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図 ず 1(刀 かたな )
図 ず 2(刃 は )
図 ず 3(刄 )
字体 じたい (じたい)とは、図形 ずけい を一定 いってい の文字 もじ 体系 たいけい の一 いち 字 じ と視覚 しかく 的 てき に認識 にんしき する概念 がいねん 、即 すなわ ち文字 もじ の骨格 こっかく となる「抽象 ちゅうしょう 的 てき な」概念 がいねん のことである。
なお文字 もじ コード の策定 さくてい に当 あ たっては、文字 もじ 表記 ひょうき 体系 たいけい 上 じょう において必要 ひつよう な句読点 くとうてん や括弧 かっこ 類 るい 、スペースなど意味 いみ や音 おと を持 も たない図形 ずけい 記号 きごう の抽象 ちゅうしょう 化 か を含 ふく めたグリフ (glyph) という概念 がいねん も用 もち いられる。
文字 もじ は、言語 げんご と直接 ちょくせつ 結 むす び付 つ いて意味 いみ を表 あらわ すものであり、その結 むす び付 つ いた意味 いみ によって字 じ 種 しゅ に分類 ぶんるい される。そして異 こと なる字 じ 種 しゅ は、原則 げんそく としてそれぞれ異 こと なる字体 じたい を有 ゆう する。例 れい として図 ず 1は「かたな 」という意味 いみ を持 も つ字 じ (刀 かたな )であり、図 ず 2は「やいば 」という意味 いみ を持 も つ字 じ (刃 は )である。このとき図 ず 2は図 ず 1と比較 ひかく して一 いち 画 かく 多 おお い、異 こと なる字体 じたい を有 ゆう している。
しかし、異 こと なる字 じ 種 しゅ が同一 どういつ の字体 じたい を有 ゆう する場合 ばあい も稀 まれ にある。次項 じこう で例 れい を示 しめ すが、これらは「同形 どうけい 異字 いじ 」と呼 よ ばれ、視覚 しかく 的 てき にはまったく区別 くべつ することができない。さらに、ひとつの字 じ 種 しゅ に複数 ふくすう の字体 じたい が併存 へいそん していることがある。それら複数 ふくすう の字体 じたい はそれぞれ異 こと なる字源 じげん から成立 せいりつ している場合 ばあい もあるし、同 おな じ字源 じげん から発生 はっせい しながらその表現 ひょうげん が歴史 れきし 的 てき ・地理 ちり 的 てき に変化 へんか していった結果 けっか が固定 こてい されている場合 ばあい もある。例 れい として図 ず 2と図 ず 3を比較 ひかく すると中央 ちゅうおう の筆画 ひっかく の交差 こうさ に差異 さい が見 み られるが、これらはともに「ジン」という発音 はつおん と「やいば」という意味 いみ を持 も つ字 じ である。このように字義 じぎ 、字音 じおん が等 ひと しい同一 どういつ の字 じ 種 しゅ でありながら、互 たが いに異 こと なる字体 じたい を有 ゆう する文字 もじ を異体 いたい 字 じ と呼 よ ぶ。異体 いたい 字 じ のなかで、規範 きはん として選 えら ばれている字体 じたい を正 せい 字体 じたい と呼 よ ぶ。異体 いたい 字 じ と正字 せいじ 体 たい については、それぞれ次節 じせつ で詳 くわ しく述 の べる。
字体 じたい と似 に た概念 がいねん に字形 じけい (じけい)があるが、これは個別 こべつ 具体 ぐたい の文字 もじ の形 かたち の総称 そうしょう であり、文字 もじ の視覚 しかく 的 てき な差異 さい はすべて字形 じけい の違 ちが いとして捉 とら えられる。これまで例 れい として挙 あ げてきた図 ず 1・図 ず 2・図 ず 3についても、字形 じけい の違 ちが いとして包括 ほうかつ することができる。本来 ほんらい 、字体 じたい は抽象 ちゅうしょう 的 てき な概念 がいねん であるから何 なん らかの書体 しょたい によって表現 ひょうげん されている字形 じけい はあくまで参考 さんこう のためのものに過 す ぎないと考 かんが えられる。しかし字形 じけい は常 つね に書体 しょたい の変遷 へんせん に応 おう じて大 おお きく変化 へんか しているため、あらゆる書体 しょたい ・字形 じけい の差 さ を抽象 ちゅうしょう しうる字体 じたい というものを想定 そうてい するのは難 むずか しい。
