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複合語ふくごうご

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

複合語ふくごうご(ふくごうご)とは、かたり構成こうせいにおいてふた以上いじょう語根ごこんによって形成けいせいされたかたりをいう。合成ごうせい下位かい分類ぶんるいひとつ。

概要がいよう

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単語たんご定義ていぎむずかしいのと同様どうよう複合語ふくごうごと2つのかたりとの区別くべつはあいまいであることがおおい。

言語げんごによっては複合語ふくごうごつくるための特別とくべつかたち使つかわれることがあり、その場合ばあいには複合語ふくごうごであることがあきらかである。たとえば日本語にほんごでは「あめ(あめ)」にたいする「あま」は複合語ふくごうごぜん成分せいぶんにのみ出現しゅつげんするかたちであり、したがって「あまもり」は複合語ふくごうごである。また連濁れんだく合成ごうせいのち成分せいぶんにのみ出現しゅつげんするため、「たにがわ(谷川たにがわ)」は複合語ふくごうごであることがあきらかである。言語げんごではたとえは古代こだいギリシアτετράγωνος四角よつかどの」はτέσσαρεςよん」の合成ごうせい語形ごけいτετρα-γωνίαかく」からなる複合語ふくごうごである。またナワトルteohcalli神殿しんでん」はteōtlかみ」とcalliいえ」の複合語ふくごうごだが、ぜん成分せいぶんから語尾ごび-tlえていることから複合語ふくごうごであることがわかる。

そのような特徴とくちょうがなくても、意味いみによって複合語ふくごうごであるとかんがえたほうがよい場合ばあいもある。たとえば英語えいごblackbirdクロウタドリまたはムクドリモドキ」は特定とくていとりし、black birdが任意にんいくろとりすのとことなっているから複合語ふくごうごかんがえられる[1]:299。また、2からなるblack birdは副詞ふくしくわえて「very black bird」とえるが、blackbirdはそうではない[1]:306

複合語ふくごうご構成こうせい成分せいぶん意味いみがはっきりしないこともある。たとえば英語えいごraspberryラズベリー」やcranberryクランベリー」の後半こうはんのberryの部分ぶぶん意味いみあきらかだが、前半ぜんはんのraspやcranがなに意味いみするかは意識いしきされない。またgooseberryセイヨウスグリ」はgoose「かりガチョウ」とは意味いみがあわず、実際じっさい語源ごげんてき無関係むかんけいである[1]:273

類型るいけい

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インドの伝統でんとうてき文法ぶんぽうがくでは、複合語ふくごうごを4つ(細分さいぶんすると6つ)の類型るいけいける[2]

  1. 並列へいれつ複合語ふくごうご dvaṃdva / copulative compound
    サンスクリット: ācārya-śiṣya師弟してい」、英語えいご: bittersweetにがくてあまい」、日本語にほんご: 田畑たはたなど。
  2. 限定げんてい複合語ふくごうご tatpuruṣa / determinative compound
    だい部分ぶぶん複合語ふくごうごはこの類型るいけいぞくする。サンスクリット: kṛṣṇa-śakuni「カラス(くろとり)」、英語えいご: blackbirdなど。
    1. かく限定げんてい複合語ふくごうご case-determined
    2. 同格どうかく限定げんてい複合語ふくごうご karmadhāraya / appositional determinative
    3. 数詞すうし限定げんてい複合語ふくごうご dvigu / numeral determinative
  3. 所有しょゆう複合語ふくごうご bahuvrīhi / possessive compound
    限定げんてい複合語ふくごうご形式けいしきてきにはているが、複合語ふくごうご全体ぜんたいとして「そのような性質せいしつ属性ぞくせいをもった(もの・にん)」という意味いみあらわす。たとえばサンスクリット: bahu-vrīhi文字通もじどおりには「おおくのべい」という意味いみだが、「おおくのこめさんする(肥沃ひよくな)土地とち」という意味いみになる。英語えいご: redcap赤帽あかぼう」も帽子ぼうしそのものではなくあか帽子ぼうし人物じんぶつし、日本語にほんご: 馬面うまづらながかおひと意味いみするのでこの類型るいけいぞくする。そとしんてき(exocentric)複合語ふくごうごばれることもある[1]:310-312
  4. 変化へんか複合語ふくごうご avyayībhāva / indeclinable compound
    全体ぜんたい副詞ふくしとして機能きのうするもの。サンスクリット: prati-dinam毎日まいにち」、英語えいご: overhead頭上ずじょうで」など。

