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カレー

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カレー(手前てまえ)とナン

カレー(咖哩、えい: curry, タミル: கறி, タミルラテンこぼし: kaṟi)は、種類しゅるい香辛料こうしんりょう併用へいようして食材しょくざい味付あじつけするというインド料理りょうり特徴とくちょうてき調理ちょうりほうもちいた料理りょうりたいする英語えいごてんじて、それをもとにしたヨーロッパけい料理りょうりや、同様どうよう多種たしゅ香辛料こうしんりょう併用へいようして味付あじつけされる東南とうなんアジアなどの料理りょうりす。インドけい東南とうなんアジアけい洋食ようしょくけいのいずれも、国際こくさいてき人気にんきのある料理りょうりのひとつとなり、世界中せかいじゅうでカレー文化ぶんか根付ねついている。

概要がいよう

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タミルのカリ(kari、スープの意味いみ)またはカリル(karil、スパイスで味付あじつけされた野菜やさいにくいたぶつ)が語源ごげんとされる[1][2]複数ふくすう粉末ふんまつ香辛料こうしんりょう混合こんごうさせてつくったソースもちいた料理りょうり全般ぜんぱんす。もともとインドじんは「カレー」という言葉ことば使つかわずそれぞれのカレー料理りょうりには個別こべつ名称めいしょうもちいられていたが、17世紀せいき初頭しょとうごろよりポルトガルなどの欧州おうしゅうけんにおいてカレーという言葉ことば記述きじゅつられるようになり、ひろ世界せかい普及ふきゅうした[3]

世界せかい各地かくちのカレー

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インド料理りょうり香辛料こうしんりょう多用たようするため、外国がいこくじんおおくはインド料理りょうり煮込にこ料理りょうりを「カレー」と認識にんしきしている。しかし外国がいこくじんがカレーとぶインドの煮込にこ料理りょうりは、サーグサンバールコルマダールなど、それぞれに固有こゆう名称めいしょうがあり、「カレー」という料理りょうりはない。ただし、インドの観光かんこうきゃくけのレストランやインド国外こくがいのインド料理りょうりてんでは便宜上べんぎじょう、メニューに「○○カレー」という表記ひょうきをしていることもおおい。これは、きゅう宗主そうしゅこくイギリスじんがインド料理りょうりをカレーと総称そうしょうして世界せかいつたえたことがおもな理由りゆうである。

インド固有こゆう言語げんごには「カレー」という言葉ことばはない。ただしドラヴィダ語族ごぞくには野菜やさいにく食事しょくじ・おかずなどを意味いみする「カリ」(タミルகறி、kari)という言葉ことばがあり、それが英語えいごで「curry」と表記ひょうきされるようになったとわれている。

また、地域ちいきおおきく、北部ほくぶ南部なんぶ西部せいぶ海岸かいがんなど、文化ぶんかけんごとにことなる料理りょうりがある。

タイカレーロティ

タイにはタイゲーンแกง)とばれるスープじょう食品しょくひんがある。タイの宮廷きゅうてい発祥はっしょうした料理りょうりで、インドのカレー料理りょうりとの直接ちょくせつ関連かんれんせいはない。しかしながら、複数ふくすう香辛料こうしんりょうもちいるというカレーとの類似るいじせいから、タイカレーえいThai curry)とばれる。

水分すいぶんおお香辛料こうしんりょう使用しようしたタイ料理りょうりである。せい香辛料こうしんりょう使用しようすることがおおく、唐辛子とうがらしニンニクエシャロットハーブるいショウガるいレモングラスコブミカンコリアンダーなど)をすりつぶしてつくった「ゲーン・クルーン」をいため、海老えび鶏肉とりにく野菜やさいなどをみずココナッツミルク煮込にこナンプラーさかなひしお)であじをつけたかおたか料理りょうりである。使用しようするゲーン・クルーンの素材そざい煮込にこ素材そざいによってつらさやいろかおり、あじことなる。代表だいひょうてきなものにレッドカレーグリーンカレーイエローカレーがある。いたかおまいにかけてべるが、ロティともべることもある。英語えいごで「Yellow curry」とばれるゲーンは「ゲーン・ガリーแกงกะหรี่)」という。

