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RSTS/E

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
RSTS
リモート接続せつぞくでのテキスト表示ひょうじれい
開発かいはつしゃ ディジタル・イクイップメント・コーポレーション
現在げんざいは Mentec Inc. が所有しょゆう
プログラミング言語げんご MACRO-11アセンブリ言語げんご
lBASIC-PLUS-2
DCL英語えいごばん
Forth
開発かいはつじょうきょう 開発かいはつ終了しゅうりょうしているが、入手にゅうしゅ可能かのう
ソースモデル クローズドソース
最新さいしん安定あんていばん RSTS V10.1 / 1992ねん9がつ
使用しようできる言語げんご 英語えいご
アップデート方式ほうしき バイナリパッチ、あるいはバイナリそのもの
パッケージ管理かんり BACKUP
プラットフォーム PDP-11
カーネル種別しゅべつ タイムシェアリング オペレーティングシステム
既定きていUI コマンドラインインタフェース: DCL(DIGITALコマンド言語げんご英語えいごばん
ライセンス プロプライエタリ
テンプレートを表示ひょうじ

RSTS (Resource Sharing Time Sharing System)[1] は、ディジタル・イクイップメント・コーポレーション (DEC)[2]16ビットミニコンピュータシリーズPDP-11よう開発かいはつしたマルチユーザータイムシェアリングオペレーティングシステム最初さいしょのバージョン RSTS-11 version 1 は1970ねんPDP-8ようタイムシェアリングOS TSS-8 のチームが開発かいはつした。RSTSの最終さいしゅうバージョン RSTS/E 10.1 は1992ねん9がつにリリースされた。RSTS-11 と RSTS/E は通常つうじょうたんに "RSTS" とばれ、ほん項目こうもくでもそのように記述きじゅつする。

開発かいはつ

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1970年代ねんだい

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RSTSのカーネルアセンブリ言語げんご MACRO-11かれ、DOS-11というOSじょう動作どうさする CILUS (Core Image Library Update and Save) プログラム使つかってディスクインストールされる。RSTSをブートすると、BASIC言語げんご拡張かくちょうばんである BASIC-PLUS処理しょりけいがる。リソースアカウンティング、ログイン、ログアウト、システム管理かんりなどのOSないシステムソフトウェアCUSPS (Commonly Used System Programs) とばれ、すべてBASIC-PLUSでかれていた。1970ねんから1973ねんまで、RSTSは56キロバイト磁気じきコアメモリのみで動作どうさ可能かのうだった(メモリ空間くうかんは64キロバイトで、メモリマップドI/O空間くうかんふくむ)。この構成こうせい最大さいだい16の端末たんまつ接続せつぞくでき、最大さいだい17のジョブを同時どうじ実行じっこうできる。プログラムの最大さいだいサイズは16キロバイトである[3]。1973ねんまつ時点じてんで、RSTSがライセンスされたシステムは150ほどあった[4]

1973ねんしん機種きしゅ PDP-11/40 および /45 のためにメモリ管理かんりがサポートされた RSTS/E がリリースされた(PDP-11/20 は RSTS-11 でのみサポート)。メモリ管理かんりサポートによってあつかえるメモリ容量ようりょうが4ばいになっただけでなく(18ビット・アドレッシングで、256キロバイトをサポート)、ユーザーモードのプロセスとカーネルの分離ぶんり可能かのうとなった。

1975ねん、22ビット・アドレッシングの PDP-11/70 のためにメモリ管理かんりサポートが改良かいりょうされた。これにより、最大さいだい2メガバイトのメモリをあつかえ、最大さいだい63のジョブを同時どうじ実行じっこう可能かのうとなった。RTS (Run Time System) と CCL (Concise Command Language) のコンセプトが導入どうにゅうされたが、それらは "SYSGEN" のさいにコンパイルする必要ひつようがあった。マルチ端末たんまつサービスも導入どうにゅうされ、1つのジョブが複数ふくすう端末たんまつ制御せいぎょできるようになった(トータルで128端末たんまつ)。メッセージ送受信そうじゅしんのプロセスあいだ通信つうしんがさらに洗練せんれんされ効率こうりつされている。同年どうねん8がつにはライセンスされたシステムすうが1,200となった[4]

