言語 げんご 類型 るいけい 論 ろん (げんごるいけいろん、英語 えいご :linguistic typology)は、世界 せかい 中 なか の言語 げんご の特徴 とくちょう を収集 しゅうしゅう し、それらの相違 そうい 点 てん 、類似 るいじ 点 てん を探 さぐ る、言語 げんご 学 がく の分野 ぶんや である。
特 とく にその「特徴 とくちょう 」として、統語 とうご 論 ろん や意味 いみ 論 ろん といった言語 げんご 学 がく 的 てき な観点 かんてん に基 もと づくものを採 と る。一方 いっぽう で、歴史 れきし 的 てき 系統 けいとう 関係 かんけい 、地理 ちり 的 てき 分布 ぶんぷ 、社会 しゃかい 状況 じょうきょう などは通常 つうじょう 、対象 たいしょう としない。言語 げんご 類型 るいけい 論 ろん とは異 こと なる分野 ぶんや として、歴史 れきし 言語 げんご 学 がく (特 とく に比較 ひかく 言語 げんご 学 がく )による系統 けいとう 上 じょう の分類 ぶんるい は語族 ごぞく と呼 よ ばれている。それに対 たい して、類型 るいけい 論 ろん 的 てき 分類 ぶんるい は類型 るいけい と呼 よ ぶ。
日本語 にほんご と英語 えいご 、英語 えいご とドイツ語 ご というように、2種類 しゅるい ないし少数 しょうすう の特定 とくてい の言語 げんご を対象 たいしょう にする対照 たいしょう 言語 げんご 学 がく とも異 こと なり[ 1] 、基本 きほん 的 てき に多数 たすう の言語 げんご を対象 たいしょう とする。
20世紀 せいき 前半 ぜんはん までの類型 るいけい 論 ろん は、アウグスト・シュライヒャー による屈折 くっせつ 語 ご ・膠着 こうちゃく 語 ご ・孤立 こりつ 語 ご の3分類 ぶんるい に見 み られるように、いくつかの類型 るいけい に分類 ぶんるい する、というスタイルであった。部分 ぶぶん 的 てき な文法 ぶんぽう 現象 げんしょう ごとに多 おお くの言語 げんご を比較 ひかく するという、現在 げんざい の類型 るいけい 論 ろん を基礎 きそ づけたのはジョーゼフ・グリーンバーグ である。彼 かれ 以降 いこう 、類型 るいけい 論 ろん の主要 しゅよう な関心 かんしん は、部分 ぶぶん 的 てき な文法 ぶんぽう 現象 げんしょう ごとに多 おお くの言語 げんご を比較 ひかく することで、人間 にんげん 言語 げんご に見 み られる普遍 ふへん 的 てき な性質 せいしつ を見 み いだすことに移 うつ ってきている。
全 すべ ての言語 げんご について網羅 もうら 的 てき にデータを集 あつ めることは事実 じじつ 上 じょう 不可能 ふかのう なので、類型 るいけい 論 ろん の研究 けんきゅう 者 しゃ はなんらかの形 かたち でサンプル をとる必要 ひつよう がある。その場合 ばあい 、できるかぎり無関係 むかんけい な言語 げんご から均等 きんとう にサンプルを集 あつ めることが望 のぞ ましい。そうでないと、たまたま歴史 れきし 的 てき 起源 きげん が同一 どういつ であったとか、地理 ちり 的 てき な近 ちか さによる影響 えいきょう で、サンプルの言語 げんご が共通 きょうつう の性質 せいしつ を示 しめ すかもしれないからである。グリーンバーグは30言語 げんご を調査 ちょうさ 対象 たいしょう にしたが、その3分 ぶん の1近 ちか くがインド・ヨーロッパ語族 ごぞく であり、今日 きょう 的 てき 観点 かんてん からするとそのサンプリングには問題 もんだい があったことが指摘 してき されている。
類型 るいけい 論 ろん 的 てき 研究 けんきゅう によって見 み いだされる普遍 ふへん 性 せい には、次 つぎ のようなものがある。絶対 ぜったい 的 てき 普遍 ふへん 性 せい とは、これまでのところ例外 れいがい なく全 すべ ての言語 げんご に当 あ てはまるような普遍 ふへん 性 せい であり、たとえば次 つぎ のようなものが挙 あ げられる(ただし異論 いろん がないわけではない)。
上唇 うわくちびる と下 した の歯 は で閉鎖 へいさ を作 つく って調音 ちょうおん する音 おと をもつ言語 げんご は(生理 せいり 的 てき に不可能 ふかのう ではないが)存在 そんざい しない。
