バスク語 ご (バスクご、euskara)は、スペイン とフランス にまたがるバスク地方 ちほう を中心 ちゅうしん に分布 ぶんぷ する孤立 こりつ した言語 げんご で、おもにバスク人 じん によって話 はな されている。スペインのバスク州 しゅう 全域 ぜんいき とナバラ州 しゅう の一部 いちぶ ではスペイン語 ご とともに公用 こうよう 語 ご とされている。2006年 ねん 現在 げんざい 、約 やく 66万 まん 5800人 にん の話者 わしゃ がバスク地方 ちほう に居住 きょじゅう し、すべてスペイン語 ご またはフランス語 ふらんすご とのバイリンガル である[1] 。
文章 ぶんしょう は一般 いっぱん にラテン文字 もじ で表記 ひょうき される。音韻 おんいん 論 ろん 的 てき な特徴 とくちょう としては舌端 ぜったん 音 おん と舌尖 ぜっせん 音 おん の区別 くべつ があり、文法 ぶんぽう 的 てき な特徴 とくちょう としては能 のう 格 かく と絶対 ぜったい 格 かく を使用 しよう する格 かく の体系 たいけい であることが挙 あ げられる(能 のう 格言 かくげん 語 ご )。語彙 ごい にはラテン語 らてんご ・スペイン語 ご 起源 きげん のものが多 おお く見 み られる。
「バスク」の名 な は英語 えいご あるいはフランス語 ふらんすご の basque の音訳 おんやく であり、もともとはロ ろ ーマ帝国 まていこく 期 き に現在 げんざい のスペインナバラ州 しゅう やアラゴン州 しゅう にいたヴァスコン人 じん (Vascones) の名 な に由来 ゆらい する。ヴァスコン人 じん とバスク語 ご 話者 わしゃ は完全 かんぜん には一致 いっち していなかったと考 かんが えられているが、中世 ちゅうせい には Vascones という名称 めいしょう はバスク語 ご を話 はな す人々 ひとびと を指 さ すために使 つか われるようになった。スペイン語 ご における伝統 でんとう 的 てき な呼称 こしょう vascuence も「ヴァスコン人 じん の」を意味 いみ するラテン語 らてんご の vasconice に由来 ゆらい する。
バスク語 ご では euskara といい、方言 ほうげん 的 てき な変異 へんい として euskera , eskuara , üskara , auskera などがある。この語 かたり と対比 たいひ させて用 もち いられる語 かたり に erdara (あるいは erdera )というものがある。「外国 がいこく 語 ご 」という意味 いみ で、かつては特 とく にスペイン語 ご またはフランス語 ふらんすご を指 さ して用 もち いられたものだが、これは語源 ごげん 的 てき に erdi 「半分 はんぶん 」と era 「やり方 かた 」に分 わ けられ、「舌足 したた らずな話 はな し方 かた /不完全 ふかんぜん な言葉 ことば 」という意味 いみ であったと考 かんが えられている。euskara の eusk- の方 ほう の意味 いみ ははっきりしていないが、ロ ろ ーマ帝国 まていこく 時代 じだい のアキテーヌ にいたアウスキ人 じん (羅 ら :Ausci)に由来 ゆらい するという説 せつ や、「話 はな す」という意味 いみ の動詞 どうし の再建 さいけん 形 がた *enau(t)s-
に関係 かんけい するという説 せつ がある。
バスク語 ご の方言 ほうげん ビスカヤ方言 ほうげん
ギプスコア方言 ほうげん
高 こう ナファロア方言 ほうげん
低 てい ナファロア方言 ほうげん
ラプルディ方言 ほうげん
スベロア方言 ほうげん
色 いろ の薄 うす くなっているところは19世紀 せいき の使用 しよう 域 いき
コルド・スアソ による現代 げんだい バスク語 ご 諸 しょ 方言 ほうげん の分類 ぶんるい 西部 せいぶ 方言 ほうげん
中央 ちゅうおう 方言 ほうげん
ナファロア方言 ほうげん
ナファロア=ラプルディ方言 ほうげん
スベロア方言 ほうげん
19世紀 せいき のバスク語 ご 使用 しよう 域 いき
方言 ほうげん は音韻 おんいん ・形態 けいたい ・語彙 ごい の地域 ちいき 的 てき な変異 へんい が比較的 ひかくてき 大 おお きく「村 むら ごとに異 こと なる」ともいわれる[2] 。伝統 でんとう 的 てき には六 むっ つから九 ここの つに分類 ぶんるい されてきた。
1998年 ねん にはバスク語 ご 学者 がくしゃ のコルド・スアソ によって再 さい 分類 ぶんるい された。彼 かれ はいくつかの方言 ほうげん の呼称 こしょう を改 あらた めたほか、低 てい ナファロア方言 ほうげん とラプルディ方言 ほうげん を一 ひと つのグループにまとめ、エロンカリ方言 ほうげん と†サライツ方言 ほうげん (死語 しご )を東部 とうぶ ナファロア方言 ほうげん として区別 くべつ した。彼 かれ の分類 ぶんるい によれば現在 げんざい 話 はな されている方言 ほうげん は5方言 ほうげん に分 わ けられる。
