この項目 こうもく では、香辛料 こうしんりょう を用 もち いたインド料理 りょうり 全般 ぜんぱん について説明 せつめい しています。
カレー(手前 てまえ )とナン
カレー (咖哩、英 えい : curry , タミル語 ご : கறி , タミル語 ご ラテン翻 こぼし 字 じ : kaṟi )は、多 た 種類 しゅるい の香辛料 こうしんりょう を併用 へいよう して食材 しょくざい に味付 あじつ けするというインド料理 りょうり の特徴 とくちょう 的 てき な調理 ちょうり 法 ほう を用 もち いた料理 りょうり に対 たい する英語 えいご 名 な 。転 てん じて、それを元 もと にしたヨーロッパ系 けい の料理 りょうり や、同様 どうよう に多種 たしゅ の香辛料 こうしんりょう を併用 へいよう して味付 あじつ けされる東南 とうなん アジア などの料理 りょうり も指 さ す。インド系 けい 、東南 とうなん アジア系 けい 、洋食 ようしょく 系 けい のいずれも、国際 こくさい 的 てき に人気 にんき のある料理 りょうり のひとつとなり、世界中 せかいじゅう でカレー文化 ぶんか が根付 ねつ いている。
タミル語 ご のカリ(kari 、スープの具 ぐ の意味 いみ )またはカリル(karil 、スパイスで味付 あじつ けされた野菜 やさい や肉 にく の炒 いた め物 ぶつ )が語源 ごげん とされる[1] [2] 。複数 ふくすう の粉末 ふんまつ 香辛料 こうしんりょう を混合 こんごう させて作 つく ったソース を用 もち いた料理 りょうり 全般 ぜんぱん を指 さ す。もともとインド人 じん は「カレー」という言葉 ことば を使 つか わずそれぞれのカレー料理 りょうり には個別 こべつ の名称 めいしょう が用 もち いられていたが、17世紀 せいき 初頭 しょとう ごろよりポルトガルなどの欧州 おうしゅう 圏 けん においてカレーという言葉 ことば の記述 きじゅつ が見 み られるようになり、広 ひろ く世界 せかい に普及 ふきゅう した[3] 。
インド料理 りょうり は香辛料 こうしんりょう を多用 たよう するため、外国 がいこく 人 じん の多 おお くはインド料理 りょうり の煮込 にこ み料理 りょうり を「カレー」と認識 にんしき している。しかし外国 がいこく 人 じん がカレーと呼 よ ぶインドの煮込 にこ み料理 りょうり は、サーグ 、サンバール 、コルマ 、ダール など、それぞれに固有 こゆう の名称 めいしょう があり、「カレー」という料理 りょうり はない。ただし、インドの観光 かんこう 客 きゃく 向 む けのレストラン やインド国外 こくがい のインド料理 りょうり 店 てん では便宜上 べんぎじょう 、メニューに「○○カレー」という表記 ひょうき をしていることも多 おお い。これは、旧 きゅう 宗主 そうしゅ 国 こく のイギリス人 じん がインド料理 りょうり をカレーと総称 そうしょう して世界 せかい に伝 つた えたことがおもな理由 りゆう である。
インド固有 こゆう の言語 げんご には「カレー」という言葉 ことば はない。ただしドラヴィダ語族 ごぞく には野菜 やさい ・肉 にく ・食事 しょくじ ・おかずなどを意味 いみ する「カリ」(タミル語 ご :கறி 、kari)という言葉 ことば があり、それが英語 えいご で「curry」と表記 ひょうき されるようになったと言 い われている。
また、地域 ちいき 差 さ も大 おお きく、北部 ほくぶ 、南部 なんぶ 、西部 せいぶ 、海岸 かいがん 部 ぶ など、文化 ぶんか 圏 けん ごとに異 こと なる料理 りょうり がある。
タイカレー とロティ
タイ にはタイ語 ご でゲーン (แกง )と呼 よ ばれるスープ状 じょう の食品 しょくひん がある。タイの宮廷 きゅうてい で発祥 はっしょう した料理 りょうり で、インドのカレー料理 りょうり との直接 ちょくせつ の関連 かんれん 性 せい はない。しかしながら、複数 ふくすう の香辛料 こうしんりょう を用 もち いるというカレーとの類似 るいじ 性 せい から、タイカレー (英 えい :Thai curry )と呼 よ ばれる。
