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意味いみろん (言語げんごがく)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

意味いみろん(いみろん、えい: semantics)とは、言語げんごがくにおいてかたりぶん・テクストといった記号きごうれつ文字もじれつ)の構成こうせいについてろんじる統語とうごろんと2だい分野ぶんやとしてたいをなす、その記号きごうれつあらわ意味いみについてろんじる分野ぶんやである。また、実際じっさい発話はつわ文脈ぶんみゃく依存いぞんした記号きごう使用しようかかわるかたりようろんとも対置たいちされる。

概要がいよう

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統語とうごろん意味いみろんけについてよくしめ具体ぐたいてき文例ぶんれいがある。

Colorless green ideas sleep furiously.

というぶんは、「ぶん」ではないぶん、すなわち名詞めいし動詞どうしがおかしなところにあったりはしない、統語とうごろんまとには問題もんだいないぶんである(詳細しょうさい対象たいしょう記事きじ参照さんしょうのこと)。これは、それぞれおな品詞ひんしであるがべつかたりならべたぶん、たとえば Big furious bears ran quickly.[1]普通ふつう意味いみをとれることからも了解りょうかいできる。それにたい問題もんだいぶんは「いろみどり」「みどりのアイディア」「アイディアがねむる」「たけねむる」など、どれもまともに意味いみのあるように意味いみをとるのはむずかしいわけだが、このちがいがどこにあるのか、といったようなことを議論ぎろんするのは(統語とうごろんではなく)意味いみろんがわということになる。

意味いみは、おおきくつぎ種類しゅるい分類ぶんるいされることがおおい。だいいちに、記号きごう対象たいしょう状況じょうきょうたいして関係かんけいだいに、記号きごうがほかの記号きごうとく概念がいねんわれるしんてき記号きごう)にたいして関係かんけい前者ぜんしゃ指示しじてき意味いみ(reference)、後者こうしゃ内包ないほうてき意味いみ(sense)などとう。

これら種類しゅるい意味いみくわえ、意味いみろん伝統でんとうてきに、真理しんり条件じょうけんこう構造こうぞう主題しゅだい役割やくわり談話だんわ分析ぶんせきなどを研究けんきゅうしてきた。これらすべてと統語とうごろんむすぶことも意味いみろん課題かだいである。

