アーユルヴェーダ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

アーユルヴェーダ: आयुर्वेदラテンこぼし:Āyurveda)は、インド大陸たいりく伝統でんとうてき医学いがくである。ユナニ医学いがく(ギリシャ・アラビア医学いがく)、中国ちゅうごく医学いがくとも世界せかいさんだい伝統でんとう医学いがくひとつであり、相互そうご影響えいきょうって発展はってんした。トリ・ドーシャとばれる3つの要素ようそ体液たいえきやまいもと)のバランスがくずれると病気びょうきになるとかんがえられており、これがアーユルヴェーダの根本こんぽん理論りろんである。

その寿命じゅみょう生気せいき生命せいめい意味いみするサンスクリットの「アーユス」(: आयुस्、ラテンこぼし:Āyus)と知識ちしきがく意味いみする「ヴェーダ」(: वेद、ラテンこぼし:Veda)の複合語ふくごうごである。医学いがくのみならず、生活せいかつ知恵ちえ生命せいめい科学かがく哲学てつがく概念がいねんふくんでおり、病気びょうき治療ちりょう予防よぼうだけでなく、より人生じんせい目指めざすものである。健康けんこう維持いじ増進ぞうしん若返わかがえり、さらには幸福こうふく人生じんせい不幸ふこう人生じんせいとはなにかまでを追求ついきゅうする[1]文献ぶんけん研究けんきゅうから、ひとつの体系たいけいとしてまとめられたのははやくても紀元前きげんぜん5 - 6世紀せいきかんがえられている[2]古代こだいペルシア古代こだいギリシアチベット医学いがくなど各地かくち医学いがく影響えいきょうあたえ、インド占星術せんせいじゅつ錬金術れんきんじゅつともふかかかわりがある。

体系たいけいには、宇宙うちゅう根本こんぽん原理げんり追求ついきゅうした古層こそうウパニシャッド奥義おうぎしょ,ヴェーダの関連かんれん書物しょもつ)が重要じゅうよう役割やくわりたし、バラモン教ばらもんきょうろく哲学てつがくかぞえられるサーンキヤ学派がくは二元論にげんろんヴァイシェーシカ学派がくは自然しぜん哲学てつがくニヤーヤ学派がくは論理ろんりがく[3]おおいに利用りようされた。

インドではイスラーム勢力せいりょく拡大かくだい以降いこう支配しはいしゃそう都市としでユナニ医学いがく主流しゅりゅうとなり、その隆盛りゅうせいテュルクけいイスラーム王朝おうちょうムガル帝国ていこく(1526 - 1858ねん時代じだい最高潮さいこうちょうたっした。一方いっぽうアーユルヴェーダは衰退すいたい[4]周辺しゅうへんまずしい人々ひとびとあいだがれた。20世紀せいき初頭しょとうになると、イギリス帝国ていこくのインド支配しはい対抗たいこうするナショナリストや、欧米おうべいのオリエンタリストたちによって、アーユルヴェーダは「インド伝統でんとう医学いがく」として復興ふっこうし、西洋せいよう近代きんだい医学いがく対抗たいこうして教育きょういく制度せいど整備せいびされた[2]

現代げんだいのインドにおいては政府せいふにアユシュしょう(インド伝統でんとう医療いりょうしょう)が設置せっちされており、公認こうにん医学いがく体系たいけい一部いちぶである[5]やく600種類しゅるい薬草やくそうから医薬品いやくひん健康けんこう食品しょくひん製造せいぞうされている[6]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、ニューエイジ運動うんどう(1970 - 80年代ねんだい)で、アーユルヴェーダをはじめとする様々さまざま伝統でんとう医学いがく・ホリスティック医学いがく注目ちゅうもくされた[7]。1998ねんアメリカ国立こくりつ衛生えいせい研究所けんきゅうじょ(NIH)に国立こくりつ補完ほかん代替だいたい医療いりょうセンター(NCCAM)ができたことをきっかけにひろまり[8]世界せかい各地かくち現代げんだい医学いがく補完ほかん代替だいたいする医療いりょうとして利用りようされている。また、アーユルヴェーダに興味きょうみったヒッピーいたるがインドに滞在たいざいした影響えいきょうで、外国がいこくじんけにアレンジされたアーユルヴェーダ・マッサージが人気にんきとなり、現在げんざいでは医療いりょうツーリズム隆盛りゅうせいしている[9]。インドでは、アーユルヴェーダ医師いし(BAMS)の資格しかく国家こっか資格しかくであり、現代げんだい医学いがくならんで治療ちりょうおこなわれている。一方いっぽう商業しょうぎょうされたアーユルヴェーダの世界せかいてき普及ふきゅうや、アーユルヴェーダやくがサプリメントとして流通りゅうつうすることで、様々さまざま問題もんだいこっている。

概要がいよう[編集へんしゅう]

バンガロール・アーユルヴェーダエキスポのダンヴァンタリぞうダンヴァンタリ英語えいごばんは、アーユルヴェーダの始祖しそとされるブラフマーしん化身けしんカーシーおうで、『スシュルタ・サンヒター』に登場とうじょうする。

アーユルヴェーダは、しんからだ行動こうどう環境かんきょうふくめた全体ぜんたいとしての調和ちょうわが、健康けんこうにとって重要じゅうようとみる。このような心身しんしんのバランス・調和ちょうわ重視じゅうしするかんがかたを、全体ぜんたいかんえい: holism)の医学いがくという。古代こだいギリシアの医師いしヒポクラテスはじまり、よん体液たいえき調和ちょうわ重視じゅうしするギリシャ・アラビア医学いがくユナニ医学いがく)や、陰陽いんようぎょうのバランスを重視じゅうしする中国ちゅうごく医学いがくなど、伝統でんとう医学いがくおおくが全体ぜんたいかん医学いがくである。

病気びょうきになってからそれをなおすことより、病気びょうきになりにくい心身しんしんつくることをおもんじており、病気びょうき予防よぼうして健康けんこう維持いじする予防よぼう医学いがくかんがかたっている。心身しんしんのよりいバランスをたもつことで、健康けんこう維持いじされるとかんがえた。具体ぐたいてきには、五大ごだい(5つのだい元素げんそ)からなるヴァータ(ふう)、ピッタ(胆汁たんじゅうねつおよびカパ(粘液ねんえきたん)のトリ・ドーシャ(3つの体液たいえきやまいもと)のバランスがれていること、食物しょくもつ消化しょうか老廃ろうはいぶつ生成せいせい排泄はいせつ順調じゅんちょうで、サプタ・ダートゥ(肉体にくたいの7つの構成こうせい要素ようそ)が状態じょうたいであることがげられる。

また、古典こてん医学いがくしょチャラカ・サンヒター』では、生命せいめい(アーユス)は「身体しんたい(シャリーラ)・感覚かんかく機能きのう(インドリヤ、五感ごかん)・精神せいしん(サットヴァ)、わがアートマン自己じこたましい)」の結合けつごうしたものであるとべられており[2]身体しんたい感覚かんかく器官きかんだけでなく、精神せいしんめん、さらにたましい表現ひょうげんされるような根源こんげんてきめん状態じょうたいであることも健康けんこう条件じょうけんとなる[1]とく食事しょくじ重要じゅうようされており、生活せいかつ指導しどうおこなわれる。睡眠すいみん排泄はいせつセックスなどの自然しぜん欲求よっきゅう我慢がまんすることは、病気びょうきにつながるとしていましめている。

治療ちりょうにはおおきく2つがあり、1つは食事しょくじくすり調しらべほう行動こうどう改善かいぜんでドーシャのバランスをととのえる緩和かんわ療法りょうほう鎮静ちんせい療法りょうほう)、もう1つは増大ぞうだい増悪ぞうあくしたドーシャ(体液たいえき)やアーマ(消化しょうかぶつ)、マラ(老廃ろうはいぶつ)などの病因びょういん要素ようそ排泄はいせつするげんじゃく療法りょうほう排出はいしゅつ療法りょうほう, 浄化じょうか療法りょうほう)である。げんじゃく療法りょうほうでは、パンチャカルマ(5つの代表だいひょうてき治療ちりょうほう、2種類しゅるい浣腸かんちょう油剤ゆざい下剤げざい吐剤とざい)とばれる治療ちりょうほうがよくられている。根源こんげんてき霊的れいてきめん治療ちりょうとして、ジョーティシャ(インド占星術せんせいじゅつ)やマントラ呪文じゅもん)、宝石ほうせき使つかった治療ちりょうがある[10]

理論りろん[編集へんしゅう]

トリ・ドーシャ(さん体液たいえき, さんびょうもと[編集へんしゅう]

トリ・ドーシャと五大ごだい(パンチャ・マハーブータ)の関係かんけい使用しようされたいろ任意にんい

トリ・ドーシャ(त्रिदोषせつは、きているものはすべて、ヴァータ(वातふう運動うんどうエネルギー)、ピッタ(पित्त胆汁たんじゅうまたはねつ[11]変換へんかんエネルギー)、カパ(कफ粘液ねんえきまたはたん[11]結合けつごうエネルギー)という3要素ようそっており、身体しんたいのすべての生理せいり機能きのう支配しはいされているとするせつ[10]である。ドーシャは五大ごだい五大ごだい元素げんそだい元素げんそマハーブータ)で構成こうせいされる。五大ごだいとは、だいPṛthvī, プリティヴィーもしくはBhūmi, ブーミ)・みずだいĀpa, アーパもしくはJala, ジャラ)・だいAgni, アグニもしくはTejas, テージャス)・ふうだいVāyu, ヴァーユ)の4元素げんそに、元素げんそ存在そんざい運動うんどうあたえるそらだいĀkāśa, アーカーシャ, 虚空こくう)をくわえた5つで、古代こだいインド哲学てつがく由来ゆらいするかんがかたである[12]。ヴァータはふうだいそらだい、ピッタはだいみずだい、カパはみずだいだいわせである。

ドーシャ(दोष)は、サンスクリットで「不純ふじゅんなもの、えやすいもの、体液たいえきやまいもと[8]病気びょうき発生はっせい基本きほんてきなレベルで関係かんけいする要素ようそ病気びょうきこすもっと根本こんぽんてき原因げんいん[10]」などを意味いみし、体液たいえきもしくは生体せいたいエネルギーを[13]。その異常いじょうが「病気びょうきのもと」となるため、やまいもとともやくされる[10]。3つのドーシャは、さらに15の下位かいドーシャにけられ、それぞれに場所ばしょ機能きのうがある。

ドーシャは正常せいじょう状態じょうたいでは生命せいめい維持いじして健康けんこうまもるエネルギーであるが、増大ぞうだい増悪ぞうあくすると病気びょうきこす[10]病気びょうきとは、15の下位かいドーシャの機能きのう悪化あっかによる、トリ・ドーシャのバランスのくずれとかんがえられるが、一般いっぱんにヴァータの増大ぞうだい増悪ぞうあく呼吸こきゅうけい疾患しっかん精神せいしん神経しんけい疾患しっかん循環じゅんかん障害しょうがいを、ピッタの増大ぞうだい増悪ぞうあく消化しょうかけい疾患しっかんきもきも疾患しっかん皮膚ひふびょうを、カパの増大ぞうだい増悪ぞうあく気管支きかんし疾患しっかん糖尿とうにょうびょう肥満ひまん関節かんせつえんアレルギー症状しょうじょうこすとかんがえられている[1]

ドーシャのバランスをくず原因げんいんとしては、体質たいしつ時間じかん日常にちじょう生活せいかつ場所ばしょ天体てんたいげられ、とく体質たいしつ(プラクリティ)が重視じゅうしされる。人間にんげん個人こじんにより、先天的せんてんてき後天的こうてんてきかくドーシャのつよさがことなり、性格せいかく体質たいしつちがいとしてあらわれる。体質たいしつ個性こせいであると同時どうじに、そのひと病気びょうきへのかかりやすさも意味いみする[1]。アーユルヴェーダでは、各人かくじん体質たいしつわせた食事しょくじ生活せいかつ病気びょうき治療ちりょうほうがあるとかんがえ、指導しどう治療ちりょうおこなう。

