」の原義げんぎは「あざやかな黄色おうしょく」。呉音ごおん「ウッコン」が転訛てんかしウコンとなった[5]

東南とうなんアジア諸国しょこくには、インドネシア原産げんさんクルクミン含有がんゆうりょうおお薬効やっこうつよ変種へんしゅジャワウコン (Javanese turmeric) があり[4]げん地名ちめい由来ゆらいのクニッツや別名べつめいクスリウコンという日本にっぽんでも流通りゅうつうしている。ヒンディーウルドゥーグジャラーティーハルディ (Haldi) でもられるほかに、琉球りゅうきゅうウッチンインドネシアマレークニット (kunyit通常つうじょう英語えいご複数ふくすうがたにしてクニッツ)、ハワイオレナ (Ōlena) などでもられる。タイでは、カミンチャン。

伝統でんとう医学いがくアーユルヴェーダインド料理りょうり使つかわれ[4]、また、根茎こんけいふくまれるクルクミン黄色きいろ染料せんりょう原料げんりょうとしてもひろもちいられてきた。今日きょうでもスパイスとしてもちいられている[4]日本にっぽんでは、カレーもちいられるほか、クルクミンのかん機能きのうへの影響えいきょう期待きたいして二日酔ふつかよ対策たいさくドリンク[ちゅう 1]原料げんりょうにももちいられる。

類似るいじしゅ呼称こしょう

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ウコンのはな

ウコンは、別名べつめいあきウコン[3]またはあかウコンともいう。中国ちゅうごく植物しょくぶつめいは「きょう[1]とうこくきよしろくには「きむははもぬけ[6]」。根茎こんけい日本にっぽん薬局方やっきょくほう生薬きぐすりめい鬱金うこんウコン[7]中国ちゅうごく薬物やくぶつめいきょう(キョウオウ)[8]根茎こんけいしゅ用途ようと食材しょくざいであり、にがみがいオレンジしょくである[3]

つぎの「ウコン」は同属どうぞく別種べっしゅである。

はるウコン
キョウオウ (C. aromatica)。中国ちゅうごく植物しょくぶつめい中国ちゅうごく薬物やくぶつめいは「鬱金うこん[8][9]日本にっぽん生薬きぐすりめいきょうキョウオウしゅ用途ようと健康けんこう食品しょくひんなど。はるピンク色ぴんくいろはな[3]ウコンワイルド・ターメリックとも。にが黄色きいろで、ミネラル精油せいゆ成分せいぶん豊富ほうふ
むらさきウコン
ガジュツ (C. zedoaria)。中国ちゅうごく植物しょくぶつめいは「莪朮」[10]日本にっぽん薬局方やっきょくほう生薬きぐすりめい莪蒁ガジュツ[11]生薬きぐすりめい莪朮ガジュツしゅ用途ようとちゅう医学いがく漢方かんぽうなど。なつ(7 - 10がつ)にしろはな[3]しろウコンなつウコンとも。ただし、しろウコンはどうショウガぞくハナショウガ (ランプヤン、Zingiber zerumbet) をすこともある。
ジャワウコン (Javanese turmeric, Curcuma xanthorrhiza)[4]

中国ちゅうごくでは、日本にっぽんでのウコンをキョウオウ(きょう[1]日本にっぽんでのキョウオウをウコン(鬱金うこん)といい、日本にっぽんぎゃくになっている。つまりちゅう医学いがく漢方かんぽう生薬きぐすり分類ぶんるいじょうはるウコンとあきウコンの根茎こんけいきょうキョウオウ塊根かいこん鬱金うこんウコンとしているが、日本にっぽん漢方かんぽう書物しょもつにより伝来でんらい普及ふきゅうする過程かていで、これら情報じょうほうこんらんただしくつたわらなかったためである。ゆえ中国ちゅうごくから輸入ゆにゅうのウコンるい生薬きぐすりは、中国ちゅうごく定義ていぎもとづいた名称めいしょうのものもある。