全 すべ ての言語 げんご は名詞 めいし と動詞 どうし の区別 くべつ を持 も つ。
それに対 たい して、次 つぎ のような命題 めいだい には少数 しょうすう だが例外 れいがい があり、非 ひ 絶対 ぜったい 的 てき 普遍 ふへん 性 せい と呼 よ ばれる。
摩擦音 まさつおん が一 ひと つしかない言語 げんご では、その摩擦音 まさつおん は [s] である。(例外 れいがい :ハワイ語 ご の摩擦音 まさつおん は [h ] のみ、マオリ語 ご では [ɸ ][h] のみである[ 注釈 ちゅうしゃく 1] )
ほとんどの言語 げんご で、平叙 へいじょ 文 ぶん の末尾 まつび を上昇 じょうしょう 調 ちょう で発音 はつおん すると yes/no 疑問 ぎもん 文 ぶん として機能 きのう する。(例外 れいがい :タイ語 ご などでは疑問 ぎもん をイントネーションで示 しめ さない)
絶対 ぜったい 的 てき /非 ひ 絶対 ぜったい 的 てき の区別 くべつ とは別 べつ に、普遍 ふへん 性 せい には含意 がんい 的 てき か、非 ひ 含意 がんい 的 てき かの区別 くべつ がある。含意 がんい 的 てき 普遍 ふへん 性 せい とは条件 じょうけん 文 ぶん の形 かたち で記述 きじゅつ されるような普遍 ふへん 性 せい であり、たとえば次 つぎ のようなものが挙 あ げられる。
ある言語 げんご が VSO(動詞 どうし -主語 しゅご -目的 もくてき 語 ご )語順 ごじゅん をもつなら、その言語 げんご では形容詞 けいようし は名詞 めいし に後続 こうぞく する。
この含意 がんい 的 てき 普遍 ふへん 性 せい の発展 はってん 的 てき な形 かたち として「含意 がんい 階層 かいそう 」の考 かんが え方 かた がある。たとえば、英語 えいご ではさまざまな文法 ぶんぽう 的 てき 役割 やくわり をもつ語 かたり が関係 かんけい 節 ぶし の先行 せんこう 詞 し になれるのに対 たい し、マダガスカル語 ご では主語 しゅご しか関係 かんけい 節 ぶし 化 か できない。エドワード・キーナン とバーナード・コムリー は、名詞 めいし 句 く の文法 ぶんぽう 役割 やくわり には主語 しゅご >直接 ちょくせつ 目的 もくてき 語 ご >非 ひ 直接 ちょくせつ 目的 もくてき 語 ご >所有 しょゆう 者 しゃ 、といった階層 かいそう があり、言語 げんご がある文法 ぶんぽう 役割 やくわり の名詞 めいし 句 く を関係 かんけい 節 ぶし 化 か できるなら、その言語 げんご ではより上位 じょうい の文法 ぶんぽう 役割 やくわり の名詞 めいし 句 く も関係 かんけい 節 ぶし 化 か できるという普遍 ふへん 性 せい があることを示 しめ した[ 2] 。これは名詞 めいし 句 く の接近 せっきん 可能 かのう 性 せい 階層 かいそう と呼 よ ばれる。
類型 るいけい 論 ろん は伝統 でんとう 的 てき に機能 きのう 主義 しゅぎ 言語 げんご 学 がく との結 むす びつきが強 つよ く、見 み いだされた普遍 ふへん 性 せい に対 たい して、言語 げんご 以外 いがい の認知 にんち 能力 のうりょく 、言語 げんご 処理 しょり 上 じょう の負担 ふたん 、コミュニケーションの目的 もくてき などの外的 がいてき 要因 よういん にその説明 せつめい を求 もと める傾向 けいこう が強 つよ い。たとえばラテン語 らてんご のように屈折 くっせつ が豊富 ほうふ な言語 げんご において語順 ごじゅん が自由 じゆう である傾向 けいこう があることは、語 かたり のあいだの文法 ぶんぽう 関係 かんけい をき手 きて に伝 つた える上 うえ で、格 かく が明示 めいじ されていれば語順 ごじゅん に頼 たよ る必要 ひつよう がないからという観点 かんてん から説明 せつめい される。また、世界 せかい の言語 げんご の色彩 しきさい 語彙 ごい について調査 ちょうさ したバーリンとケイの研究 けんきゅう は、色彩 しきさい 語彙 ごい には白 しろ ・黒 くろ >赤 あか >黄 き ・緑 みどり >青 あお >…という階層 かいそう 性 せい があり、下位 かい の色彩 しきさい 語彙 ごい をもつ言語 げんご では必 かなら ずより上位 じょうい の色彩 しきさい 語彙 ごい ももつという普遍 ふへん 性 せい があることを明 あき らかにしたが、のちの研究 けんきゅう でこの傾向 けいこう は視覚 しかく 系 けい の神経 しんけい 学 がく 的 てき 特徴 とくちょう を反映 はんえい したものであることが示 しめ された[ 3] [ 4] 。
