熟語じゅくご

熟語じゅくご（じゅくご）とは、複数ふくすうの語かたりや形態素けいたいそが比較的ひかくてき強つよく結むすびつき、独立どくりつしたまとまりをなす表現ひょうげんを指さす用語ようごである。この用語ようごは文脈ぶんみゃくによって定義ていぎ付づけが少すこしずつ異ことなる。

慣用かんよう表現ひょうげんとしての熟語じゅくご

「イディオム」および「慣用かんよう句く」を参照さんしょう

複数ふくすうの語かたりがなすある種しゅの固定こてい的てきな表現ひょうげんを「熟語じゅくご」とみなす立場たちばがある。この立場たちばにおいて「破竹はちくの勢いきおい」「満まんを持もたす」などの成句せいく的てきな連語れんごは、しばしば「熟語じゅくご」という用語ようごで総称そうしょうされることがある。言語げんご学がくにおいて同様どうようの概念がいねんをイディオム（idiom）と称しょうし、特とくに英語えいごにおけるイディオムを俗ぞくに英えい熟語じゅくごと呼よぶこともある。ただ、熟語じゅくごという用語ようごはこのほかにも様々さまざまな意味いみを包含ほうがんする曖昧あいまいな概念がいねんであるので、日本にっぽん言語げんご学会がっかいと日本にっぽん英語えいご学会がっかいは、学術がくじゅつ用語ようごとしての“idiom”を一律いちりつに「慣用かんよう句く」と訳やくしている。

俚諺りげんや格言かくげんとしての熟語じゅくご

「熟語じゅくご (漢字かんじ)#俚諺りげんや格言かくげんとしての熟語じゅくご」を参照さんしょう

熟語じゅくごの原義げんぎは「こなれた（熟じゅく）、ことば（語かたり）」であり、漢字かんじ文化ぶんか圏けんにおいて頻用ひんようされる格言かくげんなどを意味いみすることもある。特とくに中国ちゅうごく語ごで熟語じゅくご（拼音: shúyǔ）といった場合ばあい、以下いかのような表現ひょうげんを総括そうかつする用語ようごとされる。

• 「矛盾むじゅん」「破天荒はてんこう」「臥薪嘗胆がしんしょうたん」など、故事こじと呼よばれる古典こてんから引用いんようされる短みじかい表現ひょうげん。成語せいご（せいご、拼音: chéngyǔ）と称しょうされる。中国ちゅうごく語ごだけではなく、日本語にほんごにも流入りゅうにゅうした表現ひょうげんが多おおい。成語せいごの大だい部分ぶぶんは漢字かんじ4字じで構成こうせいされる。
• 「騎き驢うさぎうま看み唱本、走はし著しる瞧」（ロバの上うえで歌うたの本ほんを読よむ、成なり行ゆきを見守みまもる）など、前まえの句くと後ごの句くからなる一種いっしゅのしゃれ言葉ことば。歇後語ご（けつごご、拼音: xiēhòuyǔ）と称しょうされる。上述じょうじゅつの例れいの場合ばあい、「看み」と「瞧」をかけている。「塞ふさが翁おう失しつ馬ば、因いん禍か得とく福ぶく」（塞翁さいおうが馬うま、災わざわい転てんじて福ぶくと成なす）のように故事こじに由来ゆらいするものは、上記じょうきの成語せいごと重かさなる。日本語にほんごには馴染なじみないものがほとんどであるが、「井いの中なかの蛙かえる、大海たいかい知しらず」「兎うさぎの逆立さかだち、耳みみが痛いたい」のように歇後語ごの影響えいきょうを受うけたと考かんがえられる表現ひょうげんも散見さんけんする。
• その他た雑多ざったな諺ことわざは「諺ことわざ語ご」（拼音: yànyǔ）「俗語ぞくご」（拼音: súyǔ）などと称しょうされる。

複合語ふくごうごとしての熟語じゅくご

「複合語ふくごうご」を参照さんしょう

複数ふくすうの語かたりが結合けつごうして、1つの語かたりとなったものを熟語じゅくごと称しょうすることもある。「うみかぜ」「月明つきあかり」「年忘としわすれ」などの語かたりがこれに該当がいとうするが、通常つうじょうこれらは複合語ふくごうご（compound）と呼よばれることが多おおい。

漢字かんじと熟語じゅくご

「熟語じゅくご (漢字かんじ)」を参照さんしょう

熟語じゅくごの意味いみを、2字じ以上いじょうの漢字かんじが強つよく結むすびつき、1つの漢語かんごとなっているものに限定げんていする立場たちばもある。例たとえば「鉛筆えんぴつ」という語かたりは、「鉛なまり」と「筆ふで」の2つの漢字かんじからなる熟語じゅくごであるとみなされる。

なお、漢字かんじ同士どうしの結むすびつきが弱よわい場合ばあいは熟語じゅくごとみなさない立場たちばもある。この立場たちばによれば、例たとえば「経済けいざい」「政策せいさく」はどちらも熟語じゅくごとみなせるが、これらを複ふく合あわさせた「経済けいざい政策せいさく」という語かたりは、熟語じゅくごとはみなさないという。

四よん字じ熟語じゅくご

「四よん字じ熟語じゅくご」を参照さんしょう

漢字かんじ4字じで構成こうせいされる表現ひょうげんを四よん字じ熟語じゅくごと称しょうすることもある。この用語ようごの意味いみする範囲はんいは文脈ぶんみゃくによってまちまちであるが、試験しけんなどで問とわれる狭せまい意味いみでの四よん字じ熟語じゅくごは、「臥薪嘗胆がしんしょうたん」のような4字じの故事こじ成語せいごや、「色即是空しきそくぜくう」のような4字じの仏教ぶっきょう語ごに限定げんていされるという。