イギリス料理りょうり

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ローストビーフヨークシャー・プディング - 典型てんけいてきサンデーローストイギリス伝統でんとうてき日曜日にちようび午餐ごさん

イギリス料理りょうり(イギリスりょうり、えい:British cuisine)とは、おもイギリスしょくされる料理りょうりイングランド料理りょうりきたアイルランド料理りょうりスコットランド料理りょうりウェールズ料理りょうりけられ、また、これから派生はせいしたものにアングロ・インド料理りょうりがある。

概要がいよう[編集へんしゅう]

フィッシュ・アンド・チップス - 一般いっぱんてきなイギリスのテイクアウェイ
アフタヌーン・ティー
伝統でんとうてきクリスマス午餐ごさん
フル・ブレックファスト(イングリッシュ・ブレックファスト)のいちれい

ヨーロッパほか国々くにぐににおけるのと同様どうよう、イギリスのしょく文化ぶんかには穀類こくるい主食しゅしょくとしているという自覚じかくがいしてとぼしいが、ジャガイモげる(チップス)、く(ベイクドポテト)、あるいはでる(こな吹芋)などしたものが主菜しゅさいわせとして大量たいりょうえられることがおおい。

主食しゅしょくじゅんじる食品しょくひんとして、パンうすくスライスされたトーストがこのまれ、ジャムバターベーコンたまご料理りょうりなどをけてべられる。同様どうように、小麦こむぎべいなどでつくったプディングがこのまれ、イギリス料理りょうりにはデザートからにく料理りょうり主菜しゅさいわせにいたるまで、多種たしゅ多彩たさいプディングがある。また、ポリッジなども伝統でんとうてきによくべられ、近年きんねんシリアル食品しょくひんパスタべることもおおい。

ローストビーフやステーキシチュー調理ちょうりほう、あるいはったとりウサギなべ煮込にこんだり丸焼まるやきにしたりするような料理りょうりられるように、イギリス料理りょうり料理りょうりとしての手間てまをかけないものがおお[ちゅう 1]、そのために、料理りょうり素材そざいそのもののあじおおきく左右さゆうされる。つまり、素材そざいければできがる料理りょうり美味おいしくなることがあるが、素材そざいわるければそれも期待きたいできず、べるほう味付あじつけするほかいのである。いい意味いみかんがえれば、「シンプルで基本きほんてき料理りょうり」といういにしえ方法ほうほう保守ほしゅしているといってもよい。もっとも、素材そざいぎることによって台無だいなしにしているという観点かんてん存在そんざいする[1]

このようにそうじて素朴そぼくでシンプルなイギリス料理りょうりではあるが、イギリスしき朝食ちょうしょくソーセージやベーコン、たまご料理りょうりがつくなど充実じゅうじつしている。たまごやベーコンは、現代げんだいならともかくとして、20世紀せいき初頭しょとう以前いぜんにおいては、他国たこくでは庶民しょみん朝食ちょうしょくメニューとしてしょくすることは到底とうていかんがえられない、ぜいたくな食材しょくざいである。もっともソーセージは例外れいがいであり、イギリスの伝統でんとうてきなものは、パン粉ぱんこ半分はんぶん以上いじょうんだぞくにバンガース/bangersとばれる低級ていきゅうなものである。

また、一般いっぱんには料理りょうりとは区別くべつされるが、イギリスのお茶菓子ちゃがしはイギリス以外いがいくにでも名高なだかく、美味おいしい菓子かしおおられている。イギリスの家庭かてい主婦しゅふも、夕食ゆうしょくメニューにはをかけなくても、お菓子かしづくりにはこだわりをつものがすくなくない。イギリス以外いがいでもそうだが、いちにちさんしょく普及ふきゅうするのは近年きんねんのことであり、かつてはいちにちしょく普通ふつうであり、イギリスにおいてティータイムは昼食ちゅうしょくわりでもあった。

また、いわゆる伝統でんとうてきなイギリス料理りょうり範疇はんちゅうからははずれるものの、だい航海こうかい時代じだい以降いこう世界せかいうみせい世界中せかいじゅうだいえい帝国ていこく版図はんとひろげた歴史れきしつイギリスは、植民しょくみん料理りょうりれ、それを世界中せかいじゅうひろめた歴史れきしつ。たとえばカレーインド発祥はっしょうとされるが、それを世界せかいひろめたのはイギリスであり、ひろまったカレーもイギリスによりアレンジされたものである。そういう意味いみにおいては、現在げんざいのイギリスでも「美味おいしい料理りょうり」は存在そんざいする。

