チベット医学いがく

チベット医学いがく（‐いがく）は、チベット仏教ぶっきょうのラマ（上うえ師し）たちによって伝つたえられる伝統でんとう医学いがくである。土台どだいとなるのはインドのアーユルヴェーダ（日本にっぽんでは「仏教ぶっきょう医学いがく」と呼よばれるもの）である。1940年代ねんだいにスタートした中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの現代げんだい中ちゅう医学いがくと比くらべると、内容ないようも古ふるい時代じだいのまま存在そんざいする。中国ちゅうごくでは「蔵ぞう医学いがく」とも呼よばれる。

概説がいせつ

尿にょうの匂においや色いろ、味あじまでを用もちいて診断しんだんする方法ほうほうがあり、これは「尿にょう診み」とも呼よばれ、チベット医学いがくの特徴とくちょうの一ひとつである。 また、治療ちりょう法ほうの主あるじとなるのは薬物やくぶつ療法りょうほうであるが、中国ちゅうごくと異ことなり、チベットでは高山たかやま植物しょくぶつが用もちいられ、自生じせいする植物しょくぶつに乏とぼしいため、鉱物こうぶつもよく薬くすりとして用もちいられる。

日本にっぽん漢方かんぽうや中ちゅう医学いがくと比くらべると、日本にっぽんではなじみが薄うすいようだが、現在げんざいもチベット大学だいがくやダラムサラの研究所けんきゅうじょで盛さかんに研究けんきゅうがなされている。

また、チベット占星術せんせいじゅつとも関連かんれんが深ふかい。

一方いっぽう、中国ちゅうごくにおける「チベット医学いがくにおけるルム薬湯やくとう」について、2018年ねん11月29日にち、ユネスコが無形むけい文化ぶんか遺産いさんへの登録とうろく勧告かんこくを決定けっていしている。また、チベット医学いがくの『四よん部ぶ医い典てん』は2023年ねんに世界せかいの記憶きおくにも登録とうろくされた。

参考さんこう文献ぶんけん

• トム・ダマー『チベット医学いがく入門にゅうもん―ホリスティック医学いがくの見地けんちから』久保くぼ博嗣ひろつぐ（訳わけ）、井村いむら宏次こうじ（訳わけ）、春秋しゅんじゅう社しゃ〈ヒーリング・ライブラリー〉、1991年ねん。ISBN 4393710169。 
• ドゥルカア・カンガァール（著ちょ）、竹内たけうち裕司ゆうじ（訳わけ著ちょ）『初歩しょほのチベット医学いがく』（単行本たんこうぼん）1995年ねん（平成へいせい7年ねん）12月21日にち、205頁ぺーじ、B6判ばん、東方とうほう出版しゅっぱん、ISBN 4885914620、ISBN 9784885914621。
• 山本やまもと哲士てつし『チベット医学いがくの世界せかい』（単行本たんこうぼん）1996年ねん（平成へいせい8年ねん）6月15日にち、214頁ぺーじ、A5判ばん、東方とうほう出版しゅっぱん、ISBN 4885914868、ISBN 9784885914867。
• ラルフ・クィンラン・フォード『チベット医学いがくの真髄しんずい』上うえ馬塲ばば和夫かずお (監修かんしゅう)、小川おがわ真弓まゆみ（訳わけ）、ガイアブックス、2009年ねん。ISBN 488282681X。 
• 小川おがわ康やすし『僕ぼくは日本にっぽんでたったひとりのチベット医いになった ヒマラヤの薬草やくそうが教おしえてくれたこと』径書房けいしょぼう、2011年ねん。ISBN 4770502109。 

関連かんれん項目こうもく

• 医学いがく／歯学しがく／薬学やくがく／薬草やくそう学がく
• 東洋とうよう医学いがく／西洋せいよう医学いがく
• アーユルヴェーダ
• チベット
• 占星術せんせいじゅつ
• 代替だいたい医療いりょう

外部がいぶリンク

• ダライ・ラマ法王ほうおう日本にっぽん代表だいひょう部ぶ事務所じむしょ「ドクター・ダワのチベット医学いがく入門にゅうもん」
• アルラチベット医学いがくセンター(ARURA TIBETAN MEDICAL CENTER)
• Tibetan Medical & Astrology Institute(Men-Tsee-Khang)（英語えいご）