生 なま 成文法 せいぶんほう もやはり言語 げんご 普遍 ふへん 性 せい の追究 ついきゅう を標榜 ひょうぼう する学問 がくもん であるが、そのアプローチは大 おお きく異 こと なっており、特 とく に初期 しょき にはその研究 けんきゅう 対象 たいしょう が英語 えいご に集中 しゅうちゅう していたこともあり、類型 るいけい 論 ろん との結 むす びつきは弱 よわ かった。しかしながら近年 きんねん では生成 せいせい 文法 ぶんぽう も多 おお くの言語 げんご に応用 おうよう されるようになってきており、原理 げんり とパラメータのアプローチ に基 もと づいて言語 げんご の多様 たよう 性 せい を捉 とら えることを試 こころ みたマーク・ベイカー による研究 けんきゅう
[ 5] など、類型 るいけい 論 ろん の背後 はいご にある理論 りろん 的 てき 立場 たちば は一枚岩 いちまいいわ ではなくなりつつある。
形態 けいたい 論 ろん 的 てき 特徴 とくちょう に基 もと づく言語 げんご の全体 ぜんたい 的 てき 分類 ぶんるい は、類型 るいけい 論 ろん のなかで最 もっと も古 ふる い歴史 れきし をもち、19世紀 せいき ヨーロッパにその来 らい 源 みなもと を遡 さかのぼ ることができる。類型 るいけい 論 ろん に貢献 こうけん した初期 しょき の学者 がくしゃ としてはフリードリヒ・フォン・シュレーゲル とヴィルヘルム・フォン・フンボルト の名 な が挙 あ げられる。
シュライヒャー は、現在 げんざい でもよく用 もち いられる次 つぎ の3分類 ぶんるい を提案 ていあん した(これに抱合 ほうごう 語 ご を加 くわ えて4類型 るいけい とすることも多 おお い)。
当時 とうじ の類型 るいけい 論 ろん の特徴 とくちょう はこれらの区別 くべつ が単 たん に文法 ぶんぽう 的 てき 特徴 とくちょう にとどまらず、背後 はいご の文化 ぶんか や精神 せいしん を反映 はんえい したものであると捉 とら えられていたことであり、シュライヒャーは孤立 こりつ 語 ご →膠着 こうちゃく 語 ご →屈折 くっせつ 語 ご の順 じゅん に言語 げんご は発展 はってん し洗練 せんれん されると考 かんが えていた。現在 げんざい ではこのように言語 げんご の文法 ぶんぽう 的 てき 特徴 とくちょう を文化 ぶんか の相違 そうい と結 むす びつけて議論 ぎろん することは少 すく なくなっている。
エドワード・サピア はシュライヒャーの分類 ぶんるい を改良 かいりょう し、「融合 ゆうごう の指標 しひょう 」と「総合 そうごう の指標 しひょう 」という2つの指標 しひょう によってある言語 げんご の形態 けいたい 論 ろん 的 てき 特徴 とくちょう を捉 とら えることを提案 ていあん した。
グリーンバーグ は1963年 ねん にSome universals of grammar with particular reference to the order of meaningful elements により、基本 きほん 的 てき な語彙 ごい の語順 ごじゅん による分類 ぶんるい を考案 こうあん した。これは、一般 いっぱん 的 てき な他動詞 たどうし 文 ぶん に必須 ひっす の3要素 ようそ を主語 しゅご (Subject)、目的 もくてき 語 ご (Object)、述語 じゅつご (Verb)とし、その語順 ごじゅん により世界 せかい の言語 げんご を6つに分 わ けるものである。
ただし、言語 げんご の中 なか には基本 きほん 語順 ごじゅん が定 さだ まっていないもの(例 たと えば、SVOとSOVを同 おな じ程度 ていど の頻度 ひんど で取 と るもの)があり、この分類 ぶんるい が完全 かんぜん に有効 ゆうこう かどうかについては異論 いろん がある。
また、十分 じゅうぶん なデータが揃 そろ っていないと、倒置 とうち が基本 きほん 語順 ごじゅん のように見 み えてしまうこともあるので、注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。
