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悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
リンパぶしえんから転送てんそう

悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ(あくせいリンパしゅ、英語えいご: Malignant Lymphoma略称りゃくしょう:ML)は、血液けつえきのがんで、リンパけい組織そしきから発生はっせいする悪性あくせい腫瘍しゅようである。

概説がいせつ

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リンパけい組織そしき全身ぜんしんめぐっているため、肉腫にくしゅおよ癌腫がんしゅがんとはことなり、外科げか手術しゅじゅつによる切除せつじょおこなわず(ただし、しゅだいによる圧迫あっぱくなどを緩和かんわするため姑息こそく手術しゅじゅつおこなうことはある)、おも放射線ほうしゃせん療法りょうほうおよび化学かがく療法りょうほう適応てきおうする。リンパ腫りんぱしゅには「良性りょうせい」はないため、かならず「悪性あくせい」ということになる。日本語にほんご病名びょうめいとしては明示めいじてきに「悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ」とならわしている。該当がいとう診療しんりょう科目かもく血液けつえき内科ないか耳鼻咽喉科じびいんこうか、また診断しんだんおよび治療ちりょう観点かんてんから放射線ほうしゃせんチーム医療いりょうまえた範囲はんいとなる。

悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅは、単一たんいつではなく、多様たようやまいがたのリンパけい組織そしきのがんの総称そうしょうである(その疾患しっかん分類ぶんるいについてはいまでも分類ぶんるい作業さぎょう進行しんこうちゅうである)。やまいがた大別たいべつすると、ホジキンリンパしゅ (Hodgkin's lymphoma, HL、あるいはHodgkin's disease, HD) とホジキンリンパしゅ (non Hodgkin's lymphoma, NHL) がある。欧米おうべいではホジキンリンパしゅ多数たすうめるが、日本人にっぽんじんのホジキンリンパしゅやく10%であり、日本にっぽんではほとんどがホジキンリンパしゅめている。やまいがたによって治療ちりょう方針ほうしんおよびおおきくことなるので、リンパ腫りんぱしゅでは自己じこやまいがたることが重要じゅうようである。

リンパ腫りんぱしゅ全身ぜんしん発生はっせいするというその性質せいしつじょう治療ちりょうおこなってもがん細胞さいぼう完全かんぜんえたことを証明しょうめいすることはできない。そのため「完治かんじ」という表現ひょうげんはせず、腫瘍しゅよう検出けんしゅつできなくなった時点じてんで「緩解かんかい(かんかい・寛解かんかいとも)[1]」したと表現ひょうげんする。これは、おな血液けつえきのがんである白血病はっけつびょう同様どうようあつかいである。緩解かんかいいたってもがん細胞さいぼう残存ざんそんしていることがあって、再発さいはつ転移てんいするケースもある。

原因げんいんはわかっていないが、ウイルスせつ・カビせつ遺伝いでんせつなどがある。小児しょうに白血病はっけつびょう絨毛じゅうもうがんなどとならんで、悪性あくせい腫瘍しゅようなかでは、比較的ひかくてきこうがんざいきやすいとされる。こうがんざい活発かっぱつ細胞さいぼう攻撃こうげきするため、一般いっぱんに、がんの進行しんこうはや悪性あくせいたかいものほどこうがんざいたいする感受性かんじゅせいつよく、進行しんこうおそてい悪性あくせい感受性かんじゅせいひくいとされている。

症状しょうじょう

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頸部(くび)、鼠蹊そけいまた)、腋窩えきかわきした)などのリンパぶししゅだいする(れる)ことがおおい。リンパぶしが1cmを肥大ひだい進行しんこうしたり、しゅこぶかず短期間たんきかん増加ぞうかする場合ばあいは、慢性まんせいリンパぶしえん結核けっかくせいリンパぶしえん急性きゅうせい壊死えしせいリンパぶしえんなどがある。また、腫脹しゅちょう原因げんいん不明ふめい場合ばあい一度いちど感染かんせんしたEBウイルスさい活性かっせい病症びょうしょう慢性まんせいしていないか調しらべることも重要じゅうようである。

かく臓器ぞうき発生はっせいするリンパ腫りんぱしゅ場合ばあいにはレントゲン撮影さつえい内視鏡ないしきょうによる検査けんさ発見はっけんされる場合ばあいもある。また全身ぜんしん倦怠けんたい発熱はつねつ盗汗とうかん(ねあせ)、体重たいじゅう減少げんしょうなどがみられる場合ばあいもあり、これらの全身ぜんしん症状しょうじょうはB症状しょうじょうばれる。B症状しょうじょうは、不良ふりょう因子いんしとされている。

進行しんこうすると全身ぜんしん衰弱すいじゃく、DIC(播種はしゅせい血管けっかんない凝固ぎょうこ症候群しょうこうぐん)、臓器ぞうき不全ふぜんなどからいたる。

検査けんさ診断しんだん

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Diffuse large B-cell lymphoma.
Diffuse large B-cell lymphoma. CD20 stain.

