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この項目 こうもく では、言語 げんご の文法 ぶんぽう に関 かん する格 かく (かく)について説明 せつめい しています。律令 りつりょう 法 ほう の一 ひと つである格 かく (きゃく)については「格式 かくしき 」をご覧 らん ください。
格 かく (かく、英語 えいご : Case )とは、名詞 めいし 、代名詞 だいめいし 、形容詞 けいようし 、分詞 ぶんし などに付与 ふよ されて、その語 かたり を含 ふく む句 く が持 も つ意味 いみ 的 てき ・統語 とうご 的 てき な関係 かんけい を示 しめ す標識 ひょうしき の体系 たいけい で[1] :1 、語形 ごけい を決 き める文法 ぶんぽう 範疇 はんちゅう ・素性 すじょう の一 ひと つである[2] :200 。
換言 かんげん すると、典型 てんけい 的 てき な格 かく とは、語 かたり の形 かたち を変 か えることによって、主語 しゅご ・目的 もくてき 語 ご といった統語 とうご 的 てき 関係 かんけい や、行為 こうい の行 おこ なわれる場所 ばしょ ・物体 ぶったい の所有 しょゆう 者 しゃ といった意味 いみ 的 てき 関係 かんけい をその語 かたり を含 ふく む句 く が持 も っていることを表 あらわ すマークである。
格 かく は、主語 しゅご や目的 もくてき 語 ご といった文法 ぶんぽう 関係 かんけい と混同 こんどう されることもあるが、格 かく と文法 ぶんぽう 関係 かんけい とは必 かなら ずしも対応 たいおう しない。同様 どうよう に、情報 じょうほう 構造 こうぞう (話題 わだい など)や主題 しゅだい 役割 やくわり (動作 どうさ 主 ぬし など)とも異 こと なる。
例 れい :
太郎 たろう が次 じ 郎 ろう を殴 なぐ った。
太郎 たろう が: 主格 しゅかく 、主語 しゅご 、動作 どうさ 者 しゃ
次郎 じろう を: 対格 たいかく 、目的 もくてき 語 ご 、被 ひ 動 どう 者 しゃ
次郎 じろう が太郎 たろう に殴 なぐ られた。
次郎 じろう が: 主格 しゅかく 、主語 しゅご 、被 ひ 動 どう 者 しゃ
太郎 たろう に: 与格 よかく 、補語 ほご 、動作 どうさ 者 しゃ
太郎 たろう には弟 おとうと がいる。
太郎 たろう には: 与格 よかく 、主語 しゅご 、所有 しょゆう 者 しゃ 、主題 しゅだい
弟 おとうと が: 主格 しゅかく 、目的 もくてき 語 ご 、所有 しょゆう 物 ぶつ
多 おお くの言語 げんご に見 み られる格 かく には、主格 しゅかく 、対格 たいかく 、与格 よかく 、奪 だつ 格 かく 、処 しょ 格 かく 、属 ぞく 格 かく などがある。
同 おな じような格 かく でも、言語 げんご によって名前 なまえ が異 こと なることがある。「太郎 たろう が犬 いぬ に水 みず を与 あた える」という文 ぶん では、一般 いっぱん に「太郎 たろう が」は主格 しゅかく 、「犬 いぬ に」は与格 よかく 、「水 みず を」は対格 たいかく と呼 よ ばれるが、それぞれ「が格 かく 」、「に格 かく 」、「を格 かく 」と呼 よ ばれることもある。格 かく とは意味 いみ ではなく標識 ひょうしき なのでこの呼 よ び方 かた は明確 めいかく だが、他 た の言語 げんご との比較 ひかく はできない。