ビスカヤ方言 ほうげん
ビスカヤ県 けん 中 なか ・東部 とうぶ 、アラバ県 けん 北部 ほくぶ 、ギプスコア県 けん 南西 なんせい 部 ぶ で話 はな されている。スアソは西部 せいぶ 方言 ほうげん と呼 よ び、4変種 へんしゅ を区別 くべつ している。
ギプスコア方言 ほうげん
ギプスコア県 けん とナバラ州 しゅう バサブルア周辺 しゅうへん で話 はな されている。スアソは中央 ちゅうおう 方言 ほうげん と呼 よ び、4変種 へんしゅ を区別 くべつ している。
高 こう ナファロア方言 ほうげん
ナバラ州 しゅう 中北 なかきた 部 ぶ と同 どう 州 しゅう サカナ周辺 しゅうへん で話 はな されている。スアソはナファロア方言 ほうげん と呼 よ び、7変種 へんしゅ を区別 くべつ している。
低 てい ナファロア方言 ほうげん
バス=ナヴァール で話 はな されている。スアソはラプルディ方言 ほうげん とともにナファロア=ラプルディ方言 ほうげん と呼 よ んで5変種 へんしゅ を区別 くべつ している。そのうち二 ふた つが低 てい ナファロア方言 ほうげん に該当 がいとう する。アミクセ方言 ほうげん はガスコーニュ語 ご の強 つよ い影響 えいきょう を受 う けており[3] 、マルコム・ロス(Malcolm Ross )がメタティピー の例 れい として取 と りあげている[4] 。
ラプルディ方言 ほうげん
ラブール で話 はな されている。スアソのナファロア=ラプルディ方言 ほうげん のうち3変種 へんしゅ がこれに該当 がいとう する。
スベロア方言 ほうげん
スール で話 はな されている。ベアルン語 ご の影響 えいきょう を受 う けている。
20世紀 せいき になってバスク語 ご アカデミー によって標準 ひょうじゅん 語 ご として制定 せいてい された標準 ひょうじゅん バスク語 ご (Standard Basque)が、広 ひろ く定着 ていちゃく している。
イベリア半島 はんとう 周辺 しゅうへん の言語 げんご 分布 ぶんぷ の変遷 へんせん バスク語 ご
バスク語 ご は現存 げんそん するどの言語 げんご とも系統 けいとう 関係 かんけい が立証 りっしょう されていない孤立 こりつ した言語 げんご であり、西 にし ヨーロッパで唯一 ゆいいつ 生 い き残 のこ ったインド=ヨーロッパ語族 ごぞく 以前 いぜん の言語 げんご (先 さき 印欧語 いんおうご )である[5] 。
紀元前 きげんぜん 58年 ねん に始 はじ まるガリア戦争 せんそう 以前 いぜん から、現在 げんざい のフランスアキテーヌ地域 ちいき 圏 けん 南部 なんぶ (当時 とうじ のアクイタニア)にはアクイタニア人 じん (英語 えいご 版 ばん ) が住 す んでいた。彼 かれ らの話 はな していたアクイタニア語 ご はバスク語 ご の祖先 そせん かその近 きん 縁 えん の言語 げんご である。同 どう 時代 じだい のイベリア半島 はんとう で話 はな されていた言語 げんご にはバスク語 ご の祖先 そせん に当 あ たるものは発見 はっけん されていないが、ヴァスコン人 じん など現在 げんざい のバスク地方 ちほう 南部 なんぶ に住 す んでいた民族 みんぞく の一部 いちぶ がアクイタニア語 ご を話 はな していた可能 かのう 性 せい がある[6] 。アクイタニア語 ご の南限 なんげん については議論 ぎろん があり、現在 げんざい のラ・リオハ州 しゅう カラオラ 辺 あた りとする説 せつ やアラゴン州 しゅう 一帯 いったい とする説 せつ がある[7] 。
アクイタニア語 ご はおそらくアクイタニアの多 おお くの地域 ちいき で早 はや い時期 じき に話 はな されなくなったが、南西 なんせい 部 ぶ では使 つか われ続 つづ けた。ピレネー南部 なんぶ ではバスク地方 ちほう 全域 ぜんいき に広 ひろ がり、4世紀 せいき 以降 いこう にはラ・リオハやブルゴス県 けん 付近 ふきん にまで分布 ぶんぷ していたことが当時 とうじ の地名 ちめい から確認 かくにん できる[8] 。
アクイタニア語 ご を除 のぞ けば、バスク語 ご の使用 しよう を示 しめ す最古 さいこ の文献 ぶんけん は中世 ちゅうせい 初期 しょき の碑文 ひぶん や写本 しゃほん である。バスク州 しゅう ビスカヤ県 けん エロリオ にあるアルギニェタ墓地 ぼち の墓石 はかいし にはバスク語 ご の名前 なまえ が刻 きざ まれている。この碑文 ひぶん は883年 ねん のものとされている。また、ラ・リオハのサン・ミジャン修道院 しゅうどういん で見付 みつ かったラテン語 らてんご の写本 しゃほん に付 ふ された注釈 ちゅうしゃく にはバスク語 ご が用 もち いられている。これはエミリアヌス注釈 ちゅうしゃく と呼 よ ばれ、普通 ふつう 950年 ねん 頃 ごろ のものと考 かんが えられている[9] 。