水分 すいぶん が多 おお く香辛料 こうしんりょう を使用 しよう したタイ料理 りょうり である。生 せい の香辛料 こうしんりょう を使用 しよう することが多 おお く、唐辛子 とうがらし 、ニンニク 、エシャロット 、ハーブ 類 るい (ショウガ 類 るい 、レモングラス 、コブミカン の葉 は 、コリアンダー など)をすりつぶして作 つく った「ゲーン・クルーン」を炒 いた め、海老 えび や鶏肉 とりにく 、野菜 やさい などを水 みず やココナッツミルク で煮込 にこ みナンプラー (魚 さかな 醤 ひしお )で味 あじ をつけた香 かお り高 たか い料理 りょうり である。使用 しよう するゲーン・クルーンの素材 そざい や煮込 にこ む素材 そざい によって辛 つら さや色 いろ 、香 かお り、味 あじ が異 こと なる。代表 だいひょう 的 てき なものにレッドカレー 、グリーンカレー 、イエローカレー がある。炊 た いた香 かお り米 まい にかけて食 た べるが、ロティ と共 とも に食 た べることもある。英語 えいご で「Yellow curry」と呼 よ ばれるゲーンは「ゲーン・ガリー (แกงกะหรี่ )」という。
上記 じょうき の通 とお り、インドのカレーと直接 ちょくせつ の関係 かんけい は無 な いものの、現在 げんざい ではカレー粉 こ を用 もち いたゲーンのレシピも存在 そんざい する。この場合 ばあい のカレー粉 こ は、ポン・カリーと呼 よ ばれ、プー・パッ・ポン・カリー(ปูผัดผงกะหรี่ 、カニ のカレー粉 こ 炒 いた め)などに用 もち いられる。
また、タイでカレーと呼 よ ばれているのは日本 にっぽん から入 はい ってきた日本 にっぽん 風 ふう のカレーライスである。現地 げんち では一般 いっぱん 的 てき な食 た べ物 もの になっており、日本人 にっぽんじん 観光 かんこう 客 きゃく がタイの食堂 しょくどう でタイカレーを注文 ちゅうもん するつもりで「カレー」を注文 ちゅうもん し、トラブルになった例 れい もあるという[要 よう 出典 しゅってん ] 。
ビルマ料理 りょうり で一般 いっぱん 的 てき な副 ふく 菜 さい として食 た べられる、油 あぶら を多用 たよう した煮込 にこ み料理 りょうり 「ヒン」(ဟင်း )のことを、日本 にっぽん では「ビルマカレー」「ミャンマーカレー」などと呼 よ ぶことがある。ビルマ料理 りょうり #ヒン を参照 さんしょう 。
ベトナムのインドカレー。チャーヴィン 市 し にて。
ベトナム料理 りょうり のカレーはベトナム語 ご でカリー(Cà ri )、カリー印度 いんど (cà ri Ấn Độ )と呼 よ ばれ、カレー粉 こ 、トゥオン・カリー(tương cà ri )というカレーペースト、唐辛子 とうがらし 、レモングラス、ココナッツミルク、トマトピューレ で食材 しょくざい を煮込 にこ んで作 づく り、麺 めん 、米 べい 飯 めし あるいはフランスパン と一緒 いっしょ に食 た べる。ミャンマーのヒンと同 おな じく油分 ゆぶん が多 おお く、タイのゲーンと同 おな じく塩味 しおあじ は魚 さかな 醤 ひしお (ヌクマム )でつける。ジャガイモ あるいはサツマイモ 、タマネギ 、ニンジン が入 はい る点 てん は日本 にっぽん のカレーと似 に ている。ナス や豆腐 とうふ などを使 つか った精進 しょうじん カレー(カリー・チャイ、cà ri chay )や鶏肉 とりにく のカリー・ガー(cà ri gà )、カエル を使 つか ったエクナウ・カリー(Ếch nau cà ri )がある。