ドーシャは1にちのなかで、6から4あいだごとにカパ→ピッタ→ヴァータのじゅん変化へんかのサイクルがある。また1ねんのなかでも(インドのぶしでは)、はるはカパが増悪ぞうあくなつはヴァータが増大ぞうだいあきはピッタが増悪ぞうあくふゆはカパが増大ぞうだいする。インドには雨季うきがあるが、雨期うきにはヴァータが悪化あっか、ピッタが増大ぞうだいする[1]ひと一生いっしょうなかでも、カパは若年じゃくねん(0 - 30さい)に、ピッタは壮年そうねん(30 - 60さい)に、ヴァータは老年ろうねんえやすい。そのひと体質たいしつじょうかたよっているドーシャがえやすい時期じき時間じかんに、ドーシャのバランスをくずしやすいとかんがえられる。また、もの日常にちじょう行動こうどうなどでも、ドーシャのりょう変化へんかする。

現在げんざいのアーユルヴェーダではドーシャは3つとされるが、外科げかれられた古典こてん『スシュルタ・サンヒター』では、だい4の体液たいえきとして血液けつえきげられている[13]。この「血液けつえき粘液ねんえき胆汁たんじゅうふう」がペルシャ経由けいゆでギリシャにつたわり、「血液けつえき粘液ねんえき胆汁たんじゅうくろ胆汁たんじゅう」を人間にんげん基本きほん体液たいえきとするよん体液たいえきせつもとになったともいわれる。

トリ・グナ(さん要素ようそさん特性とくせい三徳さんとく[編集へんしゅう]

サーンキヤ学派がくは特徴とくちょうひとつにトリ・グナせつがあるが(後述こうじゅつ)、この理論りろんへの影響えいきょうおおきかった。トリ・グナが拮抗きっこうたがいにバランスをることで、自然しぜんかいしょ現象げんしょうや、人間にんげん心身しんしん状態じょうたい性格せいかくちがいなどがまれると説明せつめいされた[12]。トリ・グナは、アーユルヴェーダではしん状態じょうたい左右さゆうするものとかんがえられ、トリ・ドーシャせつ関連付かんれんづけられ重視じゅうしされた。アーユルヴェーダでは、しん身体しんたいより上位じょういだとかんがえられており、トリ・ドーシャのうちにトリ・グナがふくまれているとたとえられる[8]

トリ・グナとトリ・ドーシャへの影響えいきょう
要素ようそ 本性ほんしょう 作用さよう いろ 増加ぞうかによるドーシャへの影響えいきょう
サットヴァ(じゅんしつ 喜楽きらく 照明しょうめい 白色はくしょく 3つのドーシャの調和ちょうわ
ラジャス(げきしつ 衝撃しょうげき活動かつどう 赤色あかいろ ヴァータ、ピッタをみだ
タマス(やみしつ 暗愚あんぐ 抑制よくせいかくれくつがえ 黒色こくしょく カパをみだ

ドーシャは、「おな性質せいしつのものがおな性質せいしつのものをやす」という法則ほうそく変化へんかする。どうせいつラジャスが増加ぞうかすると、いかりやイライラがつのり、どうせいつドーシャであるヴァータとピッタを増加ぞうかさせる。安定あんていせい惰性だせいつタマスが増加ぞうかすると、怠惰たいだになり精神せいしん活動かつどう停滞ていたいし、カパを増加ぞうかさせる[8]。このように、ラジャスとタマスの増加ぞうかは、心身しんしん悪影響あくえいきょうおよぼす。

一方いっぽう、トリ・グナのひとつであるサットヴァは純粋じゅんすいせいち、ドーシャ(不純ふじゅんなもの)を増大ぞうだいさせることはない。サットヴァの増大ぞうだいはトリ・ドーシャのバランスを安定あんていさせ、精神せいしんてきには愛情あいじょうやさしさ、ただしい知性ちせい心身しんしん健康けんこうをもたらす[8]

サプタ・ダートゥ(なな構成こうせい要素ようそ[編集へんしゅう]

ダートゥ(Dhātu)は身体しんたい構成こうせいする要素ようそで、食物しょくもつ消化しょうかされることでしょうじる。ドーシャとはちがえる物質ぶっしつであり、身体しんたいかたちあたえる[10]。このしつ健康けんこう状態じょうたいふかかかわるとかんがえられており、そのしつすぐれていることをサーラとう。摂取せっしゅした食物しょくもつ消化しょうかされてダートゥがつくられ、そのダートゥの一部いちぶからべつのダートゥがつくられる。生成せいせい順序じゅんじょつぎのとおりである[10]

  1. ラサ:ちち糜、にゅうび。身体しんたい栄養えいようあたえる体液たいえき機能きのうは「滋養じよう
  2. ラクタ:血液けつえき組織そしき機能きのうは「いのち維持いじ
  3. マーンサ:筋肉きんにく組織そしき機能きのうは「つつむ」
  4. メーダス:脂肪しぼう組織そしき機能きのうは「潤滑じゅんかつ
  5. アスティ:ほね組織そしき機能きのうは「かたちたもつ」
  6. マッジャー:骨髄こつづい組織そしき機能きのうは「充填じゅうてん
  7. シュックラ:生殖せいしょく組織そしき機能きのうは「繁殖はんしょく

以上いじょうじゅんで、食物しょくもつから組織そしきつくられる。これらのダートゥを変換へんかんするためにはアグニ(消化しょうか)がはたらく。

アグニ(消化しょうか)が正常せいじょうはたらいていれば、食物しょくもつはうまく消化しょうかされてオージャス(活気かっき活力かつりょくもと)がされ、きとした健康けんこう状況じょうきょうとなる。オージャスはサプタ・ダートゥの髄質ずいしつで、かくダートゥの生成せいせい過程かていすこしずつつくられるが、シュックラ(生殖せいしょく組織そしき)ができる段階だんかい一番いちばんおお生成せいせいされ、心臓しんぞう蓄積ちくせきされる[8]。オージャスとともに、マラ(あせ尿にょう便びんつめかみなどの排泄はいせつぶつ)が生成せいせいされる。アグニが正常せいじょうはたらかないとアーマ(消化しょうかぶつ, 毒素どくそ)が生成せいせいされ、排泄はいせつ異変いへんきる。アーマは粘着ねんちゃくせいつよく、体内たいないのスロータス(経路けいろ通路つうろ)を閉塞へいそくさせて病気びょうきこす[10]

また、トリ・ドーシャはサプタ・ダートゥに依存いぞんしている。ヴァータはアスティ(ほね組織そしき)に、ピッタはラクタ(血液けつえき組織そしき)に、カパはそれ以外いがいのダートゥに左右さゆうされる。アスティが減少げんしょうすると空間くうかんえるため、ヴァータがえ、ラクタが増加ぞうかするとピッタがえ、それ以外いがいのダートゥが増加ぞうかするとカパがえる[10]

アシュターンガ(はち科目かもく[編集へんしゅう]

白内障はくないしょうひと。『チャラカ・サンヒター』では、jabamukhi salakaという歪曲わいきょくした特殊とくしゅはり使つかった、白内障はくないしょう治療ちりょうほう説明せつめいされている[14]
ナーガールジュナという人物じんぶつは、大乗だいじょう仏教ぶっきょう創始そうししたナーガールジュナ(2世紀せいき)が高名こうみょうであるが、インドの伝承でんしょうでは医学いがくしょ『スシュルタ・サンヒター』の改訂かいていしゃとされ[15]、インドではそうとしてより医師いし錬金術れんきんじゅつ呪術じゅじゅつとしてられる。モーリッツ・ヴィンターニッツは、仏教ぶっきょうタントラ(密教みっきょう)、医学いがく錬金術れんきんじゅつの4にんのナーガールジュナの存在そんざい想定そうていしている[15]実在じつざい錬金術れんきんじゅつナーガールジュナ (錬金術れんきんじゅつ)英語えいごばん(10世紀せいき)は、『ラサラトナーラカ』(Rasaratnakara )などおおくの錬金術れんきんじゅつしょあらわした[16]

古典こてん『チャラカ・サンヒター』では、医学いがくはち科目かもく(アシュターンガ)[1]からなるとべられ、現代げんだいでもおなじように8つに分類ぶんるいされている。

  • びょう医学いがく
    • 内科ないかKāya-cikitsā, カーヤ・チキットサー):身体しんたい全般ぜんぱんにおける病気びょうき治療ちりょう婦人ふじんふくまれる[10]
    • 小児科しょうにかKaumāra-bhṛtya, カウマーラ・ブリティヤー[11]):産科さんかふくまれる[10]
    • 鬼神きじんがくBhūta-vidyā, ブータ・ヴィディヤー):精神せいしん科学かがく現代げんだいでいう精神病せいしんびょうは、魔物まものが憑りつくことでこるとかんがえられていた[2]
    • 鎖骨さこつより上部じょうぶ専門せんもんŚālākya-tantra, シャーラーキヤ・タントラ):あたま中心ちゅうしんとする鎖骨さこつより上部じょうぶ治療ちりょうで、特殊とくしゅはりなどの器具きぐもちいるため「特殊とくしゅ外科げかがく」とばれた[2]眼科がんか耳鼻咽喉科じびいんこうか歯科しかふくまれる[10]
    • 外科げかŚālya-cikitsā, シャーリヤ・チキットサー):異物いぶつ摘出てきしゅつ腫瘍しゅよう治療ちりょう[1]
    • 毒物どくぶつがくAgada-tantra, アガダ・タントラ):毒物どくぶつからだどくあやまったわせによる異常いじょうかんする治療ちりょうほう[2]
  • 予防よぼう医学いがく
    • 不老ふろう長寿ちょうじゅほうRasāyana-tantra, ラサーヤナ・タントラ):老年ろうねん医学いがく健康けんこう延命えんめいほう化学かがくてき錬金術れんきんじゅつてき処理しょりふく[1]
    • つよしらげほうVājīkaraṇa-tantra, ヴァージーカラナ・タントラ):催淫ざい性的せいてき若返わかがえりの研究けんきゅう[1]

このように8科目かもくかぞえるようになったのがいつなのかははっきりしないが、原始げんし仏典ぶってんジャイナきょう経典きょうてんに、毒物どくぶつがく不老ふろう長寿ちょうじゅほうつよしせいほう科目かもく列挙れっきょしたものがあるという[2]

インド錬金術れんきんじゅつ医学いがく[編集へんしゅう]

インドは古代こだいから中国ちゅうごく交流こうりゅうがあり、仏教ぶっきょう中国ちゅうごくつたわる過程かていでさらに関係かんけいふかくなった。中国ちゅうごく錬金術れんきんじゅつじゅつ)がつたえられ、インドでも発展はってんしたとかんがえられている。じゅつ道教どうきょう不老ふろう長寿ちょうじゅほう一種いっしゅで、水銀すいぎんふくまれる鉱物こうぶつすな硫化りゅうか水銀すいぎん)をおも原料げんりょうとするやく服用ふくようなどがおこなわれた[16]

インドの不老ふろう長寿ちょうじゅほうラサーヤナ (医療いりょう)英語えいごばんにはインド錬金術れんきんじゅつふくまれる。元々もともと薬草やくそうがくであり、古典こてん『チャラカ・サンヒター』の段階だんかいでは、鉱物こうぶつやく限定げんていてきにしか使用しようされず、水銀すいぎん内服ないふくもなかった[2]中国ちゅうごく錬金術れんきんじゅつ影響えいきょうで、水銀すいぎん鉱物こうぶつやくあつか錬金術れんきんじゅつふくまれるようになったとかんがえられている。ラサーナヤという言葉ことばは、薬草やくそうがくだけでなく、錬金術れんきんじゅつや、錬金術れんきんじゅつつくられた霊薬れいやくすようになり、ラサまたはラサーヤナ(生命せいめい薬草やくそう霊薬れいやく)、マハーラサ(かね薬草やくそう霊薬れいやく)、サットヴァ(かね水銀すいぎん霊薬れいやく)、サルヴァ・サーットヴィカ(かね総合そうごうてき鉱物こうぶつ霊薬れいやく賢者けんじゃいし)などの用語ようごまれた[16]。ただし、水銀すいぎんには毒性どくせいがあるため、中国ちゅうごく同様どうよう中世ちゅうせい後期こうきには水銀すいぎんもちいた錬金術れんきんじゅつおとろえた。

