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肝炎かんえん

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慢性まんせい肝炎かんえんから転送てんそう
肝炎かんえん
アルコールせい肝炎かんえん
概要がいよう
診療しんりょう 消化しょうかがく, 肝臓かんぞうがく, 感染かんせんしょうない科学かがく, 内科ないかがく, 家庭かてい医療いりょう
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 K75.9
ICD-9-CM 573.3
DiseasesDB 20061
MeSH D006505

肝炎かんえん(かんえん、英語えいご:Hepatitis)は、なんらかの原因げんいん肝臓かんぞう炎症えんしょうこり発熱はつねつ黄疸おうだん全身ぜんしん倦怠けんたいかんなどの症状しょうじょうたす疾患しっかん総称そうしょうである。

原因げんいん[編集へんしゅう]

肝炎かんえんおも原因げんいんには以下いか存在そんざいする。

病態びょうたい[編集へんしゅう]

肝炎かんえんウイルスによる肝炎かんえん発症はっしょうじょは、ウイルス自体じたいかん細胞さいぼう破壊はかいするためにこるのではなく、かん細胞さいぼうない増殖ぞうしょくしているウイルスにたいする生体せいたい免疫めんえき反応はんのうによって、ウイルスだけではなくかん細胞さいぼう一緒いっしょ障害しょうがいけてしまうことによる。

臨床りんしょうぞう[編集へんしゅう]

急性きゅうせい肝炎かんえん[編集へんしゅう]

きも急性きゅうせい炎症えんしょう頻度ひんどとしてはAがた肝炎かんえんおおく、一過いっかせいじゅうあつしかん障害しょうがいげきしょう肝炎かんえんこすことがある。また、成人せいじん発症はっしょうのBがた肝炎かんえんもほとんどは急性きゅうせい肝炎かんえん発症はっしょうする。HBVによる慢性まんせい肝炎かんえん有名ゆうめいであるが、これは垂直すいちょく感染かんせんによってキャリアした場合ばあいがほとんどである。ただし、キャリアが急性きゅうせい増悪ぞうあくこし、急性きゅうせい肝炎かんえんのような経過けいかることはよくある。また、薬剤やくざいせいきも障害しょうがい急性きゅうせい発症はっしょうをする。アルコールせいきも障害しょうがいのひとつであるアルコールせい肝炎かんえん急性きゅうせい肝炎かんえん発症はっしょうをする。アルコールせい肝炎かんえんげきしょう肝炎かんえんちか経過けいかをとることもおおく、急性きゅうせい膵炎同様どうよう非常ひじょうじゅうあつし病態びょうたいである。ウィルソンびょうバッド・キアリ症候群しょうこうぐん急性きゅうせい慢性まんせい両方りょうほう経過けいかりえる。

げきしょう肝炎かんえん[編集へんしゅう]

発症はっしょう8週間しゅうかん以内いない高度こうどかん機能きのう異常いじょうきもせい昏睡こんすいII以上いじょうたし、プロトロンビン時間じかんが40%以下いかであるものをす。きもせい脳症のうしょうによる昏睡こんすい出現しゅつげんまでの期間きかんで「急性きゅうせいがた」と「急性きゅうせいがた」に分類ぶんるいされる。

急性きゅうせいがた
発症はっしょうしてから脳症のうしょう出現しゅつげんまでの期間きかん10日とおか以内いない
急性きゅうせいがた
発症はっしょうしてから脳症のうしょう出現しゅつげんまでの期間きかんが11にち以降いこう56にち以内いない