イギリス人 じん の船乗 ふなの りは航海 こうかい 中 ちゅう にシチュー を食 た べたかったが、当時 とうじ は牛乳 ぎゅうにゅう が長持 ながも ちしないとの理由 りゆう で諦 あきら めるしかなかった[4] [5] [6] 。これが発端 ほったん となり、牛乳 ぎゅうにゅう のかわりに日持 ひも ちのするカレーの香辛料 こうしんりょう を使 つか って、シチューと同様 どうよう の食材 しょくざい で作 つく った料理 りょうり をイギリス人 じん の船乗 ふなの りが考案 こうあん しており、これがイギリス的 てき なカレーの由来 ゆらい のひとつとされる[4] [5] [6] 。正確 せいかく な伝来 でんらい 年 ねん がいつかは判然 はんぜん としないが、1747年 ねん にイギリスで発行 はっこう された『The Art of Cookery Made Plain and Easy』という料理 りょうり 書 しょ には、ターメリック ・生姜 しょうが ・胡椒 こしょう を用 もち いた「カレーのインド式 しき 調理 ちょうり 法 ほう 」が掲載 けいさい されており、これが2017年 ねん 現在 げんざい で最古 さいこ の英語 えいご によるカレーを扱 あつか った文献 ぶんけん である[7] 。
1772年 ねん 、インド総督 そうとく のウォーレン・ヘースティングズ によって、イギリスに植民 しょくみん 地 ち インドの「カレー」料理 りょうり が紹介 しょうかい され、評判 ひょうばん となった。この時 とき 紹介 しょうかい されたのは、インディカ米 まい にターメリック で着色 ちゃくしょく した野菜 やさい と肉 にく のスープをかけた料理 りょうり 「マリガトーニスープ」である[8] 。しかしイギリス人 じん がインド人 じん のように、多種 たしゅ 多様 たよう な香辛料 こうしんりょう を使 つか いこなすことは至難 しなん の業 わざ だった。そこでイギリスのC&B社 しゃ は、スパイスをあらかじめ調合 ちょうごう したものを「カレー粉 こ 」として商品 しょうひん 化 か し、「C&Bカレーパウダー」という名称 めいしょう で売 う り出 だ した。これによりカレーは英国 えいこく の家庭 かてい 料理 りょうり として普及 ふきゅう した。1810年 ねん にオックスフォード英語 えいご 辞典 じてん に「カレーパウダー」の語 かたり が登場 とうじょう している。なお、ソースを重 おも んじるフランス料理 りょうり の影響 えいきょう から、小麦粉 こむぎこ のルウでカレーにとろみを出 だ す料理 りょうり 法 ほう が編 あ み出 だ されたといわれる。
イギリス発祥 はっしょう の チキンティッカマサラ
インドのカレーは野菜 やさい や豆 まめ など様々 さまざま な食材 しょくざい を具 ぐ にするが、イギリス のカレーの中 なか には具 ぐ として牛肉 ぎゅうにく のみのケースがあった。これはイギリスの中流 ちゅうりゅう 以上 いじょう の家庭 かてい で、日曜日 にちようび に大 おお きなローストビーフ を焼 や く習慣 しゅうかん (サンデーロースト )があったためである。その残 のこ り肉 にく を一 いち 週間 しゅうかん かけて食 た べるのであるが、残 のこ り肉 にく の調理 ちょうり 法 ほう のひとつとしてカリー・ライス があった。サンデーローストの習慣 しゅうかん が失 うしな われた現在 げんざい では、家庭 かてい 料理 りょうり としてのカレーはほぼ廃 すた れた状態 じょうたい である。しかし今 いま でもパブ や学生 がくせい 食堂 しょくどう のメニュー、冷凍 れいとう 食品 しょくひん として、一定 いってい のニーズがある。
第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後 ご 、旧 きゅう 植民 しょくみん 地 ち の南 みなみ アジア地域 ちいき のインド とパキスタン が独立 どくりつ し、イギリスは両国 りょうこく からの移民 いみん を大量 たいりょう に受 う け入 い れ、南 みなみ アジア系 けい 移民 いみん の共同 きょうどう 体 たい とインド料理 りょうり 店 てん が多数 たすう 生 う まれた。ここで生 う まれたチキンティッカマサラ は、インド料理 りょうり のチキンティッカ をカレーソースで煮込 にこ んだものである。ローストビーフの残 のこ り肉 にく を煮込 にこ んだイギリス式 しき のカレーを、インド料理 りょうり が逆 ぎゃく に取 と り入 い れたものであり、いまではイギリスで人気 にんき である。バルチ もイギリス発祥 はっしょう のカレー料理 りょうり である。こうした環境 かんきょう が、イギリスで家庭 かてい 料理 りょうり としてのカレーが廃 すた れた理由 りゆう のひとつといえる。