1977ねん、RSTSのインストールにDOS-11を使つかわなくてむようになった。RSTSカーネルはRT-11RTS にてコンパイルでき、RT-11の SILUS (Creates Save-Image Libraries) を使つかって SIL (Saved Image Library) ファイルとしてフォーマットされ、ターゲットシステムがタイムシェアリングで動作どうさちゅうにシステムディスクあるいはのディスクにコピーできる。BASIC-PLUSのRTS(さらにはRT-11、RSX-11TECOやサードパーティのRTS)は、RSTSカーネルから独立どくりつしたユーザーモードのプロセスとして動作どうさする。システムアドミニストレータはブートのさいにどのRTSをデフォルトのKBM (Keyboard Monitor) とするかを選択せんたく可能かのうになった。このころには3,100システムがライセンスをけている[4]

1978ねん、22ビット・アドレッシングが可能かのうぜん機種きしゅをサポートする最後さいごのメモリ管理かんり更新こうしんおこなわれた。PDP-11がハードてき搭載とうさい可能かのう最大さいだいメモリ容量ようりょう(4メガバイト)をサポート可能かのうとなった。SUPERVISORYモードが追加ついかされ、DECのOSでははじめてそのモードをサポートした。DECnetもサポートされ、コロラドスプリングスにあるDECのRDC (Remote Diagnostics Center) から遠隔えんかく診断しんだんおこなえるようになった(有償ゆうしょうサービス)。1970年代ねんだいまつにはライセンスをけたシステムは5,000をえている[4]

1980年代ねんだい

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1981ねんUnibusマシン(PDP-11/44, /45, /55, /70)けにユーザー空間くうかん命令めいれいとデータの分離ぶんりをサポートし、一種いっしゅメモリ保護ほご可能かのうとした。これを使つかい、命令めいれいに64キロバイト、データに64キロバイト(さらにはバッファように64キロバイト)の別々べつべつ空間くうかん使つかうプログラムが作成さくせい可能かのうとなった。DCL英語えいごばん (Digital Command Language) RTSふくまれており、DECnet III のしんバージョンもサポートされている。

1983ねんの RSTS/E V8.0-06 ではDECが販売はんばいした最小さいしょう構成こうせいの18ビットPDP-11 (MicroPDP-11) をサポートしている。MicroPDP-11でのインストールを容易よういにするため、事前じぜん生成せいせいみのSILCUSPSふくまれている。MicroPDP-11よう事前じぜん生成せいせいみのバージョンを MicroRSTS としててい価格かかく販売はんばいしたが、カーネルのさい作成さくせい必要ひつようならフルバージョンを購入こうにゅうしなければならなかった。ファイルシステム更新こうしんされており、識別しきべつのため RSTS Directory Structure 1 (RDS1) とばれた[5]。それにおうじて従来じゅうらいのRSTSのファイルシステムは RDS0 とばれるようになった[6]あたらしいファイルシステムは1700以上いじょうのユーザーアカウントをサポートできるよう設計せっけいされている[7]。このころライセンスをけたユーザーは1まん以上いじょうで、ほぼ同数どうすうのユーザーがライセンスをけずに(不正ふせいコピーして)使つかっていたとられている[4]

1985ねんから1989ねんにかけて、version 9 でRSTSは円熟えんじゅくむかえた。DCL主要しゅようRTSとされ、あらたなユーザーアカウント機能きのうをサポートすべくファイルシステムも RDS1.2 に更新こうしんされた。従来じゅうらいパスワードRADIX-50 フォーマットで6文字もじまでという制限せいげんがあったが、暗号あんごう(ハッシュ)されるようになった。従来じゅうらい、プロジェクト(グループ)番号ばんごうゼロのシステムアカウント(識別しきべつ番号ばんごう [0,1])があり、プロジェクト番号ばんごう1のぜんアカウントに特権とっけん付与ふよされていた(UNIXのrootアカウントとはことなる)。version 9 以降いこうはプロジェクト番号ばんごうゼロにアカウントを追加ついかできるようになり、複数ふくすう特権とっけん個別こべつ任意にんいのアカウントに付与ふよできるようになった。LAT (Local Area Transport) プロトコルがサポートされ、DECnet IV の最新さいしんばん動作どうさ可能かのうとなった。それらのネットワーク強化きょうかにより、任意にんいのユーザーが端末たんまつから端末たんまつサーバ DECserver 経由けいゆでRSTSマシンに接続せつぞくできるようになり、VMS動作どうさするVAX同等どうとうのアクセスが可能かのうになった。DCLのコマンド構造こうぞうがDECファミリない共通きょうつうしていたため、ルック・アンド・フィールも似通にかよっていた。