診断しんだん[編集へんしゅう]

医者いしゃは、みずからの五感ごかんによる直接ちょくせつ知覚ちかく(プラティヤクシャ)、推論すいろん(アヌーマナ)、信頼しんらいできるひと教示きょうし証言しょうげん(シャブダ)にって患者かんじゃ状態じょうたい認識にんしきする。(参考さんこう:ページ下部かぶニヤーヤ学派がくは診察しんさつつぎのステップでおこなわれる[17]

  1. 視診ししん(ダルシャナ)
  2. 触診しょくしん(スパルシャナ)
  3. 問診もんしん(プラシュナ)

視診ししんには、した(ジフワ・パリクシャー)、眼球がんきゅう検査けんさ(ネートラ・パリークシャー)、肉体にくたいてき特徴とくちょう観察かんさつなどがあり、触診しょくしんには、みゃく(ナーディ・パリークシャー)などがある。トリ・ドーシャせつ体液たいえき病理びょうりせつてきかんがかたであるため、ユナニ医学いがく同様どうようみゃくとも糞便ふんべん検査けんさ(マラ・パリークシャー)、たんなどの排泄はいせつぶつ観察かんさつおもんじられた。聞診(聴覚ちょうかく嗅覚きゅうかくもちいた観察かんさつ)、皮膚ひふ検査けんさつめ検査けんさなどもおこなわれる[1]。プラクリティ(体質たいしつ気質きしつ)、ヴィクリティ(病気びょうき性質せいしつ)、サーラ(組織そしき要素ようそ状態じょうたいさ)、サンハティ(またはサンハナナ、体格たいかく)、ムラマーナ(身長しんちょうなどの測定そくてい)、サットヴァ(意志いしつよさ)、サートミヤ(摂生せっせい度合どあい、ライフスタイル)、ヴァヤハ(年齢ねんれい)もくわしく把握はあくされ、総合そうごうして診断しんだんくだ[17]

みゃくは、右手みぎて人差ひとさゆび中指なかゆび薬指くすりゆび使つかっておこなわれ、患者かんじゃ男性だんせい場合ばあい右手みぎて女性じょせい場合ばあい左手ひだりてみゃくられる[1]。ヴァータの状態じょうたい人差ひとさゆび、ピッタは中指なかゆび、カパは薬指くすりゆびかんじられ[17]みゃくかんじるふかさによって、患者かんじゃのドーシャの先天的せんてんてきなバランスと現在げんざい状態じょうたい判断はんだんする。

治療ちりょうほう[編集へんしゅう]

緩和かんわ療法りょうほう[編集へんしゅう]

緩和かんわ療法りょうほうとしては、睡眠すいみん時間じかん食事しょくじ改善かいぜん、ヴィクリティ(ドーシャの増大ぞうだい)にたいするせんぐすりしんしずめるための瞑想めいそうなどがおこなわれ、アーマ対策たいさくとして運動うんどうやアグニの活性かっせい目指めざされる。消化しょうかかんしては2つの治療ちりょうがあり、過剰かじょうなダートゥをらす絶食ぜっしょく療法りょうほうと、不足ふそくしたダートゥをおぎな栄養えいよう療法りょうほう滋養じよう療法りょうほう)がある[1]

食事しょくじ[編集へんしゅう]

古典こてん『チャラカ・サンヒター』でも、健康けんこう病気びょうき原因げんいんとして食事しょくじげられており、内容ないようだけでなく、食事しょくじたのしみ満足まんぞくすることも重要じゅうようかんがえられている。

食物しょくもつものは、アーユルヴェーダ薬物やくぶつおなじようにトリ・ドーシャ、トリ・グナのバランスに影響えいきょうあたえるとかんがえられている。薬効やっこうは、ラサ(あじ味覚みかく対象たいしょう)、ヴィルーヤ(性質せいしつ)、属性ぞくせい(グナ)、ヴィパーカ(消化しょうかあじ)を総合そうごうして判断はんだんされる[1]。ラサは五大ごだいのうち2つが結合けつごうしたものとされ、あまだいみずだい)・さんみずだいだい)・鹹(塩味しおあじだいだい)・からしふうだいだい)・ふうだいそらだい)・しぶふうだいだい)の6つである。ヴィルーヤは、「熱性ねっせい冷性ひえしょう・どちらでもないもの」がある。属性ぞくせいは、「かんねつあぶらいぬいじゅうけいどんするど」の8種類しゅるい、または、これら8つに「すべりあらかたまえき・軟・かたしずどう微細びさいあらねば凋(にご)・清澄きよすみじゅん)」をくわえた20種類しゅるいである[1]。ヴィパーカは、消化しょうかさいに6つのラサが変化へんかしたもので、「あまさんからし」の3つである。食物しょくもつのトリ・ドーシャやトリ・グナへの影響えいきょうは、これらを考慮こうりょして判断はんだんされる。増大ぞうだいしたドーシャと反対はんたい性質せいしつ食物しょくもつをとり、おな性質せいしつのものをけることで心身しんしんのバランスの回復かいふく目指めざす。ドーシャのバランスを改善かいぜんするために、ヴァータが優勢ゆうせい場合ばあい胡麻油ごまあぶら、ピッタが優勢ゆうせい場合ばあいギー(バターオイルの一種いっしゅ)、カパが優勢ゆうせい場合ばあい蜂蜜はちみつあたえられる[1]。また、サットヴァをたかめる食物しょくもつはドーシャのバランスの回復かいふくをもたらすため、べい牛乳ぎゅうにゅうなどサットヴァの豊富ほうふ食物しょくもつをとるようすすめている。

薬物やくぶつ処方しょほう[編集へんしゅう]

アーユルヴェーダのくすりは、天然てんねん由来ゆらいするどううえ鉱物こうぶつからなる薬物やくぶつ生薬きぐすり)が使つかわれる。やく2,000〜2,500しゅ薬物やくぶつがあり、これらにはそれぞれ薬効やっこう(カルマ)があり、ドーシャやダートゥ、マラなどへの作用さようもそれぞれまっている[1]薬物やくぶつ食物しょくもつ同様どうよう、ラサやヴィルーヤなどを総合そうごうして薬効やっこう判断はんだんされる。病気びょうき原因げんいんはドーシャの増大ぞうだい増悪ぞうあくであるが、症状しょうじょう属性ぞくせいがある。治療ちりょう個々ここ患者かんじゃ状態じょうたい考慮こうりょして、ドーシャのバランスを回復かいふくさせる薬物やくぶつ症状しょうじょうなお薬物やくぶつ反対はんたい属性ぞくせいをもつ薬物やくぶつ使つかわれる。薬剤やくざい単体たんたい使つかわれることもあるが、ふくごうやくとして処方しょほうヨガ)される場合ばあいおお[1]人口じんこう増大ぞうだい伝統でんとう医療いりょう普及ふきゅうで、世界せかいてき薬物やくぶつ乱獲らんかく枯渇こかつ問題もんだいになっている[18]。 また、近年きんねんでは一部いちぶ生薬きぐすり現代げんだい医学いがく視点してんから作用さようじょ研究けんきゅうされており、いちれいとして産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ動物どうぶつ実験じっけんにてアシュワガンダつよこうがん作用さよう発見はっけんされた[19]海外かいがいではホットミルクにアシュワガンダなどのハーブやスパイスをれ、ムーンミルクばれるドリンクが流行りゅうこうしている。

げんじゃく療法りょうほう[編集へんしゅう]

げんじゃく療法りょうほう段階だんかい種類しゅるい[編集へんしゅう]

アーユルヴェーダのげんじゃく療法りょうほう浄化じょうかほう)は、可能かのうかぎ身体しんたい負担ふたんけないように時間じかんけておこなう。過剰かじょうなドーシャやアーマを身体しんたいがい排泄はいせつさせるために1.ぜん処置しょち→2.中心ちゅうしん処置しょち→3.こう処置しょち順番じゅんばんほどこされる。

  1. プールヴァカルマ:ぜん処置しょち
    • アーマパーチャナ:アーマ(毒素どくそ)の消化しょうかほう
    • スネーハナ・カルマ:油剤ゆざいほう
    • シローダーラー:頭部とうぶ浄化じょうか中枢ちゅうすう神経しんけい強壮きょうそう精神せいしん疾患しっかんなどの治療ちりょう
    • アビヤンガ(Abhyaṅga):塗布とふするという意味いみで、オイルマッサージのこと。目的もくてきによってことなるオイルが使つかわれる。
    • ピリツイル:スネーハナカルマ + スウェーダナ・カルマ(発汗はっかんほうのこと)。王様おうさま治療ちりょうほうばれ、あつすうリットルのオイルを全身ぜんしんけマッサージする。麻痺まひ、リューマチなどの難治なんじせい疾患しっかん効果こうかがあるとされる。
    • エーラキリ:スネーハナカルマ+スウェーダナ・カルマ。関節かんせつつう、リューマチに効果こうかがあるとされる。
    • ナバラキリ(スウェーダナカルマ):ナバラライス(くすりまい)と Bala などの生薬きぐすり牛乳ぎゅうにゅう使用しようする
  2. プラダーナ・カルマ:中心ちゅうしん処置しょち、パンチャカルマ
    • ヴァマナ(催吐ほうおもはい食道しょくどうのど浄化じょうか目的もくてきとする):Vamana
    • ヴィレーチャナ(催下ほう下剤げざい):Virecana
    • バスティ(浣腸かんちょうほう):Basti
    • ナスヤ(てんはなほうおものど頭部とうぶ顔面がんめん浄化じょうかすることを目的もくてきとする):NavanNasya
    • ラクタ・モークシャ(瀉血しゃけつ療法りょうほう):Rakta Mokṣa
  3. パシュチャートカルマ:こう処置しょち
    • シャマナ鎮静ちんせいほう:ドーシャのバランシングとアグニの正常せいじょう
    • サンサルジャナ:食事しょくじ療法りょうほう
    • ラサーヤナ:不老ふろう長寿ちょうじゅほう生薬きぐすり鉱物こうぶつつくられた薬品やくひんる。(Chavanapurash有名ゆうめい
    • ヴァジーカラナ:つよしせいほう子孫しそんつくるための方法ほうほう ラサーヤナ同様どうよう薬品やくひんる。

アーユルヴェーダのマッサージ[編集へんしゅう]

頭部とうぶのオイルマッサージ

アーユルヴェーダの治療ちりょうでは薬草やくそう療法りょうほうおおきな位置いちめており、薬物やくぶつせんじた薬用やくよう(タイラ)も治療ちりょう使用しようされる。アーユルヴェーダにおけるマッサージはパンチャ・カルマの補助ほじょ療法りょうほうで、薬草やくそう療法りょうほう一種いっしゅであり、7つのチャクラへの刺激しげきおこなわれる[20]。マッサージのベースオイルには、あたたかい胡麻油ごまあぶら使用しようされる。胡麻油ごまあぶら皮膚ひふ浸透しんとうしやすく、こう酸化さんか作用さようつよいオイルで、塗布とふすると発汗はっかん促進そくしんされる。マッサージの手技しゅぎはペルシャの医学いがくユナニ医学いがくれられた歴史れきしから、東洋とうよう西洋せいようのテクニックが混在こんざいし、日本にっぽん伝統でんとう手技しゅぎそうつうじる部分ぶぶんもある[20]つぎのようなマッサージがられている。