10世紀 せいき 以降 いこう 、バスク語 ご の人名 じんめい や地名 ちめい を記 しる した文献 ぶんけん が多 おお く見 み られるようになる。おもに相続 そうぞく ・寄付 きふ ・納税 のうぜい などに関 かん するラテン語 らてんご の文書 ぶんしょ で、初期 しょき のものはアラバ県 けん 、ラ・リオハ、ブルゴス県 けん で発見 はっけん されたものが多 おお い。また、ギプスコア県 けん のオジャサバル修道院 しゅうどういん の遺贈 いぞう に関 かん する文書 ぶんしょ は1055年 ねん のもので、遺産 いさん の範囲 はんい に関 かん する重要 じゅうよう な語句 ごく がバスク語 ご で書 か かれている。このような文書 ぶんしょ はとても珍 めずら しいものである[10] 。
バスク語 ご と系統 けいとう 関係 かんけい のあることが幅広 はばひろ く支持 しじ されている言語 げんご は、消滅 しょうめつ したアクイタニア語 ご だけである[11] 。
長期 ちょうき にわたって真剣 しんけん に検討 けんとう された仮説 かせつ には以下 いか のものがあるが、いずれもバスク語 ご 学者 がくしゃ の支持 しじ を得 え ることはなく、反駁 はんばく されている[12] 。
アフリカの言語 げんご 、特 とく にアフロ・アジア語族 ごぞく (ベルベル語 ご など)と同系 どうけい である。
ヨーロッパ諸 しょ 言語 げんご の基層 きそう 語 ご がバスク語 ご である。
インド=ヨーロッパ語族 ごぞく である。
イベリア語 ご がバスク語 ご の祖先 そせん である。
コーカサス諸語 しょご と同系 どうけい である。
アフリカの言語 げんご のうち、ベルベル語 ご など北 きた アフリカで話 はな されているものとバスク語 ご の系統 けいとう 関係 かんけい を提案 ていあん する説 せつ は19世紀 せいき 後半 こうはん から見 み られる。ガーベレンツ [13] やシューハルト [14] に始 はじ まり、オーストリアの言語 げんご 学者 がくしゃ ムカロフスキー[15] が同系 どうけい 語 ご を確定 かくてい する試 こころ みを数 すう 点 てん 出版 しゅっぱん した。しかし、借用 しゃくよう 語 ご ・新語 しんご ・存在 そんざい しない語 かたり ・幼児 ようじ 語 ご ・擬音 ぎおん 語 ご や、ベルベル語 ご の一部 いちぶ でしか使 つか われていない語 かたり を比較 ひかく に用 もち いる彼 かれ の手法 しゅほう は批判 ひはん されており、この仮説 かせつ を支持 しじ していないバスク語 ご 学者 がくしゃ が多 おお い[16] :361ff. 。
バスク語 ご をヨーロッパ諸 しょ 言語 げんご の基層 きそう 言語 げんご と関連 かんれん づける考 かんが え方 かた はフープシュミート[17] に見 み られる。彼 かれ は印欧語 いんおうご 族 ぞく 以前 いぜん のヨーロッパの言語 げんご としてヨーロッパ=アフリカ語族 ごぞく とヒスパニア=コーカサス語族 ごぞく を想定 そうてい し、バスク語 ご はその名残 なごり であるとしたが、内的 ないてき 再建 さいけん によって明 あき らかになったバスク語 ご の音 おと 変化 へんか と整合 せいごう しない部分 ぶぶん があり、問題 もんだい がある[18] 。また近年 きんねん ではフェネマン[19] がヨーロッパの河川 かせん 名 めい に基 もと づいてバスク語 ご をヨーロッパ諸 しょ 言語 げんご の基層 きそう 言語 げんご として提案 ていあん した。(バスコン基層 きそう 語 ご 説 せつ を参照 さんしょう 。)これもフープシュミートに対 たい する批判 ひはん と同様 どうよう の観点 かんてん から退 しりぞ けるバスク語 ご 学者 がくしゃ が多 おお い。
フンボルト
イベリア語 ご は、イベリア半島 はんとう 東部 とうぶ ・南東 なんとう 部 ぶ を中心 ちゅうしん とした地域 ちいき で使 つか われていた言語 げんご で、紀元前 きげんぜん 6世紀 せいき から前 ぜん 1世紀 せいき にかけての金石 かねいし 文 あや に記録 きろく が残 のこ っている。その大 だい 部分 ぶぶん は独自 どくじ のイベリア文字 もじ で書 か かれており、20世紀 せいき 半 なか ば、マヌエル・ゴメス=モレノ (Manuel Gómez-Moreno) によって初 はじ めて完全 かんぜん に解読 かいどく された[16] :378, 380 。
