比較 言語 学
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インドからヨーロッパの
方法 と概要 [編集 ]
基本 的 には音韻 体系 、言語 形態 、統語 論 、語彙 など、さまざまな要素 を複数 の言語 間 で比較 分析 する。言語 はつねに変化 していくもので、とりわけ語彙 は各 時代 の造語 や流行 の変化 によって大 きく変 わることがある。しかし、音韻 体系 や統語 論 など、言語 の構造 に関 する次元 は変化 しにくく、変化 がある場合 も法則 を見出 すことが可能 である。そのため、方法 論 的 には、音声 学 に基 づいた音韻 対応 分析 が有意 な手続 きとして用 いられる。比較 方法 とは、同系 関係 にある言語 の間 で維持 された「同 源 語 (cognate word)」を引 き合 わせそこになんらかの対応 関係 の規則 を見出 し、それに基 づいて「祖語 形 (proto-form)」を再 構する手続 きのことである[1]。比較 言語 学 の手法 は、同系 性 が前提 とされる限 り、どのような言語 にも適応 できる。たとえば、文献 資料 のないオーストロネシア語族 にも使 われ、数 多 くの成果 をあげている。印 欧 比較 言語 学 の伝統 に依拠 するあまり、音韻 対応 が見出 せない言語 間 の研究 は認 められない傾向 がある。だが、音韻 対応 以外 にも、言語 比較 が可能 な方法 論 の構築 は必須 である。一般 に普及 している言語 の分類 一覧 も、比較 言語 学 の成果 をまとめたものである。- なお、
語族 と人種 は必 ずしも一致 しないが、Y染色 体 ハプログループ遺伝子 との間 にはある程度 相関 が認 められる。
批判 と現在 の状況 [編集 ]
むろんこうした
また、
たとえば「アルタイ
比較 言語 学 の歴史 [編集 ]
- ウィリアム・ジョーンズ(1746-1794)
比較 言語 学 はウィリアム・ジョーンズ(1746-1794)が嚆矢 とされる。ジョーンズはインドに判事 として赴任 するなか、1786年 「On the Hindu's」においてサンスクリット語 が古典 ギリシャ語 やラテン語 と共通 の起源 を有 する可能 性 があることを指摘 した。当時 インドはムスリムのムガル朝 であり、公用 語 はペルシア語 だった。ジョーンズはペルシア語 を介 さずに直接 サンスクリット研究 を始 めた。すると、two(En.)-duo(Gr.)-dvi(サンスクリット)、me(En.)-me(Gr.)-mam(サンスクリット)など語彙 だけでなく格 変化 においても対応 関係 が見 られた。- ヤーコプ・グリム(1785-1863)
- ヤーコプ・グリム(1785-1863)は1822
年 『Deutsche Grammatik』のなかでゲルマン語 における子音 推移 (印 欧 祖語 からゲルマン祖語 への分化 の過程 で起 きた音韻 変化 )の法則 である「第 一 音声 推移 Erste Lautverschiebung」について記述 した。有 声帯 気 音 から有 声 破裂 音 への変化 (bh → b:Bruder [独 ], brother [英 ]など)、有 声 破裂 音 から無声 破裂 音 への変化 (d → z/ts/ - t:duo [ラ] と zwei [独 ], two [英 ]など)、無声 破裂 音 から無声 摩擦音 (帯 気 音 )への変化 (p → f:pater [ラ] と Vater [独 ], father [英 ]など)などがそれであるがこれは後 にグリムの法則 とも呼 ばれる。またグリムは『ドイツ神話 学 』(1835)も著述 し、比較 言語 学 と比較 神話 学 とは初期 より連携 しながら展開 してきた。 - ラスムス・ラスク(1787-1832)
- デンマークのラスムス・ラスクは、アイスランド
語 、ゲルマン語 、ギリシア語 、ラテン語 の子音 法則 を見 いだし「古代 ノルド語 すなわちアイスランド語 の起原 に関 する研究 」(1818)を発表 した。 - フランツ・ボップ(1791-1867)
- ボップはペルシャ
語 やサンスクリットを学 び1816年 「ギリシヤ・ラテン・ペルシャ・ゲルマン語 動詞 変化 との比較 におけるサンスクリットの動詞 変化 組織 について」を発表 した。 - フリードリヒ・マックス・ミュラー(1823-1900)
- マックス・ミュラーはボップやウジェーヌ・ビュルヌフの
下 でサンスクリットを学 び、『リグ・ヴェーダ』の校訂 ・翻訳 などを行 なった。 - ミシェル・ブレアル(1832-1915)
- ミシェル・ブレアルは
比較 言語 学 以外 にも意味 論 を構築 した。1881年 、ブレアルの講義 を聴講 しに来 たソシュールを認 め、パリ大学 での講師 に斡旋 する。またアントワーヌ・メイエ(1866-1936)を育 てた。ほかブレアルの神話 学 研究 はデュメジルにも影響 を与 えた。 - フェルディナン・ド・ソシュール(1857-1913)
- ソシュールは
一般 言語 学 で有名 だが、1878年 に論文 『インド・ヨーロッパ語 における原始 的 母音 体系 についての覚 え書 き』を発表 。これは印 欧 祖語 の母音 体系 を明 らかにしようとしたものである。この論文 において提出 された喉頭 音 仮説 が、後 にヒッタイト語 解読 によって実証 され、20世紀 の印 欧 祖語 研究 に大 きな影響 を与 えることになる。 - アントワーヌ・メイエ(1866-1936)
- メイエはアルメニア
語 を専攻 し、1905年 からはコレージュ・ド・フランスの比較 言語 学 教授 。弟子 にバンヴェニストとデュメジルがいる。 - エミール・バンヴェニスト(1902-1976)
- バンヴェニストは
理論 言語 学 やソグド語 文書 ・バクトリア碑文 の解読 などでも秀 れた業績 を挙 げた。その集大成 である『インド=ヨーロッパ諸 制度 語彙 集 』(1969)では、人類 学 ・考古学 ・民族 学 ・民俗 学 的 観点 から古代 イラン語 ・ギリシア語 ・古代 ゲルマン語 ・ゴート語 ・サンスクリット語 ・古代 スラブ語 ・トカラ語 ・ヒッタイト語 ・古代 アイルランド語 その他 に亘 って膨大 な言語 史 的 事実 をまとめた。
脚注 [編集 ]
参考 文献 [編集 ]
風間 喜代三 『言語 学 の誕生 -比較 言語 学 小史 』(『岩波 新書 』)、岩波書店 、1978年 高津 春繁 『比較 言語 学 入門 』(『岩波 文庫 』)、岩波書店 、1992年 。服部 四郎 『日本語 の系統 』(『岩波 文庫 』)、岩波書店 、1999年 (1959版 単行 本有 )松本 克己 『世界 言語 のなかの日本語 』三省堂 書店 、2007年