リンパ腫りんぱしゅうたが場合ばあい触診しょくしん血液けつえき検査けんさ造影ぞうえいCT検査けんさなどをおこな病変びょうへん部位ぶい検索けんさくするが、確定かくてい診断しんだんはリンパぶしなまけんおこなうことにより病理びょうり組織そしき分類ぶんるい遺伝子いでんし異常いじょう検索けんさくもおこなうことがある。針生はりゅうけんでの診断しんだんむずかしいため、リンパぶしって組織そしき調しらべることがおおい。

やまい分類ぶんるい

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リンパ腫りんぱしゅやまい分類ぶんるいとしては、つぎのAnn Arbor分類ぶんるい世界せかいてきもちいられている。通常つうじょうがんことなり、0という分類ぶんるいはない。

Ann Arbor 分類ぶんるい
やまい 解説かいせつ
I 単独たんどくリンパぶし領域りょういき病変びょうへん (I)。

またはリンパぶし病変びょうへん単独たんどくリンパがい臓器ぞうきまたは部位ぶい限局げんきょくせい病変びょうへん (IE)。

II 横隔膜おうかくまくどうがわにある2 つ以上いじょうのリンパぶし領域りょういき病変びょうへん (II)。
または所属しょぞくリンパぶし病変びょうへん関連かんれんしている単独たんどくリンパがい臓器ぞうきまたは部位ぶい限局げんきょくせい病変びょうへんで、
横隔膜おうかくまくどうがわにあるそののリンパぶし領域りょういき病変びょうへんはあってもなくてもよい IIE)。
病変びょうへんのある領域りょういきかずしたきで、たとえば II3 のようにあらわしてもよい。
III 横隔膜おうかくまく両側りょうがわにあるリンパぶし領域りょういき病変びょうへん (III)。
それはさらに隣接りんせつするリンパぶし病変びょうへん関連かんれんしているリンパがい進展しんてんともなったり (IIIE)、
または脾臓ひぞう病変びょうへんともなったり (IIIS)、あるいはその両者りょうしゃ(IIIES)をともなってもよい。
IV 1 つ以上いじょうのリンパがい臓器ぞうきのびまんせいまたは播種はしゅせい病変びょうへんで、関連かんれんするリンパぶし病変びょうへん有無うむわない。
または隣接りんせつする所属しょぞくリンパぶし病変びょうへん孤立こりつしたリンパがい臓器ぞうき病変びょうへんであるが、はなれた部位ぶい病変びょうへんあわ場合ばあい
A およびB 分類ぶんるい症状しょうじょう

かくやまい以下いかのように定義ていぎされる全身ぜんしん症状しょうじょう有無うむしたがって、A またはB のいずれかに分類ぶんるいされる。

  1. 発熱はつねつ:38℃よりたか理由りゆう不明ふめい発熱はつねつ
  2. 寝汗ねあせ寝具しんぐ(マットレス以外いがい布団ぶとん,シーツなどをふくむ、寝間着ねまきふくまない)をえなければならないほどのずぶれになるあせ
  3. 体重たいじゅう減少げんしょう診断しんだんまえの6 カ月かげつ以内いない通常つうじょう体重たいじゅうの10%を原因げんいん不明ふめい体重たいじゅう減少げんしょう

造血ぞうけつ腫瘍しゅよう診療しんりょうガイドライン[2]より引用いんよう改変かいへん

ほかに、Lugano 分類ぶんるい使用しようされることもある。

Lugano 分類ぶんるい
やまい 解説かいせつ
I 消化しょうかかん限局げんきょくした腫瘍しゅよう
単発たんぱつまたは多発たはつ連続れんぞくせい
II 消化しょうかかん原発げんぱつ部位ぶいから腫瘍しゅよう腹腔ふくこう進展しんてん
リンパぶし浸潤しんじゅん
II1限局げんきょくせいリンパ腫りんぱしゅ場合ばあい周囲しゅうい腸管ちょうかん場合ばあい腸管ちょうかん周囲しゅうい
II2遠隔えんかくせい腸管ちょうかん原発げんぱつ場合ばあいちょうあいだまく、そのでははただい静脈じょうみゃくはただい静脈じょうみゃく骨盤こつばん鼠径そけい
IIE 近接きんせつ臓器ぞうきまたは組織そしき進展しんてんする漿膜の浸潤しんじゅん実際じっさい浸潤しんじゅん部位ぶい
れいIIE膵臓すいぞう]、 IIE大腸だいちょう]、IIE後腹あとばらまく])
リンパぶし浸潤しんじゅん近接きんせつ臓器ぞうき浸潤しんじゅんする進展しんてん両方りょうほうがある場合ばあいは、
やまいしたきの1 または2E両方りょうほう記載きさいされるべきである。
れいII1E膵臓すいぞう
IV リンパがいへの播種はしゅせい浸潤しんじゅんまたは消化しょうかかん病変びょうへん横隔膜おうかくまくえたリンパぶし病変びょうへんともなう。