これはよくある擬似ぎじコマンドファイルプロセッサではなく、VMSの機能きのうもとづいている。DCLとモニターに大幅おおはば改造かいぞうほどこすことで、DCLコマンドファイルプロセッサをRSTSに統合とうごう完全かんぜんサポートしている。DCLはジョブの一部いちぶとしてコマンドファイルを実行じっこうし、(ATPKと同様どうよう擬似ぎじキーボードやじつキーボードへの強制きょうせい不要ふようである。[8]

1990年代ねんだい

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1994ねん、DECはPDP-11のソフトウェア事業じぎょうを Mentec という企業きぎょう売却ばいきゃく[9]、DEC自体じたいはVAXに集中しゅうちゅうするためRSTSのリリースをやめた。

MentecはのちにPDP-11ようOSを営利えいり趣味しゅみてき利用りようかぎって無料むりょうライセンスで提供ていきょうした[よう出典しゅってん]。また、IBM PC けにPDP-11エミュレータがリリースされ、インターネットじょうでRSTSのイメージコピーが容易ようい入手にゅうしゅ可能かのうとなったため、パーソナルコンピュータじょうのエミュレータでRSTS/Eを実機じっきよりも高速こうそく動作どうささせることが可能かのうとなった。

機能きのう特徴とくちょう

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最後さいごのリリースとなった RSTS/E version 10.1 の機能きのう特徴とくちょうはDECの Software Product Description によればつぎとおりである[10]

  • 対話たいわがたタイムシェアリング
  • システムリソースの動的どうてきあて
  • DCL (Digital Command Language)
  • DCL コマンドファイル処理しょり
  • コマンドぎょう編集へんしゅう入力にゅうりょくみコマンドのさい
  • CCL システムマネージャにより定義ていぎされたコマンドインタフェース
  • デバイスやアカウントのユーザー論理ろんりめいとシステムろん理名りな
  • システムセキュリティ機能きのう
  • 必要ひつようおうじてアカウントごと特権とっけんとリソースてを設定せってい
  • バッチサービス - DCLコマンドファイルの集中しゅうちゅうバックグラウンド実行じっこう提供ていきょう
  • プリントサービス - 端末たんまつプリンター、ラインプリンター、端末たんまつサーバのプリンターなどで集中しゅうちゅうバックグラウンド印刷いんさつ提供ていきょう
  • オペレータ/メッセージ・サービス - ユーザーやプログラムから要求ようきゅうやオペレータメッセージのディスパッチとロギング
  • 各種かくしゅファイル処理しょり - ファイル共有きょうゆう保護ほご機構きこう仮想かそう(メモリ)ディスクサポート
  • DCLを使用しようした統合とうごうシステム・アカウント管理かんり
  • 磁気じきテープ処理しょり
  • 対話たいわがた環境かんきょうけに設計せっけいされた端末たんまつハンドラ
  • 共通きょうつうコードの共有きょうゆう
  • 頻繁ひんぱんにアクセスするディスクじょうのデータをソフトウェアでキャッシュ
  • タスクあいだ通信つうしん
  • ディスク全体ぜんたいやファイルを磁気じきテープにバックアップ/リストアするユーティリティ
  • SCSIアダプターとSCSIデバイスの一部いちぶ機種きしゅでのサポート
  • ことなるおおきさや種類しゅるいのディスクあいだでのボリュームコピー
  • 信頼しんらいせい保守ほしゅせいのための機能きのう
  • DCL、RT-11、RSX、BASIC-PLUSのRTSをサポート
  • プログラム開発かいはつツールぐん

運用うんよう

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通信つうしん

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RSTSではオペレータとのやりとりにシリアル通信つうしん接続せつぞく使用しようする。この接続せつぞくは、ローカルな端末たんまつなら20mAカレントループ英語えいごばん使つかえるし、RS-232インタフェース(ローカルなシリアルポート接続せつぞくかリモートのモデム接続せつぞく)も使つかえる。また、DECnetまたはLAT (Local Area Transport) を使つかったイーサネット接続せつぞく可能かのうである。最大さいだい128の端末たんまつ接続せつぞく可能かのうで、同時どうじ最大さいだい63のジョブが動作どうさ可能かのうである(CPU性能せいのう、メモリ容量ようりょう負荷ふかじょうきょうによってはそのまえ限界げんかいとなる場合ばあいもある)。バッチモードでジョブを実行じっこうさせることもできる。仮想かそう端末たんまつじょう一連いちれんのコマンドれつ実行じっこうする "ATPK" というバッチプログラムがあり、MS-DOSバッチファイルちかい。