イベリア語 ご とバスク語 ご の系統 けいとう 関係 かんけい を最初 さいしょ に明確 めいかく に提案 ていあん したのは、マヌエル・ララメンディ (Manuel Larramendi) である。彼 かれ は、1728年 ねん の La antigüedad y universalidad del Bascuenze en España で、イベリア語 ご はバスク語 ご の祖先 そせん であると主張 しゅちょう した。この提案 ていあん はパブロ・ペドロ・アスタルロア (Pablo Pedro Astarloa)、次 つ いでヴィルヘルム・フォン・フンボルト に受 う け継 つ がれた(Prüfung der Untersuchungen über die Urbewohner Hispaniens vermittelst der Vaskischen Sprache , 1821年 ねん )[16] :379 。
この時点 じてん では、イベリア語 ご の解読 かいどく はほとんど進 すす んでいなかったので、バスク語 ご とイベリア語 ご の系統 けいとう 関係 かんけい が具体 ぐたい 的 てき に検討 けんとう されることはなかった。1893年 ねん にエミール・ヒュブナー (Emil Hübner) が既知 きち のイベリア語 ご 文献 ぶんけん を公刊 こうかん したことで解読 かいどく は少 すこ しずつ進 すす み始 はじ めた。フーゴ・シューハルト は1908年 ねん の Die iberische Deklination でイベリア語 ご の格 かく 変化 へんか を再 さい 構成 こうせい し、バスク語 ご の格 かく 変化 へんか と比較 ひかく し、対応 たいおう 関係 かんけい を見出 みいだ した。しかし、このシューハルトの主張 しゅちょう はいくつかの理由 りゆう から否定 ひてい されている[16] :379f. 。
20世紀 せいき 前半 ぜんはん にはゲルハルト・ベーア (Gerhard Bähr) がバスク語 ご とイベリア語 ご の系統 けいとう 関係 かんけい を支持 しじ する証拠 しょうこ はほとんど無 な いという否定 ひてい 的 てき な見解 けんかい を示 しめ す一方 いっぽう 、イベリア語 ご の解読 かいどく に精力 せいりょく 的 てき に取 と り組 く んだピオ・ベルトラン (Pío Beltrán) はこの仮説 かせつ を支持 しじ した。
イベリア半島 はんとう から遠 とお く離 はな れたカフカス山脈 さんみゃく 付近 ふきん のカフカス諸語 しょご とバスク語 ご と同 どう 語族 ごぞく を構成 こうせい するという説 せつ がある[20] 。古 ふる くコーカサスはギリシャ ・ローマ人 じん より「イベリア」と呼 よ ばれており、ここからスペイン に移住 いじゅう した民族 みんぞく がバスク人 じん の祖 そ となり、イベリア半島 はんとう の呼称 こしょう もそこから来 き ているという説 せつ である。
さらに大 だい 規模 きぼ には、シナ・チベット語族 ごぞく 、ブルシャスキー語 ご 、デネ・エニセイ語族 ごぞく 等 ひとし も含 ふく めたデネ・コーカサス大 だい 語族 ごぞく 仮説 かせつ も存在 そんざい する。
母音 ぼいん / a i u e o / と、二 に 重母音 じゅうぼいん / ai ei oi ui au eu / は多 おお くの方言 ほうげん に存在 そんざい する。これらの二 に 重母音 じゅうぼいん は、音声 おんせい 上 じょう は母音 ぼいん 連続 れんぞく と区別 くべつ されないが、音韻 おんいん 上 じょう は常 つね に一 ひと つの音節 おんせつ として振 ふ る舞 ま う。消滅 しょうめつ したエロンカリ方言 ほうげん には対応 たいおう する五 いつ つの鼻 はな 母音 ぼいん があった。またスベロア方言 ほうげん にはこの他 ほか に円 えん 唇 くちびる 前 ぜん 舌 した 狭 せま 母音 ぼいん /y/ と対応 たいおう する六 むっ つの鼻 はな 母音 ぼいん がある。鼻 はな 母音 ぼいん の二 に 重母音 じゅうぼいん は / ãu ẽi ãi õi / がエロンカリ方言 ほうげん に見 み られたが、スベロア方言 ほうげん には無 な い。
無 む 気 き 無声 むせい 破裂 はれつ 音 おん / p t k / は全 すべ ての方言 ほうげん にある。これに加 くわ えて無声 むせい 硬 かた 口蓋 こうがい 破裂 はれつ 音 おん [c] が、西部 せいぶ では /t/ の異 い 音 おと 、東部 とうぶ では独立 どくりつ の音素 おんそ として存在 そんざい する。北部 ほくぶ には有 ゆう 気 き 無声 むせい 破裂 はれつ 音 おん / pʰ tʰ kʰ / もある。
有 ゆう 声 ごえ 破裂 はれつ 音 おん / b d g / は全 すべ ての方言 ほうげん にある。音声 おんせい 上 じょう は対応 たいおう する有 ゆう 声 ごえ 摩擦音 まさつおん や接近 せっきん 音 おん となることが多 おお い。有 ゆう 声 こえ 硬 かた 口蓋 こうがい 破裂 はれつ 音 おん /ɟ/ を持 も つ方言 ほうげん が少 すこ しだけある。鼻音 びおん / m n ɲ / は全 すべ ての方言 ほうげん にある。