格 かく は基本 きほん 的 てき な格 かく (論理 ろんり 的 てき 格 かく )と、場所 ばしょ 的 てき な格 かく に分 わ けられる。前者 ぜんしゃ は主格 しゅかく ・呼 よび 格 かく ・与格 よかく ・対格 たいかく のように、文中 ぶんちゅう における論理 ろんり 的 てき な関係 かんけい を表 あらわ す。コーカサス諸語 しょご や、フィンランド語 ご などには多 おお くの格 かく が存在 そんざい するが、その多 おお くは場所 ばしょ 的 てき な格 かく である。たとえばアヴァル語 ご には20近 ちか くの格 かく があるが、基本 きほん 的 てき な格 かく は4種 しゅ のみである。それ以外 いがい は場所 ばしょ 的 てき な格 かく であって、「静止 せいし (で)・着 ちゃく 点 てん (へ)・起点 きてん (から)」の3種類 しゅるい の方向 ほうこう と、「上 うえ ・周 まわ り・中 なか ・下 した ・(中空 なかぞら のものの)中 ちゅう 」の5つの系列 けいれつ との組 く み合 あ わせによる15種類 しゅるい の格 かく が存在 そんざい する。フィンランド語 ご では数 かぞ え方 かた により14ないし15の格 かく があり、うち6つは場所 ばしょ 的 てき な格 かく で、やはり3種類 しゅるい の方向 ほうこう と2つの系列 けいれつ (内部 ないぶ ・外部 がいぶ )の組 く み合 あ わせによる[2] :200-209 。
格 かく は、名詞 めいし または名詞 めいし 句 く にさまざまな方法 ほうほう で標示 ひょうじ される。名詞 めいし の語形 ごけい 変化 へんか によって標示 ひょうじ される場合 ばあい 、接頭 せっとう 辞 じ 、接尾 せつび 辞 じ 、声調 せいちょう の変化 へんか 、語幹 ごかん の変化 へんか といった手段 しゅだん が用 もち いられる。接 せっ 語 ご 接 せっ 置 おけ 詞 し の場合 ばあい には、前置詞 ぜんちし 、後 こう 置 おけ 詞 し 、中置 ちゅうち 詞 し がある。このうち最 もっと も多 おお くの言語 げんご で用 もち いられているのは接尾 せつび 辞 やめ 、次 つぎ に多 おお いのは後 ご 置 おけ 詞 し である。
これらに加 くわ えて、人称 にんしょう や語順 ごじゅん によって従属 じゅうぞく 部 ぶ である名詞 めいし 句 く とその主要 しゅよう 部 ぶ の関係 かんけい が表 あらわ されることがある。
マシュー・ドライヤー (Matthew S. Dryer )が世界 せかい 1031の言語 げんご について行 い った調査 ちょうさ (Dryer 2013a)によると、接尾 せつび 辞 じ によって格 かく を標示 ひょうじ する言語 げんご が452(朝鮮 ちょうせん 語 ご 、フィンランド語 ご 、ロシア語 ご などが該当 がいとう 、ただしアルメニア語 ご などのように同 どう 一 いち 言語 げんご の方言 ほうげん も含 ふく む)、何 なん の接辞 せつじ や接 せっ 語 ご も用 もち いない言語 げんご が379(英語 えいご やスペイン語 ご などが該当 がいとう )、後 こう 置 おけ 接 せっ 語 ご によって標示 ひょうじ する言語 げんご が123(日本語 にほんご や中国 ちゅうごく 語 ご などが該当 がいとう )あった。
接頭 せっとう 辞 じ によって格 かく を表示 ひょうじ する言語 げんご は38あった。アフリカ南部 なんぶ のバントゥー語 ご 群 ぐん (南 みなみ アフリカ共和 きょうわ 国 こく のズールー語 ご 、コサ語 ご 、ンデベレ語 ご 、アンゴラ およびナミビア のンドンガ語 ご など)や北部 ほくぶ のベルベル語 ご 派 は (モロッコ のシルハ語 ご など)、インドネシア のスマトラ島 すまとらとう 周辺 しゅうへん の言語 げんご (ニアス語 ご など)、セイリッシュ語族 ごぞく のカリスペル語 ご (Kalispel ; 米国 べいこく )およびシュスワプ語 ご (カナダ)などに見 み られる。