イギリスには、バーミンガム のインド料理 りょうり レストラン発祥 はっしょう のファル (またはファール)と呼 よ ばれるカレーがあり、ハバネロ やスコッチ・ボネットをベースに作 つく られ、国内 こくない では超 ちょう 激辛 げきから カレーとして知 し られている。
植民 しょくみん 地 ち インドの料理 りょうり 法 ほう に、フランス料理 りょうり 特有 とくゆう のソースを導入 どうにゅう したイギリスの手法 しゅほう は本家 ほんけ フランスにもわたり、カレーライスやドライカレー に似 に た「リ・ゾ・カリー(riz au cari[8] 、もしくはリ・ゾ・キュリ riz au curry[9] )」という料理 りょうり が生 う み出 だ された。また19世紀 せいき のパリ においては、インド皇帝 こうてい も兼 か ねたイギリス王 おう にちなみ、エドワード7世 せい 風 ふう と呼 よ ばれるカレー風味 ふうみ の料理 りょうり が多 おお く登場 とうじょう した[10] 。
さらに、19世紀 せいき の薬剤師 やくざいし ゴスは「カリ・ゴス」(kari gosse)と名 な づけられた混合 こんごう 調味 ちょうみ 料 りょう を開発 かいはつ 、フランス各地 かくち のレストランに提供 ていきょう した。全盛期 ぜんせいき の1930年代 ねんだい にはベルギー やモロッコ にも輸出 ゆしゅつ されたが、第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 中 ちゅう に工場 こうじょう のあるブルターニュ は焦土 しょうど と化 か し、今 いま はごく小規模 しょうきぼ な工場 こうじょう から薬局 やっきょく を通 つう じ、各 かく レストランに送 おく られるのみである[11] 。現代 げんだい のフランス人 じん は辛 つら さが苦手 にがて で、フランス風 ふう の「キュリ」は辛 つら さよりスパイスの風味 ふうみ を活 い かしたものが多 おお いと云 い われるが[12] 、南仏 なんふつ ではこの「カリ・ゴス」が地元 じもと の味 あじ として今 いま も活用 かつよう されている。
日本 にっぽん にカレーが伝 つた えられたのは1868年 ねん で、イギリスの商船 しょうせん が既成 きせい のカレー粉 こ を持 も ち込 こ んだのが始 はじ まりとされている[13] 。その後 ご 1872年 ねん には仮名垣魯文 かながきろぶん によって編纂 へんさん された『西洋 せいよう 料理 りょうり 通 どおり 』が出版 しゅっぱん され、カレーレシピが紹介 しょうかい されることで広 ひろ く浸透 しんとう した[13] 。定着 ていちゃく の理由 りゆう としては時代 じだい 背景 はいけい として肉食 にくしょく の奨励 しょうれい とともに西洋 せいよう 文化 ぶんか の取 と り込 こ み・吸収 きゅうしゅう に貪欲 どんよく であったことに加 くわ え、野菜 やさい 、肉 にく 、米 こめ をまとめて摂取 せっしゅ 可能 かのう な上 うえ に安上 やすあ がりで食 た べ応 ごた えがあったことが挙 あ げられている[14] 。イギリスから伝 つた わったものに小麦粉 こむぎこ を加 くわ えたとろみのあるカレーを米飯 べいはん (ライス)の上 うえ に掛 か けて食 しょく する「カレーライス 」が普及 ふきゅう しており、それぞれの地域 ちいき や家庭 かてい 、店舗 てんぽ などによって様々 さまざま にアレンジされたカレーが存在 そんざい する。