歴史 れきし 的 てき には全 すべ ての方言 ほうげん に3種類 しゅるい の無声 むせい 摩擦音 まさつおん が存在 そんざい する。無声 むせい 舌端 ぜったん 歯茎 はぐき 摩擦音 まさつおん /s̻/ 、無声 むせい 舌尖 ぜっせん 歯茎 はぐき 摩擦音 まさつおん /s̺/ 、無声 むせい 歯茎 はぐき 硬 かた 口蓋 こうがい 摩擦音 まさつおん /ɕ/ である。また、これらに対応 たいおう する破 やぶ 擦 ず 音 おと /ts̻ ts̺ tɕ/ もある。フランス方言 ほうげん では /s̺ ts̺/ は無声 むせい 舌尖 ぜっせん 後部 こうぶ 歯茎 はぐき 音 おん [ʃ̺ tʃ̺] で発音 はつおん される。/ɕ tɕ/ はしばしば /ʃ tʃ/ とも書 か かれる。西部 せいぶ では近年 きんねん 、舌尖 ぜっせん /舌端 ぜったん の区別 くべつ が失 うしな われている。この他 ほか に /f/ が多 おお くの方言 ほうげん に見 み られる。ビスカヤ方言 ほうげん には有 ゆう 声 ごえ 舌端 ぜったん 破裂 はれつ 音 おん が、スベロア方言 ほうげん には有 ゆう 声 ごえ 舌尖 ぜっせん 破裂 はれつ 音 おん が存在 そんざい する。北部 ほくぶ には /h/ もある。
ギプスコア方言 ほうげん やナファロア方言 ほうげん には次 つぎ のような音素 おんそ が見 み られる[21] 。
音素 おんそ の一覧 いちらん (ギプスコア方言 ほうげん ・ナファロア方言 ほうげん )
この他 ほか に、スベロア方言 ほうげん には有 ゆう 気 き 閉鎖 へいさ 音 おん 、有 ゆう 声 ごえ 摩擦音 まさつおん 、声門 せいもん 摩擦音 まさつおん 、前 ぜん 舌 した 円 えん 唇 くちびる 母音 ぼいん がある[22] 。
低 てい 母音 ぼいん /a/ の同化 どうか (a→e / V[+high] C0 __)
低 てい 母音 ぼいん /a/ が高 こう 母音 ぼいん /i, u/ を含 ふく む音節 おんせつ の後 のち で /e/ と交替 こうたい する。ビスカヤで話 はな されている全 すべ ての方言 ほうげん と、ギプスコア方言 ほうげん ・ナファロア方言 ほうげん の多 おお くに見 み られる[23] 。
gizon=a 「男 おとこ (単数 たんすう )」→lagun=e 「仲間 なかま (単数 たんすう )」
gizon ba t「ある男 おとこ 」→lagun be t「ある仲間 なかま 」
joan da 「行 おこな った」→etorri de 「来 き た」
dute-la 「彼 かれ らがそれを持 も っている(補 ほ 文 ぶん )」→dugu-le 「私 わたし 達 たち がそれを持 も っている(補 ほ 文 ぶん )」
中 ちゅう 母音 ぼいん /e, o/ の上昇 じょうしょう ([−low]→[+high] / __V)
中 ちゅう 母音 ぼいん /e, o/ が他 た の母音 ぼいん の前 まえ で高 こう 母音 ぼいん /i, u/ と交替 こうたい する。共通 きょうつう バスク語 ご を除 のぞ くほとんど全 すべ ての方言 ほうげん で観察 かんさつ できる。ゲルニカ の方言 ほうげん やナファロア方言 ほうげん ・ラプルディ方言 ほうげん の一部 いちぶ では /e/ だけが高 こう 母音 ぼいん 化 か し、/o/ はしない。/o/ だけが高 こう 母音 ぼいん 化 か する方言 ほうげん は見 み つかっていない[24] 。
etxe 「家 いえ 」→etxi -ak「家 いえ (複数 ふくすう )」、etxi =en「家 いえ (複数 ふくすう )の」、etxi =on「この家 いえ (複数 ふくすう )の」
kale 「街 まち 」→kali -ak「街 まち (複数 ふくすう )」、kali =en「街 まち (複数 ふくすう )の」、kali =on「この街 まち (複数 ふくすう )の」
baso 「森 もり 」→basu -ak「森 もり (複数 ふくすう )」、basu =en「森 もり (複数 ふくすう )の」、basu =on「この森 もり (複数 ふくすう )の」
itaso 「海 うみ 」→itsasu -ak「海 うみ (複数 ふくすう )」、itsasu =en「海 うみ (複数 ふくすう )の」、itsasu =on「この海 うみ (複数 ふくすう )の」
子音 しいん /半母音 はんぼいん の挿入 そうにゅう
高 こう 母音 ぼいん の後 のち に半母音 はんぼいん や子音 しいん が挿入 そうにゅう される。
語幹 ごかん 末 まつ の低 てい 母音 ぼいん /a/ の削除 さくじょ /上昇 じょうしょう
語幹 ごかん 末 まつ の /a/ が母音 ぼいん 始 はじ まりの接辞 せつじ の前 まえ で削除 さくじょ される。または /i, e/ と交替 こうたい する。