上記じょうきとおり、インドのカレーと直接ちょくせつ関係かんけいいものの、現在げんざいではカレーもちいたゲーンのレシピも存在そんざいする。この場合ばあいのカレーは、ポン・カリーとばれ、プー・パッ・ポン・カリー(ปูผัดผงกะหรี่カニのカレーいため)などにもちいられる。

また、タイでカレーとばれているのは日本にっぽんからはいってきた日本にっぽんふうのカレーライスである。現地げんちでは一般いっぱんてきものになっており、日本人にっぽんじん観光かんこうきゃくがタイの食堂しょくどうでタイカレーを注文ちゅうもんするつもりで「カレー」を注文ちゅうもんし、トラブルになったれいもあるという[よう出典しゅってん]

ミャンマー

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ビルマ料理りょうり一般いっぱんてきふくさいとしてべられる、あぶら多用たようした煮込にこ料理りょうり「ヒン」(ဟင်း)のことを、日本にっぽんでは「ビルマカレー」「ミャンマーカレー」などとぶことがある。ビルマ料理りょうり#ヒン参照さんしょう

ベトナム

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ベトナムのインドカレー。チャーヴィンにて。

ベトナム料理りょうりのカレーはベトナムでカリー(Cà ri)、カリー印度いんどcà ri Ấn Độ)とばれ、カレー、トゥオン・カリー(tương cà ri)というカレーペースト、唐辛子とうがらし、レモングラス、ココナッツミルク、トマトピューレ食材しょくざい煮込にこんでづくり、めんべいめしあるいはフランスパン一緒いっしょべる。ミャンマーのヒンとおなじく油分ゆぶんおおく、タイのゲーンとおなじく塩味しおあじさかなひしおヌクマム)でつける。ジャガイモあるいはサツマイモタマネギニンジンはいてん日本にっぽんのカレーとている。ナス豆腐とうふなどを使つかった精進しょうじんカレー(カリー・チャイ、cà ri chay)や鶏肉とりにくのカリー・ガー(cà ri gà)、カエル使つかったエクナウ・カリー(Ếch nau cà ri)がある。

イギリス

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イギリスじん船乗ふなのりは航海こうかいちゅうシチューべたかったが、当時とうじ牛乳ぎゅうにゅう長持ながもちしないとの理由りゆうあきらめるしかなかった[4][5][6]。これが発端ほったんとなり、牛乳ぎゅうにゅうのかわりに日持ひもちのするカレーの香辛料こうしんりょう使つかって、シチューと同様どうよう食材しょくざいつくった料理りょうりをイギリスじん船乗ふなのりが考案こうあんしており、これがイギリスてきなカレーの由来ゆらいのひとつとされる[4][5][6]正確せいかく伝来でんらいねんがいつかは判然はんぜんとしないが、1747ねんにイギリスで発行はっこうされた『The Art of Cookery Made Plain and Easy』という料理りょうりしょには、ターメリック生姜しょうが胡椒こしょうもちいた「カレーのインドしき調理ちょうりほう」が掲載けいさいされており、これが2017ねん現在げんざい最古さいこ英語えいごによるカレーをあつかった文献ぶんけんである[7]

1772ねん、インド総督そうとくウォーレン・ヘースティングズによって、イギリスに植民しょくみんインドの「カレー」料理りょうり紹介しょうかいされ、評判ひょうばんとなった。このとき紹介しょうかいされたのは、インディカまいターメリック着色ちゃくしょくした野菜やさいにくのスープをかけた料理りょうり「マリガトーニスープ」である[8]。しかしイギリスじんがインドじんのように、多種たしゅ多様たよう香辛料こうしんりょう使つかいこなすことは至難しなんわざだった。そこでイギリスのC&Bしゃは、スパイスをあらかじめ調合ちょうごうしたものを「カレー」として商品しょうひんし、「C&Bカレーパウダー」という名称めいしょうした。これによりカレーは英国えいこく家庭かてい料理りょうりとして普及ふきゅうした。1810ねんオックスフォード英語えいご辞典じてんに「カレーパウダー」のかたり登場とうじょうしている。なお、ソースをおもんじるフランス料理りょうり影響えいきょうから、小麦粉こむぎこのルウでカレーにとろみを料理りょうりほうされたといわれる。