日本語にほんご複合語ふくごうご

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複合語ふくごうご成分せいぶん

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複合語ふくごうごをつくる場合ばあい、もとの単純たんじゅん語形ごけい変化へんかさせる場合ばあいがあるが、変化へんか仕方しかたまっている。動詞どうし学校がっこう文法ぶんぽうでいわゆる連用形れんようけいであり、「~ます」の「ます」をのぞいた部分ぶぶんである。よんだん動詞どうしではだんおと (子音しいんわり「語幹ごかん」 + -i)、一段いちだん動詞どうしだん動詞どうし)ではイだんもしくはだんおと (母音ぼいんわり「語幹ごかん」 + ゼロ形態素けいたいそ) でわる。形容詞けいようしはその語幹ごかんであり、「い」や「く」をのぞいた部分ぶぶんである。名詞めいし場合ばあいはそのまま使つかわれる。

単純たんじゅんとしてももちいられうる語根ごこん自由じゆう形態素けいたいそにあたり、合成ごうせい一部いちぶとしてのみもちいられる語根ごこん拘束こうそく形態素けいたいそぞくする。動詞どうし形容詞けいようしのいわゆる「語幹ごかん」 (語根ごこん) は拘束こうそく形態素けいたいそである。また、複合語ふくごうご前項ぜんこうでのみもちいられる名詞めいし語根ごこん (「(あま)-」「(こ)-」とう) や、こうこうでのみもちいられる語根ごこんすなわち連濁れんだくかたち拘束こうそく形態素けいたいそである。

成分せいぶんあいだ関係かんけい

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  • 並列へいれつ関係かんけい - 成分せいぶん同士どうし対等たいとう関係かんけいにあるものをいう。並列へいれつ関係かんけいにある場合ばあい連濁れんだくきない。
    • れい草木くさき(くさき)・あかしろ(あかしろ)・田畑たばた(たはた)・尾頭おとう(おかしら)…
  • 従属じゅうぞく関係かんけい - 成分せいぶん同士どうし対等たいとうでなく、一方いっぽうがもう一方いっぽう従属じゅうぞくしているものをいう(日本語にほんごではほとんどの場合ばあい最後さいごあらわれる語根ごこん性質せいしつかたり全体ぜんたい品詞ひんし決定けっていする)。
    • れいものものうこと)・着物きものもののこと)・安売やすうり(やすること)・うれしなみだ(うれしくてなみだながすこと)…
    • れいえんだかえんたか状態じょうたい)・雨降あめふり(あめること)・にわかあめ(にわかにあめること)・横断おうだん歩道ほどう横断おうだんするための歩道ほどう)…
    • れい山登やまのぼり(やまのぼること)・田舎いなかそだち(田舎いなかそだったこと、またはそうしたひと)…
  • ふくあい動詞どうし - 2つの動詞どうしむすいてできた動詞どうしをいう。日本語にほんごでは非常ひじょう種類しゅるいおおい。
    • たおす・ふりかける…前項ぜんこうこうこう副詞ふくしてき修飾しゅうしょくし、前項ぜんこうあらわうごきが、こうこうあらわうごきの様態ようたい規定きていしている。
    • はじめる・つづける・つくげる…前項ぜんこう基本きほんてき意味いみこうこう文法ぶんぽう機能きのうなどをになう。「-はじめ (る)」「-つづけ (る)」とうはほとんどの動詞どうし、あるいは非常ひじょうおおくの動詞どうしこうせっしうる語根ごこんであるため、語彙ごいてき結合けつごうでなく統語とうごてき結合けつごうなされ(補助ほじょ動詞どうしちかい)、それらがあとせっしたふくあい動詞どうし全体ぜんたい辞書じしょ登録とうろくされない。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d レナード・ブルームフィールド しる三宅みやけひろし日野ひのじゅん わけ言語げんご大修館書店たいしゅうかんしょてん、1987ねん原著げんちょ1962ねん)。ISBN 4469210013 
  2. ^ 複合語ふくごうご分類ぶんるい」『言語げんごがくだい辞典じてん 術語じゅつごへん三省堂さんせいどう、1995ねん、1135-1137ぺーじISBN 4385152187 

関連かんれん項目こうもく

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