名詞 めいし ・動詞 どうし ・形容詞 けいようし ・副詞 ふくし ・感動 かんどう 詞 し といった品詞 ひんし (語 かたり 類 るい ) の分布 ぶんぷ に加 くわ えて、 性 せい ・数 かず ・格 かく ・人称 にんしょう ・時制 じせい ・アスペクト ・モダリティ ・証拠 しょうこ 性 せい のような、語 かたり に標示 ひょうじ される文法 ぶんぽう 範疇 はんちゅう も言語 げんご 類型 るいけい 論 ろん の対象 たいしょう となっている。
他動詞 たどうし 文 ぶん と自動詞 じどうし 文 ぶん を比較 ひかく したときに、他動詞 たどうし 文 ぶん と自動詞 じどうし 文 ぶん のいずれでも主語 しゅご に同 おな じ格 かく が用 もち いられ、他動詞 たどうし 文 ぶん の目的 もくてき 語 ご に異 こと なった格 かく が用 もち いられるものを対格 たいかく 型 がた 言語 げんご と呼 よ ぶ。一方 いっぽう 、他動詞 たどうし 文 ぶん の目的 もくてき 語 ご と自動詞 じどうし 文 ぶん の主語 しゅご とに同 おな じ格 かく が使 つか われ、他動詞 たどうし 文 ぶん の主語 しゅご に別 べつ の形 かたち を用 もち いるものを能 のう 格 かく 型 がた 言語 げんご と呼 よ ぶ。
例 たと えば、日本語 にほんご は、
太郎 たろう が 走 はし る。
太郎 たろう が ウィキペディアを読 よ む。
のように、自動詞 じどうし 文 ぶん 、他動詞 たどうし 文 ぶん のいずれにおいても同 おな じガ格 かく が用 もち いられるため、対格 たいかく 型 がた の言語 げんご であるといえる。
主要 しゅよう 部 ぶ 標示 ひょうじ と従属 じゅうぞく 部 ぶ 標示 ひょうじ [ 編集 へんしゅう ]
被 ひ 修飾 しゅうしょく 語 ご と修飾 しゅうしょく 語 ご 、動詞 どうし と項 こう 、などの従属 じゅうぞく 的 てき な文法 ぶんぽう 関係 かんけい の標示 ひょうじ 法 ほう によって、言語 げんご を分類 ぶんるい することもできる。この表示法 ひょうじほう は、主要 しゅよう 部 ぶ (被 ひ 修飾 しゅうしょく 語 ご ・動詞 どうし など)の形態 けいたい による主要 しゅよう 部 ぶ 標示 ひょうじ (Head-marking)と、従属 じゅうぞく 部 ぶ (修飾 しゅうしょく 語 ご ・項 こう など)の形態 けいたい による従属 じゅうぞく 部 ぶ 標示 ひょうじ (Dependent-marking)に分 わ けられる。言語 げんご の分類 ぶんるい としては、これらの一方 いっぽう だけを使 つか うタイプのほかに、両方 りょうほう を使 つか う二 に 重 じゅう 標示 ひょうじ (Double-marking)と、どちらも使 つか わない無 む 標示 ひょうじ (No-marking)がある。
日本語 にほんご は典型 てんけい 的 てき な従属 じゅうぞく 部 ぶ 標示 ひょうじ 言語 げんご である。項 こう は名詞 めいし につく格 かく 助詞 じょし で示 しめ され(動詞 どうし は変化 へんか しない)、修飾 しゅうしょく 語 ご はその末尾 まつび の助詞 じょし 「の」や述語 じゅつご 語尾 ごび (連体 れんたい 形 がた 、連用形 れんようけい など)で示 しめ される(被 ひ 修飾 しゅうしょく 語 ご は変化 へんか しない)。
主要 しゅよう 部 ぶ 標示 ひょうじ 言語 げんご の例 れい としてはバスク語 ご があり、主語 しゅご や目的 もくてき 語 ご の種類 しゅるい (人称 にんしょう 、数 かず )が動詞 どうし に示 しめ される。
二 に 重 じゅう 標示 ひょうじ 言語 げんご には多 おお くのインド・ヨーロッパ語 ご やトルコ語 ご 、アイヌ語 ご など多数 たすう の言語 げんご が含 ふく まれる。これらは動詞 どうし に主語 しゅご または目的 もくてき 語 ご が示 しめ されるほか、名詞 めいし とそれを修飾 しゅうしょく する形容詞 けいようし の間 あいだ が格 かく ・数 かず ・性 せい の一致 いっち によって結 むす びつけられたり、あるいは所有 しょゆう 者 しゃ (修飾 しゅうしょく 語 ご )が名詞 めいし (被 ひ 修飾 しゅうしょく 語 ご )の一部 いちぶ として示 しめ されたりする。
