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まる文字もじ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

まる文字もじ(まるもじ)は手書てが文字もじのうち、かくまるくした書体しょたいである。「ルンルン文字もじ」「ネコ」「まんが(マンガ)」「まる」「ブリッ文字もじ(ぶりっ文字もじ)」ともばれる。

ウィキペディアの概要がいようまる文字もじかれている

概要がいよう

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一般いっぱんてきには手書てが文字もじ書体しょたいとされ、まるゴシックたいとはことなる。

仮名漢字かなかんじじりの日本語にほんご文章ぶんしょうは、文字もじ特徴とくちょうからかくばった箇所かしょきやすく、文字もじ文章ぶんしょう印象いんしょうかたくなることを回避かいひするために、1970年代ねんだいから1980年代ねんだい女子じょししょう中高生ちゅうこうせいあいだひろもちいられていた。

当時とうじまる文字もじ特有とくゆう特徴とくちょうとして、平仮名ひらがなの「へ」のみぎ半分はんぶんに「〃」をかさねた文字もじを、宛先あてさき名前なまえのちく、というものがある(“**さんへ”における記述きじゅつほう)。

まる文字もじ流行りゅうこうった現在げんざいでも、男女だんじょ世代せだいわずまる文字もじひとおおいが、これはたんなるくせ一種いっしゅとらえられている。まる文字もじ調ちょう手書てが文字もじフォントもており、代表だいひょうてきなものとしては、仮名かめいのみでありながら1980年代ねんだいなかばに写植しゃしょくメーカーのうつしけん発表はっぴょうしたフォント「ルリール」がある。また、2000ねん以降いこう登場とうじょうした「みかちゃん」、様々さまざま手書てがきの特徴とくちょう抽出ちゅうしゅつしてシリーズした「みんなのフォント」、女性じょせい手書てが文字もじふうフォント「[あくびしるし]」はまる文字もじ特徴とくちょうおおいでいる。

歴史れきし

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ナールを使用しようしていた阪急電鉄はんきゅうでんてつ旧型きゅうがた駅名えきめいしるべじゅうさんえき、イワタUDまるゴシック使用しよう新型しんがた駅名えきめいしるべ交換こうかん撤去てっきょみ)

山根やまね一眞かずまさが2ねんちか取材しゅざい1986ねん2がつあらわした『変体へんたい少女しょうじょ文字もじ研究けんきゅう 文字もじむこうに少女しょうじょえる』(講談社こうだんしゃ)の調査ちょうさ結果けっかでは、まる文字もじ同書どうしょでいう変体へんたい少女しょうじょ文字もじ)は1974ねんまでには誕生たんじょうしており、1978ねん急増きゅうぞうしたとされる。同書どうしょでは少女しょうじょらがまる文字もじ普及ふきゅう一因いちいんとして、70年代ねんだい前半ぜんはん創刊そうかんした『an・an』や『non-no』といった女性じょせいけファッション使つかわれていた書体しょたいナール」(1972ねん発表はっぴょう)をげている。ナールは文字もじ先端せんたんまる処理しょりされふっくらとした字体じたいをもつ写真しゃしん植字しょくじである。一方いっぽう漫画まんが研究けんきゅう大塚おおつか英志えいじはその文字もじ由来ゆらいが『りぼん』の漫画まんが近況きんきょうらん手書てが文字もじにあるとし、大本おおもとしらいしあいであるとしている[1]

1986ねんうつしけんが「文字もじ文化ぶんかへの愛着あいちゃくひろげよう」として、「マル五十音ごじゅうおんコンテスト」を開催かいさいした。1賞金しょうきんは10まんえん応募おうぼ期間きかん同年どうねんの4がつから5がつ結果けっか全国ぜんこくから2500てんえる応募おうぼがあり、7がつ23にちから29にちまで東京とうきょう銀座ぎんざ東屋あずまや9かいのギャラリーで入賞にゅうしょう作品さくひん展示てんじおこなわれた。1当時とうじ高校こうこう3年生ねんせい女性じょせい作品さくひんで、11月にしん書体しょたい「イクール」(書体しょたいめい入賞にゅうしょうしゃ名前なまえからられた)としてうつしけんから発売はつばいされた。2と3作品さくひんも1987ねん4がつにそれぞれ「エツール」「ヨシール」として発売はつばいされている。なお山根やまね一眞かずまさによれば「変体へんたい少女しょうじょ文字もじ」は横書よこがきではやくのにてきした文字もじであり、「イクール」は丁寧ていねいにデザインされた「かわいい文字もじ」にすぎないとべている[2]。また「イクール」とどう時期じきに、おニャンクラブのメンバーだった永田ながたルリ子るりこによる手書てが文字もじ「ルリール」がうつしけんから発売はつばいされている[3]