接頭 せっとう 辞 じ による格 かく 標示 ひょうじ の例 れい (タマズィフト語 ご )
ičča
u -ryaz
aḵsum
食 た べる.PRF .3SG .M
ERG -男 おとこ
肉 にく
「男 おとこ が肉 にく を食 た べた」
前 ぜん 置 おけ 接 せっ 語 ご による標示 ひょうじ をする言語 げんご は17あった。フランス語 ふらんすご 、アラビア語 ご イラク方言 ほうげん およびシリア方言 ほうげん (英語 えいご 版 ばん ) 、ルワンダ語 ご などがこれに該当 がいとう する。
inpositional clitics[訳語 やくご 疑問 ぎもん 点 てん ] による標示 ひょうじ をする言語 げんご は7つあった。全 すべ てオーストラリア の言語 げんご であり、クークターヨレ語 ご (Kuuk Thaayorre )やヤウル語 ご (Yawuru )などが該当 がいとう する。
ヤウル語 ご
[kayukayu=ni
buru]
i-na-nya-rn-dyarra-yirr
mudiga
[柔 やわ らかい=erg
砂 すな ]
3-trans -捕 つか まえる-ipfv -1 aug.dat-pl
自動車 じどうしゃ
柔 やわ らかい砂 すな が私 わたし たちの車 くるま を捕 と らえていった。
極 きわ めて珍 めずら しい格 かく 標示 ひょうじ の方法 ほうほう として声調 せいちょう の変化 へんか によるものが5(マリ のドゴン語 ご ジャマサイ方言 ほうげん Jamsay 、チャド のマバ語 ご 、南 みなみ スーダン のシルク語 ご Shilluk 、ケニア のナンディ語 ご 、ケニアおよびタンザニア のマサイ語 ご )[注 ちゅう 1] 、語幹 ごかん の変化 へんか によるものが1(南 みなみ スーダンおよびエチオピア のヌエル語 ご )あった。いずれもアフリカの言語 げんご で、うちシルク語 ご 、ヌエル語 ご 、ナンディ語 ご 、マサイ語 ご はナイル諸語 しょご に属 ぞく す。以下 いか にナンディ語 ご の例文 れいぶん を挙 あ げるが、その出典 しゅってん はCreider & Creider[4] :12 からのもので、アクサンテギュは高音 こうおん 調 ちょう 、アクサングラーヴは低 てい 下降 かこう 調 ちょう 、何 なん のダイアクリティカルマーク もついていないものは低 てい 音調 おんちょう を表 あらわ す[4] :12 。また、ナンディ語 ご の母音 ぼいん は /a, e, i, o, u/ の5つを基本 きほん とし、それぞれに長短 ちょうたん や前方 ぜんぽう 舌根 ぜっこん 性 せい (ATR)の有無 うむ の区別 くべつ がある[4] :12, 23 ため、声調 せいちょう の区別 くべつ を考 かんが えなければ20通 とお りの母音 ぼいん が存在 そんざい する。
声調 せいちょう の変化 へんか による格 かく 標示 ひょうじ の例 れい (ナンディ語 ご )
a.
kè̘ːr-é̘j
kí̘ pe̘ːt
la̙ːkwé̙ːt
見 み る-ipfv
キベート.nom
子供 こども .obl
(慣用 かんよう 綴 つづ り: Kerei Kibet lakwet.)「キベートが子供 こども を見 み ている」(語順 ごじゅん はVSO)
b.