造血ぞうけつ腫瘍しゅよう診療しんりょうガイドライン[2]より引用いんよう改変かいへん

因子いんし

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国際こくさい因子いんし (international prognosis index: IPI) が有名ゆうめいである。因子いんしかず患者かんじゃそうべつし、判定はんていする。因子いんしとして、

  • 年齢ねんれい
  • PS (Performance Status, パフォーマンスステータス)[3]
  • LDH
  • ふしがい病変びょうへんすう
  • やまい

げられている。標準ひょうじゅん治療ちりょうCHOP療法りょうほうなど)をおこなった場合ばあいは、5ねん生存せいぞんりつが25%程度ていど

組織そしきがくてき分類ぶんるい

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ホジキンリンパしゅは、ホジキンリンパしゅ該当がいとうしない多様たようなリンパけい組織そしきのがんの総称そうしょうであるので、世界せかいてき統一とういつされた分類ぶんるいというのはなかったが、1999ねん発表はっぴょうされたWHO分類ぶんるい現在げんざい有効ゆうこうである。ホジキンリンパしゅは、B細胞さいぼうががんするか、T細胞さいぼうあるいはNK細胞さいぼうががんするかによっておおきく2つに分類ぶんるいされる。前者ぜんしゃをB細胞さいぼうせい腫瘍しゅようい、後者こうしゃをT/NK細胞さいぼうせい腫瘍しゅようう。

WHO分類ぶんるい

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リンパだま腫瘍しゅようとしては急性きゅうせいリンパせい白血病はっけつびょう (ALL)、慢性まんせいリンパせい白血病はっけつびょう (CLL)、悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ多発たはつせい骨髄腫こつづいしゅはじ各種かくしゅある。それぞれ、正常せいじょうリンパだまのどの段階だんかい発癌はつがんしたかによって性質せいしつことなるとかんがえられている。そのためリンパだま成熟せいじゅく過程かていっておくことが理解りかいたすけとなる。

学問がくもんてきには急性きゅうせい白血病はっけつびょうという概念がいねんなどなくして骨髄こつづいだませい疾患しっかんとリンパだませい疾患しっかんけたほうがすっきりする。しかし、ALLは臨床りんしょう経過けいか急性きゅうせい骨髄こつづいせい白血病はっけつびょう (AML) に非常ひじょうちかく、そのような単純たんじゅん分類ぶんるい臨床りんしょうれることができない。急性きゅうせい慢性まんせいちがいにかんしても、骨髄こつづいせいとリンパせいとは随分ずいぶん印象いんしょうことなる。AMLと慢性まんせい骨髄こつづいせい白血病はっけつびょう (CML) はたしかに鑑別かんべつ重要じゅうようだが、ALLとCLLは鑑別かんべつすることはまずない。教科書きょうかしょ急性きゅうせい白血病はっけつびょう慢性まんせい白血病はっけつびょうちがいは分化ぶんか障害しょうがい有無うむとかといった項目こうもくならぶが、これは骨髄こつづいせいのみにするべき事項じこうであってリンパせいでは問題もんだいにならない。CMLは原発げんぱつせい骨髄こつづい線維せんいしょう本態ほんたいせい血小板けっしょうばんしょうといった骨髄こつづい増殖ぞうしょくせい疾患しっかん分類ぶんるいされ、さらにAMLとなる「急性きゅうせい転化てんか」があるので区別くべつ重要じゅうようとなる。

せい白血病はっけつびょうとしてはMDS、アルキルやくによるものもられている。またしろという言葉ことばがあるが、これは末梢まっしょう腫瘍しゅよう細胞さいぼうられることで、急性きゅうせい白血病はっけつびょうならばだまリンパ腫りんぱしゅならばことがたリンパだまやOtherでカウントされることがおおい。これらは自動じどう測定機そくていきでは見逃みのがすことがおおいので、かがみけんする必要ひつようがある。