文字 もじ コードにおいてその文字 もじ 集合 しゅうごう が包摂 ほうせつ 規準 きじゅん に従 したが う場合 ばあい などを除 のぞ くと、これら字 じ 種 しゅ ・字体 じたい ・字形 じけい の弁別 べんべつ は文字 もじ 体系 たいけい を共有 きょうゆう するもの同士 どうし が何 なん らかの合意 ごうい に達 たっ することで行 おこ なわれる。すなわち先 さき に挙 あ げた図 ず 2と図 ず 3の例 れい についてもこれらを字形 じけい の違 ちが いに留 と まるものと捉 とら えるか、それとも異 こと なる字体 じたい として認 みと めるかということは一意 いちい に決 き まるわけではない。図 ず 2と図 ず 3は字形 じけい が相違 そうい するだけで、異体 いたい 字 じ ではないと考 かんが えることもできる。
以下 いか 、漢字 かんじ 文化 ぶんか 圏 けん (中華 ちゅうか 圏 けん 、日本語 にほんご 、朝鮮 ちょうせん 語 ご )について述 の べる。
同形 どうけい 異字 いじ とは前文 ぜんぶん で記 しる したように、同 おな じ形 がた で違 ちが う字 じ ということである。
例 れい 1)芸 げい ※藝 げい の略字 りゃくじ 、芸 げい ( ゲイ ) と芸 げい ( ウン )
例 れい 2)灯 ひ ※燈 ひ の略字 りゃくじ 、灯 ひ ( トウ・トン ) と灯 ひ ( チョウ・テイ・チン )
正 せい 字体 じたい とはある文字 もじ において、最 もっと も規範 きはん 的 てき とされる字体 じたい を言 い う。特 とく にいくつもの字体 じたい を有 ゆう する漢字 かんじ で問題 もんだい になり、その選択 せんたく のしかたによっていくつかの正字 せいじ の体系 たいけい が言 い われる。
正字 せいじ として重要 じゅうよう なのはその典拠 てんきょ とそれを正字 せいじ とする判断 はんだん であり、四書 ししょ では小篆 しょうてん や隷書 れいしょ で示 しめ したものが正統 せいとう の証 あかし でもあった。清 きよし 代 だい の『康 かん 熙字典 じてん 』(1716年 ねん )以後 いご は、その字体 じたい が規範 きはん として尊重 そんちょう された。
説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ の親 しん 字 じ として示 しめ されている小篆 しょうてん は、正字 せいじ の規範 きはん として尊重 そんちょう されてきた。干 ひ 禄 ろく 字書 じしょ は説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ や経書 けいしょ に示 しめ された小篆 しょうてん に基 もと づき、科挙 かきょ 受験 じゅけん 者 しゃ のために楷書 かいしょ の正 せい 字体 じたい を示 しめ した字書 じしょ である。このような字 じ 様 さま 書 しょ として五経 ごきょう 文字 もじ 、九 きゅう 経 けい 字 じ 様 さま が引 ひ き続 つづ き作 つく られた。
康 かん 熙帝( こうきてい ) によって編纂 へんさん が命 めい じられた『康 かん 熙字典 じてん 』の字形 じけい に基 もと づく字体 じたい を指 さ す。全般 ぜんぱん 的 てき には字典 じてん に用 もち いられてきた字体 じたい である字典 じてん 体 たい を踏襲 とうしゅう しているが、『正字 せいじ 通 どおり 』でやや過度 かど にわたる規範 きはん 意識 いしき を持 も って示 しめ された字形 じけい も多 おお く採用 さいよう している。そもそも字典 じてん 体 たい は干 ひ 禄 ろく 字書 じしょ 系統 けいとう の字形 じけい に代表 だいひょう されるように一般 いっぱん 的 てき に広 ひろ く流布 るふ し、最 もっと も常用 じょうよう されていた字体 じたい ではなく小篆 しょうてん の字体 じたい に近 ちか づけたものが少 すく なくなかった。そのため、『康 かん 熙字典 じてん 』には伝統 でんとう 的 てき な楷書 かいしょ の字形 じけい と異 こと なる字形 じけい が多 おお く見 み られる。