  • アビヤンガ:全身ぜんしんオイルマッサージで、過剰かじょうなヴァータを排出はいしゅつするためのバスティ(浣腸かんちょうほう)のぜん処置しょちである。2人ふたり施術しじゅつしゃによって、左右さゆう同時どうじおなじストロークでマッサージされ、ヴァータを大腸だいちょうあつめるために、心臓しんぞうから末端まったんかっておこなわれる。(これとはぎゃくに、スウェーデンマッサージに代表だいひょうされる西洋せいようのマッサージは、体液たいえき病理びょうりせつよん体液たいえきせつ)を背景はいけいとし、体液たいえき循環じゅんかん促進そくしんするために末梢まっしょうから心臓しんぞうかっておこなわれる[20]。)アビヤンガのまえには、食事しょくじ療法りょうほう緩和かんわ療法りょうほう必要ひつようである。
  • シローアビヤンガ:ナスヤのぜん処置しょちで、頭部とうぶかおのマッサージがおこなわれる。脱毛だつもうふせいで育毛いくもううながし、薬草やくそうオイルの種類しゅるいによっては、頭部とうぶ緊張きんちょう緩和かんわしのぼせや不眠ふみん改善かいぜんしたり、はだ状態じょうたいくする。
  • パーダビヤンガ:あしのマッサージで、あしそこにオイルをすりむことで、血液けつえき循環じゅんかん改善かいぜん内臓ないぞう活性かっせいあし機能きのう改善かいぜん緊張きんちょう緩和かんわなどが目指めざされる。あしまでマッサージすることで、腰痛ようつう便秘べんぴふせぐ。こののちにシロダーラーや入浴にゅうよくをすると、さらに効果こうかたかまる。

パンチャ・カルマの補助ほじょ療法りょうほうとして薬用やくよう(タイラ)を塗布とふする治療ちりょうがある一方いっぽう、「アーユルヴェーダ・マッサージ」とばれるもののおおくは、外国がいこくじんけにアレンジしなおされたものである。インド・コーバラム海岸かいがん滞在たいざいしたアメリカじんヒッピーたちがアーユルヴェーダに関心かんしんっていたことから、地元じもと若者わかものがアーユルヴェーダの治療ちりょうしゃから知識ちしき技術ぎじゅつあつ青空あおぞらマッサージをはじめ、外国がいこくじんけの「アーユルヴェーダ・マッサージ」がおこなわれるようになった。(当時とうじコーバラムで医療いりょうといえばナダ・チキッツァ(地域ちいき医療いりょう)であり、アーユルヴェーダの存在そんざい村人むらびとらなかった。民族みんぞく宗教しゅうきょうのインド伝統でんとう医療いりょうは、アーユルヴェーダにかぎられず多様たようである。)[9]現在げんざいでは、インドの外国がいこくじん治療ちりょう施設しせつやヘルス関連かんれん施設しせつでマッサージがおしえられており、おおくの外国がいこくじんがインドでまなび、自国じこくかえっている[9]。インドやスリランカなどでおこなわれる医療いりょうツーリズムでは、旅行りょこうしゃ目的もくてきはリラクゼーションや健康けんこう増進ぞうしんおもであり、マッサージが治療ちりょう中心ちゅうしんで、1かいのみおこなわれることもおおい。1週間しゅうかん以上いじょう滞在たいざいする場合ばあいでも、期間きかん旅行りょこうしゃ嗜好しこうわせて治療ちりょうがアレンジされ、浣腸かんちょうほうや催吐ほうなどの苦痛くつうともな治療ちりょうはあまりおこなわれない。継続けいぞくせいもないため、抜本ばっぽんてき治療ちりょうにならないこともすくなくない[9]日本にっぽんでは、アーユルヴェーダを名乗なのるエスティックサロンなどで、オイルマッサージのみがおこなわれることがおおく、アーユルヴェーダとはインドしきオイルエステであるという短絡たんらくてき認識にんしきたれている。

霊的れいてき治療ちりょう[編集へんしゅう]

いわかれたマントラ

根源こんげんてき霊的れいてきめん治療ちりょう背景はいけいには『ウパニシャッド』などのインド思想しそうがあり、患者かんじゃ本来ほんらいちから引出ひきだし、宇宙うちゅう根源こんげんてきなエネルギーをもちいて、心身しんしん調和ちょうわもどすことを目的もくてきとする。様々さまざま方法ほうほうもちいられるが、患者かんじゃのアートマンの活性かっせい目指めざしており、治療ちりょうしゃ援助えんじょてっする。患者かんじゃかたえるような根本こんぽんてき治療ちりょうのため、おおくの場合ばあい時間じかんがかかるが、短期間たんきかん劇的げきてき効果こうかあらわれることもあるという[10]

占星術せんせいじゅつなどで病気びょうきがカルマ(行為こうい行動こうどう)によるとわかった場合ばあいわるいカルマ(ぎょう)をなくすために善行ぜんこう奨励しょうれいされる。また、ジョーティシャ(インド占星術せんせいじゅつ)でホロスコープをて、わる惑星わくせい影響えいきょう考慮こうりょした薬草やくそう療法りょうほう、マントラ(呪文じゅもん)や宝石ほうせき使つかった治療ちりょうおこなわれる。たとえば、パンチャカルマをおこな日時にちじが、占星術せんせいじゅつによってめられることもある。ただし、マントラ(呪文じゅもん)や宝石ほうせき使つかった治療ちりょう現在げんざいではあまりおこなわれず、占星術せんせいじゅつ知識ちしき治療ちりょうしゃわずかであるという[10]根源こんげんてき霊的れいてき治療ちりょうとしては、インド思想しそうもとづく風水ふうすいヴァーストゥ・シャーストラせいなるこしてマントラをとなえ、供物くもつささげる治療ちりょう儀式ぎしき・ヤジュニャ、聖典せいてん由来ゆらいする言葉ことばであるマントラ、だい宇宙うちゅう小宇宙しょううちゅう人間にんげん)の関係かんけい視覚しかくてき表現ひょうげんしたせいなる・ヤントラなども治療ちりょう使つかわれる[10]

効能こうのう測定そくてい[編集へんしゅう]

キャンサー・リサーチUKによる初期しょきてき実験じっけんでは、アーユルヴェーダをもちいたがん予防よぼうならびに治療ちりょうたいする人体じんたいへの効果こうか確認かくにんされなかった。

2015ねん文献ぶんけんレビューは、やく40%のアーユルヴェーダ専門せんもん研究けんきゅう雑誌ざっし記事きじがデータベースに索引さくいんけされているとした[21]

ランダム比較ひかく試験しけんのシステマティックレビューは、複数ふくすうおこなわれている。

危険きけんせい[編集へんしゅう]

アメリカ政府せいふが2008ねんった調査ちょうさでは、インターネット購入こうにゅうした193のアーユルヴェーダ関連かんれん商品しょうひんのうち、全体ぜんたいの2わりきょう(21%)の商品しょうひん基準きじゅんえるなまり水銀すいぎんヒ素ひそ存在そんざい測定そくていされた。また、アーユルヴェーダで使用しようされる植物しょくぶつ成分せいぶんがその医薬いやく製品せいひん人体じんたいないでどのように反応はんのうするかなどの確認かくにんおこなわれていないため、副作用ふくさよう危険きけん指摘してきされている。アーユルヴェーダで使用しようされる植物しょくぶつなかにはkavaのような国家こっかによっては違法いほうとされる成分せいぶん摂取せっしゅりょうによっては毒性どくせいしめすものもあるため、注意ちゅうい必要ひつようである。

歴史れきし[編集へんしゅう]

インド[編集へんしゅう]

がい[編集へんしゅう]

バラモン教ばらもんきょう経典きょうてんヴェーダ」として、4つのおもなヴェーダ『リグ・ヴェーダ』(紀元前きげんぜん15世紀せいきごろ?)、『サーマ・ヴェーダ』『ヤジュル・ヴェーダ』『アタルヴァ・ヴェーダ』があり、ヴェーダから生命せいめいかんする知識ちしき集大成しゅうたいせいしたウパ・ヴェーダが『アーユルヴェーダ』である。人類じんるい初期しょき医学いがく薬学やくがく呪術じゅじゅつむすびついたものだが、こういった記述きじゅつられるのは、『リグ・ヴェーダ』と『アタルヴァ・ヴェーダ』だけである。ウパ・ヴェーダはに 『ガンダルヴァ・ヴェーダ』(歌舞かぶがく[22]芸術げいじゅつがく[8])、『ダヌル・ヴェーダ英語えいごばん』(兵法ひょうほうゆみ科学かがく[22])、『スターパティア・ヴェーダ』(建築けんちくがく都市とし設計せっけい)がある。サンスクリットかれており、バラモンなど知的ちてきエリートのあいだがれた。

アーユルヴェーダの最古さいこ文献ぶんけんとしては、『アグニヴェーシャ・タントラ』(紀元前きげんぜん8世紀せいきごろ?)があったとつたえられる。『チャラカ・サンヒター』は、『アグニヴェーシャ・タントラ』を医師いしチャラカが改編かいへんしたものといわれ、その作業さぎょうは1 - 2世紀せいきまでにはわったとかんがえられている。『アタルヴァ・ヴェーダ』に医学いがくかんする内容ないようおおく、『チャラカ・サンヒター』は、『アタルヴァ・ヴェーダ』のウパンガ(ふく)とされた。4 - 5世紀せいきにジャイナきょう仏教ぶっきょうといったあたらしい宗教しゅうきょうや、ろく哲学てつがく発展はってんして医学いがく影響えいきょうあたえ、呪術じゅじゅつ医学いがくはなされて、経験けいけんてき合理ごうりてき医学いがくはじまったとかんがえられる。これがチャラカ、スシュルタのまとめられた医学いがく体系たいけいである。『チャラカ・サンヒター』『スシュルタ・サンヒター』『アシュターンガ・フリダヤ・サンヒター』などの古典こてん段階だんかいで、医学いがく体系たいけいとして完成かんせいしており、これらの医学いがくしょ現在げんざいまで実用じつようてきなテキストとして参照さんしょうされている。古典こてん現在げんざいでも重要じゅうようされているため、一見いっけん進歩しんぽ否定ひていされているようにえるが、実際じっさいには中国ちゅうごく医学いがくみゃくや、ペルシャやギリシャ・アラビア医学いがくユナニ医学いがく)もれられ、アーユルヴェーダの薬草やくそうるいにはインド国外こくがいのものもれられており、柔軟じゅうなん折衷せっちゅうされている。『チャラカ・サンヒター』をサンスクリットから翻訳ほんやくしたインド数学すうがく・インド占星術せんせいじゅつ研究けんきゅうしゃ矢野やの道雄みちおによれば、あたらしくまれたものも、サンスクリットされテキストにまれると古代こだいからあったものとしてあつかわれるため、インドでは、『チャラカ・サンヒター』の段階だんかいではられないみゃく水銀すいぎん内服ないふくも、インド起源きげんおもわれているという[23][2]

古典こてん医学いがくしょ成立せいりつ[編集へんしゅう]

西遊せいゆう』のモデルになった玄奘三蔵げんしょうさんぞうは、正確せいかく仏教ぶっきょう経典きょうてんれるために629ねん陸路りくろインドにかい、645ねん帰国きこくした。当時とうじのインドの仏教ぶっきょう状況じょうきょうや、仏教ぶっきょう大学だいがくであるナーランダー大学だいがくおしえられた医学いがくろく哲学てつがくなどを記録きろくしている。

