サプタルシ

サプタルシ（サンスクリット: सप्तर्षि saptarṣi、複数ふくすう主格しゅかく形がた सप्तर्षय: saptarṣayaḥ）またはサプタ・リシ（sapta ṛṣi、連れん音おんを切きった形かたち）とは、古代こだいインドの神話しんわ的てきな7人にんのリシを指さす。ただし、文献ぶんけんによって誰だれが含ふくまれるかは異ことなっている。

日本語にほんごでは七なな詩聖しせい、七なな聖ひじり仙せん、七なな大聖たいせい仙せんなどと訳やくされる。

概要がいよう

サプタルシはバラモンの始祖しそとされる神話しんわ的てきな存在そんざいである。

サプタルシはしばしば7人にんのアンギラス（リシのアンギラスとは別べつ）と同一どういつ視しされる。『リグ・ヴェーダ』でしばしば歌うたわれるヴァラの伝説でんせつでは、パニ族ぞくが石いしの洞窟どうくつに隠かくした牛うしを救すくうためにインドラ（あるいはブリハスパティ）が洞窟どうくつが破壊はかいするのを助たすけたとされる。

サプタルシは全体ぜんたいとしては神話しんわ的てきな存在そんざいだが、個々ここのリシについては伝説でんせつに包つつまれているものの歴史れきし的てきな存在そんざいとされる。

インドの天文学てんもんがくでは北斗七星ほくとしちせいがサプタルシと呼よばれる。

ヴェーダ

ヴェーダにもサプタルシという語かたりは見みられ、また後世こうせいサプタルシに含ふくまれるリシたちはヴェーダの賛歌さんかの作者さくしゃとして登場とうじょうするものの、誰だれがサプタルシであるかは説明せつめいされない。

『リグ・ヴェーダ』4.42には始祖しそとしてのサプタルシが見みえている。この詩しの解釈かいしゃくは分わかれているが、『シャタパタ・ブラーフマナ』13.5.4.5の解釈かいしゃくによると、サプタルシが馬うまの供きょう犠を行おこなった結果けっかイクシュヴァーク王朝おうちょうの王おうプルクツァの妻つまが子このトラサダシユを生うんだという意味いみとされる。9.107でサプタルシはソーマ賛歌さんかの作者さくしゃ名めいとして見みえる。10.63では最初さいしょの人間にんげんであるマヌが7人にんの祭まつり官かんの助たすけを得えて最初さいしょの供きょう犠を行おこなったことを記しるす。10.82ではすでに北斗七星ほくとしちせいとサプタルシが結むすびつけられている。

一覧いちらん

ブラーフマナやウパニシャッドでは7人にんのリシの名なをあげているが、7人にんを誰だれとするかは文献ぶんけんによる違ちがいがある。

『ブリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッド』では以下いかの7人にんをあげて、感覚かんかく器官きかんに割わりあてている。この7人にんは『リグ・ヴェーダ』9.67および10.137を合作がっさくした人物じんぶつとされる。

• ガウタマ（右みぎの耳みみ）
• バラドヴァージャ（左ひだりの耳みみ）
• ヴィシュヴァーミトラ（右目みぎめ）
• ジャマダグニ（左目ひだりめ）
• ヴァシシュタ（右みぎの鼻腔びこう）
• カシュヤパ（左ひだりの鼻腔びこう）
• アトリ（舌した）

『マハーバーラタ』巻まき13であげられるサプタルシの名前なまえは上記じょうきと同おなじだが、いっぽう巻まき12であげる名前なまえは大おおきく異ことなり、両者りょうしゃに共通きょうつうする人物じんぶつはアトリとヴァシシュタしかいない。

• マリーチ
• アトリ
• アンギラス
• プラハ
• クラトゥ
• プラスティヤ
• ヴァシシュタ

『ブラフマ・プラーナ』によれば、『マハーバーラタ』巻まき12にあげられている7人にんはいずれもブラフマーの心しんから生うまれた。『ブラフマーンダ・プラーナ』3.1.21でも同様どうようだが、この7人にんにブリグを加くわえた8人にんをサプタルシとしている。

プラーナ文献ぶんけんでは1つのカルパ（劫こう）に14人にんのマヌが出現しゅつげんすると考かんがえ、マヌごとにサプタルシも異ことなるとする。例たとえばマリーチ・アンギラス以下いかは第だい1のマヌであるスヴァーヤンブヴァ・マヌのサプタルシ、ジャマダグニ・ヴィシュヴァーミトラ等とうは第だい7（現在げんざい）のマヌであるヴァイヴァスヴァタ・マヌのサプタルシと説明せつめいされる。

ヴァラーハミヒラの占星術せんせいじゅつ書しょ『ブリハット・サンヒター』ではサプタルシ（北斗七星ほくとしちせい）として7人にんをあげるが、『マハーバーラタ』巻まき12と同おなじ内容ないようになっている。