kè̘ːr-é̘j
ki̘ pe̘ːt
kí̘pro̘ːno̘
見 み る-ipfv
キベート.obl
キプロノ.nom
(慣用 かんよう 綴 つづ り: Kerei Kibet Kiprono.)「キプロノがキベートを見 み ている」(語順 ごじゅん はVOS)
インド・ヨーロッパ語族 ごぞく の多 おお くの言語 げんご では、名詞 めいし や形容詞 けいようし の語形 ごけい 変化 へんか (曲 きょく 用 よう )によって格 かく を標示 ひょうじ する。
インド・ヨーロッパ祖語 そご には8つの格 かく があったとされるが、現在 げんざい では格 かく 標示 ひょうじ が他 た の手段 しゅだん によって行 おこな われ、語形 ごけい 変化 へんか の衰退 すいたい している言語 げんご も多 おお い。古 ふる いインド・ヨーロッパ語 ご の例 れい として、以下 いか にラテン語 らてんご の名詞 めいし の格 かく 変化 へんか の一 いち 例 れい を示 しめ す。
homo 「人 ひと 」の格 かく 変化 へんか
単数 たんすう
複数 ふくすう
主格 しゅかく
homo
homin-es
属 ぞく 格 かく
homin-is
homin-um
与格 よかく
homin-i
homin-ibus
対格 たいかく
homin-em
homin-es
奪 だつ 格 かく
homin-e
homin-ibus
呼 よび 格 かく
homo
homin-es
古 ふる いインド・ヨーロッパ語 ご では格 かく 変化 へんか によって格 かく が明示 めいじ されるため、語順 ごじゅん はかなり自由 じゆう であった。現代 げんだい の言語 げんご では語順 ごじゅん が定 さだ まる傾向 けいこう があり、特 とく に英語 えいご やロマンス語 ご (フランス語 ふらんすご 、スペイン語 ご 、イタリア語 ご など)では代名詞 だいめいし を除 のぞ いて格 かく 変化 へんか が消失 しょうしつ したため、格 かく の表示 ひょうじ はほぼ完全 かんぜん に語順 ごじゅん および前置詞 ぜんちし に頼 たよ っている。ドイツ語 ご は格 かく 変化 へんか を保 たも っているが、名詞 めいし 自体 じたい の格 かく 変化 へんか はかなり失 うしな われており、冠詞 かんし や形容詞 けいようし の格 かく 変化 へんか により間接 かんせつ 的 てき に名詞 めいし の格 かく が示 しめ される。
語形 ごけい 変化 へんか によって格 かく をマークするシステムについては、ほとんどの言語 げんご 学者 がくしゃ が格 かく と呼 よ ぶことに同意 どうい している[5] :3 。それ以外 いがい にも名詞 めいし 句 く が持 も つ意味 いみ 的 てき ・統語 とうご 的 てき 関係 かんけい を標示 ひょうじ する体系 たいけい はいろいろ存在 そんざい するが、どこまでを格 かく として捉 とら えるかは言語 げんご 学者 がくしゃ によって異 こと なる。
前置詞 ぜんちし や後 こう 置 おけ 詞 し (助詞 じょし )などの接 せっ 置 おけ 詞 し 、接頭 せっとう 辞 じ や接尾 せつび 辞 じ などの接辞 せつじ は分析 ぶんせき 的 てき な格 かく の標識 ひょうしき と考 かんが えることができる[1] :9, 47 。
日本語 にほんご の格 かく 助詞 じょし はこの典型 てんけい 的 てき な例 れい である。フィンランド語 ご 、ハンガリー語 ご などのウラル語族 ごぞく は、場所 ばしょ や移動 いどう に関 かん する格 かく が発達 はったつ している。たとえば、エストニア語 ご は14種類 しゅるい の格 かく があることで知 し られる。
後 こう 置 おけ 詞 し による格 かく 標示 ひょうじ の例 れい (バスク語 ご )
Jon
=ek
Miren
=i
liburu
=a
=Ø
eman dio
ヨン
=ERG
ミレン
=DAT
本 ほん
=SG
=ABS
あげた
「ヨンがミレンに本 ほん をあげた」
格 かく 標示 ひょうじ を動詞 どうし の側 がわ で行 おこな う言語 げんご もある。エスキモー・アレウト語族 ごぞく では、
