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カラシナ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
カラシナ
Brassica juncea
カラシナの図譜ずふ(1897ねん
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい eudicots
: アブラナ Brassicales
: アブラナ Brassicaceae
ぞく : アブラナぞく Brassica
たね : セイヨウカラシナ B. juncea
変種へんしゅ : カラシナ B. j. var. cernua
学名がくめい
Brassica juncea var. cernua
Jorb. et Hem.
和名わみょう
カラシナ
英名えいめい
Mustard greens,
Indian mustard,
Chinese mustard,
Leaf mustard,
Oriental mustard
マスタードグリーン(アメリカ)

カラシナ芥子菜からしな[1]学名がくめい: Brassica junceaえい: Mustards)はアブラナアブラナぞく越年えつねんそう。「あくた」でカラシナを意味いみし、「芥子からし」はカラシナの種子しゅし意味いみ

別名べつめいともされるセイヨウカラシナは、カラシナの原種げんしゅである野生やせいしゅが、明治めいじ以降いこう帰化きか植物しょくぶつとなったもの。

概要がいよう

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さむさにつよふゆぶつ野菜やさいで、みのあるにピリッとしたからみがあるのが特徴とくちょう[2]ちぢれた「ちりめんからしさい」、幅広はばひろい「わさびさい」、ほその「リアスカラシナ」など、多数たすう品種ひんしゅがある[2]

クロガラシBrassica nigra: ゲノム構成こうせいBB, 2n = 16)とブラッシカ・ラパB. rapa: ゲノム構成こうせいAA, 2n = 20)の両方りょうほうゲノムふくばいたい(ゲノム構成こうせいAABB, 2n = 4x = 36)で、中央ちゅうおうアジア原産げんさんといわれる。中央ちゅうおうアジアから中国ちゅうごくにかけて、アブラナ交雑こうざつ[1]、あるいはクロガラシとアブラナの交雑こうざつによりしょうじた品種ひんしゅかんがえられている[3]

日本にっぽんへの伝来でんらい弥生やよい時代じだいともいわれ、平安へいあん時代じだいである延喜えんぎ年間ねんかん901ねん - 923ねん編纂へんさんの『本草ほんぞう和名わみょう』やうけたまわひらた年間ねんかん931ねん - 938ねん編纂へんさんの『和名わみょうしょう』に記載きさいがある。

また、かわ沿いの土手どてなどにも野生やせいしてえている。たかさは1 - 1.5メートル (m) 。はる開花かいかし、アブラナに黄色きいろはなかせる。

辛味からみ成分せいぶんシニグリンふくみ、種子しゅしからしこな原料げんりょう使つかわれる[1]くきは、漬物つけものひたいたぶつなどにしてべられている[1]カルシウムカロテンビタミンなどが豊富ほうふふくまれる[2]

栽培さいばい

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中国ちゅうごく北部ほくぶ栽培さいばいされていて、日本にっぽんでは北海道ほっかいどう東北とうほく地方ちほう中心ちゅうしん栽培さいばいされている[4]耐寒たいかんせいたか作物さくもつで、発芽はつが適温てきおんは25前後ぜんこうとされる[4]べる場合ばあい栽培さいばい期間きかんやく3かげつほどで、はるまきで初夏しょか収穫しゅうかくする栽培さいばいほうと、あきまき(晩夏ばんか)で晩秋ばんしゅう収穫しゅうかくする栽培さいばいほうがある[4]あきまきのほうがそだてやすい[2]はたけじきまきして、生長せいちょうわせて、かさならないようにあいだしながらそだてる[2]輪作りんさく年限ねんげんは1 - 2ねんとされる[2]