『康 かん 熙字典 じてん 』は広 ひろ く流布 るふ されたため、そこに示 しめ された明朝体 みんちょうたい の字形 じけい を伝統 でんとう 的 てき な楷書 かいしょ の字体 じたい に基 もと づいた明朝体 みんちょうたい の字形 じけい と区別 くべつ して康 かん 熙字典 じてん 体 たい という。ただし『康 かん 熙字典 じてん 』では皇帝 こうてい の名 な (玄 げん 燁)の「玄 げん 」を避諱 ( ひき ) して欠 かけ 画 が を行 おこ なった「 」という字形 じけい が見 み られるなど、正字 せいじ 体 たい として用 もち いるには適当 てきとう でない点 てん があった。そのような実用 じつよう に適 てき さない部分 ぶぶん を変更 へんこう したものが現在 げんざい 通用 つうよう している康 かん 熙字典 じてん 体 たい であり、そうした現在 げんざい でも通用 つうよう している康 かん 熙字典 じてん 体 たい を端的 たんてき に明示 めいじ する際 さい にはこれをいわゆる康 かん 熙字典 じてん 体 たい と呼 よ んで区別 くべつ することもある。
1950年代 ねんだい に中国 ちゅうごく で新 あら たに制定 せいてい された中国 ちゅうごく 語 ご の正字 せいじ 体系 たいけい が簡体字 かんたいじ (あるいは簡化字 じ )である。それまで非 ひ 公認 こうにん であった俗字 ぞくじ (略字 りゃくじ )を正式 せいしき な字体 じたい としている。中国 ちゅうごく およびシンガポール 、マレーシア で使用 しよう されている。第 だい 二 に 次 じ 漢字 かんじ 簡化方案 ほうあん などのように、試用 しよう されたが正式 せいしき に実施 じっし されず、廃案 はいあん となったものも存在 そんざい する。
台湾 たいわん 、香港 ほんこん 、マカオ などで使用 しよう される、簡略 かんりゃく 化 か されていない字体 じたい が繁体字 はんたいじ である。繁体字 はんたいじ という呼 よ び方 かた は、中国 ちゅうごく 大陸 たいりく での呼 よ び方 かた であり、台湾 たいわん の公的 こうてき 文書 ぶんしょ では標準 ひょうじゅん 字 じ と呼 よ んでいる[ 1] 。他 た に正体 しょうたい 字 じ などとも呼 よ ばれる。地域 ちいき によって異体 いたい 字 じ の扱 あつか いが異 こと なったり、字体 じたい に細 こま かい異同 いどう が見 み られる。中国 ちゅうごく では2013年 ねん の『通用 つうよう 規範 きはん 漢字 かんじ 表 ひょう 』[ 2] に附属 ふぞく の『規範 きはん 字 じ と繁体字 はんたいじ 、異体 いたい 字 じ 対照 たいしょう 表 ひょう 』(ここでいう規範 きはん 字 じ は簡体字 かんたいじ を指 さ す)で字体 じたい を示 しめ しているが、台湾 たいわん 、香港 ほんこん の字体 じたい と異 こと なるものが多 おお い(詳 くわ しくは『通用 つうよう 規範 きはん 漢字 かんじ 表 ひょう 』を参照 さんしょう )。
繁体字 はんたいじ は、康 かん 熙字典 じてん 体 たい と同 おな じではない。喻 (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 喩 たとえ )、留 とめ (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 畱 )、麵 (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 麪 )、真 しん (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 眞 しん )、值 (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 値 ね )、并 (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 幷 )、啟 けい (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 