スープ 状 じょう のカレーや、カレー味 あじ のスープはスープカレー と呼 よ ばれ、ハウス食品 はうすしょくひん のレシピの例 れい では、使用 しよう される具 ぐ 材 ざい は固形 こけい カレーの素 もと 、タマネギ、ロースハム 、キャベツ 、サラダ油 さらだゆ 、水 みず 、塩 しお 、胡椒 こしょう である。グリーンカレーの名 な で販売 はんばい する店舗 てんぽ もあり、インドの地方 ちほう やタイのカレーは同様 どうよう のカレーと呼 よ ぶがスープ状 じょう の物 もの であり、スープ状 じょう であることからカレースープと呼 よ ぶ人 ひと もいる[15] 。「カレー」と称 しょう しているがスープの店 みせ もある[16] 。日清食品 にっしんしょくひん からカップのグリーンカレーのスープも販売 はんばい されている。地元 じもと 産 さん 素材 そざい を使 つか う地域 ちいき の町 まち おこし として売 う り出 だ される例 れい もみられる[注釈 ちゅうしゃく 1] [17] 。商業 しょうぎょう ベースでは、東京 とうきょう 都 と 新宿 しんじゅく 区 く の「モンスナック」が、1964年 ねん (昭和 しょうわ 39年 ねん )の創業 そうぎょう 時 じ からスープ状 じょう のカレーを供 きょう している[18] 。
そのほかにも、日本 にっぽん 独自 どくじ のカレー料理 りょうり (食品 しょくひん )は多 おお く、カレー南蛮 なんばん (カレー味 あじ の汁 しる をかけたかけそば )などの麺 めん 類 るい 、ドライカレー 、カレーまん 、カレーパン 、カレーコロッケ などがある。カレー味 あじ に調味 ちょうみ したスナック菓子 すなっくがし も多 おお い。
アメリカには、18世紀 せいき にイギリスから移住 いじゅう してきた人々 ひとびと によってカレーが主 おも に上流 じょうりゅう 階級 かいきゅう を中心 ちゅうしん に伝 つた えられたとされ、アメリカ独立 どくりつ 宣言 せんげん の署名 しょめい 者 しゃ のひとりであったウィリアム・ホイップル の妻 つま であるキャサリン・モファット・ホイップル によって考案 こうあん された「アップルカレースープ」が北米 ほくべい 生 う まれの最初 さいしょ のカレーレシピとされている[19] 。
1809年 ねん にボストン にインドや中国 ちゅうごく との間 あいだ を往来 おうらい する埠頭 ふとう が建設 けんせつ され、1813年 ねん に東 ひがし インド会社 かいしゃ がインドとの貿易 ぼうえき 独占 どくせん 権 けん を失 うしな うと、インド産 さん のスパイスは入手 にゅうしゅ しやすくなり、ボストンのインド埠頭 ふとう には、カルカッタ からお茶 ちゃ 、コショウ、ショウガ、カルダモン、サフラン、ターメリック、クミン、オールスパイス、クローブ、コリアンダー、シナモン、スターアニス、唐辛子 とうがらし 、フェンネル、メース、ナツメグ、カレー粉 こ といった積荷 つみに が連日 れんじつ 届 とど けられ、近郊 きんこう の酒場 さかば や食堂 しょくどう ではチキンカレーや子 こ 牛肉 ぎゅうにく のカレー、ロブスターのカレーなどが人気 にんき を博 はく した[20] 。
1824年 ねん に出版 しゅっぱん されたメアリ・ランドルフ の『The Virginia Housewife or Methodical Cook』内 ない で東 ひがし インド風 ふう チキンカレー、ナマズのカレー、カレー粉 こ のレシピなどが掲載 けいさい されたのを皮切 かわき りに、イライザ・レスリー 『Direction forCookery in its Various Branches』(1840年 ねん )、アン・アレン 『The House Keeper's Assistant』(1845年 ねん )、キャサリン・ビーチャー 『Miss Beecher's Domestic Receipt Book』(1846年 ねん )などで相次 あいつ いでカレーのレシピなどが紹介 しょうかい され、広 ひろ く世間 せけん に浸透 しんとう した[19] 。