B細胞さいぼう成熟せいじゅく

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Bリンパだまみき細胞さいぼう骨髄こつづい存在そんざいする。ここでVDJ領域りょういきさい構成こうせいおこないIgMを発現はつげん成熟せいじゅくB細胞さいぼうとなる。骨髄こつづいない抗原こうげん反応はんのうしてしまうB細胞さいぼうはこの時点じてんアポトーシスされる。成熟せいじゅくB細胞さいぼう骨髄こつづいはなれてリンパ組織そしきく。リンパ組織そしきでは各種かくしゅ相互そうご作用さようおうじて分化ぶんかする。T細胞さいぼう依存いぞん抗原こうげん相互そうご作用さようできた場合ばあいはIgM産出さんしゅつ細胞さいぼう形質けいしつ細胞さいぼう一部いちぶB細胞さいぼう)となり、T細胞さいぼう依存いぞんせい抗原こうげんとしか相互そうご作用さようができないとはい中心ちゅうしん移行いこうし、クラススイッチをこし、IgG産出さんしゅつ細胞さいぼうとなる。これで形質けいしつ細胞さいぼうまたは記憶きおくB細胞さいぼうになる。クラススイッチをこした形質けいしつ細胞さいぼう短命たんめいのものと長命ちょうめいのものにかれる。短命たんめいのものはリンパ組織そしきないまり、長命ちょうめいのものは前駆ぜんく形質けいしつ細胞さいぼうとなり骨髄こつづい循環じゅんかん適応てきおうし、抗体こうたい産出さんしゅつしつづける。これらのどの段階だんかい発癌はつがんしたかによって腫瘍しゅよう性質せいしつことなるのではないかというのが近年きんねんかんがかたである。さいわいなことにこれらの分化ぶんか成熟せいじゅく過程かていにおける抗原こうげん変化へんかはよくられている。多発たはつせい骨髄腫こつづいしゅ形質けいしつ細胞さいぼう骨髄こつづいまるのが不思議ふしぎだが、長命ちょうめい形質けいしつ細胞さいぼう骨髄こつづい循環じゅんかん適応てきおうしているので、骨髄こつづい増殖ぞうしょくしてもおかしくない。M蛋白たんぱくしょうこすもののうち、IgMさんせい場合ばあいだけとく問題もんだいないのもIgM分泌ぶんぴつ分化ぶんか過程かていちがうということで多少たしょう説明せつめいできる。しかしなぜまでちがうのかは、いまのところ説明せつめいできない。

T細胞さいぼう成熟せいじゅく

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T細胞さいぼうはまず骨髄こつづい造血ぞうけつみき細胞さいぼうからしょうじる。リンパだま前駆ぜんく細胞さいぼう状態じょうたい胸腺きょうせんたっすることでせい選択せんたくまけ選択せんたくをうけていく。胸腺きょうせん皮質ひしつから胸腺きょうせん髄質ずいしつへいたる過程かてい成熟せいじゅく、また不適切ふてきせつなものはアポトーシスにみちびかれる。胸腺きょうせん髄質ずいしつたっすることにはCD4けいとCD8けいかれる。成熟せいじゅくT細胞さいぼうのマーカーとしてはTCRやCD3がられている。

治療ちりょうほう

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治療ちりょうほうこうがんざい化学かがく療法りょうほう放射線ほうしゃせん療法りょうほう支持しじ療法りょうほう単独たんどくで、もしくはわせておこなう。造血ぞうけつみき細胞さいぼう移植いしょくおこなうこともある。疾患しっかんごとに、やまい因子いんしとうによって推奨すいしょうされる治療ちりょうほうことなるので、詳細しょうさいかく疾患しっかん治療ちりょう項目こうもく参照さんしょうされたい。

悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅによる神経しんけいけい障害しょうがい

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悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ神経しんけいけい障害しょうがい圧迫あっぱく直接ちょくせつ浸潤しんじゅん遠隔えんかく効果こうかによるものに大別たいべつされる。圧迫あっぱくによるものの代表だいひょうれいリンパ腫りんぱしゅ転移てんいせいかたまくがい腫瘍しゅようによる圧迫あっぱくせい脊髄せきずいしょうがよくられている。直接ちょくせつ浸潤しんじゅん浸潤しんじゅんする部位ぶいにより中枢ちゅうすう神経しんけいけい浸潤しんじゅんする中枢ちゅうすう神経しんけいリンパ腫りんぱしゅしょう(CNS lymphoma)、末梢まっしょう神経しんけいけい浸潤しんじゅんする神経しんけいリンパ腫りんぱしゅしょう(neurolymphomatosis)、筋肉きんにく浸潤しんじゅんするすじリンパ腫りんぱしゅしょう(muscle lymphoma)に大別たいべつされる。また免疫めんえき不全ふぜんともな場合ばあい免疫めんえき不全ふぜん関連かんれんリンパ増殖ぞうしょくせい疾患しっかん(IDLPD)として区別くべつされる[4]遠隔えんかく効果こうかによるものははた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐんである。