はたけ元肥もとごえれてよくたがやしてからたいらなうねつくり、すじまきたねをまく[4]発芽はつがしたらなんかいかにけてあいだしながらそだて、かぶどうしのあいだを35センチメートル (cm) ほどけるようにする[4]あいださいべられる[2]草丈くさたけが7 - 8 cmくらいに生長せいちょうしたら、追肥ついひ中耕ちゅうこうおこな[4]じょうあいだ中耕ちゅうこうすることで、雑草ざっそうふせ[2]草丈くさたけが25 cmほどになったころが収穫しゅうかく適期てっきで、あいだきをねて適宜てきぎかぶごと収穫しゅうかくする[4]

はるまきとあきまきができるが、はるまきはモンシロチョウ幼虫ようちゅうなどの食害しょくがい注意ちゅういする必要ひつようがある[2]病虫害びょうちゅうがい対策たいさくとして、気温きおんたか時期じきは、がいむしよけのために寒冷紗かんれいしゃでトンネルがけをしておくとよい[2]

利用りよう

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野菜やさい(からしさい)として栽培さいばいされ、しゅんは2 - 4がつごろとされる[1]種子しゅし特有とくゆう辛味からみがあり、さいとして食用しょくようにするもの、香辛料こうしんりょうあぶらるものにけられる[3]くきながさ20 - 30 cmぐらいものがやわらかく[3]あぶらいたおひたし漬物つけものもの煮物にもの浅漬あさづサラダなど幅広はばひろ利用りようされる[1]タカナ高菜たかな)やザーサイしぼさい)はカラシナの変種へんしゅ久住ひさずみ高菜たかな阿蘇あそ高菜たかななどを利用りようした漬物つけものはカラシナの一族いちぞくとして「カラシさいづけ」に分類ぶんるいされることがあり、福岡ふくおかけん北野きたのまち特産とくさんやましおさいづけも「カラシさいづけ」の一種いっしゅとされている[5]

きざんだりでることで、辛味からみ成分せいぶんえる[1]種子しゅしからしからし)の原料げんりょうとなりオリエンタルマスタードともばれる。マスタードようからし)の原料げんりょうとして利用りようされるシロガラシは、おなじアブラナ別種べっしゅである。アブラナやカブなど、アブラナ植物しょくぶつは、辛味からみ成分せいぶんであるアリルイソチオシアネートはいとうからだであるグルコシノレートGlucosinolate: 代表だいひょうてきなものとしてシニグリン[6]など)をもち、種子しゅししゅによってはあるが、いずれもあぶら辛味からみつ。

βべーた-カロテンおおふく緑黄色りょくおうしょく野菜やさいで、ビタミンCカリウムカルシウムなどの栄養素えいようそふくんでいる[1]でてべるときは、さっとでるようにするとビタミンCの流出りゅうしゅつすくない[1]

あまり日持ひもちはしない野菜やさいであるが、保存ほぞんするときはポリぶくろなどにれてからてて冷蔵れいぞうする[1]

種類しゅるい

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  • カラシナ - 日本にっぽん出回でまわっているカラシナとよばれるもの。やにつよ辛味からみがあり、たねにこやからしの原料げんりょうになる。[1]
  • ちりめんカラシナ - さきがちりめんじょうちぢれたまるようタイプのカラシナ。せい料理りょうりわせにしたり、づけぶつなどにする。[1]
  • サラダカラシナ - ミズナのようにこまかいみがありリアスカラシナともよばれる[2]緑色みどりいろ赤色あかいろびるたねがあり、サラダや鍋物なべものなどに使つかわれる。[1]
  • サラダザーサイ - カラシナとザーサイを交配こうはいして神奈川かながわけん三浦みうらでつくられたことから「ミウラーゼ」ともいう。がやわらかく、サラダやいたぶつく。[1]
  • マスタードグリーン - えんこまかくちぢれていて、リーフレタスる。ピリピリした辛味からみがあり、にく料理りょうりう。[1]
  • ワサビさい - みがあるカラシナの一種いっしゅで、さっぱりした辛味からみがある。せいでサラダやサンドイッチに、また加熱かねつしてもりがあることから鍋物なべものにもく。[1]
  • シマナーしまさい) - 沖縄おきなわけんのカラシナの仲間なかまで、緑色みどりいろく、独特どくとくかおりとさわやかな辛味からみがある[7]塩漬しおづけやいたぶつなどに多用たようされ、しおづけするとチキナーとよばれ[8]いためるとチキナーちゃんぷるーとよばれる。