アーユルヴェーダを代表だいひょうする古典こてんチャラカ・サンヒター』(チャラカほんしゅう)では、アーユルヴェーダはブラフマーかみ梵天ぼんてん)によって最初さいしょかれ、いくはしらかのかみかいしてインドラかみつたえられた。そしてバラドヴァージャという仙人せんにんがインドラしんもとおもむき、おしえをけたとべられている。『チャラカ・サンヒター』は『アタルヴァ・ヴェーダ』を根拠こんきょとし、さんにん仙人せんにんふうみずについてべることでさん元素げんそ解説かいせつしている[よう出典しゅってん]学術がくじゅつてきには、『チャラカ・サンヒタ』ーは2世紀せいきころ成立せいりつし(文献ぶんけん成立せいりつ年代ねんだい矛盾むじゅんしているが、不祥ふしょう太古たいこ無限むげんとお未来みらい説明せつめいする場合ばあいであっても、便宜べんぎてき数字すうじ慣行かんこうがある。仏教ぶっきょう同様どうようである。[よう出典しゅってん])ダスグプタ博士はかせは、哲学てつがくてき見地けんちから『チャラカ・サンヒター』を分析ぶんせきし、だい1かん総論そうろんだい1しょうではヴァイシェーシカ学派がくはだい3かん判断はんだんろんだい8しょうではニヤーヤ学派がくはだい4かん身体しんたいろんだい1しょうではサーンキヤ学派がくは思想しそう説明せつめいされていると説明せつめいした[2]

一貫いっかんして内科ないかあつかう『チャラカ・サンヒター』にたいし、クシャトリア(武士ぶし王族おうぞく)と関係かんけいふかかったとされる『スシュルタ・サンヒター英語えいごばん』(スシュルタほんしゅう)は外科げかあつかい、最終さいしゅうてき成立せいりつは3 - 4世紀せいきかんがえられている[2]かみ々からもたらされたとされ、ブラフマーしん化身けしんわれるカーシーおうダンヴァンタリがスシュルタにはなしかけるかたち医学いがくかれる。りょうしょとも基本きほん理論りろんちがいはなく、内科ないか重視じゅうしし、トリ・ドーシャの均衡きんこう病気びょうきこすと説明せつめいしている。

古代こだいインドの文献ぶんけんのほとんどは正確せいかく年代ねんだい不明ふめいであり、アーユルヴェーダ最古さいこ文献ぶんけん『チャラカ・サンヒター』『スシュルタ・サンヒター』の成立せいりつ年代ねんだいはわからず、相互そうご言及げんきゅうされていないため前後ぜんご関係かんけい不明ふめいである。その作者さくしゃとされるチャラカ、スシュルタがきた時代じだい不明ふめいであり、スシュルタなど紀元前きげんぜん6世紀せいきとするせつもあれば、紀元きげん4世紀せいきとするせつもある[2]。ただし、『チャラカ・サンヒター』『スシュルタ・サンヒター』は特定とくてい個人こじんいたものではなく、おおくの人間にんげんかかわってながあいだ改編かいへんされつづけ、現在げんざいかたちになるまで10世紀せいきちかくかかったとかんがえられている[2]

のちに、りょうしょ折衷せっちゅうした『アシュターンガフリダヤ・サンヒター英語えいごばん』(はち精髄せいずいしゅう)がヴァーグバダによってかれたが、これはみやすい医書いしょでインド国外こくがいまでひろ普及ふきゅうした。またマーダヴァ (医者いしゃ)英語えいごばんは、インド医学いがくはじめてひとつのテーマを専門せんもんてきろんじた『病因びょういんろん』(Roga-viniścaya, または『ニダーナ』)をいた。これらの医学いがくしょは、時代じだい地域ちいきわせて注釈ちゅうしゃくほどこされ、現在げんざいまでアーユルヴェーダのテキストとして使つかわれている。

古典こてん影響えいきょうあたえた思想しそう[編集へんしゅう]

「チャラカ・サンヒター」における人間にんげんかん

紀元前きげんぜん5・6世紀せいきごろから、バラモン教ばらもんきょう祭祀さいし至上しじょう主義しゅぎやぶろうと自由じゆう思想家しそうかたち活躍かつやくし、ヴェーダの権威けんい否定ひていする仏教ぶっきょうジャイナきょうのようなしん宗教しゅうきょうこり、ウパニシャッド哲人てつじんたちが活躍かつやくし、4世紀せいきごろにはろく哲学てつがく隆盛りゅうせいした。こうした時代じだいなかで、医学いがくから呪術じゅじゅつせい排除はいじょされ体系たいけいされ、アーユルヴェーダとばれるようになった。『アタルヴァ・ヴェーダ』などにられる呪術じゅじゅつてき医療いりょうは、ウパニシャッドやろく哲学てつがくサーンキヤ学派がくは二元論にげんろんヴァイシェーシカ学派がくは自然しぜん哲学てつがくニヤーヤ学派がくは論理ろんりがく活用かつようによって、呪術じゅじゅつせいはいしたひとつの体系たいけい整理せいりされたのである。

ウパニシャッド[編集へんしゅう]

ウパニシャッド(奥義おうぎしょ)は、広義こうぎのヴェーダ文献ぶんけん最後さいご構成こうせいする書物しょもつである。おもなウパニシャッドだけでも13あり、紀元前きげんぜん500ねん前後ぜんこうすうひゃく年間ねんかん成立せいりつしたとかんがえられている。すべていずれかのヴェーダにぞくするとされ、ヴェーダ聖典せいてん伝承でんしょうするかく学派がくはによってつたえられた。

その基本きほん思想しそうは、多様たよう変化へんかつづけるこの現象げんしょう世界せかいには、唯一ゆいいつ不変ふへん実体じったい(ブラフマン、梵)が本質ほんしつとして存在そんざいし、それが個人こじん本質ほんしつ(アートマン、)とおなじであるという「梵我一如いちにょ」である。ブラフマンは客観きゃっかんてき中性ちゅうせい原理げんりであり、それにたいしアートマンは主体しゅたいてき人格じんかくてき原理げんりである。アートマンは元々もともといき」「気息きそく」を意味いみし、てんじて「生気せいき」「身体しんたい」「自身じしん」「自我じが」「自己じこ」「霊魂れいこん」などを意味いみするようになった。ウパニシャッド哲学てつがくぜん思想しそうは、すべて梵我一如いちにょ概念がいねん周辺しゅうへん展開てんかいする。

ろく哲学てつがく[編集へんしゅう]

4世紀せいきマガダこくからこったグプタあさもとで、世情せじょう安定あんていゆたかなインドの古典こてん文化ぶんか花開はなひらいた。バラモン教ばらもんきょう(ばらもんきょう婆羅門教ばらもんきょう, ヒンドゥーきょう前身ぜんしんとなる古代こだいインドの宗教しゅうきょう)が国教こっきょうとされ、サンスクリット公用こうようとしてもちいられた。(なお「バラモン教ばらもんきょう」は近代きんだいにヨーロッパじんがつけた造語ぞうごで、元々もともとバラモン教ばらもんきょう全体ぜんたい呼称こしょうはなかった。)古来こらいよりつたわるバラモン教ばらもんきょうがく整備せいびされ、さまざまな学問がくもん系統けいとう確立かくりつし、スートラ根本こんぽん経典きょうてん)がまとめられた[12]。インドの学問がくもんのほとんどは、輪廻りんねからの解脱げだつ目的もくてきとし、宗教しゅうきょう哲学てつがくがほとんど区別くべつできないてん特徴とくちょうがある。この時代じだい正統せいとうバラモン教ばらもんきょう哲学てつがく学派がくはには6系統けいとうがあり、ろく哲学てつがくばれた。サーンキヤ学派がくは、ヴァイシェーシカ学派がくは、ニヤーヤ学派がくはろく哲学てつがくかぞえられる。

サーンキヤ学派がくは[編集へんしゅう]
サーンキヤ哲学てつがくにおける世界せかい展開てんかいじゅうたい[12][24]

世界せかい精神せいしん原理げんり物質ぶっしつ原理げんり二分にぶんする、厳密げんみつ二元論にげんろん特徴とくちょうとする(精神せいしん肉体にくたい二元論にげんろんではない)。精神せいしん原理げんりとしての「かみ」(プルシャ, 純粋じゅんすい精神せいしん, 自己じこ, アートマンとほぼ同意どうい[24])と、物質ぶっしつ原理げんりとしての「自性じしょう」(プラクリティ, 根本ねもと原質げんしつ)の2つを世界せかい根源こんげんだと想定そうていした[12]物質ぶっしつ世界せかいすべ自性じしょうからひらけてんしてしょうじ、思考しこう器官きかん)や自我じが意識いしき我慢がまん)といったしんも、精神せいしんではなく物質ぶっしつであり、人間にんげん身体しんたいいち器官きかんにすぎないとかんがえられた[12]

アーユルヴェーダに影響えいきょうあたえたサーンキヤの思想しそうに、トリ・グナせつがある。世界せかい展開てんかいするまえ自性じしょうは、サットヴァ(じゅんしつ)、ラジャス(げきしつ)、タマス(やみしつ)というトリ・グナ(3つの特性とくせい)が均衡きんこうした静止せいし状態じょうたいにある。かみ観照かんしょう関心かんしん観察かんさつ)によってラジャスの活動かつどうこると、トリ・グナのバランスがくずれて世界せかいひらけてん流出りゅうしゅつ)する。ひらきてん過程かていとおりである。一方いっぽうかみ一切いっさい変化へんかしない。

かみわが自性じしょうさとしだいとも)、我慢がまんじゅういち五知ごち作根さくね)、ただ五大ごだい」をわせて「じゅうたい」(じゅう原理げんり)と[12][25]。(「たい(Tattva)」は真理しんり意味いみする[26]。)かみはそもそも解脱げだつした清浄せいじょうなものなので、輪廻りんねから解脱げだつするには、みずからのかみきよめてその本性ほんしょう現出げんしゅつさせなければならない。そのためには、じゅうたいただしく理解りかいし、ヨーガの修行しゅぎょうおこなわなければならないとされた[12]解脱げだつのためのヨーガのじつおさむは、サーンキヤ学派がくはだけでなく、古代こだいインド哲学てつがく宗教しゅうきょうのほとんどでおこなわれていた[12]

ろく哲学てつがくひとつであるヨーガ学派がくはは、サーンキヤ学派がくはおおきな影響えいきょうけている。現代げんだいのアメリカや日本にっぽんでは、アーユルヴェーダはヨーガとともかたられることもおおい(ただし現代げんだいのヨーガのおおくは、ヨーガの密教みっきょうばんともいうべきハタ・ヨーガの系統けいとうである)。しかし、インドで人生じんせいよん目的もくてきとされるほう(ダルマ)、ざい(アルタ)、あい(カーマ)、解脱げだつ(モークシャ)のうち、解脱げだつ医学いがくくところではなく[2]、アーユルヴェーダとヨーガはインドでは別々べつべつのものとみなされている[8]

ヴァイシェーシカ学派がくは[編集へんしゅう]

ヴァイシェーシカ学派がくはは、この世界せかい複数ふくすう構成こうせい要素ようそ原子げんし)から形成けいせいされているとする「アーランバ・ヴァーダ」(せきしゅうせつ)を代表だいひょうする学派がくはである。根本こんぽん経典きょうてんは、『チャラカ・サンヒター』とちか時代じだい成立せいりつしたとかんがえられている[2]

この学派がくはでは、「実体じったい)、属性ぞくせいとく)、運動うんどうぎょう)、普遍ふへんどう)、特殊とくしゅこと)、内属ないぞく和合わごう)」の6つのパダールタ(ろくよしろく原理げんり、6つの範疇はんちゅう)を想定そうていして世界せかい分析ぶんせき解明かいめいしようとした。実体じったいは、「四大しだい虚空こくう時間じかん方角ほうがく、アートマン()、マナス()」からなり、よん元素げんそ直接ちょくせつ知覚ちかくすることのできない原子げんし極微きょくび)からなるとかんがえた。原子げんしが2つ以上いじょう結合けつごうしてふく合体がったいとなり、知覚ちかくできるものとなるが、これらのふく合体がったい無常むじょうであり、破壊はかいされ変化へんかする。パダールタは、さまざまな範疇はんちゅう設定せっていして詳細しょうさい分析ぶんせきされ、世界せかい説明せつめいこころみられたが、こういった分析ぶんせき方法ほうほうは『チャラカ・サンヒター』でももちいられている。