形態けいたい生態せいたい

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熱帯ねったいアジア原産げんさん多年草たねんそう[7]草丈くさたけは40 - 50センチメートル (cm) から[7]、100 cm以上いじょうになる[12]根茎こんけい多肉たにくふとく、ぶしがあり、なかあざやかな黄色おうしょくをしている[7][12]しゅ根茎こんけいがわ根茎こんけいからなり、しゅ根茎こんけいはほぼたまご形体けいたいながさはやく4 cm、みちやく3 cmある[13]がわ根茎こんけい円柱えんちゅうがたでやや湾曲わんきょくし、ながさ2 - 6 cm、みち1 cmほどある[13]

根茎こんけいからにせくき発生はっせいして[14]数個すうこ2れつ互生ごせいし、なが[7]おおきく、ながさ50 - 100 cmの線形せんけいからちょう楕円だえんがたをなす[14]

花期かきは8 - 11月[7]花序かじょなつからあきにかけて、あいだからたかさ20 - 30 cmほどになる大型おおがた穂状すいじょう花序かじょ[7][15][14]花穂かすい多数たすうあわ緑色みどりいろつとかさなった姿すがたをしており、上方かみがたのものは先端せんたん白色はくしょく、ときにあわ紫紅しこうしょくびて目立めだつがこれははなではなく、下部かぶつとあいだからあわ黄色きいろはなかせる[7][15]

栽培さいばい

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早春そうしゅんたねだま育苗いくびょうおこない、はるけ、晩秋ばんしゅうから初冬しょとうにかけて収穫しゅうかくする。栽培さいばいなんはふつうで、輪作りんさく年限ねんげんは2ねんとされる[16]がはる作物さくもつなので、株間かぶまひろってなえける[16]乾燥かんそうさむさにはよわいことから、なつ晴天せいてんつづくときはみずやりをする[16]

ウコンのたねだまけするはたけは、元肥もとごえ堆肥たいひなどをすきんでおき、うねてておく[16]たねだまちいさいものはそのままでよいが、おおきいものは50グラム (g) 程度ていどおおきさに[16]たねだまから芽出めだしして育苗いくびょうするため、腐葉土ふようどれた育苗いくびょうポットたねだまえ、かわいたら湿しめ程度ていどみずやりをして、発芽はつがから10センチメートル (cm) 程度ていどなえになるまであたたかい環境かんきょうそだてる[16]なえはたけけるときは、ポットごとすいにつけて吸水きゅうすいさせてから、株間かぶま80 cm以上いじょうとってける[16]けから2週間しゅうかんから、ぼかしこえ鶏糞けいふんなどで追肥ついひおこない、以後いご2週間しゅうかんの1のペースで追肥ついひおこなっていくと、草丈くさたけが90 - 140 cmくらいまで生長せいちょうしていく[16]なつ開花かいかして、晩秋ばんしゅうのころになるとれてきて根茎こんけい収穫しゅうかくむかえる[16]れてきてしもりるまえに、まわりからって収穫しゅうかくする[16]

生産せいさん加工かこう

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インドのウコンはたけ
ウコンの根茎こんけい粉末ふんまつ粉末ふんまつ黄金おうごんしょくをしている。

生産せいさんインド中国ちゅうごく台湾たいわん日本にっぽん、そのみなみアジア東南とうなんアジアなどで[13]、インドがウコンの生産せいさんりょう輸出ゆしゅつりょうともに世界一せかいいちである。ウコンの品種ひんしゅ現在げんざいやく50種類しゅるいほどあり、インドだけで30種類しゅるいえるあたらしい品種ひんしゅそだてられている。日本にっぽんには18世紀せいきとおる年間ねんかん)に渡来とらいし、みなみ九州きゅうしゅう沖縄おきなわ小笠原おがさわらなど温暖おんだん地方ちほう栽培さいばいされている[8][15][12]