ログイン [Project,Programmer]

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ユーザーがシステムと接続せつぞくするには、LOGIN(またはHELLO)コマンドを使用しようする。実際じっさいにはログインしていない端末たんまつ任意にんいのコマンドを入力にゅうりょくすると、自動的じどうてきにLOGINプログラムを起動きどうしてから入力にゅうりょくされたコマンドを解釈かいしゃくするようになっている。ログアウト状態じょうたい入力にゅうりょくされたコマンドについてログアウト状態じょうたい実行じっこう許可きょかされていない場合ばあい、"Please say HELLO" といったメッセージが表示ひょうじされる。version 9 より以前いぜん、1ぎょうでログインすることもできたが、そうするとパスワードが画面がめんじょうにそのまま表示ひょうじされるので、うしろからのぞされる危険きけんせいがあった。

Bye

HELLO 1,2;SECRET

Ready

または

I 1,2;SECRET

Ready

または

LOGIN 1,2;SECRET

Ready

端末たんまつ状態じょうたいは、コマンドにたいする反応はんのう表示ひょうじ)で識別しきべつできる。たとえば BASIC-PLUS RTS にログインしている場合ばあい、KBM は "Ready" というプロンプトを表示ひょうじし、ログアウトしているユーザーには "Bye" というプロンプトをかえす。

ログインにさいしては PPN (Project Programmer Number) とパスワードを入力にゅうりょくする。ユーザーの番号ばんごうは、プロジェクト番号ばんごうUNIXグループ識別子しきべつし相当そうとう)、カンマ、プログラマ番号ばんごうという形式けいしきである。どちらの番号ばんごうも0から254までで、特別とくべつ例外れいがいもある。アカウントを識別しきべつするのにこれらの番号ばんごう使つか場合ばあいかく括弧かっこかこむ。たとえば、[10,5](プロジェクト番号ばんごう10、プログラマ番号ばんごう5)、[254,31]、[2,146]、[200,220] といった形式けいしきである。ユーザーがシステムプログラムを起動きどうしてログアウトした場合ばあい管理かんりしゃがそれをゆるしている場合ばあい)、PPN は [0,0] となり、SYSTATコマンドでは **,** と表示ひょうじされる。これはただしいアカウント番号ばんごうではないことをしめしている。

システムアカウントとユーザアカウント

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かくプロジェクトのプログラマ番号ばんごう0は、グループアカウントとして予約よやくしておくのが一般いっぱんてきで、特殊とくしゅ記号きごう "#" で参照さんしょうできる。あるユーザーの番号ばんごうが [20,103] だとすると、"#" がぜんおけされた名前なまえのファイルはユーザー番号ばんごう [20,0] のアカウントで格納かくのうされたファイルだとわかる。

特別とくべつなプロジェクト番号ばんごうが2つある。プロジェクト番号ばんごう0はシステムソフトウェアよう予約よやくされているのが一般いっぱんてきで、version 9 より以前いぜんには1つしかアカウントがなかった(つまり、[0,1] しかなかった)。プロジェクト番号ばんごう1をあたえられたプログラマには特権とっけん付与ふよされており、Unixけいのrootにているが、[1,0] から [1,254] までのぜんアカウントに特権とっけんがあるてんことなる。version 9 以降いこう、システム管理かんりしゃ任意にんいのアカウントに特権とっけん付与ふよできるようになった。

アカウント [0,1] はOSのシステムファイルなどに使つかわれている。つぎれいみぎはし太字ふとじはコメントである。

DIR [0,1]
 Name .Ext    Size   Prot    Date       SY:[0,1]
BADB  .SYS       0P  < 63> 06-Jun-98         List of bad blocks
SATT  .SYS       3CP < 63> 06-Jun-98         Bitmap of allocated disk storage   
INIT  .SYS     419P  < 40> 06-Jun-98         Operating system loader program
ERR   .ERR      16CP < 40> 06-Jun-98         System error messages
RSTS  .SIL     307CP < 60> 06-Jun-98         Operating system itself
BASIC .RTS      73CP < 60> 06-Jun-98         BASIC-PLUS run time system
RT11  .RTS      20C  < 60> 06-Jun-98         RT-11 run time system
SWAP  .SYS    1024CP < 63> 06-Jun-98         System swap file   
CRASH .SYS      35CP < 63> 06-Jun-98         System crash dump
RSX   .RTS      16C  < 60> 23-Sep-79         RSX-11 run-time system
TECO  .RTS      39C  < 60> 24-Sep-79         TECO text editor