ニヤーヤ学派がくは[編集へんしゅう]

インドにおいて、ただしい論証ろんしょう方法ほうほう論理ろんりがくふるくから研究けんきゅうされ、『チャラカ・サンヒター』でも、医師いし心得こころえとして「論議ろんぎみち」が44項目こうもくにわたって分類ぶんるい検討けんとうされている。ニヤーヤ学派がくは世界せかいかんは、そのおおくをヴァイシェーシカ学派がくはっており、独自どくじせい論証ろんしょう方法ほうほう研究けんきゅうにある。インドの論理ろんりがく認識にんしきろん密接みっせつ関係かんけいにあり、ニヤーヤ学派がくはも「ただしい認識にんしきとはいかにあるべきか」をメインテーマとし、「直接ちょくせつ知覚ちかく」「推論すいろん」「類比るいひ」「信頼しんらいできるひと教示きょうし証言しょうげん」の4つの認識にんしき方法ほうほう提示ていじした。また、他者たしゃとの論争ろんそうにおいて、推論すいろんは「主張しゅちょうむね)」「理由りゆうよし)」「実例じつれいたとえ)」「適合てきごうごう)」「結論けつろんゆい)」の「ふん作法さほう」にしたがって立証りっしょうされなければならないとかんがえた。論争ろんそうでは、それぞれがふん作法さほうにしたがって論議ろんぎ検討けんとうし、ある事柄ことがら妥当だとうだと確定かくていした場合ばあい真実しんじつられたといえる、とされた。

ユナニ医学いがく[編集へんしゅう]

ムガル帝国ていこく最大さいだい版図はんと1707ねんだい6だい皇帝こうていアウラングゼーブ死亡しぼう

インドにイスラム教いすらむきょうつたえられたことで、アーユルヴェーダにはユナニ医学いがく要素ようそくわわった。ぎゃくにユナニ医学いがくには、おおくのアーユルヴェーダ薬物やくぶつれられている。

ユナニ医学いがくはイスラーム勢力せいりょく拡大かくだいひろがり、ムガル帝国ていこく時代じだいにその勢力せいりょく最高潮さいこうちょうたっした。アーユルヴェーダとユナニ医学いがくは、理論りろんてきちかいものがあり、対立たいりつするよりむしろ共存きょうぞんし、たがいの知識ちしき技術ぎじゅつれあったようである。一般いっぱんに、イスラム教徒きょうと支配しはいする都市とし宮廷きゅうてい富裕ふゆうそうではユナニ医学いがく中心ちゅうしんとなり、アーユルヴェーダは衰退すいたいしたが、ヒンズー教徒きょうと周辺しゅうへんまずしい人々ひとびとあいだ命脈めいみゃくたもっていた。アーユルヴェーダ復古ふっこ主義しゅぎしゃあいだでは、ユナニ医学いがく西洋せいよう医学いがくともに、アーユルヴェーダ没落ぼつらく原因げんいんであるといわれるが、実際じっさいにはユナニ医学いがくがアーユルヴェーダをきながらえさせたとかんがえられている[2]民族みんぞく宗教しゅうきょう社会しゃかいであるインドでは、現代げんだい医学いがく、アーユルヴェーダ以外いがいに、ユナニ医学いがくシッダ医学いがくなど様々さまざま伝統でんとう医学いがく民俗みんぞく療法りょうほう現在げんざいおこなわれている。

西洋せいよう近代きんだい医学いがく[編集へんしゅう]

1909ねん当時とうじイギリスりょうインド帝国ていこく。イギリスによる直接ちょくせつ統治とうちかれた地域ちいきはピンク、はん王国おうこく黄色おうしょくしめされている。
典型てんけいてきなアーユルヴェーダ薬局やっきょく, Rishikesh

16世紀せいきはじめにインドに進出しんしゅつしてきたヨーロッパじんたちは、アーユルヴェーダ・ユナニ医学いがくども原始げんしてき未熟みじゅく医学いがくとして軽蔑けいべつした。しかし18世紀せいきわりに、サンスクリットかれたインドの伝統でんとうてき学問がくもんがヨーロッパの学者がくしゃ関心かんしんあつめると、サンスクリットによる医学いがくしょ注目ちゅうもくされた。

19世紀せいき中頃なかごろから近代きんだい教育きょういくひろがると、インドの伝統でんとうてき学者がくしゃ(バンディット)たちはみずからの伝統でんとう目覚めざめ、復古ふっこ主義しゅぎてき運動うんどうこった。西洋せいよう医学いがくおしえる大学だいがくがインドにひらかれたのちに、それに対抗たいこうするかたちでアーユルヴェーダの教育きょういく制度せいどととのえられていった。それにともない、家族かぞく師弟していとおした伝承でんしょうすくなくなっていった。アーユルヴェーダは、愛国心あいこくしんたかまりとともに「インド伝統でんとう医学いがく」として復興ふっこう普及ふきゅうし、20世紀せいき独立どくりつ運動うんどうともにさらにさかんになった。

アーユルヴェーダの隆盛りゅうせいには、莫大ばくだい人口じんこうかか貧困ひんこんそうおおいインドでは、高額こうがく西洋せいよう医学いがくすべてのひと医療いりょうまかなえないことも関係かんけいしている。また、保守ほしゅてき国民こくみんせいのため、西洋せいよう医学いがくになじめないひとおおいという。

新型しんがたコロナウイルス感染かんせんしょう(COVID-19)にたいしても、アーユルヴェーダにもとづく医薬品いやくひん健康けんこう食品しょくひん投入とうにゅうされている。インド政府せいふ推奨すいしょうしているが、現代げんだい医学いがく医師いしからの批判ひはんきている[6][5]

折衷せっちゅう主義しゅぎ復古ふっこ主義しゅぎ[編集へんしゅう]

西洋せいよう医学いがくがインドにつたえられ、その有効ゆうこうせいしめされると、アーユルヴェーダの医者いしゃ折衷せっちゅう復古ふっこかれた。折衷せっちゅう西洋せいよう医学いがくれた治療ちりょうおこない、現代げんだい機器ききもちいた診断しんだんおこなう。一方いっぽう復古ふっこ主義しゅぎしゃは、イスラムとイギリスの支配しはいによってアーユルヴェーダは堕落だらくしたとかんがえ、ユナニ医学いがく西洋せいよう医学いがくはいして純粋じゅんすいなアーユルヴェーダにもどれば西洋せいよう医学いがくまさると主張しゅちょうする[2]

両者りょうしゃはげしくあらそっており、とくにスリランカで顕著けんちょである。1957ねんに、スリランカの伝統でんとう医学いがく委員いいんかい委員いいんちょうであった自治じち大臣だいじん暗殺あんさつされ、これは狂信きょうしんてきなアーユルヴェーダ復古ふっこ主義しゅぎしゃ犯行はんこうだといわれる[2]

アーユルヴェーダ医師いし(BAMS)[編集へんしゅう]

現在げんざいインドでは現代げんだい医学いがく治療ちりょうおこな医師いしほかに、アーユルヴェーダ医師いし国家こっか資格しかくBachelor of Ayurvedic Medicine and Surgery, BAMS)がある。大学だいがくまなんで資格しかく取得しゅとくすれば、開業かいぎょうして治療ちりょうおこなうことができる。アーユルヴェーダをおしえる大学だいがくはインドでは100をえ、大学院だいがくいん併設へいせつされた大学だいがくもある。BAMSの教育きょういく期間きかんは、1ねん研修けんしゅうふくめて5ねんはんで、現代げんだい医学いがく・アーユルヴェーダ両方りょうほうまなぶ。

スリランカ[編集へんしゅう]

スリランカには、紀元前きげんぜん3世紀せいきにインドから仏教ぶっきょうつたわったさいに、ともにアーユルヴェーダが伝来でんらいしたといわれる。そのまえにはデーシャチキッサという固有こゆう伝統でんとう医学いがくがあり、アーユルヴェーダはこれとざりって発展はってんした。現在げんざいでもアーユルヴェーダと共有きょうゆうしないスリランカ固有こゆう治療ちりょうほうは、デーシャチキッサののこされている[27]

イギリス統治とうち西洋せいよう近代きんだい医学いがく導入どうにゅうされ、ひろ普及ふきゅうした。アーユルヴェーダはくに支援しえんうしなって衰退すいたいしたが、ナショナリズムのたかまりで仏教ぶっきょう伝統でんとう文化ぶんかとも注目ちゅうもくされるようになり、独立どくりつまえの1928ねん伝統でんとう医療いりょう委員いいんかい設立せつりつされた。1961ねんにはアーユルヴェーダほう制定せいていされて公的こうてき医療いりょうとしてみとめられ、1980ねんには伝統でんとう医療いりょうしょう設立せつりつされた。スリランカは民族みんぞくではシンハラじん宗教しゅうきょうでは仏教ぶっきょう多数たすうめるが、民族みんぞく宗教しゅうきょう国家こっかであり、伝統でんとう医療いりょうしょうではアーユルヴェーダだけでなく、シッダ医学いがく、ユナニ医学いがく、デーシャチキッサなどの伝統でんとう医学いがく保護ほご発展はってん対象たいしょうにしている[27]

スリランカは、イギリスの植民しょくみん支配しはいからだっした8ねん少数しょうすう民族みんぞくタミルじん排除はいじょする「シンハラ唯一ゆいいつ政策せいさく」(1956ねん)をきっかけに内戦ないせん状態じょうたいおちいった。2009ねん終結しゅうけつ宣言せんげんがされたが、長期ちょうき内戦ないせんのために観光かんこう産業さんぎょうるわなかった。そのため、外資がいし獲得かくとく手段しゅだんとして、ホテルでアーユルヴェーダをおこな外国がいこくじんけの医療いりょうツーリズムれられ、観光かんこうきゃく年々ねんねん増加ぞうかしている[28]

1972ねん以降いこう国立こくりつ大学だいがく教育きょういくおこなわれており、2008ねん段階だんかい国民こくみんの15%はアーユルヴェーダによる治療ちりょうけている。現代げんだい医学いがくおしえる大学だいがくは8こうあり、たいしてアーユルヴェーダは4こうである。現代げんだい医学いがく医師いしは2まんにん、アーユルヴーダの医師いしは1まん5,000にん存在そんざいする[28]。そのうち大学だいがくでのアーユルヴェーダ教育きょういくけたものは4,000にんで、には代々だいだいアーユルヴェーダをいえ治療ちりょうしゃや、寺院じいんでアーユルヴェーダをけつぐそうなどがある。アーユルヴェーダの治療ちりょう有効ゆうこうおもわれるジャンルは関節かんせつえん麻痺まひ症状しょうじょう狂犬病きょうけんびょうへびまれたとき治療ちりょうなどであるが、伝統でんとうてきなアーユルヴェーダいえには、それぞれ得意とくいとする分野ぶんやがある[27]。また、はん世紀せいきまえには占星術せんせいじゅつもちいた治療ちりょうおこなわれたが、現在げんざいではそういった知識ちしき治療ちりょうしゃまれだという[27]治療ちりょううえで、現代げんだい医療いりょうとアーユルヴェーダがたがいを紹介しょうかいすることもおこなわれ、統合とうごう医療いりょう目指めざされている[28]

アメリカ[編集へんしゅう]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

仏教ぶっきょう医学いがく伝来でんらいから昭和しょうわまで[編集へんしゅう]