地下ちか肥大ひだいした黄色きいろ根茎こんけいつ。この根茎こんけい水洗すいせんしてかわき、5 - 6あいだのち2週間しゅうかんほど天日てんじつ十分じゅうぶん乾燥かんそうさせてこまかくくだき、使用しようする。沖縄おきなわけんではせんじたものを飲料いんりょうとしてもちいる。県内けんないではかんりの「うっちんちゃ」もおおくのメーカーから発売はつばいされている。

成分せいぶん組成そせい

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ターメリック(スパイス、こな)
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 312 kcal (1,310 kJ)
67.14 g
糖類とうるい 3.21 g
食物しょくもつ繊維せんい 22.7 g
3.25 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 1.838 g
一価いっか飽和ほうわ 0.449 g
あたい飽和ほうわ 0.756 g
9.68 g
ビタミン
チアミン (B1)
(5%)
0.058 mg
リボフラビン (B2)
(13%)
0.150 mg
ナイアシン (B3)
(9%)
1.350 mg
パントテンさん (B5)
(11%)
0.542 mg
ビタミンB6
(8%)
0.107 mg
葉酸ようさん (B9)
(5%)
20 µg
ビタミンC
(1%)
0.7 mg
ビタミンE
(30%)
4.43 mg
ビタミンK
(13%)
13.4 µg
ミネラル
ナトリウム
(2%)
27 mg
カリウム
(44%)
2080 mg
カルシウム
(17%)
168 mg
マグネシウム
(59%)
208 mg
リン
(43%)
299 mg
鉄分てつぶん
(423%)
55.00 mg
亜鉛あえん
(47%)
4.50 mg
どう
(65%)
1.300 mg
マンガン
(943%)
19.800 mg
セレン
(9%)
6.2 µg
成分せいぶん
水分すいぶん 12.85 g

%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
出典しゅってん: USDA栄養えいようデータベース英語えいご

ウコンにはやく5 %前後ぜんご精油せいゆ成分せいぶん(エッセンシャルオイル)、とやく5 %前後ぜんごポリフェノールるいクルクミン)がふくまれている[17]

クルクミンは、ウコンの活性かっせい成分せいぶんであり、別名べつめいで C.I. 75300、Natural Yellow 3 などの名称めいしょうがある[ちゅう 2]。クルクミンはすくなくともふたつの互変異性いせいたい (tautomeric form)、ケト・エノールたい存在そんざいし、かたしょうにはケトたいを、溶液ようえきちゅうではエノールたいをとる。クルクミンはpHによる変色へんしょくいきつことがられている。pH7.4以下いか酸性さんせい中性ちゅうせい溶液ようえきでは黄色おうしょくてい一方いっぽう、pH8.6以上いじょう塩基えんきせいアルカリ性あるかりせい溶液ようえきではあかるい赤色あかいろ変化へんかする。

精油せいゆ成分せいぶんとしては、ターメロン(胆汁たんじゅう分泌ぶんぴつ促進そくしん)、シネオール胆汁たんじゅう胃液いえき分泌ぶんぴつ促進そくしん)、αあるふぁ-クルクメン(コレステロールをかし、こうあぶらしょう有効ゆうこう)、クルクモール(こうがん作用さよう)、βべーた-エレメン(腫瘍しゅよう予防よぼう効果こうか)、カンファー(けん殺菌さっきん効果こうか)、テルペンるいなどがられているかく成分せいぶんうしろの括弧かっこないはこれまで報告ほうこくされている、かく成分せいぶんでの効果こうか候補こうほである)

クルクミンと精油せいゆ成分せいぶんの、各々おのおの含有がんゆう比率ひりつは、あきウコンと類似るいじしゅはるウコン、むらさきウコンでことなる。あきウコンはクルクミン含有がんゆうりょう豊富ほうふ精油せいゆ成分せいぶんにはとぼしく、はるウコンは精油せいゆ成分せいぶん比較的ひかくてき豊富ほうふである。むらさきウコンはクルクミンにとぼしく精油せいゆ成分せいぶんのみの組成そせいになる。