Total of 1952 blocks in 11 files in SY:[0,1]

(ちゅう: この表示ひょうじは Version 9 より以前いぜんのものである)

DIR コマンドはCCLとしてインストールされており、DIRECT というプログラムの実行じっこうひとしい。[0,1] はOSようアカウント番号ばんごう(と同時どうじにディレクトリめい)である。ファイルめいつぎ表示ひょうじされているのは512バイト単位たんいのブロックすうあらわしたサイズである。"C" はそのファイルが連続れんぞくブロックをてられていることをしめす。"P" は特権とっけんユーザーでも削除さくじょできない保護ほごされたファイルであることをしめす。つぎの("< 40>" のように)括弧かっこかこまれた数値すうちは、じゅう進数しんすうでファイルプロテクションをしめしている。のプログラマ番号ばんごうのプロジェクト番号ばんごうのユーザーからえるか、更新こうしん可能かのうか、実行じっこう可能かのうかなどをしめすもので、UNIXのファイルパーミッション相当そうとうする。

ライブラリファイルぐんはアカウント [1,1] が付与ふよされており、通常つうじょう論理ろんりめい "LB:" で参照さんしょうされる。アカウント [1,2] はシステム起動きどうアカウントで、システムのCUSPSがふくまれており、"CUSP$" が名前なまえぜんおけされる。同様どうように、[1,3] では "!"、[1.4] では "%"、[1,5] では "&" がぜんおけされる。アカウント [1,1] はユーザーがログインに使つかうことがゆるされており、POKEシステムコールでメモリじょう任意にんい位置いち変更へんこうすることができる。したがって、この [1,1] がUnixけいスーパーユーザーもっとちかい。

実行じっこう環境かんきょう (RTS)

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RSTSの特徴とくちょうのひとつとして、プログラムの実行じっこう手段しゅだん実行じっこう使つかわれる環境かんきょうがある。BASIC-PLUS やその拡張かくちょうである BASIC-PLUS 2、またもっとふるくからの言語げんごであるCOBOLFORTRANといったプログラミング言語げんご利用りよう可能かのうである。これらの環境かんきょうたがいに分離ぶんりされていて、システムは実行じっこうするプログラムごとに環境かんきょうえている。この環境かんきょうRTS (Run-Time System) とぶ。RTSのおおくはコマンドラインインタフェースそなえており、それを KBM (Keyboard Monitor) とぶ。version 9 以前いぜんではシステム起動きどうのRTSを事前じぜん設定せっていしておく必要ひつようがあり、そのRTSはコンパイルみプログラムを実行じっこうできる必要ひつようがあった。

システム管理かんりしゃ特別とくべつCCLコマンドぐんをインストールすることもでき、(DCLをのぞく)KBMコマンドぐん優先ゆうせんさせることができる。CCLはWindowsでのショートカットやUnixけいのシンボリックリンクにている。CCLはにメモリ常駐じょうちゅうコマンドとしてインストールするか、システム管理かんりしゃがシステム動作どうさちゅう動的どうてきにインストールする(つまり、ディスクじょうのファイルのように永続えいぞくてきなものではない)。

ユーザーはログイン環境かんきょうえることができる。

BASIC-PLUSかれたプログラムは BASIC RTS で実行じっこうできる。BASIC RTS では64KBのメモリのうち32KBをBASICプログラムぐん提供ていきょうできる。言語げんご処理しょりけいはプログラムのキーワードを1バイトのコードに変換へんかんして格納かくのうし、変数へんすうやデータはインデックスけされてメモリじょう別々べつべつ格納かくのうされる。この内部ないぶのバイトコード形式けいしきをPCODEとぶ。SAVEコマンドでBASICプログラムをセーブする場合ばあい、".BAC" という拡張子かくちょうしきでメモリじょうのイメージがそのままディスクに保存ほぞんされる。このフォーマットは公開こうかいされていなかったが、イギリスの大学生だいがくせいが ".BAC" ファイルからもとのソースを生成せいせいするぎゃくコンパイラを開発かいはつした(のちにその2人ふたり学生がくせいはDECに就職しゅうしょくした)。64KBのメモリののこり32KBは BASIC RTS 自身じしん使用しようする。以下いかにBASIC-PLUSのコマンドぎょうれいしめす。"Ready" はプロンプトである。

 new
 New file name--HWORLD
 
 Ready
 
 10 Print "Hello World"
 20 Input "Press Control-T for 1 line status: ";a$
 30 End
 run
 HWORLD  10:17 PM        01-Jan-08
 Hello World
 Press Control-T for 1 line status: ?
 1       KB0     HWORLD+BASIC    KB(0R)  2(16)K+14K      0.2(+0.0) +0
 