中枢ちゅうすう神経しんけいけい

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悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅによる中枢ちゅうすう神経しんけいけい障害しょうがいには中枢ちゅうすう神経しんけいリンパ腫りんぱしゅしょうしゅこぶ形成けいせいによる圧迫あっぱくはた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐんがある。

中枢ちゅうすう神経しんけいリンパ腫りんぱしゅしょう

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中枢ちゅうすう神経しんけいリンパ腫りんぱしゅしょうには全身ぜんしんせいリンパ腫りんぱしゅ中枢ちゅうすう神経しんけいけい浸潤しんじゅん中枢ちゅうすう神経しんけいけい原発げんぱつリンパ腫りんぱしゅ(primary CNS lymphoma、PCNSL)、血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょう(intravascular lymphomatosis)に大別たいべつされる。

全身ぜんしんせいリンパ腫りんぱしゅ中枢ちゅうすう神経しんけいけい浸潤しんじゅん
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全身ぜんしんせいリンパ腫りんぱしゅ中枢ちゅうすう神経しんけいけい浸潤しんじゅん大半たいはんはびまんせいだい細胞さいぼうがたB細胞さいぼうリンパ腫りんぱしゅである。診断しんだんより中枢ちゅうすう神経しんけいけい浸潤しんじゅんしている場合ばあい治療ちりょう中枢ちゅうすう神経しんけいけい再発さいはつする場合ばあいがある。浸潤しんじゅん様式ようしきのう実質じっしつないしゅこぶ形成けいせいがたずいまく播種はしゅがた両者りょうしゃ合併がっぺいられている。浸潤しんじゅんした部位ぶいによって麻痺まひ失語しつごのような症状しょうじょう認知にんち機能きのう低下ていか性格せいかく変化へんかなど局在きょくざいせい症候しょうこう頭蓋とうがいないあつ亢進こうしんしょうによる頭痛ずつう、嘔気などがみとめられる。比較的ひかくてきこう頻度ひんどにみられる症状しょうじょう脳神経のうしんけい麻痺まひでありとくそとすじ麻痺まひ顔面がんめん神経しんけい麻痺まひおおい。全身ぜんしんせいリンパ腫りんぱしゅ中枢ちゅうすう神経しんけいけい再発さいはつは5%と比較的ひかくてきまれである[5][6][7]。しかし不良ふりょうであり50%生存せいぞん期間きかんは6ヶ月かげつであり、2ねん生存せいぞんりつは27%という報告ほうこくもある[8]治療ちりょうこう用量ようりょうメソトレキセート全身ぜんしん投与とうよすぐれているが副作用ふくさようおお[9]

そのステロイドやこうがんざいずい腔内投与とうよぜんのう放射線ほうしゃせん照射しょうしゃなどがおこなわれる。リツキシマブのずい腔内投与とうよ報告ほうこくもあるが一般いっぱんてきではない[10][11]

原発げんぱつせい中枢ちゅうすう神経しんけいけいリンパ腫りんぱしゅ
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眼球がんきゅうふく中枢ちゅうすう神経しんけいけい原発げんぱつする中枢ちゅうすう神経しんけいけい原発げんぱつする悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅであり、中枢ちゅうすう神経しんけいけい以外いがいには悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ存在そんざいしないものである。病理びょうり学的がくてきにはだい多数たすうがびまんせいだい細胞さいぼうがたB細胞さいぼうリンパ腫りんぱしゅである。臨床りんしょう症状しょうじょう画像がぞう所見しょけんきわめて多彩たさいであり「すべての神経しんけい疾患しっかん鑑別かんべつサルコイドーシス悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅげよ」ともいわれる。原発げんぱつせい脳腫瘍のうしゅようの3.1%をめ、年間ねんかん人口じんこう10まんにんあたりやく0.5にん発症はっしょうする[12]免疫めんえき不全ふぜんともな発症はっしょうする原発げんぱつせい中枢ちゅうすう神経しんけいけいリンパ腫りんぱしゅはEBウイルスの関与かんよ示唆しさされている[4]免疫めんえきのう正常せいじょう患者かんじゃ発生はっせい原因げんいん不明ふめいである[13]

全身ぜんしんせいリンパ腫りんぱしゅ中枢ちゅうすう神経しんけいけい浸潤しんじゅん同様どうようのう実質じっしつないしゅこぶ形成けいせいがたずいまく播種はしゅがた浸潤しんじゅん様式ようしきがあるが原発げんぱつせい中枢ちゅうすう神経しんけいけいリンパ腫りんぱしゅずいまく播種はしゅがたのみをしめすことはきわめてまれである。このまれ病態びょうたいをprimary leptomeningeal lymphomaという[14]。また特殊とくしゅ病態びょうたいとしてlymphomatosis cerebriというものがられている[15]。これはしゅこぶ形成けいせいせず、びまんせいしろしつ脳症のうしょう両側りょうがわせい出現しゅつげんするという原発げんぱつせい中枢ちゅうすう神経しんけいけいリンパ腫りんぱしゅ特殊とくしゅけいである。急性きゅうせい進行しんこうする認知にんち機能きのう障害しょうがい性格せいかく変化へんか歩行ほこうのふらつきといった局在きょくざいせい神経症しんけいしょうじょう中心ちゅうしんである。lymphomatosis cerebriの不良ふりょう治療ちりょうをしても半年はんとし以内いない死亡しぼうすることがおおい。