そのためイギリスにおける外国がいこく料理りょうりたとえば中華ちゅうか料理りょうりインド料理りょうりみせには、なが伝統でんとうがある場合ばあいめずらしくない。チキンティッカマサラのように、イギリス発祥はっしょうのインド料理りょうり存在そんざいする。最近さいきんではフランス料理りょうりや、イタリアをはじめとする地中海ちちゅうかい料理りょうり、さらにはそういった外国がいこく料理りょうり影響えいきょうけた料理りょうりてん存在そんざいする。近年きんねんでは伝統でんとうてきなイギリス料理りょうり改革かいかくした「モダン・ブリティッシュ・キュイジーヌ」とばれるあたらしいイギリス料理りょうり潮流ちょうりゅうまれ、美味おいしい料理りょうりしょくすることはむずかしいことではなくなっている。かつて一時期いちじき、フランス料理りょうりなどにくらべて、高級こうきゅう料理りょうり洗練せんれんおとっていたこと、料理りょうりによる調理ちょうりほうあらい練度れんどたりはずれがおおきいだけであり、現在げんざいではおいしいイギリス料理りょうりおおい。

また、高級こうきゅうなレストランはともかくとして、パブにおいての料理りょうりであれば、過度かど期待きたいしなければそれなりに美味おいしくべられる料理りょうりきょうされるという意見いけんもある[1][2]

不味まずい」というイメージ[編集へんしゅう]

イギリス料理りょうりは、フランス料理りょうりイタリア料理りょうりなどとくら種類しゅるいすくなく食材しょくざい多様たようせい貧弱ひんじゃくで、イギリスじん自身じしんがイギリス料理りょうり不味まずさを自虐じぎゃくてきにジョークのネタにするほどである。ブリテン諸島しょとう高緯度こういどにあり、気候きこう冷涼れいりょう日射にっしゃりょうすくないため、自生じせいする植物しょくぶつ種類しゅるいすくない。また全体ぜんたいてき山地さんちすくない扁平へんぺい地形ちけい森林しんりんとぼしく、河川かせんすくないためみず資源しげん豊富ほうふではない。さらに土壌どじょう大陸たいりくヨーロッパ比較ひかくして畑作はたさくいておらず、ほとんどが牧草ぼくそうである。このような地理ちり条件じょうけんからしょく文化ぶんかがさほど多様たようせず、英語えいご料理りょうり用語ようごフランス語ふらんすごなどからの借用しゃくようおおい。

さらには、「野菜やさい本来ほんらいしょくかんがわからなくなるほどでる」、「あぶら食材しょくざいくろくなるまでげる」、「めん必要ひつよう以上いじょうにゆでる」などといった食材しょくざい本来ほんらいあじしょくかんのこさないほど加熱かねつする調理ちょうりほうも、他国たこくじんこのまれない理由りゆうである[1]。しかもこのみにおうじてしおなどで味付あじつけされることを前提ぜんていとしているため、調理ちょうり段階だんかいでは味付あじつけらしい味付あじつけがされないこともおおく、そのことをらない旅行りょこうしゃあじのない料理りょうり困惑こんわくすることになる[1]実際じっさい現在げんざいでも高級こうきゅうてんふくむイギリスのレストランのおおくでは、しおなどの調味ちょうみりょうがテーブルになら様子ようすられ、きゃくこのみで味付あじつけすることを想定そうていしている[2]

かつてのイギリス貴族きぞくに、日曜日にちようびうしいちとうほふってローストビーフやステーキをべるという習慣しゅうかんがあったことひとつの原因げんいんである。いちとうぶん牛肉ぎゅうにくは1にちべきれない。平日へいじつ食事しょくじでは日曜日にちようびのこったにくをそのままきなように味付あじつけし、あるいはたんあたためる。さらにぎたものはカレーやスープなどのとしてふたた調理ちょうりしてべていた。結果けっかとして日曜日にちようび以外いがいは、「つめたいか、とおしすぎたか、あじちたにく」を誤魔化ごまかしてべざるをず、個人こじんこのみで味付あじつけするというしょく習慣しゅうかん成立せいりつした。なお、このような日曜日にちようび大食たいしょくをするのが贅沢ぜいたくという習慣しゅうかんは、フランスイタリアなどでもられたが、やがて美食びしょく贅沢ぜいたくという方向ほうこううつっていき、世界せかいてき評判ひょうばんたかいイタリア料理りょうりやフランス料理りょうり成立せいりつた。