上記じょうきにあげた、おも有効ゆうこう成分せいぶんほかにウコン根茎こんけいには、ミネラル鉄分てつぶん)などの微量びりょう元素げんそや、食物しょくもつ繊維せんいデンプンカリウムビタミンC、および、カロテンなどがふくまれている。とくあきウコンには鉄分てつぶん豊富ほうふふくまれており、ウコンをそのまま利用りようする場合ばあいに、ミネラルの豊富ほうふさが生体せいたい影響えいきょうおよぼす場合ばあいがときおり報告ほうこくされている。

利用りよう

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カレー

ウコンの根茎こんけいはショウガのような外見がいけんをしており、これを食用しょくようにし[3]生薬きぐすりスパイスいろづけなど幅広はばひろ利用りようされる[16]食材しょくざいとしてのしゅんあき(11がつごろ)とされる[3]カレーのスパイスのひとつ、「ターメリック」になることでもよくられる[3]根茎こんけい薄切うすぎりにしててん日干ひぼししてから、粉末ふんまつ加工かこうして利用りようしたり、煮出にだして[3]せいのウコンは、すりおろして少量しょうりょう白湯さゆいてんでもよい[3]。また、ウコン根茎こんけい焼酎しょうちゅうけて薬酒やくしゅつくられる[3]

ふるくから黄金おうごんしょく着色ちゃくしょくりょうとしても使つかわれ[12]、キゾメグサ(しみそう)の異名いみょうがある[7]黄金おうごんしょく色素しきそ成分せいぶんクルクミン (curcumine) である。カレー黄金おうごんしょくはウコンのいろであるほか、からし沢庵たくあん色付いろづけに使つかわれる[15]繊維せんい染料せんりょうとしてぶくろなどにももちいられる。乾燥かんそうした根茎こんけいもちいた木綿もめんうつきむ木綿ゆうといわれている[7]。ウコンで染色せんしょくしたぬのむしがつきがたいといわれ、貴重きちょう骨董こっとうひん書画しょがなどの美術びじゅつむし被害ひがいからまもるため、ウコンめのぬの鬱金うこん木綿もめんつつ習慣しゅうかんがあった[12][7]

  • 湿潤しつじゅん効果こうかはつ抑制よくせい作用さようがあるとされ外用がいようざいとして使用しようされる。
  • 沖縄おきなわではせんじたウコンちゃ(うっちんちゃ)を習慣しゅうかんがあり、ティーバッグ形式けいしきのもののほか、健康けんこう飲料いんりょうとしてペットボトルいれのものまで販売はんばいされている。二日酔ふつかよいをふせぐということで、飲酒いんしゅ前後ぜんごまれたり、泡盛あわもりれたりしている。また、居酒屋いざかやではウコンのサプリメント常備じょうびされていることがおお[18][ようページ番号ばんごう]
  • インドや東南とうなんアジアでは、スパイス、染料せんりょうきず外用がいようやく化粧けしょうようのパウダーとして利用りようされている。炊飯すいはん使つかうこともおおい(ターメリックライス)。インドでは魔除まよけけになるといいつたえられており、ヒンズひんずきょう儀式ぎしきもちいられる[12]。インドネシアの結婚式けっこんしきでは、花嫁はなよめ花婿はなむこうつきんうでめ、黄金おうごんしょくげた米飯べいはんわれる[19]。ウコンによる黄金おうごんしょくはおめでたいいろとされている。
  • ヨーロッパでは、マーガリンチーズ着色ちゃくしょく使つかわれている。また、パエリアなどに高価こうかサフランわりとして利用りようされている。

期待きたいされている薬効やっこう

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ぞくかん機能きのう増進ぞうしんするといわれ、二日酔ふつかよ抑止よくし効果こうかがあるかのような宣伝せんでんおこな錠剤じょうざいドリンクざい多数たすう発売はつばいされている。クルクミンのはたらきによって、きも機能きのう強化きょうか消化しょうか促進そくしん食欲しょくよく増進ぞうしんなどのはたらきがあるといわれている[3]。また、糖尿とうにょうびょう高血圧こうけつあつしょう動脈どうみゃく硬化こうかなどの生活せいかつ習慣しゅうかんびょう予防よぼう効果こうか期待きたいされている[3]。ただし、ウコンを大量たいりょう摂取せっしゅするとアレルギーやかん障害しょうがいこすリスクもあるため注意ちゅうい喚起かんきされている[3]