イギリス発祥はっしょう
チキンティッカマサラ

インドのカレーは野菜やさいまめなど様々さまざま食材しょくざいにするが、イギリスのカレーのなかにはとして牛肉ぎゅうにくのみのケースがあった。これはイギリスの中流ちゅうりゅう以上いじょう家庭かていで、日曜日にちようびおおきなローストビーフ習慣しゅうかんサンデーロースト)があったためである。そののこにくいち週間しゅうかんかけてべるのであるが、のこにく調理ちょうりほうのひとつとしてカリー・ライスがあった。サンデーローストの習慣しゅうかんうしなわれた現在げんざいでは、家庭かてい料理りょうりとしてのカレーはほぼすたれた状態じょうたいである。しかしいまでもパブ学生がくせい食堂しょくどうのメニュー、冷凍れいとう食品しょくひんとして、一定いっていのニーズがある。

だい世界せかい大戦たいせんきゅう植民しょくみんみなみアジア地域ちいきインドパキスタン独立どくりつし、イギリスは両国りょうこくからの移民いみん大量たいりょうれ、みなみアジアけい移民いみん共同きょうどうたいとインド料理りょうりてん多数たすうまれた。ここでまれたチキンティッカマサラは、インド料理りょうりチキンティッカをカレーソースで煮込にこんだものである。ローストビーフののこにく煮込にこんだイギリスしきのカレーを、インド料理りょうりぎゃくれたものであり、いまではイギリスで人気にんきである。バルチもイギリス発祥はっしょうのカレー料理りょうりである。こうした環境かんきょうが、イギリスで家庭かてい料理りょうりとしてのカレーがすたれた理由りゆうのひとつといえる。

イギリスには、バーミンガムのインド料理りょうりレストラン発祥はっしょうファル(またはファール)とばれるカレーがあり、ハバネロやスコッチ・ボネットをベースにつくられ、国内こくないではちょう激辛げきからカレーとしてられている。

フランス

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植民しょくみんインドの料理りょうりほうに、フランス料理りょうり特有とくゆうのソースを導入どうにゅうしたイギリスの手法しゅほう本家ほんけフランスにもわたり、カレーライスやドライカレーた「リ・ゾ・カリー(riz au cari[8]、もしくはリ・ゾ・キュリ riz au curry[9])」という料理りょうりされた。また19世紀せいきパリにおいては、インド皇帝こうていねたイギリスおうにちなみ、エドワード7せいふうばれるカレー風味ふうみ料理りょうりおお登場とうじょうした[10]

さらに、19世紀せいき薬剤師やくざいしゴスは「カリ・ゴス」(kari gosse)とづけられた混合こんごう調味ちょうみりょう開発かいはつ、フランス各地かくちのレストランに提供ていきょうした。全盛期ぜんせいき1930年代ねんだいにはベルギーモロッコにも輸出ゆしゅつされたが、だい世界せかい大戦たいせんちゅう工場こうじょうのあるブルターニュ焦土しょうどし、いまはごく小規模しょうきぼ工場こうじょうから薬局やっきょくつうじ、かくレストランにおくられるのみである[11]現代げんだいフランスじんつらさが苦手にがてで、フランスふうの「キュリ」はつらさよりスパイスの風味ふうみかしたものがおおいとわれるが[12]南仏なんふつではこの「カリ・ゴス」が地元じもとあじとしていま活用かつようされている。