19世紀 せいき に入 はい ると大衆 たいしゅう 向 む けの料理 りょうり 雑誌 ざっし などでカレーが取 と り上 あ げられる機会 きかい が増加 ぞうか し、マリガトーニ・スープ、冷 さ めた肉 にく のカレー、カレー風味 ふうみ 鶏肉 とりにく のゼリー寄 よ せ、七面鳥 しちめんちょう のカレーといったオリジナルのレシピも含 ふく めた多種 たしゅ 多様 たよう なカレー料理 りょうり が大衆 たいしゅう 化 か を遂 と げた[21] 。中 なか でもアメリカ南部 なんぶ などで人気 にんき を博 はく したのがイライザ・レスリーが紹介 しょうかい したカントリーキャプテン・チキン で、フランクリン・ルーズベルト やジョージ・パットン などもいたく気 き に入 い ったという[21] 。カントリーキャプテン・チキンはその後 ご 、アメリカ国防総省 こくぼうそうしょう によって兵士 へいし に配布 はいふ されるインスタント食品 しょくひん のメニューに加 くわ えられている[22] 。その他 た 、オイスターバー などを中心 ちゅうしん に広 ひろ まりを見 み せたカキのカレーやカレーチキンサラダ などもアメリカでよく食 しょく されるカレー料理 りょうり となっている[23] 。
1952年 ねん にはフローレンス・ブロベック によってアメリカでは初 はつ となるカレー料理 りょうり の専門 せんもん 書 しょ 『Cooking with Curry』が出版 しゅっぱん され、ハワイ 、アルジェリア 、オーストラリア 、ニュージーランド 、広東 かんとん 、中国 ちゅうごく 、日本 にっぽん 、ケージャン 、西 にし インド諸島 しょとう 、トルコ 、ボンベイ 、カルカッタ 、ベンガル といった国 くに や地域 ちいき のカレー料理 りょうり が紹介 しょうかい された[24] 。1965年 ねん に移民 いみん 法 ほう が撤廃 てっぱい されると南 みなみ アジアからの移住 いじゅう 者 しゃ が急増 きゅうぞう し、これに伴 ともな いニューヨークなどでインド料理 りょうり 店 てん が数多 かずおお く出店 しゅってん されるようになった[25] 。
中国 ちゅうごく
咖喱飯 めし :カレーライス。
ヨーロッパ
カリーヴルスト (ドイツ ):焼 や いたソーセージにカレー粉 こ を加 くわ えたケチャップ をかけた料理 りょうり 。
オセアニア
ニューカレドニア風 ふう カレー :ヤム芋 いも と鶏肉 とりにく をココナッツと香辛料 こうしんりょう で煮込 にこ んだもの。
西 にし インド諸島 しょとう
カリー・ゴート (ジャマイカ ):カレー粉 こ で下味 したあじ をつけたヤギ 肉 にく を煮込 にこ んだ料理 りょうり 。
カリード・アキー(ジャマイカ):ココナッツミルクとカレー粉 こ でアキー を煮 に た前菜 ぜんさい 。
コロンボ (フランス領 りょう アンティル ):コロンボ粉 こ (カレー粉 こ )を使 つか った肉 にく や魚 さかな のカレー。
カレー粉 こ
カレー粉 こ は、ミックススパイス の一種 いっしゅ 。18世紀 せいき 後半 こうはん にイギリスのクロス・アンド・ブラックウェル (C&B)社 しゃ が考案 こうあん し、はじめて製品 せいひん 化 か したものである[26] 。この「カレー粉 こ 」の製法 せいほう はなかなか解明 かいめい できなかったため、長 なが いあいだC&B社 しゃ の製品 せいひん が市場 いちば を独占 どくせん していた。
カレーに含 ふく まれるスパイス の1つとしてアキウコン (ターメリック、C. longa )が含 ふく まれ、有効 ゆうこう 成分 せいぶん にクルクミン が含 ふく まれている。
クルクミンの生理 せいり 作用 さよう として抗 こう 腫瘍 しゅよう 作用 さよう や抗 こう 酸化 さんか 作用 さよう 、抗 こう アミロイド 作用 さよう 、抗 こう 炎症 えんしょう 作用 さよう などが知 し られている。