wája hanwaswilswálhi 「彼 かれ はナイフでそれを切 き った」[6] :30
において、wája(ナイフ)に格 かく 標示 ひょうじ はついていないが、動詞 どうし han-wa-swilswál-hi の -wa- の部分 ぶぶん によってそれが具 ぐ 格 かく であることを示 しめ す(なお、主語 しゅご と目的 もくてき 語 ご が三人称 さんにんしょう であることも動詞 どうし の側 がわ で示 しめ されている)。
主語 しゅご と目的 もくてき 語 ご については名詞 めいし に格 かく 標示 ひょうじ を加 くわ えず、固定 こてい された語順 ごじゅん によって表現 ひょうげん する言語 げんご が多 おお い。
中国 ちゅうごく 語 ご では語順 ごじゅん によって格 かく が定 さだ まるが、介 かい 詞 し (前置詞 ぜんちし )も用 もち いられる。ただ、日本語 にほんご なら格 かく 助詞 じょし を使 つか うところを動詞 どうし +目的 もくてき 語 ご の組 く み合 あ わせで表現 ひょうげん することもある。たとえば、「汽車 きしゃ で北京 ぺきん へ行 い く」は「汽車 きしゃ に座 すわ って北京 ぺきん へ行 い く」(坐 すわ 火 ひ 車 しゃ 上 じょう 北京 ぺきん )のように表現 ひょうげん できる。実際 じっさい 、介 かい 詞 し の多 おお くは歴史 れきし 的 てき には動詞 どうし で、常 つね にほかの動詞 どうし と組 く み合 あ わせて使 つか われるようになったものである。
日本語 にほんご では格 かく 助詞 じょし が名詞 めいし の後 のち につくだけである(それにより名詞 めいし 句 く 全体 ぜんたい の格 かく が標示 ひょうじ される)。インド・ヨーロッパ語族 ごぞく では、名詞 めいし を修飾 しゅうしょく する形容詞 けいようし は、修飾 しゅうしょく される名詞 めいし と格 かく を一致 いっち させる。
主語 しゅご や目的 もくてき 語 ご といった主要 しゅよう な項 こう を、文法 ぶんぽう 的 てき に区別 くべつ するパターンをアラインメントという。アラインメントの言語 げんご 類型 るいけい 論 ろん では、自動詞 じどうし の単 たん 一 いち 項 こう (いわゆる主語 しゅご )を S とする。また、他動詞 たどうし の2つの項 こう のうち、動作 どうさ 主 ぬし 的 てき な項 こう (いわゆる主語 しゅご )を A 、もう一方 いっぽう の項 こう (いわゆる目的 もくてき 語 ご )を P(または O )とする。
S・A・P を格 かく 標示 ひょうじ によって区別 くべつ する主 おも なパターンには、対格 たいかく 型 がた と能 のう 格 かく 型 がた がある。
対格 たいかく 型 がた 格 かく 組織 そしき は、S と A を同 おな じ格 かく で、P を別 べつ の格 かく で標示 ひょうじ する。この時 とき 、S と A の格 かく を主格 しゅかく 、P の格 かく を対格 たいかく と言 い う。典型 てんけい 的 てき には、主格 しゅかく が無 む 標 しるべ (引用 いんよう 形式 けいしき 〔単独 たんどく で発話 はつわ される時 とき の形式 けいしき 〕と同形 どうけい )、対格 たいかく が有 ゆう 標 しるべ である。
能 のう 格 かく 型 がた 格 かく 組織 そしき は、S と P を同 おな じ格 かく で、A を別 べつ の格 かく で標示 ひょうじ する。この時 とき 、S と P の格 かく を絶対 ぜったい 格 かく 、A の格 かく を能 のう 格 かく と言 い う。典型 てんけい 的 てき には、絶対 ぜったい 格 かく が無 む 標 しるべ 、能 のう 格 かく が有 ゆう 標 しるべ である。
典型 てんけい 的 てき な格 かく 標示 ひょうじ のアラインメントでは、自動詞 じどうし の主語 しゅご を標示 ひょうじ する主格 しゅかく や絶対 ぜったい 格 かく が無 む 標 しるべ となるが、そうでない言語 げんご もある。