無 む 標示 ひょうじ 言語 げんご の例 れい には中国 ちゅうごく 語 ご などの孤立 こりつ 語 ご があり、文法 ぶんぽう 的 てき 関係 かんけい は語順 ごじゅん 、あるいは独立 どくりつ 性 せい のある前置詞 ぜんちし などで示 しめ される(英語 えいご も所有 しょゆう 格 かく の-'sや3人称 にんしょう 単数 たんすう の-sなどを除 のぞ けばこれに近 ちか い)。
主語 しゅご 優勢 ゆうせい 言語 げんご と主題 しゅだい 優勢 ゆうせい 言語 げんご [ 編集 へんしゅう ]
動詞 どうし 枠 わく 付 づ け言語 げんご と衛星 えいせい 枠 わく 付 づ け言語 げんご [ 編集 へんしゅう ]
移動 いどう を表 あらわ す動詞 どうし 表現 ひょうげん に関 かん しては、手段 しゅだん や様式 ようしき による区別 くべつ を動詞 どうし 自体 じたい で表現 ひょうげん することが多 おお いVerb-framed language(動詞 どうし 枠 わく 付 づ け言語 げんご )と、動詞 どうし に付属 ふぞく する不 ふ 変化 へんか 詞 し (副詞 ふくし ・前置詞 ぜんちし )や接辞 せつじ で区別 くべつ することが多 おお いSatellite-framed language(衛星 えいせい 枠 わく 付 づ け言語 げんご )とが存在 そんざい する。前者 ぜんしゃ には日本語 にほんご やロマンス語 ご (フランス語 ふらんすご やスペイン語 ご )が挙 あ げられる。例 たと えば日本語 にほんご では「入 はい る」「下 くだ る」「通 とお る」などが別 べつ の動詞 どうし として存在 そんざい し普通 ふつう に使 つか われる。後者 こうしゃ には英語 えいご 、ドイツ語 ご 、ロシア語 ご など多 おお くの印欧語 いんおうご や、中国 ちゅうごく 語 ご などがある。例 たと えば英語 えいご では、"go in"、"go down"、"go through"など共通 きょうつう の動詞 どうし を用 もち いるい方 いかた が使 つか われる。ドイツ語 ご でもこれに似 に て接辞 せつじ をつけた分離 ぶんり 動詞 どうし が使 つか われる。
通 つう 時 じ 類型 るいけい 論 ろん ・地域 ちいき 類型 るいけい 論 ろん [ 編集 へんしゅう ]
言語 げんご 類型 るいけい 論 ろん の研究 けんきゅう 領域 りょういき は、ここまで述 の べてきたような言語 げんご 特徴 とくちょう の共 とも 時 じ 的 てき な分布 ぶんぷ に留 と まらない。諸 しょ 言語 げんご の通 つう 時 じ 的 てき な変化 へんか のパターン (e.g. 文法 ぶんぽう 化 か の経路 けいろ )も、類型 るいけい 論 ろん の対象 たいしょう となりうる。歴史 れきし 言語 げんご 学 がく においては、隣接 りんせつ する言語 げんご 同士 どうし の接触 せっしょく を通 とお した言語 げんご 連合 れんごう の形成 けいせい も関心 かんしん の的 まと となってきたが、言語 げんご 類型 るいけい 論 ろん はそうした言語 げんご 特徴 とくちょう の地域 ちいき 的 てき な偏 かたよ りもカバーしている。
世界 せかい の言語 げんご に見 み られる様々 さまざま な文法 ぶんぽう 現象 げんしょう を類型 るいけい 化 か したデータベースとして『世界 せかい 言語 げんご 構造 こうぞう 地図 ちず (World Atlas of Language Structures. WALS)』がある[ 12] 。 同様 どうよう のデータベースとして、WALSを運営 うんえい しているマックス・プランク進化 しんか 人類 じんるい 学 がく 研究所 けんきゅうじょ などが開発 かいはつ に関 かか わったGrambank[ 13] も挙 あ げられる。
^ 風間 かざま 喜代三 きよぞう ほか『言語 げんご 学 がく 』東京大学 とうきょうだいがく 出版 しゅっぱん 会 かい 、1993年 ねん
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^ Paul Kay and Chad K. McDaniel. The Linguistic Significance of the Meanings of Basic Color Terms. Language 54: 610-46. 1978.