炎症えんしょう軽減けいげんするという主張しゅちょうは、つよ根拠こんきょもとづくものではない[4]

かつて、デザイナーフーズ計画けいかくのピラミッドで2ぐんぞくしており、チャやタマネギとともに、2ぐんさい上位じょういぞくするたかがん予防よぼう効果こうかのある食材しょくざいであると位置いちづけられていた[20]

薬用やくよう

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根茎こんけい日本にっぽん生薬きぐすりめいうつきん(ウコン)[12]中国ちゅうごく薬物やくぶつめいきょう(きょうおう)[8]ハーブターメリックしょうされ[12]あきった根茎こんけいをコルクそうのぞいてからふつう湯通ゆどおししたのち天日てんじつ乾燥かんそうして調製ちょうせいする[8][13]薬用やくようやハーブとして、一般いっぱんてきにはけん胃薬いぐすりきもやくつうけいやく瘀血(くおけつ)くすりとして、胃炎いえん肝炎かんえん胆道たんどうえん月経げっけい不順ふじゅん産後さんご腹痛はらいたなどにもちいられる[7][12][14]。また、二日酔ふつかよ対策たいさくなどをうたった健康けんこう食品しょくひんとしても利用りようされている[7][12]鎮痛ちんつう止血しけつ作用さようがあることから軟膏なんこう配合はいごうされており、漢方かんぽう処方しょほうでは、かゆみ、初期しょき捻挫ねんざ外用がいようされるちゅうあぶらにのみ配合はいごうされる[7][13]

中国ちゅうごく漢方かんぽうめいうつきん(うこん)は、中国ちゅうごくはるウコン(植物しょくぶつめいキョウオウ)のことで、塊根かいこん鬱金うこんとよばれている[8]。つまり、日本にっぽんの「鬱金うこん」と中国ちゅうごくの「きょう」はおな生薬きぐすりのことをすが、日本にっぽんの「鬱金うこん」と中国ちゅうごくの「鬱金うこん」はおな生薬きぐすりではない[13]日本にっぽんではきょううつきん混同こんどうされ、はるウコン(キョウオウ)の塊根かいこんかわだまきん(せんぎょくきん)というあつか漢方薬かんぽうやくきょくでも、きょう鬱金うこん区別くべつしていないところもある[8]

ウコンとはるウコン(キョウオウ)はたがいに姿すがたがよくるが、それぞれの薬効やっこうには決定的けっていてきちがいがある[8]。ウコン(中国ちゅうごくめいきょう)は身体しんたいあたためる作用さようがある薬草やくそうしょうひとによく、キョウオウ(はるウコン、中国ちゅうごくめい鬱金うこん)は身体しんたいやす作用さようがある薬草やくそうであるため、身体しんたいがほてりやすいひと発熱はつねつがあるひとによいとされる[8]

民間みんかん療法りょうほうでは、肝臓かんぞうびょう黄疸おうだんきも結石けっせきたいする薬効やっこう期待きたいして、1にちりょう3 - 5グラムの乾燥かんそうさせたウコン根茎こんけいを400 ccみずれてせんじ、3かいけて服用ふくようする用法ようほうられる[8]。ただし、にんへの服用ふくよう禁忌きんきとされる[8]