原発げんぱつせい中枢ちゅうすう神経しんけいけいリンパ腫りんぱしゅ通常つうじょう中枢ちゅうすう神経しんけいけい限局げんきょくし、部位ぶい浸潤しんじゅん転移てんいすることはきわめてまれである。ふくすうかい中枢ちゅうすう神経しんけいけい再発さいはつしても全身ぜんしん転移てんいまれである。治療ちりょうとしてはこう用量ようりょうMTXの全身ぜんしん投与とうよなどがおこなわれ2ねん生存せいぞんりつが50~70%であり5ねん生存せいぞんりつが20~40%である[12]

ない悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅおおくは原発げんぱつせい中枢ちゅうすう神経しんけいけいリンパ腫りんぱしゅがたである。ステロイド抵抗ていこうせいぶどうまくえんさい鑑別かんべつにあがる。

原発げんぱつせい中枢ちゅうすう神経しんけいけいリンパ腫りんぱしゅではずいえきIL-10がよいマーカーになると報告ほうこくされている[16]

血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょう
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血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょう(intravascular lymphomatosis)はおもふしがい臓器ぞうき微小びしょう血管けっかんない閉塞へいそくせい進展しんてんする悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅである。病理びょうり学的がくてきにはびまんせいだい細胞さいぼうがたB細胞さいぼう細胞さいぼうリンパ腫りんぱしゅがたである。血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょう血管けっかん腔の血管けっかん内皮ないひ細胞さいぼうあつまりやすい理由りゆうは、細胞さいぼう表面ひょうめん発現はつげんされる分子ぶんしによるとかんがえられている。血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょうきわめてまれであり、欧米おうべいでは100まんにんあたり1にんとされているがアジアでの頻度ひんど不明ふめいである。皮膚ひふ症状しょうじょう神経症しんけいしょうじょう主体しゅたいのWestern variantと血球けっきゅう貪食どんしょく症候群しょうこうぐん合併がっぺいするAsian variantがられている[17][18]一般いっぱん発症はっしょう急性きゅうせい経過けいか急速きゅうそく進行しんこうせいであり、やく6ヶ月かげつ~2ねん経過けいか臓器ぞうき不全ふぜんにより死亡しぼうし、病理びょうり解剖かいぼう確定かくてい診断しんだんされることがおおかった。しかしランダム皮膚ひふせいけんなど診断しんだんほう改善かいぜんやCHOP療法りょうほうとリツキシマブとの併用へいよう療法りょうほう普及ふきゅうにより改善かいぜんしてきている。すじせいけんによる診断しんだんりつたか[19][20][21]中枢ちゅうすう神経しんけいけい障害しょうがいみとめる血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅ選択せんたくされる治療ちりょうほう確立かくりつしていない。HD-MTXとR-CHOPをわせた併用へいよう療法りょうほうがしばしばおこなわれる[22]

がた
Western variant

神経症しんけいしょうじょう(39%)と皮膚ひふ症状しょうじょう(39%)がしゅ症状しょうじょうである[23]典型てんけいてきかわ疹はゆうつうせい発赤はっせき病変びょうへんである。認知にんちしょう末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいなど急激きゅうげき進行しんこうする神経しんけい徴候ちょうこうともなうことがおおい。骨髄こつづい(32%)、脾臓ひぞう(26%)、肝臓かんぞう(26%)も障害しょうがいされることがおお[24][25]

Asian variant

神経症しんけいしょうじょう(27%)、皮膚ひふ症状しょうじょう(15%)である。貧血ひんけつ(63%)、血小板けっしょうばん減少げんしょう(29%)、白血球はっけっきゅう減少げんしょう(24%)や血球けっきゅう貪食どんしょく症候群しょうこうぐん(59%)といった血球けっきゅう異常いじょうみとめられる。骨髄こつづい(75%)、脾臓ひぞう(67%)、肝臓かんぞう(55%)も障害しょうがいされることがおおい。B症状しょうじょうみとめられることがおお[26][27]

Cutaneous variant

皮膚ひふ限局げんきょくするタイプである。

臨床りんしょう症状しょうじょう

血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅ不明ふめいねつえき疲労ひろうかんなどの全身ぜんしん症状しょうじょう発疹はっしんべにむらといった皮膚ひふ症状しょうじょう認知にんち機能きのう障害しょうがい意識いしき障害しょうがいなどの進行しんこうせい神経症しんけいしょうじょうみとめられる。