バスク語 ご は普通 ふつう ラテン文字 もじ で表記 ひょうき される。共通 きょうつう バスク語 ご の正書法 せいしょほう では、スペイン語 ご アルファベット と同 おな じく、基本 きほん 字 じ 26文字 もじ に Ñ を加 くわ えた27文字 もじ が用 もち いられる。このうち C, Q, V, W, Y の5文字 もじ は外来 がいらい 語 ご の表記 ひょうき にのみ用 もち いられる。この他 ほか Ç が外来 がいらい 語 ご の表記 ひょうき のために、Ü がスベロア方言 ほうげん の表記 ひょうき のために用 もち いられる。
バスク語 ご の綴 つづ り字 じ 法 ほう は原則 げんそく として表音 ひょうおん 主義 しゅぎ 的 てき であり、綴 つづ りと発音 はつおん の対応 たいおう 関係 かんけい は比較的 ひかくてき 分 わ かりやすいものである。統一 とういつ バスク語 ご の綴 つづ り字 じ とその一般 いっぱん 的 てき な発音 はつおん を表 ひょう に示 しめ す。
綴 つづ り字 じ
発音 はつおん (IPA )
発音 はつおん の仕方 しかた
語 かたり 例 れい
a
[a]
日本語 にほんご のアよりやや前 ぜん 寄 よ り
ama [ama] 「母 はは 」
母音 ぼいん 間 あいだ の b
[β べーた ]
labe [laβ べーた e] 「オーブン」
それ以外 いがい の b
[b]
日本語 にほんご のバ行 ぎょう 子音 しいん
enbor [embor] 「丸太 まるた 」
母音 ぼいん 間 あいだ の d
[ð]
有 ゆう 声 こえ 歯 ぱ 摩擦音 まさつおん 舌尖 ぜっせん と歯 は の裏 うら による有 ゆう 声 ごえ の摩擦音 まさつおん
idi [iði] 「雄 お 牛 うし 」
それ以外 いがい の d
[d]
日本語 にほんご のダ、デ、ドの子音 しいん
dike [dike] 「堤防 ていぼう 」
dd
[ʝ] ~[ɟ]
有 ゆう 声 こえ 硬 かた 口蓋 こうがい 摩擦音 まさつおん または破裂 はれつ 音 おん
onddo [onʝo] ~[onɟo] 「きのこ」
e
[e]
日本語 にほんご のエよりやや前 ぜん 寄 よ り
eme [eme] 「雌 めす 」
f
[f]
英語 えいご の /f/
kafe [kafe] 「コーヒー」
母音 ぼいん 間 あいだ の g
[ɣ]
有 ゆう 声 ごえ 軟口蓋 なんこうがい 摩擦音 まさつおん 日本語 にほんご のガ行 ぎょう 子音 しいん と同 おな じ位置 いち の有 ゆう 声 ごえ 摩擦音 まさつおん
lege [leɣe] 「法律 ほうりつ 」
それ以外 いがい の g
[g]
日本語 にほんご のガ行 ぎょう 子音 しいん
gamelu [gamelu] 「ラクダ」
h
[ ]
発音 はつおん しない
aho [ao] 「口 くち 」
[h]
(北東 ほくとう 部 ぶ の方言 ほうげん 話者 わしゃ )英語 えいご の /h/
aho [aho] (同上 どうじょう )
単 たん 母音 ぼいん の i
[i]
日本語 にほんご のイ
mami [mami] 「パンの身 み 」
二 に 重母音 じゅうぼいん の i
[j]
日本語 にほんご のヤ行 ぎょう 子音 しいん
amai [amaj] 「終 お わり」
j
[x]
(西部 せいぶ 方言 ほうげん の話者 わしゃ )奥 おく 寄 よ りの無声 むせい 軟口蓋 なんこうがい 摩擦音 まさつおん
jaboi [xaβ べーた oj] 「石鹸 せっけん 」
[j̝] ~[ʝ] ~[ɟ]
jaboi [j̝aβ べーた oj] ~[ʝaβ べーた oj] ~[ɟaβ べーた oj] (同上 どうじょう )
k
[k]
日本語 にほんご のカ行 ぎょう 子音 しいん
kamino [kamino] 「道路 どうろ 」
l
[l]
英語 えいご の /l/ より前 ぜん 寄 よ り
lagun [laɣun] 「友人 ゆうじん 」
i の後 うし ろの l
[l] ~[ʎ]
上 うえ または下 した のどちらかで発音 はつおん される
mutil [mutil] ~[mutiʎ] 「少年 しょうねん 」
ll
[ʎ]
硬 かた 口蓋 こうがい 側面 そくめん 接近 せっきん 音 おん
galleta [gaʎeta] 「ビスケット」
m
[m]
日本語 にほんご のマ行 ぎょう 子音 しいん
mendi [mendi] 「山 やま 」
母音 ぼいん の前 まえ の n
[n]
日本語 にほんご のナ行 ぎょう 子音 しいん
nini [nini] 「瞳 ひとみ 」
子音 しいん の前 まえ の n
同 どう 器官 きかん の鼻音 びおん
日本語 にほんご のン
kanpo [kampo] 「野外 やがい 」 banku [baŋku] 「銀行 ぎんこう 」
ñ
[ɲ]
硬 かた 口蓋 こうがい 鼻音 びおん 舌先 したさき を下 した の歯 は の裏 うら につけて n の発音 はつおん をする ニャ行 ぎょう 子音 しいん に近 ちか い
andereño [andeɾeɲo] 「小学校 しょうがっこう の女 おんな の先生 せんせい 」