副作用ふくさよう

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危険きけんせい情報じょうほうとしては、摂取せっしゅりょう摂取せっしゅ期間きかん、また、摂取せっしゅした対象たいしょうしゃ不明ふめいであるが、薬剤やくざいせいきも障害しょうがい22れいのうちウコンによるものが11れいあるとうべられている。また日本にっぽん肝臓かんぞう学会がっかい診断しんだん基準きじゅんたした薬剤やくざいせいきも障害しょうがい症例しょうれい(14施設しせつ 84症例しょうれい)のうち、ウコンによる薬剤やくざいせいきも障害しょうがいは25%をめたとされた。なお医療いりょう機関きかん処方しょほうされる医薬品いやくひん漢方薬かんぽうやくなかには、ウコンを含有がんゆうするものは存在そんざいしない[21]。クルクミン大量たいりょう摂取せっしゅによる肝臓かんぞう脂肪しぼう変性へんせい報告ほうこくされている[22]

また、あきウコンの根茎こんけいは、クルクミンのほかにもミネラルぶん鉄分てつぶん)が豊富ほうふふくまれているものがある。たとえばCがた慢性まんせい肝炎かんえん患者かんじゃ(あるいはその肝炎かんえん患者かんじゃ)は、罹患りかんした時点じてんですでにてつ過剰かじょうこしやすいことから、てつ制限せいげんしょく療法りょうほう推奨すいしょうされている[23][24]。そのような場合ばあいには、ウコン含有がんゆう鉄分てつぶん栽培さいばい栽培さいばい方法ほうほうによってミネラルの含有がんゆうりょうたかくなる場合ばあいがある)が肝臓かんぞう過剰かじょう影響えいきょうおよばす可能かのうせいがあり、注意ちゅうい必要ひつようといわれている。

また、鉄分てつぶんおよび精製せいせいされたクルクミンなどの成分せいぶんについてはいくつかの報告ほうこく[25][26]があるが、ウコン根茎こんけいそのものには、それ以外いがいにも多様たよう成分せいぶんふくんでおり、個々ここ成分せいぶん単体たんたいられた結果けっかがウコンとしての生理せいり活性かっせいにどの程度ていど反映はんえいされるのかはあきらかではない(精製せいせいされたクルクミンげんからだ場合ばあい含有がんゆうミネラルの問題もんだいこらないが、ウコン根茎こんけい場合ばあいさらなる検証けんしょう必要ひつようである)。

ウコンの有効ゆうこうせいおよび安全あんぜんせいは、まだ十分じゅうぶん検討けんとうされくしていないため、今後こんごもウコンやその成分せいぶんについての様々さまざま検討けんとう必要ひつようであり、そのてんについて研究けんきゅうすすめられている状況じょうきょうである[27]

また、以下いか場合ばあいは、ウコン(あきウコン)の摂取せっしゅひかえるべきとされている。とくかん障害しょうがい患者かんじゃにおいては、サプリメントとして市販しはんされている通常つうじょうりょうじゅうあつし状態じょうたいおちいったれいすくなからず報告ほうこくされている。またウコン(あきウコン)によって自己じこ免疫めんえきせい肝炎かんえん併発へいはつした可能かのうせいのある症例しょうれい発表はっぴょうもある[28][29]

ウコン(あきウコン)を含有がんゆうした外用がいようやくによるアレルギあれるぎせい皮膚ひふえん報告ほうこくされている[30]

以上いじょうのように、しばしば「ウコン(あきウコン)は肝臓かんぞうによい」とわれているものの、かん疾患しっかん患者かんじゃへの投与とうよ推奨すいしょうされておらず、状態じょうたい改善かいぜんさせるどころか、死亡しぼうれい2人ふたり:2004ねん[31][32][33]ふくんだじゅうあつし副作用ふくさよう報道ほうどう報告ほうこくがあり[34]安易あんい内服ないふくつつしむべきとされている[35][36]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ たとえば、ハウス食品はうすしょくひん二日酔ふつかよ対策たいさくドリンク「ウコンのちから」など。
  2. ^ またIUPACでは、(1E,6E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ- 3-メトキシフェニル)-1,6- ヘプタジエン-3,5-ジオン;(1E,6E)-1,7-bis (4-hydroxy-3-methoxyphenyl) -1,6-heptadiene-3,5-dione となる。

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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