不明ふめいねつ

血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅ不明ふめいねつ臓器ぞうき不全ふぜんこす疾患しっかんとしてられており、とく不明ふめいねつとPS不良ふりょう症例しょうれいうたがう。

皮膚ひふ症状しょうじょう

血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅみとめられる皮膚ひふ病変びょうへん多彩たさいである。1999ねんにKrausらが外見がいけんじょう異常いじょうがない皮膚ひふでも血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅ病変びょうへんみとめられることを報告ほうこくしている[28]

神経症しんけいしょうじょう

血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅぜん経過けいかとおしてみると60%以上いじょうみとめられる[23]もっとおおいのがのう血管けっかん障害しょうがい(76%)であり、脊髄せきずい神経しんけい障害しょうがい(38%)、急性きゅうせい脳症のうしょう(27%)、脳神経のうしんけい障害しょうがい(21%)、眼科がんかてき障害しょうがい(16%)、末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがい(5%)、ミオパチー(3%)である[29]のう血管けっかん障害しょうがいのう梗塞こうそくおおく、急性きゅうせい脳症のうしょう意識いしき障害しょうがい精神せいしん症状しょうじょうしめす。脊髄せきずい神経しんけい障害しょうがいではくもまく腔からのう実質じっしつないしょう血管けっかんない腔に腫瘍しゅよう細胞さいぼう充満じゅうまんし頸髄からこしずいまで広範囲こうはんいにわたるきょせい壊死えし病変びょうへんみとめる。こうはつ部位ぶいこしずいからせんずいでありたい麻痺まひ感覚かんかく障害しょうがい膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがいしめす。中枢ちゅうすう神経しんけい由来ゆらい神経症しんけいしょうじょう症状しょうじょうべつでみると認知にんち機能きのう低下ていか認知にんちしょう急性きゅうせい脳症のうしょう)が61%、麻痺まひが22%、痙攣けいれんが13%であった[30]認知にんち機能きのう低下ていかもっとおおいのが注目ちゅうもくあたいする。血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅによる急速きゅうそく進行しんこうせい認知にんちしょう多数たすう報告ほうこくされており、死亡しぼうれい報告ほうこくおお[31][32][33][34]改善かいぜんれい[35][32]報告ほうこくもある。神経症しんけいしょうじょうしょう血管けっかんない腔に腫瘍しゅよう細胞さいぼう充満じゅうまんした結果けっかきょかんがえられている[36][37]血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅ頭部とうぶMRI所見しょけんとしてははしのT2延長えんちょう病変びょうへん非特異ひとくいてきしろしつ病変びょうへん梗塞こうそくさま病変びょうへんずいまく肥厚ひこうの4パターンが報告ほうこくされている[38]。さらにしゅこぶせい病変びょうへんくわえて5パターンとする報告ほうこくもある[39]。MRIにおけるT2延長えんちょう病変びょうへんきょせい病変びょうへんかんがえられている[40][41][42][43][44]が、治療ちりょうによってMRI所見しょけん改善かいぜんするれいもある[45][39]ため腫瘍しゅようによる細胞さいぼう密度みつど増加ぞうかしめしている可能かのうせいもある。また剖検ぼうけんれい比較ひかくするとMRIではすべての病変びょうへん検出けんしゅつできているわけではないとかんがえられる[46][39]血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅでは血清けっせいIL-10が高値たかねになるという報告ほうこくがある[47]

中枢ちゅうすう神経しんけいはた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐん

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悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ遠隔えんかく効果こうかとしてあたりえんけい脳炎のうえん急性きゅうせい小脳しょうのう変性へんせいしょう急性きゅうせい壊死えしせい脊髄せきずいえんスティッフパーソン症候群しょうこうぐん、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群しょうこうぐん肉芽にくがしゅせいのう血管けっかんえんられている[48]

末梢まっしょう神経しんけいけい

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悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅによる末梢まっしょう神経しんけいけい障害しょうがいには末梢まっしょう神経しんけいリンパ腫りんぱしゅしょう(neurolymphomatosis)、しゅこぶ形成けいせいによる神経しんけい組織そしき圧迫あっぱく血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅによるきょせい病変びょうへん遠隔えんかく効果こうかによるはた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐんられている。