アーユルヴェーダで利用りようされる薬物やくぶつは、仏教ぶっきょうとも中国ちゅうごくつたえられ、7 - 8世紀せいきごろには遣唐使けんとうしらによって日本にっぽん伝来でんらいした。せいくらいんつたわる薬物やくぶつなかには、アーユルヴェーダ薬物やくぶつ起源きげんとするものが多数たすうあるとわれる。また、日本にっぽん最古さいこ医学いがくしょしんかた』(982 - 984ねん)には、アーユルヴェーダにつよ影響えいきょうけた仏教ぶっきょう医学いがく多少たしょう説明せつめいされている[29]。ただ日本にっぽん医療いりょうは、5世紀せいき初頭しょとう中国ちゅうごく医学いがく伝来でんらいして以来いらい漢方かんぽうほう)として独自どくじ発展はってんげ、明治めいじまでそれが主流しゅりゅうであった。現在げんざいでも漢方かんぽう代替だいたい医療いりょうとして、医師いし鍼灸しんきゅう柔道じゅうどう整復せいふくらによってひろおこなわれている。一方いっぽうアーユルヴェーダが本格ほんかくてき日本にっぽん紹介しょうかいされるのは、江戸えど時代じだい鎖国さこく関係かんけいもあり、大正たいしょうになってからである。

日本にっぽんでのインド医学いがく研究けんきゅうは、1921ねん大正たいしょう10ねん)にいずみかおるたまき印度いんど医方いほうおよ薬物やくぶつ─ヘルンの図書としょ解説かいせつとして─」(『仏教ぶっきょう研究けんきゅう』2かん4ごう)が研究けんきゅうはじめて掲載けいさいされ、つづいていくつかの論文ろんぶん発表はっぴょうされた[29]

昭和しょうわ以降いこう研究けんきゅう[編集へんしゅう]

昭和しょうわはいってからは、大地だいちはらまことげんによるアーユルヴェーダ古典こてん翻訳ほんやくくにやく古代こだい印度いんどてんチャラカほんしゅう」(『立命館大学りつめいかんだいがく』1かん10〜4かん3ごうまでの7へん)、「スシュルタ医学いがく」(『大乗だいじょう』13かん4ごう〜14かん4ごう)が発表はっぴょうされ、1941ねん昭和しょうわ16ねん)には、の大地だいちはらまことげんによるサンスクリットから翻訳ほんやく『ススルタほんしゅう』が出版しゅっぱんされた[29]

本格ほんかくてき研究けんきゅうは、1967ねん昭和しょうわ42ねん)のインド伝承でんしょう医学いがく研究けんきゅうかい設立せつりつはじまる。研究けんきゅうかい設立せつりつ研究けんきゅう会誌かいし発刊はっかんされ、現在げんざいまで580へん以上いじょう、3,400ページ以上いじょうにわたるおおくの論文ろんぶんかれた[29]どう研究けんきゅうかいは、はたつとむ東邦大学とうほうだいがく医学部いがくぶ教授きょうじゅ)、丸山まるやま昌郎まさお日本にっぽん民族みんぞく医学いがく研究所けんきゅうじょ)らによって設立せつりつされ、1968ねん昭和しょうわ43ねん)にインド伝承でんしょう医学いがく研究けんきゅう調査ちょうさ視察しさつだん丸山まるやまひろし大阪大学おおさかだいがく医学部いがくぶ教授きょうじゅ)、はたつとむ石原いしはらあきら岡部おかべ索道さくどうら9めいがインドを訪問ほうもん[29]、インドのグジャラート・アーユルヴェーダ大学だいがく[30]研究所けんきゅうじょ視察しさつした。翌年よくねん1969ねん昭和しょうわ44ねん)には、丸山まるやまひろし教授きょうじゅ所属しょぞくする大阪大学おおさかだいがくで、アーユルヴェーダセミナーがはじめて開講かいこうされた[29]

1970ねん昭和しょうわ45ねん)には、丸山まるやまひろし教授きょうじゅらのびかけでアーユルヴェーダ研究けんきゅうかい設立せつりつされた(会長かいちょう丸山まるやまひろし事務じむきょく大阪大学おおさかだいがく医学部いがくぶ衛生えいせいがく教室きょうしつ[29]はたつとむは、東洋とうよう伝承でんしょう医学いがく研究所けんきゅうじょ、ハタイクリニックを設立せつりつし、アーユルヴェーダと現代げんだい医学いがく統合とうごうして治療ちりょうおこなった。また、稲村いなむらあきらこうはグジャラート・アーユルヴェーダ大学だいがく入学にゅうがくし、5年間ねんかん教学きょうがく課程かてい修了しゅうりょう日本人にっぽんじんとしてはじめてインド国家こっか認定にんていアーユルヴェーダ医師いしとしてみとめられ、さらに大学院だいがくいん修了しゅうりょうした[30]

1980年代ねんだいには、アーユルヴェーダ医師いしウパディヤヤ・カリンジェ・クリシュナが、東洋とうよう伝承でんしょう医学いがく研究所けんきゅうじょふく所長しょちょうとして活動かつどうし、日本語にほんごのアーユヴェーダの教科書きょうかしょあらわした。1994ねんには、東洋とうよう伝承でんしょう医学いがく研究所けんきゅうじょで、専門せんもんけ・素人しろうとけの2本立ほんだてでアーユルヴェーダの教育きょういくプログラムが開始かいしした[30]

1985ねん昭和しょうわ60ねんだい7かい日本にっぽんアーユルヴェーダ研究けんきゅうかい総会そうかいで、日本にっぽんはつのアーユルヴェーダの臨床りんしょう応用おうようとしてクシャーラ・スートラ(痔瘻じろう治療ちりょう[31]臨床りんしょう成績せいせき報告ほうこくされた[29]。1987ねん昭和しょうわ62ねん)には日本にっぽんアーユルヴェーダ研究けんきゅうかいにヨーガ療法りょうほう研究けんきゅうしゃくわわり、学術がくじゅつ発表はっぴょう範囲はんいおおきく変化へんかした[30]

一般いっぱんへの普及ふきゅう現状げんじょう[編集へんしゅう]

ヒンディートゥルシー(tulsi)、英語えいごでホーリーバジル(holy basil)、有名ゆうめいなアーユルヴェーダの薬草やくそう)。

1989ねん平成へいせい元年がんねん)には、NHKで『中国ちゅうごく・インド伝承でんしょう医学いがく』が放映ほうえいされ、一般いっぱんひろ浸透しんとうした。1998ねん、アーユルヴェーダ研究けんきゅうかい日本にっぽんアーユルヴェーダ学会がっかい(The Society of Ayurveda in Japan)に名称めいしょうあらためた[29]

2008ねん平成へいせい20ねん)、だい30かい日本にっぽんアーユルヴェーダ学会がっかい総会そうかい開催かいさいされ、会長かいちょう稲村いなむらあきらこう(アーユルヴェーダ医師いし) の尽力じんりょくで、日本にっぽんアーユルヴェーダ研究けんきゅう会誌かいしぜん37かんからすぐれた論文ろんぶん抜粋ばっすいした論文ろんぶんしゅう発刊はっかんされ、過去かこ日本にっぽんアーユルヴェーダ研究けんきゅう集大成しゅうたいせいされた[29]

日本にっぽんアーユルヴェーダ学会がっかいは、日本にっぽん医療いりょう制度せいどなかでアーユルヴェーダ医学いがく役割やくわりあきらかにし、ひろ治療ちりょうをこなうために、「アーユルヴェーダの標準ひょうじゅん資格しかく制度せいど」にんでいる[29]現在げんざい日本にっぽんにおいてアーユルヴェーダの国家こっか資格しかく存在そんざいしないが、催吐ほう、催下ほうなどのパンチャカルマ(浄化じょうか療法りょうほう)、ネートラタルパナ(薬草やくそうオイルを点眼てんがんする治療ちりょう)のような点眼てんがんおよび洗浄せんじょう診断しんだん薬剤やくざい処方しょほうなど、治療ちりょうおおくは行為こういたるとかんがえられ[32]医師いしがアーユルヴェーダをおこな少数しょうすう病院びょういんでしか治療ちりょうけることはできない(インドのアーユルヴェーダ医師いし免許めんきょっていても、日本にっぽんでの治療ちりょうには医師いし免許めんきょ必須ひっすである)。医師いしけのアーユルヴェーダの教育きょういく機関きかんもごくわずかしか存在そんざいせず[30]注目ちゅうもくあつめつつあるとはいえ、日本にっぽんではひろ治療ちりょうおこなわれているとはえない。

アーユルヴェーダは、アメリカ経由けいゆ日本にっぽん紹介しょうかいされたヨーガの人気にんきともない、1990年代ねんだい一時いちじてきにブームとなった。現在げんざい日本にっぽんでは、そのかんしたマッサージサロン、エステティックサロンがおお存在そんざいする。こういったサロンでは、アーユルヴェーダのマッサージや、シロダーラー、くすりちゃなど、ごく一部いちぶ療法りょうほうもちいて施術しじゅつおこなっている。そのため、アーユルヴェーダは「インドしきオイルエステ」などの別名べつめいばれることもあり、痩身そうしんマッサージやエステティックの一種いっしゅだという短絡たんらくてき認識にんしきひろまっている[33]。また、週刊しゅうかん風俗ふうぞくマッサージてんがアーユルヴェーダを名乗なのるなどの記事きじもあり、本来ほんらい全体ぜんたいてき生命せいめい科学かがくとしてのアーユルヴェーダとはせい反対はんたい用例ようれい数多かずおおくみられる[33]日本にっぽんのサロンでおこなわれるアーユルヴェーダは、そのはんしてエステティックもしくはリラクゼーションの一種いっしゅであり、伝統でんとう医療いりょうとしてのアーユルヴェーダとは区別くべつしてかんがえる必要ひつようがある。

アーユルヴェーダ薬物やくぶつは、日本にっぽんでは健康けんこう食品しょくひん健康けんこうちゃとして徐々じょじょ人気にんきとなっており、そのほとんどは輸入ゆにゅうたよっている。しかし、薬事やくじほう違反いはん危険きけんせいがあるような販売はんばい方法ほうほうがされたり、くすりしょくどうみなもとぽうざい原理げんりわすれられ、単一たんいつ薬草やくそうだけの効果こうかがアピールされるなど、様々さまざま問題もんだいしょうじている[33]。また、漢方薬かんぽうやく同様どうよう現代げんだい医学いがくわくぐみのなか薬効やっこう処方しょほう判断はんだんされてしまうこともおお[33]