たとえば、対格 たいかく が無 む 標 しるべ で主格 しゅかく が有 ゆう 標 しるべ の言語 げんご がある。このような言語 げんご の主格 しゅかく を有 ゆう 標 しるべ 主格 しゅかく と言 い う。有 ゆう 標 しるべ 主格 しゅかく を持 も つ言語 げんご は世界 せかい 的 てき には珍 めずら しいが、アフリカの言語 げんご にはよく見 み られる。
また、日本語 にほんご や朝鮮 ちょうせん 語 ご は、主格 しゅかく も対格 たいかく も有 ゆう 標 しるべ である。
能 のう 格 かく 型 がた 格 かく 組織 そしき でも、能 のう 格 かく が無 む 標 しるべ で絶対 ぜったい 格 かく が有 ゆう 標 しるべ の言語 げんご (ニアス語 ご のみ[7] )、絶対 ぜったい 格 かく も能 のう 格 かく も有 ゆう 標 しるべ な言語 げんご (トンガ語 ご などのポリネシア諸語 しょご )が存在 そんざい する。
西洋 せいよう における格 かく 概念 がいねん は、古代 こだい ギリシア の「プトーシス」(π ぱい τ たう ῶσις ptōsis)にさかのぼる。プトーシスとは「倒 たお れること」という意味 いみ で、「まっすぐな」形 かたち である基本形 きほんけい と違 ちが って「倒 たお れた」形 かたち を指 さ す言葉 ことば だった。もともとは、名詞 めいし のみならず動詞 どうし にも用 もち いられた。これのラテン語 らてんご 訳 やく が「カースス」(casus) であり、英語 えいご の「ケース」(case) など西洋 せいよう の文法 ぶんぽう ・言語 げんご 学 がく 用語 ようご の元 もと になった。
また、基本 きほん 的 てき な格 かく の名前 なまえ も古代 こだい ギリシアに端 はし を発 はっ する。ヘレニズム 期 き の文法 ぶんぽう 学 がく 者 もの サモトラケのアリスタルコス の一派 いっぱ がギリシア語 ご に五 いつ つの格 かく を設定 せってい し、弟子 でし の一人 ひとり であったディオニュシオス・トラクス がその文法 ぶんぽう 書 しょ 『文法 ぶんぽう の技法 ぎほう 』で下表 かひょう のように命名 めいめい した。これをもとにして、古代 こだい ローマ の文法 ぶんぽう 学者 がくしゃ レンミウス・パラエモン (英語 えいご 版 ばん ) が1世紀 せいき 頃 ころ ラテン語 らてんご の格 かく の名前 なまえ をつけた。このラテン語 らてんご の格 かく が、現代 げんだい の西洋 せいよう の文法 ぶんぽう や言語 げんご 学 がく において用 もち いられる語 かたり の起源 きげん である。
格 かく の名前 なまえ
ギリシャ語 ご
ラテン語 らてんご
英語 えいご
日本語 にほんご
ὀρθή (orthē)「まっすぐな」
nominativus「名前 なまえ の」
nominative
主格 しゅかく
γενική (genikē)「種族 しゅぞく の」
genetivus「生来 せいらい の」
genitive
属 ぞく 格 かく
δοτική (dotikē)「与 あた える」
dativus
dative
与格 よかく
α あるふぁ ἰτιατική (aitiatikē)「影響 えいきょう された」
accusativus「告訴 こくそ の」[注 ちゅう 2]
accusative
対格 たいかく
κλητική (klētikē)「呼 よ ぶ」
vocativus
vocative
呼 よび 格 かく
この名前 なまえ の付 つ け方 かた が示唆 しさ するように、ギリシア・ローマにおいては、それぞれの格 かく は特定 とくてい の意味 いみ 機能 きのう と関連 かんれん づけられていた。例 たと えば、与格 よかく は「何 なに かを与 あた えられるもの」の格 かく であり、呼 よび 格 かく は「呼 よ ばれるもの」の格 かく であると観念 かんねん されていた。
紀元前 きげんぜん 4世紀 せいき ごろのパーニニ によるサンスクリット文法 ぶんぽう では、格 かく に名前 なまえ を付 つ けることはせず、下表 かひょう のように番号 ばんごう を振 ふ った。
サンスクリットの格 かく の番号 ばんごう
番号 ばんごう