啓 けい )、即 そく (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 卽 そく )、痺 しびれ (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 痹 )、為 ため (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 爲 ため )、青 あお (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 靑 あお )などは、康 かん 熙字典 じてん 体 たい とは異 こと なる字体 じたい が標準 ひょうじゅん または一般 いっぱん 的 てき になっている。食 しょく 偏 へん (飠 )、しんにょう 、示偏 しめすへん (礻 )も、康 かん 熙字典 じてん 体 たい とは異 こと なるものを使用 しよう する。
1960年代 ねんだい の中国 ちゅうごく で、康 かん 熙字典 じてん 体 たい に代 か わる標準 ひょうじゅん 印刷 いんさつ 字体 じたい として制定 せいてい されたものが新 しん 字形 じけい である。より筆記 ひっき 体 たい に近 ちか い字体 じたい が採用 さいよう され、減 げん 画 が や異体 いたい 字 じ の整理 せいり がなされている。簡体字 かんたいじ と混同 こんどう されることがあるが、簡体字 かんたいじ だけでなく繁体字 はんたいじ も含 ふく めた字体 じたい 体系 たいけい である。なお、中国 ちゅうごく の漢字 かんじ 学 がく においては字形 じけい と字体 じたい を一般 いっぱん に区別 くべつ しない。
大韓民国 だいかんみんこく (韓国 かんこく )で使用 しよう されている漢字 かんじ (ハンチャ) は、特別 とくべつ な簡略 かんりゃく 化 か を受 う けていない。おおむね上記 じょうき の繁体字 はんたいじ に一致 いっち する。
仔細 しさい に見 み れば、韓国 かんこく で学校 がっこう 教育 きょういく に使 つか われる漢文 かんぶん 教育 きょういく 用 よう 基礎 きそ 漢字 かんじ の字体 じたい は、康 かん 熙字典 じてん 体 からだ とも台湾 たいわん ・香港 ほんこん の繁体字 はんたいじ とも異 こと なる。例示 れいじ すれば、留 とめ (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 畱 )、鬪 たたかえ (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 鬬 )、告 つげ (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 吿 )、顔 かお (康 かん 熙字典 じてん 体 たい ・繁体字 はんたいじ 顏 かお )、産 さん (康 かん 熙字典 じてん 体 たい ・繁体字 はんたいじ 產 さん )、衆 しゅう (康 かん 熙字典 じてん 体 たい ・繁体字 はんたいじ 眾 )、衛 まもる (康 かん 熙字典 じてん 体 たい 衞 まもる )などである。草冠 くさかんむり は、康 かん 熙字典 じてん 体 たい ・繁体字 はんたいじ が4画 かく (艹 )に作 つく るのに対 たい し、韓国 かんこく の教育 きょういく 用 よう 漢字 かんじ は3画 かく (艹 )に作 つく る。
なお、朝鮮民主主義人民共和国 ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく (北朝鮮 きたちょうせん )では漢字 かんじ を廃止 はいし している。
