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形態素けいたいそ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

形態素けいたいそ(けいたいそ、えい: morpheme)とは、言語げんごがく用語ようごで、意味いみをもつ表現ひょうげん要素ようそ最小さいしょう単位たんい。ある言語げんごにおいてそれ以上いじょう分解ぶんかいしたら意味いみをなさなくなるところまで分割ぶんかつして抽出ちゅうしゅつされた、音素おんそのまとまりの1つ1つをす。

形態素けいたいそ一般いっぱんてき性質せいしつや、形態素けいたいそあいだむすびつきなどをあきらかにする言語げんごがく領域りょういきは、形態けいたいろんばれる。

概要がいよう

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形態素けいたいそには、いくつかのタイプがあるとかんがえたほういことがかっている。またそれぞれの言語げんごによってもちがいがあらわれるので、ここではまず英語えいご日本語にほんごでのれいしめす。

英語えいごでは、空白くうはく区切くぎられるかたり (えい: word) よりもこまかい単位たんいである。たとえば、名詞めいし複数ふくすうがたの -s なども独立どくりつした形態素けいたいそである。日本語にほんごでは、日本語にほんご文法ぶんぽうにおけるいわゆる文節ぶんせつよりもこまかい単位たんいである、自立じりつ(あるいは「」)と付属ふぞく(あるいは「」)および「接辞せつじ」が形態素けいたいそである。

分類ぶんるい

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機能きのうてき形態素けいたいそ

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やま」のように、単独たんどくかたりとして(日本語にほんご文法ぶんぽうでは、文節ぶんせつとして)あらわれるものと、「かね」の「お-」のように、単独たんどくではもちいられずかなら形態素けいたいそとともにあらわれるものがある。前者ぜんしゃの「やま」のような形態素けいたいそ自由じゆう形態素けいたいそ (えい: free morpheme)または内容ないよう形態素けいたいそという。また、後者こうしゃの「おかね」の「お-」のような形態素けいたいそ拘束こうそく形態素けいたいそまたは束縛そくばく形態素けいたいそ (えい: bound morpheme) という。たとえば、英語えいごの{boy}、{fly}などの形態素けいたいそ実質じっしつ意味いみち、単独たんどくもちいられるから、前者ぜんしゃ自由じゆう形態素けいたいそである。

また、語彙ごいてき意味いみつものとそうでないものにけることができる。語彙ごいてき意味いみ形態素けいたいそ語根ごこん (えい: root/えい: radical) という。たとえば、「たか-さ」「たか-い」に共通きょうつうしてあらわれる「たか-」は語根ごこんであり、「空間くうかんてき位置いち上方かみがたにあってしたとの距離きょりおおきい」[1]という語彙ごいてき意味いみつ。これにたいして、「-さ」や「-い」に語彙ごいてき意味いみみとめるのはむずかしく、むしろ、「-さ」は「たか-」を名詞めいしとして機能きのうさせる形態素けいたいそであり、「-い」は「たか-」を形容詞けいようしとして機能きのうさせる形態素けいたいそであるとかんがえられる。この「-さ」や「-い」のように、機能きのうてきあるいは文法ぶんぽうてき意味いみつが語彙ごいてき意味いみたないとかんがえられる形態素けいたいそ機能きのうてき形態素けいたいそ (えい: functional morpheme) または文法ぶんぽうてき形態素けいたいそ (えい: grammatical morpheme) という。

語根ごこんは、自由じゆう形態素けいたいそであることもあれば、拘束こうそく形態素けいたいそであることもある。「たか-さ」「たか-い」の「たか-」は単独たんどくかたりとしてあらわれることがいので拘束こうそく形態素けいたいそであり、一方いっぽう「やま」「あお」のような語根ごこん単独たんどくかたりとなる自由じゆう形態素けいたいそである。

構造こうぞうじょうかたりとして振舞ふるま拘束こうそく形態素けいたいそせっび、それ以外いがい拘束こうそく形態素けいたいそ接辞せつじぶ。

ひとつの形態素けいたいそたがいに微妙びみょうことなる複数ふくすうあらわかたをすることがある。たとえば「あめふり」、「あまやどり」、「きりさめ」にふくまれる「あめ」、「あま」、「さめ」はおなじ「あめ」という意味いみ形態素けいたいそぞくしているとかんがえられる。このとき、「あめ」「あま」「さめ」というみっつの形態けいたい (えい: morph) は、同一どういつ形態素けいたいそぞくし、たがいに形態けいたいであるという。ひとつの形態素けいたいそぞくする複数ふくすう形態けいたいについても、「あめ」のように単独たんどくかたりとしてあらわ自由じゆう形態けいたい (えい: free morph) と、「あま-」「-さめ」のようにかなら形態素けいたいそにくっついてあらわれる拘束こうそく形態けいたい (えい: bound morph) とを区別くべつすることができる。

文法ぶんぽうてき形態素けいたいそ

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文法ぶんぽうてき形態素けいたいそ(ぶんぽうてきけいたいそ)とは、語根ごこん (基礎きそ語幹ごかん) でしめ観念かんねん特定とくてい文法ぶんぽう範疇はんちゅう方向ほうこうづけるものである。比較ひかく言語げんごがくによってその原初げんしょてき構成こうせい部分ぶぶん分離ぶんりできる。語根ごこん接尾せつびからなる全体ぜんたい語幹ごかん形成けいせいするが、かたりもと形態素けいたいそふくあいでもある。印欧語いんおうごがくでは、セムことなり、この語幹ごかん基礎きそとして全体ぜんたいけい構築こうちくされる。その理由りゆうは、語幹ごかん文法ぶんぽうてき形態素けいたいそぜんせっおん/重複じゅうふくとう)するか、こうせっ接尾せつび)するという、文法ぶんぽうてき特性とくせいゆうする形態素けいたいそ附加ふかにより、かくかず人称にんしょう語尾ごび活用かつようきょくよう)とがしめされるからである。(ギリシアでは、「現在げんざいアスペクト動詞どうし語幹ごかんアオリストのアスペクトの動詞どうし語幹ごかん」とが対立たいりつし、活用かつよう基礎きそとなる。)

そしてこれらに、「派生はせい」がくわわる:形態素けいたいそ附加ふかにより、派生はせい形成けいせいされる。活用かつようきょくようのわくないどう一語いちごるさまざまな語形ごけいのことでなくて、接尾せつびされる形態素けいたいそにより、名詞めいし形容詞けいようし動詞どうし副詞ふくしひとしのあらゆる文法ぶんぽう範疇はんちゅうかたり派生はせいする(この派生はせいはセムけいの「形態素けいたいそ」にもひろつうじるものであり、「かたりもと」をもとに、あらゆる文法ぶんぽうてき形態素けいたいそ附加ふかされ、意味いみろんてき観念かんねんからも、膨大ぼうだい派生はせい語彙ごい)を形成けいせいする)。

また、形態素けいたいそ附加ふかとそれからしょうずる音韻おんいん変化へんかは、つうてき音韻おんいん変化へんか発展はってん考慮こうりょする必要ひつようをもしょうじ、同定どうていについては歴史れきし言語げんごがくてき音韻おんいんろん依拠いきょしなければならない。

関連かんれん文献ぶんけん

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 広辞苑こうじえん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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