また、過剰かじょう加熱かねつがされるようになった一因いちいんには、産業さんぎょう革命かくめい以降いこう労働ろうどうしゃ居住きょじゅう環境かんきょうがあげられる。当時とうじ都市とし居住きょじゅう労働ろうどうしゃ階級かいきゅう賃金ちんぎん水準すいじゅんでは食材しょくざい入手にゅうしゅ自体じたい困難こんなんであり、また母親ははおや子供こどもまでもが重労働じゅうろうどう従事じゅうじして調理ちょうり手間てまをかけることもできなかった。これに食物しょくもつ加熱かねつ殺菌さっきんすることが奨励しょうれいされた当時とうじ衛生えいせいがく啓蒙けいもうあいまって、とりあえずだけはとおし、胃袋いぶくろさえたせればあじ重要じゅうようしないという調理ちょうりほう普及ふきゅうしたのである。

さらにはスターゲイジーパイのように奇妙きみょうえるほど独特どくとく料理りょうりマーマイトのような非常ひじょうこのみがかれる食材しょくざいがあるのも、外国がいこくじん受容じゅようしづらい一因いちいんとなっている。

またイングランドじん社会しゃかい学者がくしゃのスティーヴン・メネル (Stephen Mennell) は、「まえに、ふたつのさらならんでいたら、自己じこ否定ひてい原則げんそくしたがって、自分じぶんきでないほうをべなければならない」とかんがえるピューリタンてき禁欲きんよく主義しゅぎが、イギリスのしょく文化ぶんか発展はってんはばんだという見方みかたを、著書ちょしょ紹介しょうかいしている。なお、メネル自身じしんはこの見方みかた否定ひていしている[3]

結果けっか上述じょうじゅつとお現在げんざいではイギリスでも美味おいしい料理りょうりべられるが、それは外国がいこく料理りょうりや、外国がいこく料理りょうり技法ぎほうれたあたらしい料理りょうりだったり、伝統でんとうてきイギリス料理りょうり改革かいかくしたものという位置いちづけになった。

イギリス料理りょうりたいするマイナスイメージを払拭ふっしょくしようとするこころみもはじまっている。日本にっぽんにおいては、2013ねんよりざい日本にっぽん英国えいこく大使館たいしかんが「Food is GREAT」「A Taste of Britain」「ためしてみて、美味おいしいイギリス」とだいしたキャンペーン展開てんかいしている[4][5]大使館たいしかん広報こうほうマーケティングマネジャーは「英国えいこくものはまずいという、10ねんほどまえにいわれていたことが、日本にっぽんでは都市とし伝説でんせつしている」[6]主張しゅちょうしており、日本にっぽん駐箚ちゅうさつ英国えいこく特命とくめい全権ぜんけん大使たいしティモシー・ヒッチンズ筆頭ひっとう大使館たいしかん職員しょくいんらがイギリス料理りょうりのイメージ改善かいぜんんでいる[5][6]

イギリス料理りょうり一覧いちらん[編集へんしゅう]

にく料理りょうり[編集へんしゅう]

ローストビーフヨークシャー・プディング
シェパーズパイ

さかな料理りょうり[編集へんしゅう]

パンるい、パスタ料理りょうりなど[編集へんしゅう]

デザート・菓子かし[編集へんしゅう]

クリスマスプディング

イギリス料理りょうり食材しょくざい[編集へんしゅう]

イギリスのチーズ[編集へんしゅう]

しょく習慣しゅうかん[編集へんしゅう]

イギリスの料理人りょうりにん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ フランス料理りょうりにおいてアングレーズ(イギリスふう)というと、たんでただけかいただけの非常ひじょうにシンプルな調理ちょうりほうす。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d 『イギリスはおいしい』はやしのぞむちょ文春ぶんしゅん文庫ぶんこISBN 978-4167570026
  2. ^ a b 『イギリスびょうのすすめ』田中たなか芳樹よしき土屋つちやまもるちょ講談社こうだんしゃ文庫ぶんこISBN 978-4062731195
  3. ^ 食卓しょくたく歴史れきし』スティーヴン・メネルちょ 北代きただい美和子みわこわけ。(中央公論社ちゅうおうこうろんしゃISBN 978-4120018114
  4. ^ 「Food is GREAT: A Taste of Britain ためしてみて、美味おいしいイギリス」『Food is GREAT: A Taste of Britain | A Taste of Britainちゅうにち英国えいこく大使館たいしかん貿易ぼうえきたいえい投資とうし
  5. ^ a b "Inspired by A Taste of Britain: Food is GREAT campaign launches in Japan", Inspired by A Taste of Britain: Food is GREAT campaign launches in Japan - News articles - GOV.UK, Government Digital Service, August 30, 2013.
  6. ^ a b 美味おいしいイギリス、英国えいこく食品しょくひんのイメージ払拭ふっしょく」『美味おいしいイギリス、英国えいこく食品しょくひんのイメージ払拭ふっしょく - イベント | 日刊にっかん水産すいさん経済けいざい新聞しんぶん水産すいさん経済けいざい新聞しんぶんしゃ2013ねん9月2にち

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]