同一 どういつ の文字 もじ 観念 かんねん を有 ゆう する複数 ふくすう の字体 じたい であり、実際 じっさい の使用 しよう される文章 ぶんしょう においては異体 いたい 字 じ は相互 そうご に置換 ちかん が可能 かのう である。正字 せいじ 体 たい に対 たい して異 こと なる字体 じたい を異体 いたい 字 じ というのと同様 どうよう に正 せい 字体 じたい も別 べつ の字体 じたい にとっては異体 いたい 字 じ であり、その関係 かんけい は相互 そうご 的 てき である。漢字 かんじ はその字形 じけい のゆれが大 おお きく、また書体 しょたい の変遷 へんせん により異 こと なる字体 じたい を持 も つことが多 おお い。複数 ふくすう の字体 じたい が同一 どういつ の文字 もじ について許容 きょよう されることもあるが結果 けっか として別 べつ の意味 いみ が割 わ り当 あ てられ、その用法 ようほう が区別 くべつ されるようになるともはや別 べつ 字 じ となる(「吊 つるし 」と「弔 とむらい 」、「著 ちょ 」と「着 ちゃく 」、「句 く 」と「勾」、「笑 わらい 」と「咲 さき 」など)。「叶 かのう 」は本来 ほんらい 「協 きょう 」と同 どう 字 じ の別 べつ 体 からだ であったが、意味 いみ が分化 ぶんか し日本 にっぽん では「かなう」、中国 ちゅうごく の簡体字 かんたいじ では「葉 は 」の意 い になるなど国 こく ごとの分化 ぶんか さえ見 み られる。日本 にっぽん では壬 みずのえ 申 さる 戸籍 こせき (1872年 ねん )の作成 さくせい の際 さい にあった誤字 ごじ や書 が き癖 へき が戸籍 こせき にある字形 じけい を尊重 そんちょう した結果 けっか 、当用漢字 とうようかんじ ・常用漢字 じょうようかんじ に対 たい しての異体 いたい 字 じ として認知 にんち されるにいたる場合 ばあい も多 おお い。
古 こ 字 じ (古文 こぶん )は秦 はた の始皇帝 しこうてい による小篆 しょうてん 普及 ふきゅう 以前 いぜん の大篆 だいてん (籀文)など、古 ふる い字体 じたい に基 もと づく字 じ を指 さ す。「一 いち 」に対 たい する「弌」、「協 きょう 」に対 たい する「叶 かのう 」など。
俗字 ぞくじ の使用 しよう 例 れい 。「髙 」という文字 もじ が店名 てんめい に使 つか われている。
俗字 ぞくじ ・通 つう 字 じ とは、正字 せいじ として認 みと められた字体 じたい 以外 いがい で通用 つうよう されている文字 もじ を指 さ す。正字 せいじ 規範 きはん の高 たか まりと共 とも に認知 にんち されるにいたった。俗字 ぞくじ には別 べつ の部品 ぶひん を当 あ てるもの、同 おな じ音 おん をもつ部品 ぶひん を当 あ てるもの、画数 かくすう を減 へ らすもの、別 べつ の部品 ぶひん を付 つ け足 た すもの、異 こと なる発想 はっそう で会意 かいい 字 じ を作 つく るものなどがある。「卒 そつ 」に対 たい する「卆 そつ 」、「崎 さき 」に対 たい する「﨑」(あるいは「嵜」「㟢」(山冠 やまかんむり に奇 き ))、「富 とみ 」に対 たい する「冨 とみ 」、「場 ば 」に対 たい する「塲」、「淵 ふち 」に対 たい する「渕 ふち 」(あるいは「渊」)、「哲 あきら 」に対 たい する「喆」、「高 こう 」に対 たい する「髙 」、「橋 はし 」に対 たい する「槗」「𣘺」、「魚 さかな 」に対 たい する「𩵋」(「魚 さかな 」の下 した の部分 ぶぶん が「れんが(灬)」ではなく「大 だい 」)、「解 かい 」に対 たい する「觧」、「翠 みどり 」に対 たい する「翆」など(機種 きしゅ 依存 いぞん 文字 もじ も含 ふく まれているため、一部 いちぶ のパソコンや携帯 けいたい 電話 でんわ からは閲覧 えつらん 出来 でき ない場合 ばあい がある)。
異体 いたい 字 じ は次 つぎ のような種類 しゅるい に分 わ けられる。
同 おな じ構成 こうせい 要素 ようそ をもつが、その配置 はいち が異 こと なるもの(動 どう 用字 ようじ [ 3] )
隣 となり - 鄰 和 わ - 咊 飄 - 飃 峰 みね - 峯 みね 㟁 - 岸 きし 群 ぐん - 羣 鵝 - 鵞 鑑 かん - 鑒 慚 - 慙 晰 - 晳 稿 こう - 稾 雜 ざつ - 襍 裏 うら - 裡 うら 松 まつ - 枩 島 しま - 嶋 しま - 嶌 しま
異 こと なる音符 おんぷ を使 つか ったもの
棲 - 栖 綫 - 線 せん 麪 - 麵 卻 - 却 筍 たけのこ - 笋 たかんな 窯 かま - 窰 嶋 しま - 嶹 鐵 てつ - 鉄 てつ (鉃 は別 べつ 字 じ )