日本にっぽん

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日本にっぽんにカレーがつたえられたのは1868ねんで、イギリスの商船しょうせん既成きせいのカレーんだのがはじまりとされている[13]。その1872ねんには仮名垣魯文かながきろぶんによって編纂へんさんされた『西洋せいよう料理りょうりどおり』が出版しゅっぱんされ、カレーレシピが紹介しょうかいされることでひろ浸透しんとうした[13]定着ていちゃく理由りゆうとしては時代じだい背景はいけいとして肉食にくしょく奨励しょうれいとともに西洋せいよう文化ぶんかみ・吸収きゅうしゅう貪欲どんよくであったことにくわえ、野菜やさいにくこめをまとめて摂取せっしゅ可能かのううえ安上やすあがりでごたえがあったことがげられている[14]。イギリスからつたわったものに小麦粉こむぎこくわえたとろみのあるカレーを米飯べいはん(ライス)のうえけてしょくする「カレーライス」が普及ふきゅうしており、それぞれの地域ちいき家庭かてい店舗てんぽなどによって様々さまざまにアレンジされたカレーが存在そんざいする。

スープじょうのカレーや、カレーあじのスープはスープカレーばれ、ハウス食品はうすしょくひんのレシピのれいでは、使用しようされるざい固形こけいカレーのもと、タマネギ、ロースハムキャベツサラダ油さらだゆみずしお胡椒こしょうである。グリーンカレーの販売はんばいする店舗てんぽもあり、インドの地方ちほうやタイのカレーは同様どうようのカレーとぶがスープじょうものであり、スープじょうであることからカレースープとひともいる[15]。「カレー」としょうしているがスープのみせもある[16]日清食品にっしんしょくひんからカップのグリーンカレーのスープも販売はんばいされている。地元じもとさん素材そざい使つか地域ちいきまちおこしとしてされるれいもみられる[注釈ちゅうしゃく 1][17]商業しょうぎょうベースでは、東京とうきょう新宿しんじゅくの「モンスナック」が、1964ねん(昭和しょうわ39ねん)の創業そうぎょうからスープじょうのカレーをきょうしている[18]

そのほかにも、日本にっぽん独自どくじのカレー料理りょうり食品しょくひん)はおおく、カレー南蛮なんばん(カレーあじしるをかけたかけそば)などのめんるいドライカレーカレーまんカレーパンカレーコロッケなどがある。カレーあじ調味ちょうみしたスナック菓子すなっくがしおおい。

アメリカ

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アメリカには、18世紀せいきにイギリスから移住いじゅうしてきた人々ひとびとによってカレーがおも上流じょうりゅう階級かいきゅう中心ちゅうしんつたえられたとされ、アメリカ独立どくりつ宣言せんげん署名しょめいしゃのひとりであったウィリアム・ホイップルつまであるキャサリン・モファット・ホイップルによって考案こうあんされた「アップルカレースープ」が北米ほくべいまれの最初さいしょのカレーレシピとされている[19]

1809ねんボストンにインドや中国ちゅうごくとのあいだ往来おうらいする埠頭ふとう建設けんせつされ、1813ねんひがしインド会社かいしゃがインドとの貿易ぼうえき独占どくせんけんうしなうと、インドさんのスパイスは入手にゅうしゅしやすくなり、ボストンのインド埠頭ふとうには、カルカッタからおちゃ、コショウ、ショウガ、カルダモン、サフラン、ターメリック、クミン、オールスパイス、クローブ、コリアンダー、シナモン、スターアニス、唐辛子とうがらし、フェンネル、メース、ナツメグ、カレーといった積荷つみに連日れんじつとどけられ、近郊きんこう酒場さかば食堂しょくどうではチキンカレーや牛肉ぎゅうにくのカレー、ロブスターのカレーなどが人気にんきはくした[20]