o
[o]
日本語 にほんご のオよりやや丸 まる めが強 つよ い
oro [oɾo] 「全 すべ ての」
p
[p]
日本語 にほんご のパ行 ぎょう 子音 しいん
pago [paɣo] 「ブナノキ」
母音 ぼいん 間 あいだ の r
[ɾ]
日本語 にほんご の語 かたり 中 ちゅう のラ行 ぎょう 子音 しいん
aro [aɾo] 「時代 じだい 」
それ以外 いがい の r
[r]
巻 ま き舌 じた の r
erdi [erdi] 「半分 はんぶん 」
rr
errege [ereɣe] 「王 おう 」
s
[s̺]
舌尖 ぜっせん 音 おん の s舌尖 ぜっせん を歯茎 はぐき に付 つ けて s を発音 はつおん する
soka [s̺oka] 「ロープ」
有 ゆう 声 ごえ 子音 しいん の前 まえ の s
[z̺]
上 うえ の音 おと の有声音 ゆうせいおん
esne [ez̺ne] 「牛乳 ぎゅうにゅう 」
t
[t]
日本語 にほんご のタ、テ、トの子音 しいん
tabako [taβ べーた ako] 「タバコ」
ts
[ʦ̺]
舌尖 ぜっせん 音 おん の無声 むせい 歯茎 はぐき 破 やぶ 擦 ず 音 おと 舌尖 ぜっせん を歯茎 はぐき に付 つ けて発音 はつおん する日本語 にほんご のツの子音 しいん
atso [aʦ̺o] 「老女 ろうじょ 」
tt
[c]
無声 むせい 硬 かた 口蓋 こうがい 破裂 はれつ 音 おん
ttipi [cipi] 「小 ちい さな」
tx
[tɕ]
日本語 にほんご のチの子音 しいん
etxe [etɕe] 「家 いえ 」
tz
[ts]
日本語 にほんご のツの子音 しいん
atzo [aʦo] 「昨日 きのう 」
単 たん 母音 ぼいん の u
[u]
英語 えいご の /u/ よりやや広 ひろ め
ume [ume] 「赤 あか ん坊 ぼう 」
二 に 重母音 じゅうぼいん の u
[w]
英語 えいご の /w/
lau [law] 「四 よん 」
x
[ɕ]
日本語 にほんご のシの子音 しいん
xanpu [ɕampu] 「シャンプー」
z
[s]
日本語 にほんご のサ、ス、セ、ソの子音 しいん
zopa [sopa] 「スープ」
有 ゆう 声 ごえ 子音 しいん の前 まえ の z
[z]
日本語 にほんご の語 かたり 中 ちゅう のザ、ズ、ゼ、ゾの子音 しいん
elizgizon [elizgison] 「神父 しんぷ 」
名詞 めいし 句 く の構造 こうぞう は次 つぎ のようになっている。
修飾 しゅうしょく 句 く + 限定 げんてい 詞 し 1 + 名詞 めいし + 形容詞 けいようし + 限定 げんてい 詞 し 2 + 格 かく 標識 ひょうしき
名詞 めいし 句 く の例 れい
atzo ikusi nituen
bi
neska
polit
=e
=i
昨日 きのう 私 わたし が見 み た
2
少女 しょうじょ
可愛 かわい い
=PL
=DAT
修飾 しゅうしょく 句 く (関係 かんけい 節 ぶし )
限定 げんてい 詞 し (数詞 すうし )
名詞 めいし
形容詞 けいようし
限定 げんてい 詞 し (冠詞 かんし )
格 かく 標識 ひょうしき
「昨日 きのう 私 わたし が見 み た2人 ふたり の可愛 かわい い少女 しょうじょ に」
名詞 めいし 句 く には必 かなら ずしも名詞 めいし が含 ふく まれなくてもよい。しかし限定 げんてい 詞 し は極少 きょくしょう 数 すう の例外 れいがい をのぞき必須 ひっす である。修飾 しゅうしょく 句 く と形容詞 けいようし は複 ふく 数 すう 回 かい 用 もち いることができる。
限定 げんてい 詞 し には次 つぎ のような語 かたり が含 ふく まれる。
限定 げんてい 詞 し 1
bat 「一 いち 」以外 いがい の数詞 すうし
量 りょう 化 か 詞 し の一部 いちぶ (hanitz 「多 おお くの」、zenbat 「どのくらいの」など)
不定 ふてい 限定 げんてい 詞 し の一部 いちぶ (zenbait 「いくつかの」、zein 「どの」など)
限定 げんてい 詞 し 2
定冠詞 ていかんし と不 ふ 定冠詞 ていかんし
指示 しじ 詞 し
数詞 すうし の bat 「一 いち 」
量 りょう 化 か 詞 し の一部 いちぶ (asko 「多 おお くの」など)
不定 ふてい 限定 げんてい 詞 し の一部 いちぶ (batzu 「いくつかの」など)
部分 ぶぶん 冠詞 かんし
定冠詞 ていかんし と指示 しじ 詞 し にのみ数 かず (単数 たんすう と複数 ふくすう )の区別 くべつ がある。
名詞 めいし 句 く における数 かず の区別 くべつ の例 れい
a.
gizon
hau
男 おとこ
これ(SG)
「この男 おとこ (単数 たんすう )」
b.
gizon
hau-ek
男 おとこ
これ-PL
「この男 おとこ たち(複数 ふくすう )」
c.