異 こと なる意 い 符 ふ を用 もち いたもの
効 こう - 效 こう 秘 ひ - 祕 ひ 嘆 - 歎 睹 - 覩 暖 だん - 煖 器 うつわ - 噐 収 おさむ - 收 おさむ 詠 えい - 咏 唇 くちびる - 脣 罰 ばっ - 罸 考 こう - 攷 恥 はじ - 耻 埆 - 确 翻 こぼし - 飜
一方 いっぽう が形声 けいせい で作 つく られ、一方 いっぽう が会意 かいい で作 つく られたもの
涙 なみだ - 泪 なみだ 巌 いわお - 岩 いわ 渺 びょう - 淼 拏 - 拿 逃 - 迯 葉 は - 叶 かのう 傑 すぐる - 杰 輭 - 軟
会意 かいい や形声 けいせい の仕方 しかた が異 こと なり、字体 じたい 上 じょう の共通 きょうつう 項 こう もないもの
體 からだ - 体 からだ 同 どう - 仝 村 むら - 邨
略体 りゃくたい ・書 か き癖 へき ・運筆 うんぴつ の連綿 れんめん などによって生 しょう じたもの(竹冠 たけかんむり と草冠 くさかんむり 、「口 くち 」と「ム」、「 」と「 」などは相互 そうご 置換 ちかん される例 れい が特 とく に多 おお い)
莚 むしろ - 筵 むしろ 船 ふね - 舩 曾 - 曽 そ 鰺 あじ - 鯵 あじ 龍 りゅう - 竜 りゅう 點 てん - 点 てん 蠶 かいこ - 蚕 かいこ 晝 ひる - 昼 ひる 畫 が - 画 が 讀 - 読 戀 こい - 恋 こい 傳 つて - 伝 つて
一般 いっぱん に字義 じぎ ・字音 じおん が同 おな じであり、同 おな じ文脈 ぶんみゃく で交換 こうかん して使用 しよう 可能 かのう なものを異体 いたい 字 じ と認定 にんてい できる。すべての字義 じぎ において交換 こうかん 可能 かのう なものもあるが、一部 いちぶ の字義 じぎ にのみ通用 つうよう される異体 いたい 字 じ もある。
ただし特 とく に中国 ちゅうごく では字義 じぎ ・字音 じおん の歴史 れきし 的 てき な変化 へんか により、認定 にんてい に難 むずか しい問題 もんだい がある。第 だい 1には、古代 こだい の字音 じおん が同 おな じでないもの。例 たと えば寔 まこと ( ショク 、( shí )と實 み (実 み )( ジツ 、( shí )は「まこと」という意味 いみ 、置 おけ ( チ 、( zhì )と寘 ( シ 、( zhì )は「おく」という意味 いみ であり同音 どうおん 同義語 どうぎご であるものの、日本 にっぽん 漢 かん 字音 じおん を見 み て分 わ かるとおり、古代 こだい 音 おん においては異 こと なっていた。第 だい 2に古代 こだい において本義 ほんぎ を異 こと にするもの。「修 おさむ 」と「脩 おさむ 」、「彫 ほ 」と「雕」などは同音 どうおん 同義語 どうぎご であるものの、古代 こだい において本義 ほんぎ が異 こと なる字 じ であった。これらは現代 げんだい 語 ご の観点 かんてん から言 い えば異体 いたい 字 じ と認定 にんてい できるが、古語 こご の観点 かんてん から言 い えば異体 いたい 字 じ と認 みと めることができないものである。
逆 ぎゃく に古代 こだい において異体 いたい 字 じ であったものが後 のち には意味 いみ の棲 す み分 わ けをして異体 いたい 字 じ 関係 かんけい でなくなったものがある。例 たと えば先 さき 秦 しん ・漢 かん 代 だい の文献 ぶんけん で「諭 さとし 」と「喩 たとえ 」はともに「さとす・たとえる」の意味 いみ をもち通用 つうよう されているが、後 のち には「さとす」は「諭 さとし 」、「たとえる」には「喩 たとえ 」が使 つか われるようになった。特 とく に意 い 符 ふ を異 こと にする異体 いたい 字 じ 間 あいだ でこのような事例 じれい が多 おお い。以前 いぜん は異体 いたい 字 じ 関係 かんけい であったものとして、他 た に脇 わき ・脅 おびえ 、弔 ちょう ・吊 つるし 、著 ちょ ・着 き 、果 はて ・菓、棋・碁 ご 、咲 さき ・笑 わらい 、茶 ちゃ ・荼などがある。