末梢まっしょう神経しんけいリンパ腫りんぱしゅしょう

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末梢まっしょう神経しんけいリンパ腫りんぱしゅしょう(neurolymphomatosis)は悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ末梢まっしょう神経しんけい浸潤しんじゅんすることである。末梢まっしょう神経しんけい原発げんぱつのものが狭義きょうぎ末梢まっしょう神経しんけいリンパ腫りんぱしゅしょうであり、それ以外いがい全身ぜんしんせいリンパ腫りんぱしゅ末梢まっしょう神経しんけい浸潤しんじゅん全身ぜんしんせいリンパ腫りんぱしゅ治療ちりょう末梢まっしょう神経しんけい再発さいはつなどがかんがえられる。典型てんけいてきにはゆうつうせい多発たはつ神経しんけい障害しょうがい多発たはつ神経しんけい障害しょうがいこる。MRIやFDG-PETで評価ひょうかする。

血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょう

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血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょう末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがい多彩たさい表現ひょうげんがたをとる。神経しんけいせいけんすじせいけん診断しんだんされるれいもある[49][50]末梢まっしょう神経しんけい由来ゆらい神経症しんけいしょうじょう症状しょうじょうべつにみると筋力きんりょく低下ていかが60%で神経しんけいいんせい膀胱ぼうこうが37%であった[30]神経しんけい伝導でんどう検査けんさ末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいみとめるれいすくなからずあり、そのじょきょともなじくさく障害しょうがいせい多発たはつたん神経しんけいくさむら障害しょうがいとされるが[51]、オニオンバルブ形成けいせいみとめた症例しょうれいもあり免疫めんえき介在かいざいせいじょうたがわれる[52]

末梢まっしょう神経しんけいはた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐん

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悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ遠隔えんかく効果こうかとして急性きゅうせい感覚かんかくせいニューロノパチー、感覚かんかくせいニューロパチー、運動うんどうせいニューロパチー、感覚かんかく運動うんどうせいニューロパチー、CIDP、血管けっかんえんせいニューロパチー、神経しんけいミオトニアがられている。急性きゅうせい感覚かんかくせいニューロノパチーで血清けっせいにTrk抗体こうたいみとめられるれいもある。

筋肉きんにく

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悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ筋肉きんにく障害しょうがいには末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいによる神経しんけいばらせいすじ萎縮いしゅくすじ自体じたいへの浸潤しんじゅんであるすじリンパ腫りんぱしゅしょう(muscle lymphoma)、血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅすじない血管けっかん病変びょうへんはた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐん筋炎きんえん骨髄こつづい穿刺せんしともな殿しんがりすじ血腫けっしゅ感染かんせんしょう合併がっぺいによるすじ膿瘍のうようアミロイドーシスによるミオパチー、同種どうしゅ移植いしょくのGVHDとしての筋炎きんえんなどがある。また神経しんけいすじ接合せつごうはた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐんとしては重症じゅうしょうすじ無力むりょくしょうランバート・イートン症候群しょうこうぐんられている。

神経しんけいばらせいすじ萎縮いしゅく

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すじせいけんをしてもすじない神経しんけいリンパ腫りんぱしゅ細胞さいぼうみとめられることはまれである。

すじリンパ腫りんぱしゅしょう

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すじリンパ腫りんぱしゅしょう(muscle lymphoma)は悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ筋肉きんにく浸潤しんじゅんすることである。筋肉きんにく原発げんぱつ場合ばあい全身ぜんしんせいリンパ腫りんぱしゅ筋肉きんにく浸潤しんじゅんかんがえられる。通常つうじょう血清けっせいCK上昇じょうしょうしない。組織そしきがくてきすじしゅうさや血管けっかん周囲しゅういすじないさやリンパ腫りんぱしゅ細胞さいぼう浸潤しんじゅんする。進行しんこうすればすじ置換ちかんするようなかたちになる。また再発さいはつによるすじリンパ腫りんぱしゅもある。

血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょう

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筋肉きんにくMRIで異常いじょう信号しんごうていした部位ぶいすじせいけん診断しんだんができず、じんせいけん血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょう診断しんだんしたれいがある[53]異常いじょう信号しんごう神経しんけいばらせいすじ萎縮いしゅくかんがえられる。筋肉きんにくしばしば血管けっかんないリンパ腫りんぱしゅしょう組織そしきおこなわれる[54][49][55]すじばらせい変化へんか程度ていど報告ほうこくによりはばがある。血管けっかんがいであるすじ細胞さいぼう浸潤しんじゅんするれい報告ほうこくされている[56]化学かがく療法りょうほう筋力きんりょく回復かいふくしたれいもある[57][56]

筋肉きんにくはた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐん

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悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ合併がっぺいする筋炎きんえん悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅ合併がっぺいする重症じゅうしょうすじ無力むりょくしょうランバート・イートン症候群しょうこうぐんられている。

悪性あくせいリンパ腫りんぱしゅになった人物じんぶつ

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(アイウエオじゅん

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 神経しんけい内科ないか Vol.73 No.1 2010 ASIN B00FXIUMHA

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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