देव (deva)「神 かみ 」の変化 へんか
日本語 にほんご 名 めい
1
देवः (devaḥ)
主格 しゅかく
2
देवम् (devam)
対格 たいかく
3
देवेन (devena)
具 ぐ 格 かく
4
देवाय (devāya)
与格 よかく
5
देवात् (devāt)
奪 だつ 格 かく
6
देवस्य (devasya)
属 ぞく 格 かく
7
देवे (deve)
処 しょ 格 かく
パーニニはこれらの格 かく が規則 きそく 的 てき にある意味 いみ を表 あらわ すことを、カーラカ理論 りろん と呼 よ ばれる仕組 しく みで表現 ひょうげん した。カーラカ (कारक kāraka) とは「行為 こうい 者 しゃ 」の意味 いみ で、動詞 どうし の表 あらわ す事態 じたい に関 かか わる「行為 こうい 者 しゃ 」がどのような役割 やくわり を持 も っているかを示 しめ したものである。パーニニは次 つぎ の六 むっ つのカーラカを定義 ていぎ している[8] :278 。
カーラカとその定義 ていぎ
カーラカ
定義 ていぎ
日本語 にほんご 名 めい
अपादान (apādāna)
何 なに かが引 ひ き出 だ される点 てん
起点 きてん
सम्प्रदान (sampradāna)
karman を通 とお して見 み えるもの
着 ちゃく 点 てん
करण (karaṇa)
最 もっと も効果 こうか 的 てき な手段 しゅだん
道具 どうぐ
अधिकरण (adhikaraṇa)
場所 ばしょ
場所 ばしょ
कर्मन् (karman)
行為 こうい 者 しゃ が欲 ほっ しているもの
被 ひ 動 どう 者 しゃ
कर्तृ (kartṛ)
独立 どくりつ して振 ふ る舞 ま うもの
行為 こうい 者 しゃ
このように、格 かく の形式 けいしき と意味 いみ 役割 やくわり を分離 ぶんり することで、ある意味 いみ が複数 ふくすう の格 かく に対応 たいおう する場合 ばあい を的確 てきかく に記述 きじゅつ していた。
日本 にっぽん に伝 つた えられた悉曇 しったん 学 がく では、サンスクリットの八 やっ つの格 かく は八 はち 転 てん 声 ごえ (はってんじょう)と呼 よ ばれ、「体 からだ 声 ごえ 」「業 ごう 声 ごえ 」「具 ぐ 声 ごえ (または作 さく 声 ごえ )」「為 ため 声 ごえ 」「従 したがえ 声 ごえ (または依 よ 声 こえ )」「属 ぞく 声 ごえ 」「於声」「呼声 よびごえ 」と称 しょう された[9] [10] 。
蘭学 らんがく 者 しゃ の藤林 ふじばやし 普 ひろし 山 さん は、オランダ語 ご の六 むっ つの格 かく に「主格 しゅかく 」「呼 よび 格 かく 」などの訳語 やくご をあてた[11] 。国学 こくがく 者 しゃ の鶴 つる 峯 みね 戊 つちのえ 申 さる は、蘭学 らんがく の影響 えいきょう のもと日本語 にほんご にも格 かく を見出 みいだ し、近 きん 現代 げんだい の日本語 にほんご 学 がく に影響 えいきょう を与 あた えた[11] 。
^ なお、これら5言語 げんご にも次 つぎ のように優勢 ゆうせい な語順 ごじゅん というものは存在 そんざい する。ドゴン語 ご ジャマサイ方言 ほうげん とマバ語 ご : SOV型 がた ; シルク語 ご : SVO型 がた ; ナンディ語 ご とマサイ語 ご : VSO型 がた [3] 。
^ ギリシア語 ご aitiatikē には複数 ふくすう の意味 いみ があり、ディオニュシオスは「影響 えいきょう された」という意味 いみ で用 もち いたのだが、レンミウスは「訴 うった えられた」という意味 いみ と誤解 ごかい して、accusativus 「告訴 こくそ の」を訳語 やくご として選 えら んでしまった[5] :14 。
^ a b Blake, Barry J. (2001). Case . Cambridge: Cambridge University Press
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