このほか、宮崎みやざきけん一部いちぶ美郷みさとまちなど)には「イラカブ」とばれる在来ざいらい品種ひんしゅがある[9]

変種へんしゅ

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  • アザミナ学名がくめいBrassica juncea var. crispifolia L.H. Bailey)別名べつめい:チリメンカラシ、ハゴロモカラシナ
  • カラシナ学名がくめいBrassica juncea var. cernua Jorb. et Hem.)
  • ザーサイしぼさい)(学名がくめいBrassica juncea var. tumida Tsen et Lee)
  • シュエリーホン学名がくめいBrassica juncea var. foliosa L. H. Bailey)
  • タカナ高菜たかな)(学名がくめいBrassica juncea var. integrifolia (Stokes) Sinsk.)
  • タニクタカナ学名がくめいBrassica juncea var. rugosa Kitam.)
  • ダイシンサイ学名がくめいBrassica juncea var. bulbifera Mas.)
  • ツァイタイ学名がくめいBrassica juncea var. rugosa Kitam.)別名べつめい:タイシンツァイ、ターシンツァイ、イウツァイ、イウツァイシン
  • ニンスーカ学名がくめいBrassica juncea var. multisecta Bailey)別名べつめい:センスジハガラシ
  • ネガラシ学名がくめいBrassica juncea var. megarrhiza Tsen et Lee)
  • ホワチエ学名がくめいBrassica juncea var. napiformis Kitam.)

脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 猪股いのまた慶子けいこ監修かんしゅう 成美せいびどう出版しゅっぱん編集へんしゅうへん『かしこくえらぶ・おいしくべる 野菜やさいまるごと事典じてん成美せいびどう出版しゅっぱん、2012ねん7がつ10日とおか、16ぺーじISBN 978-4-415-30997-2 
  • 金子かねこよしとう野口のぐちいさお監修かんしゅう 成美せいびどう出版しゅっぱん編集へんしゅうへん有機ゆうき農薬のうやく 家庭かてい菜園さいえん当地とうちふるさと野菜やさいそだかた成美せいびどう出版しゅっぱん、2011ねん4がつ1にち、128ぺーじISBN 978-4-415-30991-0 
  • 金子かねこよしとう有機ゆうき農薬のうやくでできる野菜やさいづくりだい事典じてん成美せいびどう出版しゅっぱん、2012ねん4がつ1にち、96ぺーじISBN 978-4-415-30998-9 
  • 講談社こうだんしゃへん『からだにやさしいしゅん食材しょくざい 野菜やさいほん講談社こうだんしゃ、2013ねん5がつ13にち、121ぺーじISBN 978-4-06-218342-0 
  • 平野ひらの隆久たかひさ写真しゃしんはなはやし弥栄やさか監修かんしゅうやま溪谷社けいこくしゃやまけいハンディ図鑑ずかん〉、1989ねん、310ぺーじISBN 4-635-07001-8 

関連かんれん項目こうもく

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  • 帰化きか植物しょくぶつ
  • スプラウト
  • セイヨウアブラナ
  • バイオレメディエーション(Bioremediation)/ファイトレメディエーション(phytoremediation)
    前者ぜんしゃ微生物びせいぶつ後者こうしゃ普通ふつう植物しょくぶつもちいる土壌どじょう浄化じょうか技術ぎじゅつ。カラシナは、重金属じゅうきんぞく汚染おせんされたつよ毒性どくせい土壌どじょうきわめてつよ重金属じゅうきんぞくたいせいち、重金属じゅうきんぞくこう蓄積ちくせきする土壌どじょう浄化じょうか植物しょくぶつとして利用りようされる。

外部がいぶリンク

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