1824ねん出版しゅっぱんされたメアリ・ランドルフの『The Virginia Housewife or Methodical Cook』ないひがしインドふうチキンカレー、ナマズのカレー、カレーのレシピなどが掲載けいさいされたのを皮切かわきりに、イライザ・レスリー『Direction forCookery in its Various Branches』(1840ねん)、アン・アレン『The House Keeper's Assistant』(1845ねん)、キャサリン・ビーチャー『Miss Beecher's Domestic Receipt Book』(1846ねん)などで相次あいついでカレーのレシピなどが紹介しょうかいされ、ひろ世間せけん浸透しんとうした[19]

19世紀せいきはいると大衆たいしゅうけの料理りょうり雑誌ざっしなどでカレーがげられる機会きかい増加ぞうかし、マリガトーニ・スープ、めたにくのカレー、カレー風味ふうみ鶏肉とりにくのゼリーせ、七面鳥しちめんちょうのカレーといったオリジナルのレシピもふくめた多種たしゅ多様たようなカレー料理りょうり大衆たいしゅうげた[21]なかでもアメリカ南部なんぶなどで人気にんきはくしたのがイライザ・レスリーが紹介しょうかいしたカントリーキャプテン・チキンで、フランクリン・ルーズベルトジョージ・パットンなどもいたくったという[21]。カントリーキャプテン・チキンはそのアメリカ国防総省こくぼうそうしょうによって兵士へいし配布はいふされるインスタント食品しょくひんのメニューにくわえられている[22]。そのオイスターバーなどを中心ちゅうしんひろまりをせたカキのカレーやカレーチキンサラダなどもアメリカでよくしょくされるカレー料理りょうりとなっている[23]

1952ねんにはフローレンス・ブロベックによってアメリカでははつとなるカレー料理りょうり専門せんもんしょ『Cooking with Curry』が出版しゅっぱんされ、ハワイアルジェリアオーストラリアニュージーランド広東かんとん中国ちゅうごく日本にっぽんケージャン西にしインド諸島しょとうトルコボンベイカルカッタベンガルといったくに地域ちいきのカレー料理りょうり紹介しょうかいされた[24]。1965ねん移民いみんほう撤廃てっぱいされるとみなみアジアからの移住いじゅうしゃ急増きゅうぞうし、これにともないニューヨークなどでインド料理りょうりてん数多かずおお出店しゅってんされるようになった[25]

その地域ちいき

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中国ちゅうごく
咖喱めし:カレーライス。
ヨーロッパ
カリーヴルストドイツ):いたソーセージにカレーくわえたケチャップをかけた料理りょうり
オセアニア
ニューカレドニアふうカレー:ヤムいも鶏肉とりにくをココナッツと香辛料こうしんりょう煮込にこんだもの。
西にしインド諸島しょとう
カリー・ゴートジャマイカ):カレー下味したあじをつけたヤギにく煮込にこんだ料理りょうり
カリード・アキー(ジャマイカ):ココナッツミルクとカレーアキー前菜ぜんさい
コロンボフランスりょうアンティル):コロンボ(カレー)を使つかったにくさかなのカレー。

カレー

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カレー

カレーは、ミックススパイス一種いっしゅ18世紀せいき後半こうはんにイギリスのクロス・アンド・ブラックウェル(C&B)しゃ考案こうあんし、はじめて製品せいひんしたものである[26]。この「カレー」の製法せいほうはなかなか解明かいめいできなかったため、ながいあいだC&Bしゃ製品せいひん市場いちば独占どくせんしていた。

素材そざいによる身体しんたいへの作用さよう

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カレーにふくまれるスパイスの1つとしてアキウコン(ターメリック、C. longa )がふくまれ、有効ゆうこう成分せいぶんクルクミンふくまれている。

クルクミンの生理せいり作用さようとしてこう腫瘍しゅよう作用さようこう酸化さんか作用さようこうアミロイド作用さようこう炎症えんしょう作用さようなどがられている。

こう炎症えんしょう作用さようエイコサノイド合成ごうせい阻害そがいによるものだとかんがえられている[27]。また、フリーラジカル捕捉ほそくのうち、脂質ししつ酸化さんか活性かっせい酸素さんそたねによるDNA傷害しょうがいふせぐ。クルクミノイドはグルタチオンS-トランスフェラーゼを誘導ゆうどうするため、シトクロムP450阻害そがいしうる。