 
 Ready
 
 save
 
 Ready
 
 compile
 
 Ready
 
 DIR HWORLD.*/na/ex/si/pr
 SY:[1,2]
 HWORLD.BAS       1   < 60>
 HWORLD.BAC       7C  <124>
 
 Total of 8 blocks in 2 files in SY:[1,2]
 
 
 Ready

DCL (Digital Command Language)

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varsion 9 以降いこうDCLしゅたるRTSとされたが、機械きかい実行じっこうファイルを実行じっこうする機能きのうはない。これは後述こうじゅつする RSX RTS がカーネルうち吸収きゅうしゅうされたために可能かのうとなった。DCLは当時とうじのDECのあらゆるOS(RSX-11、RT-11、VMSOpenVMS)で導入どうにゅうされ、互換ごかんせい提供ていきょうしていた。DCLの通常つうじょうのプロンプトは "$"(ドル記号きごう)である。

$ write 0 "Hello World, it is "+F$TIME()
Hello World, it is 01-Jan-08 10:20 PM
$ inquire p1 "Press Control-T for 1 line status:"
Press Control-T for 1 line status:
1       KB0      DCL+DCL       KB(0R)       4(8)K+24K       0.1(+0.1) -8
$ set verify/debug/watch
$ show memory
(show memory)
(SYSTAT/C)

Memory allocation table:
 Start   End  Length  Permanent   Temporary
   0K -   85K (  86K) MONITOR    
  86K - 1737K (1652K)   (User)   
1738K - 1747K (  10K)   (User)    DAPRES LIB
1748K - 1751K (   4K)   (User)    RMSRES LIB
1752K - 2043K ( 292K) ** XBUF ** 
2044K -  *** END ***
$

RSX (Realtime System eXecutive)

[編集へんしゅう]

COBOL、マクロアセンブラ、BASIC-PLUS 2 でかれたプログラムはコンパイラにより機械きかい実行じっこうファイルとなり、RSX RTS で実行じっこうされる。RTS自体じたいは8KBを使用しようし、56KBがユーザープログラムで使用しよう可能かのうだった。RSTS version 7 で RSX RTS がカーネルに吸収きゅうしゅうされ、ユーザー空間くうかんからえたため、ユーザープログラムが64KB全部ぜんぶ使つかえるようになった。

このサイズの制限せいげん対処たいしょするには、ライブラリや複雑ふくざつオーバーレイ機構きこう使用しようする、共有きょうゆうメモリを使つかってプログラムあいだ協調きょうちょう動作どうさするなどの方法ほうほうがある。RSXをデフォルトのKBMとした場合ばあい、RSXの標準ひょうじゅんプロンプトは ">" となる。

>run
Please type HELLO
>HELLO 1,2;SECRET
>run
?What?
>help
Valid keyboard commands are:

ASSIGN    DISMOUNT  HELP      RUN     UNSAVE
BYE       EXIT      MOUNT     SHUTUP
DEASSIGN  HELLO     REASSIGN  SWITCH

>run CSPCOM
CSP>HWORLD=HWORLD
CSP>^Z
>RUN TKB
TKB>HWORLD=HWORLD,LB:CSPCOM.OLB/LB
TKB>//
>run HWORLD.TSK
Hello World
Press Control-T for 1 line status: ?
1       KB0     HWORLD+...RSX   KB(0R)  7(32)K+0K       0.8(+0.2) +0

>DIR HWORLD.*/na/ex/si/pr
SY:[1,2]
HWORLD.BAS       1   < 60>
HWORLD.BAC       7C  <124>
HWORLD.OBJ       2   < 60>
HWORLD.TSK      25C  <124>

Total of 35 blocks in 4 files in SY:[1,2]

>

RT-11 RTS は、RT-11のシングルジョブばんをエミュレートしたものである。RSXと同様どうようRTS自身じしんは8KBを使用しようし、CUSPS (Commonly Used System Programs) のために56KBを提供ていきょうする。CUSPSは FORTRAN-IV やマクロアセンブラでかれる。RT-11をデフォルトのKBMとした場合ばあい通常つうじょうのプロンプトは "." となる。