このまる文字もじ有料ゆうりょう書体しょたいは、おなじく写真しゃしん植字しょくじメーカーのモリサワが1987ねん5がつに「わらべ」を発表はっぴょうし、また富士通ふじつうがワープロようまる文字もじ書体しょたいソフトをパーソナルよう機種きしゅ(1986ねん11月)、ビジネスよう機種きしゅ(1987ねん5がつけにそれぞれリリースするなど、ちいさなうごきをせた。

1987ねん6がつうつしけんは「だい2かいマル五十音ごじゅうおんコンテスト」を開催かいさい応募おうぼしゃすうは2253にん。1当時とうじ19さい女性じょせい。8がつ20日はつかから東京とうきょう有楽町ゆうらくちょう交通こうつう会館かいかん入賞にゅうしょう作品さくひん展示てんじひらかれた。1作品さくひんは「ノリール」として書体しょたいされた。

1990ねん5がつ23にちづけ朝日新聞あさひしんぶん朝刊ちょうかん掲載けいさいされた記事きじ「“まる文字もじ”はやめて」「“公用こうよう文字もじ”ではない」は、小学校しょうがっこう教師きょうし文字もじまる文字もじだったことで、それを子供こども真似まねることを危惧きぐした内容ないようであったが、読者どくしゃからの反響はんきょうおおきさにより6がつ20日はつかふたたげられ、「角張かくばった文字もじくせ問題もんだいとされず、なぜまる文字もじだけが問題もんだいされるのか」などの反論はんろんわせて掲載けいさいした。

1991ねん11月に発売はつばいされた『広辞苑こうじえんだい4はんにはかたりまる文字もじ」があたらしく追加ついかされた。

パルコ出版しゅっぱんからていた流行りゅうこう調査ちょうさ雑誌ざっし『アクロス』1993ねん7がつごう掲載けいさいされた、女性じょせい投稿とうこうのはがきや街頭がいとうインタビューをもとにした調査ちょうさでは、まる文字もじ姿すがたしつつあり、「トメのしっかりしたカクカクした文字もじ」である「ちょうからだヘタウマ文字もじ」が増加ぞうかしているとリポートされている。この現象げんしょうは1960年代ねんだいまれ(新人しんじんるい世代せだい)を中心ちゅうしんとした80年代ねんだいぶりっ文化ぶんかわり、90年代ねんだい自然しぜん日常にちじょう重視じゅうしする1970年代ねんだい後半こうはんまれ(真性しんせい団塊だんかいジュニア世代せだい以降いこうの「だっおんなてき文化ぶんか主流しゅりゅうになったのが原因げんいんではないかとされる[4]。『AERA』1997ねん6がつ30にちごうでは「女子高じょしこうせいひろまる、へんなとんがり文字もじまる文字もじ」の時代じだいわった」とだいして、まる文字もじ流行りゅうこうわり、ちょうからだヘタウマ文字もじくわえ、「タギング文字もじ」という新種しんしゅひろがりつつあるとしている。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 朝日新聞あさひしんぶん』1986ねん2がつ4にち夕刊ゆうかん
  • 朝日新聞あさひしんぶん』1986ねん7がつ16にち朝刊ちょうかん
  • 朝日新聞あさひしんぶん』1986ねん7がつ23にち夕刊ゆうかん
  • 朝日新聞あさひしんぶん』1987ねん6がつ23にち朝刊ちょうかん
  • 朝日新聞あさひしんぶん』1987ねん8がつ20日はつか朝刊ちょうかん
  • 朝日新聞あさひしんぶん』1993ねん8がつ12にち夕刊ゆうかん

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 大塚おおつか英志えいじたそがれつけたもの : 『りぼん』のふろくとその時代じだい太田出版おおたしゅっぱん、1991ねん、152-153ぺーじISBN 4-87233-021-8https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002229560-00 
  2. ^ 朝日新聞あさひしんぶん』1987ねん6がつ23にち朝刊ちょうかん
  3. ^ うつしけん、“マル文字もじ”の写植しゃしょく文字もじ──『おニャン』を基本きほんに。」『日経にっけい産業さんぎょう新聞しんぶん』1986ねん12月22にちづけ、7ぺーじ
  4. ^ 朝日新聞あさひしんぶん』1994ねん1がつ5にち朝刊ちょうかん

関連かんれん項目こうもく

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