zein
gizon
どれ
男 おとこ
「どの男 おとこ (単数 たんすう )/ どの男 おとこ たち(複数 ふくすう )」
限定 げんてい 詞 し は「数詞 すうし +定冠詞 ていかんし 」の場合 ばあい のみ二 ふた つ用 もち いることが可能 かのう である。
二 ふた つの限定 げんてい 詞 し を持 も つ名詞 めいし 句 く の例 れい
lau
zaldi
=ak
4
馬 うま
=PL
限定 げんてい 詞 し 1(数詞 すうし )
名詞 めいし
限定 げんてい 詞 し 2(定冠詞 ていかんし )
「その4頭 とう の馬 うま 」
格 かく は名詞 めいし 句 く に接尾 せつび 辞 じ をつけることで標示 ひょうじ される。
能 のう 格 かく - 絶対 ぜったい 格 かく 型 かた の体系 たいけい である。
文法 ぶんぽう 関係 かんけい を示 しめ す絶対 ぜったい 格 かく /能 のう 格 かく /与格 よかく のほか、前置詞 ぜんちし 的 てき な格 かく や位置 いち を表 あらわ す格 かく など14あまりの格 かく が存在 そんざい する。
二人称 ににんしょう には普通 ふつう 形 がた zu(単数 たんすう )/ zuek(複数 ふくすう )と親 おや 称 しょう 形 がた hi の区別 くべつ があり、動詞 どうし の活用 かつよう において異 こと なる振 ふ る舞 ま いをする。親 おや 称 しょう には単数 たんすう 形 がた しか無 な い。
親 おや 称 しょう は使 つか われる範囲 はんい がきわめて限 かぎ られている。主 おも に兄弟 きょうだい 姉妹 しまい に対 たい してか、同性 どうせい 同年代 どうねんだい の親 した しい友人 ゆうじん に対 たい して用 もち いられる。
一部 いちぶ の方言 ほうげん を除 のぞ いて三人称 さんにんしょう 代名詞 だいめいし を欠 か いている。
動詞 どうし は絶対 ぜったい 格 かく 項 こう /能 のう 格 かく 項 こう /与格 よかく 項 こう の人称 にんしょう と数 かず などによって活用 かつよう する。
き手 きて が親 しん 称 しょう の hi かどうかを動詞 どうし に標示 ひょうじ する「き手 きて 活用 かつよう 」と呼 よ ばれる語形 ごけい 変化 へんか がある。
動詞 どうし 一 いち 語 ご からなる単純 たんじゅん 型 がた の活用 かつよう と、分詞 ぶんし と助動詞 じょどうし からなる複 ふく 合 ごう 型 がた の活用 かつよう がある。
単純 たんじゅん 型 がた の活用 かつよう ができる動詞 どうし は十指 じっし に満 み たない。ほとんどの動詞 どうし には分詞 ぶんし しかなく、複 ふく 合 ごう 型 がた の活用 かつよう をする。
単純 たんじゅん 型 がた では現在 げんざい 形 がた 、過去 かこ 形 がた 、仮定 かてい 形 がた 、命令 めいれい 形 がた がある。
分詞 ぶんし には完了 かんりょう 分詞 ぶんし 、未 み 完了 かんりょう 分詞 ぶんし 、前 ぜん 望 もち 分詞 ぶんし 、語根 ごこん がある。
能 のう 格 かく の例 れい :Mendiak mendia behar ez du, baina gizonak gizona bai. 山 やま は山 やま を求 もと めないが、人 ひと は人 ひと を求 もと める。(ことわざ)
mendiak , gizonak のように-kのついたものが能 のう 格 かく であり、つかないものが絶対 ぜったい 格 かく である。
バスク語 ご は、他 た の欧米 おうべい 言語 げんご との共通 きょうつう 点 てん の少 すく なさゆえに印 しるし 欧 おう 系 けい 言語 げんご 話者 わしゃ には習得 しゅうとく が難 むずか しいとされる。
司馬 しば 遼 りょう 太郎 たろう は、紀行 きこう 文集 ぶんしゅう 『街道 かいどう をゆく 』の中 なか で「ローマの神学 しんがく 生 せい のあいだで創 つく られたバスク語 ご 学習 がくしゅう にちなむ“神話 しんわ ”」として、神 かみ からどんな罰 ばっ を与 あた えられても全 まった くひるまなかった悪魔 あくま でさえ、3年間 ねんかん 岩 がん 牢 ろう にこもってバスク語 ご を勉強 べんきょう する罰 ばち を課 か されると神 かみ に許 ゆる しを乞 こ うた、という話 はなし を紹介 しょうかい している[25] 。
ナバラ州 しゅう の小咄 こばなし として「悪魔 あくま が7年間 ねんかん バスクに滞在 たいざい したが、7年 ねん かかって覚 おぼ えたのは『Bai(はい)』と『Ez(いいえ)』だけだった。それすらもバイヨンヌ の橋 はし を渡 わた ったら忘 わす れてしまった」、この変形 へんけい として「バスク人 じん は決 けっ して悪魔 あくま の誘惑 ゆうわく を受 う けて地獄 じごく には落 お ちない。なぜなら、悪魔 あくま はバスク語 ご を話 はな せないからだ。」といったものがある。
フランスのバイヨンヌ にあるバスク民族 みんぞく 博物館 はくぶつかん では、「かつて悪魔 あくま サタンは日本 にっぽん にいた。それがバスクの土地 とち にやってきたのである」と挿絵 さしえ 入 い りの歴史 れきし が描 えが かれているものが飾 かざ られている。同 おな じく印 しるし 欧 おう 系 けい 言語 げんご 話者 わしゃ からみて習得 しゅうとく の難 むずか しい日本語 にほんご と重 かさ ね合 あ わせている[27] 。
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下宮 したみや , 忠雄 ただお 『バスク語 ご 入門 にゅうもん : 言語 げんご ・民族 みんぞく ・文化 ぶんか -知 し られざるバスクの全貌 ぜんぼう 』大修館書店 たいしゅうかんしょてん 、1979年 ねん 。doi :10.11501/12576470 。
司馬 しば 遼 りょう 太郎 たろう (1999)「バスクとそのひとびと」『街道 かいどう をゆく 8:南蛮 なんばん のみち』文藝春秋 ぶんげいしゅんじゅう 。
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