.VERSION
Please type HELLO

.HELLO 1,2;SECRET

.VERSION
RT-11SJ V3-03; RSTS/E V8.0

.R PIP
*HWORLD.MAC=KB:
        .MCALL .TTYIN,.PRINT,.EXIT
HWORLD: .ASCII /Hello World/<15><12>
        .ASCIZ /Press Control-T for 1 line status:/
        .EVEN

Start:  .PRINT #HWORLD
        .TTYIN
        .EXIT
        .END    START
^Z
*^Z

.R MACRO
HWORLD=HWORLD
*^Z

.R LINK
*HWORLD=HWORLD
*^Z

.R HWORLD.SAV
Hello World
Press Control-T for 1 line status:
1       KB0     HWORLD+RT11     KB(0R)  2(28)K+4K       0.6(+0.2) +0


..DIR HWORLD.*/na/ex/si/pr
SY:[1,2]
HWORLD.BAS       1   < 60>
HWORLD.BAC       7C  <124>
HWORLD.TSK      25C  <124>
HWORLD.MAC       1   < 60>
HWORLD.OBJ       1   < 60>
HWORLD.SAV       2C  <124>

Total of 37 blocks in 6 files in SY:[1,2]


.

TECO (Text Editor and COrrector)

[編集へんしゅう]

テキストエディタ TECO はRTSとして実装じっそうされていた。これは編集へんしゅうバッファを可能かのうかぎおおきくするためで、RSTS V5B で実装じっそうされた。これは、RSX や RT-11 といった汎用はんようRTSよりもはやい。TECOにはKBMがまれていない。ユーザーはTECOを通常つうじょうプログラムのように起動きどうする。TECOからUNIXのテキストエディタ edまれた。RSTSシステムでは、CCLとしてファイル生成せいせい、ファイル編集へんしゅう、TECOプログラム実行じっこうといったコマンドを用意よういしていることがおおかった。つぎれいはTECOを使つかって円周えんしゅうりつを20けたまで計算けいさんするプログラムである[11]

Ready

run TECO
*GZ0J\UNQN"E 20UN '
BUH BUV HK
QN< J BUQ QN*10/3UI
QI< \ +2*10+(QQ*QI)UA
B L K QI*2-1UJ QA/QJUQ
QA-(QQ*QJ)-2\ 10@I// -1%I >
QQ/10UT QH+QT+48UW QW-58"E 48UW %V ' QV"N QV^T '
QWUV QQ-(QT*10)UH >
QV^T @^A/
/HKEX$$
31415926535897932384

Ready

エミュレーション

[編集へんしゅう]
ROSS/V (RSTS/E Operating System Simulator for VAX)
1981ねん、Evans Griffiths & Hart が発売はつばい。RSTSのぜんユーザモードプロセス(CUPS、RTS、ユーザプログラム)をVAXうえVMS修正しゅうせいせずに実行じっこうできる。PDP-11じょうでは RSTS.SIL があつかうカーネル部分ぶぶんをエミュレータで対応たいおうしている[12]
Ersatz-11
D-Bit製品せいひん。WindowsやLinuxじょうでPDP-11の命令めいれいセットをエミュレートする。RSTSをふくめたPDP-11ようOSをそのうえ実行じっこう可能かのう
SimH
様々さまざまなプラットフォーム(Linuxなど)で動作どうさするエミュレータで、PDP-1、PDP-8、PDP-10、PDP-11、VAX、AltairZ80、IBMメインフレームの一部いちぶのミニコンピュータなどのエミュレーションが可能かのう

バージョン履歴りれき

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TSS-8につづき、IOX (Input Output eXecutive) コードを使つかってPDP-11ようはつのタイムシェアリングOSが開発かいはつされ、BTSS (Basic Time Sharing System) と名付なづけられた。しかしBTSSという名称めいしょうハネウェルすで使用しようしていたため、RTSS (Resource Time Sharing System) に改称かいしょう。それがたんなるタイプミスから RSTS (Resource Sharing Time Sharing System) とばれることになった[12]

バージョン リリース時期じき 備考びこう
1 リリースされず
2A-19 1971ねん Carleton College と Seattle Pacific College にてインストール
2B 1971ねん6がつ Delaware School Auxiliary Association にてインストール
2C 1971ねん10がつ Record I/O の機能きのう追加ついか
3A-19 1972ねん1がつ
3B 1972ねん5がつ
3C 1972ねん6がつ UPDATE mode の機能きのう追加ついか
4A-12 1972ねん10がつ しん機種きしゅサポート
4B 1975ねん7がつ バグ修正しゅうせい(パッチ)