抗 こう 炎症 えんしょう 作用 さよう はエイコサノイド 合成 ごうせい の阻害 そがい によるものだと考 かんが えられている[27] 。また、フリーラジカル 捕捉 ほそく 能 のう を持 も ち、脂質 ししつ の過 か 酸化 さんか や活性 かっせい 酸素 さんそ 種 たね によるDNA 傷害 しょうがい を防 ふせ ぐ。クルクミノイドはグルタチオン S-トランスフェラーゼを誘導 ゆうどう するため、シトクロムP450 を阻害 そがい しうる。
クルクミンの生理 せいり 活性 かっせい と医学 いがく 的 てき 有用 ゆうよう 性 せい は近年 きんねん 盛 さか んに研究 けんきゅう されている。抗 こう がん 効果 こうか では、がん細胞 さいぼう に対 たい し特異 とくい 的 てき にアポトーシス を誘導 ゆうどう するとの報告 ほうこく がある。また、クルクミンはがんをはじめとした多 おお くの炎症 えんしょう 性 せい 疾患 しっかん に関連 かんれん する転写 てんしゃ 因子 いんし であるNF-κ かっぱ B を抑制 よくせい しうる[28] 。実際 じっさい 、事前 じぜん に発 はつ がん物質 ぶっしつ を投与 とうよ されたマウス やラット に、0.2%のクルクミンを添加 てんか した食餌 しょくじ を与 あた えたところ、大腸 だいちょう 癌 がん の発症 はっしょう において有意 ゆうい な減少 げんしょう が見 み られたとの報告 ほうこく がある[29] 。
カレーをよく食 た べるインド でがんを死因 しいん とするものは8%であり、中国 ちゅうごく では22%、米国 べいこく では25%である[30] 。
2004年 ねん 、UCLA の研究 けんきゅう チームはアルツハイマー病 びょう モデルマウスを用 もち いて実験 じっけん を行 おこな い、クルクミンが脳 のう におけるβ べーた アミロイド の蓄積 ちくせき を抑制 よくせい し、アミロイド斑 まだら を減少 げんしょう させることを示 しめ した[31] 。
クルクミンが精神 せいしん 的 てき 機能 きのう に影響 えいきょう をおよぼすとの疫学 えきがく 的 てき 調査 ちょうさ 結果 けっか も存在 そんざい する。高齢 こうれい のアジア人 じん を対象 たいしょう としたミニメンタルステート検査 けんさ で、半年 はんとし に一 いち 度 ど 以上 いじょう 黄色 おうしょく カレーを食 しょく する群 ぐん において相対 そうたい 的 てき に高 たか いスコア(より健康 けんこう な精神 せいしん 的 てき 機能 きのう )が見 み られた[32] 。
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^ Yang, Fusheng; Lim, Giselle P; Begum, Aynun N; Ubeda, Oliver J; Simmons, Mychica R; Ambegaokar, Surendra S; Chen, Pingping P; Kayed, Rakez; Glabe, Charles G; Frautschy, Sally A; others (2005). “Curcumin Inhibits Formation of Amyloid β べーた Oligomers and Fibrils, Binds Plaques, and Reduces Amyloid in Vivo” . Journal of Biological Chemistry (ASBMB) 280 (7): 5892-5901. doi :10.1074/jbc.M404751200 . PMID 15590663 . https://doi.org/10.1074/jbc.M404751200 .
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コリーン・テイラーセン 著 ちょ 、竹田 たけだ 円 えん 訳 やく 『カレーの歴史 れきし 』原 はら 書房 しょぼう 〈「食 しょく 」の図書館 としょかん 〉、2013年 ねん 。ISBN 9784562049387 。
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