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^ 日本語 にほんご の系統 けいとう とその遺伝子 いでんし 的 てき 背景 はいけい <配付 はいふ 資料 しりょう > 松本 まつもと 克己 かつみ
^ “WALS Online ”. 2024年 ねん 2月 がつ 3日 にち 閲覧 えつらん 。
^ “Grambank ”. 2024年 ねん 2月 がつ 3日 にち 閲覧 えつらん 。
^ なお、[h ]が摩擦音 まさつおん であるかについては議論 ぎろん がある。詳細 しょうさい は「摩擦音 まさつおん #声門 せいもん 摩擦音 まさつおん 」を参照 さんしょう 。
Comrie, Bernard (1989). Language universals and linguistic typology: Syntax and morphology, 2nd edition . Oxford: Blackwell (松本 まつもと 克己 かつみ ・山本 やまもと 秀樹 ひでき 訳 わけ 『言語 げんご 普遍 ふへん 性 せい と言語 げんご 類型 るいけい 論 ろん 』ひつじ書房 しょぼう 、1992年 ねん )
Croft, William (2003). Typology and universals . Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 978-0-511-84057-9
Lindsay J. Whaley. Introduction to typology: The unity and diversity of language. Newbury Park: Sage. 1997. (大堀 おおほり 壽夫 としお ・古賀 こが 裕章 ひろあき ・山泉 やましみず 実 み 訳 わけ 『言語 げんご 類型 るいけい 論 ろん 入門 にゅうもん 言語 げんご の普遍 ふへん 性 せい と多様 たよう 性 せい 』岩波書店 いわなみしょてん 、2006年 ねん )
角田 つのだ 太作 たいさく 『世界 せかい の言語 げんご と日本語 にほんご 』くろしお出版 しゅっぱん 、1991年 ねん
堀江 ほりえ , 薫 かおる 、秋田 あきた , 喜美 きみ 、北野 きたの , 浩章 ひろあき 「屈折 くっせつ ・派生 はせい 」『言語 げんご 学 がく 類型 るいけい 論 ろん 』開拓 かいたく 社 しゃ 、2021年 ねん 。
松本 まつもと 克己 かつみ 『世界 せかい 言語 げんご への視座 しざ :歴史 れきし 言語 げんご 学 がく と言語 げんご 類型 るいけい 論 ろん 』三省堂 さんせいどう 、2006年 ねん 、ISBN 978-4385362779
Ladefoged, Peter and Sandra F. Disner (2012) Vowels and Consonants , Wily-Blackwell, 『母音 ぼいん と子音 しいん :音声 おんせい 学 がく の世界 せかい に踏 ふ み出 だ そう』田村 たむら 幸 さいわい 誠 まこと ・貞光 さだみつ 宮城 みやぎ 訳 やく 、開拓 かいたく 社 しゃ 、2021年 ねん . ISBN 978-4-7589-2286-9
Velupillai, Viveka (2012). An Introduction to Linguistic Typology . Amsterdam: John Benjamins Publishing Company. doi :10.1075/z.176 . ISBN 978-90-272-1198-9