日本にっぽんにはアーユルヴェーダの研究けんきゅう施設しせつはほとんどない。1999ねん設立せつりつされた富山とやまけん国際こくさい伝統でんとう医学いがくセンターでは、アーユルヴェーダをふくめた世界中せかいじゅう代替だいたい医療いりょう研究けんきゅうされていたが、2008ねんから研究けんきゅう富山大学とやまだいがく移管いかんされ、センターは2010ねん廃止はいしされた[34]横浜市立大学よこはましりつだいがく長寿ちょうじゅ科学かがく研究けんきゅうしつでは、アーユルヴェーダハーブの生理せいり活性かっせい作用さようについて研究けんきゅうされている[35]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 「インド医学いがく小松こまつかつ 民族みんぞく薬物やくぶつ資料しりょうかん
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 矢野やの道雄みちお科学かがく名著めいちょ インド医学いがく概論がいろん チャラカ・サンヒター』朝日出版社あさひしゅっぱんしゃ、1988ねん
  3. ^ 鷲尾わしお倭文しずインドじん生命せいめいかん(2) : アーユル・ヴェーダの生命せいめいかん」『跡見学園短期大学あとみがくえんたんきだいがく紀要きよう』24ごう 1988ねん pp.A13-A24, ISSN 0287-4164
  4. ^ 長濱ながはま善夫よしお東洋とうよう医学いがく概説がいせつ』1961ねんつくもとしゃ
  5. ^ a b 政府せいふ推奨すいしょうのコロナ伝統でんとう療法りょうほう医師いしから非難ひなんこえ続々ぞくぞく、インド/アーユルベーダ医学いがく薬草やくそう療法りょうほうがワクチン不足ふそく無料むりょうに、効果こうか不明ふめいナショナルジオグラフィック日本語にほんごサイト(2021ねん6がつ4にち)2021ねん7がつ4にち閲覧えつらん
  6. ^ a b 健康けんこう食品しょくひん、コロナで50しゅちょう投入とうにゅうしるしダブール、伝統でんとう医学いがくで「予防よぼう効果こうか」『日経にっけい産業さんぎょう新聞しんぶん』2021ねん6がつ24にちグローバルめん
  7. ^ “This is Not Ayurveda”New Age Ayurveda in the context of Ayurveda’s Globalization: between labeling and reinvention Patricia Junge Heidelberg, september 2010
  8. ^ a b c d e f g h うえ馬場ばば和夫かずお西川にしかわ眞知子まちこ『インド伝統でんとう医学いがく健康けんこうに!アーユルヴェーダ入門にゅうもん地球ちきゅうまる、2006ねん
  9. ^ a b c d 加瀬かせさわ雅人まさと「アーユルヴェーダ」をいかに現代げんだいかすか : インド、アメリカ、日本にっぽんにおける実践じっせんからのいち考察こうさつ」『Kyoto Working Papers on Area Studies: G-COE Series』 2009ねん 16かん, hdl:2433/155782, 京都大学きょうとだいがく東南とうなんアジア研究所けんきゅうじょ
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o ウパディヤヤ・カリンジェ・クリシュナ, 加藤かとう幸雄ゆきお共著きょうちょ) 『アーユルヴェーダでなおすアトピー』 出帆しゅっぱんしんしゃ〈アーユルヴェーダ叢書そうしょ〉、2002ねん
  11. ^ a b c 武田たけだ豊四郎とよしろう古代こだい印度いんど文化ぶんか いわ余山よやま東光寺とうこうじ住職じゅうしょく山内さんないなだめいむブログ「いわ余山よやま東光寺とうこうじ日誌にっし
  12. ^ a b c d e f g h i 川崎かわさき定信さだのぶ『インドの思想しそう放送大学ほうそうだいがく教育きょういく振興しんこうかい、1993ねん3がつ
  13. ^ a b 梶田かじたあきら医学いがく歴史れきし講談社こうだんしゃ講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ〉、2003ねん
  14. ^ Finger, Stanley (2001). Origins of Neuroscience: A History of Explorations into Brain Function. Oxford, England/New York, NY: Oxford University Press.
  15. ^ a b 山野やまの智恵ちえ ちょ「ナーガールジュナと医術いじゅつ ─『りゅういつきろん』の成立せいりつ展開てんかい─ 」蓮花寺れんげじ佛教ぶっきょう研究所けんきゅうじょ紀要きようだいよんごう
  16. ^ a b c 草野くさのたくみ図解ずかい 錬金術れんきんじゅつしん紀元きげんしゃ、2008ねん
  17. ^ a b c バグワン・ダス、マンフレッド・ジュニアス ちょ、アーユルヴェーダ研究けんきゅうかい 監修かんしゅう入門にゅうもんアーユルヴェーダ』平河ひらかわ出版しゅっぱんしゃ、1990ねん
  18. ^ 北陸大学ほくりくだいがく薬学部やくがくぶ
  19. ^ がん細胞さいぼう増殖ぞうしょくおさえるインドの薬草やくそう さん総研そうけん効果こうか確認かくにん
  20. ^ a b c 浅井あさい隆彦たかひこ世界せかいのマッサージ』フレグランスジャーナルしゃ、2009ねん
  21. ^ Aggithaya MG, Narahari SR (2015). “Literature searches on Ayurveda: An update”. Ayu (3): 238–53. doi:10.4103/0974-8520.182754. PMC 4895749. PMID 27313409. https://doi.org/10.4103/0974-8520.182754. 
  22. ^ a b ヴェールをいだインド武術ぶじゅつ.出帆しゅっぱんしんしゃ
  23. ^ インド哲学てつがくしゃ仏教ぶっきょう研究けんきゅうしゃ中村なかむらはじめは、偽書ぎしょ西洋せいようでも製作せいさくされ、中国ちゅうごくにも相当そうとうおおいが、インドはそれと比較ひかくにならないほどおおく、著者ちょしゃめい記載きさいはたいていの場合ばあい虚偽きょぎであるとってよいかもしれないとべている。これは、インドではではなく普遍ふへんてき真理しんり問題もんだいとされるような傾向けいこうがあり、著者ちょしゃだれであるかより真理しんりかたっていることが重要じゅうようであるとかんがえられたためで、その真理しんり古代こだい偉人いじんかみ々にかえせられた。「ふついたから真理しんりであるのではなく、真理しんりであるからふついたはずである」とかんがえられたため、真理しんりであるきょうせつふつすることはやましいことではなく、たりまえおこなわれていたという。出典しゅってん:『中村なかむらもと選集せんしゅう 決定けっていばん だい1かん 東洋とうようじん思惟しい方法ほうほう / インドじん思惟しい方法ほうほう春秋しゅんじゅうしゃ、1988ねん
  24. ^ a b 宮元みやもと啓一けいいち『インドの「二元論にげんろん哲学てつがく」をむ』春秋しゅんじゅうしゃ、2008ねん
  25. ^ 井上いのうえ円了えんりょう選集せんしゅう だい7かん』「印度いんど哲学てつがく綱要こうよう井上いのうえ円了えんりょう 東洋大学とうようだいがく 国際こくさい哲学てつがく研究けんきゅうセンター
  26. ^ 「「真実しんじつ」―梵語ぼんご合成ごうせい satya-kriyā をめぐりて―」はらみのる 龍谷大りゅうこくだいがく現代げんだいインド研究けんきゅうセンター
  27. ^ a b c d 岩瀬いわせ幸代さちよみどりしまスリランカのアーユルヴェーダ』晶文社しょうぶんしゃ、2005ねん
  28. ^ a b c 梶浦かじうら志保子しおこ西洋せいよう近代きんだい医療いりょう代替だいたい医療いりょう : アーユルヴェーダを推進すいしんするスリランカからのまな」『京都きょうと光華女子大学こうかじょしだいがく研究けんきゅう紀要きよう』46かん 2008ねん pp.315-331, 京都きょうと光華女子大学こうかじょしだいがく
  29. ^ a b c d e f g h i j k 田澤たざわ賢次けんじ日本にっぽんアーユルヴェーダ学会がっかいあゆみと具現ぐげんへのみち」『日本にっぽん統合とうごう医療いりょう学会がっかいだい3かん だい1ごう 2010ねん p.79-89, NAID 40017135881
  30. ^ a b c d e 日本にっぽんにおけるアーユルヴェーダの現状げんじょう将来しょうらいじょう馬場ばば和夫かずお. 富山とやまけん国際こくさい伝統でんとう医学いがくセンター次長じちょう
  31. ^ クシャーラ・スートラとは|肛門こうもん. らく和会かずえ音羽おとわ病院びょういん[リンク]
  32. ^ 行為こういとされた凡例はんれい 行為こういとは. 新長田しんながた眼科がんか病院びょういん 眼科がんか専門せんもんページ
  33. ^ a b c d 日本にっぽんアーユルヴェーダ学会がっかい資格しかく認定にんてい制度せいどじょう馬場ばば和夫かずお. 日本にっぽんアーユルヴェーダ学会がっかい[リンク]
  34. ^ 事業じぎょう評価ひょうかひょう 国際こくさい伝統でんとう医学いがくセンター運営うんえい管理かんり. 富山とやまけん
  35. ^ 長寿ちょうじゅ科学かがく研究けんきゅうしつ”. 2023ねん11月1にち閲覧えつらん

古典こてん翻訳ほんやく[編集へんしゅう]

  • 大地だいちはらまことげんわけ)「くにやく古代こだい印度いんどてんチャラカほんしゅう」『立命館大学りつめいかんだいがく』1かん10〜4かん3ごうまでの7へん, だい1かんだい16しょうまでをサンスクリットから和訳わやく
  • 大地だいちはらまことげんわけ)「スシュルタ医学いがく」『大乗だいじょう』」13かん4ごう〜14かん4ごう, サンスクリットから和訳わやく
  • 大地だいちはらまことげんわけ)『スシュルタほんしゅう』1971ねん・アーユルヴェーダ研究けんきゅうかい, 昭和しょうわ54ねん臨川りんせん書店しょてん, サンスクリットから和訳わやく
  • 矢野やの道雄みちおわけ)『インド医学いがく概論がいろん』1988ねん朝日出版社あさひしゅっぱんしゃ, 『チャラカ・サンヒター』だい1かん医学いがく概論がいろん」をサンスクリットから和訳わやくづけろん「『チャラカ・サンヒター』「身体しんたいろんだい1しょうとヴァイシェーシカ哲学てつがく』アントネッラ・コンバ
  • クンジャ・ラル・ビシャグラットナ(英訳えいやく)、伊東いとうわたるめぐみはらやく)、鈴木すずき正夫まさおやく) 『ススルタだいてんぜん3かん;ススルタだいてん出版しゅっぱん委員いいんかい・1971ねん, 人間にんげん歴史れきししゃ・2005ねん10がつ, 英訳えいやくほん『THE SUSHRUTA SAMHITA』(1907)からの重訳じゅうやく, ISBN 489007158X
  • 山下やましたつとむ「インド伝統でんとう医学いがくしょ『チャラカ・サンヒター』における病理びょうりろん―『チャラカ・サンヒター』だいへんだいいちしょうだいいちじゅうせつ訳解やっかい―」「日本にっぽん史学しがく雑誌ざっしだい52かんだい3ごう・2006ねん
  • 日本にっぽんアーユルヴェーダ学会がっかいわけ)『チャラカほんしゅう 総論そうろんへん―インド伝承でんしょう医学いがく』2011ねん・せせらぎ出版しゅっぱん, P.V.Sharma英訳えいやくほん底本ていほんとした重訳じゅうやく。サンスクリットマ字まじ表記ひょうき英語えいご日本語にほんごの3ヵ国かこく併記へいきISBN 9784884162047

なお、『アシュターンガフリダヤ・サンヒター』のスートラスターナ(だい1かん)は、かつて出版しゅっぱん企画きかくされ矢野やの道雄みちおによって翻訳ほんやくされているが、現在げんざいまで出版しゅっぱんされていない。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

アーユルヴェーダ関連かんれん

  • クリュシナ・U・Kちょ『アーユルヴェーダ入門にゅうもん東方とうほう出版しゅっぱん・1993ねん
  • 蓮村はすむらまこと『ファンタスティック・アーユルヴェーダ』住宅じゅうたく新報しんぽうしゃ・1995ねん10がつげんしゃ・2010ねん9がつISBN 4434140450
  • うえ馬塲ばば和夫かずお西川にしかわ眞知子まちこ『インドの生命せいめい科学かがく アーユルヴェーダ』のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい、1996ねん4がつ ISBN 4540950878
  • 青山あおやまけいしゅうおおいなる生命せいめいがく―アーユルヴェーダの精髄せいずいさんかん、1997ねん12月 ISBN 4883201341
  • デイビッド・フローリー、ヴァサント・ラッド、うえ馬塲ばば和夫かずお『アーユルヴェーダのハーブ医学いがく 東西とうざい融合ゆうごう薬草やくそう治療ちりょうがく出帆しゅっぱんしんしゃ、2000ねん5がつ ISBN 491549747X
  • はたつとむ新版しんぱん アーユルヴェーダの世界せかい統合とうごう医療いりょうけて』出帆しゅっぱんしんしゃ、2003ねん10がつ ISBN 486103003X
  • デイヴィッド・フローリー、スバーシュ・ラナーデ、アヴィナーシュ・レーレちょうえ馬塲ばば和夫かずおちょ監修かんしゅう改訂かいてい アーユルヴェーダとマルマ療法りょうほう西川にしかわ眞知子まちこ監修かんしゅう大田おおた直子なおこやくさん調ちょう出版しゅっぱん、2009ねん3がつ ISBN 4882826976

その

  • 川崎かわさき定信さだのぶ『インドの思想しそう放送大学ほうそうだいがく教育きょういく振興しんこうかい、1993ねん3がつ
  • 海野うみのひろし世紀せいきまつシンドローム ニューエイジのひかりやみしん曜社、1998ねん4がつ

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]