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紙型しけい

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欧文おうぶん組版くみはん紙型しけい和文わぶん初号しょごう活字かつじ

紙型しけい(しけい)とは、活版かっぱん印刷いんさつ原版げんばん複製ふくせいつくるためのかみせい鋳型いがたである。

げた印面いんめんうえに、けたなまり温度おんどえうる特殊とくしゅかみせ、加熱かねつ加圧かあつしてつくる。この紙型しけい鉛版えんばん鋳造ちゅうぞう鋳型いがたにセットし,かしたなまり合金ごうきん(これを「」とぶ)をそそいで鉛版えんばんをつくり印刷いんさつようはんとする。はんかさねる場合ばあい紙型しけいからあたらしい鉛版えんばんをつくる。また、紙型しけいをたわめた状態じょうたいで「」をそそぐことで、曲面きょくめん鉛版えんばん形成けいせいできる。これは輪転りんてん印刷いんさつよう使用しようされる。

紙型しけい利用りようには以下いかのような利点りてんがある。

  1. げた活版かっぱんそのものはたいすりせいたかくなく、すうせんまい印刷いんさつすると磨耗まもうしてしまう。一方いっぽう複製ふくせいしたはん使つかうことでだい部数ぶすう印刷いんさつをおこなうことができる。
  2. 金属きんぞく活字かつじんだはんきわめておもいため、重版じゅうはんときまでこれを保存ほぞんすることは大変たいへん負担ふたんであり、一般いっぱんてきには不可能ふかのうえる。そのてん紙型しけいならばかるくてうすいので、たななどにおさめることができる。
  3. 輪転りんてんよう湾曲わんきょくしたはんつくるには、かつては活字かつじをくさびで固定こていするなどしていたが、活字かつじ脱落だつらくなどのトラブルがえなかった。しかし、紙型しけい導入どうにゅうによりいちまいばん管理かんりしやすいまる鉛版えんばん作成さくせい可能かのうになった。

紙型しけい登場とうじょうまえには、17世紀せいきまつから粘土ねんどもちいて活字かつじめすがた方法ほうほうためされていたようである。18世紀せいきには石膏せっこうかたとする方法ほうほうがいくつか考案こうあん特許とっきょ出願しゅつがんされ、そのうちひとつはスタンホープに売却ばいきゃくされ、かれのもとで研究けんきゅうされ、一定いってい普及ふきゅうた。かみによるかたどりの発明はつめいは19世紀せいきのフランスじんジュヌーをたねばならなかった。当時とうじ専用せんようのブラシでたたいたうえ圧搾あっさくすることでかたをとっていた。

紙型しけいからかたどりする場合ばあい印刷いんさつ使つかわれるのは活版かっぱん複製ふくせい複製ふくせいとなるため、活版かっぱんでそのままったもの(原版げんばん)のほう印字いんじ精密せいみつさはまさる。また、なまり活字かつじ加熱かねつするとちぢ性質せいしつがあり、紙型しけいもまた加熱かねつによってちぢむので、わずかではあるが原版げんばんよりサイズがちいさくなる。このはんかさねるごとに増大ぞうだいしてくので、次第しだい目立めだつようになる。

誤植ごしょくなどを訂正ていせいする場合ばあい紙型しけいそのものは訂正ていせいできないので、鉛版えんばんにしたうえ訂正ていせい箇所かしょってまさしく組版くみはんしたものをはめむ。これを象眼ぞうがん象嵌ぞうがん訂正ていせいという。いち象眼ぞうがんいちぎょう象眼ぞうがんなどがある。誤植ごしょくがなくとも奥付おくづけ発行はっこうなどは象眼ぞうがん訂正ていせいによることがおおいので、はんかさねた書物しょもつると活字かつじちぢ具合ぐあい観察かんさつできる。

印刷いんさつ、とくに活版かっぱん印刷いんさつについてあつか解説かいせつしょると、紙型しけい利用りようについては種類しゅるいのスタンスがられる。一方いっぽうは「大量たいりょうるときは紙型しけいって複製ふくせいする」とする立場たちばで、他方たほうは「部数ぶすうすくないときは原版げんばんりをおこなう」と記述きじゅつする立場たちばである。おおむねこれらは、それぞれの執筆しっぴつしゃがどのような編集へんしゅう印刷いんさつ現場げんば経験けいけんしてきたかを反映はんえいしているとえる。