急性きゅうせいがたのほうが急性きゅうせいがた比較ひかくして圧倒的あっとうてきわるい。急性きゅうせいがた救命きゅうめいりつが60%程度ていどなのにたいし、急性きゅうせいがたのそれはいまだに10%程度ていどである[5]基本きほんてきに、急性きゅうせいがたAがた肝炎かんえんウイルス(HAV)、Bがた肝炎かんえんウイルス(HBV)が原因げんいんであることがおおいが、急性きゅうせいがた原因げんいん不明ふめいであることがおおく、両者りょうしゃべつ疾患しっかんであるのではないかとかんがえる学者がくしゃもいる。急性きゅうせいがたではわるいとわかっているのでかん移植いしょく検討けんとうすることがおおい。また、げきしょう肝炎かんえん有効ゆうこう内科ないかてき治療ちりょうほうがほとんど確立かくりつしていない。血漿けっしょう交換こうかんステロイドグルカゴン・インスリン療法りょうほうなど一応いちおう治療ちりょうほうばれるものはあるが、効果こうかさは救命きゅうめいりつしめしている[6][7]げきしょう肝炎かんえん合併症がっぺいしょうとしては消化しょうかかん出血しゅっけつのう浮腫ふしゅDICなどがあげられる。

おそはつせい肝不全かんふぜん[編集へんしゅう]

期間きかんが、8しゅう以降いこう 24しゅう以内いない肝不全かんふぜんおそはつせい肝不全かんふぜん定義ていぎされる[8]きもせい昏睡こんすいII以上いじょう、プロトロンビン時間じかん40%以下いかしめすものをす。げきしょう肝炎かんえん急性きゅうせいがた同様どうようわるい。

慢性まんせい肝炎かんえん[編集へんしゅう]

慢性まんせい肝炎かんえんとは、臨床りんしょうてきには6ヶ月かげつ以上いじょうかん機能きのう検査けんさ異常いじょうとウイルス感染かんせん持続じぞくしている病態びょうたいす。組織そしきがくまとには、もんみゃくいきにリンパだま主体しゅたいとした細胞さいぼう浸潤しんじゅん線維せんいみとめ、かん実質じっしつないには種々しゅじゅ程度ていどかん細胞さいぼう変性へんせい壊死えし所見しょけんみとめる。慢性まんせい肝炎かんえん活動かつどうせいは piecemeal necrosis, しょうない細胞さいぼう浸潤しんじゅん, かん細胞さいぼう変性へんせい壊死えし(spotty necrosis, bridging necrosisなど)によりNone(A0), Mild(A1), Moderate(A2), Severe(A3)の4段階だんかいける。さらに線維せんい程度ていどにより4段階だんかい線維せんいなし(F0)、もんみゃくいき線維せんいせい拡大かくだい(F1)、bridging necrosis(F2)、しょうのひずみをともなうbridging fibrosis(F3)にける。以上いじょうは「しん犬山いぬやま分類ぶんるい[9]だい19かい犬山いぬやまシンポジウム、1995ねん)の骨子こっしである。また、欧米おうべいではDesmetらのしんヨーロッパ分類ぶんるいもちいられている[9]

肝硬変かんこうへんかん細胞さいぼうがんへと進行しんこうするおそれがある。頻度ひんどとしてはCがた肝炎かんえんもっとおおいが、鑑別かんべつとして、ASTALTといったトランスアミナーゼ上昇じょうしょう目立めだ場合ばあい自己じこ免疫めんえきせい肝炎かんえんALPγがんま-GTPといった胆道たんどうけい酵素こうそ目立めだ場合ばあい原発げんぱつせい胆汁たんじゅうせいきもかんえん原発げんぱつせい硬化こうかせいきもかんえんうたがうべきである。Bがた肝炎かんえん原因げんいんである可能かのうせいもあり、ウイルスの抗原こうげん抗体こうたい検査けんさする必要ひつようがある。自己じこ免疫めんえきせい肝炎かんえんなら、こうかく抗体こうたいこう平滑へいかつすじ抗体こうたいこうきも可溶性かようせい抗原こうげん抗体こうたい測定そくていし、原発げんぱつせい胆汁たんじゅうせいきもかんえんならばこうミトコンドリア抗体こうたい測定そくていするべきである。原発げんぱつせい硬化こうかせいきもかんえんならば、画像がぞう所見しょけん比較的ひかくてき診断しんだんをつけやすい。

