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呉音ごおん

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漢字かんじ
書体しょたい
篆刻てんこく毛筆もうひつ
かぶとこつぶん 金文きんぶん 篆書てんしょ
古文こぶん
隷書れいしょ 楷書かいしょ
行書ぎょうしょ
草書そうしょ
木版もくはん活版かっぱん
宋朝そうちょうたい 明朝体みんちょうたい 楷書かいしょたい
字体じたい
構成こうせい要素ようそ
筆画ひっかく 筆順ひつじゅん 偏旁へんぼう 六書りくしょ 部首ぶしゅ
標準ひょうじゅん字体じたい
せつぶんかい篆書てんしょたい
さましょ 石経いしきょう
かん字典じてんたいきゅう字体じたい
しん字体じたい しん字形じけい
国字こくじ標準ひょうじゅん字体じたい つね用字ようじ字形じけいひょう
漢文かんぶん教育きょういくよう基礎きそ漢字かんじ
通用つうよう規範きはん漢字かんじひょう
国字こくじ問題もんだい
当用とうよう常用漢字じょうようかんじ
同音どうおん漢字かんじによるきかえ
繁体字はんたいじ正体しょうたい - 簡体字かんたいじ
漢字かんじ廃止はいし復活ふっかつ
漢字かんじ文化ぶんかけん
なかあさこしだいしん
派生はせい文字もじ
国字こくじ 方言ほうげん のりてん文字もじ
仮名かめい たけし おんなしょ
ちぎり文字もじ おんな文字もじ 西にしなつ文字もじ
字音じおん

呉音ごおん(ごおん)とは、日本にっぽん漢字かんじおと音読おんよ)のひとつ。たてやすしいま南京なんきん付近ふきん漢字かんじおんともわれ、7-8世紀せいき漢音かんおん長安ながやす付近ふきん音韻おんいん)がつたわるよりまえにすでに日本にっぽん定着ていちゃくしていた漢字かんじおんをいう。中国ちゅうごくちゅう古音こおん特徴とくちょうつたえている。

一般いっぱんに、呉音ごおん仏教ぶっきょう用語ようごをはじめ「歴史れきしふる言葉ことば」に使つかわれる。慣用かんようてき呉音ごおんばかり使つか〔ミ〕、りょう〔リョウ〕とう)、漢音かんおんばかり使つかけん〔ケン〕、けい〔ケイ〕とう)もすくなくないが、基本きほんてきには両者りょうしゃ使用しようされる熟語じゅくごにより使つかけるとう方法ほうほうにより混用こんようされている。

総説そうせつ[編集へんしゅう]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

呉音ごおん雑多ざったなものをふくんでいるとかんがえられ、漢音かんおんほどのととのった体系たいけいそなえていないが、以下いかのような特徴とくちょうがある。

  • あたま子音しいん清濁せいだく対立たいりつ構造こうぞう反映はんえいし、清音せいおん濁音だくおん区別くべつしている。
  • あたま子音しいんこえはは)の鼻音びおん /n/, /m/ については、漢音かんおんぎょうぎょうつたえられたものがおおいのにたいし、ぎょうぎょうのままつたえられている。
  • 末子まっしおんいん)、とくに /ŋ/あらわ規則きそく一定いっていしていない。呉音ごおんでも -ウ や -イ がえられることがおおいが、おおやけ(ク)のように省略しょうりゃくされているものもある。また特定とくてい熟語じゅくご固定こていされたものではあるが、双六すごろく(スロク)のようにガぎょうおんてたものもいくらか見受みうけられる[ちゅう 1]
  • /t/末子まっしおん入声にっしょうには -チ が使つかわれることがおおい。漢音かんおんでは -ツ が使つかわれるところである。
  • きりいん音韻おんいん体系たいけいのうち、とうよびちがいを一等いっとういんにはアだんおん使つかい、とういんにはエだんおん使つかうことで区別くべつしている。漢音かんおんでは両者りょうしゃともアだんおんとして区別くべつしていない。

歴史れきし[編集へんしゅう]

漢音かんおんまなかえ以前いぜんにすでに日本にっぽん定着ていちゃくしていた漢字かんじおんであり、いつから導入どうにゅうされたものかは明確めいかくではない。雑多ざったなものをふくむため、様々さまざま経路けいろでの導入どうにゅう想定そうていされる。仏教ぶっきょう用語ようごなどの呉音ごおんたてやすしいま南京なんきん)から百済くだら経由けいゆつたわったとされるものがあり、対馬つしまおん百済くだらおんといった別名べつめいあらわれている(「呼称こしょうについて」に後述こうじゅつ)。

呉音ごおん仏教ぶっきょう用語ようご律令りつりょう用語ようごでよく使つかわれ、漢音かんおん導入どうにゅう駆逐くちくされず、現在げんざいにいたるまで漢音かんおん併用へいようして使つかわれている。たとえば『古事記こじき』における日本語にほんご人名じんめいは、呉音ごおん訓読くんよされており[ちゅう 2]、『古事記こじき』の仮名がな万葉仮名まんようがなには呉音ごおん使つかわれている。

呼称こしょうについて[編集へんしゅう]