クルクミンの生理せいり活性かっせい医学いがくてき有用ゆうようせい近年きんねんさかんに研究けんきゅうされている。こうがん効果こうかでは、がん細胞さいぼうたい特異とくいてきアポトーシス誘導ゆうどうするとの報告ほうこくがある。また、クルクミンはがんをはじめとしたおおくの炎症えんしょうせい疾患しっかん関連かんれんする転写てんしゃ因子いんしであるNF-κかっぱB抑制よくせいしうる[28]実際じっさい事前じぜんはつがん物質ぶっしつ投与とうよされたマウスラットに、0.2%のクルクミンを添加てんかした食餌しょくじあたえたところ、大腸だいちょうがん発症はっしょうにおいて有意ゆうい減少げんしょうられたとの報告ほうこくがある[29]

カレーをよくべるインドでがんを死因しいんとするものは8%であり、中国ちゅうごくでは22%、米国べいこくでは25%である[30]

2004ねんUCLA研究けんきゅうチームはアルツハイマーびょうモデルマウスをもちいて実験じっけんおこない、クルクミンがのうにおけるβべーたアミロイド蓄積ちくせき抑制よくせいし、アミロイドまだら減少げんしょうさせることをしめした[31]

クルクミンが精神せいしんてき機能きのう影響えいきょうをおよぼすとの疫学えきがくてき調査ちょうさ結果けっか存在そんざいする。高齢こうれいのアジアじん対象たいしょうとしたミニメンタルステート検査けんさで、半年はんとしいち以上いじょう黄色おうしょくカレーをしょくするぐんにおいて相対そうたいてきたかいスコア(より健康けんこう精神せいしんてき機能きのう)がられた[32]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 「C8」:「道内どうない当地とうちカレーでまちおこし団体だんたいネットワーク」に加盟かめい

出典しゅってん

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  1. ^ "カレー". ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん百科ひゃっか事典じてんマイペディア、かずようなか・エスニック 世界せかい料理りょうりがわかる辞典じてん世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん だい2はん. コトバンクより2022ねん10がつ3にち閲覧えつらん
  2. ^ 『カレーの歴史れきし, p. 9
  3. ^ 『カレーの歴史れきし, p. 11
  4. ^ a b カレーライス誕生たんじょう秘話ひわ - 横須賀よこすか 2017ねん2がつ28にち
  5. ^ a b ヒットの秘密ひみつ!:よこすか海軍かいぐんドライカレー - マルハニチロ食品しょくひん
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  8. ^ a b 宮崎みやざき正勝まさかつっておきたい「しょく」の日本にっぽん』211p 角川かどかわソフィア文庫ぶんこ
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  12. ^ ホテルのレストランでランチホテル安比グランドほてるあっぴぐらんどHP
  13. ^ a b 『カレーの歴史れきし, p. 158
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  16. ^ HARE GINZA
  17. ^ 森田もりた武志たけししょく文化ぶんか背景はいけいとした地域ちいきブランドの形成けいせい観光かんこう資源しげんとしての活用かつよう : 札幌さっぽろスープカレーを事例じれいとして』(修士しゅうし(観光かんこうがく), 識別子しきべつし 10101論文ろんぶん北海道大学ほっかいどうだいがく、2010ねんhdl:2115/44106https://hdl.handle.net/2115/44106 
  18. ^ 店舗てんぽ案内あんない|モンスナックは新宿しんじゅく3丁目ちょうめ紀伊國屋きのくにやビル」内地ないち営業えいぎょう”. 2024ねん3がつ23にち閲覧えつらん
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参考さんこう文献ぶんけん

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  • コリーン・テイラーセン ちょ竹田たけだえん やく『カレーの歴史れきしはら書房しょぼう〈「しょく」の図書館としょかん〉、2013ねんISBN 9784562049387