一般いっぱん慢性まんせいきも機能きのう障害しょうがいではこうグロブリンしょうをきたすことがられている。トランスアミナーゼの上昇じょうしょう軽度けいどで、きも備能があきらかに低下ていかしている肝硬変かんこうへんまでいたらないような状況じょうきょうである場合ばあいは、この所見しょけん非常ひじょう重要じゅうようとなる。IgGIgMはかればいのであるが測定そくてい簡便かんべんさというてんで、ZTTやTTTがよく利用りようされる。TTTは血清けっせいIgMりょうを、ZTTは血清けっせいIgGりょう反映はんえいする。ただし、こうグロブリンしょう炎症えんしょうこっている場合ばあいは、大抵たいていこる非特異ひとくいてき所見しょけんである。Aがた肝炎かんえんではTTTが上昇じょうしょうするがIgMは上昇じょうしょうするのだから当然とうぜんである。あくまで、検査けんさきも機能きのう障害しょうがいがわかりにくい場合ばあい測定そくていする項目こうもくである。

慢性まんせい肝炎かんえんでは肝硬変かんこうへん移行いこうがないのかを確認かくにんすることが重要じゅうようである。具体ぐたいてきには血小板けっしょうばんかずコリンエステラーゼアルブミン、プロトロンビン時間じかんなどできも機能きのう調しらべつつ、血清けっせいヒアルロンさんきも線維せんいをみて、エコー形態けいたい変化へんかをみる。ウイルスせい肝炎かんえん場合ばあい肝硬変かんこうへんいたまえインターフェロン治療ちりょうとうおこなうのがのぞましい。また、慢性まんせい肝炎かんえんでは幅広はばひろてつ過剰かじょうのあることが指摘してきされている[10]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 添付てんぷ文書ぶんしょ ツムラ大柴おおしばえびすエキス顆粒かりゅう医療いりょうよう
  2. ^ 萬谷まんたに直樹なおき小暮こぐれ敏明としあきかいぬま茂三郎しげさぶろう ほか、漢方薬かんぽうやくによるきも障害しょうがい報告ほうこくさい検討けんとう 肝臓かんぞう 2002ねん 43かん 6ごう p.282-28, doi:10.2957/kanzo.43.282
  3. ^ 萬谷まんたに直樹なおき漢方薬かんぽうやくによるきも障害しょうがい -その診断しんだん頻度ひんど臨床りんしょうぞうについて- 日本にっぽん東洋とうよう医学いがく雑誌ざっし 2015ねん 66かん 4ごう p.342-351, doi:10.3937/kampomed.66.342
  4. ^ 安永やすながみつる松田まつだあきら村田むらたまこと ほか、少量しょうりょうのアセトアミノフェン服用ふくようによる急性きゅうせいきも障害しょうがいの2れい 肝臓かんぞう 1985ねん 26かん 4ごう p.493-499, doi:10.2957/kanzo.26.493
  5. ^ [1]
  6. ^ 2010-2014ねんげきしょう肝炎かんえん発症はっしょうしゃたい内科ないかてき治療ちりょうのみをおこなった患者かんじゃ救命きゅうめいりつは、急性きゅうせいがたやく40%、急性きゅうせいがたやく25%。きも移植いしょくふくめた救命きゅうめいりつは、急性きゅうせいがたやく50%、急性きゅうせいがたやく40%となっている。
  7. ^ 急性きゅうせい肝不全かんふぜんげきしょう肝炎かんえん
  8. ^ 持田もちださとし急性きゅうせい肝不全かんふぜん:わがくににおける課題かだい 肝臓かんぞう 2015ねん 56かん 9ごう p.453-460, doi:10.2957/kanzo.56.453
  9. ^ a b 山田やまだつよし太郎たろう慢性まんせい肝炎かんえんあたらしい組織そしき分類ぶんるい 日本にっぽん消化しょうかびょう学会がっかい雑誌ざっし Vol.96 (1999) No.4 P.377-384, doi:10.11405/nisshoshi1964.96.377
  10. ^ はやし久男ひさお、「てつ細胞さいぼう毒性どくせいとCがた慢性まんせい肝炎かんえんでの役割やくわり」『肝臓かんぞう』Vol.40 (1999) No.8 P.427-435, doi:10.2957/kanzo.40.427

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]