おも意味いみ理論りろん

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語彙ごい意味いみろん
かたり形態素けいたいそ意味いみ構造こうぞうあつか意味いみろん下位かい領域りょういきである。 その研究けんきゅう方法ほうほうにはおおきくけてふたつの接近せっきん方法ほうほうがある。ひとつはおな意味いみじょうぞくするふた以上いじょうかたり関係かんけいあきらかにしようというものである。この方法ほうほうでは語彙ごい体系たいけいにおけるあるかたり価値かち確定かくていされる。もうひとつはあるかたりを、それより原始げんしてき要素ようそによって分析ぶんせきする方法ほうほうである。成分せいぶん分析ぶんせき語彙ごい分解ぶんかいがこの方法ほうほうぞくすものであり、語彙ごい概念がいねん構造こうぞう(LCS)の分析ぶんせきはその近年きんねん発展はってんである。なおこれらふたつの接近せっきん方法ほうほうたがいに相容あいいれないものであるというよりも、おなじものをもとめるための出発しゅっぱつてんちがいということができる。
認知にんち意味いみろん
認知にんち主体しゅたいである人間にんげんが、客観きゃっかん世界せかいをどのようにとらえ、それをどのように言葉ことばにするのか、という課題かだい着目ちゃくもくした理論りろん日常にちじょう言語げんご概念がいねん体系たいけいのかなりの部分ぶぶんは、実際じっさい世界せかい客観きゃっかんてき解釈かいしゃくによって構築こうちくされているのではなく、そこに言語げんご主体しゅたい身体しんたいてき経験けいけん言語げんご以外いがいにもられる一般いっぱんてき認知にんち能力のうりょく反映はんえいされているととらえる。そこにはメタファーイメージ形成けいせいイメージスキーマ変換へんかんカテゴリーなどの主体しゅたいてき認知にんちプロセスをかいして構築こうちくされているという事実じじつがある。このたね能力のうりょく認知にんちプロセスによって、つうてき意味いみ変化へんか多義たぎせい構文こうぶん拡張かくちょうなどが動機どうきづけられている、という観点かんてんつ。「みず半分はんぶんのこっている」と「みず半分はんぶんしかない」「半分はんぶんのこったみず」はどれもおな客観きゃっかんてき世界せかいとらえた言語げんご表現ひょうげんであるが、それを認知にんち主体しゅたいである人間にんげんがいかなる認知にんちプロセスを反映はんえいして、客観きゃっかん世界せかいをどのようにとらえるかによって、このような言語げんご表現ひょうげん差異さいまれるのである。アプローチは多岐たきにわたるが、共通きょうつうしているのは形式けいしき意味いみろんのような人間にんげん主観しゅかん認知にんちはいした形式けいしきてき枠組わくぐみにたいするアンチテーゼとなっているてんである。かたりようろん談話だんわ分析ぶんせきなどのほか、ゲシュタルト心理しんりがく認知にんち心理しんりがく発達はったつ心理しんりがくのう科学かがくなどとの親和しんわせいたか[2]
概念がいねん意味いみろん
なま成文法せいぶんほう意味いみろん部門ぶもんレイ・ジャッケンドフ推進すいしんしている意味いみ理論りろんで、意味いみ構造こうぞう概念がいねん構造こうぞうというテーゼに立脚りっきゃくする。認知にんち心理しんりがくとの相互そうご交流こうりゅうさかんであり、音楽おんがく理論りろん視覚しかく理論りろんなどともむすびついている。表示ひょうじモジュールろんち、意味いみ構造こうぞう解釈かいしゃく部門ぶもんとらえず、生成せいせいてき仮定かていしている。意味いみ役割やくわり理論りろん照応しょうおう理論りろんりょう理論りろんなど、様々さまざま領域りょういき提案ていあんている。
成分せいぶん分析ぶんせき
アメリカ構造こうぞう主義しゅぎ意味いみろん語彙ごいもと意味いみである意義いぎもとを、ちょうど音素おんそ弁別べんべつ素性すじょう規定きていするように、意味いみ成分せいぶんによって規定きていする。親族しんぞく名称めいしょう分析ぶんせきはもっとも成功せいこうしたとわれているが、なにがもっとも原始げんしてき要素ようそかを確定かくていする基準きじゅんがなく、また関係かんけいせい特別とくべつ地位ちいあたえず意味いみ成分せいぶんとしてあつかったため、相対そうたいてき意味いみ確定かくていするかたりとして成功せいこうしているとはいがたい。しかし意味いみ体系たいけいとらえる理論りろんとしての端緒たんしょとしての価値かち重要じゅうようであり、現在げんざい意味いみ分析ぶんせきでもなんらかのかたち採用さいようされている。
生成せいせい意味いみろん
厳密げんみつには統語とうごろんいち理論りろんなすべきもの。標準ひょうじゅん理論りろん仮定かてい変換へんかん意味いみえない」をつよ解釈かいしゃくし、深層しんそう構造こうぞう唯一ゆいいつ意味いみ表示ひょうじとして、それに適用てきようされる変換へんかんによってかたりぶん導出みちびきだされた。りょう語彙ごい分解ぶんかいなど重要じゅうようなテーマを提起ていきし、重要じゅうようなデータをおお提示ていじしたが、次第しだいあつか領域りょういき膨大ぼうだいになりすぎたこと、変換へんかん制限せいげんてられたこと、大局たいきょくてき制約せいやくという理論りろんてき負荷ふかおおきい装置そうちしたこと、論理ろんりがく心理しんりがくへの還元かんげん主義しゅぎてき傾向けいこうられたことなど、様々さまざま問題もんだいしょうじていた。一般いっぱんには解釈かいしゃく意味いみろん理論りろんてき優位ゆういったことで、失敗しっぱいしたプログラムとなされることがおおいが、1990年代ねんだい研究けんきゅうからイデオロギーてき問題もんだいから研究けんきゅうしゃすくなくなった、とられている。ミニマリスト・プログラムのなかではさい評価ひょうかするきもある。
形式けいしき意味いみろん
モンタギュー意味いみろん発展はってんしたものである。言語げんご構成こうせいてきなものととらえ、意味いみ断片だんぺんさだめられた関係かんけいしたがって結合けつごうすることでぶん(ないし談話だんわ)の意味いみ演繹えんえきできるとする枠組わくぐみ。意味いみ構成こうせい解釈かいしゃく仕方しかた恣意しいてきでなく、形式けいしきてきおこなわれる。自然しぜん言語げんご研究けんきゅうだけでなく、上記じょうきのように数理すうり心理しんりがく数理すうりろん理学りがくとも密接みっせつ関係かんけいしている。

関連かんれん人物じんぶつ

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関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 天野あまの自然しぜん言語げんご処理しょり』 p. 41(ちゅう: 単数たんすうがた例文れいぶんとなっているのを記事きじめいとなっている例文れいぶんわせ複数ふくすうがた調整ちょうせい
  2. ^ 山梨やまなし正明まさあき認知にんち言語げんごがく原理げんりだいしょう参照さんしょう