あらたなメモリ管理かんりサポートを追加ついかし、しん機種きしゅのメモリ容量ようりょうぞう対応たいおう名称めいしょうを RSTS-11 から RSTS/E に変更へんこうした。

バージョン リリース時期じき 備考びこう
5A-21 1973ねん7がつ メモリ管理かんり拡張かくちょう(64KBから256KBへ)
5B-24 1974ねん11月 複数ふくすうスワップファイル。RTSとCCLを導入どうにゅう
5C-01 1975ねん3がつ バグ修正しゅうせい(パッチ)
6A-02 1975ねん8がつ 22ビット・アドレッシングのしん機種きしゅ対応たいおう(2MBまで)。63ジョブ。
6B-02 1977ねん2がつ しん機種きしゅ対応たいおう。RT-11でのSYSGEN。実行じっこうCCL。
6C-03 1978ねん2がつ DECnet II 対応たいおう。DTR (Datatrieve) と DIBOL をサポート。SUPERVISORモード追加ついか
7.0 1978ねん8がつ しん機種きしゅ対応たいおう(4MBまで)。遠隔えんかく診断しんだんサポート
7.1 1981ねん2がつ カーネルモードでの命令めいれい/データ空間くうかん分離ぶんり。DECnet III サポート
7.2 1982ねん8がつ しん周辺しゅうへん機器きき対応たいおう (UDA50 drives)
8.0-06 1983ねん4がつ しん機種きしゅ対応たいおう (MicroPDP-11)
9.0-14 1985ねん5がつ しんハード対応たいおう。DCLをデフォルトに。PBS (Print Batch Services)。複数ふくすう特権とっけん。ハッシュによるパスワード保持ほじしんバックアップユーティリティ。Stardate
9.1-05 1985ねん10がつ ハードウェアサポートの拡大かくだい。マルチスレッドFIP (File Information Processing)。LOAD INDEX
9.2-10 1986ねん6がつ しんハード対応たいおう
9.3-20 1987ねん1がつ ハードウェアサポートの拡大かくだい。DECnet IV サポート
9.4 1987ねん7がつ しんハード対応たいおう。スケジューラと端末たんまつサービスの強化きょうか
9.5-08 1987ねん12月 クラスターを64構成こうせい拡大かくだい。BACKUP/DIR の追加ついか
9.6 1988ねん9がつ LATサポート。HELP SPIKE
9.7 1989ねん7がつ しんハード対応たいおう。ANSI PDP-11C が使用しよう可能かのうになった。
10.0 1990ねん5がつ TTDRV でのコマンドライン履歴りれき
10.1 September 1992ねん9がつ 2000ねん問題もんだい対応たいおう

なお、ソビエト連邦れんぽうではRSTSのクローンとして DOS-KP ("ДОС-КП") というOSが存在そんざいした。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 「リステス」または「リスタス」と発音はつおん
  2. ^ 現在げんざいヒューレット・パッカード一部いちぶ
  3. ^ Dick, P: "The History of RSTS: An Addendum", page 25. "The VAX/RSTS Professional Magazine" February 1, 1984, Vol 6, No 1, ISSN 0746-1909
  4. ^ a b c d e Dick, P: "The History of RSTS", pages 24-26. "The RSTS Professional Magazine" June 1, 1983, Vol 5, No 3, ISSN 0745-2888
  5. ^ Mayfield, M: "RSTS/E Monitor Internals", page 1-9.
  6. ^ Mayfield, M: "RSTS/E Monitor Internals", page 1-4.
  7. ^ Marbach, C: "RSTS and the Micro-11", page 50. "The VAX/RSTS Professional Magazine" August 1, 1983, Vol 5, No 4, ISSN 0745-2888
  8. ^ Romanello, G: "A Preview of RSTS/E Version 9.0", page 28. "The VAX/RSTS Professional Magazine" December 1, 1984, Vol 6, No 6, ISSN 0746-1909
  9. ^ http://replay.waybackmachine.org/20060813131029/http://www.mentec-inc.com/
  10. ^ Digital Software Product Description, SPD 13.01.37 "RSTS/E, Version 10.1", March 1995 AE-DE58L-TC.
  11. ^ Greenspon, M: "The RSTS Crystal Ball - Part 3", page 12. "The RSTS Professional Magazine" October 1, 1982, Vol 4, No 5
  12. ^ a b Dick, P: "RSTS 80th Birthday Celebration", pages 20-25. "DECUSCOPE" Q1 July, 1989

外部がいぶリンク

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