無声むせい両りょう唇くちびる摩擦音まさつおん

無声むせい両りょう唇くちびる摩擦音まさつおん
	ɸ
IPA 番号ばんごう	126
IPA 表記ひょうき	[ɸ]
IPA 画像がぞう
Unicode	U+0278
文字もじ参照さんしょう	ɸ
JIS X 0213	1-6-21
X-SAMPA	p\
Kirshenbaum	P
	音声おんせいサンプル

無声むせい両りょう唇くちびる摩擦音まさつおん（むせいりょうしんまさつおん）は、子音しいんのひとつである。両りょう唇くちびるで調音ちょうおんされる摩擦音まさつおんで、国際こくさい音声おんせい記号きごうでは[ɸ]で表あらわされる。ロウソクの火ひを吹ふいて消けしたり、粥かゆを吹ふいて冷さます時ときに発生はっせいする音おと。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

気流きりゅうの起おこし手しゅ - 肺臓はいぞう気流きりゅう機構きこうによって生しょうじる呼気こき。
発声はっせい - 声帯せいたいの振動しんどうを伴ともなわない無声音むせいおん。
調音ちょうおん
- 調音ちょうおん位置いち - 上唇うわくちびると下した唇くちびるによる両りょう唇音しんおん。
- 調音ちょうおん方法ほうほう
  - 口腔こうくう内ないの気流きりゅう - 区別くべつなし。
  - 調音ちょうおん器官きかんの接近せっきん度ど - 隙間すきまを作つくって空気くうきが通とおりにくくし、そこに気流きりゅうを通とおすことで生しょうじる摩擦音まさつおん。
  - 口蓋こうがい帆ほの位置いち - 口蓋こうがい帆ほを持もち上あげて鼻腔びこうへの通路つうろを塞せいだ口くち音おん。

言語げんご例れい[編集へんしゅう]

この音おとを音素おんそとしてもつ言語げんごは現代げんだいでは少すくない。また f の音素おんそを持もつ言語げんごの多おおくはこの音おとを音素おんそとして持もたないことが多おおい。

日本語にほんご - 現代げんだい日本語にほんごでは、ファ行ぎょう全段ぜんだんとハ行ぎょうの「フ」をこの音おとで発音はつおんする。これらの文字もじの子音しいんはロろーマ字まじ表記ひょうきにおいてFで転写てんしゃされることが主流しゅりゅうであるが、多おおくの日本語にほんご話者わしゃは外国がいこく語ごなどの無声むせい唇くちびる歯ぱ摩擦音まさつおん ([f]) もこの音おとで発音はつおんしてしまうことがある。
一方いっぽうで、逆ぎゃくに外国がいこく語ごの影響えいきょうから、当該とうがいの発音はつおんを無声むせい唇くちびる歯ぱ摩擦音まさつおん ([f]) で代用だいようする話者わしゃもいる。
日本語にほんごの歴史れきし上じょうでは、平安へいあん中期ちゅうきから江戸えど初期しょきまでは、ハ行ぎょうの全段ぜんだんをこの音おとで発音はつおんしていたが、ハ行ぎょう転てん呼よびの現象げんしょうにより有ゆう声ごえ化かし、両りょう唇くちびる接近せっきん音おん[βべーた̞]すなわちワ行ぎょうの音おとに変化へんかした。
スペイン語ご / アンダルシア方言ほうげん - v 、[h] の後うしろに来くる /b/ をこの音おとで発音はつおんする。
トルクメン語ご - f/ф
マオリ語ご - wh （現代げんだいの話者わしゃは [f] と発音はつおんする場合ばあいもある）
イテリメン語ご - ф
エウェ語ご - ƒ
ゲルマン祖語そご - グリムの法則ほうそく

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

有ゆう声ごえ両りょう唇くちびる摩擦音まさつおん

子音しいん

**肺臓はいぞう気流きりゅう**
	両りょう唇くちびる		唇くちびる歯ぱ		歯は		歯茎はぐき		後部こうぶ歯茎はぐき		そり舌した		硬かた口蓋こうがい		軟口蓋なんこうがい		口蓋垂こうがいすい		咽頭いんとう		声門せいもん
破裂はれつ	p	b	(p̪)	(b̪)	(t̪)	(d̪)	t	d			ʈ	ɖ	c	ɟ	k	ɡ	q	ɢ	( ʡˤ)		ʔ
鼻はな	(m̥)	m	(ɱ̊)	ɱ	(n̪̊)	(n̪)	(n̥)	n				ɳ		ɲ		ŋ		ɴ
ふるえ	(ʙ̥)	ʙ					(r̥)	r										ʀ
はじき		(ⱱ̟)		ⱱ				ɾ				ɽ		(ɟ̆)				(ɢ̆)		(ʡ̆)
摩擦まさつ	ɸ	βべーた	f	v	θしーた	ð	s	z	ʃ	ʒ	ʂ	ʐ	ç	ʝ	x	ɣ	χかい	ʁ	ħ	ʕ	h	ɦ
側面そくめん摩擦まさつ							ɬ	ɮ
接近せっきん		(βべーた̞)	(ʋ̥)	ʋ			(ɹ̥)	ɹ				ɻ		j		ɰ
側面そくめん接近せっきん							(l̥)	l				ɭ		ʎ		ʟ