呉音ごおんしか漢字かんじおんがない時代じだいには呉音ごおんという名称めいしょうはなく、のち漢音かんおん導入どうにゅうされて以降いこうにつけられた名称めいしょう(レトロニム)である。かなり定着ていちゃくしていたことからふるくは和音わおん(やまとごえ・わおん)とばれ、平安へいあん時代じだい中期ちゅうき以降いこう呉音ごおんばれるようになったが、これらのかたり漢音かんおん普及ふきゅう推進すいしんするがわからの蔑称べっしょうであったらしい。中国ちゅうごくとうだい首都しゅと長安ながやすではその地域ちいきおとはたおとび、それ以外いがい地域ちいきおととく長江ちょうこう以南いなん南京なんきんはじめとするおとを「呉音ごおん」とか「すわえおと」とんでいた。帰国きこくした留学生りゅうがくせいたちが、これにもとづいて長安ながやすおと正統せいとうとし、日本にっぽん以前いぜんから定着ていちゃくしていたおと呉音ごおんんだものとかんがえられる。

また対馬つしまおん(つしまごえ・つしまおん)・百済くだらおん(くだらごえ・くだらおん)という名称めいしょうもあるが、欽明天皇てんのうとき百済くだら尼僧にそうほうあきら対馬つしま呉音ごおん維摩けいんで仏教ぶっきょうつたえたという伝承でんしょうによるものである。

おとのあいまいさについて[編集へんしゅう]

つね用字ようじでない漢字かんじおんについて、漢音かんおんはその認定にんてい中国ちゅうごく韻書いんしょなどの反切はんせつ資料しりょう中心ちゅうしんおこなわれるのにたいして、呉音ごおん日本にっぽんふるくからつたわる仏典ぶってん資料しりょう律令りつりょうなどの歴史れきしてき史料しりょう中心ちゅうしんになるため、その認定にんていむずかしい部分ぶぶんがあり、かく漢和かんわ字典じてんごとにことなっている場合ばあいおおい。

れい[編集へんしゅう]

漢音かんおん呉音ごおんことなるのうち、ほんのいちれい以下いか掲載けいさいする。対応たいおう把握はあくしやすいように字音仮名遣じおんかなづか使つかって表示ひょうじした。 前述ぜんじゅつのとおり、呉音ごおんにはあいまいな部分ぶぶんもあり、以下いかれいも、これが絶対ぜったいというものではない。

分類ぶんるい”は厳密げんみつさにけるものではあるが、参考さんこうまでにえた。 「漢音かんおん / 呉音ごおん」のかたちしめしている。 * は「いろいろ」というほどの意味いみ

あたま子音しいんのみことなるれい[編集へんしゅう]

分類ぶんるい 清音せいおん / 濁音だくおん 濁音だくおん / 鼻音びおん zi- / ni- および zy- / ny-
れい かみ だい ぶん ふつ おとこ おんな まん よし ひと わか
漢音かんおん しん たい ち ti ふん ふつ だん ぢょ dyo ばん じん じつ じょ zyo じゃく
呉音ごおん じん だい ぢ di ぶん ぶつ なん にょ まん にん にち にょ にゃく
備考びこう d- / n- b- / m- 普通ふつうばなし r-, er に相当そうとう

母音ぼいんことなるれい[編集へんしゅう]

あたま子音しいん同時どうじことなるものもふくむ。

分類ぶんるい * / -e -ei / -ai * / -u
れい ころも おどけ あい かい かいかい かいかい そと かりいえ しもなつ はな 西にしひとし からだみかど べい れい もと いか おおやけこうこう まめあたま みぎゆう きゅうひさ とめりゅう
漢音かんおん あい かい くゎい kwai ぐゎい くゎ せい てい べい れい こう とう いう きう りう
呉音ごおん ゑ we さい たい まい らい づ du
備考びこう きばおんのどおんけい、すなわちアワぎょう・カぎょう・ガぎょう中心ちゅうしん 普通ふつうばなし -i
分類ぶんるい -i- / -o- -e- / -o- -a- / -o- -a- / -ya- -yok / -iki
れい おとかくれ 今金いまかね しな おつ とおえん けん げんげん こし はつ くだり きゃく しろ いろぬぐえ しょく じき ちから
漢音かんおん いん きん ひん いつ きつ ゑん wen けん げん ゑつ はん はつ かう かく はく しょく ちょく りょく
呉音ごおん おん こん ほん おつ こつ をん won こん ごん をち ほん ほち ぎゃう[ちゅう 3] きゃく びゃく しき じき ぢき diki りき
備考びこう きばおんのどおんけい中心ちゅうしん 入声にっしょうのみ
分類ぶんるい -e- / -ya- その
れい きょうけい かたち せいせいせいこえしょうせい なりせい ちょうてい じょう へい たいらびょう めいいのちあきら れい やく いしあか さび こよみ うし つき ころせ ぶん
漢音かんおん けい せい てい へい めい れい えき せき れき ぎう げつ さつ ぶん
呉音ごおん きゃう ぎゃう しゃう じゃう ちゃう ぢゃう ひゃう びゃう みゃう りゃう やく しゃく じゃく りゃく ぐゎつ せつ もん
備考びこう 普通ふつうばなし -ing に相当そうとう[ちゅう 4]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 日本にっぽん固有こゆう地名ちめい人名じんめいにも同様どうよう字音じおんてているものがられる。そうサガミ)、そうりょうサガラ)、あい(アタゴ/オタギ)、おおとりいたりフゲシ)など。
  2. ^ おもねおそ鉏高日子にっしあじ耜高彦根ひこねいのちいかわがおもね斯等など。
  3. ^ くだり音字おんじである。意味いみちがいで「がう」のかたげる字典じてんがある。くわしくはこちら参照さんしょう
  4. ^ ただし「せい/しゃう/じゃう」の一部いちぶ普通ふつうばなしの zheng, cheng, sheng に相当そうとうしている。これは中国語ちゅうごくごがわ変化へんかによるもの。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]