なお異体 いたい 字 じ 関係 かんけい にある文字 もじ がすべて正字 せいじ ・俗字 ぞくじ に分 わ けられるわけではない。時代 じだい の流行 りゅうこう 、個人 こじん の趣向 しゅこう などにより同様 どうよう に広 ひろ く使 つか われてきたものが多 おお い。「椀 わん 」や「碗 わん 」、「槍 やり 」や「鎗」、「鉱 こう 」や「砿」など同音 どうおん 同義語 どうぎご であるにもかかわらず、材質 ざいしつ という細 こま かなニュアンスの違 ちが いなどでも次々 つぎつぎ に異体 いたい 字 じ が作 つく られる。これらを一概 いちがい に整理 せいり 統一 とういつ することは非常 ひじょう に困難 こんなん である。
JIS X 0208 などの文字 もじ 集合 しゅうごう では基本 きほん 的 てき に情報 じょうほう 交換 こうかん 用 よう の文字 もじ を示 しめ すのが目的 もくてき であるため、異体 いたい 字 じ ごとにコードポイントを割 わ り振 ふ ったりはしないことが原則 げんそく である(ただし固有名詞 こゆうめいし 対応 たいおう の必要 ひつよう 性 せい などから、複数 ふくすう の異体 いたい 字 じ に個別 こべつ のコードが与 あた えられているケースが多数 たすう 見 み られる)。そのため、コンピュータ上 じょう で表示 ひょうじ される文字 もじ はフォント を作 つく る場合 ばあい にその一 いち 例 れい として採用 さいよう した文字 もじ にすぎない。符号 ふごう 上 じょう は正 ただ しい文字 もじ だがフォントの関係 かんけい 上 じょう 意図 いと していた字体 じたい と違 ちが う場合 ばあい も多 おお く、異体 いたい 字 じ を包摂 ほうせつ (一 ひと つのコードポイントに異体 いたい 字 じ を統合 とうごう )せずに別 べつ にできる方法 ほうほう が必要 ひつよう という声 こえ もある。例 たと えばいわゆる「髙 =はしごだか 」と「高 こう =くちだか」では符号 ふごう 区点 くてん は一 ひと つしかないが、別 べつ のコードポイントを与 あた えるべきだとの声 こえ もある。
Unicode でも基本 きほん 的 てき に事情 じじょう は同様 どうよう であるがその一方 いっぽう でさまざまな既存 きそん の規格 きかく を取 と り込 こ む際 さい に「原 はら 規格 きかく 分離 ぶんり (source code separation ) の原則 げんそく 」によって異体 いたい 字 じ に別 べつ のコードポイントが与 あた えられたものもあり(「髙 =はしごだか」と「高 こう =くちだか」もこれに該当 がいとう )、さらに混沌 こんとん としている。
Unicodeでは、漢字 かんじ の異体 いたい 字 じ の問題 もんだい については「異体 いたい 字 じ タグ (variant tag)」の導入 どうにゅう により包括 ほうかつ 的 てき な解決 かいけつ を企図 きと するとしていた。実際 じっさい にUnicode 3.2では異体 いたい 字 じ タグは「異体 いたい 字 じ セレクタ (異体 いたい 字 じ 選択 せんたく 子 こ 、字形 じけい 選択 せんたく 子 こ 、英 えい : Variation Selector )」という名称 めいしょう で16文字 もじ 分 ぶん (U+ FE00 - U+FE0F) が、Unicode 4.0では240文字 もじ 分 ぶん (U+E0100 - U+E01EF) が追加 ついか された。規格 きかく 書 しょ には「先行 せんこう する1文字 もじ と組 く み合 あ わせることによって、あらかじめ定義付 ていぎづ けされた異 こと なる字体 じたい を任意 にんい に選択 せんたく できる」とあり、理屈 りくつ の上 うえ では1文字 もじ につき256種類 しゅるい の異体 いたい 字 じ 情報 じょうほう を持 も つことができるようになった。その後 ご 、2006年 ねん 1月 がつ 13日 にち に漢字 かんじ で異体 いたい 字 じ セレクタを使 つか うための漢字 かんじ 字形 じけい データベース (Ideographic Variation Database ) への登録 とうろく 手続 てつづ きが定 さだ められ2007年 ねん 12月14日 にち に最初 さいしょ の異体 いたい 字 じ コレクションとしてAdobe-Japan1 が登録 とうろく された。なお、異体 いたい 字 じ セレクタのうち特 とく に漢字 かんじ に関 かん するものは「IVS (Ideographic Variation Selector) 」と呼 よ ばれる。2009年 ねん 、Windows 7 、Mac OS X 10.6 (Snow Leopard) といったOSがIVSに対応 たいおう 、Adobe製品 せいひん やJustsystem製品 せいひん などが順次 じゅんじ アプリケーションレベルでIVSに対応 たいおう していった[ 4] 。Microsoft Office は2013バージョンから正式 せいしき にIVSに対応 たいおう している(2007と2010はアドオンで対応 たいおう )。
IVSなどに対応 たいおう していない環境 かんきょう で、文字 もじ コードに依存 いぞん せず異体 いたい 字 じ を切 き り替 か えるには以下 いか のような手法 しゅほう が取 と られている。
フォント切 き り替 か え(裏 うら フォント方式 ほうしき )
同 おな じコードポイントに異体 いたい 字 じ を収録 しゅうろく したフォントを複数 ふくすう (異体 いたい 字 じ の種類 しゅるい 分 ぶん )用意 ようい し、それによって字体 じたい の切 き り替 か えを行 おこな う。例 たと えば「日本語 にほんご ・JIS90規格 きかく 」「日本語 にほんご ・JIS2004規格 きかく 」「中国 ちゅうごく 語 ご ・簡体字 かんたいじ 」「中国 ちゅうごく 語 ご ・繁体字 はんたいじ (台湾 たいわん )」「中国 ちゅうごく 語 ご ・繁体字 はんたいじ (香港 ほんこん )」「朝鮮 ちょうせん 語 ご 」のフォントにそれぞれ異 こと なるグリフが含 ふく まれている組 く み合 あ わせを挙 あ げる。以下 いか の字 じ のうち背景 はいけい 色 しょく をグレー にした文字 もじ は他 た のタイプのフォントだと代用 だいよう が利 き かない。
日本語 にほんご
中国 ちゅうごく 語 ご
朝鮮 ちょうせん 語 ご
JIS90
JIS2004
簡体字 かんたいじ
繁体字 はんたいじ
台湾 たいわん
香港 ほんこん
倦
倦
倦
倦
倦
倦
倦
葛 かずら
葛 かずら
葛 かずら
葛 かずら
葛 かずら
葛 かずら
葛 かずら
芒 すすき
芒 すすき
芒 すすき
芒 すすき
芒 すすき
芒 すすき
芒 すすき
煎 せんじ
煎 せんじ
煎 せんじ
煎 せんじ
煎 せんじ
煎 せんじ
煎 せんじ
嘲 あざけ
嘲 あざけ
嘲 あざけ
嘲 あざけ
嘲 あざけ
嘲 あざけ
嘲 あざけ
曜
曜
曜
曜
曜
曜
曜
龍 りゅう
龍 りゅう
龍 りゅう
龍 りゅう
龍 りゅう
龍 りゅう
龍 りゅう
寒 さむ
寒 さむ
寒 さむ
寒 さむ
寒 さむ
寒 さむ
寒 さむ
返 かえし
返 かえし
返 かえし
返 かえし
返 かえし
返 かえし
返 かえし
CIDフォント 、OpenType フォントによる字体 じたい 切 き り替 か え
CIDフォントおよびその後継 こうけい であるOpenTypeフォントは一 ひと つの文字 もじ コードに複数 ふくすう のグリフを関連付 かんれんづ けさせたテーブルを内蔵 ないぞう しており、Adobe-Japan1 文字 もじ 集合 しゅうごう に対応 たいおう したOS、ウェブブラウザを含 ふく むアプリケーションで字体 じたい 切 き り替 か えが可能 かのう となっている。
上記 じょうき の手法 しゅほう はいずれもフォントに依存 いぞん した異体 いたい 字 じ 切 き り替 か えであり、異 こと なった環境 かんきょう 同士 どうし での情報 じょうほう 交換 こうかん にはフォント埋 う め込 こ みなどの手段 しゅだん が必要 ひつよう とされる。フォント埋 う め込 こ みができる文書 ぶんしょ フォーマットとしては「PDF 」などが挙 あ げられる。Adobe-Japan文字 もじ 集合 しゅうごう には未 み 対応 たいおう だが「Microsoft Word 」もフォント埋 う め込 こ みに対応 たいおう している。